本文へ移動

ロゴ 東京都議会

Tokyo Metropolitan Assembly

厚生委員会速記録第十号

平成二十年九月三十日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長野上 純子君
副委員長山加 朱美君
副委員長かち佳代子君
理事くまき美奈子君
理事長橋 桂一君
理事野島 善司君
西崎 光子君
大松  成君
佐藤 広典君
田代ひろし君
石毛しげる君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長杉村 栄一君
技監桜山 豊夫君
総務部長松井多美雄君
指導監査部長鈴木 賢二君
医療政策部長吉井栄一郎君
保健政策部長住友眞佐美君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長松浦 和利君
健康安全部長梶原  洋君
事業調整担当部長蒲谷 繁夫君
地域保健担当部長宮垣豊美子君
生活支援担当部長芦田 真吾君
食品医薬品安全担当部長奥澤 康司君
感染症危機管理担当部長月川由紀子君
参事日置 豊見君
参事大久保さつき君
参事飯塚美紀子君
参事菊本 弘次君
参事別宮 浩志君
病院経営本部本部長中井 敬三君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長都留 佳苗君
経営戦略・再編整備担当部長黒田 祥之君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 病院経営本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十二号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
 福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十七号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 福祉保健局所管分
・第百七十号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百七十一号議案 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
・第百七十二号議案 東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
・第百七十三号議案 医学系総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十四号議案 老人総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十五号議案 東京都婦人保護施設条例の一部を改正する条例
・第百七十六号議案 東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
・第百七十七号議案 東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
・第百七十八号議案 東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
・第百七十九号議案 東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
・第百八十号議案 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十一号議案 東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
・第百九十七号議案 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款について
・第百九十八号議案 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(仮称)に承継させる権利を定めることについて
・第百九十九号議案 遺伝子組換え実験等に係る拡散防止装置外六点の買入れについて
・第二百号議案 中央実験台外二点の買入れについて
・第二百一号議案 実験動物飼育用架台システム(個別換気型)の買入れについて
・第二百二号議案 個人防護具(ガウン等セット)外七点の買入れについて
報告事項(質疑)
・都立児童養護施設の民間移譲について

○野上委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○野上委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野上委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係及び福祉保健局関係の付託議案の審査並びに福祉保健局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十二号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 去る九月十六日の本委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、各公社病院及び豊島病院における経営指標の推移、2、各公社病院及び豊島病院における医師、看護要員の定数及び現員の推移の二点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、各公社病院及び豊島病院における経営指標の推移でございます。
 一ページから次の二ページにかけまして、平成九年度から平成十八年度までの各病院における経営指標について、入院、外来別に記載しております。
 恐れ入りますが、三ページをごらんください。2、各公社病院及び豊島病院における医師、看護要員の定数及び現員の推移でございます。
 (1)は、平成十一年度から平成二十年度までの各病院における医師、歯科医師の定数及び現員を記載しております。
 四ページをお開きください。(2)は、平成十一年度から平成二十年度までの各病院における看護要員の定数及び現員を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 第百八十二号議案、条例改正案の提出のありました豊島病院の公社への運営移管に当たりまして、これに関して何点か伺います。
 豊島病院の公社化については、さきの第二回定例会の厚生委員会でも活発な質疑が行われました。我が党からも、特色ある医療の提供、医療機能の充実など、これまで以上に地域に密着した質の高い医療を提供していただくよう要望させていただいたところであります。
 中でも、特に地元の自治体、住民から要望の高い分娩再開については、リスク管理が求められる分娩に対応できるよう、この秋を目途に準備を進めているとのご答弁をいただいております。また、この分娩再開については、地元の板橋区議会、豊島病院の地元であります区議会からも、産科や新生児医療への取り組みなど医療の充実を求める意見書の提出があったと伺っております。
 この秋に分娩を再開することにより、こうした要望にもこたえていくことになると考えるわけでありますが、こうした地域の大変関心の高い豊島病院の分娩再開について、これに関する現在の準備状況、また今後の見通しについて、まずお伺いいたします。

○及川経営企画部長 豊島病院の分娩の再開についてでございます。現在、産科の常勤医師四名のほか、新生児に対応いたします常勤医師も七月に一名採用いたしまして、さらには非常勤の医師を確保するなど、分娩の再開に向けました体制を整えまして、この十月からはリスク管理が求められる分娩を中心に行うということといたしまして、その準備を進めているところでございます。
 現在豊島病院には、既に数名の妊産婦さんが通院中でございますけれども、分娩に対する安全性を確保するために、再開後二、三カ月程度は、症例数をある程度制限する必要があるというふうに考えておりまして、民間の医療機関では対応が困難でございます、例えば糖尿病合併妊娠とか、双子や三つ子などの多胎等、妊娠中や出産後の母体、胎児、新生児、こういった経過や出産後のリスクが予想されます分娩を対象としていくといった考え方でございます。その後に、安全性を十分に確認した上で、地区医師会や地域の医療機関とも密接な連携を図りながら、こうしたリスク管理が必要な分娩を中心に、段階的に受け入れ対象や件数を拡大していく計画としております。

○山加委員 産科、そして小児科など、特定の診療科における医師不足、これは全国的な問題でありまして、その確保が大変困難なことは周知の事実であります。そのような中で、今ご答弁いただきましたように、豊島病院では、分娩の再開に向けて、産科、新生児専門医の確保を着実に進めてきたということ、大変評価をしたいと思います。
 しかし、一方では、最近は私の世代ですと、ほとんど三分の二が高齢出産でありますけれども、最近は特に高齢出産などで帝王切開になるというケースもふえているようであります。母子の状態によっては、相当に高度な医療行為も必要になると聞いておりますが、お産に対するリスクに十分に留意をしながら、どうか適切な対応を進めていただくよう要望させていただきます。
 さて、この豊島病院の公社化後も、地域の中核病院としての機能を充実させ、地域全体の医療サービスの向上を図っていくこととしております。その診療規模については、さきの厚生委員会におきまして、医療スタッフの確保状況や患者実績等も勘案しながら、より適切な診療規模を設定していくというご答弁をいただいているわけでありますが、今年度の予算病床数を見ますと三百四十八床となっております。
 今後は、地域の医療ニーズにこたえていくためには、必要な病床数を確保していくということが大変重要と思うわけでありますが、そこで、公社化後の豊島病院の病床数がどうなるのか、病床数の考え方についてお伺いいたします。

○及川経営企画部長 公社移管後の豊島病院の病床数についてでございますが、先ほど申し上げました今回の分娩再開によります産科病床の整備といったことや小児科の充実、また、重点医療といたします救急医療、それから、脳血管疾患医療、がん医療などに対応するための病床を確保いたしまして、地域の中核病院としての役割を果たしていきたいというふうに考えてございます。
 特に、脳血管疾患医療では、脳卒中治療を重点的に行う病床を確保するため、SCU、これは脳卒中センターでございますが、これを整備するなど、今後も地域住民の期待にこたえてまいります。
 今年度は、ご指摘のとおり、これまでの患者実績等を勘案いたしまして、三百四十八床ということで運営をしておりますけれども、今後の重点医療と、先ほど述べましたこうした医療等の要素を十分に考慮しながら、当面必要な病床数を確保いたしまして、地域の医療ニーズにこたえていきたいというふうに考えております。その上で、周辺の医療環境等も踏まえながら、将来的には全病棟の開棟を目指してまいります。

○山加委員 社会環境が大きく変化をしている中で、地域からの医療ニーズや医療の需要状況を踏まえ、地域に必要な医療を確保していくためには、病床を含め、持てる医療資源を最大限活用していくことが大切であることはいうまでもないことであります。今ご答弁をいただきましたけれども、将来的な全病棟開設に向けて、どうか努力をしていただきたいと思います。
 さて、先ほど、分娩の再開に向けて産科や新生児専門医を確保したとのご答弁をいただいたわけでありますが、医師不足とともに看護師の不足も全国的な問題となっております。その確保をすることは、病院運営を行っていく者にとっては極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 現に、多摩北部医療センター、また荏原病院など、一部の公社病院では看護師確保が大変厳しく、病棟を休止せざるを得ないなど、病院が本来持つ力を十分に発揮できずに、現場の皆さんは大変悔しい思いをされていることと思います。この公社病院における看護師不足については、七対一の新看護基準を契機とした全国的なものであるわけでありますが、それを理解せず、あたかも公社化したことが原因であるかのように主張される向きもあるように思います。
 そこで、公社病院における看護師欠員の状況が公社化を起因としているものなのか、その点について改めて確認をさせていただきたいと思います。

○及川経営企画部長 看護師の欠員の問題でございますが、今回要求資料でもお示しをしてございますが、ここ数年、特に、ここ二年から三年ぐらいの間なんですが、看護師の確保は大変厳しい状況にございまして、この傾向は公社病院だけでなく、都立病院においても同様でございます。
 その中で、公社病院の個々の病院を見てみますと、平成二十年度を見ますと、例えば開設当初から公社病院でございました東部地域病院においては、看護師は充足の状況にございます。一方、やはり開設当初から公社病院であった多摩南部地域病院は欠員といった状況になってございます。
 また、都立病院から公社移管を行った病院について見てみますと、例えば、大久保病院は都立時代と変わらずやはり充足しているといった状況にございますが、残念ながら、多摩北部医療センター、荏原病院につきましては欠員の状況ということでございます。
 これらのことから、看護師の欠員状況は、やはり基本的には七対一の新看護基準といった診療報酬制度に起因をしているというふうに考えるところでございますが、先ほどのデータにもございますとおり、個々の状況を見ますと、地域性などの病院の置かれた個々の事情も影響しているというふうに考えられるところでございます。

○山加委員 公社化により看護師の不足が生じているという主張は事実に基づいていないということが、今のご答弁によってまた確認をできたわけであります。しかし、今お話にあったように、荏原病院、多摩南部地域病院の状況を見ますと、大変厳しい欠員状況にあるのもまた事実であります。こうした事実を真摯に受けとめ、看護師の確保、定着の対策をしっかりと実りあるものとしていかなければならないと考えております。
 そこで、看護師の確保については、これは病院運営のかなめであるわけでありますが、当然さまざまな取り組みを行っていると思います。保健医療公社における看護師確保、定着に向けた具体的な取り組みについて、また、豊島病院においては、公社化にあわせ医療スタッフをどのように配置していくのか、あわせてお伺いいたします。

○及川経営企画部長 保健医療公社におきます看護師確保の取り組みでございますが、まず、固有職員の確保対策としましては、公社事務局での早期選考や毎月採用の実施、病院での随時採用の拡大、面接を重視しました採用試験を実施するなど、公社独自の工夫を凝らし、採用に努力しているところでございます。
 また、定着対策としましては、三交代制から夜間を分割しない二交代制への移行など勤務体制の多様化を図るとともに、新人看護師の看護実践能力の向上を図るため、採用から三カ月間指導者をつけ、さまざまな病棟などを回り、多様な業務を経験するグローアップ研修の実施、中堅職員のスキルアップのため、認定看護師の資格取得支援など、さまざまな取り組みを行っております。
 こうした取り組みの結果、新卒看護師の採用確保状況は昨年と同程度でございますが、年度途中の看護師の退職者数について見てみますと、八月一日現在で、昨年と比較をしまして二十名程度の減少ということになってございます。看護師の確保につきましては依然として厳しい状況が続いておりますけれども、さまざまな工夫を凝らし、引き続き看護師の確保、定着に努めたいというふうに考えてございます。
 次に、豊島病院に勤務する医療スタッフの配置でございますが、豊島病院が公社化される際には、これまで公社化をしてまいりました病院と同様に、希望する方につきましては、公社固有職員に身分を切りかえて、引き続き豊島病院に勤務することとなります。そのほかにつきましては、当面、現在豊島病院に勤務している医師、看護師等を都職員の身分のまま派遣することになります。
 このように、医療スタッフの確保対策、あるいは職員配置を行っていくことによりまして、公社化後の豊島病院の医療機能に十分対応できる医療スタッフを確保してまいります。

○山加委員 豊島病院の公社化に向けて、今後も引き続き、医療スタッフの確保に努め、万全の体制で公社移管を行っていただくよう強く要望いたします。
 今回、豊島病院を公社化することによって、来年度から保健医療公社は六病院体制となり、病床数も二千床を超えるという病院経営を行うことになるわけであります。医療現場を取り巻く環境は、今後ますます厳しくなると思われるわけであります。そしてまた、公社病院に対する住民、都民の期待も大変大きいものがございます。
 そこで最後に、豊島病院の公社への運営移管に当たり、改めて中井病院経営本部長の強い決意を伺い、私の質問を終わらせていただきます。

○中井病院経営本部長 豊島病院の公社化に当たっての決意ということでございますが、豊島病院はこれまでも、感染症医療、緩和ケア医療、精神科救急医療などの行政的医療を担う一方で、地域の医療機関との連携を通じて、地域医療に重要な役割を果たしてきているわけでございます。
 公社化に当たりましては、これまでのこうした実績を生かしつつ、地域の医療機関等との連携をさらに強化し、地域の中核的な役割を果たす病院として、地域全体の医療サービスのさらなる向上に努めてまいる所存でございます。
 具体的には、救急医療、脳血管疾患医療、がん医療を重点医療として取り組みを強化してまいります。
 また、先ほどもお話ございましたが、地域からの要望の高かった産科医療については、産科や新生児の専門医の確保にめどが立ったことから、リスク管理が求められる分娩を中心に診療を再開してまいります。
 このような取り組みを中心に、地域ニーズを十分に踏まえた特色ある医療サービスの提供に努めてまいります。
 また、ご指摘のございました看護師の確保につきましては、公社病院においては、これまでも採用選考の機会拡大や勤務体制の多様化など、その確保に努めているところでございますが、豊島病院につきましても、看護師の確保、定着対策にさらなる努力、力を投じてまいりまして、看護師の確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 こうしたさまざまな取り組みにより、公社化後の豊島病院がこれまで以上に地域住民の期待にこたえられるものになるよう、病院経営本部、そして保健医療公社一丸となって、来年四月の移管に向けて万全の準備を行ってまいります。どうかご理解とご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

○佐藤(裕)委員 豊島の公社化に反対の立場ではありませんので、ご安心をいただきたいと思うんですが、先ほど来の山加副委員長の質疑を聞いておりまして一点気になったのが、ご答弁の中で、将来的には全病棟を開棟してというご答弁があったんですけれども、最近、私も記憶障害が出ているので定かではないんですが、何年か前に、公社に渡すまでには全面オープンしますというご説明を聞いたやに記憶があるんですが、それは、まず記憶は間違いでしょうか。
 今、三百四十八床というんですけれども、全面オープンすると何床になるか、確認だけさせてください。

○及川経営企画部長 過去の答弁で、全面開棟してから公社に渡すということは、私自身は記憶はございませんので、少し調べさせていただきたいと存じますが、豊島病院の法定の病床数は四百七十八床でございます。ただ、先ほど来申し上げているとおり、医療の周辺は激変しておりまして、あそこは区北西部の医療圏で、ご案内のとおり日大板橋、それから帝京、大きな一千床規模の病院が二つある中で、また、板橋中央病院等グループの病院がございまして、大変病床が多い地域でもございます。
 平成十一年に豊島病院が新しくオープンしたときにも、そういった付近の状況から、法定いっぱいの開設をするよりも、まず状況を見て段階的にということで、何回かのステップを経て、最終的には三百六十床という形でこれまでずっとまいりました。そこでまた医師の不足、それから産科を代表とするそういった病床の問題もあって、やはり豊島病院の病床利用がなかなか上がらないということもございまして、三百四十八床という形で予算病床を組ませていただきました。
 しかし、その後医師も大分戻ってまいりまして、おかげさまで処遇改善等をやらせていただきましたので、こういう将来的に明るい材料が見えてまいりましたので、今後は必要な病床数はきちっと確保していくと。ただ、全面的にすぐオープンという形はなかなかとりづらいものですから、もう少し状況を見させていただきたいということでございます。

○佐藤(裕)委員 これでやめますけれども、あと百三十床あるわけですね。これはなかなか全面的にオープンというのは難しいのはわかります。これは医療スタッフの確保の問題を含めて大変難しい、厳しい状況はわかるんですが、また、医療環境といいますか、某大学病院が、近所にでかいのが越してくるとかいろいろ聞いておりますので、そこら辺の事情はわかっておりますが、いろいろと板橋に云々という話もあったので過去の経緯はわかりますけれども、東京都立の病院としてもなかなか全面的にオープンができなかった、開棟ができなかったものが、これは保健医療公社の実力云々という問題ではなくて、公社がこれから先、あと百三十の病床をオープンするのは非常に私は厳しいと思うんですよ。
 具体的に、これから状況を見てという話なんだろうけれども、東京都として全面開棟に向けて、医療公社へ何をこれからしていこうという構想のもとで来年公社化しようと、こういう思いがあるんだということがあれば教えていただいて、もうそれ以上聞きませんから、終わります。

○及川経営企画部長 まず、先ほどの重点医療はございますけれども、豊島病院は、歴史的に見ても、やはり産科を中心に動いてきたというところがございます。産科でお子さんが多いということになると小児科もふえて、それでまたどんどん患者さんもふえていくというようなことで、やはり今回一番ネックになっていますのは、医師の不足によって産科を閉めざるを得なかったというのが、本音のところでは厳しい状況ですが、その産科の医師が戻ってきた。それに従って、小児科の医師も少しずつふえてくる。それと、地域の要望もございますが、脳血管疾患、それとリハビリが連動して、そういったいわゆる脳卒中とリハビリが連動したような、そういう地域の要望が高うございますから、そういったものを中心に豊島のよさを伸ばしていけば、将来的に四百七十八床のオープンというものは目指す意味はあるというふうに私どもは考えております。

○佐藤(裕)委員 わかりました。頑張ってほしいし、しっかり予算もつけて、物心両面でバックアップするようにお願いして、終わります。

○長橋委員 私からは、同じく条例提案のありました先進医療に関連して何点かお伺いをしたいと思います。
 我が国の保険診療制度、皆保険の制度、これによって日本は世界のどこよりも類のない超高齢社会を迎えているわけであります。まさに日本のこの保険診療制度、そして、なおかつすぐれた医療技術が超高齢社会を迎えるに当たって大変貢献をしてきたというふうに思うわけであります。
 そういう中で、さらにやはり医療に求められることは、患者中心の医療であろうかと思います。そういう中で、私がこの委員会でも取り上げましたけれども、医療技術は日々大きく変わっている。新たな技術が開発をされている。今お話のあった看護師不足についても、今一生懸命取り組んでいらっしゃいますけれども、一つは、話がそれますけれども、看護師不足という問題についても、潜在看護師をもう一回復帰させるような仕組みをつくったらどうか。復帰するに当たっては、資格を持っていても、もう一度研修を受けないと復帰はできない。だけれども、その場が少ないということで、それをふやした経緯もありますけれども、そういう中で、医療技術が日に日に変わっていく中にあって、まだ保険診療に採用されていない医療技術がある、こういうふうにお伺いいたしました。だけれども、そういった保険診療を認められていないけれどもすぐれた医療技術を受けたい、そして自分の病気を治したい、こういう患者さんの思いは強いかと思います。
 そういう中で、この先進医療というのは、保険適用前であってもその医療技術の提供が受けられるということであろうかと思いますけれども、そういう私の先進医療の認識であります。まさに患者中心ということは、医療を受ける選択肢が広がる、こういうふうに思うわけでありますけれども、改めて、先進医療の制度はちょっと複雑なので、教えていただきたいと思います。

○都留サービス推進部長 我が国の公的医療保険制度では、保険診療と保険外診療の併用、いわゆる混合診療は原則として認められておりませんが、例外として認められているのが保険外併用療養費制度でございます。先進医療は、この保険外併用療養費制度のうち、将来的に保険給付の対象とすべきか否かの評価を行う評価療養に位置づけられております。先進医療は、一定の要件を満たした医療機関が実施し、そこから集められた臨床データに基づき、厚生労働省が科学的な視点から安全性、有効性などの検証を行いまして、将来的に保険制度を適用する医療技術であるか否かが判断されるものでございます。

○長橋委員 今、先進医療についてご説明がありました。いわゆる混合診療ではすべてが自己負担になる。しかしながら、保険外併用療養費制度の中で評価療養に位置づけられると、将来的に保険適用につなげるために、また、そういった技術の普及を図っていこう、こういうためにこの先進医療が認められているという認識だと思いますけれども、なかなかこの新しい医療技術、私も後で話しますけれども、厚生労働省にはその一覧がありますけれども、よく聞きなれない内容が多くて、いつになったらそれが保険適用になるのかというふうに思うわけでありますけれども、そのための先進医療の制度であるかと思います。
 しかしながら、日本は医薬品とか医療技術については、なかなか認可が遅いというふうにいわれている。もちろん慎重でなければいけませんし、臨床もきちっと積み重ねていかなければいけないと思うわけでありますけれども、そういった意味で、この先進医療、東京都立病院が取り組んでいくということは大変重要なことであろうかと思いますけれども、先進医療の臨床を重ねていって、いつになったら保険適用になるのか、どうやったら保険適用になるのかといった手続についてお伺いをいたします。

○都留サービス推進部長 先進医療が保険適用となるのは、通常二年に一回行われる診療報酬改定の際でございます。その手続でございますが、まず、各医療分野の専門家を委員とする先進医療専門家会議におきまして、先進医療に取り組む各医療機関からの毎年の実績報告に基づき、その有効性、安全性、技術的成熟度、普及性などの観点から、各先進医療ごとに保険適用の妥当性について総合的に評価されます。
 次に、保険制度における療養の給付に関する費用等、つまり診療報酬などでございますが、それについて審議いたします中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協が先進医療専門家会議の報告内容を審議いたしまして、その先進医療が保険適用すべき医療技術であると判断された場合に保険が適用されるという仕組みになっております。

○長橋委員 二年に一回行われる診療報酬改定の際に、保険適用について審査されるということであります。非常に慎重に対応していかなきゃいけないと思いますし、そういった意味では、二年に一回というのが妥当なのかどうかということは、私ははっきりと判断はしかねるんですけれども、また逆に、同じ先進医療でも、多くの病院が取り組んでいるものと、なかなか取り組めないものと、それぞれあろうかと思うわけでありまして、一律に二年というのはいかがなものかなというふうにも思ったりするわけであります。
 そういった意味で大事なことは、評価が固まってくれば、きちっと今いったような手続を踏んでくれば、患者にとっては、負担の面においても、またその医療、術後の生活にあっても、先進医療を受けることによって生活がさらに、生活といいますか、医療後もしっかりと生きていけるというようなことだと思いますけれども、その先進医療の実施に当たって、患者さん、私も含めてそうなんですけれども、先進医療を受けるとどういうメリットがあるのかどうかということが少しわからないんですけれども、そこら辺について教えていただきたいと思います。

○都留サービス推進部長 先進医療のメリットでございますが、患者さんにとりましては、まず、理事ご指摘のとおり、保険適用前でも先進的で有用な医療技術を受けることを選択できるということがございます。二点目といたしまして、国の定めた基準をクリアした医療技術として安心して選択ができること。また、三点目といたしまして、いわゆる混合診療の場合は、医療費の全額が自己負担となるのに対しまして、先進医療では、患者さんは、通常の保険診療の自己負担分に先進医療の費用を追加するだけで保険適用前の先進的な医療を受けることができるなどのメリットがございます。
 また、先進医療を実施いたします病院側のメリットといたしましては、まず、その病院の医療水準に関する周囲からの評価、信頼が高まること。二点目といたしまして、保有する先進医療技術を安定的に患者さんに提供していくことができること。三点目といたしまして、先進医療分野に取り組んでまいりました職員のモラールアップにつながるということなどが挙げられます。

○長橋委員 メリットをお伺いしまして、ひとえに患者さんにとってみれば、医療費の負担が少なくなるという大変大きなメリットがあるわけでありまして、またあわせて、先進医療に取り組む病院にとっては、その病院の評価が高まる、こういったメリットもあるし、また、職員のモラールもアップするということでございます。
 厚生労働省のホームページを先ほど申し上げましたけれども、九十九の、病院が先進医療に今取り組んでいるというリストがございます。その中には、都立病院は一つも入っていないわけであります。ばあっと見ますと、ほとんど大学病院が多いわけでありまして、先進医療に取り組むに当たっては、ただ手を挙げればいいというものではなかろうかと思います。そうした施設も必要であろうかと思いますし、スタッフも必要であろうかと思います。
 そういう中で、都立病院がこの先進医療に取り組むということ、具体的には、都立駒込病院がこの先進医療に取り組むということは、同じ取り組む先進医療の内容が、乳がんにおけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索ということであります。よく意味がわからないんですけれども、ほかの病院でもこの先進医療については取り組んでいるということで、そこに駒込病院が取り組むということは、都立病院の代表として実力が問われるのだろうなと思いますし、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 ご案内のとおり、都立駒込病院は、将来、がん・感染症医療センターとして整備をするわけでありまして、日本においても、東京においても、がんの医療については先駆的に取り組んできた病院であるわけでありまして、ぜひこうした乳がんにおける先進医療にしっかりと取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、今、私が申しました乳がんにおけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索、読んでもわからないんですけれども、どういう医療なのか。そしてまた、この同じ先進医療を都内でどれぐらい実施しているのか、あわせてお伺いいたします。

○都留サービス推進部長 乳がんにおけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索とは、乳がん手術の際に、放射性同位元素と色素を用いてセンチネルリンパ節を確認して取り出し、がんのリンパ節転移の有無を病理組織学的、つまり顕微鏡で見て調べる医療技術でございます。センチネルリンパ節とは、リンパ管に侵入したがん細胞がリンパの流れに乗って最初にたどり着く、わきの下の入り口にあるリンパ節でございます。このセンチネルリンパ節へのがんの転移がない場合は、そこから先のわきの下のリンパ節に転移がないということが予測できますため、わきの下のリンパ節の全部を切除しない、あるいは切除の範囲を少なくするという判断になります。
 このように、乳がんの手術において、必要以上のリンパ節切除を避けることができるため、腕のむくみ、リンパ浮腫と申しますが、それを減らすことや、肩や腕を動かす機能の温存を図ることもできまして、手術後の患者さんの生活への影響を少なくすることができます。
 次に、この先進医療の都内での実施状況でございますが、本年二十年四月一日の時点では、国立がんセンターや財団法人聖路加国際病院など都内で八病院が実施しておりましたが、その後、日本乳癌学会の働きかけもありまして、現在では二十を超える病院が取り組み始めております。

○長橋委員 今のご説明を聞いて、二回聞くとよくわかると思うんですけれども、リンパ浮腫という、これは私も地域の方からご相談をいただいたことがあります。がんの術後にそういった症状が出る。足なんかは、本当に象の足のようになってしまうような症例もあると聞いておりまして、相談を受けた方は、大変それに悩んでいらっしゃるということがありまして、そういったことが術後防げるということであろうかと思いますので、先進医療の中でも、しっかりと取り組んでいただきたい医療かなと思うわけであります。
 そういった意味で、こういった先進医療をぜひ受けたい、こういうふうに思うわけであります。しかしながら、がんの患者さん、今回は乳がんの患者さんでありますけれども、そういったことを、医療がわからない、ましては知らない、私自身もこういった先進医療があることは、今回質問に当たって調べたり、教えてもらったりしてわかったわけであります。そういったこの先進医療の治療を受ける、どうやったらそういった治療方法について知り、なおかつ手続をしてできるのかどうか。また、今回駒込病院で取り組むわけでありますけれども、ほかの病院でも、先進医療に取り組んでいない病院でも、例えば都立病院でもそういった手続ができるのかどうか、そこら辺をあわせてご説明いただきたいと思います。

○都留サービス推進部長 都立病院では、インフォームド・コンセントの観点からも、医師が患者さんに治療方針や治療の効果、起きる可能性のある副作用などを事前に十分説明した上で治療に臨んでおります。
 今回の先進医療につきましても同様でございまして、乳がんの診療を行っていく中で、この先進医療に適合する患者さんに対しまして、その効果や必要な費用などを説明した上で、その治療を希望するかどうかを選択していただくことになります。このように、先進医療を受ける場合に、患者さんに通常の診療と異なる特別な手続をしていただくことはございません。
 ただ、ご質問にありましたように、例えばこの先進医療をやるという場合には、その病院、できる病院といいますか、今回の場合は駒込病院ですけれども、まずそういうことが要件になっておりますので、同様に、例えば乳がんにおけるセンチネルリンパ節の切除というものは、承認を受けなければほかの病院でもということではございませんので、それは手続がやはり必要でございます。それは病院側の手続ということでございます。患者さんは大丈夫でございます。

○長橋委員 今聞いたのは、センチネルリンパの先進医療が、駒込病院へ行けばそういうインフォームド・コンセント、説明を受けて、どうされますかと患者さんに選択していただくと。そうしたら、その場合には特別な手続は必要ないですよ、こういう話ですよね。ところが、ほかの都立病院で、その方はセンチネルリンパ節の先進医療を受けたいと思ったけれども、ほかの都立病院ではやっていないという場合には、その医療であれば今度駒込病院が始めましたよというふうに紹介していただけるのかどうか、そういうことが可能かどうかということでございます。

○都留サービス推進部長 大変失礼いたしました。この先進医療をご希望の方は、駒込病院に紹介ということは、もちろんご希望があれば可能でございます。

○長橋委員 わかりました。ありがとうございます。先進医療が通常の診断の中で受けられるということであります。
 乳がんというのは、我が党もがん対策については取り組んでまいりましたけれども、特に早期発見が重要である。現在マンモグラフィーによる診断など、各種検診事業が、乳がんについては特に普及が進められているわけであります。しかしながら、不幸にも乳がんにかかってしまう方は多くて、女性のがん患者の中でも最も多いのは、この乳がんの患者さんであるというふうに聞いているわけであります。
 そういう意味で、こういった先進医療、もちろん負担もあるわけでありますけれども、先進医療に入ることによって負担が少なくて済むということに当たって、大変ありがたい技術であろうかと思いますけれども、今ほかの病院でもという話もいたしましたけれども、都立病院として、この先進医療に取り組むに当たって周知をどうやっていくのか。また、このセンチネルリンパのことはどういう内容なのかということも含めて周知をしていかないといけない。将来、このリンパ浮腫という、私もそこだけは見たことがありますけれども、大変ご苦労されていることを考えると、しっかりと周知をしていただきたい、こう思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。

○都留サービス推進部長 都民の皆様への周知のことでございますけれども、まず、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、駒込病院を受診される乳がんの患者さんで、この先進医療に適合する方につきましては、診療を通じて個別にこの先進医療についてご案内をしてまいります。また、先進医療実施に当たりましては、駒込病院の病院内に掲示を行うなどの周知も図ってまいります。
 また、都民の方々に対しましては、駒込病院のホームページに先進医療実施の情報を登載していくほか、東京都の医療機関案内サービスの「ひまわり」を活用いたしました情報提供を行って、広く周知を図ってまいります。駒込のホームページあるいはこの「ひまわり」には、病院経営本部のホームページからもアクセスできるようになっております。

○長橋委員 該当の患者さんには個別にお知らせをしていく、それ以外に、駒込のホームページに掲載する、アップする。それから、「ひまわり」にも情報提供を行っていくということでありますけれども、やはり先進医療を多くの方がこれを知って受けられるということが大事だろうと思いますので、いきなりいいますけれども、ぜひ「東京都広報」なんかにもそういったことを周知の手段としてやることも大事じゃないかなと思いますので、ご提案しておきたいと思います。
 今回、一つの先進医療に取り組むわけでありますけれども、ぜひ駒込病院以外の都立病院でも、こうした先進医療に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけであります。先進医療について、今載っている九十九の中には都立病院はないわけでありますけれども、先進医療の経緯を聞くと、いろいろと名称が変わってきたり、いろんな経緯があって今先進医療となっている、高度先進医療とかいろんな名称があったというふうに聞きましたけれども、今まで都立病院は初めてじゃなかろうと思うんですね。どうやって取り組んできたのか、そしてまた、今お話ししましたほかの都立病院でも、ぜひそういった先進医療を、病院の実力が問われるとともに、病院の実力がアップする、また、評価が高まるということでありますので、他の先進医療についてもぜひ取り組んでいただきたいと思うわけですけれども、ご答弁をお願いします。

○都留サービス推進部長 先進医療について、都立病院ではこれまで、駒込病院が平成十年から固型腫瘍のDNA診断という医療技術を実施しておりましたが、平成十八年に保険適用となりました。その後、駒込病院で強度変調放射線治療、大塚病院と豊島病院で超音波骨折治療法という先進医療に取り組むべく症例を重ねるなどの準備を進めておりましたが、届け出前の本年、平成二十年四月に保険適用となりました。現在では、駒込病院で今回の乳がんにおけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索のほかに、腹腔鏡補助下での肝臓の切除術につきまして、先進医療の施設要件を満たすべく準備を進めているところでございます。
 患者さんの治療の選択肢を広げる観点から、また、医療の高度化に的確に対応していくため、都立病院におきましても可能な限り先進医療に取り組んでまいりたいと考えております。

○長橋委員 最後でございます。今、最後に、力強く可能な限り取り組んでいくということがいわれました。東京は、大学病院を初め高度な医療技術を持った病院が集積しているわけでありますけれども、そういう中で、都立病院がこういった先進医療に取り組んでいくということは重要なことであろうかと思います。やはり都民の立場から見ると、都立病院がそうした先進医療に取り組むことが都立病院への信頼として--都立病院が担う行政的医療ということとあわせて、ぜひとも先駆的に取り組んでいただきたいことをお願いしまして、質問を終わります。

○かち委員 私からも、第百八十二号議案、都立病院条例の一部改正に伴って、都立豊島病院の公社化にかかわって何点かお聞きします。
 こういう議案が出てくると、やっぱり東京都の病院改革マスタープランのこれまでの経過というものを顧みざるを得ない状況です。都立病院はこれまで、地域の医療ニーズにこたえながら高度医療にも取り組み、発展してきた歴史があります。今日、がん医療や脳卒中の克服、また、周産期医療などの地域連携やその拠点化など、新たな課題が生まれています。研究主体の大学病院などが集中しているこの東京で、都立病院がそのイニシアチブを発揮していくことがますます求められているところです。
 ところが、東京都は、二〇〇一年に都立病院改革マスタープランを発表し、その後の病院改革実行プログラムによって、十六あった都立病院を半減する計画を打ち出し、この間、都立病院の統廃合、公社化などを進めてきました。
 今回議題になっている都立豊島病院の公社化は、第一次実行プログラムでは老人医療センターと合併して民営化ということが当初の計画でした。この計画を知った板橋区が、それは余りにも忍びないということで、豊島病院は区が引き取る、しかし、老人専門の唯一の病院である老人医療センターは都の直営でという異議が上がり、都区間での交渉が続けられてきたわけですが、結局この話し合いは不調に終わり、振り出しに戻ったわけです。
 本来ならこの経緯をきちんと総括し、第二次実行プログラムの中で検討すべき課題であったものを、計画の前倒しということで、突然に今度は公社化だということで、来年四月からの公社移管を打ち出してきたのが今日までの経過です。その理由も、利用する患者さんが比較的板橋区民が多いということで、地域性が強い、だから地域医療支援病院を目指す、そのために公社化だという理由づけですけれども、私はその論法にいささか疑問を持っています。こういう観点から質問します。
 ところで、本年六月二十五日付で板橋区議会から都に対し意見書が出されています。この意見書が出されてくる経緯は、板橋区議会の健康福祉委員会に、都立老人医療センターと豊島病院は都立直営でという項目を含め五項目を挙げられて出されたものですが、一番目の都立直営は継続審議になったものの、他の四つについては全会一致で採択をされ、六月二十五日に都に意見書として出されたものです。老人医療センター関連については省きますけれども、豊島病院の関係では、まず四百七十八床の病床を全面開設すること、二番目に、休止中の産科、未熟児・新生児救急センターを再開し継続することということであります。
 まず、この意見書に対し、都はどのように受けとめ、対処しようとしているのでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 板橋区議会からの意見書についてでございますが、先ほども答弁させていただいたところでございますが、まず、産科につきましては、常勤医師四名のほか、新生児に対応する常勤医師を七月に一名採用いたしまして、さらには非常勤医師を確保するなど、分娩再開に向けた体制を整えまして、この十月からはリスク管理が求められる分娩を中心に行うことといたしまして、その準備を進めているところでございます。
 NICU、新生児集中治療室につきましては、全国的な医師不足によりまして医師確保の見通しが立たない中で、今後もただ休止状態を続けていくことでは都民の周産期医療ニーズにこたえることはできないことから、都立病院全体でNICUをカバーしまして、病院間相互の連携を強化しながら機能を維持していくこととしました。大塚病院と墨東病院に各三床NICUを移転しまして、機能の集約化を図っていくこととしたものでございます。
 こうした要素と地域の医療ニーズを踏まえまして必要な病床を確保し、将来的には全病棟開棟を目指すこととしているところでございます。

○かち委員 NICUについては後ほどいいますけれども、ベッドの全オープンについてですけれども、先ほど来議論にもなっておりますけれども、出していただいた資料を見ますと、公社病院をめぐる経営環境の変化がずっと見えてきます。経営指標を見ても、公社病院のベッド稼働率はここ数年どこも八〇%前半程度で、大変厳しい状況が強いられています。
 東京都監理団体経営目標の達成状況、経営実績というのが出されていますけれども、それを見ますと、昨年の平均ベッド稼働率は八〇%です。今年度は八三%を目標にするといっておりますけれども、この資料の医師の充足状況などを見ても、軒並み充足しているところはないという状況の中で、産科の獲得ができたので、兆しがあるから将来全面オープンできる可能性があるというようなお話でしたけれども、そういう状況はとても見えないんじゃないかと思いますね。そして、将来的に全面開設するといっても、公社に移管した後の話であれば、全面オープンするかどうかも公社が判断をするものではないかと思うんですけれども、あたかも都として全面開設するというようなお話がありましたけれども、その辺はどうなっているのでしょうか。
 今まで都立の段階で十年間も三次開設ができないまま今日に至っている状況の中で、公社になれば開設できるという条件がどこにあるのか、お聞きしたいと思います。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 豊島病院の病床の今後の見通しについてでございますが、病床利用率の低下は、全国的な医師不足によりまして、豊島病院におきましても産科、小児科、整形外科の医師が欠員となったことによるものでございます。しかし、これら医師の確保につきましては、処遇改善などの取り組みによりまして一定の改善を図ったところでございます。
 今後の見通しにつきましては、先ほどもご答弁いたしたところでございますが、例えば重点医療の一つとしてまいります脳血管疾患医療につきましては、SCUの整備によりまして高度専門的な脳血管疾患医療を提供していくなど、豊島病院が持っております人材や施設、設備を有効に活用していくとともに、地域からの医療ニーズや医療の需給状況を見きわめながら、将来的には全病棟開棟を目指すこととしております。この将来的には全病棟開棟を目指すこととしているというのは、これまでの厚生委員会の私どもからの説明、また質疑等もございましたが、財団法人東京都保健医療公社豊島病院(仮称)の医療機能等についてということで、公社化検討委員会というものを開きまして、また、地区の医師会ですとか行政機関ですとか住民の代表の方等々を交えました準備会で議論しまして、この公社化後の豊島病院の医療機能について議論してまいりましたものでございます。
 この協議会準備会の中で、将来的には全病棟開棟を目指すこととしているというふうにしたものでございますが、この協議会準備会には保健医療公社もメンバーとして入っているということでございます。

○かち委員 板橋区の先ほどの健康福祉委員会の質疑の中で、板橋区としても、ある財産を有効に活用してほしいということで、東京都の方には全オープンしてほしいということを意見として上げているということが議事録を見ますと書かれております。そういう意味では、板橋区民の、議会も区も挙げて、あるベッドをオープンしてほしいというのを、将来の話ではなくて、今もうやってほしいという要求なんですよね。それをずっと抑えてきて、今度公社になって、将来なるでしょうといっても、それは本当に空手形だと思うんですよ。本当にやるのであれば、都としてきちんとオープンをする、保証をつけて送り出すというのがやっぱり当然じゃないですか。
 それで、荏原病院の公社移管のときも同じようなことがいわれましたね。地域の皆さんの要求は全部受け入れますということで、今までやっていた医療の上に、さらにがんの集学的医療をやります、それから放射線も入れます、脳卒中の集中治療室も拡充しますと、今まで以上に重装備の病院でオープンというか移管したにもかかわらず、今それが継続どころか病棟閉鎖も余儀なくされているという状況では、今のお話では何の担保にもならない、こういうことをいっておきます。
 周産期医療の代替措置として六床、NICUを大塚と墨東に三床ずつ振り分ければ、減るわけではないからいいんだというお話ですけれども、NICUは全国で千床不足しているともいわれております。都内でも深刻な事態が発生しているわけです。昨年の三定議会で、我が党も一般質問で取り上げましたが、受け入れ病院がなくて結局都外の病院へ運んだけれども、結果的に死産になってしまったという事例なども生まれているわけですよね。そういう意味では、今の数を保持すればいいというよりも、今の数を充足しなければいけない、こういう環境の中にあって、豊島病院には既に設備はきちんと整っているし、先ほどもありましたけれども、歴史的に産科を中心にやってきたノウハウも積み上げがあるわけですよね。そういう意味では、大塚と墨東に三床ずつ振り分けるというだけではなくて、もちろん今すぐ医師を充足できないという事態もあることもわかります。当面そちらに振り分けるにしても、豊島病院でのNICUのベッドを一日も早く再開するということに努力をすべきではないかと思うんですけれども、そのお考えはどうでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 NICUについてでございますが、先ほども答弁させていただいた部分もございますが、豊島病院では、新生児の医師確保に懸命の努力をしてまいりましたが、全国的な医師不足の中で、特に新生児の専門医を確保することは困難な状況にございます。このため、豊島病院から約五キロという近傍にあります大塚病院と、都立病院で唯一の総合周産期母子医療センターであります墨東病院に各三床NICUを移転し、機能を維持していくこととしたものでございます。

○かち委員 確かに、今までは医師の獲得が困難だという経過もわかります。しかし、先ほど及川さんがおっしゃいましたけれども、今、医師の確保状況に明るい兆しがあるというようなこともいわれておりました。今までだめだったけれども、これから努力するんだという姿勢を持たないというのはどういうことなんでしょうか。今ある施設、ノウハウを生かすために、医師をとにかく確保してあそこを再開させる、それが板橋区民、議会挙げての要望なんですから、そこにこたえるという姿勢にならないんですか。もう豊島はあそこで見切りをつけるということなんですか、お答えください。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 豊島病院におきますNICUについてでございますが、先ほども答弁させていただきましたが、豊島病院では、新生児の医師確保に懸命の努力をしてまいりました。全国的な医師不足の中で、特に新生児の専門医の確保をすることは大変困難な状況ではございますが、先ほども答弁させていただきましたが、一名の新生児の医師を確保することができまして、新生児医療についても引き続き充実を図っていきたいというふうに考えております。

○かち委員 ということは、もう板橋区議会や区民の皆さんの強い要望にもこたえないという姿勢を明らかにしているということですよね。そういうことで、意見書の持つ重さを受けとめるというのは本当にどうなんだろうというふうに疑わざるを得ません。
 豊島病院は地域性が強いので将来地域医療支援病院を目指す、そのために公社化が必要だと説明をこれまで受けてきましたけれども、ならば都立病院としての豊島病院が地域医療支援病院になればいいじゃないかと思いますけれども、それはなぜできないのか、改めて説明してください。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 地域医療支援病院についてでございますが、まず、都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられました行政的医療を適正に都民に提供いたしまして、他の医療機関等との密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としております。
 一方、来院患者の居住地が病院の近隣地域に集中しているなど、地域性が高く、かかりつけ医の支援等を行い、地域の医療機関と緊密な連携をとりながら二次医療を提供する病院を地域病院に位置づけております。そして、この地域病院を地域の医療機関との連携に関するノウハウや実績を有する保健医療公社に運営を移管し、地域医療連携を柱とする公社病院として運営することとしたものでございます。
 現在の厳しい医療環境の中で、都立病院と公社病院がそれぞれの役割分担を踏まえて限りある資源を有効に活用していくという観点から、公社病院が弾力的な運営のもと地域医療支援病院として地域医療の向上を図るべきであるというふうに考えておりまして、実際に東部地域病院など三病院が既に地域医療支援病院としての都の承認を受けているところでございます。
 なお、現在の都立病院の運営状況からは、地域医療支援病院として施設を開放して共同診療を行うことは難しいと考えております。

○かち委員 都立病院と地域医療支援病院の役割がおのずと違うんだと。都立は高度な医療をやるけれども、地域医療は地域に根差して地域の医療機関と協力関係でやるんだというふうにおっしゃいましたけれども、今までの都立病院三病院とも、それぞれ都立病院としての役割を果たしてきましたし、公社に移管されたからといって、その役割が変わったわけではないですよね。医療の中身も、ボリュームも、ニーズにこたえるという点でも、都立並みの医療をやっているんですよね。そうであれば、別に公社に移管しなくたって、都立のまま地域医療支援病院という役割をその分野で果たせばいいんじゃないかと思います。
 今、条例上難しいんだと最後におっしゃいましたよね。共同診療ができないんだということをおっしゃいましたね、お答えでね。条例上、共同診療ができないというふうにおっしゃいましたよね。それはどういうことなのかと。国の地域医療支援病院の規定の中に、共同診療ができなければ地域医療支援病院になれない、こういう規定はないはずです。地域医療支援病院を認定するのは東京都なんですよね。東京都が認定すればできるという状況です。
 事前に資料も見せていただきましたけれども、東京都の病院条例には、ここにひっかかるんですということをいわれたんですけれども、知事は、病院の業務に支障のない限り、病院に勤務しない医師または歯科医師に、研究のため、知事の定めるところにより、その施設を利用させることができるという規定があります。研究のためには開放できるけれども、共同診療はできないんです、こういういい方をされるんですけれども、でも、国がそこまで求めていませんよね。国の改正では、ベッドを確保するとか、協力登録員を地域の医師の五〇%を登録させなさいとか、そういうことはありますけれども、そういうのはやる気になればできます。
 では、共同診療というところは何を指しているかといいますと、参考法令というのがありまして、そこを見ますと、他の病院または診療所から紹介された患者に対し医療を提供し、かつ、病院の全部もしくは一部、器械、器具を、当該病院に勤務しない医師または看護師その他の医療従事者の診療、研究または研修のために利用するための体制が整備されていることというのが地域医療支援病院の規定です。
 この医療従事者の診療、研究または研修、それぞれ並列なんです。私も厚労省の方に確かめました。これは共同診療が実績がなければできないということですか、いや、そんなことはないですよ、これは、いずれもそういう研究や研修や診療のために、地域の先生方にどれだけ開放されているか、その実績がわかればいいんですよということだったんです。
 それで、東京都の方でつくっている地域医療支援病院の申込書というんですか、あります。認定申請書、三号様式というのがあるんですけれども、これを見ますと、共同利用の実績というので、この四角の中に共同診療件数何件というのが書いてあるんです。でも、国はここまで求めていないし、しかも、こういうふうに書いてあるんだけれども、注釈には、この共同診療、研修を含めて、前年の共同利用を行った医療機関の延べ数ということですから、前年に他の先生方がどれだけ共同利用で病院に出入りをしたかという件数がわかればいいということなんです。東京都みずからがそういっているんですよ。
 そういうことで、結論的に条例にとらわれて、都立病院が地域医療支援病院にはなれないんですということはいえないということではないでしょうか。いかがでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 地域医療支援病院についてでございますが、先ほど答弁させていただいた内容は、現在の都立病院の運営状況からは、地域医療支援病院として施設を開放して共同診療を行うことは難しいと考えているとご答弁させていただきました。
 また、今ご指摘のございました都立病院条例第三条では、ご指摘がありました、病院に勤務しない医師または歯科医師に、研究のため、その施設を利用させることができると規定しておりまして、病院に勤務する医師以外の者が施設を利用する目的が限定されていると。このため、地域支援病院に求められる共同診療の実績を満たすことが現在はできないということでございます。
 なお、医療法施行規則第九条の十六にございますが、地域医療支援病院は、共同利用のための専用の病床を常に確保することということが条件の一つとなっております。現在の都立病院の運営状況から、共同利用のための専用病床を常に確保することは、現在の状況から難しいというふうに考えているものでございます。

○かち委員 今のベッド稼働率は、都立病院も含めて、豊島病院の状況も含めて二床確保することが困難とはとても思えません。やろうと思えばできることなんです。いろいろ今おっしゃいましたけれども、私はさっき述べましたように、条例上は規制にはまらないんだということをもう一度後で確認してください。全国的には多くの病院が、公立、県立病院で地域医療支援病院の認定を受けていますよね。都立ではできないという説明は成り立ちません。
 ちなみに、これは豊島区を初め関係者の皆さんの努力のたまものだと思うんですけれども、小児医療の不足する中、都立大塚病院では、地域の開業医の先生方の協力で、大塚病院の施設を使用して小児の平日夜間診療が行われています。なぜ都立大塚病院で、都立の施設を利用して小児夜間休日診療が開業医によってできるのか、その辺はどうでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 大塚病院におきます小児準夜間初期救急診療についてでございますが、都立大塚病院では、平成十九年十二月より実施されております豊島区平日準夜間小児初期救急診療事業、これは豊島区が事業主体となりまして、原則として満十五歳以下の救急患者さんを対象としまして、平日の午後八時から十一時まで小児の初期救急診療を行うものでございまして、豊島区の事業を大塚病院が受託している事業でございます。
 この事業では、区医師会から派遣される医師を大塚病院の非常勤の医師として任用し、実施しているものでございます。

○かち委員 必要があってやる気になれば、いろんな工夫をしてやれるんだということを今証明されたわけですよね。
 先ほど一つ質問を漏らしましたので、全国的に公立、県立病院が地域医療支援病院になっている現状があると思うんですけれども、その実態はどのように把握されていますでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 地域医療支援病院となっております全国の公立病院の数でございますが、平成十九年三月三十日現在、地域医療支援病院の承認を得ている病院は全国で百五十三病院でございます。このうち、府県立病院が十二病院で、全体に占める割合は七・八%となっております。また、市町村立や組合立の病院が十三病院で八・五%となっております。

○かち委員 全国では今どんどんふえているようですけれども、百五十三の地域医療支援病院があって、その中で府県立病院が十二病院あるということですから、都立病院がなれる条件というのは十分にあるわけです。私も二、三の病院を訪ねてみました。藤沢市民病院、ここも市立病院ですけれども、地域医療支援病院として十分にその力を発揮していましたし、埼玉県の県立小児医療センター、ここもやっております。ですから、今まで聞いてきた地域共同診療のネックの問題についても聞いたんですけれども、何ら問題はないと。別に共同診療しなくても、地域に開放していればいいんだという解釈でやっているんです。
 そういう点では、こうやって今公社が、もともとの公社の設立目的と今は全然違ってきちゃって、公社の意思ではなくて東京都の要求でどんどん重荷を負わされているというような状況の中で、これ以上公社に負担をかけて病院運営がうまくいく展望は見出せないんですよ。だったらその地域の特性を生かして、都立として豊島病院を地域医療支援病院化する、そういうふうにやればいいことじゃないかと思うんですけれども、都としてはそういう気がないということなんですが……。
 ところで、多摩北部医療センターや荏原病院は、公社移管前と移管後で医療の規模、専門性、高度医療の質という点で何か変化があったのでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 多摩北部医療センター、荏原病院の医療についてでございますが、多摩北部医療センターと荏原病院は、公社化に当たりまして、地区医師会や地元自治体等から構成される運営協議会準備会におきまして、地域からの要望やニーズを踏まえながら医療機能等を検討してまいりました。その上で、弾力的な運営を行いながら、地域医療をより効果的かつ効率的に提供していくこととしたものでございます。
 多摩北部医療センターにおきましては、小児医療体制の確保について地域からのニーズが高かったことから、平成十七年四月に小児科を設置いたしました。また、同年六月から小児の二次救急医療を開始いたしました。また、歯科、インプラントといった自由診療にも取り組んでいるところでございます。
 荏原病院につきましては、地域からニーズの高かったがん医療、脳血管疾患医療などを重点医療として掲げまして、平成十八年四月よりリニアック、これはエックス線や電子線などの放射線を利用した治療装置でございますが、これを導入したがんの放射線治療を開始するとともに、総合脳卒中医療センターの充実を図っているところでございます。さらに、旅行医学外来、これは海外旅行等に当たっての健康相談ですとか予防接種を行うものでございますが、この旅行医学外来などの自由診療にも取り組んでいるところでございます。
 なお、がん医療、脳血管疾患医療などの医療につきましては、センター的医療を担う都立病院と、この荏原病院等の公社病院が十分に連携を図っていくものでございます。

○かち委員 今お話がありましたように、多摩北部医療センターも荏原病院も、今まで都立病院として提供してきたニーズにこたえる高度医療そのものを、何か割愛するということはできないわけですよね、今までやってきたことを。それにプラスして、いろいろな地域ニーズを加えて重装備で移管してきたという状況があるわけです。
 しかし、資料を出していただきましたが、看護要員のところを見ますと、十六年に大久保病院、十七年に多摩北部、十八年に荏原病院が移管していますけれども、その前年度にいずれも三十名近く定員を減らしているんですよね。これで今まで以上の医療をやりなさいといったって、それはもう無理からぬことだと思うんですよ。今看護師が不足しているのは全国的な問題ですとか、七対一がやっているからできませんとかいっている場合じゃないと思うんですよね。今本当に荏原の医療を守れるかどうかという危機的な状況に来ているということにやっぱり意識を持っていただいて、今どこの病院を見ても、当初は大学病院など大きな病院だけで七対一をやっていましたけれども、今は民間病院も一生懸命獲得して七対一看護をやる。労働環境を改善しなければ人も定着しないんですよね。きつい仕事で、もう本当に燃え尽きてしまうような労働条件の中では、やっぱり看護は続かないんですよ。そういう意味で、都立病院も公社病院も、もう本当に時代からおくれていると思うんですよね。今まだ十対一を目指す、やっているぐらいの状況では、もう本当に全体の医療から取り残されてしまうという状況だと思いますので、都立も公社も七対一看護をぜひ目指すべきだと思いますけれども、どうでしょうか。

○黒田経営戦略・再編整備担当部長 都立病院、また公社病院における七対一看護の導入についてでございますが、先ほどもご答弁させていただきましたが、公社病院では看護師の早期選考や毎月採用の実施、また二交代制の実施など、柔軟な勤務体制を導入するとともに、認定看護師の資格支援などを行いまして、勤務環境の充実、整備に尽力しているところでございます。このことによりまして、看護師の確保、定着に全力で取り組んでいるところでございます。しかしながら、看護師の採用状況は依然として厳しい状況でありますことから、看護師確保定着対策こそが最優先の課題と考えております。
 七対一看護基準につきましては、現在清瀬小児病院や八王子小児病院で導入しているところでございますが、仮に約四百人の看護師を募集しております都立病院が七対一看護基準の取得を目指した場合には、さらに三百人、合計で約七百人の看護師を必要といたします。これを新卒看護師で確保するとした場合、例えば、現在七校あります都立看護専門学校の卒業生をすべて採用したとしてもまだ不足することになります。このような状況の中では、都立病院、公社病院のすべてに七対一看護を導入することは現実的ではないと考えるところでございます。

○かち委員 これで終わりますけれども、都立病院でも、清瀬小児病院や八王子小児病院では導入を始めているというお話がありました。都立病院で一斉に用意ドンでやれということではないんです。できるところから少しでも労働環境を改善しようという意識に立っていただきたいんです。大変だから、今定着に努力していますといっても、基盤がなければ定着もできないんですよ。思い切ってそこに投資するというような姿勢がなければ、じり貧でアリ地獄のようなことになってしまいますので、ぜひその意識を変えていただきたいと思います。
 豊島病院はこれまでも、精神科救急や緩和ケア、周産期医療など、行政的医療の多くを重点医療として提供してきました。まさに都立病院としての役割を果たしてきている病院です。改めて、公社移管ではなく、都立としてその役割を果たすべく充実していくことこそ求められていると思います。地域医療支援病院を目指すにしても、公社でなければできないとする説明は成り立たないことが明らかになりました。今必要なことは、都立病院を削減することではなく、都民の命と健康を守る立場に立ってその役割を果たしていくべきです。よって、本条例案には反対であることを申し上げて、質問を終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○野上委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、福祉保健局所管分、第百七十号議案から第百八十一号議案まで及び第百九十七号議案から第二百二号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました本定例会提出議案関係の資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料(議案)にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で六項目となっております。それでは、順を追ってご説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。老人総合研究所の概要といたしまして、名称、目的、研究体制、主な研究実績、調整人員及び現員の推移を記載してございます。
 二ページをお開き願います。東京都板橋ナーシングホームの概要といたしまして、設置根拠、利用実績、職員定数及び現員の推移を記載してございます。
 三ページをごらん願います。東京都老人医療センターの医師及び看護師等の配置状況の推移といたしまして、医師及び看護師等の定数と現員につきまして、平成十六年度から二十年度まで記載してございます。
 四ページをお開き願います。東京都老人医療センターの経営指標の推移といたしまして、入院及び外来の経営指標につきまして、平成十五年度から十九年度まで記載してございます。
 五ページをごらん願います。地方独立行政法人へ移行した病院の状況といたしまして、団体名、地方独立行政法人名、開始年度、病院名及び病床数などを記載してございます。
 六ページをお開き願います。国における保健師、助産師及び看護師の再教育研修に係る手数料といたしまして、(1)には研修受講手数料を、(2)には研修に関する登録申請等手数料をそれぞれ記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願いいたします。

○野上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○田代委員 新型インフルエンザ対策について少しお尋ねしたいと思います。
 新型インフルエンザは、一昨年前から、我々仲間でWHOの田代眞人インフルエンザ対策部長、そして国立感染症の岡田晴恵博士、仲間でいろいろ対策を練ってきたわけですけれども、去年、一昨年と国の中では全く問題になりませんでした。ことしの一月に、我々の仲間が監修したNHKスペシャルを三回にわたって、二晩ずつですけれども放映したところ、国民の中で約一〇%を超える方が見ていただいて、やっと少し方向性が見えてきたかな。しかし、四十七都道府県の中では、それに対しての反応が全然起きていない。しかし、ことしの三月、議会全員の協力一致を得て、四十七都道府県の中で初めて東京都が国に意見をいうということになりました。
 これに合わせて、国の方が若干動いたように見えるんですが、川崎元大臣を座長とした与党PTの中で大変いい意見をずっと取りまとめていたんですが、内閣がかわったことによってまず一つ中断してしまって、政府というよりも厚生労働省の中での対応が非常に不可思議な対応がある。これからのワクチン行政という、今予防医療ですから、今から、病気になってから我々医師にかかるのではなくて、医者にかかる前にかからない状態をつくろうという、一番、ワクチンなんて特に大切なことなんですけれども、ワクチンは、やっぱりこれは理念だけではなくてつくっていかなくちゃならないので、つくっていくためには、そのライン、プラントが必要なわけですけれども、このプラントが今非常に細くなってきた。残念ながら、我が国では昔のようにきちっとしたプラントができていない。これはやっぱり厚生労働省のワクチン行政というものがゆがんできた結果なんですけれども、さらにこれが、外国からワクチンが入ってくる方策を厚生労働省が非常に努力しているように見えるところがあるんです。
 食糧の国内の生産というのが非常に今問題になっているわけです。自国でつくっていかなくちゃいけないというんですけれども、大学病院あるいは町の診療所で我々が行っている医療の現場の中で、薬、機械なんていうのは、ほとんどが自国のものではない。あるいは、自国で生産しても、パテント料であらかた持っていかれている。よく新聞に出ていますように、ドイツとか、ドイツじゃなくてもいいです、EUとアメリカに比べて、日本は三倍から六倍の機械の値段、薬の値段を払っているとよくいわれるんですけれども、ワクチンだけはそうじゃなくて、日本の方が優秀でといったら失礼ですけれども、ほぼ同等で、値段が数分の一でできるわけですけれども、これすら今の国の対応で見ていくと、どんどん細くなっていくような状態です。
 しかし、先ほど申し上げましたように、東京都というのは少なくとも四十七都道府県の中で唯一知事が号令をかけて、これは本当に知事の見識だと思うんですね。これは知事がやらなきゃだれもやらなかったわけですから、こういうことが動いてきたわけで、これをもっともっとしっかり動いて国に意見をいっていただきたい、手本を示していただきたいということで質疑をさせていただきたいと思います。
 当然ご存じのとおりに、イフの問題ではなくてホエンの問題である、この言葉は、最近随分皆さん方にもご理解いただいたわけですが、いわゆる国家的危機管理の問題なわけですね。国の方が一生懸命、今対応しているという形を見せているわけですが、今申し上げましたように、ワクチンが動いていかない。ワクチンが動いていかないと--これは法律上のいろいろな問題があるんですけれども、東京都でもやってやれないことはないんですが、やはり生産メーカーとしては、国の許可を得ないで東京都だけと商売するというわけにはいきませんから、非常に微妙に難しいところがあるので、では東京都がやっていけることは抗ウイルス剤である。
 今度の補正予算でも、少なくとも四十七都道府県の中では、唯一すばらしい結果を出していただいた。本当にこれは感謝申し上げたいと思います。ただ、新型インフルエンザというものに対しての知識が、残念ながら、我々医師の中でも非常にしっかり持っている人と、ほとんどゼロに近いほど知識を持っていない、そういう差があるように、なかなか一般の方々あるいは行政の方々に理解していただくのは難しいところがあるんですね。
 例えば、新型インフルエンザも今まで以上にいっぱい薬を飲めばいいんじゃないかと。これは一部当たってはいるんですけれども、でも、科学的根拠はちょっと薄いところがあるわけです。それから、今までずっと毎年インフルエンザワクチンを打っていたから、かからないんだというお医者さんもいるような状況ですから、大変お寒いところがないわけではないんですけれども、東京都としては、このワクチンがすぐに手に入らないということになれば、抗ウイルス剤を備蓄する。これは、四十七都道府県の中で最初に始めたことで、大変手本になると思うんですが、ただ一つ、タミフルとリレンザ、タミフルの耐性が云々ということがよくいわれるんですけれども、新聞なんかに出ているんですけれども、これは、あるところが作為的にこういう操作をしているんですけれども、タミフルのH5N1に対する耐性というのはまだ出ていないんですよ。タミフル耐性というのはあるんですけれども、タミフル耐性がH5N1には出ていない。そして、耐性になったものに対してリレンザは効くんですけれども、リレンザは試験管の中で効くんですね。
 リレンザというのは呼吸器から入ってくる薬で、血液の中にいかないわけです。タミフルは血液の中に、当然血中濃度は高くなっていくわけで、この新型インフルエンザというのは、いわゆる多臓器不全を起こすわけですから、サイトカインストームを起こすということは、全身に、脳症を起こす、そして心臓にも腎臓にも、筋肉にまでその影響が広まっていく多臓器不全を起こす病気ですから、全部に行かないと間に合わないんです。タミフルは、一応全身に行きます。ただ、東京都が集めた量がどのぐらいの量だかわかりませんけれども、一般に我々が大学で出すタミフルの量は、一日二錠で五日間です。そして、実は、我々の仲間であるWHOのインフルエンザの最高責任者を務めている田代眞人博士がきょう帰ってくるわけですけれども、今度のWHOの中でのディスカッションでは、最低でも一日四錠で十日間飲ませましょう、これが一つのルーチンの考え方になってきたわけで、まず、これだけで量的に少し足りないかなというのはありますよね、四分の一になっちゃうわけですから。
 それから、このタミフルに対して守れるものは、やはり今まで一度も我々がかかったことのないウイルスですから、こういうものに対して対応していくためには、何といっても一番最初にプレパンデミックワクチンがあって、それを使ってからタミフルを使えば効いてくるんですけれども、プレパンデミックワクチンがないときに、タミフルだけというのは非常に心もとない。しかも、呼吸器しかカバーできないリレンザというもので全部話がまとまるわけじゃないわけですから、やはり東京都としては、そういうところを国にしっかりいっていただきたい。そして、ワクチンというものを、もっともっと同意のある都民にはやっていただくように政策を進めていただけたら大変ありがたいと思います。
 ただし、四十七都道府県の中では、何回も申し上げますけれども、東京都が最初なんですね。それでこれだけのことをやったわけですから、これをもうちょっとエビデンスをしっかりしていただいて、リレンザというものとタミフルの使い方をもう少し、せっかくのチャンスですから、四十七都道府県に広めていただきたい。
 先ほど申し上げましたように、試験管の中ではリレンザは効くんですけれども、効く場所が限定されているわけですから、現実にそういうものが襲ってきたときには、リレンザプラスタミフルプラス、何といっても基本となるものはプレパンデミックワクチンで、プレパンデミックワクチンが非常に有効性が高いということは、今度のWHOの研究チームでも発表があったわけですから、そこを東京都はもっともっといっていただきたい。
 実は、先ほどの病院経営本部のときは僕はいわなかったんですけれども、三週間ぐらい前になりますけれども、我々が昭和大学の東病棟をお借りして、いろんな病院の医者、専門家が集まったんですけれども、東京都では最初の実地訓練をしました。品川医師会でその前にはなさっていただいているんですけれども、大学病院のレベルでの実地訓練をしたんです。スタッフがトータル三十名集まって、二時間ぐらいで診れた患者さんの数が四名です。四名というのはどういうことかというと、我々はグローブをはめて、二、三週間前ってそんなに寒くはなかったけれども、そんなにめちゃめちゃ暑いというときではないんですが、あの防護服を着て、ゴーグルとマスク、それから東京都がありがたいことに支援していただいた減圧室を使ったんですけれども、減圧室にはクーラーをまだ取りつけていなかったので、開放で、減圧はしないでそこを使ったんですけれども、もう本当に暑くてやっていられないんですよ。それは品川医師会がテレビでやったときによく似ているんですけれども、手袋の中に自分の汗がたまっちゃって、チャッポンチャッポンいっちゃうんです。何もどうにもならない。
 これはお恥ずかしい次第ですけれども、お恥ずかしい次第というのは変ですね、国がその方向性を決めてくれないのでそうなっちゃったんですけれども、では、四人診た患者さんの結果はどうなったかというと、すべて都立荏原に送るというのが最後の答えなんです。都立荏原は送られたって困りますよね、そんなの受け入れ体制はできていないんですから。だけれども、そういうところで終わってしまう、これが国の現実の非常に弱いところで、ここをやはり東京都は、四十七都道府県のトップにいるわけですから、しっかりと国に意見をいっていただいて、もう来るか来ないかじゃなくて、いつ来るかになっているこの新型インフルエンザに対してどう対応していくということを、せっかくこうやって補正予算を組んで手本を示したんですから、もっともっと広めていただきたい。
 プラスして、これは学校の先生方、あるいはもろもろのお子さん方、あるいはご高齢の方々と接触する人たちにも、知識としてわかっていただきたい。そういうものの実行力を持っているものは東京都しかないわけですから、ぜひとも東京都がそういうものに取り組んでいただいて、都民の命を守るんだ、そういう気持ちで向かっていただくことの決意を伺って、質疑を終わりたいと思います。

○安藤福祉保健局長 ただいま田代委員から、新型インフルエンザ対策につきまして貴重なご提言をいただきました。
 お話のように、対策は日進月歩だというふうに思います。したがいまして、国内外の情報を収集して、最新の科学的知見のもとに、早くかつ効果的に、また新しい知識のもとに冷静に実施していくことが重要だと思っております。
 都は、国に先駆けて、平成十七年に行動計画を取りまとめて、十九年には行動マニュアル、そして本年の五月でありますけれども、医療提供体制のガイドラインを策定し、今取り組みを進めているところであります。
 今回は、こうした都のこれまでの取り組みをさらに進めるために、社会的機能の維持ないしは保健医療体制の整備、そしてお話にもありましたけれども、都民、事業者の意識啓発の三つを柱としました東京都独自の総合的な対策を行うことといたしたわけであります。
 このうち、抗インフルエンザウイルス薬の大幅な追加備蓄等、特に緊急性の高い取り組みについて、なるべく早く年度内に実施できるようにということで、今回の補正予算案に盛り込ませていただきました。
 今後は、庁内に副知事を座長といたしました東京都新型インフルエンザ対策会議というものを設置いたしますが、そこでは、庁内各局の連携のもとに社会的規制のあり方等を検討したいと思いますし、医薬品や医療資器材のさらなる備蓄、そして検査体制の強化、地域医療体制の確保に向けた支援など、具体的な取り組みを積極的に推進したいと思います。
 田代先生から今貴重な話がございましたが、先生にもご協力いただき、そして都議会の皆様と一緒に、この新型インフルエンザ対策に全力で取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○石毛委員 ただいま医師である田代先生からは高度な質問がされたわけでありますが、ベーシックなところで何点かお伺いしたいと思います。
 本委員会に付託された補正予算で、新型インフルエンザ対策として今出ていたタミフル、リレンザなどの薬剤、個人防護服とマスクの購入、そして検査機器の整備等のための八十七億円、都民、事業者の意識啓発に一億一千万円が計上されております。
 まず、この部分ではタミフルが百万人分というふうに出ております。また、リレンザが二百万人分の備蓄増強について出ているわけでありますが、リレンザは吸入式ですので、これを何個と数えるのか。また、これらの抗インフルエンザ剤は一人何錠、何個か。先ほど一日四錠、十日間というふうにいわれておりましたが、こういう基準でいくのか、または違った基準なのか、その辺もちょっと聞きたい。合計何錠、何個購入するのか、お伺いいたします。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 今回、追加備蓄を予定している抗インフルエンザウイルス薬の量でございますが、タミフルにつきましては、一回一カプセルを一日二回、五日間、合計、一人分として十カプセルが必要でありまして、百万人分では一千万カプセルとなります。一方、リレンザでございますが、これは円盤状のアルミシート一枚に粉状の薬が四カ所に分けて分包されておりまして、その一つ一つをブリスターと呼んでおります。使用に当たりましては、一回二ブリスターを一日二回、五日間、合計、一人分といたしまして二十ブリスターが必要でありまして、二百万人分では四千万ブリスターとなります。

○石毛委員 今のご説明だと合計三百万人分、一千万カプセルの四千万ブリスターということ、かなりの数であります。これから冬になって、通常のインフルエンザの需要も時期を迎えるわけですけれども、そちらに影響のないようにメーカーさんと話しているとは思われますが、緊急の補正予算ということですから、入手も当然緊急にされると思いますが、補正予算可決から、薬剤を入手して実際に都が薬剤を準備できるまでのスケジュールについて、何月ごろ契約、支払い、納品といった一つの流れを、大まかで結構ですが教えていただきたいと思います。

○奥澤食品医薬品安全担当部長 抗インフルエンザウイルス薬備蓄のスケジュールでございますが、今回の補正予算案のご承認をいただいた後、速やかに購入契約手続を進め、次の都議会定例会に契約案をお諮りした上で正式な契約を締結し、年度内に備蓄を完了する予定でございます。
 なお、製薬会社からは、備蓄用の薬剤の供給が可能であるとの情報を得ております。

○石毛委員 また、同様にウイルス検出機器、遺伝子解析機器についても、補正予算可決から実際に配置されて使われるようになるまでのスケジュール、これについてもお伺いいたします。

○月川感染症危機管理担当部長 新型インフルエンザの発生時には、疑い患者の診断を迅速かつ的確に行うための検査体制というものが大変重要になってまいります。特に、発生初期には集中的な検査を行い、確実な封じ込め対策を行うこととともに、ウイルス株の変異を継続的に解析するなど、検査需要が大幅に増加することが見込まれております。
 今般の補正予算は、こうした事態を想定いたしまして、ウイルスを検出するためのリアルタイムPCR装置、そして遺伝子解析機器の更新、それから追加整備を行うための費用を計上したものでございます。補正予算の承認をいただきました後、契約の手続を進めまして、健康安全研究センターに速やかに機器を配備することが可能だと考えておりまして、検査体制を今後も一層強化してまいります。

○石毛委員 わかりました。
 さらに、同様で恐縮ではございますが、型別迅速診断技術確立について、一億三千万円について、補正予算可決からそのお金が使われるまでのスケジュールについて同じくお伺いいたします。

○蒲谷事業調整担当部長 型別迅速診断技術についてでございますけれども、これは財団法人東京都医学研究機構が開発した検査法を応用するもので、咽頭ぬぐい液などわずかな検体から短時間でウイルスを検出し、インフルエンザの診断を行うものでございます。
 医学研究機構がこれまでに確立してきた研究手法や他の研究機関との連携体制を最大限に活用し、一日も早く研究に着手することにより、早期実用化を目指してまいります。

○石毛委員 ありがとうございました。いずれも年内ではなく、年度内というご答弁でした。支払い、備蓄は年明け、また来年度以降ということであります。代表質問でも申し上げましたが、ただいまの答弁からも、やはり補正予算という現金が今必要であったのかと再度申し上げざるを得ません。
 新型インフルエンザの蓄えについては、抗インフルエンザ剤の備蓄増強を初めとした万全の備えを早期にやっていただきたいという都議会民主党の従来からの主張は変わるものではございません。しかし、こうした重大な問題と、新銀行の損失処理予算とをあえて抱き合わせにしてこの第三回定例会に提案されたことは、福祉保健局としては多分本意ではないというふうに思いますが、残念であると申し上げまして、補正予算に関する質問を終わりにさせていただきます。

○安藤福祉保健局長 先ほども田代委員の質問にお答えしましたように、これは急いでやるべきことだということで私どもも要求したものでございまして、早目に必要な薬と機器を十分用意したいというのが局の思いであります。

○石毛委員 終わります。

○野上委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十一分開議

○野上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○長橋委員 私からは、老人総合研究所、老人医療センター、これについて関連を含めて質疑をさせていただきます。
 老人医療センター、私も訪問したことがございます。介護予防の分野では、本当に日本を、世界をリードする研究も含めてされているのを見てまいりましたし、また、非常に珍しい骨粗鬆症の外来も行っているということでございます。本年の第一回定例会で我が党の松葉議員がこの骨粗鬆症について取り上げて、しっかり取り組んでもらいたい、こういう質疑もさせていただきました。松葉議員は、実際にその骨粗鬆症の外来を拝見しに行ったと伺いました。野上委員長も一緒に行かれて、骨粗鬆症の診察も受けたと。野上委員長は全く大丈夫だったという話でありますし、骨粗鬆症については九五%が女性の外来であると。なおかつ、新たにオーダーメード医療も開始をしたということで、非常に東京都としては貴重な財産、こういうふうに思うわけであります。
 そういう中で、今回老人医療センターと老人総合研究所を一体化するということでございます。本年二月に、板橋キャンパスの再編整備計画の中で、医療と研究の融合、一体化をしていくと。そしてもう一つが経営環境の整備、いわゆる独法化を図っていくと、非公務員型の独法化を図っていくということが明らかになったわけであります。このことについては後で触れますけれども、病床も五百五十床まで縮小するということも計画にあるわけでありますけれども、まずは医療と研究の融合ということで、この老人医療センターと老人総合研究所の一体化、なぜ一体化をするのか、その目的について明らかにしていただきたいと思います。

○飯塚参事 一体化の目的でございますが、老人医療センターがこれまで培ってきた高齢者の高度専門医療に関する豊富な実績と、老人総合研究所の老化、老年病に関する研究を、一体化により有機的に結びつけることで、高齢者の特性を踏まえた最適な医療の確立を図り、その普及を目指すものでございます。
 両施設の統合により、臨床症例などを研究資源として活用した最新の知見に基づく研究とその成果の臨床への反映がこれまで以上に可能となるほか、研究と臨床の両分野にわたる幅広い専門性を備えた質の高い人材の確保と育成が図られることと考えております。

○長橋委員 まさに今お答えがあったとおり、最新の知見に基づく研究を、その成果を臨床に反映していくということであります。いわれることはもっともでありますし、ぜひ、その研究成果を臨床と一緒にしていくということは、この前の病院経営本部との質疑では先進医療についてお話をさせていただきましたけれども、まさにそういった分野で先駆的に取り組んでもらいたい、こういうふうに思うわけでありますけれども、それに対する不安というのは当然あるわけであります。
 スケジュールを見ますと、来年度、二十一年度にこの法人が設立をされる、そして施設整備については二十四年度になるわけであります。その間四年間、現在の施設、老朽化ということもあって、この再編整備計画もできたと思うんですけれども、そういった現在の施設で健康長寿医療センターが運営をされていくということであります。今お話のあったとおり、一体化に伴って、施設は変わらないけれども、新たな高齢者医療を目指していくということでありますけれども、施設が変わらない中で本当にできるのかということも考えられます。ぜひ、どのような高齢者医療を確立しようと考えているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○飯塚参事 法人の設立から四年間は、ご指摘のとおり現在の施設で健康長寿医療センターの業務を行うこととなります。健康長寿医療センターでは、高齢者医療の死亡原因の一位を占める高齢者がん、死亡原因の二位、三位を占め、要介護状態の大きな要因となる心疾患や脳血管疾患などのいわゆる血管病、都内の要介護高齢者のおよそ半数が有しているといわれる認知症など、他の病院においては医療体制、医師の確保、あるいは経営収支の面などから実施困難な医療を重点医療と位置づけ、適正な医療の確保に向けた役割を積極的に担ってまいります。
 さらには、容体の急変時における適切な医療の提供、高齢者に適した先端医療の実施など、高齢者の心身の状態に応じた負担の少ない医療の提供を推進する必要があると考えております。
 これら医療を実施していくためには、医療、研究の連携体制の強化、地域連携の強化、高齢者疾病特性に精通した医師、看護師、医療技術者の育成が必要と考えております。具体的には、第四回定例会で提案を予定しております中期目標で明らかにしてまいります。

○長橋委員 特にこの高齢者医療の死亡原因、まさに高齢者がんとあわせて心疾患、脳血管疾患、さらには要介護状態に陥る大きな原因である認知症、こういった分野で果たしてきた老人医療センターの役割は大きいわけであります。
 そういう中で、より高齢者に対応した専門の医師、看護師、こういった確保が重要なわけであります。ただでさえ医師、看護師不足ということが、常に努力はしているけれども、なかなか結果が出てこない、こういうご答弁も今まであったわけであります。そういう中で、超高齢社会を迎えるに当たって、高齢者に対応できる医師の養成、看護師の確保、具体的にはどのように確保を行うのか、そしてまた高齢者に対応した専門の医師とか看護師というのはどういう姿といいますか、どういう能力が必要なのか、あわせてご答弁をいただきたいと思います。

○飯塚参事 これまでも老人医療センターにおいては、高齢者専門病院として高齢者医療に関する知識を普及啓発するために、研修医の受け入れや講演会等の院外活動、看護教育における院内研修などを行ってまいりました。
 健康長寿医療センターにおいては、高齢者の特性に対応した医療、看護が適切に提供できるよう、人材の育成を積極的に行ってまいります。具体的には、臨床研修医の積極的受け入れはもとより、長期にわたり国内外の専門医療機関や研修機関で自主的に研究や調査などを行う、いわゆるサバティカル研修の導入など研修制度の充実を図るとともに、老年学科を持つ大学との人材交流の実施などが必要と考えております。
 看護師については、老年看護、褥瘡看護、認知症看護など、高齢者の特性に対応した看護師の育成が必要であり、院内研修の充実、院外の教育機関での専門知識の習得などを支援してまいります。
 また、これら専門知識を習得した医師、看護師の確保が図れるよう、専門知識を評価する給与体系などを構築してまいります。

○長橋委員 特に、医師の養成、看護師の確保、こういった面では給与体系などを検討していく、待遇でそういった確保にもインセンティブを与えていくといいますか、優遇していくということであると思います。
 そういう中で、私もご相談をいただいたことがありますけれども、認知症、いわゆるアルツハイマー等の、今までは進行をおくらせるということが主流であったのが、認知症、アルツハイマーですか、これを医学研究機構と共同でこの研究にも取り組んでいる、進行をとめるだけではなくて、解決をするといいますか、ということもやっているというふうにお伺いしたことがありますけれども、日本でも、国でも取り組んでいないようなこういったアルツハイマー等の取り組み、どのような取り組みを行っているのか。そして、健康長寿医療センターになった場合に、この取り組みは非常に重要でありますので、ぜひ継続をしていくべきであります。現在の状況と今後の取り組みについて伺います。

○飯塚参事 老人総合研究所は、これまでも認知症高齢者に関する総合的研究を実施しており、アルツハイマー病の発症メカニズムの解明や、認知症脳の病理学的解析などにおいて成果を上げてきております。
 健康長寿医療センターにおいては、これまでの研究を継承するとともに、認知症の病因、病態、治療、予防の各分野における研究を推進し、認知症の早期診断法の開発や治療法の開発を目指してまいります。

○長橋委員 まさに老人総合研究所は、今お話のあった先駆的な研究をしているわけであります。それが健康長寿医療センターということで一体化をするということでありますと、医療センターというと、どうしても病院というイメージになってしまうわけでありまして、今までは--一体化する意味はよくわかりました、老人医療センターの医療、それから老人総合研究所の先駆的な研究、これがあって全国的にも知られているわけであります。
 そういう中で、一体化すると、老人総合研究所の機能はどうなるのか。また、その名称も含めて、老人総合研究所という、いってわかる名称でありますから、これはぜひ残すべきだと、こう思うわけであります。ぜひ一体化して、健康長寿医療センターという名称とあわせて、老人総合研究所という、この機能を含めて、また、その名称も含めて明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○飯塚参事 ご指摘のとおり、老人総合研究所は、これまで多くの研究成果を上げてきていることを認識しております。健康長寿医療センターにおいて、研究は医療と並ぶ基幹的な事業でございます。今後、健康長寿医療センターが研究も行うことが明確となるよう、組織の名称などを検討してまいります。

○長橋委員 これについては、今、組織の名称なども検討してまいりたい、こういうことでありますけれども、さっきご答弁で、具体的には中期目標で明らかにすると。中期目標でここら辺のことはもっと明確になるんですか。どうでしょうか。

○飯塚参事 今後、法人設立に向けまして、中期目標並びにさまざまな規定の整備を図っていきますので、その中で明らかにしてまいります。

○長橋委員 今、具体的には中期目標の中で明らかにしていくということでございますので、いろんな声があるかと思いますので、しっかりと中で検討して発表していただきたいと思います。
 一体化とあわせて独法化になるわけであります。独立行政法人化については、私もこの委員会でたびたび質疑をしてまいりましたし、都立病院の独法化については、拙速な独法化ではなくて、しっかりと慎重に検討を進めていくべきだ、こんなことも申し上げたわけでありますが、そういう中で、独法化というと必ず出てくる話が、効率的な運営を前面に打ち出すと、いわゆる不採算医療はやらないとかというような声が必ず出てくるわけであります。そうしますと、私の地元でもそうでありましたけれども、都民の不安、不採算医療はやらない、行政医療はやらなくなる、こういうようなことが喧伝をされかねないというふうに思うわけであります。
 また、先ほど、かち副委員長からありましたけれども、板橋からも意見書が出されている、老人医療センターについては七百床を確保しろ、老人医療センターは急性期に集中せず回復期も配慮することということで、早速、地元からも意見書が上がり、それに対して不安視する向きもあるわけであります。この一体化と、それから独法化というのは、ある面では裏腹の話だと思います。一緒に進めていくということについて、しっかりとその目的や独法化する意義、それから、あわせて七百十一床ですか、実際は、今度は五百五十床になるということでありますから、病床数を減らすということに対しても、これは当然、なぜ減らすんだ、こういうことになるわけでありまして、そういうことに対して、今まで説明してきたと思いますけれども、都民や、そしてまた地元区に対してしっかり説明を行っていくべきであろうかと思います。
 これ、ちょっとおくれると、風評というのは、必ず物すごい勢いで広まりますから、事前にしっかりと説明をしていただきたいし、今までやってきたと思いますけれども、今後が大事だと思います。今後の取り組みについて伺います。

○飯塚参事 これまで、地方独立行政法人制度の特色や、地方独立行政法人による運営のメリットなどにつきましては、板橋キャンパス再編整備基本構想、基本計画の公表時に、地元区などに説明を行ってまいりました。さらに地元には一層のご理解をいただくことが重要だと考えております。
 今後は、地元説明会などを実施し、地方独立行政法人の運営のメリット、健康長寿医療センターの病床数などについてさらに理解を求めてまいります。また、患者様などが理解しやすいチラシの作成なども検討してまいります。

○長橋委員 理解しやすいチラシをつくっていくということでありますけれども、チラシを配っただけでは、なかなか見ない人もいるわけでありまして、いつかの委員会の質問で、病院経営本部長は、みずから行って説明をしたというようなこともありました。ぜひ幹部職員がそういった現場に行って、しっかりと説明をしていただきたい。皆さんがそういう立場であれば、これは大きな課題だと思いますので、ぜひ要望しておきます。
 基本的には、高齢者の方が安心して必要なときに入院ができる、そしてまた、入院とともに、高齢者の方は退院を迫られるというような状況があります。私もそういった不安の声は聞いているわけであります。
 先般、厚生委員会で、高齢者の療養病床について質疑をさせていただきました。国が療養病床を減らすという中にあって、もう一度各県の意見を聞いたら、積み上げていくとそうはできない、なかんずく、東京都の療養病床は、全国的に比べると非常に低いランクにあるという中にあって、二万一千床から二万八千にふやしていく、このハードルは非常に高いけれども頑張ると、こういう話があったわけでありまして、ぜひそういった機関と連携をとって、これからますますふえてくる高齢者の方々の安心をしっかりと担保してもらいたい、こういうふうに思うわけであります。
 それからまた、先ほど申し上げた老人総合研究所の研究、これは大変期待をされているわけでありまして、しかしながら、当然、こういった研究事業というのは採算が合うはずがないわけでありまして、不採算事業になるのは目に見えていると思いますけれども、そういうことが、独法化によってその点も指摘をされかねないと、こう思うわけであります。独法化イコール採算性ということを考えると、こういった研究が進まなくなるのではなかろうか。これは東京都だけではなくて、老人総合研究所の成果を考えると、国にとっても大きな研究の課題であるわけでありまして、こうした不採算事業についてもしっかりと都が支援を行っていただきたい、こう思うわけであります。
 この長寿医療センターの事業が本当に真に都民にこたえていけるかどうか、これからの中期目標も含めて、また、地元の方々、関係者の方々の説明を含めて、しっかりと取り組んでいただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。

○かち委員 百七十号議案、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例に関して、二、三お聞きします。
 保健師助産師看護師法の一部改正に伴う行政処分を受けた准看護師に対する再教育研修等に係る手数料の規定を設ける条例提案です。
 資料六ページ、出していただきましたけれども、何らかの行政処分を受けた者が現場復帰をするための再教育制度を設けることは必要なことと考えます。そこに一定の手数料がかかることも理解できるわけですけれども、この資料を見ますと、保健師、助産師、看護師の再教育に係る手数料として、戒告処分を受けた保健師などは、手数料として七千八百五十円、ところが、准看護師は都の制度だということで、それをコスト計算すると三万三千円かかるというんですね。(1)の戒告処分以外の業務停止処分を受けた者などについては、国の制度では一万五千七百円のところ、都の場合は四万九千円ということで、三倍以上の開きがあるんですね。
 国の制度だから、都道府県の制度だからということですけれども、処分を受ける対象は同じ処分の内容で受けるわけですよね。それで同じ再教育を受ける。にもかかわらず、こんなに開きがあるという点では、余りにも大きな開きではないかなと思うんですけれども、このような再教育を受ける対象は、都の場合、年間どのぐらいと想定しているのか、また、なぜ国制度との比較でこのような違いが出てくるのかお聞きします。

○吉井医療政策部長 再教育研修でございますけれども、かち委員おっしゃられたように、行政処分を受けた者を対象として実施いたします。都における行政処分の実績と申しますのは、年間一名程度ということで、どのくらいの人数を想定ということでは、一名程度ということの想定をしたところでございます。
 また、再教育研修というのは、その者の職業倫理を高め、医療技術を再確認し、能力と適性に応じた医療の提供を促すために実施するものでございます。料額につきましては、こうしたことを踏まえ、受益者負担の観点から設定したものでございます。

○かち委員 国の場合は保健師、助産師、看護師ということで、対象のエリアが非常に広いわけですよね。それで、国にも聞いてみたんですけれども、対象は年間三十九名ぐらいなんだそうです。年にどのぐらいやっているかといったら、やっぱり一、二回だということなんですが、単純に比較すると、都の場合は年間一人とか二人とか、本当に限られた数なんですよね。それを単純に頭割りというか、割り返せば、これだけの開きが出てくるということなんですけれども、東京ばかりではなくて、近県の状況も聞いたんですけれども、近県はもっと高い、九万幾らというところもありましたし、これはちょっとあの……(「もっと高いところもあるんだよ」と呼ぶ者あり)だから、同じ処分を受けている内容にもかかわらず、都道府県と国との関係だけでこういう違いが出てくるというのは、やっぱり公平公正の立場からするとおかしなことだというふうに思うんです。
 そうしたら、内容についてはどうかということなんですけれども、再教育研修は具体的に年間どのぐらいの頻度で行うのか、この二つの例がありますけれども、戒告処分を受けた者とそれ以外の者との研修の中身などは、どのような違いがあるんでしょうか。

○吉井医療政策部長 まず、再教育研修の前提となる行政処分についてでありますけれども、事案を把握したその都度、所要の手続を経まして処分を決定しております。再教育研修については、その後実施をするという流れになっておりまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これまでの実績からいたしますと、年一回程度ということになります。
 それから、再教育研修の対象となる者のうち、戒告処分を受けた者につきましては、再教育研修を一日、それから、それ以外の者につきましては、再教育研修を二日実施いたします。

○かち委員 国の場合でも一回か二回ということで、三十数名の方が全部、その都度というわけにはなっていないわけですよね。一定プールしてやっているという状況だと思いますので、そういうやり方の工夫で、個人負担をもう少し軽減することができるんじゃないかと思うんですが、この制度を決めるまでの過程の間で、近隣の、例えば県、関東ブロックとか、一都三県とか、そういうところとブロックごとにやるような検討はされなかったのでしょうか。

○吉井医療政策部長 再教育研修は、行政処分を行った都道府県知事が、その者に対して受講を命令するものでございまして、早期の実施が望ましいともされてございます。こうした趣旨を踏まえますと、行政処分と再教育研修は一連の手続でございまして、各都道府県がそれぞれに実施すべきものと考えております。

○かち委員 私も調べた段階で、途中経過の中ではそのようなブロック単位でやってはどうかという検討もされたこともあるようです。しかし、それをどこが取りまとめるのか、システムをどうつくるのかということで、時間がかかるというようなことで、これは個別にやりましょうみたいな話になったようですけれども、都民の負担の公平性ということから考えれば、国と都のこの違いは、やっぱり是正していくべきだと思いますので、ぜひこういうやり方は検討すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

○吉田委員 私も都立老人医療センター、そして、老人総合研究所の独法化に関連する議案について質問させていただきます。
 初めに、老人医療センターが担ってきた高齢者医療の位置づけについてまず確認をさせてください。
 ご承知のとおり、老人医療センターは、二〇〇一年十二月に発表された都立病院改革マスタープラン、さらにその後の実行プログラムでも、豊島病院と併設で民営化するということで打ち出されました。
 しかし、今回の提案に当たっては、民営化はとらない、適切ではないという判断をされたというふうに認識しております。マスタープランのときには、わざわざ行政的医療のフレームの中から高齢者医療をたしか外すというふうなこともあったかと思いますけれども、改めて、今回は行政的医療をきちんと位置づけたというふうに認識していいと思うんですが、ご説明をお願いいたします。

○飯塚参事 地方独立行政法人法は、マスタープラン公表の後、平成十六年四月に施行されたものでございます。高齢者の高度専門医療はますます重要性を増しており、都が先導的に取り組むべき必要があります。地方独立行政法人は、民間では実施できない事業を効率的に行わせるため設立する法人であることから、医療と研究の統合の成果を最大限発揮し、公共性の確保と効率的でかつ柔軟な事業執行を行う上で、最も適切な運営形態であると判断したところでございます。

○吉田委員 私は、行政的医療としての位置づけを確認したんですけれども、その先までお話がありました。非常に重要な医療分野であるということで、民間にゆだねることはできないという判断がその前提にはあったんだと思います。
 しかし、そういう位置づけを重視するとしたら、都立直営を続けることこそ求められておりますし、独立行政法人化をなぜ選択したのかということについて私はただしたいと思うんです。
 まず、ご説明をいただきたいのは、どのような形で検討したのか、検討経過についてです。他の都立病院、病院経営本部が所管する都立病院の場合には、行革プログラムの提起を受けて、第三者も含めて検討委員会で導入のプラスマイナスも含めて検討する、そして、その報告を受けて病院経営本部としての検討を行うという過程をとりました。
 ところが、老人医療センターの場合には、こうした検討経過は明らかにされておりませんが、二年前の二〇〇六年七月に、我々からすれば突然、行政改革実行プログラムで地方独立行政法人への移行を目指すということが明記されて、その具体化としてさまざまな検討がされてきたというふうに推察されます。
 それで、所管する福祉保健局、あるいは老人医療センター、また老人総合研究所の関係者の間では、どのように検討がされてきたのか。そういう検討が二〇〇六年七月の実行プログラムの方向に示されたのか否か、そうしたことについてご説明をお願いします。

○飯塚参事 老人医療センターの方向につきましては、関係部署と協議を重ね、最も適切な運営形態として地方独立行政法人化の方向を打ち出したところでございます。

○吉田委員 先ほどいいましたけれども、病院経営本部の場合には、第三者も含めた検討機関で検討する、そして、その検討された結論について病院経営本部として行政的な対応策を定めるという過程をとりましたが、今のご答弁では、一体どういうメンバーで、どのような形で検討してきたのかという中身なしに、地方独立行政法人化の方向を打ち出したということになります。
 いうまでもないことですけれども、都立病院の独立行政法人化、しかも、この場合は非公務員型ですよね。東京都においては初めてのことであり、これだけの規模ということになれば、全国でもそう例の多くないことです。それだけに、結論については私たちはもちろん意見がありますけれども、まずそれ以前の段階として、どのような検討を経てこのような政策結論に至ったかという、政策形成過程がしっかりと明らかにされることなしに、こういう結論になったんだからいいじゃありませんかというわけにはいかないと思うんですよね。しかも、これまでのマスタープランの検討のときには、第三者を含めた検討委員会の議事録が公開されました。今回の病院経営本部の場合でも、検討経過の議事録を私たちは精査することができます。
 老人医療センターの独立法人化という方向について、どのような形で検討し、その議事録について私たちは見ることができるんでしょうか。

○飯塚参事 重ねて申し上げますが、老人医療センターの方向性については、関係部署と協議を行い、適切な運営形態として地方独立行政法人化の方向を打ち出したものでございます。

○吉田委員 これだけの重大な問題が、検討経過の議事録もそこで出された資料も意見も我々は確認することができない、ただ、関係者の間でそういう結論が出たんですと、これでは、手続的にいっても私は納得することはできません。
 さらに、いわゆる都立病院に非公務員型の独立行政法人を導入するケースというのは、極めて少ないわけですよね。したがって、例えば病院経営本部の実行プログラムの策定がことし一月にありましたけれども、このように書いております。地方独立行政法人のいわば課題として、とりわけ非公務員型は極めて少なく、移行後の期間も短いため、現段階では十分な検証がなされていないと。要するに、非公務員型については、余りにも具体的な検証がされていないんだということが、これを選択することができない要素の一つとして示されているわけですよ。
 皆さん方は十分な検証がされていると、問題ないという判断をするのか、そうだとしたら、病院経営本部の判断とどこが違うのか、ご説明ください。

○飯塚参事 第二次都立病院改革実行プログラムにおきましても、地方独立行政法人非公務員型は、経営上の責任が明確になる、経営状況や職員の業務実績を反映させた給与体系の設定が可能となる、環境の変化に対応した柔軟な人事配置が可能になるなどのメリットがあり、制度的には最も柔軟な経営形態とされております。
 病院事業を行う非公務員型の地方独立行政法人は、資料でもご説明いたしましたとおり、二十年四月現在で四法人であり、病院数は五病院となっております。公務員型は設立団体における定員管理や給与水準等の制約がございまして、公務員型の地方独立行政法人は、業務の停滞が住民の生活、地域社会等に著しい支障を及ぼす場合を対象事業としており、病院事業については、精神医療における指定入院医療機関の運営などが該当するなど、限定されているところでございます。

○吉田委員 私は、導入するからには、やはり他県の例や、その経過なども含めて慎重な検討をするということが、行政としては当然のことだと思うんですね。しかも、四月現在でこれだけありますよというご説明がありました。
 しかし、行革プログラムで独立法人化ということが打ち出されたのは、二年前の二〇〇六年なんですね。そのときに非公務員型の例がどこがあったかといえば、これも資料を見ればわかりますが、長崎県の町立病院、二百七十八床、宮城県の県立こども病院ですか、百六十床、たった二カ所ですよ。であるにもかかわらず、現在七百床の病院の非公務員型を目指すという結論をつけたということは、余りにも、私はやはり検討の仕方としては極めて乱暴なものだというふうにいわざるを得ないと思います。
 それで、今病院経営本部の打ち出した第二次実行プログラムの部分について紹介がありました。しかし、病院経営本部が打ち出した実行プログラムは、もちろん現時点という限定つきではありますが、さまざまなプラスマイナスを検討した結果として、現時点では、都立病院において独立法人化を導入することは見送るという結論になったわけですよね。そして、引き続き検討課題にしたわけですよ。同じ東京都でありながら、同様の問題で、これだけ判断が変わるのはなぜなのか、そのことをご説明ください。

○飯塚参事 病院経営本部所管の都立病院とは役割、規模が異なりますので、比較で考えることはできませんが、あくまでも老人医療センターと老人総合研究所を一体にした健康長寿医療センターは、地方独立行政法人が最も適切な運営形態であると考えるところでございます。

○吉田委員 それは言葉の世界ですよ。病院経営本部の病院と福祉保健局の所管する病院は違いますと、だからといって、同じ都立病院の運営の最適な方法を選択する、ましてや、高齢者医療は極めて重要で、行政的医療として改めて位置づけて進めようというときに、なぜ同じ都立病院という運営形態を老人医療センターの場合にはとらないのか。独立行政法人化、しかも非公務員型の検証が十分されない中で、あえて今の時期に急いでやるということは、今のご答弁では説明になっていないと思うんですけれども、なぜ急ぐのですか。

○飯塚参事 高齢者の医療、介護を取り巻く課題に的確にこたえていくための確固たる基盤づくりは喫緊の課題でございますので、安定的な運営を早期に確保する必要があると考えております。

○吉田委員 今の都立直営が、何か極めて不安定で、いつ倒れるのかわからないというふうなもし認識だとしたら、それは違うと思うんですよね。都立直営を継続することの方がはるかに安定的な運営が継続、確保されて、先ほどから板橋などの話もありましたけれども、皆さん、安心できるんじゃないでしょうか。逆に、こういう極めて十分な検討経過も明らかでないまま、非公務員型の独立法人化を導入することの方が、極めて不安定な事態になりかねないというのが、私は現実だというふうに思います。
 少し具体的なことで議論をさせていただきたいと思うんですけれども、今もお話がありましたが、独法化の理由として、安定的な運営を早期に確保する必要があるんだということがありましたし、事前の説明でも、独法化の方が、人事や予算など非常に柔軟な対応ができるんだと、利用者サービスにもつながるかのようなお話がありました。
 しかし、これは病院経営本部の質疑でもしましたけれども、独立行政法人化して、若干の柔軟な運営が可能となる分野もあり得るでしょうけれども、しかし、例えば運営交付金の削減など、財政的には極めて懸念される事態が起き得ると思うんですけれども、そもそも国はなぜ地方自治体に対して、もちろん押しつけではありませんけれども、地方独立法人化の導入を促すということを図っているのか、その目的をどういうふうに認識されているでしょうか。

○飯塚参事 地方独立行政法人制度の創設の趣旨は、公立大学、公立病院、特別養護老人ホームなど、地方公共団体が直接行っている事業、事務のうち、一定のものについて、地方公共団体とは別の人格を持つ法人を設立し、この法人に当該事務、事業を担わせることにより、より効率的、効果的な行政サービスの提供を目指すところにあると認識しております。

○吉田委員 私は、総務省がこの地方独法の法律を通知するときの公布通知と一般的にいわれている文書を改めて確認しました。そこでは、もちろん地方公共団体の自主的な判断というふうにいいつつ、なぜこれを求めるかということの理由が示されています。そこには、今日の厳しい財政状況のもとで、行革をより一層推進し、減量化を強めていくということがその目的であって、したがって、独法化の前に、まず事務事業について廃止、さらに民間譲渡の可能性ということを検討し、その上で独立行政法人化の導入というふうに並べて紹介をしているんですよね。
 ですから、明らかに行政としては、コスト縮減が政策的に極めて大きな意図を持っているというふうに見ざるを得ません。しかも、それは抽象的なことではなくて、現実的には運営費交付金の削減が計画的に求められるということが既に他の例でも示されていると思うんです。
 それで、首都大学東京及び国立病院の場合、毎年どの程度の運営費交付金の削減が位置づけられているのか、ご答弁をお願いいたします。

○飯塚参事 国立病院の運営費交付金削減の率ですとか額は今掌握しておりません。

○吉田委員 首都大学東京。

○飯塚参事 首都大学東京の運営費交付金削減の率については、ただいま掌握しておりません。--済みません。首都大学東京は三角二・五%、産業技術研究所は三角一%となっております。

○吉田委員 これは毎年毎年求められるわけですよね、一回ではなくて。国立病院機構については承知していないというお話がありましたが、私は病院経営本部から本委員会に資料を提出していただいた経過があります、昨年ですけれども。その中で見る限りでは、その後どうなったかわかりませんが、例えば平成十六年、五百二十億円、平成十九年、三年後ですね、四百九十八億円、三年間で二十二億円の運営費交付金が削られてきているという経過は、病院経営本部が本委員会に提出した資料でも明らかなんですね。しかも、こういうときにやたらと病院経営本部の資料を引用しますけれども、第二次都立病院改革実行プログラムでも、この運営費交付金の削減問題がやっぱり導入に当たっての懸念の一つになっていたと思います。
 いうまでもないことですが、紹介しますけれども、国の独立法人の運営を見ると、運営費交付金の一律削減を課されているなど、国の財政面からの効率化が前面に出ている例もある。都の財政状況によっては影響を受けるおそれがあるということが、直ちに導入しない理由の一つなんですよね。もちろんそれは一律に決めつけることはできないかもしれませんけれども、当然都の財政状況その他によって、こうした運営費交付金の削減が老人医療センターの運営にやはり影響が起き得る懸念というのはあると思うんですが、それはどうですか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターは、公営企業型地方独立行政法人でございますので、地方独立行政法人法第八十五条において、当該公営企業型地方独立行政法人の事業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費、当該公営企業型地方独立行政法人の性質上能率的な経営を行ってもなおその事業の経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費につきましては、設立団体が負担するものと定められております。健康長寿医療センターは、地方独立行政法人化によって、そのメリットを生かし、法人運営の効率化を進め、健全な運営を確保してまいります。

○吉田委員 他の例を見ても、とにかく一律何%カットということが定められるわけですよね。しかも、今お話がありましたが、これまでの東京都のいわば不足分を補うというものから、さらに能率的経営だとか、収支の改善だとか、そうしたことが今まで以上に厳しく求められていくということは明らかだと思うんですね。しかも、そのことは再編整備基本計画の中でも書かれているんですが、そうした収支改善などについて具体的にどのように進めようとしているのか、現時点でいえることがあったらご説明をお願いいたします。

○飯塚参事 地方独立行政法人の趣旨から考えまして、収支の改善は必要だと考えております。具体的には今後検討を進めてまいります。

○吉田委員 もちろん、むだを改善する意味では当然のことなんですよ。しかし、必要な分野や、あるいは患者さんを守らなければならないことまで、もしマイナスな影響が生まれるというようなことがあってはならないから、私はいっているわけです。
 今、今後の検討課題であるかのようなお話がありましたが、例えばことし二月に出された再編整備基本計画の中では、新センターの目指す経営指標ということが書いてありますよね。例えば、まず入院診療単価、入院医療へ結びつきやすく、かつ入院診療単価の比較的高い外科系へのシフトなど、診療科目の構成を見直し、入院診療単価の向上を図ると。すなわち、もしこれをそのまま受けとめますと、診療単価が高いような分野にシフトを進めていくんだと。それだったら、診療単価の低い診療科目はどうするんですかということがこれからは懸念をされます。だとか、平均在院日数がありますが、わざわざ、高齢者の心身特性として、老化に伴う生理機能等々で治療が長期化する傾向にあるんです、だけれども、平均在院日数の短縮を図っていくんだということが書かれていますよね。
 そうすると、やはりこれは、どうしてもやむなく長期入院が必要だというケースもあると思うんですが、そういう事態が、この収支の改善、経営目標のために無理やり退院を強いられるというふうなことになりかねないんじゃないかという懸念が当然生ずるわけですけれども、例えばこういう平均在院日数、あるいは病床利用率など、どのようにしようとしていくのか、既に検討されているんでしょうか。

○飯塚参事 重ねて申し上げますが、地方独立行政法人は、行政的な役割を果たす法人でございます。
 なお、先ほどご質問のありました在院日数等のことについてでございますけれども、高齢者にはその病態に応じた適正な医療を提供することが必要であり、退院に当たっては、病状、治療、内容等を十分に説明し、ご理解をいただいているところでございます。

○吉田委員 適正は当然なんですけれども、しかし、経営目標、あるいは収支の改善ということで平均在院日数の短縮を図っていくということになれば、私がいったような懸念が生まれるのは当然だと思うんですよ。しかも、それは病院の、老人医療センターの中でもそういう懸念の心配の声があるんですよね。
 例えば、これは皆さんからいただいた年報の最新版ですよ。その中でリハビリテーションについて書かれてあるところをちょっと紹介いたします。
 高度専門医療としてのリハビリテーション医療を行うためには、急性期だけではなく、回復期のリハビリテーションも行う必要があり、最低限平均約二カ月間の入院プログラムが必要であると。現在の在院日数では、入院の適用がかなり限定される傾向にあり、今でも限定されると。都民に対するサービスの低下は否定できないというふうにいっているんですよ。それで、結論的には、高齢者の高度専門医療と福祉を標榜する老人医療センターと福祉保健局の重点施策の一つであり続けることを願ってやまないと、リハビリテーションが。リハビリテーションだったら、どうしても回復期ということになりますから、それだけの平均と比べても在院日数が長くなる。それが今限定されてしまうということが現実に起きているんだと。そういうことになってはならないということで、願ってやまないというふうにいっているんですけれども。
 例えばこうしたリハビリ、回復期、そうしたことは適切に保障されていくというふうに認識してよろしいんでしょうか。

○飯塚参事 高齢者が安心して地域で暮らしていくためには、高齢者の病気の状態に応じた的確な医療を受けられる体制整備が重要であります。健康長寿医療センターでは、高齢者の心身の特性に応じた高度専門医療と急性期医療を担うこととしております。このため、クリニカルパスの拡大や地域の医療機関との連携を一層密にしていくことで、適正な在院日数を実現してまいります。

○吉田委員 リハビリは急性期じゃないですよね。そのことはどうですか。

○飯塚参事 必要な医療の提供を実施していることから、入院期間については個々人で異なるということは理解しております。

○吉田委員 さらに、患者負担の問題も当然懸念がされると思うんですよね。それで、現在老人医療センターでは、条例上は個室料の設定はあるようですが、実際上医療的な必要から、例えば一人部屋、個室に入った場合には、だからといって、個室料を取ることはないというふうに聞いておりまして、それがあるべき姿だというふうに思いますが、こうした患者負担なども、今後独立法人化した場合に新たに求められるというふうな心配が当然あります。そうしたことについては、その懸念が全くないのか、これまでどおりなのかということについてご答弁をお願いいたします。

○飯塚参事 先生からもお話がありましたように、現在老人医療センター条例では、患者の要望により個室を利用する場合には、個室使用料について一日一万八千円と定められております。健康長寿医療センターの収支状況等を踏まえ、必要な負担のあり方については今後検討してまいります。

○吉田委員 指摘だけにとどめておきますけれども、例えば、非公務員型ではありませんが、大阪府立病院の独法化と同時に、非紹介患者初診加算料というのが一回千七百十円だったものが二千六百二十五円に上がったということがありました。また、セカンドオピニオンも、時間は若干変わりましたけれども、一回当たり七千四百円が二万一千円というふうに値上がりをしたということがありますので、私は、やはりこうしたことがあってはならないということで意見を述べさせていただきます。
 次に、さらに具体的な点で、定款で示されている内容との関係で幾つか質問をさせていただきます。
 まず、個々の話の前に、今の老人医療センターあるいは老人総合研究所の目的や事業と、今回議案で示された、定款で示された目的や事業内容というのは変わらないのか、もし変わっているとしたらどういう点を変えたのか、ご説明をお願いいたします。

○飯塚参事 健康長寿医療センターにおける事業内容は、定款十八条に記載させていただいております。その内容は、医療の提供並びに調査及び研究を行うこと、医療に関する技術者の研修及び育成を行うこと、前二号の業務に附帯する業務を行うこととしており、現在の両施設の業務内容を包含したものとなっております。

○吉田委員 今、業務内容のお話だったと思うんですが、私はそれとあわせてやっぱり目的が非常に大事だと思うんですけれども、定款の目的では、高齢者のための高度専門医療及び研究ということになっています。この点に関してなんですが、高度専門に特化した医療、これは当然のことでありますが、問題は、それに限定をするということになった場合、地域医療との連携などがどうなるのかということが懸念されるわけですけれども、この点はどうでしょうか。

○飯塚参事 先ほどから申し上げておりますように、健康長寿医療センターにおきましては、重点医療にシフトしていくところと考えております。今後、地域との連携等をさらに強化していく考えでございます。

○吉田委員 ちなみに、以前出された医療センター運営基本方針、これもそちらからいただいた資料ですけれども、それを見させていただきましたら、例えばセンターの基本方針として何点かにわたって整理をされています。そのたしか二番目だと思うんですけれども、高度専門医療について展開をされた後、運営基本方針の第二として、高齢者医療の中核施設として地域医療を補完するため、地域との連携を推進を図ると、いわば地域医療を補完するということが書かれているんですが、これはこの定款ではそこまでは書かれておりませんけれども、今後も変わらない、継続されるのだというふうに認識していいのかどうか、そこをご答弁お願いいたします。

○飯塚参事 健康長寿医療センターは、高齢者の医療ニーズに的確にこたえるとともに、多臓器疾患や合併症など、高齢者の特性に応じ、高度専門医療を中心に幅広く高齢者医療を展開してまいります。

○吉田委員 結局、今の私の質問にはお答えいただけませんでした。そういう点で見れば、もちろん高度専門医療を担うことは当然のことですけれども、やはりこれまで、それとあわせて地域医療を補完するという役割を果たしてきたし、そのことに、周辺住民はもちろん、都民の方のニーズがあり、期待があるわけですから、独立行政法人化によってそうした役割が損なわれるということはあってはならないことだと思いますし、また、先ほども紹介した年報の前書きのところには、現院長だと思いますが、医療面では、地域から要望の高い急性期医療に力を入れ、断らない救急医療をモットーに積極的に取り組んでいくということまで書かれているわけですよね。そうしたこれまでの院の関係者の方々の努力が本当に独法化のもとで継続されるのかということが懸念されると思います。
 そのことと関連していると思うんですけれども、先ほど話がありましたが、病床数を五百五十床に低下させるということですが、私が聞いている限りでは、入院希望者がいまだに多いという中で五百五十床に縮小するわけですけれども、そうした入院のニーズや希望者が低下をしている、少なくとも二百床近くはもう必要ないというご判断なんでしょうか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターは、地域の診療機関、病院とも連携を進め、急性期医療を担っていく医療機関として病床数を五百五十床としたものでございます。この規模は、高齢者医療のニーズに十分に対応することができると考えております。

○吉田委員 先ほどから板橋区議会の意見書が紹介されていますが、これは板橋区議会の、文字どおり、ここにいらっしゃる会派の方々の総意で、多分区議会では出されたものだと思うんですけれども、それにとどまらず、板橋区の行政としても七百床を継続してほしいということが、検討委員会の中で地元の行政の要望として出されていたんじゃないですか--と私は思うんです。
 したがって、単にというか、議会じゃなくて行政も含めて七百床の継続を要望しているわけですから、とにかく結論は五百で、あとは理解してもらうということではなくて、やはり地元のそれだけのニーズを受けて要望が出されているわけですから、それにこたえることが都立病院としての使命ですし、そういうことをしないで、幾ら局長が説明に現地に入っても、それは納得されるものではないのではないかなというふうに私は思います。
 次に、三位一体の問題についてたださせていただきます。
 もういうまでもないことですが、老人医療センターの場合には、医療と研究、さらに介護、福祉という三位一体によって相乗効果が発揮されて、そこでの研究成果が全国にも普及されているということになっています。定款では、医療及び研究の拠点ということは明記をされていますが、介護施設との連携ということについては、私のミスかもしれませんけれども、把握することはできませんでした。もちろん運営形態の変更が提案されていますけれども、現在のナーシングとの連携というものは、定款上ではどのように理解したらいいんでしょうか。連携はなくなるということでしょうか。

○飯塚参事 板橋キャンパス再編基本構想に書かれております介護保険施設と病院は、運営主体が同一ではなくなりますが、これまでどおり近接をしており、十分な連携を図ってまいります。介護保険施設、板橋ナーシングホームの後継施設については、例えば在宅生活を支援するための手法の研究フィールドとするなど、健康長寿医療センターが発揮する機能と連携した機能を有するよう、今後、公募条件等の検討を行ってまいります。

○吉田委員 今後、公募条件の中でそういうものは位置づけるんだというお話ですよね。研究フィールドですか。それで、もっとストレートに私はお聞きしたいんですけれども、例えば先ほどから紹介している年報はこういうふうに書いてあるんですよね。福祉保健局所管の高齢者施設入所者で医療を必要とする者の診療を行いというふうに具体的に書いてあるわけですよ。これは、今後も継続をするということで理解してよろしいんですね。

○飯塚参事 先ほども答弁いたしましたように、介護保険施設と病院は、運営主体が同一ではなくなりますが、これまでどおり近接をしており、十分な連携が図れるものです。

○吉田委員 なぜそのことを懸念するかといいますと、いわゆる位置的にも現在は同一敷地内で、すぐ移動ができるという設置になっていますよね。ところが、この再編整備基本計画では、今のナーシングに当たる介護及び老健については、見にくいですけれども、東武東上線を隔てたところに位置的にわざわざ移すわけですよ。そうしますと、極めて機能的に一体的な今の状況からすれば、それは近いといえば近いかもしれないけれども、それだったら今のように一緒の敷地にそのまま置けばいいじゃないかと。それをわざわざ、どういう理由かわかりませんけれども、線路を越えた向かい側まで移動させるわけですよね、その現ナーシングの施設は。そういうことから見ればなぜこういうことをするのか。今のように同一敷地内、線路を越えなくてもいいところに置けばいいじゃないかというふうに思うんですが、それは答弁は求めません。そういうことを見ても、連携という点で見れば、果たして今のレベルが継続できるのか否かということは心配が生じざるを得ない。局長、ご存じでしたか、今見ているようだけれども。
 次に、先ほども話がありました老人総合研究所についてです。それで、名称については今後検討していくと、これまでの役割は大いに尊重するというお話がありましたが、研究対象ですね、やっぱり採算性あるいは収支の改善ということが重視されると、例えば民間などから寄附を受けることができるような研究に重点化されて、今までの研究対象、具体的にいえば社会科学的な研究ですね、そういうものについて今後も継続的に行われるのか否かということは、当然懸念として生まれると思うんですけれども、それはどう認識したらよろしいでしょうか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターにおいては、医療と研究を一体化することにより、臨床症例などを研究に反映した最新の知見に基づいた研究が可能となるなど、これまで以上に研究の充実が図られると考えております。

○吉田委員 年報もいただいて見させていただきましたけれども、年報の三ページには、研究所は、老化、老年病等に関する基礎科学的及び医学的研究並びに高齢者に関する社会科学的研究を総合的に行い、都民の高齢者医療及び福祉の向上に寄与するということが定められておりますが、これは変更ないということで理解してよろしいということですね。

○飯塚参事 健康長寿医療センターにおきましては、老人総合研究所が培ってきた老化、老年病の研究開発を推進してまいります。

○吉田委員 次に、具体的に人員と予算についてなんですけれども、研究所の職員定数は、いただいた資料では定数百十二、現員百八ということになっていますが、これは年々若干減少しているのかなという印象を持ちます。また、これは〇六年の数字ですから、ちょっと直近じゃありませんけれども、都の補助金は十八億五千万円ということになっていますが、こうした職員定数や都の補助金というものは、独法化に移行した場合、どういうふうになっていくんでしょうか。

○飯塚参事 健康長寿医療センターが持つ研究機能が維持、推進できるよう、研究所の補助金、職員数等については、現在検討中でございます。

○吉田委員 では、次に、労働組合との関係について質問させていただきます。
 地方独立行政法人の法案の際に、衆議院でも参議院でも附帯決議の中で、衆議院では、法人化に当たっては、雇用問題、労働条件について配慮して対応するとともに、関係職員団体または関係労働組合と十分な意思疎通を行うことというふうに付されました。また、参議院では、移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体または関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うことということが付されました。
 福祉保健局としては、この二つの附帯決議についてどのように受けとめ、実際に現在この問題でどのように対応してきたのか、ご答弁をお願いいたします。

○飯塚参事 地方独立行政法人化に当たっては、給与や労働条件など、職員の理解を求めることは重要であると認識しております。このことから、人事給与制度の基本的な考え方、地方独立行政法人に移行する際の職員の身分のあり方など、本年六月から七月にかけ、全職員に説明を行ったところでございます。
 今後とも、給与、労働条件についての具体的内容は、関係職員に対し適正に情報提供を行うとともに、理解を求めてまいります。

○吉田委員 非公務員型独立行政法人化ですから、職員の皆さんに対する影響というのは極めて大きいわけですよね。職員として公務員として残るのか、あるいは独法の非公務員固有職員になるのか、自分の今後の人生をどういうふうにしていくのか、極めて重大な問題が投げかけられていると思うんです。
 ところが、それだけ重大な問題でありながら、労働組合には、先ほど述べた行革プログラムの非公務員型独立行政法人化の移行問題というのは、何ら事前に打診なり相談なりなしに、突如として打ち出されるということ自身が、私はやはり、そもそも初めの段階からこうした附帯決議の精神が具体化されていないのではないかというふうに思いますし、しかも、例えばきょう我々には示されている定款の案すら、いまだに正式には労働組合には示されていないということを聞きました。これで理解を得るために努力をしていくというふうにいわれても、努力が余りにも足らないのではないかというふうに思います。
 しかも、ナースなどの職員確保ということを考えても、やっぱり東京都の職員としてのモチベーションというものは極めて大きな要素もありますし、また、生涯賃金の低下などが予想される中で、独法の固有職員の確保というのは極めて容易なことではないというふうに思います。今の職員の方々が安心して仕事をしていく、あるいはまた職員の確保なども、都立病院ならば、独法法人だけではなくて、全体でドクターも、あるいはナースも確保することができるわけですよね。それから切り離されて、独法一法人だけでこの仕事を担うということになれば、私は職員確保ということから見たって、極めて重大なマイナスということが、この問題では生じざるを得ないということを指摘しておきます。
 最後に、施設整備の問題に関連してお聞きしておきたいと思います。
 承継される権利の定めが提案されておりますね。この点でお伺いしたいんですが、一つは、老人医療センターの土地の承継が提案されているわけですけれども、同時に、建てかえということが具体的に準備をされていますが、その土地は譲り渡しますよと、じゃ、その整備費というものはどこが持つんですか。

○飯塚参事 地方独立行政法人としての健全な経営の実現、維持及び地方独立行政法人のメリットを最大限活用した整備費の効率化を図るため、新たな施設の整備主体は健康長寿医療センターとしております。整備費の負担のあり方については、今後検討してまいります。

○吉田委員 私は、その新法人は整備費を賄う力は多分ないと思うんですよね。東京都が全額か、あるいはその大半ぐらい負担しかねないことだと思うんですけれども、そうだとすれば、私は都立直営でなぜやらないのかと。何か新法人になれば、新しい施設の整備費が都の負担なしでうまくやれるんだというふうなことならば、一つの選択肢としてはあり得るでしょうけれども、そうでないとしたら、なぜ都立直営でやらないのかということがストレートに問われなければならないというふうに思うんです。
 もう一つ関連でお伺いしたいんですけれども、承継する土地は、あくまでもこの中の老人医療センターの土地だけを承継するということですよね。ほかの、例えば線路から離れた土地だとか、その横だとかは承継じゃないですよね。そこはどうなんですか。

○飯塚参事 今回、承継財産は条例で提案させていただいておりますが、委員指摘のとおりでございます。要は、老人医療センターのその土地でございます。線路の向こう等ではございません。

○吉田委員 ちょっと土地の面積、大きさは承知していなくて恐縮ですけれども、図面で見ても、新センターゾーンというものは、旧養育院、今の板橋キャンパス全体の中の多分三分の一にも満たないぐらいの面積だと思うんですよね。そうすると、ほかの土地はどうするのかということが問われるわけですよ。現在のナーシングについては民設民営に移っていくんだと、さらにそれ以外のあいた土地は、以前はたしか民活ゾーンというふうな位置づけがありました。そうすると、この貴重な都有地が、民活と法人と、さらに現ナーシングを受け継ぐところと、三分割されるのか、四分割されるのかわかりませんけれども、貴重な都有地がそういうふうに切り売りされていくわけですよね。そういうことは、それ自身も、私は行政財産のあり方としては将来に禍根を残すということになりかねないと思うんですよ。これだけの貴重なトータルの土地がみんなばらばらになって、いつの間にか都有地じゃなくなってしまうということは、今後のことを考えてみても、それは将来に禍根を残すことではないのかというふうにいわざるを得ません。
 まだまだいろいろ個々ただしたい点はあるんですけれども、私が今何点か指摘をした点で見ても、極めて不明朗な点もありますし、検討過程そのものも明らかになっていませんし、これでは私は、都民的に見れば、こういう選択をとったことについて納得が得られることではないというふうに思います。
 とにかく独立法人化という二年前の出された結論先にありきで、それに基づいて具体化が図られてきているというのが状況ではないかという印象を改めて質疑を通じて感じました。運営形態は独立法人化ではなく、都立直営にすべきだということを改めて述べて、私の質疑を終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○野上委員長 次に、報告事項、都立児童養護施設の民間移譲についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松井総務部長 過日の厚生委員会で要求のございました報告事項案件の資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料(報告事項)にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で四項目となっております。順を追ってご説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。都立児童養護施設の概要といたしまして、施設ごとの名称、所在地及び入所定員などを記載してございます。
 二ページをお開き願います。都立児童養護施設の入所状況といたしまして、施設ごとの名称、入所定員及び平成十六年度から二十年度までの入所実績を記載してございます。
 三ページをごらん願います。品川景徳学園及びむさしが丘学園の職員配置状況といたしまして、職種ごとに両施設の基準配置数及び現員につきまして、平成二十年九月一日現在の人数を記載してございます。
 四ページをお開き願います。都立児童養護施設に関する運営形態及び民間移譲実績といたしまして、(1)には都立児童養護施設の運営形態を、(2)には民間移譲した施設をそれぞれ記載してございます。
 以上、甚だ簡単でございますが、要求のございました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○野上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 皆様、お疲れと思いますので、端的に質疑をさせていただきます。
 今回、報告事項、都立児童養護施設の民間移譲についてでありますが、二つの児童養護施設、今回、品川景徳学園とむさしが丘学園、この二つの施設の民間移譲が報告されております。
 私は、以前から児童虐待の問題に大変強い関心を持っております。都議会においても、特別な支援を必要とする子どもたちの問題を機会があるごとに取り上げてまいりました。
 戦後、児童養護施設制度の発足当時、私はまだ生まれていないんですが、戦災孤児対策という点から、子どもに衣食住を提供し、命を守り、心身の発達を保護することが主要な目的であったと聞いております。
 しかし、近年、児童虐待対応件数が大変増加をいたしております。ですから、この児童養護施設、現在では虐待を受けた子どもたちの入所が全体の過半数を占めるようになったと伺っております。小さなころに虐待という大変過酷な体験を持った子どもたちは、心に深いダメージを負ってしまうことが多いと思います。一人一人の状態に応じた支援が必要でありますが、民間移譲が行われた後も、子どもたちの状態に応じた大変きめ細やかな支援が行われ、健やかな成長が図られなければなりません。こうした観点から幾つかお伺いをいたします。
 まず、児童養護施設の民間移譲について、改めて基本的な考えをお伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 児童養護施設の民間移譲についてでございますが、都は、平成十四年度の都立施設改革への着手以来、利用者本位のサービスの徹底のため、民間でできることは民間にゆだねるという基本方針のもとに都立施設の改革に取り組んでまいりました。児童養護施設につきましては、都立施設では従来から、少人数の子どもを一つの生活グループとして手厚い支援体制をとってきたことから、特別な支援を要する子どもを積極的に受け入れてまいりました。
 しかし、現在では、民間の児童養護施設におきましても、少人数の単位で生活グループを組み、職員配置を手厚くして個別的なケアを行う小規模グループケアの実施が進んでおりまして、そういう意味では、子どもの状態に即した質の高いサービスが提供されるようになってきております。
 こうした状況の変化を踏まえまして、品川景徳学園とむさしが丘学園の二施設につきまして、本年二月に策定いたしました東京の福祉保健の新展開二〇〇八におきまして、平成二十二年度の民間移譲に向け、条件整備を進めていくとしたところでございます。

○山加委員 先日、我が党の代表質問におきまして、行政責任とアウトソーシングについてお尋ねをし、施設サービスの目的や性格により、アウトソーシングに適しているのか、民間の企業や市場が本当に公の担い手として成熟しているのかを見きわめることが肝要と我が党は申し述べました。
 都立の児童養護施設については、既に平成十八年度、中井児童学園、そして、翌十九年度には伊豆長岡学園が民間移譲されているという実績があります。こうした民間移譲した施設のその後の運営の状況について、都としてどのように評価をしているのか、また、認識をお伺いしたいと思います。

○吉岡少子社会対策部長 民間移譲した施設の移譲後の運営の実績についてでございますが、平成十八年四月に民間移譲した中井児童学園におきましては、現在思春期を迎え対応が困難な中学生、高校生等を積極的に受け入れておりまして、また、この移譲法人が児童の就労支援をする自立援助ホームを運営しておりますことから、高校卒業後の就労支援等に熱心に取り組んでおります。
 次に、平成十九年四月に移譲いたしました伊豆長岡学園につきましては、新たに入所した子どものうち虐待を受けた子どもの数が八割を超えるなど、特別に支援を要する子どもを積極的に受け入れております。
 両施設とも、民間移譲後の福祉サービス第三者評価におきましても高い評価を受けておりまして、都としましては、各法人の特徴を生かしながら、子どもの成長や自立に向けた取り組みを行っていると評価しております。

○山加委員 今のご答弁によりまして、児童養護施設については、民間移譲された施設の検証を踏まえて今回の報告がされていることを私も理解ができました。また、民間がサービスの担い手として成熟してきており、民間でできることは民間にゆだねるとの原則が働く分野であるということをお聞きして、改めて安心をするところでございます。これからも都立施設、また民間施設のそれぞれのメリットを最大限に生かしながら、実態をよく見きわめ、サービス水準の向上に向け、不断の検証を行いながら、都立施設の改革をどうか推進していただくよう要望をさせていただきたいと思います。
 さて、冒頭、虐待を受けた子どもたちの施設への入所がふえているということを、私はことしの第一回定例会本会議の一般質問でも申し上げましたし、本日も指摘をさせていただきましたけれども、虐待を受けた子どもたち、当然でありますが、虐待によるトラウマやPTSDなどを抱えているために、施設に入所した後に大変乱暴になったり暴れたり、また、大人に対する対人不安を抱えるなど、情緒的な問題を抱えていることが私は少なくないと思います。さらに、将来自分が親になった場合に、我が子を同じように虐待してしまう、ニュースでもたびたびそんな事件が報道されますけれども、そんな自分の、繰り返しですね、虐待の世代間連鎖も指摘をされているところであります。
 施設においても、早期に心のケアを行うなど、心理的での、専門的な対応を行うことが大変重要でありますけれども、この施設における虐待を受けた子どもへの専門的なケアについて、都はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○吉岡少子社会対策部長 虐待を受けた子どもたちの中には、虐待体験や不適切な環境のもとでの養育により、対人関係の不調やパニック症状を起こすなど、心理面や行動面に深刻な問題を抱えている子どもも多く、お話のとおり、一人一人の状態に応じた専門的、治療的なケアが必要でございます。このため、児童養護施設に心理職員を配置して子どものケアに当たるとともに、平成十九年度からは、既存の児童養護施設を専門機能強化型児童養護施設と位置づけまして、東京都独自に精神科医師や心理職員を配置し、子どもの専門的ケアの強化を図っているところでございます。現在まで都内で三施設を指定しておりまして、現在四施設目の指定に向けて調整を行っているところでございます。
 今後、児童福祉審議会から先般提言がございまして、今後、その中で新たな治療的ケア施設の検討も含めまして、専門的なケアを必要とする子どもたちの支援を充実するよう努めてまいります。

○山加委員 今のご答弁にもございましたけれども、この八月、東京都児童福祉審議会の提言において、虐待を受けた子どもたちへの治療的ケア体制がテーマに取り上げられております。ご答弁の中にあった専門機能強化型児童養護施設の重要性もそこに盛り込まれておりました。今後取り組みを充実、拡大していくことが求められると提言されているわけであります。
 子どもたちの傷ついた心をいやすことは急務であり、私は社会の責務でもあると思っております。次代を担う子どもたちの命は社会の宝であることはいうまでもないことであります。提言にあった治療的ケアのための新たな施設の検討とあわせ、ぜひとも実効性のある形で施策に反映していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○大松委員 私も児童養護施設の品川景徳学園、むさしが丘学園の民間移譲につきましてお伺いをいたします。
 本来なら、お父さん、お母さんから最大限に愛情が注がれる時期に、その機会に恵まれず、寂しく、また、悲しくつらい思いをしている子どもたちがふえております。保護者がいない、また、保護者がいても虐待などさまざまな事情で一緒に暮らせない、こうした社会的養護を必要とする子どもたちは、現在都内に約四千人いるといわれております。その約八割が児童養護施設で生活をしております。家庭にかわって安心で安全な生活環境を提供する児童養護施設は、子どもの幸せを守る最後のとりでともいえる存在であります。
 今回、その二つの都立施設が民間移譲されるわけでありますけれども、民間移譲されることによりまして、支援内容が低下するようなことがあってはならないことは当然でございますし、支援内容が、より充実するように取り組まなければなりません。児童養護施設の支援内容について、民間移譲によって期待される効果について伺います。

○吉岡少子社会対策部長 民間移譲によって期待される効果についてでございますが、民間児童養護施設では、各法人の特徴を生かしながら、きめ細かな支援を行っている実績がございます。例えば東京では、全国で初めて児童のグループホームの運営を始めた施設がございまして、これを先駆けとして、現在数多くの施設がグループホームを展開し、家庭的養護に積極的に取り組むようになってきております。また、職員の専門性が高く、ケアの難しい子どもを積極的に受け入れているほか、親との信頼関係を築きながら手厚い支援を行っているところもございます。
 一方、制度面を見ますと、民間施設は、都立施設に比べ、人事管理や予算執行、施設管理の面におきまして法人の創意工夫や自主性が発揮しやすくなっております。今後、公募手続により、移譲先の法人が選定されることにはなりますが、このように施設運営で特色と実績のある法人が新たに移譲する施設を経営することによりまして、養護施設の運営の一層の向上が期待できるというふうに考えております。

○大松委員 先ほど山加先生からもお話がございましたけれども、ここで指摘をしなければならないのは、やはり、現在児童養護施設には、虐待を受けた子どもたちがふえていることであります。入所者の五〇%を超えております。また、発達障害、知的障害を持ち、手厚いケアを必要とする子どもたちもふえております。特に虐待を受けた子どもたちは、心に深い傷を抱えており、精神科や心理療法など専門的なケアを含む治療的養育を行っていく体制の構築が求められるようになってきているわけであります。
 こうした中で東京都は、都立の児童養護施設において、八人の子どもを一つの生活グループとして手厚い支援をきめ細かく行う、都独自の小規模グループケアを全国に先駆けて行ってきました。虐待などにより特別なケアを必要とする児童や中学、高校生など、年齢の高い児童も積極的に受け入れてきた実績もあります。
 先日、私も都立施設の小規模グループの居室を伺ってまいりました。平日でありましたけれども、ちょうど小学校の運動会の代休で、何人かのお嬢さんがいらっしゃいました。兄弟のように仲よくにぎやかで、職員に甘えている姿も見まして、大変安心したわけでありますけれども、果たして民間ではどうなのか。民間の児童養護施設における、虐待などにより特別なケアを必要とする子どもたちへの対応について伺います。

○吉岡少子社会対策部長 虐待を受けた子どものケアを行うには、職員が子どもに可能な限り個別的にかかわりながら支援していくことが特に重要でございます。このため、民間の児童養護施設におきましても、少人数の単位で生活グループを組む小規模グループケアの実施が進んでおります。また、現在、都内三カ所の児童養護施設で、先ほどご答弁申し上げましたとおり、専門機能強化型児童養護施設として精神科医師や心理職員を配置し、専門的ケアを行っているところでございます。こうした取り組みにより、民間施設におきましても、子どもの状態に即した質の高いサービスが提供されるようになってきております。

○大松委員 専門機能強化など、民間は民間独自の取り組みをしているわけでございますけれども、実は、小規模グループケアについてなんですが、国の指定要件が一施設二カ所にとどまっております。したがいまして、三カ所目以上は国の助成対象にならないため、民間では必ずしも虐待を受けた子どもさんすべてに小規模グループケアが行われているわけではございません。この都独自の小規模グループケアを都内すべての施設に広げていただけますように、東京都として、小規模グループケアへの助成拡大を国に強く働きかけるべきであります。国が動かなければ、東京都は独自で加算を行って、虐待を受けたすべての子どもに十分なケアが行える体制を整えるよう、強く要望をいたします。
 また、今回民間に移譲されます品川、むさしが丘の二つの施設につきましても、都立施設で実施をされてきました支援内容が維持され、さらに向上されるよう、東京都の取り組みを強く求めるものでございます。
 次に、今回民間移譲される二施設の引き継ぎのあり方について伺います。
 親から離れて暮らす子どもにとりまして、職員との愛着関係は大変重要です。民間移譲で職員が入れかわれば、子どもたちは新たな職員と新たに人間関係を築いていかなければなりません。一人一人の個性や事情に配慮したきめ細かい引き継ぎが求められます。入所している子どもの安心を確保するために、法人や職員間における引き継ぎ方法について伺います。

○吉岡少子社会対策部長 入所している子どもたちの安心感を確保することは、何よりも重要なことであるというふうに考えております。このため、民間移譲に当たりましても、適切な引き継ぎ期間を設け、入所している子ども一人一人の性格や心身の状況、生育歴等を踏まえたきめ細かな引き継ぎを行うことが必要でございます。既に民間移譲を行った中井児童学園、伊豆長岡学園では、十分な引き継ぎが行われるよう、新たな事業者と事業団職員が共同して児童自立支援計画を作成し、移譲後はその計画に基づいて子どもの支援に当たっております。今回の民間移譲に当たりましても、入所している子どもの安心を確保するため、きめ細かな引き継ぎを行ってまいります。

○大松委員 児童養護施設が支援をしておりますのは、現在入所している子どもたちだけではありません。退所後の子どもたちにも必要に応じてアフターケアを行っております。民間移譲で職員が入れかわりましても、移譲前に退所をいたしました児童へのアフターケアがきちんと行われるよう、引き継ぎが行われなければなりません。移譲前の施設退所児童へのアフターケアについても伺います。

○吉岡少子社会対策部長 児童養護施設を退所した子どもにつきましては、地域での社会的自立を維持していくため、住まいや職場を訪問し、相談支援を行うなどのアフターケアが必要な場合がございます。既に民間移譲した施設におきましても、家庭に復帰した子どもの家庭を訪問し、本人の相談はもとより、体調を崩した家族への相談支援を行うなど、家庭環境の調整を行う、あるいは就労自立を果たした子どもには定期的に施設への訪問を促し、就労に関する悩みを聞くなどの手厚い支援が行われております。
 今後の民間移譲に当たりましても、退所後の適切な支援が行われますよう、就労自立や家庭復帰の状況等を含めた児童自立支援計画に基づきまして、アフターケアの着実な実施を図ってまいります。

○大松委員 民間移譲後も、引き継ぎやケアが適切に行われているか、都としてチェックをすることも必要であります。民間移譲後の施設への都の指導のあり方について伺います。

○吉岡少子社会対策部長 民間移譲した施設につきましては、都と移譲した法人との間で施設運営に関する協定を締結することとしております。この協定では、応募時に提出された事業計画の実施や利用者サービスの向上などについて規定をいたしまして、その運営状況について法人から適宜事業実績報告を受け、その内容を踏まえて必要な指導をしてまいります。
 また、法令に基づき、運営、援助、支援、会計の視点から、施設に対して毎年定期的に指導検査を行っておりまして、専門的見地から指導助言を行う福祉サービス専門員を同行し、子どもの視点から権利擁護や満足度にも配慮した指導を行ってまいります。

○大松委員 先日、施設にお邪魔した際にも、多くの職員の皆様方とお話をいたしましたけれども、児童養護施設で働く職員の皆様方は、昼夜を分かたず献身的に子どもに尽くされている宝のような存在でございます。伸び伸びとその力を遺憾なく発揮できるよう、都は支援を強化するべきであります。特に若い職員の皆様方が意欲と希望を持って働き続けられるような体制を整えることを要望いたします。
 また、都内の多くの施設は老朽化が進んでおります。子どもたちに快適な環境を提供するためにも、ハード面の整備に対する支援も強く求めて、質問を終わります。

○かち委員 最後、よろしくお願いします。重複する質問は割愛しますけれども。
 近年、貧困、格差の拡大や不安定雇用の拡大など、将来不安も相まって、子どもたちをめぐる社会環境の変化が社会的養護を必要とする子どもたちにもさまざまな影響を及ぼしています。その前提となる児童相談所への相談件数も急増しており、二〇〇七年度、児童相談対応件数は三千三百七件、十七年前と比べると実に二十五倍です。区市町村の相談件数はさらにそれを上回り、四千八百件を超えているとのことです。児童相談所の一時保護所は、現在満杯状態で、六カ月も学校に行けない状況や、どの都立養護施設でも、年末になると定員オーバーでの受け入れをせざるを得ないとも聞いています。こうした中で、都立の児童養護施設を前回二施設、また今回も二施設民間移譲するという報告ですが、今改めて児童養護施設の置かれている現状、子どもたちの状況を踏まえ、都立施設の果たす役割についてなど質問したいと思います。
 現在全都で措置されている児童は約四千人というお話がありました。その中で都立施設は都内が四施設、都外が四施設、全体の二割を占めているわけですけれども、都が進めている福祉改革の中でも、都立施設は現在社会福祉事業団への指定管理者委託をしているところであり、二〇〇九年度までが委託期間です。その後の三年間についてもこれから検討する段階において、今なぜこの二施設を民間移譲されるのか、その理由をお聞きします。

○吉岡少子社会対策部長 品川景徳学園とむさしが丘学園の二つの施設につきましては、本年二月に策定をいたしました東京の福祉保健の新展開二〇〇八におきまして、平成二十二年度の民間移譲に向け、条件整備を進めていくとしたところでございます。品川景徳学園及びむさしが丘学園は、児童定員がそれぞれ四十八人、六十四人という施設規模でございまして、これは民間施設に比較的近い規模でございます。また、それぞれ中学生、高校生向けの個室の設置や居室の改修等が行われ、安定的な自主運営に必要な施設の環境整備が整ったことから、今回移譲を行うこととしたものでございます。

○かち委員 民間規模に近い施設だということで民間移譲するという報告ですけれども、本年八月に児童福祉審議会から、社会的養護のもとに育つ子どもたちへの専門的ケアのあり方についての提言が出されました。この中では、東京における社会的養護の実態として、虐待を受けた子どもの増加に伴う新たなケアニーズが顕在化しているとのことです。児童養護施設には、虐待を受けた子どもが約五〇%以上入所、発達障害や知的障害を持つ子どもたちの入所も増加しており、虐待体験による施設入所の子どもが示す情緒、行動上の問題は、早期の段階で適切なケアが必要である、また、問題行動に至った要因、背景を含めた総合的なケアマネジメントが必要だと書かれています。そして、特に治療的ケア体制の充実強化のために、児童養護施設における治療的養護機能の強化、人材育成とともに、新たな治療的ケア施設の検討が必要だと提言されています。この児童福祉審議会の提言にもあるように、施設において半数以上を占める被虐待児童のケアのあり方をどのようにしていくのか伺います。

○吉岡少子社会対策部長 児童養護施設における被虐待児童のケアについてのお尋ねでございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、虐待を受けた子どもの中には、虐待体験や不適切な環境のもとでの養育により、対人関係の不調やパニック症状を起こすなど、心理面や行動面に深刻な問題を抱えている子どもも多く、一人一人の状態に応じた専門的、治療的なケアが必要でございます。このため、都におきましては、児童養護施設に心理職員を配置して子どものケアに当たるとともに、十九年度からは、既存の児童養護施設を専門機能強化型児童養護施設と位置づけ、都独自に精神科医師や心理職員を配置し、子どもの専門的ケアの強化を図っているところでございます。さらに、先般児童福祉審議会から治療的ケア施設の検討のご提言をいただきましたので、現在そのような方向についての検討を行っているところでございます。

○かち委員 先ほど来の質疑の中でも明らかなように、今の児童養護施設の状態というのは、戦後直後の混乱の中での親のない子どもたちを養護してきた時代とは大きく様相が変わってきている、非常に医療的ケア、専門的ケアが必要になってきていて、そういう体制も整備していかなければならない状況であるというお話でした。
 私は先日、品川景徳学園を訪ねてみました。住宅街の中にあって、周囲の環境に配慮された、落ちついたたたずまいであり、四十八名の子どもたちがワンフロア十六名ずつ、三フロアに配置され、そのワンフロアも八名ずつ両サイドにグループ化されていました。ちょうど学校から帰宅したころだったので、会う子どもごとに、こんにちはと元気なあいさつが返ってきました。表面的には明るい子どもたちですが、それぞれここに来るまでにはさまざまな経過を背負い、心にも深い傷を負った子どもたちが、ここでも六〇%はいると聞きました。また、心の傷とともに、発達障害のある子、精神的ケアの必要な子、慢性疾患など、医療的ケアの必要な子どもも数名いるとのことです。中には、梅ケ丘病院に短期入院をする子などもいて、こういう子どもたちの管理をする上で、看護師の必要性を強く感じました。
 景徳学園には一名の看護師が配置されていましたけれども、児童養護施設における医療的ケアの必要な子どもたちがふえる中、看護師の配置はどうしても必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 児童養護施設における看護師の配置についてのお尋ねでございますけれども、国が定める児童養護施設の職員配置基準におきましては、看護師の配置は規定されておりません。現在、都内の民間施設におきましては、児童指導員等が入所児童の健康状況を把握し、服薬の確認などを行い、嘱託医や地域の医療機関と連携を図りながら、利用者の健康管理に努めているところでございます。

○かち委員 まだ配置基準ができていないということですけれども、これは国の対応がおくれてきたものだと思います。しかし、国もようやく今年度から各自治体一名分だけ予算化されました。しかし、都立施設としては必要に迫られて各施設に配置しているのが実態です。民間施設からの要望書にも、社会福祉協議会児童部会からの要望書が出ておりますけれども、この中でも都立施設の看護師の配置についての支援を要望されております。
 都立施設の事業団運営の施設長会が調査をした結果を見ますと、平成十八年度のまとめですけれども、被虐待児童数の割合が都立施設では六五・五%に対し、民間施設では五四・三%です。入所時の年齢では、中学生以上が都立では二〇%に対し、民間では九・三%です。思春期児童は、ただでさえ不安定であり、さまざまな問題が起こりやすい上に、不適切な養育を受けた児童の育て直しというのは非常に困難となり、心の傷もいえにくく、難しい対応が求められています。事業団児童養護施設は、児童相談所から措置されている児童のこうした困難ケースを受け入れてきている、まさにセーフティーネットの役割を果たしていると思います。
 さて、養護施設に措置された子どもたちも、より家庭的な対応が求められています。提言にも書かれていますが、子どもの発達過程において最も大事なことは、特定の大人との愛着関係である。親から虐待を受けた子どもの多くは家庭の中での愛着体験が不足しているため、大人に対する信頼感を獲得できずに、他者への強い不信感を持つなど、情緒的に不安定な傾向にある。こういう状況から、できる限り家庭に近い生活環境の中で、特定の大人との愛着関係をはぐくみながら、大切に育てられるべきであると述べています。
 現在、都としては、二〇〇五年に策定した次世代育成支援行動計画で、二〇〇七年までに、社会的養護を必要とする子どもたちのうち家庭的養護の整備を三割までとする目標で取り組んできましたけれども、その進捗状況はどうなっているでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 家庭的養護の進捗状況についてでございますけれども、平成十七年度、次世代育成支援東京都行動計画を策定いたしまして、その中で、平成十九年度までに社会的養護に占める家庭的養護の割合を三割とする、また、そのうち養育家庭、いわゆるほっとファミリーでございますが、この養育家庭の委託児童数を四百二十人、児童養護施設のグループホームの定員を六百人とする数値目標を掲げまして、取り組みを進めてきたところでございます。
 平成十九年度末の進捗状況でございますが、社会的養護に占める家庭的養護の実績は二四%でございます。目標三割の三〇%に対して二四%の進捗状況でございます。また、養育家庭の委託児童数は三百八十二人、児童養護施設のグループホーム定員につきましては五百七十人となっておりまして、それぞれ目標の九割に達しております。
 なお、一点だけ、先ほど、かち副委員長から、現在都内の児童養護施設における虐待等の問題を抱えた子どもの在所者の割合について、都立と民間とを対比した数字のご紹介がございましたが、直近の数字がございますので、そのご報告をさせていただきたいと存じます。
 都立は今八施設ございますので、民間の方は民間の上位十施設のデータでございますけれども、都立の場合には、平成二十年二月一日現在で、全体の児童の七〇・九%でございます。一方、民間の上位十施設の平均は七二・三%というふうになっておりまして、都立の八施設、民間の上位十施設は、民間が若干上回る、ほぼ同じというふうな状況になってきている、そういう状況でございます。

○かち委員 三割までの家庭的養護の整備の目標に対して、今、二四%ということで、それぞれふえてはいるものの、それ以上にそれを必要とする子どもたちがふえているということで、なかなか目標達成というのは厳しい状況にあるとは思います。現在都立施設で実施しているグループホームの設置状況、都型、国型があるようですけれども、どのようになっているでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 都立施設で実施しておりますグループホームでございますが、児童のグループホームには、児童養護施設の定員内で行います、いわゆる都型グループホームと、定員をふやして外に出して行う国型グループホームの二つの形態がございます。平成十九年度における都立施設のグループホームの実施状況は、国型グループホームが一カ所、都型のグループホームが五カ所、合計で六カ所となっております。

○かち委員 グループホームには都型と国型があるという説明で、今は都型が五カ所、国型が一カ所ということでしたけれども、これは、違いは、都型の場合は一つの施設の定員の枠内でグループホームに出していくというやり方であり、国型の場合は定員の外に出すと。当然、指導員というか、介護する方々も、国型の場合は二・五名ですか、都型の場合は一・五名という基準にはなっているようですけれども、今最初にお話ししましたように、大変問題の多い、困難を抱える子どもたちが年末になるとあふれるほど出てきているという状況からしても、このグループホームをもっと家庭的養護の意味合いも含めて広げていく必要があるんじゃないかと思うんです。
 しかし、都型だけ広がっていっても、定員をふやすわけにいかないわけですから、国型の体制も充実させて、国型をやっぱりふやしていく必要があるとは思うんですけれども、この考え方についてはどうですか。

○吉岡少子社会対策部長 家庭的養護の推進の中では、グループホームの設置促進に取り組んでおりまして、また一方で、社会的需要にこたえるためには、社会的養護全体の供給量もふやしていかなければいけないと、そういう考え方で従来から取り組んできております。そういう意味では、このグループホームの整備につきましても、都型、国型、それぞれ条件の整ったところから整備を進めていく、そういう考え方で進めてきております。

○かち委員 全体として民間施設も国型がふえてきているものの、こうした施設がふえると、それに対応する職員も配置しなければなりません。今の配置基準では、困難ケースがふえている中で、対応も体制も困難を極めていると聞いています。提言の中で、子どものニーズに対応できていない現状が書かれていますが、虐待等の不適切な養育により、心身に深い傷を受け、さまざまな情緒、行動上の問題を持つ子どもに加え、発達障害や知的障害をあわせ持つ子どもも増加している中、これまでの集団を基本とした養育が極めて難しい状況だと伺いました。
 そして、特に重いケアニーズを抱える子どもは、攻撃性、衝動性が強くあらわれ、自分自身をコントロールできず、他の子どもや職員に激しい暴言や暴力などを振るう子どもや、特に医療的ニーズが高く、看護師など専門スタッフによる日常的な観察ケアが必要な子ども、情緒障害や精神疾患、発達障害による問題行動が顕著で、学校、施設生活に著しい不適応を起こしている子ども、性的逸脱行動の激しい子どもなど、さまざまな状況が生まれているようです。こういう子どもたちと他の児童が集団生活をともにしていくことがいかに困難であるかは想像にかたくありません。一定の判断を超えれば、自立支援施設への措置がえということもありますけれども、今はそのグレーゾーン的な子どもたちが大変多くなっているんだと思います。
 にもかかわず、児童養護施設における職員体制の国基準は、ここ三十年間見直しされておらず、職員は十分なケアスキルを持たないまま、限られたマンパワーの中で特別な対応を迫られ、苦慮しているのが現状だとお聞きしました。民間施設でのフォローを含め、今日の社会的養護を必要とする子どもたちの状況からして、情緒障害短期入所制度の取り組みなどが改めて必要になっているのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 情緒障害児短期治療施設は、児童福祉法に基づく軽度の情緒障害を有する子どもの治療を行うための施設でございます。虐待等により重篤な情緒的、行動的問題を抱えた子どもを想定した施設ではございませんで、パニックや暴力行為等の激しい子どもには十分に対応し切れない面もあるというふうに指摘されております。
 都といたしましては、他県の情緒障害児短期治療施設のこれまでの実績を参考にしながらも、先ほども申し上げましたが、児童福祉審議会の提言にもございましたように、新たな治療的ケア施設の検討も含め、専門的なケアを必要とする子どもへの支援を充実するよう努めてまいります。

○かち委員 子どもたちをめぐる状況が大きく変わっている中で、どう対応していいかという点では、今大変大きな課題にぶつかっているところだと思います。情緒障害児だけを集めてみてもなかなか難しいというお話でしたけれども、しかし、こういう子たちを本当に安心して養育できる環境づくりという点では、特別なケア体制強化の施設も改めて必要になってくるのだろうと思います。
 先ほど民間施設と都立施設で、被虐待児など困難ケースは同じぐらい受け入れているんだというお話がありましたけれども、民間施設では、今本当に人材不足に悩んでいるのが実態だと聞いております。こういう施設で対応する、かつてとは違う状況の中で専門的な対応をしなければいけないんだけれども、なかなかそういう中で、若手ですぐに対応できる状況がない。そして、小グループ化していくという中では、本当に東京都が人材育成の役割も果たすのではないかと思いますけれども、そういう意味で、今民間でできることは民間にということで、どんどん民間に移譲していくのではなくて、都立の持っている経験やスキル、そういうもの、それから、年齢層も豊かなものがあります。そういうところを生かして、民間の人材育成のために、そこを拠点として使っていく、そういう立場で都立施設を位置づけるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉岡少子社会対策部長 ただいま、かち副委員長から人材養成の必要性についてのご指摘をいただきました。人材養成につきましては、基本的にはその人材を雇用する各事業者がその事業者の責任に基づいて確保、育成していくというのが基本であろうかと存じます。さはさりながら、個々の事業者のレベルで確保が難しくなってきているという昨今の状況がございますので、先般の児童福祉審議会におきましては、そのような状況を踏まえて、行政、それから、児童養護施設の事業者団体、学校、教育機関、そういったものが全体として連携して人材養成の課題に取り組んでいくべきではないかというご示唆をいただいております。私どもは、そういったご示唆を十分に参考にしながら、東京都として取り組むべき課題、取り組むべき方向性について検討しているところでございます。
 また、現在の民間の施設の状況については、先ほど来申し上げておりますとおり、十分力をつけてきておるというふうに考えておりますので、既に民間施設におきましては、子どもの状態に即した質の高いサービスが提供されるようになってきております。このような状況を踏まえまして、民間にできることは民間にゆだねるという基本方針のもとに、都立児童養護施設につきましては民間移譲を進めてまいります。

○かち委員 民間にできることは民間にゆだねるという強いご答弁でしたけれども、民間ももちろん頑張っていますし、施設もふえているのも事実です。それは社会的な要請、そういう状況があるから民間も頑張っているんですけれども、やはり人を育てていくという、非常に難しい対応が今迫られている児童養護施設事業というものを、今後、都として全体に発展させていくという点では、都立の施設は都内はたった四つしかないんですよ。その四つを拠点にして、センターにして、民間のフォローを含めたこの機能を果たすべきだということで、私は、この民間移譲には反対の立場を申し上げまして、質問を終わります。

○野上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野上委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十一分散会

ページ先頭に戻る