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Tokyo Metropolitan Assembly

厚生委員会速記録第十四号

平成二十年十一月十一日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長東野 秀平君
副委員長野島 善司君
副委員長かち佳代子君
理事松下 玲子君
理事野上 純子君
理事山加 朱美君
西崎 光子君
橘  正剛君
斉藤あつし君
田代ひろし君
門脇ふみよし君
野村 有信君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長都留 佳苗君
経営戦略・再編整備担当部長黒田 祥之君

本日の会議に付した事件
 病院経営本部関係
事務事業について(質疑)

○東野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 去る十月十四日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、都立病院及び公社病院の病棟休止状況及び外来診療の縮小状況、平成二十年十月一日現在から、8、各公社病院における看護職員の固有、派遣職員数の推移までの八点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、都立病院及び公社病院の病棟休止状況及び外来診療の縮小状況、平成二十年十月一日現在でございます。
 (1)は病棟の休止状況を、(2)は外来診療の縮小内容を、それぞれ病院別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都立病院及び公社病院におけるがん患者実績、平成十九年十月十七日水曜日、ワンデー調査でございます。
 昨年実施しましたワンデー調査におけるがん患者実績について、(1)は都立病院、(2)は公社病院の実績を、それぞれ病院別に記載しております。
 三ページをごらんください。3、都立病院における保育士の配置状況及び年齢構成、平成二十年十月一日現在でございます。
 都立病院における保育士の配置状況及び年齢構成について、病院別に記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立病院及び公社病院における院内保育室の実施状況、平成二十年十月一日現在でございます。
 (1)は都立病院、(2)は公社病院における院内保育室の実施状況について、病院別に記載しております。
 五ページをごらんください。5、都立病院及び公社病院における医師の定数及び現員の推移、診療科別でございます。
 (1)は都立病院について、次の六ページの(2)は公社病院について、平成十六年度から平成二十年度までの常勤医師の定数と、各年度十月一日現在の現員の推移を診療科別に記載しております。
 七ページをごらんください。6、都立病院におけるPFI事業にかかわる経費の推移でございます。
 平成十六年度から平成二十年度までのPFI事業にかかわる経費について、各事業別に記載しております。
 八ページをお開き願います。7、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
 平成十五年度から平成十九年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
 九ページをごらんください。8、各公社病院における看護職員の固有、派遣職員数の推移でございます。
 平成十六年度から平成二十年度までの各公社病院における看護職員の各年度四月一日現在の定数及び固有、派遣別の現員の推移を記載しております。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
 冒頭、先ほど理事会でも申し合わせましたとおり、本日は、多くの方の質疑が予定されております。各質疑内容につきましては、重複を極力避けて、委員会がスムーズに運営されるように、皆様方のご協力をよろしくお願いしたいと思います。

○田代委員 それでは、委員長からのお話もございましたので、端的にしっかりと、順次、追って、簡潔に質疑をさせていただきたいと思います。
 去る十月四日の土曜日、墨東病院に母体搬送されました妊婦さん、ニュースでも随分取り上げられましたが、結果的に脳内出血のため三日後に亡くなられたという大変痛ましい事態について、まず、亡くなられた方、そしてご遺族の方々に対しまして、改めて心より哀悼の意を表したいと存じます。
 全国的な産科医不足という状況があるわけですけれども、東京のように巨大医療機関が集積し、医療機能が我が国で最も充実しているはず、こういう都内で、しかも、リスクの大きい妊婦さんと新生児を救うための最後のとりでともいえる総合周産期母子医療センターの看板を掲げている、二十四時間体制で救急患者さんを受け入れる東京ERも併設しているという都立墨東病院において、我が子どもを見ることもできず三十六歳の妊婦が亡くなられたことについて、厚生委員として、また医師として、ざんきにたえません。
 医療政策上の問題、課題もはらんでいるとは思いますが、都内病床数の五%を占める都立病院を運営する病院経営本部においても、この問題を強く、しかも重く受けとめて、二度とこうした事態が生じないように、課題の解決に向け、病院経営本部総力を挙げて、迅速かつ決死の覚悟で対応していただくよう、強く要望する次第でございます。
 しかし、翻って見ますと、今回の事例はまず冷静に分析をする必要があって、これをただ感情的に非難合戦に終始するのであれば、大変残念な結果がさらに続くような気がしてなりません。
 当日の当直医が医歴五年目の医師一人であって、総合周産期母子医療センターとしての機能を十分に果たせなかったこと、あるいは、かかりつけ医からの情報のやりとりについても、そもそも我が国の政策では、病診連携の際の通話録音、あるいは通話内容の記録整備という制度がない。消防庁の方ではきちっとこれがあるんですが、そういう制度がこの場合に整備されていない。
 こういう致命的ともいうべき問題がある中で、当初から強い頭痛を訴えていたとか、あるいは、そういうことをいわなかった、これは水かけ論的に話が終始しておりまして、ここを幾ら無理やりにこじあけようとしても、結果としていいものが出てくるわけではなくて、非常に興味本位な話になってしまうと思うんですね。
 ですから、当初どういうやりとりがあったということに幾ら時間をかけても、それによって何かが変わるということは全くないわけで、こういうことが問題にならないように今からやっていかなくてはならないということが重要だと思うんですね。
 やはり一番最大の問題は、周産期医療とERとの連携、これが本当に十分だったのかどうか。墨東病院との初動態勢、こういうものに対していろいろ論点が向けられているように見えますけれども、ただこれだけで、これが問題でないというわけではないんですけど、この問題を取り上げて非難するだけで、今回の事案に対する本質的な問題の解決というものには結びつかないと思うんですね。
 墨東病院が、土日、一人当直体制とせざるを得なくなった七月以降についても、マスコミ初め一部に、その時点で総合周産期母子医療センターの旗をおろすべきではなかったのかと。確かに総合周産期母子医療センターというのは、本当に理論上では最後のとりでで、すべての者を受け入れるというデューティーに近いものがあるわけで、ですからセンターという名前がついているわけですけれども、まるで世間を欺いてきたかのごとく責め立てる。非常にこう主張する人がいるんですけれども、じゃ、逆に、返上していれば、このような事案、事態が起きなかったのか。本当にそうなのかどうかは、少し考えてみればすぐわかることなんですけど、今のような厳しい状況で、だれが一体そのかわりをなし得るのか。ほかへの負担が大きくなれば、当然こういうものは、すべてドミノ倒しのように共倒れになっていくことは必定ですね。
 現場では、大変苦しい中でも、都内のシステム全体を守るために、平日診療は現行の機能を維持して、また土日は、地元や他のセンターの協力を得て、何とかセンター機能を維持しようと大変努力をしてきたわけです。そういう現実の現場の苦労と思いというものを全く一顧だにせず、ただ否定するのみというこの風潮こそが、逆にいうと、これからしっかりしなくてはならない現場を疲弊させている、こういうことに続いていくんだと思います。こういう議論だけに、その揚げ足を取って非難するだけでは、何の解決にもならないと思うんですね。
 まず、こうした事態が墨東病院、周産期センターで発生した絶対的な要因、これは何といっても産科医不足にあることは論をまたないわけですけれども、産科医は現在、昼夜を問わない分娩に対応するために、どうしても二十四時間という体制をとらざるを得ないわけです。
 またハイリスク分娩、これは、高齢社会の到達した、そういういい面と、そこに生じたある程度解決しなくちゃならない問題点もあるわけです。また、訴訟リスクが高い、こういうことからも敬遠される傾向が強くなってきているわけですけれども、それにプラスして、産科医の先生にはやっぱり女性が多い、これも大きな特徴といえます。
 日本産科婦人科学会の調査では、産科医に占める女性の割合が、三十代では五割、二十代では実に七割になっているわけです。これはある意味では大変好ましいことではあると思いますが、逆にこのために、医師としての一定のキャリアを積んだころに、やはり出産、育児というものを抱えて、厳しい勤務と家庭との両立が大変困難となってきて、一線を引いてしまう方もいるわけですね。女性が増加してきた原因の中に一つ挙げられるのは、患者さんの希望で同性を志向する、こういうことも一因であります。
 さらに医療側に、これは我々としても気をつけなくちゃならないんですけれども、男性医師に対する理解を得る努力というものが必ずしも十分あったかというと、やはりそれも足りないことがあるような気がします。
 さらにはモンスターハズバンド、今、大変問題になっています。それから飛び込み出産の増加、いわゆる事前の健診を受けていない。そうすると、結果として、データをとりますと、余りよいお産にならないことがわかっているわけですけど、こういうものが産科医の肩にのしかかってきている。
 このように、いわゆる女性医師の割合の増加に係る諸問題は複合的な要素が絡んでいて、その増加に対して、育児に係る勤務条件のみの改善というのでは、本質的な解決にはつながっていかないわけですね。そして、先ほど申し上げましたように、モンスターハズバンドの問題だとか飛び込み出産、このような複雑な要因が絡んできて、分娩などを行う産科医の実数は、残念ながら現実に毎年減少しているわけです。
 厚生労働省で実施している医師・歯科医師・薬剤師調査、この調査によりますと、全国の産科医師数というのは、平成十年には一万九百十六人だったものが、平成十八年には九千五百九十二人、一二・一%の減少で、東京都においても千三百八十一人から千二百三十七人、一〇・四%、一割以上の減少となっているわけです。
 今回の墨東病院が、去年七月から常勤医師が三名となって、土日、祝日には当直一人体制を行わざるを得なかった背景には、医師の定員数を増加させる、いわゆる絶対的に産科医師が不足しているということも大きな問題なんですけれども、日本が今抱えている医療というものを見直していくためには、ただ産科医不足だということだけではなくて、医師の定員数の増加を図るということだけで、じゃあ、この問題が解決されるかというと、そうではないと思うんですね。
 この産科医不足対策というのは、基本的には、国が施策をきちっと定めていかなくちゃならないんですけれども、改めてこうした事態に対して、病院経営本部としては、産科医の定着、確保に向けて今までどのように取り組んできたのか。また、墨東病院でのかかる事態を踏まえ、今後どのように取り組もうとなさるのか。これは、何でもかんでも集めてこいということではなくて、先ほど申し上げたように、産科医の数が足りないということと医師をどんどんふやせということは、僕は全然意味のないマッチングしない意見だと思っているので、やはり量より質ということが非常に重要だと思うので、そこを踏まえて、どうお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。

○及川経営企画部長 都立病院におけます産科医の定着、確保についてでございますが、病院経営本部としては、これまでも大学医局や地元の医師会に対しまして人員の派遣を依頼しますとともに、産科医師の確保に向けまして、さまざまな方と真摯に意見交換を図ってまいりました。
 こうした関係団体のご指摘やご提案を受け、また委員からもたびたびご指摘を受けておりますけれども、こうした点も踏まえた上で、議会からご支援をいただきまして、今年度から産科医師の処遇を大幅に改善したところでございます。
 具体的には、初任給調整手当の改善や、分娩に伴う困難性に着目した各種手当の新設などの給与の改善などによりまして、年収を大幅に増加しております。
 さらに、女性医師のお話もございましたけれども、その対策といたしましては、育児短時間制度の導入や院内保育室の二十四時間の運営など、ワークライフバランスの確立に向けた施策も講じてきております。
 こうした取り組みが一部では功を奏しておりまして、一部の病院では産科医の確保ができる見通しが立っているところもございますけれども、一方で、依然として厳しい採用環境に置かれている病院もあるというのが実態でございます。
 このため、従来も実施してきました大学医局や地元の医師会などへも引き続き要請を行いまして、その確保に取り組んでまいります。
 また、委員からは質ということもご指摘いただきましたが、こういう質という意味からも、今年度開校いたしました都立、公社病院における専門医の育成システムでございます東京医師アカデミーにおきまして、産科コースを設置しているところでございます。産科医を含む若手医師の確保、育成にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 なお、今回のような事態が生じた根本的原因は、委員からご指摘があったとおり、産科医を含む医師の不足にございます。このため、国に対しましても、抜本的な医師確保対策の整備について強く要請をしていく所存でございます。

○田代委員 病院経営本部でも、ただ手をこまねいていたわけではなく、医師派遣に向けて、いろいろお話を伺いましたけど、大学医局を精力的に訪問して要請を重ねてきた、これは随分、何回も聞かされているわけです。
 また、昨年度は、都立病院で現に勤務している産科医の離職を防ぐとともに、新たに産科医を確保するためのさまざまな取り組みを工夫なさって、我が党としてもそれを全面的に支援して、都立病院の医師の給与面での待遇の大幅な改善、また勤務条件の改善など、環境整備の実現に力を注いできました。
 また、勤務環境の充実ということについて申し上げれば、極めて柔軟な勤務時間、フレックスタイムの導入など、私は以前から主張してきたんですけれども、今年度からようやく育児短時間制度が導入されたというわけですけれども、フレックスタイムの見通しはまだできていないわけですね。
 育児短時間勤務といえども、現在、やはり二十時間を下回る勤務時間の設定は不可能であると。国家公務員制度に準じた地方公務員制度の枠組みの中では、これは法的には仕方がないと思うんですが、こういうものに柔軟に対応していかなくちゃいけないと思うんですね。努力をしても壁があるからということで、そこでとめてしまうのではなくて、やはりその制約、間違っている制約があるとすれば、それは外していく。
 例えば公社移管、こういうときにそういうものも利用できるわけですけれども、ただ残念ながら、豊島病院のときでもいろいろな反対する政党があるわけで、勤務時間の弾力化ですら単純には進まないと思うんですけれども、やはりこれは真剣に取り組んでいただかないと、ただ言葉だけで女性医師が現場復帰になる、こういうことにはならないと思うんですね。現実に女性医師にとって個人の生活の中で真剣に医療に取り組めるような制度を、しっかりと都の方も考えていただきたい。
 全国的に産科医が絶対的に不足しているといわれている中で、この確保というのはそんな簡単にできる状態ではないわけですけれども、逆に、余り強力に東京都が一人の産科医を確保することによって、別の地域の別の病院の産科を危機に陥れてしまうなんていうことになると、大変なことになるわけです。ドミノ倒しになってはいけないわけで、全体の産科医療というものを視野に入れながら、病院経営本部も対応していただきたい。ただ都立病院だけで産科医がふえていけばいいという問題ではなくて、やはり東京という全体の流れ、あるいは首都圏という全体の流れも考えながら、病院経営本部としては対応していただきたいわけですが、こういう事態を踏まえて、医療機関の集約化を進めるべきだという声があります。
 しかし、それぞれの医療機関あるいは診療科は、大学の医局に依存しているのが残念ながら現状でありまして、また、医学の世界は現在非常に複雑なために、一つの手術に対しても、大学によってそれぞれの技法などが異なってくる。手術の選択が変わってくる。そうすると、複数医局出身者で構成すると、かえって診療科内が混乱してしまう、診療の妨げになるなど、一足す一は三といった相乗効果が期待できないというのは、残念ながら現実なわけですね。行政的な発想で、医師さえ確保すれば解決できる、数さえ合わせればどうにかなるという安易なものでは決してないわけです。
 今後の医療機関の集約化に当たっては、やはり複数医局の出身者で、それぞれの医師が納得のできる話し合いをできる、そういうような制度的な構築、そういう場所がないと、ただ話をしなさいといっても現実にはならないわけですから、そういう制度をつくって、多様な地道な努力というものを積み重ねていかないと、複数医局の出身者で納得のいく医療というものを患者さんに提供することはできないと思うんですね。ですから、ただただ数を合わせるということではなくて、数が合わされたことが相乗効果になるような努力をしていただきたいと思います。
 また、今回の事案については、産科医不足という根本的な問題と同時に、都内出生数に応ずるだけのNICUの整備などがなかなか進んでいかない。さらには、母体搬送の救急システムと通常の救急医療の連携、これが一番今度の問題になっているわけですけど、十分機能しなかったという、産科周産期医療体制がはらむ、救急システムに内在する構造上の問題が改めて浮き彫りにされたわけですね。
 そもそも総合周産期母子医療センターは、平成八年に、未熟児など新生児の救命を目的に設置されたわけですけれども、現在、山形県と佐賀県を除いて四十五都道府県で七十五病院が指定を受けているわけです。このセンターの設置基準は、現在ですけれども、必ずしも母体救命の設備を必須にしていないわけですね。母体の救命を優先するということであれば、一般の救命救急センターに搬送したいわけですけれども、多くの家族の方は、これは当然のことながら胎児も助けてほしいと希望するわけでありまして、総合周産期母子医療センターに搬送されて、結果的にお母さんに対する対応が後手に回ることになっているのが現状なわけです。
 妊娠によって、突然、脳や心臓や肺などに重篤な異変が生ずることはまれなことでありまして、そういう場合は産科医だけでは当然対応ができないわけです。まず一刻も早く適切な専門医のもとに搬送されることが重要なわけです。平成十五年に出された厚生労働省の研究班の報告として、日本産婦人科医会報に、「妊娠中の脳出血・脳梗塞」という研究結果が掲載されておりますけれども、それによりますと、妊娠中から産褥期に発生する脳出血の頻度は、二千から一万四千分娩に一例で、出生十万当たり一・一例が死亡に至るという結果が出ているわけですね。
 今回の妊婦さんについては、本当にお気の毒なことでありますし、産科、新生児科並びに脳神経外科などを必要とする脳内出血という非常にまれな事例でありまして、複数の診療科にまたがる救急対応の難しさというのが象徴的に生じた事例であったといえるわけです。墨東病院で最初に電話を受けた当直医の判断ミスとか、頭痛症状に対するかかりつけ医との認識の相違とか、それも問題ですけど、そういう次元だけのものとは到底いえないわけですね。
 それに対して、これまで日本産科婦人科学会では、産科救急のはらむ危険性の打開に向けて、ことしの六月、地域周産期救急医療体制の整備を打ち出して、日本救急医学会に働きかけて、両方の学会で妊婦さんの救急体制の整備のワーキンググループをつくるなど、医学界でも体制整備を模索している最中であります。
 今回のこの事案は、まさに周産期救急と救急医療のはざまで不幸にも発生してしまったものでありまして、いみじくも日本の救急体制における構造上の欠陥を露呈させることになってしまいました。
 今後、何としても周産期救急と救急医療の連携を構築していく必要があります。しかし、こうした救急体制上の問題はあるにせよ、墨東病院が区東部の母子医療を支える最後のとりでであり続けるためには、ハイリスクの患者さんの受け入れ及び紹介機能を充実させて、総合周産期母子医療センターとしての本来の役割を果たしていくために、緊急な対策が必要だと考えます。
 そこで、墨東病院、周産期センターにおける当面の医療体制の充実に向けて、どのような対策を喫緊に講じていく予定があるのかを伺いたいと思います。

○及川経営企画部長 墨東病院及び周産期センターにおけます当面の医療体制の充実についてでございますけれども、まず当面の十一月の土日、祝日の当直につきましては、なお一層の内部努力等によりまして、可能な限り二人体制をしくとともに、一人当直の場合にはバックアップ体制の構築などを目指しております。
 また、今般、緊急対策として、地元医師会のご協力を仰ぎながら、ハイリスク分娩にも対応できるキャリアを積んだ地元産科医を非常勤として雇用しまして分娩に従事していただくという、協力医師登録制度を創設しますとともに、産科医の負担軽減と安全・安心な周産期医療の提供に向けまして、院内外の調整を行います助産師等のコーディネーターを新たに配置することとしております。
 さらに、これまで東京ER等に配置しておりました医療クラークを産科にも配置するとともに、院内保育室の一層の充実も講じていきたいと考えております。
 これらの緊急対策を講じるとともに、周産期医療と救急医療の連携をご指摘いただきましたけれども、これまでも取り組んでまいりましたが、より一層強化することによりまして、墨東病院、周産期センターが一刻も早く万全の機能を発揮できるよう、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

○田代委員 ただいまご答弁の中で、協力医師登録制度という地元の医師の協力を得るための取り組みが取り上げられたわけですけれども、マスコミなど一部では、もっと早く取り組むべきではなかったかなどの、結果論のような話をしております。
 墨東病院においても、再三、地元の協力依頼はしてきたという話を何回も聞かされているわけですけれども、しかし地元の医師会から見れば、たとえ専門医であったとしても、質、量の両面から見て、なかなかそんな単純な話ではないわけであります。墨東病院が正常分娩だけを受けるというわけではない。その受けられない部分を地元の産科医は受けておりまして、多忙をきわめているわけです。協力したくても、その時間をつくることも大変困難なことがあります。
 地元産科医の中でもいろいろ考え方がありまして、若手で、大病院でまた働きたいという意欲と能力を持ったお医者さんもいれば、逆に引退間際で、ハイリスク分娩はなかなか受けづらいというお医者さんもいると思いますね。意欲があるお医者さんのスキルや能力を高めるための取り組み、また、そういうことをセットでやっていくこと、いわゆる都立病院の中で開業医の医師が働きやすい環境を整えるということも不可欠であろうと思います。
 病診連携という言葉はあるんですけれども、これがなかなか現実にはなっていないということがあるので、目に見えた病診連携というものをしっかりつくっていかないと無理なのではないかなと思います。
 また、病院経営本部では平成二十二年三月に、多摩地域における周産期医療の拠点として、新たに府中病院と小児総合医療センターが一体となって運営される総合周産期母子医療センターを開設する予定なんですが、この新センターにおいても墨東病院同様、総合周産期母子医療センターとしての役割を果たしていくためには、周産期医療と救命救急の連携強化は絶対に必要なわけですね。両方の連携という問題は、その成立過程から、それぞれのネットワークが別々に、個別に機能しているわけで、一概に連携強化といっても非常に難しい問題をはらんでいるわけです。
 国におきましても、今月の五日に周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会というのを開催しまして、周産期医療と救命救急の連携の基本的な枠組みについて、やっと検討に乗り出した。やっと始まったところなわけですけれども、これは一義的には、医療政策に係る所管局が主体となって検討に参画していく事項ではありますけれども、病院経営本部としても、現場の医師の声を聞いて、ぜひとも積極的にしっかりと形のあるように取り組んでいただきたいと思います。
 我が国の産科医療というのは、世界に類を見ない極めて高度なもので、今回の妊婦さんの救命はできませんでしたが、我が国の妊産婦の死亡率というのは、世界的水準から見ても極めて低位置でありまして、最近の高齢出産の増加にもかかわらず、ずっと低位置を維持しているわけです。しかし、この数字だけを前面に押し出す傾向がともするとありまして、それによって、お産というものは一〇〇%成功して当然、全く危険のないものだという根拠のない楽観的なお産に対する安全神話というものが、ある部分広まっているような気配があります。
 この非常に世界的に見ても低いすばらしい数字というのは、医療技術が向上しただけではなくて、やはり産科医一人一人の本当に並々ならない努力と、また事前の健診という妊婦さんの協力がないとできないんですね。奈良の問題でも出ましたけど、やはりきちっとしたお産に対する心構えを妊婦さんも持つ、そして医師も持つ、ご家族も持つということが非常に大切だと思います。必死の思いで頑張った現場の医師たちをただただやみくもにバッシングしても、何の解決にもつながっていかないわけで、ますます現場の離職者がふえて、事態が悪化するわけです。
 一番悲しい思いをされた今回のこの妊婦さんのご主人が、医療関係者はみんな一生懸命にやってくれた、だれも責めない、妻の死で明らかになった現在の問題点を、みんなで力を合わせて解決してほしいと涙ながらに会見していた姿に、私は大変強く胸を打たれました。現場において必死で働いて頑張っている多くの医師の方々も皆、改めてこの話を聞いて、頑張ろう、そういう気持ちになったと思うんですね。
 医師たちが安心して医療に従事できる体制整備に向けて、病院経営本部として、でき得る限りの最大限の努力を継続していただくように切に希望いたしますが、最後に、この墨東病院で生じた事態を契機として、妊婦さんの無念さとご主人のお気持ちを無にしないように、こうした事態を繰り返さないための病院経営本部長の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○中井病院経営本部長 答弁に当たりまして、まずは今回の墨東病院で生じた事態について、この場をおかりして、亡くなられた方、またそのご遺族の方々に対して、改めて心から哀悼の意を表させていただきます。
 病院経営本部といたしましては、墨東病院で生じたこの事態を重く受けとめるとともに、今回の件を契機に浮き彫りになった課題に対して、全力を挙げて解決に取り組んでまいります。
 私ども病院経営本部としては、かねてより全国的な産科医不足に対し大きな危機感を持ち、大学医局や地元医師会関係者を精力的に訪問し、人員の派遣をお願いするとともに、日本産科婦人科学会や都立病院で働く現場の産科医とも意見交換を重ね、昨年度、議会からの強力なご支援もいただき、公務員の常識では考えられないほどの大幅な処遇の見直しと勤務環境の改善を講じたところでございます。しかしながら、絶対的な産科医不足の中で、大学医局などでは依然として、医師を派遣したくても派遣できないといった状況にあるのが実情でございます。
 こうした状況の中で、院内の体制整備を一層図るとともに、地元医師会や関係者等のお力をかりながら、地域や都内の医療機関との役割分担、連携強化を図るべく、周産期医療緊急対策を講じていくこととしております。
 なお、こうした問題が生じた根本的原因は、まさに委員ご指摘のとおり、医師、特に産科医不足という状況にあるわけでございますから、関係局とも協議を重ね、国に対し、こうした事態の打開に向けて緊急かつ効果的な対策を迅速に講じるよう、強く要請をしていきたいと考えております。
 病院経営本部は現在、都立墨東病院を初め、大塚、豊島、清瀬小児、八王子小児といった周産期母子医療センターを抱えていますが、来年度中には大塚病院を総合周産期母子医療センターに格上げするとともに、二十二年三月に開設する多摩総合医療センター及び小児総合医療センターにおきまして、多摩地域の拠点となる総合周産期母子医療センターを開設することとしております。
 墨東病院で生じたような事態を二度と繰り返さないよう、それぞれの周産期母子医療センターが名実ともにその機能を十分に果たし、都民の皆様に対し安全・安心な周産期医療を提供すべく、ただいまいただいた委員のご意見も踏まえ、病院経営本部職員一丸となって、今後ともできる限り対策を講じてまいります。
 議会の皆様におかれましても、引き続きご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○門脇委員 それでは、委員長にご指名いただきましたので、幾つかの項目にわたって質問をいたします。
 墨東病院及び総合周産期母子医療センターのことについては、この間、並行して開かれております決算特別委員会で同僚議員が質問をいたしておりますし、また、この後、会派の同僚議員が質問をいたします。
 私は、医療崩壊という定義はいろいろ難しいことがあると思いますけれども、その医療崩壊に至ったいろんな理由、原因というものがあると思います。そして、その一環として、やはり産科医及び小児科医の極端な不足ということが、今現実に出てきていると思います。
 ただ、墨東病院のことで一点だけ申し上げれば、先ほど田代委員が最後に触れられましたけれども、私はテレビを見ていて本当に涙が出そうになってまいりましたけれども、あの亡くなられた方のご主人が、だれを恨むわけではありません、墨東病院の先生方も一生懸命やってくれました、これからは、医師、病院、厚生労働省、そして東京都が協力をして、二度とこのような不幸な事件が起こらないようにと、記者会見で、顔は映っておりませんでしたけれども、本当に感動いたしました。後ほど少し触れますけれども、やはり患者の側のモチベーションというか、そういうこともこの医療問題を考えるときに本当に大切だということを、あの記者会見を聞いていて改めて思いました。
 質問の中には、必ずしも東京都の病院経営本部としての答えをいただくということが若干適さない部分もあるかもしれませんけれども、先ほど申しました、どうして産科医がこれだけ不足をしてしまったのか、あるいは医療崩壊という現場の実態が起こっているのかということを、皆さんと一緒に確認をできればと思っております。
 まず、この問題についてどうしても申し上げなければならないのは、福島県立大野病院産科医師逮捕のことであります。ご承知のとおり、この事件は今から四年ほど前、二〇〇四年の十二月に、当時大野病院に勤務をされておりました産科医が、罪状は業務上過失致死、それから医師法違反によって、逮捕、起訴されました。私は、少しどうなのかと思うのは、この妊婦さんが亡くなられて、実際に逮捕されたのは一年数カ月後だったわけですね。そして、そのまた翌月に、福島地検が福島地方裁判所に公判請求をいたしました。
 この大野病院のことについては、概略今申し上げたとおりで、詳しいことは割愛いたしますけれども、私は、この大野病院の産科医師逮捕の事件が、その後、全国の産科医だけではなくて、多くのドクターのモチベーションを著しく下げたと思っております。
 特にこのことで申し上げれば、二つほどあるんですけれども、この医師が警察に任意同行をかけられて、警察に行ったわけです。一般的にいえば任意同行というのは、任意同行を要請された人間と取り締まり当局と、この二者しかわからないわけですね。二者しかわからないにもかかわらず、任意同行される様子が、もちろん任意同行ですから手錠はかかっておりませんけれども、マスコミが全部映していたんですね。これはだれが漏らしたかわかりませんけれども、そういうことが行われた。
 もう一つは、私自身は、日本の警察の捜査能力の優秀性というのは十分に評価をいたしておりますけれども、この逮捕事件によって--当時、福島県警の富岡警察署という所轄が逮捕いたしました。その後ですけれども、この富岡警察署は、この逮捕事件に対して福島県警本部長賞をもらっているんですね。
 過去のことについて、今、私はこの場で福島県警の批判をするつもりはありませんけれども、そういったことが積み重なって、先ほど申しましたように産科医師不足の大きな、また後ほどちょっと申し上げますけれども、原因になっていると思わざるを得ません。
 幸いにしてこの産科医については、ことしの八月に福島地裁で無罪判決が出ました。福島地検も仙台高等裁判所に控訴はいたしませんでしたから、無罪が確定して、今この産科医は大野病院に戻って、一生懸命働いていらっしゃると思います。
 それらのことを受けて、判決結果について、先ほど申しましたように、なかなかお答えは難しい部分もあると思いますけれども、この福島の大野病院の事件及び最終的な無罪判決についてどのようにお考えか、所感があれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○都留サービス推進部長 ただいまお話がありました判決につきましては、裁判所が事実関係や医学上の知見をもとに下した結論であると認識いたしております。
 なお、社団法人日本産科婦人科学会におきましては、この判決についての声明の中で、このような重篤な疾患を扱う実地医療の困難さと、そのリスクに理解を示した妥当な判決であり、これにより、産科を初め多くの領域における昨今の萎縮医療の進行に歯どめのかかることが期待されると述べております。

○門脇委員 その辺が、大変失礼ないい方ですけれども、精いっぱいなお答えの範囲であると思います。私自身は、この無罪判決というのは極めて妥当なものだと考えております。
 いずれにしろ、この事件が医療界に与えた影響をとても危惧しておりますし、実際、この事件以降、一例を申し上げれば、私の友人の医師、ちょっと大学を申し上げるのはいかがなものかと思いますけれども、ある大学の医学部を出た、日本でも呼吸器系のドクターとしては大変優秀な方でありますけれども、この私の友人のドクターは、この事件を見て、ちょっと委員長、言葉は失礼ですけれども、もう臨床医なんかやっていられないということで、今、公衆衛生の方に移りましたけれども、私は、そういうドクターが、この事件だけではないんですけれども、たくさんいらっしゃるんではないかと思います。
 それから、先日、杉並の医師会の会長さんともお会いいたしましたけれども、この事件がやはり、私が申し上げたんですけれども、話題になって、まだ--まだといういい方もおかしいんですが、後で医療過誤のことについてちょっと申し上げますけれども、民事訴訟でしたらともかく、刑事事件になったと。こんなことが続いてはいけない。最近、警察も随分路線転換はしているようですけれども、こんなことが続けば、それこそ外科医はいつ業務上過失致死や医師法違反に問われるかわからないんですから、もう怖くてメスは震えて握れないということをいわれておりました。
 それから、マスコミを批判するつもりはありませんけれども、今でも、この医師の写真--きょう、皆さん自席にお戻りになったら、インターネットの検索で、この県立大野病院事件、画像というところをクリックしてください。逮捕された医師の顔写真がいっぱい出てきますよ。そういう状況も、繰り返しますけれども、病院経営本部の責任でも何でもありませんけれども、実態としてあるということはぜひご認識いただいておきたいと思います。
 次に、余りこれも言葉として適切ではないかもしれませんけれども、いわゆるモンスターペイシェントのことであります。
 最近、医療を受ける際、医師に対して過剰とも思えるぐらいの不当な要求をしたり、あるいは暴力的な言動をしたりする方がいて、これは特に大人というよりも小児科で、特に時間外とか夜間、休日等が多いんですけれども、そのときにお父さんやお母さんが--一般的に小児科に行くときには、時間外や休日であれば、両親が付き添うということは多いと思うんですけれども、こういう患者も、医師の労働意欲、働く意欲をそぐ原因になっているのではないかと思います。
 そこで、このモンスターペイシェントの問題というのは、私は--医療崩壊の要因というのはたくさんあります。きょうは触れませんけれども、マスコミの取り扱いの問題もあるでしょうし、女性ドクターの不足、不足というか、全体的な結婚、出産、そのほかにも幾つか後で触れますけれども、あると思いますけれども、こうした患者の実態について、都立病院としての状況をお伺いいたします。

○都留サービス推進部長 近年、患者さんの権利意識の高まりと健康に関する情報や知識が豊富になったことなどによりまして、病院の運営や診療に対する要望や提案、苦情などが寄せられております。患者さんの声を受けとめる窓口といたしまして、平成十五年度から各都立病院及び本部に患者の声相談窓口を設置し、患者さん、ご家族からの相談などに適切に対応しているところでございます。
 患者さんの中には、声を荒げたり、度を超えていると思われる要求を行い、診療への障害となったり、他の患者さんへの迷惑行為となるケースもございます。
 各病院では、こうした患者さんに対しましては医事科を中心に対応しておりますが、対応に困難を伴うケースもあると聞いております。

○門脇委員 わずかなケースでありましたけれども、都立病院においても、今申し上げたような事態というか、患者がいるということは承知いたしました。いろんな対策をとられているということですけれども、なお一層強化をしていただきたいと思います。
 都立病院においてはそういうことはないんでしょうけれども、民間の総合病院、法人の病院においては、既にもう行き着くところまで行ってしまって、緊急ブザーを医師のすぐ横に置いておいたり、私、最初、うそ--うそとはいいません、本当かなと思ったんですけれども、さすがに患者の見えるところには立っていませんけれども、ガードマンを配置していると。民間病院ですね。こういうところももう既に出てきているようであります。
 私、たまたま杉並区にある総合病院の地域医療支援病院の審議会これは、公社病院でも二つぐらい、今、地域医療支援病院に該当していると思うんですけれども、その委員を務めておりまして、その総合病院、区内では一番大きいところですけれども、院長さんが先日、急死されました。大変優秀なドクターであります。急に亡くなられた理由はわからないし、それを別に詮索するわけではないんですけれども、数カ月前にたまたまその審議会が終わった後、外で立ち話でしたけれども、その院長といろいろとお話をしました。そうしたら、やはりモンスターペイシェント、もうこれ以上申し上げませんけれども、余りにも最近はひど過ぎると。特に勤務医の場合、開業医もそうかもしれませんけれども、いろいろ医師に対しての批判というものはあるにいたしましても、私はやはりドクターというのは、高い理念と優秀な技術を持って患者さんに接していると思っているんですね、全部がすばらしいドクターとは思いませんけれども。それなのに、先ほど申しました小児科などで、後ろにお父さんがいて、ちょっと子どもの体に医師がさわったりすると、あなた、今うちの子どもにさわっただろう、何しているんだ、ということをいうようなお父さんもいるそうであります。
 また、これはよくいわれるところでありますけれども、夜間や休日に関しては、それは医者だって大変ですよね、入院病棟だって診なきゃいけないわけですから。それなのに、十五分、二十分待って、どうしても本当に救急の場合はERのようなところへ行かなきゃいけないんでしょうけれども、わずかな時間でも、一体何時間待たせるんだ、うちの子どもを殺す気かと。いってみれば教育現場のモンスターペアレントの病院版みたいなものでありますけれども、この答えは病院経営本部に求めるものではありません。
 じゃ、どうしたらいいかというのは、これは日本の社会がこれだけゆがんでしまったと。それについての理由はいろいろありますけれども、こういうことがいろんなところで起こっているというのは、私は大変残念なことであると思います。都立病院においては、いろいろな対策をとっていただきたいと思います。
 次に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、医療現場の問題として、私は、医療過誤についての民事訴訟を起こしてはいけないなどということは全く思いません。訴訟するというのは国民の権利でありますけれども、医療リスクの増大、ふえていくということがあると思います。こういった場合、病院側も、何らかの問題がある場合については誠実な対応をするのは当然であります。しかし、先ほどの田代委員のお話にもありましたように、医療も限界があり万能ではない以上、適切な医療行為を行ったにもかかわらず、まさしくこれが先ほどの福島県立大野病院の事案に該当しますけれども、必ずしも患者さんにとって満足のいかない結果になることもあると思います。
 そこで、先ほど申しましたけれども、患者さんの権利意識も高まっております。患者さんの権利意識が高まるというのは悪いことではないんですけれども、一部総合病院、大学病院等では、患者のことを患者様とお呼びしなさいと。これもちょっといかがなものかと思います。
 それから、今、総合病院、大学病院の正面入り口には必ずといっていいほど--それは、私はいいんですよ、悪いといっているわけじゃないんですけれども、患者の権利憲章。多分、都立病院にも公社病院にも掲げられていると思うんです。決して悪いとはいっていませんけれども、そういった権利意識の高まりということもあって、病院側が損害賠償を請求されたり、示談で終わるケースというのもたくさんあると思いますけれども、残念ながら、訴訟に持ち込まれるケースもあると聞いております。
 で、先ほどと同じ切り口なんですけれども、こうした訴訟に巻き込まれることも現場の医師の皆さんの意欲をそぐ原因、一因になっているのではないかと思いますけれども、このことについてお伺いいたします。

○都留サービス推進部長 病院経営本部におきましては、サービス推進部に医療紛争に関します専門の部署を設けておりますとともに、医療紛争に精通した弁護士と顧問契約をいたしております。損害賠償請求に伴う交渉相手が患者さんの場合には本部の専門部署が、また、相手が代理人弁護士の場合には顧問弁護士がそれぞれ対応することによりまして、早期の紛争解決に努めております。
 さらに、訴訟が提起された場合には、訴訟を進行していく上でのさまざまなアドバイスから当該医師の精神的なケアなどを顧問弁護士が行っております。
 こうした万全の取り組みによりまして、医師が診療に専念できる体制を構築いたしております。

○門脇委員 先ほど申しましたように、私は、患者あるいはその家族の権利として、医療行為に疑義があった場合に民事訴訟を行うということは当然のことであろうと思います。それについては全く異議を申し上げるものではありません。仮に損害賠償請求等があっても、一定のレベルで都立病院においてもドクターを守っていこうという姿勢がきちんとあるということについては、理解いたしました。こういったことがさらに進んでいけば、よりよい労働条件の中で、医師のモチベーションというのも余り下がることはないだろうと思います。
 これが最後の質問になります。
 冒頭申しましたように、医療崩壊ということがいわれて久しいわけですけれども、医療崩壊の原因については、今幾つか質問したことのほかにもありますけれども、私は、余り安易に医療崩壊、医療崩壊という言葉を使ってはいけないと思いますけれども、初期臨床研修制度というものが、これはたしか導入されたのが二〇〇四年ですから、もう四年間たちます。初期臨床研修制度は二年であります。二年間の中で、たしか地域保健も含めて七診療項目でしたかね、麻酔科を入れると八ですか、ちょっとはっきり覚えてないんですけれども、そういう診療項目について文字どおり研修をするということであります。
 これがすべての原因だと思いませんけれども、やっぱり医学部の卒業生が、医学部の卒業生というか国家試験を受かった人たちが条件のよい大病院に集中し、その意味では一極集中になると。またなかなか質問している側もつらいので、余り申し上げにくいんですけれども、都立病院は人気が高いといわれております。私は大学病院の方が人気が高いと思っていたんですけれども、どうしても大学病院だと、師弟関係の中で雑用が多いと。何をもって雑用かというのはよくわからないんですけれども。それから、勤務条件というか労働条件もきついということで、医局制度で申し上げますと、たしか二〇〇四年以前は、大学病院に残る方が大体七割ぐらいはいたと思いますけれども、現在では、この制度ができて半分以下になっていると思います。
 特に、先ほど、東京ということについて申し上げましたが、最初に臨床研修医として登録をする場合は、たしかコンピューターを使って、医師の側は病院に登録をして、病院の側も同じように登録をして、もちろん機械だけではありませんから、面接もいたします。いわゆるマッチングですね。ある新聞は相思相愛と書いてありました。その方がわかりやすいと思います。その中で、全国四十七都道府県の中でも、マッチング率は東京は断トツですね。九割を超えていると思います。その次が神奈川、福岡、沖縄。沖縄は、以前からの沖縄の地域医療のいい意味での特色があるから、これはわかるんですけれども、そのほかのところでは五〇%未満というところもあります。六〇%未満というようなところも大変多い。
 ですから、あえて申し上げれば、この初期臨床研修、プライマリーケアですね、このことについて東京の優位性、とりわけ総合病院である都立病院の優位性というものは確かにあると思います。そこまで経営本部が、あるいは我々東京都議会が心配をする必要はないのかもしれませんけれども、やはり結果として一極集中ということはできるだけ避けなければいけないということも、私たちの側にも意識としてありますので、矛盾を抱えているのは私たちもよく承知をしていることでありますが、全体の傾向として、初期、このプライマリーケア、二年の初期臨床研修を終了した、その後、まだ後期というのがもちろんありますけれども、その動向ということについてはどのような、これはちょっと数字を挙げていただければ一番わかりやすいと思います。
 それから、せっかく都立病院で二年間、初期臨床研修を学んでもらったわけですから、私の気持ちとしては、皆さん方も多分一緒だと思いますけれども、二年間終わった方は、東京医師アカデミーもありますけれども、できるだけ引き続き都立病院で働いてもらいたい。せっかく選んでもらったんだから、卒業して国家試験を受かって、そういう気持ちはお互い変わらないと思いますけれども、その意味でどのような対策を講じているのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 平成十六年度から義務化されました初期の臨床研修について実施しております都立病院は、広尾、大塚、駒込、豊島、墨東、府中、松沢の七病院でございまして、平成二十一年度の募集定員は合計で五十九名となっております。
 初期臨床研修修了者の動向につきましては、個々の病院によって異なりますが、都立病院総体で見た場合には、後期臨床研修医として残った割合は、平成十六年度採用者については三九・六%、十七年度採用者は三五・八%となっております。
 なお、病院経営本部では今年度より東京医師アカデミーを開講いたしましたけれども、十八年度に都立病院で採用した初期臨床研修医のうち、実に四六・三%の方がアカデミーのレジデントとして都立病院に残っております。
 こうした制度を通じまして、若手医師の確保、定着を図ることにより、都民に対して水準の高い医療サービスの安定的かつ継続的な提供に努めてまいります。

○門脇委員 そうですか。随分数字が、十八年度での東京医師アカデミーですけれども、四六・三%ということですから、五〇%にもう一息というところですから、ぜひこの東京医師アカデミーも十分に活用していきながら、少なくとも私たちは、病院経営本部と議会として質疑をしているわけですから、都立病院においては医療崩壊が起こることのないように努力をしてもらいたいと思います。
 同時に、少子高齢化ということがいわれている中で、高齢化の方はさておきましても、少子ということで考えると、若いご夫婦がなかなか子どもを産むことができない。もちろん経済的なこともあるし、なかなか保育園も入れないし、あるいは景気、経済もなかなか回復しない。いろんな理由があると思いますけれども、文字どおり少子という部分に対応する産科や小児科を中心とする診療科目が、医療崩壊という、この大きな中にあるわけですから、私は、個々のことはともかくとして、極めて重大にとらえなければならないと思います。
 最後に、先ほどから申し上げておりますとおり、都立病院や病院経営本部としての取り組みの範囲というのは限られていると思いますけれども、現場の医師や事務の方、あるいはナースの方も含めて、これから、東京から医療崩壊を解消していくんだという力強い思いを持って、病院経営本部として頑張っていただきたい、このことを最後に申し上げて、委員長、質問を終わります。

○野上委員 厚生委員会での初質疑となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、墨東病院の産科の救急問題について質問いたします。
 先月、江東区内の産婦人科の患者さんが、八つの医療機関に受け入れを申し込んだけれども、受け入れ可能な病院がなかなか見つからないで、最終的に墨東病院に搬送され、赤ちゃんは無事出産されたものの、残念ながらお母さんが脳出血という形で亡くなられるという悲しい事態が起きました。改めて、亡くなられた方及びご遺族の皆様に心より哀悼の意を表します。
 この件につきましては、さきの公営企業会計決算特別委員会第二分科会でも、我が党の中山議員から、都の周産期医療の現状等の質問がされたところであります。この周産期医療体制の問題は、東京都だけではなく国レベルの問題であり、かつ救急医療体制との連携の重要性もはっきりしてまいりました。
 都議会公明党は、この問題を極めて重要なことととらえまして、十月二十三日に周産期医療体制の強化を求める緊急申し入れを都知事に対して行ったところでございます。
 周産期医療体制の強化には、まず産科医師を初めとする医療スタッフの確保、これが一番大事であります。都立病院として、できることから緊急に対策を講じていくべきであると考えます。
 総合周産期母子医療センターとして重要な役割を担う墨東病院が、今回のように、常時二人以上の産科医がいるはずだったのに、当直医が一人しかいない深刻な産科医不足に陥っていたという今回の事態のその後なんですけれども、医師の当直体制は改善されたのでしょうか。

○及川経営企画部長 墨東病院におきましては、総合周産期母子医療センターとしての確実な体制というものを確保するため、当面十一月については、できる限り二名による当直体制をとっていきたいということといたしまして、具体的に申し上げますと、土曜日については、十一月ですが、五日間のうち四日間を二人体制といたしました。日曜日、祝日につきましては、七日間のうち三日間は全日二人体制とし、二日間は夜間当直のみ二人体制ということで組んでおります。
 また、今回の事案では、一人でレジデントが当直をしていたということを受けまして、十一月は、一人当直となった場合には必ず常勤医師が当直体制をとるという体制をとるなど、現時点ではございますけれども、とり得る最大限の緊急の措置を講じたところでございます。

○野上委員 限られた医師を何とかやりくりして緊急に体制を整えたことというのは、評価をいたします。しかし、現場の墨東病院のお医者さんにさらに負担を負わせるようなことになりはしないかと、医師が疲弊して、今ある体制すら維持できなくなるのではないかということが心配されます。
 今回の問題は、墨東病院だけではなくて、ハイリスクの分娩が増加している中で、東京都の周産期母子医療センターの機能が十分とはいえない状況が背景にあるということがいえるのではないかと思います。
 こうした状況の打開を検討するために、十一月五日に東京都周産期医療協議会が緊急に開催されたと聞いておりますが、報道によりますと、その協議会において、区東部の唯一の総合周産期母子医療センターである墨東病院を支援する策が話し合われたようでございますが、具体的な内容についてお聞きいたします。

○及川経営企画部長 今回の周産期医療協議会は、東京緊急対策Ⅱというものが先日発表されましたけれども、そこに盛り込まれました緊急対策の一環として開催されたものでございます。協議会には、リスクの高い妊産婦さんに対応する総合周産期医療センターの専門医等の二十人の著名な先生方が参加しております。
 協議会では、今回の墨東病院における母体搬送事案を契機に、東京の周産期医療体制をめぐるさまざまな問題が議論されております。中長期的課題といたしましては、情報システムの課題を含めまして、搬送体制に関する問題が提起されました。一方、直近の問題といたしまして、この十一月に墨東病院が努力してもなお一人当直とならざるを得ない日に限りまして、他の総合周産期母子医療センターで支える体制をとることといった内容が話し合われております。
 具体的には、杏林大学医学部付属病院の総合周産期母子医療センターを支援する多摩当番と同様の仕組みでございますが、墨東病院が一人当直の際にとりますいわゆる墨東当番というような体制を構築しますと同時に、墨東病院の一人当直の日には、墨東病院が多摩当番を担うこととなっている場合には、そのかわりを他の周産期センターが担うというような内容でございます。
 ちなみに、この十一月、過ぎましたけれども、八日、九日の土曜日と日曜日につきましても、墨東病院では一人当直になっていましたために、福祉保健局による調整を行った上で、バックアップ体制がとられたところでございます。

○野上委員 多摩当番の区東部版の体制の構築ということですね。墨東病院の産科当直医が一人になるときは、都内のほかの総合周産期母子医療センターの指定病院がかわりに搬送を受け入れる輪番制の導入を検討したということだと思います。
 最後のとりでである総合周産期母子医療センターを地域全体で支えていこうとすることは大変効果的なことであり、医療機関、妊婦さんの双方にとって望ましいといえるのではないでしょうか。体制の構築に関しては福祉保健局ということですけれども、病院経営本部も協力して、都として速やかに体制構築を図られることを要望しておきます。
 しかし、こうした体制を構築しても、それはあくまでも緊急避難的なものであり、産科周産期医療体制の確保という重要問題には、その背景に医師不足と産科医師離れという、都だけでは解決しがたい根本的な問題があります。産科医師の確保は依然厳しい状況であり、これまでも病院経営本部が、年収にして約三百万円ですかね、アップして、医師の処遇改善などに積極的に取り組んできたことは承知しておりますが、さらに医師の勤務環境の整備などの対策も必要であると考えます。
 そこで、都立病院の医師の緊急環境改善についての都の今までの取り組み及び今後の取り組みについて伺います。

○及川経営企画部長 産科医師の確保、定着策といたしまして、処遇改善のほかに、勤務環境の改善により医師の病院離れを抑制していくということは、極めて重要というふうに認識しております。その中でも、産科医に占める女性の割合が増加をいたしていますことから、女性医師が出産、育児を契機に離職しないための対策が必要でございます。
 このため、二十年七月より育児短時間勤務制度を導入し、二十年四月に墨東病院及び府中病院、そしてこの十月には大塚病院の院内保育室の二十四時間化を実施したところでございます。
 また、昨年度よりERへの医療クラークの配置を進め、医師の事務作業の負担軽減も図っているところでございます。
 今後につきましては、院内保育室を一層充実させるとともに、産科医師の過酷な勤務環境を改善するため、産科への医療クラークの配置なども行っていくこととしております。
 これらにつきましては、今回の東京緊急対策Ⅱに盛り込まれた施策としまして、必要な経費を補正予算として計上した上で、着実に事業を実施していきたいというふうに考えております。

○野上委員 現場の先生方はぎりぎりの状態でやってきたとか、本当に綱渡りだったとかという産科医師の言葉があったとお聞きしておりますが、そうした意味でも都立墨東病院は踏ん張って、踏ん張って、頑張ってやってきたのではないかというふうに思っております。
 都立墨東病院は、診療機能も幅広く、都区部医療圏の中心的な病院としてなくてはならない存在であります。こうした悲しい事態が二度と繰り返されないように、早急に総合周産期母子医療センターとしての機能を回復することを望みます。
 さらに、今回の事案では、周産期医療と救急医療との連携の重要性が改めて問われました。具体的に、今後この仕組みを変えていく必要があります。これはまた、今後の福祉保健局の質疑の方でもやっていきたいと思っております。
 妊産婦の救命の観点から、救命救急センターとの役割分担が重要であります。我が党の緊急申し入れでも言及しておりますが、病院経営本部としても、このハイリスク妊産婦への対応を強化するため、総合周産期母子医療センターとERとの連携強化について早急に検討を行うことを求めて、次の質問に入ります。
 次に、産科医療補償制度について伺います。
 死亡者を示す数字というのがあります。一万人、三万人、五万人ということでございますが、昔からよくいわれておりました。
 一万人というのは、交通事故で一年間に亡くなる人の数ですね。これはもう年々減ってきております。現在では大体六千人台ということで、シートベルトの着用とか飲酒運転に対する厳罰、それが功を奏しているのではないかと思います。
 三万人というのは何でしょうかって、クイズみたいになっちゃった。これは自殺者の数で、年々増加傾向にあります。特に中高年の男性が多く、この冬を乗り越えるには厳しい時代状況で、これはますます気をつけなくてはならない対策の一つです。油断ができません。
 最後五万人、これは、わかる人いらっしゃいますでしょうか。といって、クイズじゃないんですけれども、これは医療ミスで亡くなった人の数だということで、新聞報道等で私たちは知ることになるわけです。初期的な、薬の投与の量を間違えてしまったとか、患者を取り違えたということもありますけれども、また、この医療分野は専門性が高く、手術などは密室で実施されるので、素人には余りよくわかりません。最近は、手術している場面をモニターで観察できるような病院もありますけれども、まだまだ閉鎖されている領域といえるのではないかと思っております。
 医療の中でも訴訟に至るケースが多いのが、ほかの科に比べると、やっぱり産科というのは圧倒的に多いのではないかと思います。そうした訴訟リスクが多いということで、医学生が産科医を選択しない。このことも、医者そのものの数はふえているのに産科医が不足している原因の一つではないかと思われます。
 そうした中で、産科医療補償制度、いよいよ来年の一月から実施されます。産科医不足の改善あるいは産科医療提供体制の確保という重要な課題を解決するため、無過失補償という考え方を取り入れて検討が進められてきた制度であります。
 案ずるより産むがやすしという言葉がありますけれども、これは非常に大きな間違いで、お産は非常に危険を伴うものだと思っております。分娩により赤ちゃんに障害が発生した場合は、過失の有無の判断が困難な場合が多くて、裁判で争われる傾向があります。特に脳性麻痺の場合には、通常のお産であっても一定の件数で発生しているということで、先ほど田代委員の中にございましたが、千件に一件あるいは二件ぐらいの発生率ということでございます。
 このような状況のもとで、医事紛争のリスクが高いことが産科医師不足の理由の一つであるということで、我が党でも少子対策プロジェクトで、安心して子どもを産み育てられる社会を目指してという観点から、産科医不足を解消するためには、安心して産科医師として仕事ができるような環境づくりが大事だということで、医療事故にかかわる無過失補償制度とADR制度に関する検討ワーキングチームを立ち上げて、議論を重ねてきた経緯がございます。
 今回、産科医療補償制度が新たに創設されますが、まず、この制度創設の目的と経緯について改めて確認をいたします。

○都留サービス推進部長 この制度は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の赤ちゃんとそのご家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、原因分析を行って、再発防止に資する情報を提供することにより、紛争の防止、早期解決及び産科医療の質の向上を図ることを目的として創設されました。
 制度創設の経緯でございますが、平成十九年二月に、財団法人日本医療機能評価機構に産科医療補償制度運営組織準備委員会が設置され、平成十九年五月に、政府・与党の緊急医師確保対策に産科医療補償制度が盛り込まれました。その後、平成二十年一月に産科医療補償制度運営組織準備委員会報告書が公表され、本年七月から医療機関の加入登録が開始されたものでございます。

○野上委員 この産科医療補償制度は、患者さんの安心と安全を目指す重要な機能であるとともに、紛争防止の機能もある制度であります。産科医療の崩壊を一刻も早く阻止する観点から緊急に立ち上げた制度です。既に新聞等でもこの制度については取り上げられておりますが、この制度は仕組みが複雑でわかりにくいところもあります。
 そこでお聞きいたしますが、この制度の仕組みについてなんですが、産科医療補償制度の加入は、どの医療機関までが加入するのでしょうか。

○都留サービス推進部長 この制度は、財団法人日本医療機能評価機構が民間損害保険会社と契約する産科医療補償責任保険に、全国の分娩を取り扱う医療機関及び助産所が加入する仕組みとなっております。

○野上委員 この補償対象者は、どういう条件で入れるんでしょうか。

○都留サービス推進部長 補償対象者でございますが、基本的に出生体重二千グラム以上、かつ在胎週数三十三週以上、身体障害者等級一級、二級に相当する重度脳性麻痺のお子さんでございます。
 ただし、出生体重、在胎週数の基準を下回る場合でも、在胎週数二十八週以上のお子さんにつきましては、分娩に関連して発症した脳性麻痺に該当するか否かの観点から、個別に審査が行われます。
 また、先天的な要因等につきましては、補償の対象外になることがございます。
 平成二十一年一月一日の分娩から補償対象となります。

○野上委員 保険料は、一分娩当たり三万円の掛金を支払うことになっていますが、補償金としては、どういう形で、幾らぐらい支払われるのでしょうか。

○都留サービス推進部長 分娩取扱医療機関は、一分娩当たり三万円の掛金を支払いますけれども、運営組織であります機構が補償対象と認定いたしました場合、この掛金を原資に、看護、介護資金としての一時金が六百万円、分割金として年間百二十万円が二十回、合わせて三千万円が保険会社からそのお子さんに支払われます。

○野上委員 この制度の見直しについては、どうなっていますでしょうか。

○都留サービス推進部長 遅くとも五年後をめどに制度内容を検証し、適宜、必要な見直しが行われるとのことでございます。

○野上委員 全国の分娩を取り扱う医療機関が保険に加入し、ご家族に総額三千万円という補償金が支払われる制度であることがわかりました。
 ところで、掛金、保険料なんですけれども、加入した医療機関が、運営組織である財団法人日本医療機能評価機構に、一分娩につき三万円を支払うということになります。都立病院は年間約三千件余りの分娩取扱実績があると聞いているので、新たに年間約九千万円を掛金、保険料として負担することになります。
 この掛金相当分については、実質的には妊産婦の方の負担とならない仕組みとなっていると聞いておりますが、この掛金相当分はどのような仕組みで負担されていくのか説明してください。

○都留サービス推進部長 この掛金相当額は、分娩費用の一部として妊産婦から徴収されることになります。そのため、都におきましても、徴収のための規定を規則に定めてまいります。
 また、今後、国の政令が改正され、この制度が開始される平成二十一年一月一日から、妊産婦が受け取る出産育児一時金が掛金相当分の三万円増額されて、現行の三十五万円から三十八万円となります。
 したがって、妊産婦の実質的な負担は生じない仕組みとなっております。

○野上委員 実質的な負担が転嫁されないということは、出産を控えるお母様方にとってもありがたいことだと思います。すべての妊婦さんがこの制度の対象となるように、都立病院も含め全国の産科医療機関が加入し、妊産婦さんに周知を図っていくことが重要であります。
 その対象となった医療機関の制度への現在の加入状況及び都立病院の対応状況はどのようになっているのでしょうか。

○都留サービス推進部長 最新情報でございます、十一月四日時点における全国の分娩を取り扱う病院、診療所、助産所の加入率は九五・一%でございます。都内につきましては、十月二十四日のデータが最新でございますが、九二・七%の加入率でございます。
 都立病院では、分娩を取り扱う五つの病院が対象となりますが、すべて加入済みでございます。
 今後、都立病院といたしましては、妊産婦さんに十分に周知を図っていき、二十一年一月からの制度開始に向けた準備を進めてまいります。

○野上委員 都立病院の五病院すべてが加入していることを聞いて、安心いたしました。しっかりと妊産婦さんに周知し、今後必要な手続をきちんと進めていってもらいたいと思います。
 ところで、新聞報道などで、制度導入に当たってはまだまだ多くのさまざまな課題があるということですけれども、東京都が認識しているこの制度の課題というのは、どんなものがありますでしょうか。

○都留サービス推進部長 この制度に関しましての課題といたしましては、例えば保険の仕組みが複雑であることが挙げられます。出産育児一時金が増額されるため、妊産婦の負担は実質的にはございませんが、一時的には、分娩費用をこれまでよりも多く用意する必要が生じます。このため、先日の新聞報道にありました出産育児一時金の医療機関への直接支給制度の導入は、効果が大きいと考えております。
 また、分娩取扱医療機関への事務負担もかなりのものになると予想されます。
 さらに、新たな制度でございますため、妊産婦さんに対しましても十分な周知が必要であると考えております。

○野上委員 さきの後期高齢者医療制度、それもすごく事務負担が大変だったということがありますので、同じように事務負担に関しても、なかなか時間がないので、現場の作業というのは大変なものがあるのではないかと思っておりますが、少しでも混乱がなくなるように、東京都はどういうふうにされていくのでしょうか。

○都留サービス推進部長 都立病院といたしまして、共通の様式をつくりましたり、事務手順を共有化いたして進めてまいりたいと考えております。

○野上委員 まだまだ課題がありますが、例えば報道によりますと、医師の間には、補償制度があるということで、そうなってくると、例えば二億とか一億とか、そういう大きな訴訟で取れるということで、訴訟を誘発してしまうのではないかという現場の医師の懸念とか、先天的な脳性麻痺の方は補償対象外ということも課題になっております。
 しかしながら、産科医師の長年の悲願でもあった、安全・安心な出産環境を一刻も早く整備するということでは、本制度の創設は大変大きな意味があるのではないかと思っております。
 今後遅くとも五年以内に制度改正が行われるということをにらみまして、必要な見直しがあれば、妊産婦、産科医師双方にとって、さらによりよい制度となっていくようにしていく必要があると思います。都としても、この制度運用の状況をしっかりと見きわめ、よりよい制度となるよう建設的な意見を発信していくことを求め、質問を終わります。
 以上でございます。

○吉田委員 私からも、病院経営本部の事務事業質疑に当たりまして、公営企業会計決算特別委員会でも基本的な質疑はさせていただきましたけれども、都立墨東病院、総合周産期母子医療センターについて質問させていただきます。
 我が子の顔を見ることなく痛ましく亡くなられたお母さんに対して、またご遺族の方に対して、心から哀悼の意を表明したいと思います。
 今回の問題を通じて多くの皆さんが驚いたのは、都民にとって命綱ともいえる都立病院で、そして最後のとりでともいえる総合周産期母子医療センターで、直ちに重篤な妊婦を受け入れることができなかった、この現実であります。遺族となった夫からは、二度と我が子の顔を見られないお母さんをつくらないでほしいということが報道で伝えられておりますけれども、このような悲劇を繰り返さないという立場から質問させていただきます。
 まず第一に、経過と実態について何点かお伺いしたいと思います。
 既に議論はありますけれども、根本的な問題として、医師、とりわけ産科医不足の問題があることはいうまでもないと思います。同時に、システムや体制、ネットワークなどがどうであったか。単に今回の問題だけではなく、これまでどうであったのかということについて、何点かまず確かめておきたいと思います。
 その第一点ですけれども、私も今回の事件を通じて改めて驚かされましたけれども、最後のとりでである総合周産期センターにおいて、搬送要請に対して必ずしもこたえることができないという事態は、いわばまれではなく、少なからず存在していたという問題であります。公営企業会計決算特別委員会でも伺いましたけれども、細かな端数は結構ですけれども、都立墨東病院のセンターにおいて、昨年度と今年度にかけて、要請に対してどの程度こたえることができたのか、そして、こたえることができなかったケースはさまざまあるかもしれませんけれども、主にはどのような理由だったのか、そのことをまずご説明をお願いいたします。

○及川経営企画部長 墨東病院におけます搬送のデータというご質問でございますが、統計データとして、ネットワーク全体で今いろいろと所管の方でも整理していると思うんですが、墨東といたしましては、平成十九年度の実績でございますが、要請件数の半分を超える程度の要請については受け入れているというふうに把握しております。数字的には、今、分析というか精査をしておりますが、都内の総合周産期母子医療センターの中ではトップの受け入れ件数というふうに認識しております。
 また、断った理由といたしましては、大半はNICUのベッドの満床ということでございますが、このほかにも、他の患者さんへの対応中で診察ができなかったといったような理由もございます。

○吉田委員 次にお伺いしたいことは、NICUが満床あるいは手術中等の理由によって断らざるを得なかった場合の対応についてです。
 都の設置運営要綱では、総合周産期センターの場合には、みずからの受け入れもしくは何らかの対応により、これらの患者さんの受け入れ病床を確保することとするというふうに書かれています。すなわち、みずから受け入れられない場合は、受け入れ先について確保するのもセンターの役割だというふうに認識できると思います。
 そこで伺いますが、今回の場合、都立墨東病院は受け入れ先の確保はしていなかったというふうに新聞などでは伝えられております。その事実確認と、なぜ今回、受け入れ先の確保ができなかったのか。さらに、今回だけではなく、これまで--今のお話ですと、半数強は受け入れているということは、半数弱受け入れることができなかったわけですけれども、そうしたケースにおいては、相手先の確保は墨東として行われたのか、あるいは要請された医療機関が探すということになったのか。個々のケースはあるかと思いますが、全体的にはどうであったのかをお教えください。

○及川経営企画部長 まず、第一点目の事実経過の部分ですけれども、今回はシニアレジデントが一名の体制ということで、当初から地域の方に、一名の場合には受け入れが難しいというご案内をしておったところでございます。当日の相手先の診療所との関係では、まず受け入れ可能な病院を教えてほしいということで、お教えしたという事実がございます。
 また、なぜという話でございますが、総合周産期母子医療センターの役目といたしまして受け入れ先を探すという役割は、当然この医師も承知をしていたと思うんですけれども、委員がおっしゃったとおり、ケース・バイ・ケースであると。やはり総合周産期母子医療センターが探す場合と、今回も、可能な病院を教えてほしい、それは自分でやりますというようなケースもございまして、それは当然センターとして受け入れ先を見つけなければいけませんけれども、その中では、そのやりとりの中で、個別の対応で対応していたということでございます。
 相手先につきましては、事実関係として、当初はそういう関係で相手先の診療所の先生がお探しになったけれども、結局見つからないで、最終的にはまた墨東の方に依頼があって、そのときの状況では、大分患者さんのぐあいも悪いということで、オンコールで医師を呼んで、墨東病院で受け入れたという経緯でございます。

○吉田委員 もちろん個々のケースがあって、要請された側が、自分たちで探すから教えてほしいといわれれば、そういう対応をするということはあると思うんですが、基本的にはセンターが受け入れ先を確保するということが要綱で明記されているわけですね。
 私がなぜこのことを伺ったかといえば、それができないとしたら、なぜできなかったのか、そうしたことを今後のシステムやネットワークを構築する上で生かしていかなければならない、ということから質問をした次第であります。
 さらに、経過にかかわってお伺いいたしますけれども、六月末、そして七月一日に、産科医師体制が、土日、祝日については当直二人体制が困難であるということを文書で通知をしたわけです。しかも、そのことについては、福祉保健局、総合センターを所管するセンターに文書で通知をしたということを、前回の公営企業会計決算特別委員会で確認させていただきました。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、先ほど当番というお話がありましたけれども、そのように墨東病院が土日、祝日については受け入れが困難だということになったときに、じゃ、その際どのような対応をとるのかということについては、福祉保健局と何か協議があったんでしょうか。そういう場合の対応策などについては、あらかじめ取り決めがあったんでしょうか。お答えください。

○及川経営企画部長 福祉保健局との対応というご質問だと思うんですけれども、当然、福祉保健局に対しては、一人体制になるので地域にご協力を仰ぐと同時に、そういったセンターのバックアップも含めてというお話はしてございます。
 福祉保健局としましても、そのときには、引き続き墨東病院が総合周産期母子医療センターとしてその役割を果たしていくためにも、まずは医師確保にきちっと努めると。それから、例えば都立病院の中で何とか支援体制が組めないかといったような話も当然受けてございます。そういう意味では福祉保健局も、今回の墨東の一人体制ということについては十分認識をしていたということでございます。

○吉田委員 福祉保健局も認識をしていたということなんですけれども、もちろんこれは恒常的な問題ではなく、極めて臨時的な措置としてこのようなことをせざるを得なかったというのが実態だと思うんです。しかし、それにつけても、こうした本来のセンターの機能が発揮できない事態に対して、どのような対応をするのかということについて、福祉保健局も含めて、もっと対応策の検討があってよかったのではないかという印象を持ちます。
 さらに、先ほど、受け入れることができなかった場合の対応についてはケース・バイ・ケースであるというお話がありましたけれども、地元医師会などに示された六月末及び七月一日の文書を見ますと、次のようになっていますよね。受け入れ可能な医療機関名をお知らせしますので、依頼された先生に搬送先との交渉をお願いしますというふうに文書で書いてあるわけですよね。これはやはり、本来の総合センターとしての責任からすれば、こういうふうに固定的に、あなた方で依頼先と交渉してくださいというやり方は適切ではなかったのではないかということを改めて痛感していますが、これは私の意見として述べさせていただきます。
 次に、具体的な対策について何点か質問させていただきます。
 先ほど述べましたように、また議論があったように、医師、とりわけ産科医師の確保をどのように進めていくのかということが、今後の対策としては最重点の課題だと思います。同時に、それにとどまらず、今何点か質疑をしましたけれども、いかに体制やネットワークで必要な改善や対策をとるのか、あるいは地域との協力体制をどのように進めていくのかということも、あわせて具体的な改善策が求められていると思います。
 そうした意味から何点か質問させていただきますが、その前に、今の体制の中でいかに全力で事に当たるのかということで、本当に関係者の皆さんはご努力をされていると思うんですけれども、大変困難な中でも墨東病院の産科医師として残って頑張っている方々に、これまで以上の負担をかけるようなことがあってはならないと私は思うんですよね。一定の改善策が始まり、検討が始まっていますけれども、現在勤務されている医師に、これ以上の負担はかけてはならないというふうに私は思うんです。当然のことだと思いますが、その点、どのような対応をされているんでしょうか。

○及川経営企画部長 当然のこととして、委員おっしゃるように、これ以上の負担をかけて医師が現場から離れるという最悪の事態は避けたいというふうに考えておりまして、そのためにも、先ほどから申し上げているとおり、地域のお力をかりたり、一人の場合のバックアップ体制を強化したり、それから、都立病院でのいわゆる協力体制をさらに見直したり、さまざまな方法によって、今回の緊急の事態を乗り切っていきたいというふうに考えております。

○吉田委員 それで、地域の医療機関との協力体制のことについて質問させていただきます。
 まず、知事が先日、東京都医師会長ですか、に面会をして、医師不足への臨時的対応策として、地域医師会の方々に登録してもらって、都立病院、墨東病院での医療行為に参加していただくことが協議されたというふうに伝えられておりますが、改めてこれについて具体的にご説明していただきたいんです。

○及川経営企画部長 先ほど、委員からのお話にもありましたが、地域の方にはできるだけ協力をいただいて、地域と一体となって、この産科医不足の現状を乗り切っていきたいという思いもございます。
 具体的には、地域の中で、墨東病院で一緒に分娩に立ち会っていただいたり、治療行為に協力していただけるというドクターを登録させていただいて、必要な報酬とか、場合によれば、何らかの医療問題が起きたときのバックアップ体制とか、そういうものをこれから構築していくわけでございますが、さまざまな壁はございますけれども、地域の方へご協力をお願いするという上で、今後、緊急対策の中できちんと措置をしていきたいというふうに思っております。

○吉田委員 今後、こうした今ご説明のあったような登録体制を構築していくということです。
 なお、これは私の意見としていわせていただきますけれども、経過は承知しておりませんが、医師会長さんが都庁に来て、知事がお会いになったようですけれども、私は、知事が医師会なりに出向いてお話をされた方がよかったのではないかなという印象を持っております。
 今のことに関連してなんですけれども、今後の構築をしていくということですが、同時に、六月末及び七月一日に墨東病院が地域の医療機関に示した文書の中では、既に、搬送を受け入れる場合は、依頼先の先生に添乗していただいて、院内医師のみでは対応が困難な際は診療に協力していただきます、そうしたことがあります、ご了承くださいという旨の文書になっておりますが、これは、既にそうしたことが行われている、行われてきたというふうに認識してよろしいんでしょうか。

○及川経営企画部長 六月の末に出した文書の段階では、協力依頼はしております。例えば、母体搬送のときに一緒に乗ってこられた件数等々は現時点で把握してございませんけれども、このときは、要するに医師が不足しているときの緊急避難として、地域の方のご協力を仰ぐという形でのご依頼だったものですから、これをもう少しきちんと制度的にブラッシュアップして対処していこうというのが今回の措置ということでございます。

○吉田委員 いろんな体制の構築はあると思いますけれども、いうまでもないことかもしれませんが、その根底には、地元地域の医療機関との日常的な信頼関係といいますか、協力体制を築いていくということが大切なことだと思います。
 一部マスコミなどでも報道されておりますが、そのことの関連で、例えば墨田、江東、江戸川区の三医師会あるいは産科医の先生方から、ことし二月に墨東病院に対して、医師確保といいますか、体制確保の問題に絡んで要望書が出されているけれども、回答がされてないという旨の報道があります。この点について、病院経営本部及び墨東病院としてはどのような対応をしてきたんでしょうか。

○及川経営企画部長 地域の医師会からはご要望をいただいております。その内容はさまざま、個別の問題もございますが、基本的には医師の確保に対するご要望ということで、何とか医師を確保していただきたいというご要望でございました。
 この間、医師がすぐ確保できる状態であれば、当然それは一つの大きな回答でございますけれども、地域の医師会とは何度も病院の方で話し合いを持ちながら、医師確保のためのいろいろな方法とか当面の緊急の対応方法とかやってまいりました。そういう意味では、文書では出しておりませんけれども、その内容についての協議は重ねてきたということでございます。
 なお、文書については、抽象的な、努力しますというような文書は幾らでも出せますけれども、実質、医師確保についてのきちっとした対応がなかなか難しいということで、文書としては出していないということでございます。

○吉田委員 私は、文書をもって回答をという要望があれば、やはり文書をもって、きちんと誠意を持って回答された方がよかったのではないかという思いがいたします。
 地元の医師会の方からこの文書をいただきましたけれども、さまざまな点が指摘してあります。主力の先生方が東大から日本医大に変わった理由に、反省、改善すべき点があったのではないか、毎年減少している間に補充はなぜできなかったのかという問題提起をして、書面による回答を次回会議までにお願いしたいというものでありました。
 改めて、今後のことなんですけれども、今回の事態を受け、また知事と医師会長との協議も受けて、地元の医師会、医療機関などとはどのような話し合いが始まっているんでしょうか、あるいは話し合いを持とうとしているんでしょうか。

○及川経営企画部長 地元の医師会とは、今回の事案を受けて、都としても緊急の対策は打ち出しましたので、そういったことについてのご説明、あるいは今後ご協力いただくという意味でご依頼をする、また、その内容についてご理解いただくということで話し合いは続けております。

○吉田委員 したんですか。

○及川経営企画部長 しております。

○吉田委員 ぜひご努力をお願いしたいと思いますが、次に、搬送先の確保などにかかわって、ネットワークあるいはコーディネート体制について伺いたいと思います。
 他の総合周産期センターとの連携の強化ということが、今回の事態からの重要な教訓の一つだと思います。センターが受け入れ先確保に責任を持つことが改めて求められていると思いますし、今回の場合には、受け入れ可能という情報自身も、十分最新の情報が流れていなかったというふうなことなどについても、改善が求められていると思います。
 この点で、既に発表されている第二次補正予算の案として、助産師を新たにつけて、コーディネーター的役割を担っていただくということが明らかにされておりますけれども、これについて、具体的に何名程度、どのような役割として配置をするのか、ご説明をお願いいたします。

○及川経営企画部長 助産師等によるコーディネーターのお話ですが、まだその規模、方法等は、これから十分検討して、補正予算に向けて事業の内容を固めていきたいというふうに思っておりますが、現状では、他の医療機関からのハイリスクの患者さんの受け入れ要請を受けた段階で、医師の指示のもとに受け入れの可否を返答したり、搬送先を検索したりといった役割を想定しております。

○吉田委員 十一月五日の東京都周産期医療協議会に出された資料を読みますと、搬送調整という項目について四点が指摘されていますが、その第一点は、搬送元の医療機関で搬送先を探すのは負担が大きい、ぜひ搬送調整を専任で行うコーディネーターが必要である。二つ目に、センターが搬送先を探すのは、医師の過重負担になる。したがって、搬送調整を専任で行うコーディネーター的職員配置が不可欠であるということが示されております。助産師の配置は示されましたが、具体的にどうするかについては今後の検討ということですが、ぜひ実質的に真に機能し得るような体制をどうするのかということで検討していただきたいと思います。
 この点で、私は一つ注目すべき事例として、私も以前訪問いたしましたけれども、大阪府立母子保健総合医療センターのコーディネーターの役割について注目すべきだと思います。
 大阪では以前から、いわばボランティア的に、搬送先等を大阪府立母子保健医療センターが選んで案内をするということを行っていましたが、昨年の十一月から、府内四十三カ所の周産期緊急医療システム参加病院などから選任した九人の医師をローテーションで配置して、専門的に搬送先などを案内する役割を開始したと。
 これはセンターに聞いてみましたけれども、以前は当直医がボランティア的にやっていましたけれども、体制的にはそれは無理がある。しかも、奈良県での搬送中に死産するという事件を契機にして、やはりきちんとした体制をとることが必要だということ、かつ、どの病院がどのような症状のときには適切なのかということを判断するときには、ドクターとしての一定の経験がないとそうした判断ができない。どの病院にはどういう医療機能なり体制があるのか、あるいは、要請された患者の状態から見れば、どのようなことがあり得るのかということを判断する点では、やっぱりドクターだというのが大阪の府立母子保健総合医療センターが下した結論なんですよね。
 これは直接的に大阪府からの財政的な支援があるんですけれども、昨年の十一月から、九人の一定の経験ある医師をローテーションで配置するということが行われ始めたと聞いたわけですけれども、ぜひこうしたことについても参考事例として、もちろん助産師の役割を否定するわけではありませんけれども、検討していただきたいというふうに、これは要望としていわせていただきます。
 さらに、ネットワーク、コーディネートにかかわって、どのように伝えたか、どのように受けたのかということが、残念ながら今回議論になったわけです。先ほどの十一月五日の東京都周産期医療協議会では、搬送調整の三番目の問題として、認識を共有するためのファクスによる診断情報の共有、四つ目に、搬送調整や情報交換のための専用電話の設置が問題提起されたというふうにあります。
 先ほども紹介した、六月末及び七月一日に今回の墨東病院の体制に伴って出された文書に、母体搬送連絡事項というペーパーがあります。ここには非常に細かい数字的なものが書いてありますけれども、それにあわせて、そのときの患者さんの容体などもある程度、限られた時間ではありますけれども書いてもらって、その文書をもってお互いの認識を共有する、ファクスないしメール等で誤解などが起きないような改善策というものも、全体の取り組みであると同時に、ぜひ都立病院としても検討課題ではないかというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○及川経営企画部長 委員がご指摘の連絡事項のペーパーですが、いわゆるそこのバイタルサインも含めた医療情報を墨東でファクスで受けるということは、母体を受ける際には当然やっております。
 今回は、その母体を受ける前の状況、受け入れ前の情報をどういった形で共有化して、そごのないようにしようかということでございまして、先ほど来申し上げているとおり、いろいろなネットワークの中で、救急のネットワーク、それから周産期のネットワーク、さまざまな課題がございますので、そうした受け入れ前の情報の共有化あるいはネットワークの連携といった問題については、周産期医療協議会でも今後検討されるでしょうし、都立病院としても、ER等含めて、今後検討していきたいというふうに思っております。

○吉田委員 そうした情報の共有ということと関連して、公営企業会計決算特別委員会でも提案させていただきましたけれども、あわせて、当直医の方々がさまざまな複雑な事例をマニュアル化することは困難だというお話が以前ありましたけれども、一定の範囲内では、チェックシートで対応策などについてある程度妥当な判断ができるような工夫ということも必要だと思います。
 例えば、今回の脳内出血の問題ですけれども、新聞で読んだ記事ですが、国立循環器病センターの池田医師は、妊婦の脳血管障害百八十四人のうち三十九人が脳内出血であり、七人が死亡している、脳血管障害を念頭に置いた管理をする必要があるのではないかということを伝えておりますけれども、そうしたことも念頭に置いたチェックシートなどということも、ぜひ活用すべきではないかということを意見として申し上げさせていただきます。
 次に、改善策として、NICUについてなんですけれども、先ほど、墨東病院自身も、受け入れることが困難だった理由の大きな一つとして、NICUが満床だったということが挙げられました。これは他の総合医療センターの場合でも、また今回の他のセンターの場合でもそうでしたけれども、多くの受け入れることができない理由として、NICU満床ということがありました。
 この点は五日の東京都周産期医療協議会でも、NICUの稼働率が非常に高い状態にあり、NICU満床により母体搬送の受け入れができないことが報告され、また、NICUが満床になっている背景には長期入院児の問題もあり、重症心身障害児施設の整備も必要であるということが提起されました。
 したがって、これは東京都全体で解決していくことですけれども、都立病院自身も、このNICU不足に対して、今後さらに改善の努力ということを求めておきたいと思います。
 次に、医師確保対策について何点か質問し、意見を述べさせていただきます。
 最大の問題は、医師不足の問題にどのように対応していくのか、とりわけ産科医不足への対応だと思います。もちろん医師不足は東京都だけの問題ではなく、また今日の医師不足を招いた根本には、私は政府、国の責任というものを問わなければならないと思います。医師がふえれば医療費がふえるという認識に立って、大学医学部の定員まで閣議決定で抑えつけるということが行われてきました。
 その結果、人口当たりの医師の数は、OECD加盟三十カ国で日本は二十六位、下から四番目、先進国では最低クラスという事態をつくった責任というものは、あいまいにすることはできないと思います。同時に、東京都、都立病院における対策、対応はどうであったのかということも問わざるを得ないと思います。
 そこで、全般的なことではなくて、都立墨東病院にかかわってまずお伺いしたいんですけれども、都立墨東病院の場合、産科医の常勤医師の数、定数は九ですけれども、毎年のように医師が退職、減って、ことしの九月までは三名。九名に対して三名ですから、三分の一まで常勤医師が激減したという事態は、全国の医師不足という問題で解消できない固有の問題があるのではないかというふうに思います。
 しかも都立墨東病院は、先ほどから議論がありますけれども、最後のとりでとしての総合周産期センターと、二十四時間受け入れなければならないということが課せられている。しかも、東部地域では出産分娩件数が増大するという意味でも、その地域を担う都立墨東病院で、九名が三まで減ってきたということは極めて重大だと思うんです。もちろん補充された方もいらっしゃると思うんですが、この間、具体的に退職した方の数というのはどの程度、そして、個人のプライバシーを聞くわけじゃありませんが、退職の主な原因、理由というのはどういうものだったのか、差し支えない範囲でご答弁をお願いいたします。

○及川経営企画部長 墨東病院の医師の退職でございますが、十五年度以降十二名となっておりまして、これは退職者の延べ数です。
 退職理由につきましては、自己都合が一名、あとの十一名は大学医局のローテーションによるものということでございます。

○吉田委員 医局のローテーションということは、別に墨東病院だけではなくて、どこの都立病院であっても、あるいは他の医療機関であったとしても起き得ることなわけですよね。しかし、じゃ、どこでも同じようにローテーションということで--十二名のうち一名は自己都合ですが、十一名が医局のローテーションということになるのかどうかわかりませんが、そういうことであったとしても、退職されるということは、私としては、理由としては納得、理解ができないことだと思います。
 これはマスコミの報道によるものでありますけれども、墨東の周産期センターに勤務をしたことのある医師のコメントとして、センターの立ち上げのときに、東京都は、支援するからという約束で東大医局に人材派遣を要請し、私も赴任しました。ところが、スタッフの増員と当直料を含めた待遇改善を要求しても、全く受け入れられなかった。要求しても何もしてくれなかったという状態が続きましたということが報道されております。
 そうした意味では、一般的な産科医、医師不足対策だけではなく、墨東病院におけるこの間の対応がどうであったのかということについても、改めて教訓を酌み尽くして、改善すべきことは改善するということが求められていると思いますし、病院経営本部として、この一年、そしてことしにかけて、東京医師アカデミーだけではなくて、初任給調整手当あるいは異常分娩業務手当などの改善をされてきたことは承知をしております。
 そして、本会議などで前経営本部長が、医師離れに歯どめがかかり着実に効果があらわれているということを答弁されましたけれども、確かにそういう部分はあるでしょうけれども、私は、墨東病院のこの間の経過からすれば、まだ、歯どめがかかり着実に効果が上がっているというふうにいえる状況にはなってないと思います。やはり墨東病院固有の問題として、さらに改善の手だてなどが必要ではないかという思いがするんですけれども、この点はどうでしょうか。

○及川経営企画部長 医師の退職等々について、墨東病院固有の問題というご指摘でございますが、実は墨東病院だけでなく、この間、荏原病院も産科医師の総引き揚げにより産科がストップしておりますし、豊島病院も、最終的な医師の引き揚げにより一名になっていたところ、今回の処遇改善等の見直しによって、今現在は四名に回復してきたという現状にございまして、墨東病院だからというよりも、やはり基本は、先ほど来申し上げているとおり、全体の医師不足の中で、大学の都合もあるかもしれませんけれども、基本的には、医師不足により、墨東病院が、今なかなか医師が集まらないで努力を強いられているという状況だと考えております。

○吉田委員 産科、とりわけ周産期医療を担う現場の困難さというのがきっとあると思うんですよね。私は、そこを直視して、大いに改善し、今後、必要な医師体制が確保できるように努力をしていただきたいと思います。
 次に、医師確保にかかわって、都立病院全体についてお伺いしたいと思うんですけれども、改善の努力はされていることは私も承知をしております。また、給与だけがその改善策というふうにいえないことも事実だと思います。ただ、それにつけても、二年前まで、全国の都道府県立病院及び政令指定都市の自治体立病院の中で都立病院の医師の給与が最低だったということは、この間の経過として、私は、ここにも大きな理由があるのではないかというふうに思わざるを得ません。
 また、こういう事態が単に単年度ではなく、この間続いてきたのではないか、そういう事態がなぜもっと早く改善されなかったのかという思いがいたします。
 そこで、把握している限りで結構ですけれども、この間の都立病院医師給与の全国的な位置というものはどのように推移してきたのか。また、都内の大学病院など民間病院と比べてどうなのか。今、一定の改善が図られましたけれども、最新のデータで、全国的にはどのぐらいの位置に給与が改善されたのかということについて、ご答弁をお願いします。

○及川経営企画部長 都立病院の医師の給与のレベルというお話ですけれども、私どもが押さえておりますデータは、総務省が出しております地方公営企業年鑑というところの決算でございまして、全国の都道府県立の病院の中でどの程度の位置にあるかというデータでございます。
 私どもが把握している範囲では、平成十二年度に最下位、十三年度から十六年度までは下から二番目、十七年度、十八年度は最下位というところで、十八年度決算までしか出ておりません。十九年度からは、手当の増額を一部しております。そして二十年度からは、先ほど来申し上げているとおり、年間三百万円に近い医師の処遇改善をいたしておりますので、これを単純に十八年度決算に当てはめた場合に、他の道府県がどういうアップをしているかは把握しておりませんけれども、そうした場合には、平成二十年度の見直しによれば、大体中位程度にはなるという予想をしております。
 それと、民間の給与レベルでございますが、私どもの調査の中で、民間の給与ってなかなか詳細に把握することが難しい部分がございます。ただ今回、先ほど来申し上げているとおり、医師の処遇改善をする場合に、各大学病院等に行きましていろいろご意見も聞かせていただきました。その上で、この大幅な給与見直しをしております。そういう意味では、各大学病院とも、今回の東京都の処遇改善については一定の評価をしていただいているというところでございます。

○吉田委員 改善の努力はされておりますけれども、今のご説明だと、平成十二年から平成十八年の間は、全国の道府県立病院と比べて最下位ないしは下から二番目という事態が続けられてきたわけですよね。もちろん、それでも都立病院に集まった時期があったんでしょう。しかし、やはり今日の状況の中で、私は、こういう事態をもう少し早く打開できなかったのかと。かつ、改善されたとしても、まだ全国のレベルでいえば、これだけ物価その他の高い東京で中位という事態ですから、この点ではさらに適切な改善策というものを求めていきたいと思います。
 また、今回さまざまな資料を読む中で、例えば医師奨学金の中でも、県内の自治体病院に対して一定勤務した、とりわけ臨床研修医や専門研修医そのものに対する奨学資金貸付制度などというものを、例えば宮城県がやっているなどの例がありましたけれども、そうしたことも含めて、大いに改善をしていただきたいと思います。
 次に、医師確保にかかわって、先ほども議論がありましたけれども、もちろん給与だけではなくて、有能な医師の指導のもとで、いかに多様な症例が経験でき、医師としてキャリアアップが図られるかということも、確保、定着にとって極めて重要な要素だと思います。
 医師不足の中で、本当にぎりぎりまで働かされて、キャリアアップも図れないということが、いわば負のスパイラルのような形で続いているのではないかというふうに危惧いたします。給与などの処遇改善とともに、医師のキャリアアップが図られるという保障をどのように進めていくのかということも重要課題だと思いますが、この点では、どのように認識し、どのように対応されているんでしょうか。

○及川経営企画部長 私どもでは、キャリアアップということに関しては極めて力を入れております。当然、医師にとってキャリアアップは重要でございますので、その期待にこたえたいということで、さまざま取り組んでまいりました。
 例えば、学会への参加費やそれに伴う旅費を含む研究研修費につきましても、既に増額をしておりまして、東京医師アカデミーの指導員につきましても、学会専門医の資格取得費用や専門医に必要な学会年会費等の経費についても予算化をしております。
 具体的には、平成二十年度には、業務に応じて配分する研究研修費一億七千万円、旅費及び図書費など七千二百万円、臨床研究の経費五千五百万円、海外研修の経費一千三百五十万円のほか、処遇改善の一環としまして一億七千万円、指導医の研さん経費として六千八百万円などの研究研修費を計上しております。

○吉田委員 現実に即して一層の改善を図っていただきたいというふうに思います。
 次に、助産師の方々の有効活用の問題について述べておきたいと思います。
 地域の医療機関の中で分娩を取りやめる病院が多くふえる中で、周産期母子医療センターに正常分娩からハイリスクまで分娩が集中するということが、一つの問題点として指摘されております。かつ医師への負担を軽減するという点では、正常分娩についてはできる限り助産師の役割を大いに高めるという改善が一つの改善方法だと思いますし、最近発売された「週刊東洋経済」の特集号などでも深谷赤十字病院の事例が紹介され、厚生労働省も都の福祉保健局も、助産師外来、院内助産所の普及ということを強調されております。
 都立病院としては、この助産師外来、院内助産所の導入についてどのように考え、どのように取り組もうとしているんでしょうか。

○及川経営企画部長 都立病院は、現在のような医師不足の中で、限られた医療資源ではありますけれども、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供していくということが基本的役割でございます。
 そのためには、都立病院におきましてはリスクの高い分娩を中心に取り組むということがその役割でございまして、一部では、基本的にはリスクのある分娩でありながらも、その一環として正常分娩を取り扱ってきているところでございますが、助産師の活用という意味では、既にハイリスク及び正常分娩をやっている中でも助産婦さんに活躍していただいておりますので、現在のところ、院内助産所を設置していくという考えはございません。

○吉田委員 都立病院の場合にはリスクの高い分娩が重要な役割だという旨のお話がありましたけれども、しかし現実には、墨東病院においても正常分娩も含めて積極的に担ってきた。そして、今は新規を中止していますけれども、正常分娩も含めて通常の分娩受け入れは再開していくということは、これまでも努力の方向としては示されているわけですよね。もちろん、リスクが高い分娩と正常分娩とをどういうふうに見きわめるかというのは単純なことじゃなくて、それ自身も新たな努力も必要かと思いますが、現実的には、例えば公社となった荏原病院では、昨年六月から助産師外来、そして十月からは院内助産所というものが始められているわけですよね。
 また、全国ではそうした事例がより積極的に行われているわけです。したがって、そうしたことも含めて大いに研究して、リスクが高いことに特化するからやらないというのではなくて、正常分娩も含めて受け入れるし、そのためにも助産師さんの活用をするということは、今後の当然の解決策だというふうに思います。
 この墨東病院にかかわって最後の項目になりますけれども、私は、今回のことを通じて、都立病院の統廃合を再検討すべきだということを述べておきたいと思います。
 都立墨東病院は、従来あった都立産院などの廃止統合の経過があって、産院機能が集中してきたという経過があると思うんですが、まず、この点ご説明をお願いいたします。

○及川経営企画部長 まず、ご質問にありました築地産院につきましては、当時、敷地が狭く狭隘である上、建物の老朽化が著しいために、将来及び長期にわたって、都立病院の役割でございます高度専門機能を十分に果たしていくことは難しいといった判断のために、その役割を果たしていくためには、産科が総合病院の中に周産期センターとして位置づけられ、総合病院の診療基盤を最大限に活用することが望ましいと考えられたために、平成十一年六月に墨東病院に統合したものでございます。
 また、母子保健院につきましては、母体管理に必要なさまざまな診療科との連携が図れないといったこと、また、施設の老朽化が著しく敷地が狭隘であるといったことで、都立病院としての役割を果たしていくことは難しいと。また、当時、同一区内に国立成育医療センターが開設されたというような状況もございまして、周産期医療及び救急医療にもその成育医療センターが取り組むといったことなどを含めて、平成十四年十二月で廃止をしたものでございます。

○吉田委員 私、改めて、かつての都立産院等問題検討委員会報告を読ませていただきました。かつては築地産院もあり、そして世田谷には母子保健院もありました。五つの産院があったと思うんですけれども、それぞれ築地にしても母子にしても、年間千件を超える分娩を扱ってまいりました。ただ、それぞれ産科単独であったということを理由にして、総合診療基盤のあるセンター的な総合病院に再編強化すべきだという判断で廃止され、築地産院の場合には文字どおり墨東に集約される。
 しかし、そうやっていわば地域にあった都立の産院を担う施設が廃止されておきながら、その統合の対象となったセンターである墨東が機能しないという歴史的な経過をたどったということは、私は、改めて、そうした判断が適切であったのかどうかということが今問われなければならないと思います。
 しかも、単に分娩だけではなく、築地産院も母子保健院もNICUを持っていたわけですよね。そして高度な新生児医療を提供するという役割を担ってきたわけです。それを地域的に見れば削って、拠点に集中するというやり方をとった結果、今このような事態になったんだということを見ておく必要があると思うんです。
 また、当時は予想できなかったかもしれませんけれども、とりわけ今は民間の病院で分娩可能な医療機関というものが激減し、さらにはハイリスク出産が増加しているというときに、都立病院が都民の分娩の安心を担う役割というものはかつて以上に増しているのではないかというふうに思います。
 改めて確認したいんですけれども、墨東病院だけではなく、都立病院の分娩件数というものは急速に減っていると思うんですが、この間の推移というものをお示しください。

○及川経営企画部長 都立病院全体の分娩件数でございますが、平成十年度には六千五百七十五件ございました。その後、築地産院が十一年度に統合し、母子保健院が十五年度から実際には分娩を取り扱わなくなっています。そして荏原が公社に移管されております。
 そういったさまざまな要因もございますけれども、トータルで申し上げれば、平成十年度六千五百七十五件のものが平成十九年度は二千八百十六件となっております。

○吉田委員 個々の理由はあるかもしれませんが、結果的には、都立病院として分娩を担う件数は、十年間で六千五百七十五件から二千八百十六件、半分以下に激減しているという事態が都立病院の統廃合の中で進められてきたということも、私は見ておかざるを得ないと思います。
 こうした現実は、地域医療は民間で、都立は高度専門でという機械的な役割分担、あるいはまた地域医療からの撤退路線というものが正しかったのかということが改めて問われる事態だと思います。
 それだけに、今後のことを考えれば、豊島病院のNICU六床を大塚病院と墨東に三床ずつ振り分けるという計画が進められておりますし、さらに都立八王子小児、あるいは都立清瀬小児、そして都立梅ケ丘小児病院の廃止計画が進められておりますけれども、今日の事態に立ってこれは再検討すべきだということを改めて申し述べておきます。
 質問の最後に、小児医療にかかわって、チャイルドライフ・スペシャリスト、医療保育士の廃止の問題について若干質問させていただきます。
 これまでもこの問題については、かち副委員長を初め、我が党としては質問してまいりました。アメリカではチャイルドライフ・スペシャリスト、イギリスではホスピタルプレー・スペシャリスト、そして日本語としては最近では医療保育士という呼称が広がっています。若干のニュアンスの違いがあるかもしれませんが、単に院内での保育だけでなく、長期の入院や苦痛を伴う治療を受ける子どもが経験するストレスと不安を最大限に抑え、最良の成長と発達を保障するための専門的な職員を配置していくということだと思います。
 既にアメリカでは四百以上の小児病院などで活躍し、小児医療になくてはならない存在になっている。アメリカの活動を取材したルポが昨年、新聞に紹介されましたけれども、例えば手術前の子どもたちに人形を使って点滴や麻酔について説明したり、注射を嫌がって抵抗する子どもを見事になだめたりする、そして子どもの気持ちに寄り添いながら治療を進めることで、医者も子どもも楽になることがわかったということを、ルポを書いた方が新聞に書いておりました。
 都立病院でも、部分的、萌芽的には実践されると思うんですけれども、こういう専門職が今後重要になっていると私は思うんですけれども、そうした点についてはどのように認識されているんでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 チャイルドライフ・スペシャリストについてでございますが、我が国においても、このチャイルドライフ・スペシャリストを採用する病院が近年増加しているという状況については認識してございます。
 しかしながら、このチャイルドライフ・スペシャリストは、海外留学をして資格を取得しなければならないなど、日本においてはいまだに確立されていない資格であります。現時点において、職員として採用していく予定はございません。

○吉田委員 全国的にもこうした努力が広がっているということはお認めになりましたけれども、民間病院だけではなく、自治体立病院でも広がっています。しかも、先駆的だった大阪の府立母子保健総合医療センターでは、これまでは一名だったスペシャリストをさらに二名に増員して、対象病床を拡大する、心のケアを充実させるということで、高く評価をされているところです。
 先ほど、海外留学しなければならないということがありましたが、もちろん、今後どういうふうにするかということは今後の課題でありますけれども、既に民間団体によって自主的な研修と認定がスタートしているんじゃないんですか。それはご承知ありませんか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 チャイルドライフ・スペシャリストについての国内の動きについてでございますが、さまざまな情報収集をする中で、民間レベルにおいてチャイルドライフ・スペシャリストについてもさまざまな研究等が進んでいることについては認識しております。

○吉田委員 一般的な話じゃなくて、日本医療保育学会によって、医療保育士の養成と認定制度が昨年からスタートしているはずですよね。ですから、海外留学ということでなくたって、もちろんレベルによるさまざまな違いがあるかもしれませんけれども、そうしたことが既に行われているわけです。もちろん、一気に都立病院全体でということを私はいっているわけではありません。やはりモデル的、試行的なケースとして行うべきだと思うんです。
 都立病院の役割というものは、行政的医療あるいは高度専門ということがありますが、やはり先駆的な努力をすることによって、その到達点を、民間も含めて東京と全国に広げていくということが、都立病院がこの間果たしてきた役割だと私は思うんですよね。しかも、そのことが子どもの医療、子どもたちにとって最善の医療環境を提供することに結びつくならば、そういう保守的なことを繰り返すのではなくて、大いに積極的に努力をしていただきたいということを要望として申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○東野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時四十分休憩

   午後三時五十三分開議

○東野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○西崎委員 これまで周産期医療について議論がされてきましたけれども、私も決算委員会の質疑で、NICU満床の問題など指摘させていただきました。
 ハイリスクの分娩に伴い、呼吸器疾患を伴う新生児が出生数に対して一%はいるということで、単に施設をつくればいいということではありませんけれども、地域での医療連携を行いながら、その受け皿をつくっていくことも今後は求められていると思います。今すぐ解決できる問題ではありませんけれども、箱物だけつくっていくのではなく、システム全体の流れをNICUに関してつくっていくことも重要なことだと思いますので、この点についてもぜひフォローアップ体制をつくっていくことを要望しておきます。
 今回は、周産期の次のステージであります小児医療について何点か伺いたいと思います。
 安心して子どもを産み育てていける環境を整備するためには、二十四時間三百六十五日の小児医療体制が求められています。
 そこで、昨年の夏、生活者ネットワークの世田谷区議団とともに、滋賀県草津市にあります、二十四時間体制で行っている草津市小児救急医療センターを視察してまいりました。この小児救急医療センターは、民間の草津総合病院に併設されておりまして、滋賀医科大学の協力を得まして、平成十八年四月から開設されております。ここは、小児救急用の専門の入り口が設置された上に、施設は二百二十四平米ありまして、診察室以外に待合室、点滴室、処置室など整備されていて、環境が整っています。それでも、風邪やインフルエンザの流行時には部屋がいっぱいになるくらいの子どもの患者が救急車で運ばれてきまして、特に午後五時から九時に集中していまして、全体の四二%となっています。子どもの容体が急変することもありまして、ここでの看護師の判断や対応が重要になってくると話を聞いてきました。
 私の地元であります世田谷区では、共働き家庭の増加などもありまして、夜間における小児医療の需要が増加しています。世田谷区は、先ほど出ました都立の母子保健院の廃止に伴いまして、準夜間の初期救急の診療所を設置していますけれども、診療時間が限られているために、本来入院が必要な救急患者を受け入れるところであります国立成育センターにも、軽症な患者も行っているというふうに聞いています。
 コンビニ感覚での救急車の利用がマスコミなどでも大変問題にされていますけれども、利用者のモラルの問題はありますが、医療機関の側にも、本当に診療が必要な症状の重い患者が優先的に診療を受けられるシステムを構築する必要があると考えます。
 このような問題を解決するために、福祉保健局がことしの五月から、武蔵野赤十字病院と東邦大学医療センター大森病院で、緊急度に応じて治療の優先順位を判断する小児救急トリアージのモデル事業を開始したと伺っています。
 そこで、小児救急のトリアージについて、都立病院において現在どのように取り組んでいるのか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院におきます小児救急のトリアージについてでございますが、清瀬小児病院におきまして、平成二十年二月に一般内科を総合診療科といたしまして、まず平日の日中からトリアージの試行を開始いたしました。従来は救急の患者さんについては受け付け順で診察してきたところでございますが、このトリアージを導入してからは、トリアージ専用の部屋を設けまして、担当の看護師がそちらで、患者さんの状態を専用の問診票により、まず蘇生、次に緊急、そして準緊急、最後に非緊急の四段階に分類いたしまして、症状の重い患者さんから順番に診察するようにしたところでございます。
 その後、順次体制を整えまして、現在は平日の九時から十五時、土日、祝日につきましては十七時からゼロ時までの時間帯で試行を実施しているところでございます。

○西崎委員 清瀬小児病院でも試行を開始したということですけれども、一日も早いトリアージの本格的実施が求められています。
 今後、清瀬小児病院で試行を開始している小児救急のトリアージを拡大していく必要があると思うんですけれども、どのようなことが必要か伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 トリアージの本格実施に当たりましては、専門知識を持った看護師の養成、医師、看護師のチームワークなど、病院側の体制整備が必要でございます。また、患者さん側のご理解も必要でございまして、トリアージの試行に当たりましては、既に地域の医療機関への広報や院内掲示等によりまして、医療機関や患者さんに周知しているところでございます。
 トリアージの拡大に向けまして、このトリアージの趣旨をさらに徹底していく必要があるというふうに考えております。
 将来的には、清瀬小児病院が移転統合されます小児総合医療センターにおいても適切なトリアージを行いまして、小児救急医療の拠点病院としての医療が提供できるように、現在行っております試行の結果を踏まえて、さらに検討を重ねていきたいというふうに考えております。

○西崎委員 小児救急については最近は余り報道がありませんけれども、以前ですと、救急体制で、搬送先になかなか、たらい回しにされたというような事件もあったように記憶しておりますので、ぜひこういった新しい試行でありますトリアージ、都立病院が率先してトリアージの普及拡大に取り組んでいっていただきたいと思います。
 さて、世田谷区には小児精神の専門病院であります梅ケ丘病院があります。ここは、幼年期から青年期まで、幅広い年齢の子どもが通院や入院での治療を受けております。一日当たりの外来の受診者数は、ここ十年間増加しているそうです。その背景に考えられることは、ADHDなど、一昔前ですとちょっと変わっていると見過ごされていた子どもたちの存在が注目され始めたことが、受診者の伸びの一つの理由だと考えます。
 私も梅ケ丘病院を何年か前に視察しまして、院長の市川先生からじかにお話を聞く機会がありました。現在の子どもたちが、発達障害、児童虐待、いじめ、不登校、思春期ひきこもりなど、さまざまな心の問題を抱えておりまして、親や学校、地域での対応は難しく、適切な対応をとるためには、子どもたちがどのような状態なのか正確な理解が必要だと、市川先生はお話ししていました。
 このようなお話を伺いますと、小児精神医療にとっては、医学的な支援だけではなく、子どもの心の問題について、関係機関に対する専門支援、都民の普及啓発などに取り組むことも重要であると考えられます。
 そこで、梅ケ丘病院ではどのような地域の関係機関に対する専門支援などの取り組みを行っているのか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 梅ケ丘病院におきます地域に対する支援についてでございますが、平成二十年七月に、福祉保健局が実施しております子どもの心診療支援拠点病院事業の拠点病院に、この梅ケ丘病院が指定されたところでございます。
 この事業は、さまざまな子どもの心の問題等に対応するために、この拠点病院を中心としまして、地域の医療機関等と連携した支援体制を構築するものでございます。平成二十年度からの三カ年のモデル事業となっております。
 この事業に基づく具体的な取り組みといたしましては、まず本年八月に、保育士、幼稚園の教諭、小学校教諭向けに、子どもの心の診察をテーマとしました夏季セミナーを開催したところでございます。また十二月には、毎回五百人を超える規模の参加者がございます梅ケ丘セミナーを開催することとしております。さらに来年の二月には、今度は都民の方を対象とした都民向けシンポジウムの開催も予定しているところでございます。

○西崎委員 子どもの心診療支援拠点病院として率先的な取り組みを今後も期待したいと思います。
 梅ケ丘病院が世田谷区にあるということで、全国的にもすごく知られているんですけれども、そのためにわざわざ世田谷区に引っ越してきた家族もいるというふうに聞いています。梅ケ丘病院が移転後、その機能をぜひ世田谷区に残してほしいという要望もあります。今後については、今、世田谷区でもさまざまな検討をしていると聞いていますけれども、実現に当たっては都の支援を要望しておきます。
 この子どもの心診療支援拠点病院事業ですけれども、今お話がありましたように、三カ年のモデル事業ということであります。今のところ、梅ケ丘病院は平成二十二年三月に小児総合医療センターとして府中キャンパスに移転統合される予定です。この事業は、梅ケ丘病院が小児総合医療センターに移転統合されても継続されるのか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 平成二十二年三月にオープンします小児総合医療センターは、日本で唯一、心から体に至る小児医療を提供する病院でございまして、都における小児精神医療の拠点としての役割を果たしていくものでございます。そのため、小児総合医療センターは、単に医療の提供にとどまらず、関係機関との連携や支援体制の構築、専門的人材の育成、小児精神に関する研究など、さまざまな分野で拠点的な機能を担っていくこととなっております。
 子どもの心診療支援拠点病院事業、この事業が目的としております、地域の関係機関に対する専門支援や都民への普及啓発などにつきましても、小児精神の拠点病院として率先してその役割を担っていきたいというふうに考えております。

○西崎委員 この梅ケ丘病院と、さきにも触れられました清瀬小児病院、そして八王子小児病院が統合され、高度専門的医療を提供する小児専門病院に生まれ変わるとのことであります。小児総合医療センターは、心から体に至る高度専門医療を提供する病院になります。三つの病院の機能が一つになるわけですけれども、ハードの部分を統合すればできるというものではなくて、この三つの病院が、どこがそのイニシアチブをとっていくのか、今後の課題だと思いますけれども、ソフトの部分も充実させなければなりません。
 そこで、小児総合医療センターでは、心と体、両面からの医療を提供するに当たり、どのような仕組みで実施されるのか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 小児総合医療センターにおきます医療の仕組みについてでございますが、一般的な小児疾患の子どもさんに加えまして、成長期の子どもさんに特有な心の問題が原因で体の症状も呈する子どもを、小児総合医療センターに新たに設置する総合診療部で受け入れまして、心、体両面からの医療を提供するとともに、必要に応じまして、心、それから体、それぞれの専門診療部に振り分けていきたいというふうに考えております。
 これまでの病院では、心は心、体は体ということで、それぞれの分野の医師が診療を行ってきたものでございますが、この新しくできます総合診療部では、この二十年四月に開講いたしました東京医師アカデミーの育成制度を活用しまして、心と体の両方を診ることができる医師を育成いたしまして、医療レベルの向上を目指していきたいというふうに考えております。
 さらに、この総合診療部と、心と体それぞれの専門診療部が十分な連携を図れるように、医師、看護師を初めとした専門性の高い医療スタッフによるチーム医療を推進していきたいというふうに考えております。

○西崎委員 総合診療部を設置して対応していくということでしたけれども、専門医療だけではなく、総合的に一人の患者を診ていくということは大変重要なことだと思っています。
 子どもを取り巻く環境がここ数年変化していると思いますけれども、医療もそれに対応して、医療のあり方、高度医療、専門医療、求められるものも随分変わってきているのではないかと思います。
 開設まであと一年半を切った今、万全の体制で開設できるようにしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○野島委員 私の方から、小児総合医療センターの整備と、それに伴う清瀬小児病院移転後の北多摩北部地域の小児医療体制について、そして移転後の跡地について何点かお伺いしたいと思っております。
 先般、甲州街道を走っていまして、東八道路に入ったんですよ。正面にクレーンが林立しておりまして、多摩メディカル・キャンパスにできる小児総合医療センターの準備が着々と進んでいる、そんなことを実感いたしました。なお一層着実な準備を進めてもらいたい、こんなふうに思っております。いよいよ一年半を既に切っているわけですから、よろしくお願いしたいと思います。
 一方、この小児総合医療センターは、清瀬小児、八王子小児、そして梅ケ丘という三つの小児病院が移転統合するわけでございますので、現在病院がある地域では、移転後の地域の小児医療体制はどうなるか、こういう不安が当然あるはずでございます。私も耳にしております。特に清瀬小児の果たしてきた役割といいましょうか、存在が大きかっただけに、それはなおさら、こういうことでございます。高度で専門的な医療については府中の小児総合医療センターで担う、こういうことでありますし、一方、初期の患者への対応、一般の入院医療への対応については、小児病院移転後の地域においてもしっかりと対応できるんだ、こういう体制を構築していってもらわなければ困るわけでございます。
 そのため、清瀬小児病院が移転する北多摩北部地域においては、地域の小児医療体制確保に向けて、東京都、当該地元自治体、そして地元の医師会の皆さんが協議を積み重ねまして、何とかその結果を取りまとめ、それが今日まで徐々に実施されてきている、こういうふうに認識しています。
 そこでまず、初期の患者さんについては地元四市--二次医療圏というのは五市あるんですが、これは四市なんですね。四市と五医師会の協力を得て、小児救急平日夜間診療事業を段階的に拡充してきているというふうに理解をしております。
 次に、入院などの二次医療については、平成十七年四月の公社化と同時に設置された多摩北部医療センターの小児科を、清瀬小児病院の移転一年前、ということは来年の三月ということになりますかな、単独で地域の小児医療に対応できる体制にする、こういうことであったと思っております。
 先ほど申し上げましたけれども、清瀬小児病院が果たしてきた役割の大きさを考えますと、これの移転を前提とした検討の取りまとめを出したことは、所在地である清瀬市はもちろんでありますけれども、実は、近隣市の市議会も移転反対という決議を出したこともあります。また、私は東久留米なんですが、東久留米の医師会も移転反対ということで、お医者さんに行きますと、受付に清瀬小児病院移転反対というのがあったという時期もございまして、それぞれの関係者が苦渋の決断だったというふうに私は受けとめております。だからこそ、確認された充実策を着実に実行していっていただくことが極めて重要だということであります。
 これらの充実策については、私、厚生委員会はことしで四年目なんですが、事務事業、大体定点観測的に質疑をしてまいりましたけれども、おさらいの意味も含めまして、来年この場にいるかどうか私自身もわからないものですから、今日までの到達点につきまして、それから今後の方向、こんなことで確認しておきたいというふうに思ってございます。
 そこでまず、今までと重複するかもしれませんが、この地域の四市五医師会が実施している初期救急事業について、これまでどのような取り組みが行われ、今後どのような方向を目指すのか、こんなところを冒頭お伺いしておきたいと思います。

○及川経営企画部長 現在、北多摩北部圏域で実施しております小児初期救急平日夜間診療事業は、地域の四市が五医師会の協力を得て実施しているところでございますが、これは圏域内の医師会が呼びかけをしていただきまして、各市や地域の医療関係者と協力して、その体制を発足させたものでございます。平成十七年六月から、多摩北部医療センターにおきまして週二日で開始しておるところでございます。
 その後、実施日の拡大、また新たな拠点整備については、事業に参加する医師をいかに確保するかというような課題がございましたけれども、これにつきましても各市と東京都が地元医師会と連携をとりながら、登録医師確保に向けた検討を進めました結果、現在では、多摩北部医療センターに加えまして佐々総合病院でも事業実施が可能になり、現在それぞれ週三日ずつ実施しておるところでございます。
 今後につきましては、多摩北部医療センターと佐々総合病院での週五日ずつの実施を目指しまして、引き続き医師会の協力も得ながら検討を進めてまいります。

○野島委員 初期救急事業については徐々に拡充してきているということで、大変心強く思っておりますし、開業医の皆さんも、昼間忙しい、そういう中でローテーションを組みながら、こういう体制で地域の小児医療を守っていこう、こういう努力をいただいているわけで、この場をおかりいたしまして、医師会の皆さんにも敬意を表しておきたいというふうに思っております。
 しかし、移転までの間に双方の実施拠点で週五日実施していくという目標実現のためには、当然のことながらマンパワーの確保ということが重要でありますし、現下の小児科医の不足、こういう中では、地域が努力していかなきゃいけないということは当然のこととして、都の持つ力をしてぜひ引き続きご支援もお願いしておきたいと思っています。
 今ほど答弁を伺いまして、清瀬小児病院移転後に、北多摩北部地域における小児二次医療の中核的役割を、今度は多摩北部医療センターにおいて小児科を充実させていくということで果たしていただけるということでありますので、その辺の充実ぐあいというのは極めて重要なことでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、全国的に小児科医の確保が厳しい、こういうふうにいわれている中で、清瀬小児が移転される平成二十一年度末までに既に一年半を切っているわけでございますから、さっき吉田委員が、現下の状況に照らして清瀬小児病院の廃院については再検討すべき、こういう意見表明もされておりましたけれども、それが可能であれば何も苦労することはないので、全体の枠組みの中でそういうことは不可能なことであります。ただいっているだけでは地域の希望にこたえられない、要望に対処できない、こういうことでありますので、私の方は、それでは、多摩北部医療センター小児科の体制の充実について今後どのように取り組んでいかれるのか、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○及川経営企画部長 多摩北部医療センターの小児科の体制を充実させていくということが、清瀬小児病院の移転に向けまして極めて重要なことであるということは、副委員長のご指摘のとおりでございます。このため、多摩北部医療センターの小児科の充実につきましては、平成十七年四月の小児科設置以来、小児科医師の確保や小児病棟設置等の体制整備を行いますとともに、小児二次救急の開始や、清瀬小児病院からの応援医師による専門外来の充実等に取り組んでまいりました。
 ご指摘のとおり、清瀬小児病院の移転まで一年半を切った現在、今後さらなる小児医療体制の充実を図ることとしております。
 まず、医師につきましては、新たな常勤医師を多摩北部医療センターで採用しますとともに、清瀬小児病院からチームで医師を派遣いたしまして、病棟の当直体制を組むために必要な人員を確保してまいります。
 また、小児病棟につきましても、今年度中に改修工事を行いまして、感染病室や重症病室の設置など、小児病棟としての充実を図りますとともに、病床数も現在の十三床から三十五床まで拡大していく予定でございます。

○野島委員 多摩北部医療センターの小児救急患者数は、私、具体的な数字を今持っていないのでありますけれども、平成十七年度の小児科開設時と比較いたしまして、平成十八年度、十九年度と増加を続け、平成二十年度も引き続き増加の傾向にあるやに伺っております。多摩北部医療センターの小児救急が地域に着実に定着しているように感じられるわけでありますけれども、地域住民の安心のためにも、なお一層多摩北部医療センター小児科の充実に向けての取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。
 そこで、清瀬小児の持っている医療機能のうち、高度専門医療は府中の小児総合医療センターに移ることになっているわけでございます。移転事務に当たっては、病院現場や地域の自治体との十分な意思の疎通や協力体制、これが不可欠であります。
 また、小児総合医療センターが、開設後に多摩地域の小児医療の拠点としてその役割を果たしていくためには、多摩北部医療センターを初めとする地域の医療機関との連携が極めて重要だろうというふうに思っております。
 そこで、小児総合医療センターの開設準備の体制と、センター開設後の多摩北部医療センターとの連携についてお伺いいたします。

○及川経営企画部長 小児総合医療センターは、平成二十二年三月に開設を予定しております。開設時に、診療機能を可能な限り早く、しかも安全に稼働させるためには、地元自治体の協力を得ながら、現在清瀬小児病院で実施しております二次救急の多摩北部医療センターへの移行など、移転準備を慎重に進めていく必要がございます。
 小児総合医療センターと多摩北部医療センターとの連携につきましては、引き続き、医師の人事交流等を通じまして地域の要望に応じた専門外来の拡充に努めますとともに、研修体制の充実などを図ってまいります。
 なお、医療現場との十分な意思疎通が必要であるといったことから、本年十一月一日付で小児総合医療センター開設準備に携わる副参事を一名ふやした上で、清瀬小児、八王子小児、梅ケ丘病院との兼務発令を行うことで、本部と病院が一体となった開設準備体制のさらなる強化を図ったところでございます。

○野島委員 ありがとうございました。
 さっきもいいましたように、全国的に小児科医が不足している中で、地域の小児医療体制を構築するには、それぞれの医療機関の役割分担と連携の強化、そのことによって重層的な医療体制を整備していくことが一番必要だろうというふうに思っております。開設準備に当たっても、また開設後の運営に当たっても、初期、二次、三次という小児医療において、明確な役割分担に基づく地域の連携ということが重要なことでありますので、ぜひ東京都が広域自治体としてしっかりとこれらに取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げておきたいと思います。この問題はここで終わります。
 次に、清瀬小児病院移転後の跡地についてお伺いいたしたいと思います。
 実は、この跡地をどうするかということについては、今まで私、この委員会でも再三意見、要望は申し上げてきたんです。答弁は一回ももらっていないんです。それはなぜかといいますと、まだまだ先の話ということと、現にそこで病院をやっておって、その先、工事も始まっていないのに、絵そらごとや夢物語をいってもしようがないし、病院経営本部も答えようがないだろう、こんなところと、いろいろ私なりに考えてみますと、この問題はどうも病院経営本部マターだけで解決できる問題じゃないんじゃないかというようなこともございまして、いつも意見、要望だけで終わっていたんです。
 そこで、さっき申し上げましたように、残り一年四カ月ということになりまして、向こうのクレーンもしっかり稼働しておりますので、この際、今後の取り組みについてお伺いしておきたいということでございます。
 そこでまず、この清瀬小児病院の跡地に関する基本的な考え方ということについてお伺いしたいと思います。

○及川経営企画部長 私ども、公営企業会計として経理を行っている病院会計にとりましては、清瀬小児病院の跡地は都立病院経営にとって貴重な資産というふうに考えております。跡地の活用に当たりましては、この貴重な資産を病院経営に最大限利用していくとともに、地元清瀬市のお話も伺うなど、十分な情報収集を行いながら検討していくことが重要であるというふうに認識しております。

○野島委員 私のつたない知識ですと、一般会計が所管していますよということですと、ほかの局で行政財産として今までここを使っていたのを、こういう行政目的のために所管替えをするというケース、あるいは、いやいや、もう使わないんだ、別に東京都が行政財産として持っている必要はないよということになれば、行政財産を外して普通財産にして、売却するのか、貸すのか、さまざまな方法があるやに伺っておるんですが、この点、公営企業会計でもあります病院会計が跡地の有効利用について検討するといっても、何かこの辺のいろいろな制約があるような気がするんです。検討の幅がどうしても--さっき、病院経営に最大限利用していく、こういう答弁ももらっております。都の行政に最大限とはいっていないんですよね。それが行政財産と企業会計の病院経営本部のところの違いかなというふうに、答弁を聞いていて思ったんですが、そんなところ、事業終了した跡地の取り扱いについて、公営企業会計と一般会計、どういった違いがあるのか、確認の意味でお伺いしておきたいと思います。

○及川経営企画部長 副委員長ご指摘のとおり、公営企業会計は企業としての経済性の発揮も求められておりまして、提供いたしますサービスに対して適切な料金で対応できるよう経営努力をしていかなければなりません。
 病院の場合は、水道料金などと違いまして、収入として診療報酬を得ているという点がございますけれども、都民に必要なサービスを提供するための企業努力を求められることには変わりがないというふうに考えております。
 したがいまして、病院会計で跡地の取り扱いを検討する場合は、まずは都立病院の運営、経営に資することを最優先に考える必要がございます。
 一方、一般会計はさまざまな施策分野が一つの会計に入っております。このため、一般会計として跡地の有効活用を考える場合には、行政財産として、福祉、医療分野にとどまらず、教育や環境、都市整備といった異なる施策分野への活用も考えることになります。また、普通財産に切りかえて民間の活用も模索するなど、会計の中で、さまざまな活用の仕方について幅広く検討することが可能であるというふうに考えております。

○野島委員 そういういろいろな枠組みの中での処理の仕方、あるいは考え方というところを今伺いました。
 先ほどの答弁も含めまして、今の都立病院の運営、経営に資すること--あそこに、共産党さんがいうように再び都立病院を存続させようということはないだろうと思っていますから、そういう意味では、経営に資することというようなことを考えますと、私がそちらの立場だったら、いろいろあるけれども、病院の再編整備もしている、これも莫大な金がかかる、どうでもいいから銭だけ欲しいという失礼な言葉になっちゃいますけれども、それも当然、経営体としてやっていくには、民間なら、そこに病院があって、新しいところを求めて、そこを機能を上げながら経営していくためには、こっちの土地をどうしますかといったら、それは売りますよね、普通。だから、そんなことを考えますと、これは私の邪推ですから--本当のところは、売却をして経営に資していかれればいいだろう。売却というのは何も第三者じゃなくたって、一般会計に売却したっていいわけです。そういう点も含めて、そんな邪推も、あくまでも邪推ですよ、成り立つのかなと思っております。
 健全な病院経営に努力していくためには、なおかつ都民の負担軽減にしていかなきゃいけないという立場に立てば、そういうこともまた最有効利用、選択肢の一つとしてあるというのはむしろ当然であるというふうに思っております。
 ただ一方で、病院会計だ、一般会計だといったって、都民の目からは関係ないわけです、内々の銭金のやりとりの話ですから。あそこの土地は、今までも申し上げましたけれども、四万八千平方メートルという莫大な土地なんですね。これは地元にとっても、まちづくりの上で貴重な位置づけをしていきたいということでありますし、一方、都民全体にとっても貴重な財産であることはいうをまたないわけであります。特に清瀬市は緑の保全というところに力を入れているとともに、あそこは病院のまちということで、すごく医療機関が多いんですよ。それから日本社会事業大学、これは大学の中で唯一厚労省の所管なんですね。こういった医療、福祉従事者の教育施設もあることから、緑のまちづくりということと医療、福祉のまちづくり、こんなことで取り組んでいるんです。
 特に緑については、清瀬のみならず、私は隣の東久留米なんですが、東京都の緑地保全地域の指定があったり、全生園があったり、点じゃなくて面的にかなり確保できる、そういうところなんですね。
 あそこは、医療圏でいいますと二次医療圏なんですが、ほぼそれとイコールで北多摩北部広域行政圏というのを持っているんですね。地域の課題に広域的にどう取り組んでいくか。ここでも緑の問題というのは大変大きなテーマでございまして、ことしは、平成二十年度多摩六都緑の実態調査研究というのをやっているんですね。こういったところから、圏域としての緑をどう守っていくんだ、こういう研究もしているわけでございます。
 一方、福祉のまちづくりということですと、これもまたいろいろな取り組みをしております。
 そこで、私も、前段の緑の問題については、ことしの第一回定例会の締めくくり総括質疑で提案だけしました。これは答弁は返ってきてないです。緑の保全になりますと環境局になりますから、病院経営本部が今一生懸命病院経営やっているのに、恐らく環境局として、わかりました、じゃ、そうしますという答えなんか出るわけないので、それは要望だけにいたしました。
 それから、福祉のまちづくり関係で、きょうは細かく申し上げませんが、実は高齢者の大規模デイサービスというのがあるんですね。これは、実は私もほかへ行って見てきたんですよ。これは介護保険の適用事業所にあるんですが、これからの高齢社会でこういう事業というのは極めて有用だということで、質問をいたしました。これについては答弁をいただいています。ここは細かく申し上げません。
 そういう経過もあって、ぜひそういった清瀬市の意向もさることながら、圏域としてのあり方、あるいは先進的な大規模デイサービスなんて、これから東京の高齢者福祉にとって極めて有用だと、パイロットランとしてそこでやってもおかしくないぐらいの事業だと僕は思っているんですよ。そんなことも提案をしておりますことを申し添えておきます、ここまではね。
 それで、今までるるお話ししましたけれども、病院会計の企業としての性質上、この課題を病院経営本部だけで検討していくことは限界があるというふうに、私は今、質疑の中で散りばめたと思っているんです。
 そこで、こういった要請にこたえていくためには、病院経営本部のみならず、医療、福祉行政という点では福祉保健局、それから財産運用という面では財務がかかわってくるだろうと思っております。それから市町村への支援という意味では総務局行政部、こういったふうなところだろうと思うんですね。それから、仮にあそこの土地をしかるべく都市計画を変えなきゃいけない、その利用をするためには都市計画を変えていかなきゃいけないとするならば、これは都市整備局もかかわってくるわけですね。どことどこの局とはいいませんけれども、そういう関係局が知恵を出し合いながらやっていきませんと、この問題は成就しないだろう。問題というとおかしいですな。課題は成就しないだろう、こんなふうに思っているんです。
 そこで、清瀬小児病院の跡地について関係局と検討の場を設置することについて、所見をお伺いしておきたいと思います。

○及川経営企画部長 清瀬小児病院の跡地につきましては、これまでも、資産としての会計に寄与する活用だけではなく、地域に配慮した活用策の検討が必要であるといった認識から、まず医療、福祉の分野について、地域の実情や事業の仕組み等につきましてどのような可能性があるか情報収集するために、まずは福祉保健局とも相談をし、検討を始めております。
 今後につきましては、副委員長のご指摘も踏まえまして、さまざまな分野における可能性を検討するために、福祉保健局のみならず、広く関係局の参加も得まして、清瀬小児病院跡地利用検討のための場を設置していきたいというふうに考えております。

○野島委員 前向きな答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。
 この二つの問題というのは、私ども地域に住むといいましょうか、都民にとって、あるいは近隣市の市民にとって極めて重要な課題であります。
 前段は、ぜひ地域小児医療の充実に向けて、それぞれの医療機関が役割分担を果たしつつ連携していく、その取りまとめを着実に実行してきた、これからも実行していくんだという強いメッセージ性を発揮していただきたいというふうに思うんです。それがありませんと、何だよ、そっちはいいかげんにしておいて、この跡地利用だけで夢を追わせるのかという話になりますと、先ほどの吉田委員が、清瀬小児を再検討ということをいっていましたけど、恐らくまた来年、都議選がありますと、共産党の候補者はそれを持ち出してくるでしょうから、立場の違う私としては、ぜひそういう二つの側面で強いメッセージ性を病院経営本部を中心に発揮していただいて、都民の小児医療に関する行政と地域、何も清瀬市のみじゃないです、その周辺も含めて、市民の、都民の要望をしっかり受けとめた施策の展開に向けてご努力いただくことを強く要望して、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○松下委員 妊娠九カ月で体調異変を起こした妊婦さんが、搬送先が決まるまで、総合周産期母子医療センターに指定されている病院を含む八つの病院から搬送を断られ、最終的に都立墨東病院で、帝王切開手術による出産後に脳出血でお亡くなりになられてしまうという、大変悲しい事態が起きてしまいました。お亡くなりになられた方のご冥福と、誕生した新たな命の健やかな成長を心からお祈りするとともに、このようなことが二度と起こることがないように、徹底した調査と対策に取り組むことは急務であります。
 都議会民主党は、本年二月に立ち上げました医療・介護プロジェクトチームで、病院経営本部並びに福祉保健局よりヒアリングを行い、善後策について話し合い、東京の医療提供体制、とりわけ母子周産期の強化について知事に要請を既に行いました。
 ここ数年、産科の医師不足が各方面から取り上げられております。お産難民という言葉も聞かれるように、出産をしようと妊婦健診に通っていた病院が突然産科を廃止する、分娩を取りやめるといった事例や、分娩予約がとれずに、お産の場の確保が困難で、やむなく里帰り出産に変更するなど、医師不足が招いた、安心して子どもを産む場所の確保ができないといったことが、ここ東京でも現実に起こっております。
 私自身、ことしの六月に出産しましたが、妊娠中に日野市立病院の分娩中止のニュースに触れ、自分が通っていた病院で同様なことが起きたとしたらと思うととてもショックで、そうでなくても妊娠中は体の変化や体調不安など、不安なことがとても多く、妊婦が安心してお産というまさに命がけで命をつなぐ場に臨むためにも、医師不足の解消とお産のできる場所の確保は本当に急務であると痛感しています。
 このような視点から、都立病院の産科の現状、都立墨東病院の総合周産期母子医療センターの現状等について幾つかお伺いいたします。
 まず初めに、ここ五年間の都立病院の産科医の定数と現在の産科医の人数をお答えください。

○及川経営企画部長 都立病院の各年度における産婦人科の定数と十月一日現在の現員についてでございますが、平成十六年度は定数四十七名に対して現員四十三名、十七年度は定数四十七名に対し現員が四十名、十八年度から二十年度十月一日現在は、定数四十二名に対して現員二十九名でございます。
 なお、十八年度から荏原病院が公社移管されたことなどに伴いまして、定数、現員ともに減少しておるところでございます。

○松下委員 ここ五年間、都立病院の産科医の定数を満たしていない、実際に医師が不足しているということがわかりました。
 では、今回の事態が起きた都立墨東病院はどのような状況であったのか、墨東病院の産科の医師の定数と現在の人数を、同じく五年間でお答えください。

○及川経営企画部長 墨東病院産科医の過去五年間の定数は九名となっております。現員につきましては、各年十月一日現在で、十六、十七年度は七名、十八年度は五名、十九及び二十年度は四名でございます。

○松下委員 墨東病院でも五年間一度も定数を満たしていない。その上、昨年、ことしは四名という、定数の半数以下である現状がわかりました。
 今回の事態では、もしや、たらればという言葉を使うのは、医学的な見地からも大変不適切かとは思いますが、それでもあえていわせていただくと、もし当直医が二人いたならば、最初の依頼で搬送を受け入れていたならば、また違った結果もあったのではないかという気がして、非常に残念な悔しい思いでなりません。定数を半分も満たしていない現状では、当直医二名体制がとれなかったということもわからなくはないですが、これは周産期医療のシステムの問題としても、本当にどうにかならなかったのかという思いがしてなりません。
 医師不足が招く結果として、産科の現場で働く医師に負担が重くのしかかっています。医師への重い負担は、結果として、医療の提供を受ける患者にも影響を与えるはずであります。こうした墨東病院の産科医の不足の原因をどのように考えているのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 墨東病院を含む産科医の不足につきましては、訴訟リスクが高く、また分娩に伴う昼夜を問わない過酷な勤務状況から、ただでさえ全国的に産婦人科医のなり手が少ないことに加えまして、都立病院はこれまで、給与水準が低い等の理由から大学医局からも敬遠されていたというような要因も挙げられると思います。
 さらに、平成十六年度から導入されました医師臨床研修制度を契機に、派遣元である大学医局全般への入局者が減少しているといったことも影響していると考えております。

○松下委員 医師臨床研修制度の影響もあるとのお答えですが、この制度の功罪に関しては、現在、制度の見直し等も含めて、厚生労働省の臨床研修制度のあり方等に関する検討会でも議論をされているようですが、たとえ制度を変えても、実際に医師不足が解消されるには何年も要することなので、今できること、早急にできることを産科医不足対策として考えていただきたいと思います。
 また、分娩に伴う昼夜を問わない過酷な勤務状況というのは、私自身も患者として体験しておりますので、分娩がいつ起こるかわからない、また危険を伴うということは非常によくわかっております。いつ分娩が起こるかわからないということは、正常分娩であっても大変なことだと思いますが、ハイリスクかどうかの把握というのも実は非常に難しく、リスクを抱えて異常分娩に結果としてなってしまうこともあり、結果としてハイリスク分娩であったということが後からわかるということもあり、産科医師のストレスというものは相当なものであると想像いたす次第でございます。
 では、実際に墨東病院の産科医の勤務状況はどのようになっているのか、あわせて、産科では勤務形態として一直二勤務制度を採用しているのかどうか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 墨東病院のある産科医の一週間の勤務を見た場合に、月曜日の午前中は病棟業務、午後は手術、火曜日は終日病棟業務、水曜日は終日病棟業務で、夜間は当直、引き続く木曜日は午前中病棟業務、午後から夜間にかけて手術、金曜日は午前中外来で、午後から夜間にかけて手術といった内容でございます。その他に、隔週土曜日の午前中の勤務、月に一回程度、土曜日または日曜日の当直がございます。
 なお、ご質問の一直二勤務体制は、日勤帯八時間に引き続く準夜帯八時間の合計十六時間を連続で勤務し、深夜帯から翌朝までを当直とする勤務形態で、一日に二日分を勤務するため、翌日は休みとすることができますけれども、導入にはある程度の医師数を必要とすることなどから、墨東病院産科では一直二勤体制は採用しておりません。

○松下委員 今のお答えで、水曜日から木曜日にかけて、当直時間を含めると三十六時間という長時間になるかと思います。三十六時間とは、丸一日と半日も病院で勤務と当直を行っている状態、そして、その翌日の金曜日も午前中から外来で、午後から夜間にかけて手術という、まさに産科医の過酷な勤務状況の実態が明らかになったのかと思います。
 三十六時間という時間の数字だけでも、本当に過酷な勤務状況であるとうかがい知れるのですが、では、その勤務状況の内容はどのようなものなのか、私自身具体的に詳しいことを知りたいと思い、調べましたところ、一昨年の衆議院厚生労働委員会で産科の医師が発言をしておりました。議事録を見ましたところ、その現状は本当に想像以上のものでした。命を誕生させる現場の医師が命を削っている、家族や家庭を犠牲にしているというのが現状であります。医師個人の献身的努力や正義感だけに頼るにはもう限界なのではないでしょうか。
 一直二勤務制度も墨東病院産科では採用していないとのことですが、墨東でもERではこの制度が採用されているようです。夜間の繁忙度が高い一部の都立病院で採用されている、この一直二勤務という制度、この制度の導入には、産科医の人数が今以上に必要とのことかと思います。当直とは本来、非常事態に備えての待機であり、常態としてほとんど労働する必要がない勤務であり、宿日直勤務ともいわれています。厚生労働省は平成十四年三月に通達を出し、医療機関における休日及び夜間勤務の適正化についてという要請を行っております。産科医の極めて厳しい勤務状況を解消し、妊婦にとっても安全なお産の場を確保するためには、本来は産科の医師がたくさんいる必要があり、当直や宿日直勤務ではなく、日勤、夜勤、深夜勤とするなど、昼間のみに医師を集中するのではなく、二十四時間体制で分娩を扱うことができるように、抜本的に勤務形態を変える必要があると思います。
 この厚生労働省の通達についてはどのようにとらえているのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 全国的な産婦人科医不足の中にありまして、都立病院もその例外ではございません。このため、先ほどお話ししたとおり、墨東病院の産科医の勤務状況は極めて厳しいものになっているというのが現実でございます。
 そうした中にありましても、高い母体搬送の需要にこたえつつ、通達の趣旨をできる限り遵守いたしますとともに、一人でも多くの産科医の確保、定着に努めまして、産科医療の充実及び勤務環境の改善に引き続き取り組んでいきたいと考えております。

○松下委員 正直、この通達を遵守すると、産科医療は崩壊し、子どもを産む場所がなくなってしまうというのが現状ではないかと思います。私は先ほども述べましたが、産科医の献身的努力や正義感に頼り、何とか産科医療を維持してきたのが現状であると、これまでの質疑からも明らかになってきたと思います。過酷な勤務状況であるから、なり手がない、定着しない、人手不足になる、人手不足だから、ますます勤務状況は過酷になるといった悪循環に陥ってしまっているのが今の産科の現状だと思います。
 これが、少子化対策を声高に叫ぶ国の医療政策かと、本当に悲しく、憤りすら感じますが、ではこれからどうしたらよいのか、一人の大切な命を犠牲にしてしか事態が明らかにならなかった現状で、どうしたら今後よくなるのか、今後、墨東病院の産科医をどのように確保していくのか、お伺いします。

○及川経営企画部長 墨東病院が総合周産期母子医療センターとしての機能を果たすためにも、産科医の確保、定着は何よりも不可欠でございまして、従前から大学医局へも積極的に働きかけを行ってまいりました。
 また、関係学会と、産婦人科医の置かれている状況についての意見交換も行い、本年度から各種手当の新設を行いますとともに、院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度の活用など、大幅な給与改善や福利厚生の充実を図ってまいりました。
 産婦人科医の絶対的不足から、新たな確保は依然として困難な状況ではございますけれども、引き続き大学医局への働きかけを行いますとともに、病院経営本部並びに墨東病院のホームページで公募を行うなど、一人でも多く確保できるように全力を挙げて取り組んでまいります。

○松下委員 大学医局に積極的に働きかけを行ってこられても、これまで産科医を確保できなかったという現状では、今お答えのように一般公募を行うなど、一人でも多く確保できるように、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 都立病院と医局との関係については、ここでは述べませんが、一般論としても、臨床研修制度が導入されてから、医局と病院との関係は大きく変わってきているように思われます。よくも悪くも医師の人材調整機能を果たしてきたのが医局であったとするならば、その機能が果たされていない現状では、積極的に医局以外からも、直接ホームページでの公募を行う、また、それ以外でもあらゆる手段を検討して、広く人材募集を行っていただきたいと思います。
 産科医をしっかりと確保して、二度とこうしたことが起こることがないように全力で取り組んでいただきたいと要望して、私の質問を終わります。

○橘委員 質問に先立ち、都立墨東病院において、搬送された妊婦さんが亡くなられたという不幸な出来事があったことに対し、心より哀悼の意を表します。
 同様の事態が繰り返されないように、病院経営本部においては、産科医療体制の整備、強化に全力を挙げるよう要望しておきます。
 それでは、病院経営本部にとって大きな事業となります都立豊島病院の公社化に関連して、何点か伺います。
 さきの第三回定例会において都立病院条例が改正されたことを受けて、豊島病院が来年四月に向けて、東京都保健医療公社への運営移管が本格化することになりました。これまで都立病院から公社に移管した病院を見ますと、平成十六年度に公社移管した大久保病院では、入院、外来患者数等で実績を伸ばしているようでありますけれども、十七年度移管の多摩北部医療センター、十八年度移管の荏原病院においては、当初見込みの軌道にはまだ十分乗っていないような現状もあるようでございます。
 したがって、豊島病院の公社移管に当たっては、先行して移管した三つの病院の成果や課題を踏まえ、医療公社の長所を大いに発揮できる体制を事前に整備しておくことが重要であると思います。
 その観点から、豊島病院の地元である板橋区議会から、ことし六月に意見書が出されておりまして、六月の時点で休止していた産科及び新生児集中治療室、NICUでありますけれども、この再開と病床の全面開設を求めておりますけれども、この点について確認しておきます。
 まず、産科については、先月、十月から分娩が再開され、区民や周辺住民の皆さんからは安堵の声が聞かれております。しかし、また休止になるのではないか、あるいは、公社に移管してから産科の医療体制は持続的に堅持できるのかといった一抹の不安があるのも事実であります。
 そこで、豊島病院における現在の産科の医療体制は十分機能するようになったのか、そして、公社に移管してからも持続的に安全・安心の周産期医療が確保できるのか、この点について見解を伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 豊島病院産科の診療機能についてでございますが、豊島病院では、本年一月末時点におきまして産科の常勤医師は一名でございましたが、この十月までの間に四名体制まで増員いたしました。さらに小児科におきましても、七月に新生児に対応する常勤医師を一名確保いたしまして、新生児医療につきましても体制を整え、助産師、看護師等とも連携し、分娩に対応しているところでございます。
 分娩の実施に当たりましては、診療所や個人病院など、地域の医療機関との適切な役割分担のもと、民間の医療機関では対応が困難な糖尿病、心疾患、高血圧などの疾患を伴ういわゆる合併症妊娠や、双子や三つ子などの多胎児出産に伴う帝王切開など、妊娠中や出産後の母体と子どもの経過観察を必要とする出産に関しまして、リスクのある患者の受け入れを中心に対応しております。
 この十月から分娩を再開したところでございますが、これまでに、帝王切開による出産や多胎児の出産等がございました。今後とも、安全性を確認しながら、リスク管理が必要な分娩を中心に、段階的に受け入れ対象や件数を拡大していく予定でございます。
 また、低出生体重児など、NICU、新生児集中管理室を必要とする場合には、近隣の大塚病院ですとか日大板橋病院など周産期母子医療センターとも連携していくなど、今後とも安全・安心の周産期医療を提供していきたいと考えてございます。

○橘委員 豊島病院にこれまであったNICUは廃止して、周辺の周産期医療センターと連携していくということのようでありますけれども、リスク分娩とNICUというのは、一つの病院で一体的に整備されて、それが機能する、そしてそれが運営されるのが望ましいのではないかと私は思うんですけれども、これについての認識を伺うのと同時に、今答弁にあった、想定している周辺の大塚病院とか日大板橋病院との連携体制について、現在どの程度まで、この連携体制について詰めているのか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 まず、NICUについてでございますが、出産に伴うさまざまなリスク等を考えますと、分娩とNICU、産科と新生児科は、委員ご指摘のとおり、一体であることが望ましく、周産期センターというのもこういう考え方のもとに整備されているというふうに認識しております。
 しかしながら、豊島病院のNICUにつきましては、全国的に小児科医が不足する中で、新生児が確保できないことから休止となっているものでございます。しかし、都内そして区部のNICUを確保するため、大塚病院と墨東病院に各三床、NICUを移転し、機能の集約化を図ることとしたものでございます。
 また、大塚病院等との連携体制についてでございますが、豊島病院は、同一の医療圏にございます、ご指摘のありました大塚病院や老人医療センターと共同しまして、板橋区を初めとした六区の地区医師会や歯科医師会、薬剤師会と連携協定を締結し、これらの関係機関代表者及び各区の行政機関により構成されます区西北部二次保健医療圏等医療連携協議会を設置しまして、積極的に医療連携を進めてきたところでございます。
 こうした現行の都立三病院を中心としました地域の医療連携を引き続き充実させていきたいと考えております。
 また、大学病院等との医療連携につきましては、これまでも日大板橋病院と情報交換を進めてきておりまして、今後とも、連携のあり方や役割分担について話し合いを進めていく予定でございます。

○橘委員 ここにも医師不足、また医療スタッフ不足、そういった問題が影を落としているのでありまして、それをカバーする観点で、地域の医療連携協定によって密にこれを進めていくようであります。これはきちっと、協力してくれる関係病院、医療機関等と密接に詰めていくことによって、大いにまた、今までの体制以上にカバーできる体制ができると思いますので、この公社移管前までにきっちり詰めていただきたいと思います。
 それから、板橋区から出されているもう一点の要望である、豊島病院の有する病床の全面開設についてでありますけれども、公社移管後に病床数がどうなるのか、また、未開設となっている病棟の扱いはどうなるのか、この点についても今から明確な方針を示していかないと、地元の十分な理解が得られないと私は思いますけれども、この点について見解を伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 公社化後の病床数につきましては、産科や小児科、重点医療とします救急医療や脳血管疾患医療、がん医療などに対応するための病床を確保し、地域の中核病院としての役割を果たしていきたいと考えてございます。
 今年度は、患者実績等も勘案しまして、三百四十八床で運営しているところでございますが、重点医療や産科医療などへの対応も考慮しながら、当面必要な病床数を確保しまして、地域の医療ニーズにこたえていきたいと考えてございます。その上で、豊島病院の持つ人材や施設、設備、また周辺の医療環境等も踏まえ、将来的には全病棟開棟を目指してまいります。

○橘委員 最後の、将来的には全病棟の開棟を目指していく、これは地元にとっては心強い答弁だったと思います。
 この全病棟の開棟というのは、これは準備不足のまま一方的に行っても、サービスの低下につながりかねないという面もあります。利用者のニーズに合った医療が提供されてこそ、本来の全病棟開棟になるわけでありまして、そのためには、豊島病院ならではの特色ある医療提供の工夫、構想を示していく必要があると考えますけれども、この点についての見解を伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 豊島病院ならではの特色ある医療についてでございますが、例えば重点医療の一つとして掲げております脳血管疾患医療につきましては、脳卒中専門病床を六床整備しまして、脳神経外科と神経内科を中心としまして、放射線科などとの連携のもとに、脳動脈瘤の破裂を防ぐコイル塞栓術や、脳梗塞時のtPA投与による血栓溶解療法など、専門的な治療を実施してまいります。
 この脳血管疾患医療につきましては、板橋区医師会が中心となりまして、板橋区脳卒中懇話会を立ち上げておりまして、地域の医療機関とともにネットワークを構築し、脳卒中に関する地域連携クリニカルパスの作成に取り組んでおります。
 豊島病院は、リハビリテーション科と一体となりまして早期にリハビリ訓練を行うとともに、地域医療を推進する公社病院として、この地域連携パスの運用を通じまして、脳卒中を発症した患者さんの症状を考慮しながら、急性期から回復期に円滑に移行できるよう、地域医療連携の仕組みづくりに積極的に取り組んでまいります。
 また、地域からの強い要望もございました産科医療につきましては、先ほども答弁させていただきましたが、この十月から、リスク管理を必要とする分娩を中心に再開させていただいているところでございまして、公社化後も、こうした地域の医療ニーズに合いました特色ある医療の提供を目指してまいります。

○橘委員 今、難しい専門用語が羅列されて難解な部分もあったんですけれども、要するに病院で医療スタッフと患者さんが、こういう治療を行いますよ、タイムスケジュールはこんな感じですよといったクリニカルパス、これを作成する、それに基づいて医療の標準化が図られて、安心そして納得のいく医療が受けられる、そういう体制だと理解しておりますけれども、一般的には病院内でそれをやっていくというものであります。このクリニカルパスというものを、地域の医療機関と連携して一緒にそれをつくって、そして急性期から回復期に向かう、転院ですね、その場合でも同じタイムスケジュールに基づいて同じ水準で治療ができるようにするといったものだと理解しておりますけれども、これは相当、地域の医療機関の協力と、技術的にもある程度の水準の医療機関が地域の医療財産としてあるところ、そういったものが整っていなければなかなかできないと思うんですけれども、この点はどうなんでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 地域連携クリニカルパスについてでございますが、このクリニカルパスにつきましては、ただいま委員からご指摘いただきましたとおり、地域の医療機関とのネットワーク化を進めるとともに、患者の治療を行っていく上で大変有効な方式と考えております。
 現在、先ほども答弁させていただきましたが、脳卒中に関する地域連携クリニカルパスに基づいた連携を開始したところでございます。
 今後とも地域との密接な連携を強化していくために、例えばこの現在脳卒中に適用しておりますクリニカルパスを、今後、他の疾患についても地域の医療機関とともに検討に努めるなどしまして、公社病院らしい医療の提供に努めていきたいと考えてございます。

○橘委員 確かに脳卒中関係の治療、今後注目されると思います。この方式でやれば、長期の入院というのも防げるだろうし、そしてまた安定した医療の提供にも、サービスの向上にもつながると思いますので、これは非常に大きな財産になるかと思います。
 同時に、これは地域の医療機関の協力がなければなし得ないことでありまして、この協力体制があるということも非常に大きな財産になると思います。
 今ご答弁にございましたけれども、専門的な治療を必要とする他の疾病についてもこういった地域クリニカルパスというものが連携がとれていけば、これができていけば、これは本当に住民にとっては、また周辺の地域住民にとっては安心の医療体制が構築できると思いますので、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、公社病院が柔軟な発想でさまざまな工夫を実施して、地域の中核病院としての役割を十分果たしていくためには、根本的にはやはり医療スタッフの確保が安定していなければならないと思います。豊島病院の公社化に当たり、医療人材の持続的な確保についての見通しを事前に示しておく必要があるかと思いますけれども、この点について見解を伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医療人材の確保についてでございますが、まず、医師の確保につきましては、東京医師アカデミーの開講や、医師給与の増額を初めとする処遇改善などさまざまな取り組みの結果、豊島病院においては産科医を確保することができるなど、着実な効果があらわれてきております。
 次に、看護師の確保につきましては、依然として大変厳しい状況ではございますが、豊島病院が公社化される際には、これまで公社化してきた病院と同様に、希望する者については、公社の固有職員に身分を切りかえまして、引き続き豊島病院に勤務することとしまして、そのほかにつきましては、当面、現在豊島病院に勤務している看護師を、都職員の身分のまま派遣することになります。
 また、公社病院におきましては、採用選考の機会拡大、三交代制から夜間を分割しない、いわゆる二交代制への移行など、勤務体制の多様化に努めるほか、研修の充実や資格取得に対する支援を行うことなどによりまして、引き続き看護師確保に努めております。
 今後、こうしたさまざまな取り組みを進めながら、地域の要望を十分に踏まえながら、地域住民の皆様の信頼と期待にこたえられるよう、病院経営本部としましても、公社を可能な限り支援していきたいというふうに考えております。

○橘委員 公社への運営移管に際して何より大事なのは、豊島病院を利用する住民の方々に、患者側、住民側から見ての公社移管のメリットについて十分な理解をいただき、これまで以上に地域に愛着を持たれるようにすることだと思います。その観点から広報活動にも力を入れていくべきと考えますが、今後の取り組みについて伺い、質問を終わります。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 豊島病院の公社化に当たりましての広報活動についてでございますが、豊島病院の公社への運営移管に関する考え方につきましては、これまでも第二次都立病院改革実行プログラムや公社化検討委員会まとめを病院経営本部のホームページに掲載するなど、都民に周知してきたところでございまして、今般、第三回定例会で都立病院条例改正を行ったところでございます。
 今後は、公社移管後の豊島病院につきまして、現在の診療科を継続することや受診方法に関しまして説明しましたリーフレットを作成し、板橋区や地区の医師会を通じまして地域の皆様に配布するとともに、院内に、公社化後の医療機能等を説明した文書を掲示することなどによりまして、患者さんのご理解とご協力をいただきまして、公社移管後も豊島病院に引き続き安心して受診していただけるよう、広報活動の充実を図ってまいります。

○かち委員 質疑が続いておりますが、この間、周産期の妊婦さんをめぐって、九月と十月、不幸な事例が続きました。いずれも妊娠中に脳出血を起こして、受け入れ困難が続いた後に、一人は命を救うことができなかった、もう一人は今なお意識不明の重体ということです。こういうことは二度とあってはならない、このことからしっかりと教訓を学ばなければならないと思いますが、しかし、今回、最終的には都立墨東病院で対応していたということであります。今回の件を含め、周産期医療をめぐる事態が危機的状況であることが社会的認識となり、ようやく国も動き出しつつありますが、遅過ぎる感を否めません。
 また、今回、都立病院が都民にとってかけがえのないとりでとしての役割を果たしているんだということを深く実感したところです。だからこそ、都立、公社病院の医療供給体制は万全を尽くさなければならないと思うし、もっと早くに福祉保健局とも連携し、体制確保の手だてをとるべきであったと思っております。
 今回は、NICUについてお聞きします。
 十一月五日に行われた周産期協議会での調査結果について、今回の受け入れが八病院で困難であった理由が聴取されておりますが、いろいろ理由はあるけれども、主にはやはりNICUが満杯ということが共通して出ています。
 先ほど来の質疑でも明らかなように、周産期の救急受け入れが最も多い墨東病院で、普通の周産期病院の約二倍は受け入れているといわれているこの墨東病院でも、受け入れている数が五〇%という状況からしても--今のNICU、今、東京都は二百床を目指して、まだそこに達成していないんですけれども、そのことから見ても、百床は不足の事態といえると思います。もちろん、NICUが不足の背景には、その後の後方受け入れ体制の整備や、GCUや重度心身障害者施設の不足の問題も関連しています。しかし、今すぐNICUを百床ふやせといっても無理なことです。医師、看護師確保など一体で進めなければなりません。そういう意味では、少なくとも今あるものをなくすようなことをしてはならないと思うんです。
 そこで伺いますが、豊島病院は、現在休止しているNICUとGCUを合わせて二十五床あるわけです。都心でもNICUが不足している状況の中で、この病院が大きな役割を果たしてきたと思います。現在、四名の医師を確保し、十月から分娩を開始したと聞いています。大塚病院、墨東病院の拡充も必要ですけれども、この豊島病院のNICU等の施設を活用すべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 豊島病院のNICUについてでございますが、先ほどもご答弁させていただきましたが、全国的に小児科医が不足する中、都立病院全体でNICUをカバーしまして、病院間相互の連携を強化しながら機能を充実していくこととしております。このため、大塚病院と墨東病院に各三床NICUを移転し、機能の集約化を図ったところでございます。
 なお、NICUの運営には専任の医師を常時配置することが必要でございまして、また、看護も含むチーム医療の体制が必要でございます。したがいまして、将来NICUを再開するかどうかにつきましては、こうした専門スタッフの確保に加えまして、その時々における医療ニーズや周辺を取り巻く医療環境等を踏まえる必要がございまして、これらを総合的に判断していく必要があるというふうに考えております。

○かち委員 その時々の医療ニーズを検討して将来考えるとおっしゃいましたけれども、今のこの事態を見れば、まさにNICUは足りないんだ、不足しているんだという状況なんですから、そこのところは、ある施設は活用していくという立場にぜひ立っていただきたいというふうに思うんです。
 まだ、十月から医師を確保して産科を再開したばかりとはいいますけれども、さらに医師、看護師を確保し、体制整備を図る中で、豊島病院でのNICUの再開は、先ほども質疑がありましたけれども、地元自治体、議会を挙げての強い要望であるわけです。過日の委員会でもそのことは明らかになりました。このような事態になると、地元だけの要望にとどまらず、都民的に切実な課題となっているわけですから、改めて早急に検討することを求めておきます。
 第二次実行プログラムにも出ていますが、都立大塚病院の地域周産期医療センターは、二〇〇九年度中に総合周産期医療センターに指定する計画ですけれども、現在の大塚病院の施設規模、周産期体制はどのようになっているでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 大塚病院の診療体制についてでございますが、大塚病院の新生児集中治療室、いわゆるNICUは十二床、回復期中等症治療室、いわゆるGCUは二十八床、また産科病床は四十床となっております。
 平成二十年十月一日現在、産婦人科の医師は、定数九名に対しまして現員五名でございますが、非常勤医師を活用することによりまして体制を整備しております。
 また、NICUとGCUは、看護要員定数五十四名に対しまして五十名。内訳としましては、看護師が四十九名、助産師が一名。産科病棟は、看護要員定数三十一名に対しまして三十名。内訳としましては、助産師が二十五名、看護師が五名を配置しているところでございます。

○かち委員 大塚病院でも産科医師の現状は、九名に対して五名という状況です。看護要員は、関係部門だけで八十四名に対し八十名ということです。妊婦の脳出血などは一万人に一人といわれていますけれども、今回のようなことが続くと、その比率はもっと高いのではないかと思われます。そして、低体重児ばかりでなく、妊婦の異常事態にも対応できる体制整備の強化が求められているわけですが、その意味で、大塚病院で総合周産期医療センターとして整備することは重要な課題だと思います。しかし、看板は掲げたけれども実体が伴わないというようなことがあっては決してならないわけです。
 それでは、来年度の都立病院での医師、看護師募集状況、応募、内定状況などはどのようになっているでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 二十一年度の医師、看護要員についてでございますが、まず医師につきましては、今後定数が決まってくることから、医師の採用につきましてはこれからというふうに考えております。
 また、看護要員につきましては、平成二十一年四月採用予定としまして、当初約四百五十名、内訳としましては、Ⅰ類看護師が五十名、Ⅱ類が三百八十名、助産師が十九名の募集を行い、その応募状況や過去の合格者の辞退状況を勘案し、さらに追加募集、これは百六十名なんですけれども、行ったところでございます。
 なお、状況によりまして、年度途中の採用も実施したいと考えております。

○かち委員 医師の定数は未定ということですけれども、来年の四月採用の看護師募集四百五十名に対してまだ百六十名不足で、さらに再募集をしているという状況だということですから、これは非常に厳しい状況がうかがえます。
 これまで都立病院としては、看護師の初期研修を重視し、臨床研修を充実してくる中で、中途退職の比率が低下したとも聞いております。それは重要なことだと思います。しかし、今の答弁では、四月当初の定数充足さえ大幅に不足する事態が予想されます。現在、都内の大学病院ばかりでなく民間病院でも、七対一看護体制に取り組んでいる病院は何と九十八病院もあると聞いています。これは単に看護基準点数が高いというばかりではなく、今日の病院医療、急性期を中心とした医療は、高度で先進的な医療技術が求められるとともに、ベッド回転が速く、常に新しい患者を受け入れ、送り出す、そのための記録や雑事に追われるのが現場の実態であり、七対一看護基準が当然必要な体制なんです。とりわけERなどを抱えている病院の過密労働は推して知るべしです。
 都立病院としての七対一看護基準取得など、労働環境の改善がなければ、新入職員を確保することは困難ではないかと思いますが、そのことをどのように考えていらっしゃるでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院におきます看護体制についてでございますが、まず、七対一看護基準につきましては、この七対一看護基準の導入は既に検討しておりまして、実際に現在、清瀬小児病院や八王子小児病院で導入しているところでございます。
 しかし、都立病院すべてに七対一看護を導入するということのためには、現在、看護師が全国的に不足しているといわれている中で、大幅な採用数の増加が必要でございまして、課題も大きいというふうに考えております。引き続き検討していく必要があると認識しております。

○かち委員 今までは、都立病院で七対一は考えていないというようなご答弁が多かったんですけれども、やっと今後検討していくというふうにいわれまして、心強くも思いますし、ぜひ積極的に前向きに検討していただきたいと思います。そうしないと、都立病院だけが、何というんですか、沈んでしまうんですね。周りじゅうにもう七対一ができてしまうと、都立病院だけが対応できない状況になってしまいますので、ぜひ検討してください。
 そして、医師不足から産科のベッド閉鎖が相次ぎ、周産期センターに集中する悪循環を断ち切るためにも、助産師、助産院の活用を広げるべきだと私は考えます。産科がある都立病院で、助産院との連携をとっている病院は今あるのでしょうか。

○都留サービス推進部長 NICUなどの高度な医療機能を備えております都立病院は、ハイリスクの妊婦、新生児への高度医療の提供、また搬送の受け入れなどを行うことをその主な役割としております。地域の助産所等との連携に関しましては、基本的には地域の産科医療機関が担うものと考えております。

○かち委員 助産師さんの分娩に対しては、産科医会の中でもいろいろ議論があるようです。正常分娩といってもノーリスクの分娩はないんだ、ローリスクはあるんだ、その境をどこで決めるんだとか、いろいろ医学的な判断をどこでするのかとかいうのはあると聞いておりますけれども、これまで、正常分娩は助産師の仕事として歴史的に営まれてきたことであり、制度として確立しているものです。しかし、近年、妊婦さんの何かあったらという不安もあり、大病院志向がふえ、そこに集中するようになり、少子化も相まって、助産院は次々とまちの中から姿を消していきました。しかし、最近は、命の生まれ出る過程をもっと大事にしたいとか、あるいは助産院なら安心して、どんなことでも不安にこたえてくれるなど、家庭分娩や助産院での出産を希望する妊婦さんがふえてきております。
 しかし、法改正によって、助産師が開業するためには連携病院との契約を結ばなければならなくなりました。現在「ひまわり」に登録している助産院は三百三十二ということですけれども、しかし、分娩を行っているのは、日本助産師会東京都支部の報告では二十五カ所のみとなっています。意欲ある助産師さんが開業しようとしても、開業医の高齢化や、産婦人科と標榜していても分娩を取り扱わないお医者さんも多いというような理由で、なかなか連携してくれる病院がないというのも現状のようです。
 都立病院も助産院との連携を強める必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○都留サービス推進部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、都立病院の役割は、ハイリスクの妊婦さん、それから新生児への高度医療の提供という役割が中心でございまして、地域の助産所との連携に関しましては、基本的には地域の産科医療機関が担うべきものと考えております。

○かち委員 要するに、先ほどありましたけれども、今、医療崩壊というような状況も生まれているんです。皆さんが考えるように、地域の基盤医療と、都立病院はハイリスク、高度医療なんだ、そこで仕切りがあるんだというふうにいわれますけれども、それが今壊れちゃっているのが現状ですよね。だから、もっと地域の助産力とか、そういう地域力量アップというものを培っていかないと、都立病院がもう受け切れない状況になっているわけですから、そのすそ野をしっかりと構築していく。その役割というのは、やはり都立病院が果たすべきものだと思うんですね。
 助産師さんはなかなかまだ力が足りないとか、いろいろいわれることもありますけれども、その助産師の力をつけて、地域での助産力をつけていくということですね。もちろん福祉保健局のかかわりもありますけれども、やはり公的な病院がその役割を果たすべきだというふうに思います。
 ネットワーク機能の強化は、都立病院が率先してイニシアチブを発揮すべきだと思います。日ごろからの出産のすみ分け、顔の見える連携体制がとれていることや、地域での力量アップへの貢献、こたえる立場にある都立病院がその役割を果たすべきと、強く求めておきます。
 今回の脳出血の例など、産科医師だけでは対応困難なケースが、大きな課題として浮き彫りになりました。いわゆる救急医療と周産期医療の連携など、今まで以上の対応が求められています。国の方でもようやく、救急医療と周産期医療の連携のあり方が検討が始まったり、都においても東京都周産期医療協議会などで検討しているところではありますけれども、都立病院としても、院内体制をどう連携システムをつくっていくかということを早急に検討していただくことを求めておきます。
 次に、出産一時金にかかわる問題です。
 出産にまつわる問題では、現在、償還払い制度になっている出産費用の支払いの問題で、若い夫婦が出産時、三十万、三十五万、先ほどの補償金のことも含めると、三十八万を一括で払うというのは大変負担が重いところです。自由料金の分野ですので、病院によっては格差があり、高いところはきりがなく、二百万などというところもありますが、最近は、保証金を入院前に徴収するところもあり、不安定雇用の広がっている中、若い夫婦にとっては子どもを出産することの困難がますます広がっています。
 我が党は三定議会の中で、一般質問でも、代理受領制度について取り上げました。その後、国においても、来年十月以降には一括代理受領システムを導入するという報道もあります。
 現在は、妊婦が保険者に申請をして、病院の了承を得て受領委任をするという手続が必要であり、それも予定日の一カ月前以降に受け付けるというものです。つい申請時を逃してしまうというケースもあり、気づかなかったという例も多いわけです。出産に伴う出産費用の代理受領制度を、都立、公立病院ではもっと普及啓発すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○都留サービス推進部長 都立病院といたしましては、妊産婦さん向けに、出産育児一時金の受け取り代理制度につきまして、都立病院版のご案内パンフレットを作成いたしまして周知いたしているところでございます。
 なお、出産育児一時金の受け取り代理制度につきましては、病院だけではなく、各保険者が制度の一層の周知、普及を図るべきと考えております。

○かち委員 都立病院のシステムの中でできないということは、お聞きしている中でわかりました。だから国で早急にそれがシステムができればいいことなんですが、しかし、できる改善はしていただきたいと思うんです。生まれる一カ月前以降でなければ受け付けないというこのシステムも、さらなる改善を求めておきます。
 次に、がん医療のセカンドオピニオンについてお聞きします。
 がん医療は、進歩してきているとはいえ、発症部位によっては完治率二〇%ないし六〇%という段階です。がんを宣告された患者にとって、どの治療方法を選ぶか、また、この診療が適切なのかどうか、懸念や迷いの生ずるのは当然のことです。
 こうした中、近年、セカンドオピニオンがオープンに行われるようになってきました。患者にとって納得できる医療の選択は重要です。現在、都立病院でのセカンドオピニオンの実施状況、仕組みはどのようになっているでしょうか。

○都留サービス推進部長 都立病院では、駒込病院におきましてセカンドオピニオン外来を設け、全診療科で対応しております。対象疾患といたしましては、駒込病院の専門性を生かし、がん、HIV、C型肝炎などを中心に実施しております。
 主治医の紹介状や検査データを持参した患者さん、またはそのご家族を対象としておりまして、診療科ごとの専用の予約枠を設けて、完全予約制で実施いたしております。

○かち委員 都立病院、いっぱいありますけれども、セカンドオピニオンを標榜してやっているのは駒込病院だけということでした。
 駒込病院のセカンドオピニオンの実績はどうでしょうか。そして、支払い状況はどのようになっているでしょうか。

○都留サービス推進部長 駒込病院におきましては、平成十六年四月から試行を開始いたしまして、十七年一月から本格実施といたしました。
 患者数は、平成十六年度が四百二十五人、十七年度が五百九十八人、十八年度は八百二十六人、十九年度は七百三十三人でございました。
 料金につきましては、患者さんご本人が受診した場合は保険診療として算定し、ご家族が来院された場合は、ご本人が受診された場合の算定に準じた料金を自費負担といたしております。

○かち委員 平成十六年から試行的に始めて、今は本格実施しているようですが、だんだん患者さんもふえてきているという状況です。駒込病院は保険適用で今やっているということですけれども、その根拠はどのようなことでしょうか。

○都留サービス推進部長 駒込病院のセカンドオピニオン外来における診察では、主治医からの紹介状、各種検査データ、レントゲンフィルムなどを持参していただくことを条件といたしております。そのデータをもとに、主治医が診断の再確認、治療方法の妥当性の判断、他の治療方法の検討、読影などを行う診療行為であることから、保険診療の適用といたしております。

○かち委員 このたび公社病院でもセカンドオピニオンを導入すると聞いております。料金は自費で行うとのことです。その費用は一万五百円ということなんです。保険適用なら、その三分の一ぐらいということですけれども、これまで、差額室料など、公社の料金設定は都立病院に準じてきたものです。今回も駒込に準ずるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○都留サービス推進部長 公社病院は、地域医療機関との緊密な連携のもと、住民の皆様が必要とする医療サービスの提供を行うことといたしております。このため、公社病院のセカンドオピニオンは、地域の医療機関との連携のもと、患者さんやご家族、地域の医療機関からの求めに応じて、診療行為としてではなく、広く相談に応じる機能と位置づけておりまして、そのため、自主料金として設定し、実施すると聞いております。病院の役割やセカンドオピニオンに対する位置づけの違いから、料金設定の考え方にも違いがあるものと考えております。
 なお、都立、公社以外の病院について見ますと、公立病院、民間病院のいずれも全額自己負担が大半となっております。

○かち委員 病院の考え方、位置づけが違うから自主料金だというお話でしたけれども、資料を出していただきました。都立駒込病院でのがんの患者さんのワンデー調査というのがありますけれども、この駒込病院でのがんの患者さんは、全体の患者さんの六三%がかかっていらっしゃるわけです。がんの重点医療の病院だという、長年培ってきた実績と信頼があるわけですけれども、公社病院では平均で二二%ということで、他の都立病院とどっこいどっこいというか、同じような状況だと思うんですね。しかも、都立から公社に移管された病院では、公社化に伴って、がん医療を標榜した病院もあるわけです。こういう病院で自費でセカンドオピニオンをやるということの理解が一般的に得られるでしょうか。セカンドオピニオンをやるにしても、保険診療でできることは、駒込病院でその根拠も明確なのですから、保険診療でやるべきだと思います。重ねてそのことを申し上げておきます。
 ことし八月に、私の知人がある病院で肺がんを指摘され、治療方法も化学療法と放射線で、手術はできないといわれました。そこで駒込病院でセカンドオピニオンを受けました。その際、電話予約で、当院ではCD-ROMが使えませんのでレントゲンフィルムを持参してくださいといわれました。CT、MRI、気管支造影など、二十数枚の重い、かさばるフィルムを持参した経過があるわけです。
 電子化の進んでいる今日、セカンドオピニオンを掲げている駒込病院でいまだにこういうことができないのかと思ったのですが、後でお聞きしましたら、受付を、それまでは病院職員が行っていたのを委託にしたんだそうです。それで、CD-ROMが使えるようになったのはことしの四月からだったのですが、それが委託の職員に伝わっていなかったということで、このような事態が生まれたわけです。気がついたのが十月ぐらいですから、先ほどの実績からすると、二百人、三百人ぐらいの方は、こういうやらなくてもいいことをやっていたのかなというふうにも思ったわけです。
 そこで、駒込病院のPFIによる特定事業者との--来年四月からPFI運営が始まることになっているわけですけれども、その契約に至る中で、入札説明書という、こういうものがあるわけですけれども、それの回答例がいろいろ出ていますね。セカンドオピニオンの受け付けをどちらがやるのかと、事業者が病院経営本部の方に聞いているわけですね。何と聞いているか。セカンドオピニオンに関する受け付けについては、医療的な判断が求められることが予想されますので、事業者の業務ではないという認識でもよいでしょうか、もしやるのであれば、医療的判断が必要とされた場合の対応方法、参考資料または参考必要事項の公表をしていただけませんかと、極めて真っ当な質問をされているわけですけれども、回答は、セカンドオピニオンに関する受け付けは事業者の業務です、なお、受け付けが必要な患者は若干名ですという冷たい回答なんです。
 がんと告知された患者が、悩んで迷いながら駒込病院の門をたたく最初の受付です。あるいは、何軒も病院を回り、納得がいかず、最後の望みをかけて訪れる患者さんもいます。機械的にあいているこまを埋めればいいというのではなく、まさに医療にかかわる問題です。ここまで特定事業者に任せるのではなく、病院職員が行うべきだと思いますけれども、見解はどうでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 セカンドオピニオン外来の受け付けについてでございますが、この受け付けでの実際の業務でございますが、セカンドオピニオン外来の目的やご用意いただく資料を案内することなどに加えまして、初診受け付けと同様に、診療経過の聞き取りや医師へ伝達する役割などを担っております。
 がん・感染症医療センター整備運営事業におきましては、このセカンドオピニオンの受け付け業務につきましては、現在も医事業務受託者が行っておるんですけれども、医療周辺業務として、この事業者が実施することとしております。
 なお、PFIの導入に当たりましては、患者サービスの向上というのが最も重要な観点だというふうに考えておりまして、これらのサービスについても適正に行われるものと考えております。

○かち委員 今のお答えの中で、診療経過の聞き取りなどという表現がありましたけれども、それこそ個人情報でありますよね。単なる一般周辺業務というものではないと思います。これまで、医療に関することは病院がやるんですというふうに繰り返しいわれてきましたけれども、既に一線を越えているということではないでしょうか。PFIそのものも問題はいろいろありますけれども、この問題は再度、病院職員が行うべきだと強く求めておきます。
 最後に、脳卒中集中治療について伺います。
 東京における脳卒中の死亡者は約一万一千人で、都の死亡数の一一・五%を占め、がん、心疾患に次いで、死亡順位は第三位を占めています。近年、tPA療法など、治療方法の進歩によって、早期発見、搬送、専門的治療とケアによって、後遺症を大幅に改善していることは周知のとおりです。脳卒中ユニット、SUや、脳卒中集中治療室、SCUの取り組みの提案は、これまでにも何回か取り上げてきましたけれども、公社移管以前から荏原病院で取り組み始め、現在は大久保病院でも始まりました。これは患者にとっても、医療費の軽減にとっても有効な取り組みだと思います。現在のそれぞれの病床規模と実績はどうでしょうか。

○都留サービス推進部長 公社病院におけるSU、いわゆる脳卒中専用病床についてでございますが、荏原病院は平成十六年四月から八床、大久保病院は平成二十年一月から三床、それぞれ設置いたしております。
 平成十九年度に受け入れた患者数の実績につきましては、荏原病院が三百九十三人、大久保病院が五十一人となっております。

○かち委員 私も最近、大久保病院へ伺って、院長先生からもお話を聞いてきましたけれども、この脳卒中の需要は大変多く、効果的に機能しているとのことでした。都立病院で脳血管医療を標榜している病院、広尾、墨東、府中などでも、このようなSUあるいはSCU医療に取り組むべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 第二次都立病院改革実行プログラムにおきまして、脳血管疾患医療につきましては、脳卒中は都において死亡順位が第三位となっておることから、都立病院においても、この脳血管疾患を行政的医療に位置づけているところでございます。
 また、この第二次都立病院改革実行プログラムの中で、今後の方向性として、脳卒中による救急搬送人員は増加しているため、SCU等の整備など、救命救急診療を中心とした脳卒中医療の充実を図っていきますということで、既に明確にしているところでございます。

○かち委員 早期に具体化されることを求めて、質問を終わります。

○斉藤委員 思ったよりも早目に進んでおりますので、私の方からは、幾つかのテーマに関して、余り細かく聞かずに、ざっくりとそれぞれ伺っていきたいと思います。
 先ほど来、墨東病院の方の案件についての質問がありました。当時の現場の部分を幾ら振り返って--振り返る部分って必要ですけれども、一方で余り細かくやっても、なかなか本当に振り返りだけになってしまう可能性がありますので、それを踏まえて、今回、十月の末日に出されました東京緊急対策Ⅱを踏まえて、幾つか伺いたいと思います。
 なお、助産師のコーディネーターについて伺おうとも思ったんですが、多少重なりますので、この部分については割愛いたしまして、医療クラークの部分について伺います。
 こちらの対策Ⅱの中で、産科医師確保対策の充実という中に、都立病院における産科医師確保のため、産科への医療クラークを配置し、院内保育室を充実しますというふうにあります。この医療クラークを配置するということについてなんですが、以前からなかなか、医療クラークを入れたくても適当な人材がいなくて、非常に難儀をしているというふうに伺ったことがあります。
 私ども都議会民主党の方でも、私が事務局長をさせていただいています医療・介護プロジェクトチームの方で、四月の診療報酬改定に伴って、医療クラークの方についてちょっと取材をしたいというふうにお話をしましたところ、まだなかなか人材の問題もあって稼働していないというふうなことで、これは夏前ぐらいだったんですが、一度ちょっと私どもも取材を断念しております。
 ちょっとそんなことを伺っているんですけれども、実際には現状どのようになっているのか、また今後の展開についてはどのようになっているのか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医療クラークについてでございますが、都立病院では平成十九年度より、広尾病院、墨東病院、府中病院の三病院のERにおきまして医療クラークを配置しているところでございます。
 その業務内容につきましては、救急患者の統計データ処理等の事務処理が中心でございますが、病院現場でも、医師の事務作業の軽減になっているとの評価を得ております。
 また、この四月の診療報酬制度の改正におきまして、医師事務作業補助体制加算というものが新設されました。入院患者に対する事務補助作業者の人数に応じまして診療報酬に加算されるものでございまして、都立病院としては、ことしの十一月から大塚病院でこの加算を取得しております。
 こうした現状も踏まえながら、今後、緊急対策Ⅱに基づき、産科に新たに医療クラークを配置しまして、産科医の事務補助として活用する予定でございます。

○斉藤委員 医療クラークはなかなかすごいことはできないけれども、それでも、今まで現場の医療資格スタッフがやっていたことをかなり肩がわりできているという点では、かなり前進して、まさにこれからというところだと思います。
 実際、全国的に見ても、医療事務という科を持っている専門学校が、併設で医療クラーク科というのを持っているのが二つぐらいあるんです。はたから見て、どこが違うか全くわからないんですが、よくよく見ていると、授業の内容なんかが多少違っているんです。恐らくこういったところができるところから始めていって、だんだん使い勝手を考えて、後々もう少し高度な方を入れていくとか、もしくは、そういった方をより高度な研修を踏まえてステップアップさせていくというふうな方法も、今後考えられる展開かなと思います。
 そういった部分でいえば、余りすごい人件費を払わなくても補助ができるということが証明できれば、そういったところで、都立に限らず、地域の病院にも逆に提案していくというふうなことも、今後の展開の中で期待したいと思います。
 ぜひこれについては、なかなか最終のところの目標点まで少し遠いですけれども、逆に、現状できる部分については地道にやっていただきたいということで、要望を重ねさせていただきます。
 では、二点目、伺います。
 先ほど、墨東病院の総合周産期医療センターの方で、当直できる医師が四人体制ということで、お話を伺っている中では、逆にいえば、よくこれで回せていけたなというふうなことを感じます。
 今回の対策で、これを踏まえて、東京緊急対策Ⅱの方では、今まで、いろいろな工夫をしているわけなんですけれども、実際にはこれ、今まで工夫をしようとしていたものが結構入っているのかなというふうに私は思います。実際には、今まで考えていた工夫とどこがどう違うのかというのを確認したいと思います。
 また同時に、中小企業対策については結構細かい予算的な数字が出ているんですけれども、この周産期の医療のページでは、予算については詳細がほとんど不明でございます。今回このページをつくるに当たって、財務局がどのような関与をして、今後の予算の詳細についてはどういうふうに考えているのか、予算について伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院におきましても、医師の確保は急務でございまして、これまでも医師の処遇改善等に取り組んできたところでございます。しかし、今回の緊急対策は、これまでの医師確保対策をさらに充実しまして、産科医の勤務環境を改善し、少しでも産科医の確保を実現しやすくするという考え方から、さらなる強化策として盛り込んだものでございます。
 なお、今回の緊急対策につきましては、財務局とも協議を重ねて取りまとめてきたものでございます。今回都として示させていただきましたが、今後、補正予算案を提案していく予定でございまして、その内容、詳細につきましては今後明らかにしていきたいというふうに考えております。

○斉藤委員 対策Ⅱ以外の工夫の部分でちょっと確認したいんですけれども、今回、いろいろな処置、患者の容体についての報告と伝達に関していろいろな意見が出されております。また、情報提供やコミュニケーションについては、これは別に産科医に限らない話で、救急の現場においては大変難しいものであります。
 例えば、患者の容体を示すような形容詞にしても、人によってその形容詞のニュアンスが違ったり、もしくは色の表現などについても、どんな顔色といったときに、必ずしも、診る人と、それを電話とか通信で聞く人によって、若干伝わるニュアンスが変わってきたりということで、コミュニケーションというのは非常に難しいと思います。逆にいえば、余り工夫をして、これはこういう場合ということで定義をしっかりしたときに、その定義以外の部分の表現について逆にまた課題が出てくるというふうな、本当に適切な形にコミュニケーションが工夫できるというのはなかなか難しいと思います。
 今回、実際にできる工夫というものについて、あるのか、病院経営本部としてどういうふうに考えているか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医療従事者同士のコミュニケーションについてのお尋ねでございますが、今回の墨東の案件におきましては、搬送元医療機関と依頼を受けた各医療機関の医師の間で認識に差異があることが、先日開催されました東京都周産期医療協議会においても報告されているところでございます。そのため、医療者間の情報提供やコミュニケーションにつきましても、今後の協議会における周産期ネットワークの見直しとあわせて検討されるものと受けとめております。

○斉藤委員 次に、新生児医療において、この対策Ⅱの中でも、周産期母子医療センターの確保の中で、新規事業の中に、NICUの入院児の受け入れ促進のための後方病床の看護体制、これを充実しますというふうな話があります。
 もうちょっと広い範囲で、新生児の医療において、NICUで、患児三人に対して看護師一人の配置となっております。これでは実際には看護師不足を感じている医療機関が多いようです。これは東京都の、都立のということではなくて、全国的な部分で、私も産科医の先生に聞いたときに、実際には三人に対して看護師一人というのは、ちょっとこれではなかなか細かいところまで目が行かない、手が届かないと。本当は、理想をいえば、一児か二児に対して看護師一人というふうに思うというような調査結果もあるようです。
 例えば、不足というふうに感じるのは、新生児がミルクを飲むときにずっとついていられなくて、ひとり飲みというふうに呼んでいるらしいんですが、ミルクをベッドのところで飲ませたところで、もうそこで看護師が離れてしまうというふうなことで、ひとりで飲ませている。これが、ひとり飲みということらしいんですが、これが多くなるというふうなこともいわれております。
 同時に、先ほども話がありましたが、NICUの入院期間が平均的にだんだん延びていて、それがNICUの不足につながっているということであります。こういったこと、つまり、先ほどいいましたような具体的な不足の事例というもの、これについて都立病院ではどのようになっているのか、同様に不足をしているのか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 NICUについてでございますが、まず、必要な人員の配置についてでございますが、NICUの配置基準を満たす必要な人員を、現在の都立病院では配置しているところでございます。
 また、NICUの不足の点についてでございますが、平成十九年度の都立病院におきますNICUの稼働状況を見てみますと、各病院とも一〇〇%近い稼働率となっておりまして、NICUの需要の高さを示しているものと考えております。

○斉藤委員 ちょっと今の答弁ですと、一〇〇%近い稼働率というのは、不足になり得る危険が非常に高いというふうに解釈もできるので、そういう点では、不足というふうに今いい切ることではないけれども、不足になる直前ぐらいの感じで、ちょっと私の方は受け取っていいのかなというふうに思います。
 では、ちょっと重ねて伺うんですが、さらに回復期の病床について、夜勤の看護体制については不十分で、ひとり飲みというのがあるという話も聞くわけですが、こういったことに関して、都立病院ではないようにというふうに思うんです。
 一方で、長期入院を必要とする新生児がふえたり、実際には長期入院を必要とする新生児は多いわけなんですが、回復期の病床の看護体制に不足が生じれば、NICUからの移行も慎重にならざるを得ない、新たな新生児を受け入れられないというふうなことで、悪循環につながっていくだろうというふうに思います。
 母体搬送を受け入れるには、まず病床を確保しなければならない。これはどんな救急でもそうです。そしてまた、そのために、最も重い病床から一般病床までの流れを、病状に見合った適切なものにしていくということが非常に必要で、そのために、看護体制の充実が結果的には必要になってくるというふうに思います。
 今回、この対策Ⅱの方では、周産期医療センターのNICUの後方病床の看護体制を充実するとの対策が発表されたわけですけれども、都立病院についてはこのような対策はとられないのかどうか、そこを伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 NICU、さらにGCUについてでございますが、まず、現在の都立病院では、お話のような、GCUの看護体制が不十分なことによりNICUからの移行が進まないという認識はございません。
 実際に、NICUの後方病床でありますGCUの看護体制でございますが、これは常時の配置基準ではないので、単純には比較できないかもしれませんが、医療法基準上、三床に対して看護師一名の配置とされているところ、現在の都立病院では平均して一・三床に対して看護師一人を配置し、既に充実しているというふうに認識しております。

○斉藤委員 今、病床の不足について伺ったんですが、この対策の部分について最後に、医師確保のために病院経営本部はいろいろあちこち訪問して、医師確保の協力のお願いをしたと思うんです。実際にその間、どのような条件があれば、派遣したり紹介したりといったことが可能ですよというふうなことで、あちこちからいわれたのか、そこをちょっと確認したいと思います。
 また、その意見に対してどのような改善見込みがあったのか、もしくは改善がなされたのか、そういったところについて、結果をちょっと伺いたいと思います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 医師の確保についてでございますが、今ほど委員からお話がございましたように、病院経営本部におきましては、本部長を先頭に、病院首脳と連携を密にしまして、本部を挙げて医師の確保に取り組み、本部長みずから大学医局を訪問しまして、都立病院の実情を訴え、医師派遣の要請を行ってきたところでございます。
 また、関係学会との意見交換も行っておりまして、医師を取り巻く状況について情報交換、情報収集や把握に努めておるところでございます。
 それらの情報を参考にしながら、昨年度、医師の処遇改善について検討を重ね、給与改善や福利厚生の充実を図ったところでございます。
 こうした取り組みにつきましては、関係学会を初め各大学医局からも大変高い評価をいただいておるところでございます。
 しかしながら、全国的に産科医そのものが絶対的に不足している状況にありますことから、大学医局は新たな常勤医を派遣することは困難なのが実態でございます。こうした現状ではございますが、引き続き大学に対しまして、非常勤医師も含めた医師の派遣要請を行ってまいります。

○斉藤委員 今回、対策Ⅱの中で、ある程度いろいろな項目の中で対策を打つということで、これをまとめられて、また、こういったものを発表されて、前向きにできるような環境をつくっていくというのは評価ができます
 私どもとしても、都議会民主党としても、昨年、多摩地域を中心に産科医療の不足などについて、懸念を代表質問などでさせていただきました。ただ一方で、そうはいいながらも、議会の方でいろいろな提案の場がありながら、結果的にはことし、こういった墨東病院の案件、そしてまた先日の杏林大学病院の方の案件など、そういった残念な結果が出てしまいました。今までもちろん、救急医療や一般の医療、そしてまた福祉の現場の中で、制度や仕組みの体制の問題から、非常に悔しい死というものがたくさんございますし、私もそういったものを何度か見たことがございます。
 そういった中で、もう少し何かできなかったのかなというのは、これは病院経営本部にではなくて、議会、そしてまた東京都そのものにいえることかなと思います。私どもの方としては、ただ単に残念な結果ではなくて、そこに携わった医療スタッフも非常に悔しかっただろうと思いますし、先ほど、ご主人の方の記者会見の話が、田代委員と、そしてまた門脇委員からも出ましたけれども、実際には家族の方の悔しさというものを考えてみれば、もう少し何とかできなかったかなということは、私ども議会も反省する部分かなというふうに思っています。
 ただ同時に、今回、舛添厚生労働大臣が早い段階で、東京都に任しておけないというような話がありました。私は多摩の小平なんですけれども、国立の災害医療センターが立川にございますが、ここも、先日、私どものプロジェクトチームの中で調査をしましたら、小児科医の不足で小児のバックアップができない状態ですから、産科に対するバックアップができないというふうにいっています。また、今回断った病院の中に東京大学の附属病院、これは文部科学省の管轄ですけれども、国立の大学病院が入っております。
 こういったことを考えると、一体国の方は何を知っているんだ、何を認識しているんだというふうに思いますし、同時に、石原知事もそれに対して怒るということは当然なんですが、一方で、逆に、そういったお互いを非難し合うことに力を入れるだけではなくて、当然ながら病院経営本部の話を聞いて、全体的な財務的な部分でしっかり協力をしていただけるよう、病院経営本部からもぜひとも、知事の方にきちんと協力を求めていくということをお願いいたします。
 産科については以上でございますが、救急医療に関して若干伺います。
 ERについてですが、全国の中では、ベッドの有無にかかわらず患者の受け入れを行って、措置後に地域の病院に依頼する、退院して搬送するということをお願いするというふうな方法をとっている自治体もあるやに聞いております。また、措置後の入院患者、これがなかなか退院できないために、これは主に二次救急医療あたりだと思うんですが、救急受け入れが鈍る病院もあるというふうに伺っています。
 地域の医療や地域の福祉が充実すれば、そのような入院延長も減るというふうに聞いておりますけれども、都立病院の現状についてはいかがでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 ER、救命救急に関する問題でございますが、救急患者の受け入れシステムにつきましては、それぞれの地域の実情に応じたものとする必要がございますが、個々の病院が単独ですべての患者の受け入れを行うことは困難であるという認識でございます。そのため、救急医療対策協議会中間のまとめにございますように、地域単位の一次受け入れ、転送システムの導入が議論されているものと認識しております。
 都立病院では、救急医療の充実を図るため、患者の入退院につきまして、地域の医療機関のご協力をいただきながら、必要な連携を図っているところでございます。

○斉藤委員 それでは、先ほどちょっと野島副委員長からも話がありました、公社病院の話について一点伺います。
 今、救急の話だったんですが、その手前の準夜間の一次救急。
 私は東村山、ちょうどお隣でございますので、多摩北部医療センターについては、この準夜間の一次救急については、決まった曜日に、西東京市の佐々病院と協力してやっているというふうなことを伺っております。こういった努力はぜひとも続けていただきたいんですが、この場合は、公社病院が地域の準夜間の診療の場を提供するというふうな役割を担ったわけであります。
 こういった地域との協力というものは、いろいろな提案が先ほども出ましたけれども、実際に公社病院に対して、公益性をどこまで、東京都そしてまた都民が要求していいものだろうか、要求できるんだろうか、このあたりについてどのように考えているか伺います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センターでは、先ほど来質疑をいただいておりますように、周辺の四市が五医師会の協力を得て、平日夜間小児救急診療事業を行っているところでございます。この事業につきまして、公社病院は、地域医療のシステム化を推進することを公社の目的としておりますことから、北多摩北部地域におきまして平日のすべてにわたって小児初期救急診療事業が展開されるということは、これは公社の目的でもあり、基本的役割にかなっているものと考えております。

○斉藤委員 実は、私の地元の医師会の方の小児科の先生からも、清瀬小児病院がなくなることについてかなり懸念されまして、いろいろ要望も出しているというふうな話を伺っております。地域の保護者の皆さんにある程度ご理解いただいて、北部医療センターの方でいろいろな意味で閉鎖後のフォローアップをしていくということ、地域の方にご理解いただくというのは当然でありますけれども、一方で、周辺の医師会の医師の皆さんにもきちんと理解できるように、ぜひともこういった広報活動と説明と、またいろいろな協議については積極的にやっていただきたいというふうに要望いたします。
 なお、最後にちょっと質問ではないんですが、少し気になったこととして意見をいわせていただくんですけれども、今回配布されました資料を見た場合に、例えば看護師の定員と現員の部分での差という点でいえば、定員数よりも多い大久保病院などもあるんですけれども、一方で、多摩北部医療センターが二百十三の定数に対して百九十五の現員数だったり、また荏原病院が三百十四定員に対して二百七十二だったりと、看護師職員がなかなか定員数に達しないという部分があります。医師の確保という点でも非常に努力をしなければいけないところですが、看護師についてもやはり同様にいえると思います。
 ただ、実際には、その中で、女性の産科医の方を意識して、院内保育室などについても今回の配布資料ではあるわけなんですけれども、看護師についても、幾ら保育園を活用して勤務についても、準夜勤とか夜勤というふうに変則的なものがあると、仮に一般の保育園なんかを利用していても、実際に保育をする上で大変支障があります。
 私もそうですし、私がたまたま先日知り合った方もそうだったんですが、奥さんが看護師で、実際に非常にまじめに勤務をしようと思えば非常にきつくなってくる。私も、子どもが保育園に二人いたんですけれども、大変状況がきつくて、実際にはうちの妻の方も、個人的な話ではありますが、いわゆるバーンアウトみたいな形で途中でやめて、今、二人とも看護師資格を持っていますけれども、実際に医療機関で働いておりません。実際にはなかなか、戻るということを前提にして物を考えるというのは非常に難しいです、正直いって。
 そのときに、多摩地域の二次救急医療機関にいたんですけれども、シフトなどについても、十分に救急の対応ができる人が足りなければ、どうしても現実にまじめにやる人に負担がかかって、結果的には体調を壊してしまうというケースがあって、ますます状況が悪化している形になります。そういった方を、単純に院内保育室ができたからといって呼び寄せるといっても、それまでのいろいろな経験から、それだけでは十分に対応できないということがあります。
 先ほど田代委員からお話がありましたように、そのほかに時間短縮などの工夫という話がありましたけれども、確かにそういった工夫というのは組み合わせの中でやっていかないと、本当に技術がある看護師さんが早目に戻ってくるというのは難しいかと思います。これについてはケース・バイ・ケースでありますので、質問とはしませんけれども、実際にはそういったことを配慮して、看護師の方の募集に関しても工夫をしていただきたいということで、要望させていただきます。
 以上で質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十一分散会

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