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Tokyo Metropolitan Assembly

厚生委員会速記録第十一号

平成十九年十月二日(火曜日)
第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長長橋 桂一君
副委員長山加 朱美君
副委員長かち佳代子君
理事谷村 孝彦君
理事増子 博樹君
理事野島 善司君
伊藤 興一君
田代ひろし君
山口 文江君
いのつめまさみ君
大塚たかあき君
野村 有信君
佐藤 裕彦君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長安藤 立美君
次長関  敏樹君
技監梶山 純一君
総務部長杉村 栄一君
指導監査部長梶原 秀起君
医療政策部長細川えみ子君
保健政策部長清宮眞知子君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長吉岡 則重君
障害者施策推進部長松浦 和利君
健康安全室長桜山 豊夫君
企画担当部長松井多美雄君
施設調整担当部長宮垣豊美子君
参事蒲谷 繁夫君
参事吉井栄一郎君
参事住友眞佐美君
参事芦田 真吾君
参事松原 定雄君
参事菊本 弘次君
参事金丸 陽子君
参事奥澤 康司君
参事月川由紀子君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉保健局関係
契約議案の調査
・第百七十二号議案 東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百六十二号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百六十三号議案 東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
・第百六十四号議案 東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十五号議案 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
・第百六十六号議案 プール等取締条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・都立障害者施設の民間移譲について

○長橋委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書六件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○長橋委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の契約議案の調査並びに付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして、議長から調査依頼がありました。
 本件につきましては、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十九年九月二十七日
東京都議会議長 比留間敏夫
厚生委員長 長橋 桂一殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百七十二号議案 東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築工事請負契約
2 提出期限 平成十九年十月二日(火)

○長橋委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百七十二号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 今回議案として提案されている、東京都の医学系の総合研究所、この新築の工事請負契約について少し伺いたいと思うんですけれども、今、医学というのは大変急速な進歩をしておりまして、特に遺伝子の問題など、多くのことが患者さんの間で興味を持たれて話題に上っているわけですけれども、その新しい考え方の中で、予防法ですとか診断法ですとか治療法、こういうものを今までとは違う考え方で取り組んでいかなくてはならない、これが都民の健康にこたえる大きな責務だと思うんです。
 こういう都民医療の第一線からの要望にこたえるために、東京都では、脳でありますとか神経、こういう脳神経疾患に対する研究を行う神経科学総合研究所と、精神疾患に関する研究を行う精神医学総合研究所、それからまた、感染症、がんなど悪性腫瘍などの疾病の研究に取り組む臨床医学総合研究所、この三つの医学系の総合研究所を設置しているわけですけれども、今この各研究所の研究員の定数、これが、ある意味では少数精鋭ということで多少減ってはいるようですが、文科省の補助金もふえておりますし、それから講演会とか公開講座など、参加している方たちもふえている、これは確かに現実にあるわけですね。
 ただ、こういうものが、今のこの生命科学の分野で、生物の遺伝情報や解析するゲノム科学などの最先端の研究の世界的な飛躍的な発展に伴って、いろいろな病気というものが、今、我々の遺伝子というものに密接に結びついているという新しい考え方の中で、大変取り組みとしては一生懸命なさっていることはわかるんですが、そういう研究が、現実にどういうもので今成果が出ているのか、そして、今からどういう方向性で取り組むかについて少しお話をいただきたいと思います。

○蒲谷参事 東京都の三研究所は、医学に関する研究を総合的に行うことによりまして医学の振興を図り、その研究成果を普及することによりまして都民の医療と福祉の向上に寄与することを目的としております。
 今までの還元された例としましては、例えば、世界で初めてC型肝炎ウイルスの粒子の電子顕微鏡撮影に成功したことですとか、ポリオウイルスに感染する遺伝子改変マウスの作成に成功したこと等が挙げられると思います。
 今後とも、研究所の力を発揮して、都民が抱える切実な医療課題の克服を目指して研究を行ってまいりたいと思っております。

○田代委員 今お話しいただいたマウスの研究なんかは大変すばらしいと思って、私自身も見せていただいたし、寄せていただいてお話を伺ったんですが、やはり残念ながら、日本独自のこういうシステムなんでしょうか、それができ上がっていないというか、産学官、横のつながりがないんですね。東京都はそれなりに一生懸命、そういう三研究所で努力をしているんですが、それをもっともっと社会に還元していく、フィードバックしていくためには、国との関係も、もっともっと持っていかなくちゃならない。それほど今、国と東京都の仲が悪いとは僕は思いませんけれども、やはりパイプがないんですよね、現実にできていない。いわゆるすべてがコンビネーションされている共同研究みたいな形ではなくて、たまたま意見交換の場がありましたというのがコンビネーションになっているように見えるわけであって、実際は、研究の場にいる人間から見ると、国と都が協力してやっていくというところが、まだまだ足りないような気がするんですね。その方向性も決まっていないような気がします。
 ですから、そういう意味では、この三研究所がともすると、せっかくこういういい成績を上げていながら、努力をしていながら、ある意味では、じゃ、もう国に渡してしまえば要らないじゃないか、何で東京都でわざわざやるんだという、まるで地方分権の流れに反対するような意見も出てきちゃうおそれがあるわけですね。
 東京都は東京都で、都民に対してもっともっとテーラーメードな治療ができるような研究というのをやらなくちゃいけないのは当たり前のことで、三研究所の重要性というのはますますふえていくと思うんですが、しかしそれは、国とのきちっとした対等な公平なタイアップがあって、そして、きちっとしたディスクロージャーが行われるということがあって初めて価値観が認められるのであって、まだまだそこが、皆さん方が努力をなさっている割に、やはりこれは、医学というより研究分野での日本のまだまだ古い考え方が立ちふさがっているのかもしれませんけれども、そこはやはり行政の熱意で溶かしていかなくちゃいけない。
 そういう努力をしていただくために、今から東京都はどういう思いで立ち向かっていくかをお聞かせいただきたいと思います。

○蒲谷参事 これまでの研究の実績を見ますと、文部科学省の科学研究費補助金の受け入れを初めとしまして、一部ではございますが、国等からの委託研究なども行った実績もありますが、今後とも、国や企業等と連携した研究を積極的に進めてまいりたいと思います。

○田代委員 お言葉どおりにしっかり受けとめさせていただきますから、努力をいただきたい。
 そして、現実には、この三研究所が我々の地元であります世田谷区の松沢病院の中に展開されるわけですから、松沢病院の中にこの三研究所ができること自身が、どこから見ても整合性のあるような説明ができるように、何だか、ほかに行くところがないから松沢病院にやられちゃったなんということにならないように、三研究所が松沢病院に来たことによって松沢病院自身の資質も上がるし--そして精神科疾患というのは、今まで大変、先輩であります野村先生や私が医者になったころというのは、まだまだ精神科疾患に対しての、何か一つのブラインドされたものがあって、区別とも差別ともつかないようなことが、我々医師のサイドにも、精神科の患者さんを見ていると何か感じることもあったし、そして、何かにふたをしなくちゃいけないような治療方法もあったかもしれません。特に地方なんかに行くと表に出さない。
 今はおかげさまで、精神科のクリニックというのが非常にふえました。社会性を持って、私の知っているクリニックなんかは、本当に三十分、一時間待ちは当たり前みたいに--軽いノイローゼ、あるいはちょっとした思い違いがあったり、今問題になっているお子さん方の子育ての間のノイローゼですね、うつ病であるとか。昔は大したことなかったんでしょうけれども、大したことがないといったらおかしいんですが、家族が皆いろいろと励まし合うということがあったんでしょうけれども、今は核家族という形態の中で、だれに相談していいかわからないような人たちもいらっしゃる。ですから、昔の精神科疾患とは全く違う状況の患者さんがふえているわけですね。
 ですから、そういう意味でいうと、今からの精神科の治療というものは、今までとさま変わりする可能性が大変多くあるわけですし、今まではエビデンスが余りない中で手探りでやっていたわけですけれども、今から、この十年間の目覚ましい薬物療法が進んできたおかげで治療方法が変わってくるかもしれない。これに対して患者さんにきちっとフィードバックできるような研究を、この三研究所が中心となって松沢病院のためにやっていただければ、松沢病院に来ていただいた価値も出てくると思うんですね。
 ですから、この三研究所がここに来たことが東京都にとって役に立つような意味合いをまず持たせていただくこと、そして、それが松沢病院のこの地域にあるということがプラスになるような考え方をしっかりと当局が持っていただくことを踏まえて、これからの東京都の精神科疾患に対する医療の方向性、考え方というものを最後にお尋ねして、質問を終わりたいと思います。

○菊本参事 都における精神科医療施策の基本的な方向性についてでありますが、都では、入院医療中心から地域生活中心へという基本理念のもと、本年五月に策定いたしました東京都障害福祉計画に基づき、受け入れ条件が整えば、退院可能な入院患者の退院を促進してまいります。あわせて、精神障害者が地域生活において必要な、質の高い地域精神科医療の提供や、地域生活を支える福祉サービス基盤の整備拡充を図ってまいります。
 このような取り組みにより、精神障害者が適切な保健、医療、福祉サービスを受けながら、地域で安心してともに暮らせる成熟した社会の実現を目指してまいります。
 なお、心の病は、決してまれな疾患ではなく、だれもがなり得る疾患であるという認識に基づき、早期発見、早期対応のための取り組みを進めてまいります。また、急変時における精神科救急医療の一層の充実を図っていくものでございます。

○田代委員 一言だけ意見を述べさせていただきたいと思います。
 当然、松沢病院という、この現実の場所でこういう作業が行われていくわけで、福祉保健局と病院経営本部は表裏一体、一つになって都民の健康を守っていく責務があるわけですから、そこできちっとした話し合いをしていただきながら、やはり私自身、精神科の医療を十数年続けてきた中での経験だと、地元の方たちの理解というのがとても必要なんですね。地元の方の理解がないとなかなか--国は今、早期の社会復帰といっていますけれども、それは現実に、医師からいわせれば不可能に近いことを頼まれているところが幾つかあるわけですね。ただただ数合わせで病床数を減らして、精神科の患者さんを退院させればいいのだと、しかもそれは人権問題だというだけで切り捨てちゃうと、後から非常に大きなリバウンドが来るような気がしてなりません。
 ですから、着実に安心して地元が、あるいは周りの人たちが、社会が受け入れられるような医療体制をつくるということは、逆にいうと、やはり松沢病院の周りの方たちともしっかりと話をしていただいて、その三研究所並びに、例えば観察病棟の話にしても、周りの人が本当に喜んで来てくださいという形になるような努力を、特に福祉保健局は病院経営本部と力を合わせて進めていただくことを切望して、終わります。

○吉田委員 私からも、工事請負契約、東京都医学系総合研究所Ⅰ期新築工事について質問させていただきます。
 予算質疑などを除けば、三研究所を松沢看護専門学校跡地で統合一体化して建設するということの質疑の機会は、本委員会では今回が初めてではないかと考えております。契約そのものの問題とともに、経過やあり方の問題などについても若干質疑をさせていただきます。
 まず第一に、経過についてです。
 研究所の施設のあり方は、当然、研究の内容や研究所の方向と一体のものであり、研究水準、内容を左右するものだと思います。それだけに、三研究所の統合一体化ということについては、当事者である研究者などの現場の議論の積み重ねということも私は当然必要なことだと思います。
 そこで伺いますけれども、この三研究所統合整備に関してですが、どのような議論を積み重ね、いつどのような機関で現在の計画が決定されたのか、まずご説明をお願いいたします。

○蒲谷参事 平成十五年に医学研究機構みずからがまとめました改革構想案の中で、さまざまな経営改善策とともに、三研究所の統合も示されております。その後、医学研究機構では、この改革構想案に沿って、任期つき固有研究員制度や外部評価制度の導入、プロジェクト研究体制への移行等の取り組みを進めてきました。
 研究所の統合については、都として検討を重ね、平成十六年に、研究所の統合を前提として、その具体的な整備手法や新研究所の整備場所等についてさらに検討を進めることとしました。
 最終的に、平成十七年に、松沢キャンパス内に統合後の新たな研究所を整備することとし、十八年度予算で基本設計等を行うこととしました。

○吉田委員 最終的に十七年に決定をしたんだというご説明なんですが、その際、統合した研究所がどのような機能や役割を果たすのか、なぜ統合するのかというふうなことについて決定を定めた文書というのは存在をしているんですか。

○蒲谷参事 決定を定めたという、予算要求のときに決定を受けておりますが、その前にもそれぞれ検討を重ね、必要に応じて局長に報告しております。

○吉田委員 なぜこういう聞き方をしたかといえば、三つの研究所それぞれが都立病院と連携しながら研究活動を進めてきたものを一カ所に三つ統合するというのは、かなり大きな路線変更になるわけですよね。したがって、もしそういう決定をしたとなれば、その理由や、今後の研究所のあり方というものについて、文書として何らかのものがあってしかるべきだというふうに私は思いました。
 ところが、驚いたのは、そのような医学系三研究所の統合整備の基本構想と、なぜ統合するのか、そして、その結果、研究所のあり方をどういう方向にするのかというのを定めた文書が出たのは、今いわれた決定の後なんですよね。この文書は平成十八年四月付ということになっていますが、そうすると、とにかくまず統合が決定されて、後からその内容、肉づけなどが議論をされるということ自身が極めて重大な問題であり、いかがなものかと。
 しかも、事前にお伺いいたしましたが、この基本構想を検討する委員会がいつ立ち上がったのかというふうにお聞きしたら、平成十八年の一月であると。一月に立ち上げて、わずか三カ月程度で極めて重大な内容の文書をつくられているわけですけれども、そういう検討のあり方といいますか、また、研究者の皆さんからも、私、意見を聞きましたけれども、それぞれの研究所の中で研究者の皆さんの議論を積み重ねるというご努力については聞くことができませんでした。そのことを第一に指摘しておきたいと思います。
 二つ目にお伺いしたいのは、この統合に伴うメリットについて、この中でも三点ほど明記をしています。もちろん、三つ統合することのメリットそのものはあるでしょうけれども、しかし、それぞれの都立病院と連携、一体で研究していた施設を、三つを一カ所に統合するということは、当然それに伴うデメリットという問題についても直視をすることが必要だと思うんですよね。
 それで、この三研究所統合によるデメリットということについては、検討した経過があるのでしょうか。そのデメリットについて、そういう言葉を使いたくないかもしれませんけれども、どういうふうに対応していくかということが検討されたのか、ご答弁をお願いいたします。

○蒲谷参事 三研究所では、都立病院等との共同研究等を行っており、研究所と病院の距離が離れることによって研究に支障が生じることのないよう配慮する必要があると認識しておりまして、この辺のところについては、各病院との相互連携体制を確保していきたいと思っております。
 なお、先ほどの基本構想については、十五年当時から少しずつ議論を積み重ねた結果があらわれたものと思っております。

○吉田委員 研究所と病院の距離が離れるということは、その問題を見て配慮が必要だという認識のようですけれども、これは極めて影響の大きな問題だと思うんですよね。そもそも三研究所は、それぞれ病院と、都立病院などと連携、一体として機能し、その研究成果を治療活動にも生かすという活動をしてきたと思います。その中から、先ほどお話もありましたけれども、全国的にも極めて高い、重要な研究成果を都民に還元することができたと思います。
 しかも、例えば、私、先日、都立神経科学総合研究所にお邪魔をしてお話を聞いてきましたけれども、この都立神経科学総合研究所の場合は、ご承知のとおり、単に都立神経病院だけではなく、パンフレットに書かれていますけれども、府中キャンパス内の都立の関係医療機関、神経病院、府中療育センター、多摩療育園、府中病院、多摩がん検診センター、府中看護専門学校などとの連携のもとに多くの研究成果を上げ、これらの研究成果は、多く臨床の場で活用され、医療福祉の向上に寄与しておりますというふうにパンフレットの冒頭で書いておりました。
 連携対象として、都立神経病院はもちろんですけれども、これだけのさまざまな医療機関と、神経科学総合研究所の場合には連携することによって重要な研究成果を上げることができると思うんですが、例えば、その場でも聞いたんですけれども、神経科学研究所では十二項目のプロジェクト研究に取り組んでいるということで説明を受けましたけれども、その多くが、今いいましたけれども、神経病院や都立の府中療育センターとの連携で成り立っているんですよね、十二のプロジェクトの大多数が。それが移転することによって、極めて重大な障害になると思うんですが、その辺はどうお考えですか。

○蒲谷参事 研究と臨床部門の連携は、今後の医療、医学の発展にとっても不可欠でございまして、統合後の研究所においても、都立病院、都立医療関係施設、保健所等との連携を行ってまいります。
 とりわけ、連携の基幹病院でございます神経病院、松沢病院、駒込病院については、新研究所内における連携スペースの確保はもちろんのこと、各病院の再編整備後、連携の拠点となる連携研究スペースを各病院内にも確保するなど、今後とも各都立病院との相互連携体制を確保してまいります。

○吉田委員 連携体制を強化するというふうにいわれますけれども、これは神経科学総合研究所でいただいてきた資料なんですけれども、これがプロジェクト研究なんですよね。そのうち、薄いピンクといいますか、オレンジの網がかかったところが、神経病院や療育センターを初めとする府中キャンパスの医療機関との連携によって成り立っている研究なんですよ。いわば、あの地域で一体として存在しているからこそ成り立っているものであり、しかも、これは福祉保健局からいただいた資料ですけれども、プロジェクト研究の例えば研究者名簿というふうに見ても、これはALSですけれども、神経研の方々のお名前以上に、例えば神経病院のドクターの方だと思うんですが、こういうふうに直接的な研究そのものに都立病院の先生方も参画をすると。
 こういうことを見れば、研究という側面から見ても、また、都立病院のドクター、関係者の方々の治療、研究を向上させるという点から見ても、メリットよりもデメリットの大きさに私は素直に着目することが必要だというふうに思います。
 例えばパーキンソンの治療ではどんなことがされているかということも聞いたんですが、神経研の研究者が神経病院に行って、治療現場に立ち会いながら不随意運動制御の治療の開発に当たっているというふうに聞きましたし、また、都立病院のスタッフの側から見ると、ドクターとしての仕事をしながら研究所に通って、そこの機材などを活用して、博士号をとるための論文作成なども行っていると。双方から見ても、この連携というものは極めて意味があるんだというふうに私は思います。
 それで、具体的な連携の確保ということをいわれましたけれども、基本構想では、その果たすべき役割として、引き続き臨床現場との連携を挙げています。また、この連携研究スペースを確保するというふうにいっていますけれども、これは具体的にどのようにされようとしているんですか。ご説明をお願いいたします。

○蒲谷参事 生命科学の分野では、分子生物学やゲノム科学などの飛躍的発展に伴いまして、異分野の研究者が連携し、多面的アプローチから、疾病のメカニズムの解明が加速しております。統合後の研究所では、こうした取り組みを一層推進するため、連携研究スペースとして、共同研究を進める研究者や医師がデータ解析、情報交換、ディスカッションなどを行う場として活用できるセミナー室を複数整備する予定としております。
 また、連携の基幹病院である神経病院、松沢病院、駒込病院については、連携の拠点となる連携研究スペースを確保することとしております。

○吉田委員 そうはいいますけれども、私が危惧するのは、研究スペースそのものが、現在の三研究所体制と新しい統合された新研究所を比べると、明らかに大幅に減少すると思うんですよね。そもそも今の三研究所の延べ床面積全体が三万余平米、それが統合後は一万九千余ということで、三分の二に減少いたします。
 もちろん、減少したとしても、共通部門が解消されますから、そんなに心配することはないんだというふうにいわれるかもしれませんが、問題は、研究所そのものの研究室の延べ床面積は、現在の三研究所の合計と新研究所に統合した場合にどのように変化するか、ご説明ください。

○蒲谷参事 三十年以上前の昭和四十年代と現在とでは、研究室整備の前提となる諸条件が大きく変化しており、研究室面積を単純に比較することはできませんが、あえて比較してみますと、現在の三研究所の研究室の延べ床面積の合計七千百八十九平米に対し、統合後の研究所では五千十六平米を予定しております。
 三研究所を整備した当時と現在では、研究体制が大きく異なっておりますが、研究員一人当たりの面積を計算すると三割程度増加しており、研究に必要なスペースは十分確保できるものと考えております。

○吉田委員 いつの時点の人数で割り返しているかわかりませんが、少なくとも現在使っている方々が使っている研究室の面積よりも、今の説明にあるように、約二千二百弱平米、率にすれば七割弱の減少なんですよね。
 しかも、私、神経研を見させていただいて驚いたんですけれども、今でも、廊下といいますか通路にいろんな研究機材が、果たして消防法上問題ないのかと思うぐらいに満ちあふれているんですよ。そんなに、人が減ったからゆったりしているよなんていうふうな事態ではないんですよね。
 普通考えれば、またコンピューターその他の機材だって、大きくなったり小さくなったり、でこぼこはあるかもしれませんけれども、やはりもし研究機能を強化するということになれば、統合してさらに面積はふやすという、そしてその中に連携スペースもありますよということならば、それ自身理解することができるかもしれませんが、そもそも大幅に研究室の面積が七割に減少されるということ自身が、私はやはり、今のそういうことでいいのかという疑問を持ちました。
 さらに、この問題と絡んで研究体制についてお聞きしておきたいんですけれども、研究所のスペースと連動して気になるのが、研究職員の人員の問題です。事前に資料をいただきましたけれども、二〇〇三年、平成十五年と比較をして、三研究所全体で、研究員の方々の数は二百六十九人から百九十五人、約七割に減少しています。しかも、この基本構想を読ませていただきますと、さらに少数精鋭化でいくんだというふうに書かれているんですが、今までも大幅に研究所の職員を減らし、さらに少数精鋭でいくというのは、さらに研究職員を減らすということなのでしょうか。

○蒲谷参事 引き続き、少数精鋭主義は進めていく予定になっております。

○吉田委員 大幅に減らすということをそういういい方で表現されたというふうに理解すれば、この中で研究機能の強化ということをうたいながら、スペースは狭くはなる、さらに、減らしてきた人員をさらに進めていくということでは、建前として幾ら研究機能の強化というふうにうたわれても、実態としては研究機能の後退ということにならざるを得ないのではないかということを指摘させていただきます。
 最後に、本論ともいえます、この入札と契約に関してたださせていただきます。
 二点お伺いいたしますが、まず、基本設計、実施設計の入札及び契約の経過についてご説明をお願いいたします。設計について。

○蒲谷参事 設計及び工事は、福祉保健局が所管する予算を福祉保健局から財務局に執行委任しており、契約事務を含めて財務局で実施されているところですが、基本設計は、Ⅰ期工事部分、Ⅱ期工事部分を合わせて一般競争入札により契約しており、平成十八年六月八日に開札されております。合わせて十者が入札し、株式会社伊藤喜三郎建築研究所が二百六十万四千円で落札しております。
 実施設計は、基本設計を行った同建築研究所に特命して契約されており、Ⅰ期工事部分の見積もりを徴したのは平成十八年十一月九日で、見積もり価格は一億五百万円、Ⅱ期工事部分の見積もりを徴したのは平成十九年六月二十五日で、見積もり価格は八千二百三十二万円となっております。

○吉田委員 伊藤喜三郎建築研究所が二百六十万余円で、十者入札した中から落札をしたというご説明でした。
 それで、改めて私も調べてみたり、関係者から聞いたんですが、例えば「建設通信」では、業界紙ですけれども、他者の、落札できなかった他の九者の基本設計の入札価格が紹介をされています。他の九者は、最低でも一千万円台。伊藤喜三郎建築研究所は二百六十万ですけれども、高いケースでは五千万円台。多くが二千万、三千万というのが実態で、予定価格よりも、十分の一あるいはそれ以下ではないかということが伝えられております。極めて異常な低価格入札だというふうにいわざるを得ないと思うんですね。
 しかも重大なことは、基本設計で落札をしてしまうと、今度、実施設計の段階では、入札ではなくて特命随意契約で、基本設計を落とした企業がそのまま特命で落札、受託をすることができるし、そういう仕組みになっているということが先ほどの説明なんですよね。
 こういう、基本設計をとにかく破格の低価格入札でやって、実施設計もとるというふうなやり方が、果たして適正なものかどうか。これは直接的には財務局の所管ですから、私の意見だけいわせていただきますけれども、重大な疑問を生ぜざるを得ません。
 もう一つ、今度の議案となっています工事契約ですね、この点についても疑問があります。入札と落札の状況、そして、予定価格と落札価格の状況についてご説明をお願いいたします。

○蒲谷参事 Ⅰ期工事の建築工事請負契約につきましては、五つの建設共同企業体が資格確認申請書の提出を行いましたが、このうち四つの企業体は入札を辞退し、平成十九年七月二十六日に開札され、松尾・小俣・真尾建設共同企業体が三十一億一千八百五十万円で落札しております。
 なお、予定価格は三十一億二千四百万余でございます。

○吉田委員 ですから、結果的には、入札したのは一者だけだったわけですよね。資格審査の登録を行ったけれども、入った札には金額は書かれなかった。一者だけの落札で、しかも今、予定価格三十一億二千万円余、そして入札が三十一億一千八百五十万ということになれば、落札率は九九・八%ということになります。
 事実上一者のみの入札で、これだけ落札率が高いと。これで本当に競争性が確保されたのかということを疑問に思うのは当然だと思います。
 以上、何点か質疑をさせていただきましたけれども、検討の進め方、さらに都立病院、臨床現場との一体性の乖離、さらに研究スペースの減少や人員の縮減、そして入札、契約をめぐる経過でも重大な問題をはらむものであることを指摘して、私の質疑を終わります。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○吉田委員 意見を述べさせていただきます。
 そもそも臨床医学総合研究所、精神医学総合研究所、神経科学総合研究所は、それぞれ都立駒込病院、松沢病院、そして神経病院や府中療育センターなどと連携し、一体的に研究が進められてきた施設です。それだけに、三研究所の統合一体化は、研究者が参加した慎重な検討が必要でした。
 しかし、そうした検討の積み上げは不十分であり、統合決定後に研究所のあり方を定めるという結果となっており、検討過程にも疑問を指摘せざるを得ません。
 とりわけ、三研究所の統合によって、都立病院、臨床現場から研究所が切り離され、研究活動にとって不可欠な都立病院、臨床との連携の上で困難が生じることは、統合によって若干のメリットがあったとしても、そのデメリットの大きさはカバーできるものではないと考えます。
 しかも、統合によって、研究室の床面積は、これまでの三研究所の研究室面積に比べ三割も減少し、研究員の体制もさらに削減をされ、その一方で、不安定な有期雇用の研究員を重視しようとしていることは、研究機能の強化という建前に明らかに逆行するものだと思います。
 さらに、契約の経過を見ても、基本設計では超低価格入札企業が実施設計の特命契約を得て設計を進め、工事契約では、事実上四者が辞退し、一者のみの入札で予定価格の九九・八%で落札するというもので、こうした契約が適正とはいいがたい。
 以上の理由から、本契約案件に反対を表明いたします。

○長橋委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案については、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○長橋委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百六十二号議案から第百六十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○長橋委員長 次に、報告事項、都立障害者施設の民間移譲についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○杉村総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で二項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。小平福祉園及び多摩療護園の職員配置状況といたしまして、職種ごとに、両施設の基準配置数及び現員につきまして、平成十九年九月一日現在の配置人数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。小平福祉園及び多摩療護園の入所者の状況といたしまして、(1)は障害程度、(2)は障害の状況につきまして、平成十九年九月一日現在の入所者数をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○長橋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 私から、本委員会に報告されました都立障害者施設の民間移譲について、何点か伺わせていただきます。
 東京都は、利用者本位の福祉を実現する福祉改革を積極的に実施しており、その一環として都立施設の改革に取り組んでいらっしゃいます。民間でできることは民間にゆだねるという考え方のもとに、これまで、平成十六年度以降、十一の通所施設と四つの入所施設、町田福祉園、調布福祉園、そして私の地元でございますが、練馬福祉園、日の出福祉園のこの四つの入所施設、既に民間移譲されております。
 今回、多摩療護園と小平福祉園、この二つの民間移譲が報告されているわけでありますが、改めて民間移譲の意義について伺わせていただきます。

○松浦障害者施策推進部長 今回、民間移譲の対象になっております都立多摩療護園でございますが、昭和四十七年に、都立小平福祉園は昭和四十八年に開設されました。その当時は、民間施設も少なく、重度障害者について支援のノウハウがなく、民間施設で受け入れが困難でございました。
 しかし、その後、民間社会福祉法人によりまして障害者施設が設置され、数もふえてきたとともに、重度障害者の受け入れも進んでいるところでございます。
 例えば、身体障害者療養護施設でございますけれども、昭和五十年代前半までは都立の三施設しかございませんでしたが、平成十九年四月現在では、民間施設が都内に六カ所設置されております。入所者数で見ますと、全体で四百八十一人のうち、都立施設の入所者は百六十八人ということでございまして、三四・九%という割合でございます。
 また、知的障害者入所厚生施設の入所者数でございますけれども、現在、全体で六千二百五十九人のうち、都立の入所者は八百三十二人で、その割合は一三・三%にすぎなくなっております。
 さらに、平成十六年に東京都が知的障害者施設の現況調査をいたしましたけれども、それによりますと、民間施設の入所者におきましても、重度障害者、これは支援費制度の区分で重度となる区分Aでございますけれども、六九・〇%ということになってございまして、民間施設でも重度障害者の受け入れも進んでいる状況にございます。
 こうした状況を踏まえまして、副委員長おっしゃったように、民間でできることは民間にゆだねるとしまして民間移譲を進めておりまして、この移譲によりまして、多様なニーズに対応したきめ細かなサービスの提供や、民間法人の創意工夫を生かした柔軟で効率的な施設運営が期待できるというふうに考えております。

○山加委員 今、部長のご答弁で、民間施設でも、私の想像以上に重度障害者の受け入れが進んできていることがわかりました。
 しかし、今回、民間移譲すると報告されましたこの小平福祉園、知的障害と視覚障害、二つの障害を持つ重複障害のある方を支援している施設でありますが、この知的と視覚の重複障害のある方にサービスを提供するためには、また重度障害者とは異なった一定の経験やノウハウが必要だと思うんですけれども、民間の社会福祉法人における重複障害の支援の現状について伺わせてください。

○松浦障害者施策推進部長 先ほど申し上げました平成十六年の調査結果によれば、回答があった八十六施設の入所者五千七百五十一人中、知的障害者と視覚障害者の重複障害者は二百九十人いらっしゃいまして、小平福祉園を初めとします都立四施設に八十八人、民間施設五十七施設に二百二人入所しております。
 こうした民間施設は、知的障害者と視覚障害者の重複障害者の支援のノウハウを持っているというふうに考えております。

○山加委員 利用者にとっては、それが都立施設であっても民間施設であっても、それにかかわらず質の高いサービスが提供されることが大変重要であることはいうまでもないことでありますが、施設サービスの水準を維持向上させるためには、民間移譲に際し、どのような取り組みを東京都が行っていくのか、伺わせてください。

○松浦障害者施策推進部長 小平福祉園、多摩療護園の民間移譲後でございますけれども、知的障害者入所厚生施設につきましては認定制度がございまして、移譲後、小平福祉園はその制度を活用しまして、生活支援職員や医師、看護師などについて、現行と同水準のサービスが提供可能となる職員体制が確保できることになります。
 身体障害者療護施設につきましても、近年、医療的ケアが必要な重度の障害者が増加してきた状況を踏まえまして、知的障害者入所施設と同様に、移譲後は、生活支援職員や医師、看護師などにつきまして、現行と同水準のサービスが提供可能となる職員体制を確保いたします。
 このような体制のもとで、民間移譲先の民間法人による創意工夫や自主性の発揮によりまして、利用者一人一人のニーズに合わせたきめ細かで弾力的、効率的な施設運営が行われ、質の高いサービスが実現されると考えております。
 例えば、既に民間移譲された施設でございますけれども、通所施設でございますが、通年開所、また平日の利用時間延長などを実施しまして、利用者に喜ばれているところでございます。

○山加委員 民間移譲で質の高いサービスが実現されることは、既に民間移譲された施設がありますから、それで検証することができると思います。
 そこで、ちょうど町田福祉園、民間移譲から一年半が経過しているわけでありますが、現在のサービスの状況がどのようになっているのか、また、サービスの現状を客観的にあらわすことができるという意味では、保護者会の皆様の評価、そしてまた、福祉サービス第三者評価の結果の内容についても伺わせていただけたらと思います。

○松浦障害者施策推進部長 副委員長ご指摘のとおり、町田福祉園は平成十八年四月に民間移譲されまして、一年半が経過したところでございます。
 この間、新たに入所厚生施設併設型通所部門を定員三十名で開設したり、利用者の要望や適性に合わせた日中活動の充実、ボランティアの活用拡大など、利用者サービス向上に向けまして積極的な施設運営に努めているところでございます。
 こうした取り組みにつきまして、保護者会のアンケートによりまして、七八・四%の保護者により満足または大変満足という評価を得ているところでございます。
 また、平成十九年二月に町田福祉園が受診しました福祉サービス第三者評価におきましても、高い評価を得ているところでございます。

○山加委員 次に、平成十八年度の障害者自立支援法の施行によりまして、施設は新体系に移行することになるわけであります。
 今回の民間移譲に当たっては、新体系サービスへの移行をどのように考えているのか、伺わせてください。

○松浦障害者施策推進部長 障害者自立支援法によりまして、障害者施設につきましては、都立施設、民間施設にかかわらず、平成二十四年四月には新体系サービスに移行することになっております。
 したがいまして、小平福祉園と多摩療護園につきましては、平成二十一年四月からの民間移譲後、三年以内の間に準備していただいて、移譲先法人により新体系サービスに移行することになります。
 民間移譲の応募におきましても、旧体系における三年間の事業計画と収支計画書とともに、利用者が引き続き現行のサービスを受けられるような新体系の移行への法人の考え方につきまして明示してもらうことになります。このような新体系の移行を考えております。

○山加委員 それでは最後に、これまで民間移譲によって、重度障害者の施設であります町田福祉園、そして日の出福祉園、ここでは職員全員が入れかわることを経験していると思います。
 この小平福祉園の民間移譲においても同じように行われるわけでありますが、特に、先ほども申し上げましたように、知的障害、聴覚障害という二つの障害をあわせ持っている皆様が利用しているわけでありますから、町田福祉園、日の出福祉園のときと同様に、きめ細やかな配慮がより一層必要であると思います。少しでも利用者の皆様の不安を取り除くために、どのような引き継ぎをこれから行っていくのか伺います。

○松浦障害者施策推進部長 副委員長ご指摘のとおり、町田福祉園、日の出福祉園の民間移譲の際には、利用者の状況や生活状況を踏まえ、一人一人の支援内容を記載しました個別支援計画等を活用して、引き継ぎ期間一年をかけまして移譲先法人に引き継ぎをいたしました。
 小平福祉園は、知的障害と視覚障害の重複障害者が利用しているわけでございますけれども、引き継ぎの際には、同様に必要な引き継ぎ期間を設けまして、利用者と職員との信頼関係を構築するとともに、こうした重複障害者の特性を踏まえました個別支援計画等を活用しまして、きちんとした仕組みをつくって、利用者が引き続き安心して施設を利用できるよう、しっかりと引き継ぎを行います。

○山加委員 今回、何点か伺わせていただきまして、民間の皆様方、民間でできることは民間でということを受けて、本当に頑張っていただいているな、福祉の向上にご尽力いただいているなという民間施設の皆様に、本当に心から敬意を申し上げたいと思います。
 また、今回の小平福祉園、多摩療護園の民間移譲も、利用者、保護者に十分に納得のできる説明をし、どうかしっかりと不安を取り除いていただいて、利用者本位のサービス実現のために、どうか積極的に民間移譲に取り組んでもらいたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○増子委員 私からも何点かお伺いいたします。
 私ども民主党も、民間でできることは民間にゆだねると、官から民へという大きな流れということについては、私どもも、かねてよりの主張でございますので、結構なことだと思っております。しかし、利用者に最善のケアを提供できる体制をどうやって構築していくのかという観点から、両園の民間移譲について幾つか伺いたいと思います。
 特に大都市で顕著であるといわれていますけれど、福祉分野での人手不足が大変深刻です。こうした状況の中で民間移譲するということですから、利用者の安心感を確保して、移譲後にも安定的な運営を行うために、例えば、先ほどから出ていました十分な引き継ぎ期間を設けるというようなことも含めて、これまでの民間移譲の経験を踏まえて十分な配慮が必要なのではないかと思っております。
 入所者の重度化あるいは高齢化が進んでいるという中で、人が入れかわることへの不安も大変強いのではないかというふうに思いますが、安心感を確保して、そしてサービス水準の維持向上ができるようにきちんと配慮していただきたいと思いますが、ご所見を伺います。

○松浦障害者施策推進部長 先ほども答弁させていただきましたけれども、民間移譲に当たりましては、必要な引き継ぎ期間を設けまして、利用者一人一人の特性に応じた引き継ぎを行うとともに、職員配置につきましても、現行のサービス水準が提供できるような体制を確保してまいります。

○増子委員 次に、自立支援法の施行によっての新体系のことなんですけれども、今、山加委員の質問にご答弁をされたところ、ダブりましたので、今ご答弁があった、新体系移行への法人の考え方を明示してもらうということをきちんと行ってもらえば結構だというふうに思っております。
 次に、これまで介護職員一対一という割合で、そして、別枠で日中支援要員が四ないし五名、そして看護職員も配置をされていると。民間法人になりますと、施設基準が介護職一対〇・八、それに加算措置があって、日中支援員あるいは看護師を配置しているということですが、特に多摩療護園の場合には、医療的ケアを必要とする入所者も多いと思われますが、民間移譲後の医療体制はどのようになるのか、不安を感じていらっしゃる入所者もいらっしゃると思います。これらの点にどのように対応されるのか伺います。

○松浦障害者施策推進部長 まず、知的障害者入所厚生施設につきましては認定制度がございまして、小平福祉園は、移譲後、その制度を活用しまして必要な職員体制が確保できることになります。
 身体障害者療護施設につきましても、先生おっしゃるとおり、医療的ケアが必要な重度の障害者が増加してきた状況を踏まえまして、知的障害者入所施設と同様に、移譲後は、生活支援職員や医師、看護師などについて、現行と同水準のサービスが提供可能となる職員体制を確保いたします。

○増子委員 先日の委員会でも療育施設について質問させていただきましたが、そのときも、職員は生活の質を大事にしたいという思いから頑張っているけれど、なかなか手が回らない部分もあって、ジレンマからやめていくようなケースもあるというようなお話をさせていただきましたけれど、施設の種類は異なりますが、働く方の思いは同じだろうと思います。障害の重度重複化が進んでいる中で、この件に限らず、官民共通の配置で運営できるよう、民間施設への支援も充実されるように要望しておきたいと思います。
 次に伺います。
 法人の公募に当たっては、最重度障害者への処遇に経験があって、そして都の重要施策でもある地域生活移行支援に積極的に取り組むような法人、経験のある法人が望ましいと考えますが、この点についてはどのようにお考えなのか伺いたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 民間移譲の公募についてでございますけれども、できる限り広く募りまして、応募してきた法人から移譲先法人を選定するに当たりましては、外部の有識者を含む選定委員会を設置しまして、その審査を踏まえて、最も適切な事業者を選定いたします。
 審査の視点といたしましては、施設運営や利用者支援の実績、また、重度障害者支援、地域の障害者支援、地域生活移行支援の取り組みなどに関する事業計画を応募法人に提案してもらいます。
 選定委員会では、事業主体としての適格性や事業計画の妥当性などについて、おのおのに対して十分に審査を実施いたしまして、最も優良で利用者本位の支援が実現できる事業者を選定いたします。

○増子委員 最後に、これまで伺ってきたような、都が望む水準をクリアして地域生活移行支援にも積極的に取り組む、そういう適切な法人から応募がなかった場合にはどのように対応されるのか、確認をさせていただきたいと思います。

○松浦障害者施策推進部長 公募に応じる法人はあると考えております。

○増子委員 あるという自信のあるお答えですから、ぜひ適切な法人を選んでいただければと思っております。
 特に東京などの大都市では顕著ですけれど、福祉分野における人手不足は本当に深刻です。この状況下で、病院や療育施設の医師、看護師にも多くの欠員が生じており、都内の各種事業者も人員確保に苦慮しています。
 都立施設の改革の方針が出された二〇〇〇年当時と、二〇〇七年、今日の景気回復による福祉分野の人手不足という状況では、取り巻く環境がかなり違っていると思います。やはり今日の状況をよく勘案して、移譲ありきではなく、民間移譲によるメリットが十分得られる場合にのみ行うように、適切に対応を求めておきたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。

○かち委員 私からも、都立障害者施設の民間移譲について何点かお聞きします。
 今まで質疑にもありましたけれども、東京都の障害者福祉施策、これまで随分、全国にも先駆けてすぐれた施策を築いてきたというふうに思うんですね。ところが、この間、都立福祉施設の改革という名のもとで、福祉保健局は福祉施設の民営化を進めてきました。
 とりわけ障害者施設において、先ほどありましたけれども、今日まで入所施設は四施設、そして生活実習所、福祉作業所十一施設が民間移譲されてまいりました。都立障害者施設三十七施設のうち十五施設、約四〇%が既に民間移譲されてきたわけですけれども、この方向性が、本当に都民が求める福祉施策なのかどうかという点で、私は大きな疑問を持つ立場から何点かお聞きします。
 既に、都立の施設で東京都社会福祉事業団運営から民間移譲した施設もありますけれども、それらの施設で現在どのようになっているのか、都として、検証や評価あるいは課題などをどのようにとらえているのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 民間移譲後の施設の状況についてでございますけれども、民間事業者によりまして、移譲後、利用者サービスの向上に積極的に取り組んでいるというふうに認識しております。
 例を挙げますと、福祉作業所、生活実習所の通所施設につきましては、都立のときは平日のみの開所であったものが、民間移譲後は、土曜日、日曜日も開所しまして通年開所としましたり、希望する利用者に対しましては、平日の利用時間を夜八時まで延長していまして、また送迎につきましても、利用者の自宅前までのドア・ツー・ドアにしてございます。
 また、入所施設につきましても、日中活動支援の活発化、ショートステイの定員増など、いずれも民間社会福祉法人ならではの創意工夫に富みました取り組みによりまして、利用者サービスの向上を実現しているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、施設の利用者、家族に対して行ったアンケートにおきましても、通所施設、入所施設とも、多くの方が満足しているという回答を得ております。
 都といたしましても、総合的にこのような状況を評価しておりまして、特段課題はないというふうに認識しているところでございます。

○かち委員 民間になったから、今までのいろんなサービスの枠が広がったり自由度が広がったというふうなお話がありましたけれども、これは都立であっても、やろうと思えばできる課題だというふうに思うんですね。
 二〇〇四年の町田福祉園の民間移譲の質疑の際にも、局のご答弁では、民間の方が柔軟で、必要時に厚く優秀な人材を確保することができるというようなことが繰り返され、非常勤職員の雇用を推奨していました。しかし、現実はそんなにうまくいっていないのではないでしょうか。
 今のご答弁では、すべてうまくいっていて、課題などないというふうなことでしたけれども、既に民間移譲された福祉施設の実態はどうなっているかということでお聞きします。
 町田、調布、練馬福祉園の移管前と移管後の運営費収入の変化はどのようになっているでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 町田、練馬、調布の順番でお答えさせていただきますが、町田福祉園につきましては平成十八年四月に移譲されましたけれども、移譲前、十七年の運営費が約十億六千百万円、移譲後の十八年度の運営費が約八億四千九百万円。練馬福祉園につきましても十八年四月に移譲されましたが、移譲前の十七年度の運営費が約九億七千二百万円、移譲後の十八年度の運営費が約八億七千八百万円。調布福祉園につきましては十六年十月に移譲されましたので、移譲前、十五年度の運営費が約九億七百万円、移譲後の十七年度の運営費は約九億六千三百万円でございます。

○かち委員 今のご答弁で、調布福祉園については、移譲前と移譲後と、ちょっと違う。移譲後の方が運営費がふえているように説明されましたけれども、この年は移譲時ということで、特別預託金の繰り入れがあったように思います。
 平年度ベースでの例として、平成十八年度の決算ではどうなっていますか。

○松浦障害者施策推進部長 かち副委員長がおっしゃるとおり、屋根の防水工事を実施したために工事費が増加したため、運営費がふえているということでございます。
 ちなみに、調布福祉園の平成十八年度運営費は八億二千八百万円でございます。
 このように、年間運営費につきましては、その年度に経費のかかる改修工事があったかどうかとか、定年等の退職者が多かったかどうかなどがございますので、一概に年間運営費の増減で判断できない要素もございます。
 また、参考までに申し上げますと、町田福祉園につきましては約二億円減少しておりますけれども、都立時代には、八十人の利用者に対しまして、生活支援員として一対一で常勤職員八十人を配置しておりましたけれども、民間移譲後につきましては、常勤と非常勤、非常勤を常勤換算いたしますと、計八十七・二人を配置しましてサービスを向上させる体制を充実させておりまして、先ほど答弁しましたとおり、サービスも向上しているというふうに評価しております。

○かち委員 今お話がありました三つの施設については、移管前と移管後では、町田は二億一千二百万円の減、そして練馬と調布は、七千九百万円あるいは九千四百万円の減というふうになっているわけです。いろんなその年々の様子があって簡単には比較できないというふうなお話がありましたけれども、町田については、その一対一を、民間に移管することによって、非常勤を入れて常勤換算をする。そのことからしても、常勤できちんと水準を維持するということはできなくなっているわけです。こうした中で、現に利用者、関係者の方々から、移管時と約束が違う、これまでやっていた地域生活支援など不十分だというふうな声も私は聞いております。
 今回、民間移譲の対象として提示された小平福祉園と多摩療護園ですけれども、小平福祉園の利用者の実態は資料にも出していただきましたけれども、知的障害と視覚障害の重複障害を持つ厚生施設ということで、障害の程度は、愛の手帳が二度、視覚障害が一級以上ということで、超重度という方々が七八・五%を占めているわけです。多摩療護園については身体障害でありますけれども、これもAランクの障害、最重度が九三%を占めるという状況です。
 いずれの施設も重度障害者の施設であり、それぞれの現在の運営主体と運営形態というのは、小平福祉園は、昨年から三年間の事業団による指定管理者制度、多摩療護園も、昨年から三年間の財団法人多摩緑成会による指定管理者制度ということで今、経過しているわけです。今回の報告では、両施設を民間移譲ということで、二〇〇九年から公募によって民間業者に移譲するというものですけれども、事業団は応募することができないわけです。基本的に、日常生活支援要員は、新しい事業者による新しいスタッフに変わるということです。
 先日、我が党議員団にも、日野、多摩、清瀬など三つの療護園の利用者自治会長連盟で要請を受けましたけれども、利用者にとっては、運営形態や主体がこの間、目まぐるしく変わり、最も頼りにしている生活支援員もがらりと変わる可能性があるということで、不安を募らせているのも当然だと思います。このような重度の障害を持つ方々の日常生活支援は、何といっても支援の継続性と、一人一人に即したきめ細かいケア、サービス水準の維持、充実が求められているわけです。
 都が進める民営化で、果たしてこれらのことが保障できるかということですけれども、小平福祉園、多摩療護園それぞれの現在の運営費は幾らでしょうか。
 同じく、移譲後に想定される運営費はどのように想定されているでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 小平福祉園の平成十八年度の年間運営費は約七億一千四百万円、民間移譲後の運営費につきましては、あくまでも試算でございますが、おおむね四億六千百万円。多摩療護園の平成十八年度の年間運営費は約八億二千九百万円、民間移譲後の運営費は、これも試算でございますが、おおむね六億八千五百万円というふうになります。

○かち委員 いずれにしても、大変な減額になるわけですね。小平では二億五千三百万円、多摩療護園では一億四千四百万円の減額経営をしなければならないということですけれども、このように減額でできるという、その試算の根拠はどのように考えるのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 まず、小平福祉園の民間移譲後の運営費でございますけれども、定員四十二名、重度ばかりということでの入所者の民間施設として試算いたしますと、年間給与費が一億五千百万円程度、民間になりますとサービス推進費が補助されますので、それも試算で二億四千六百万円程度、建物維持管理経費につきましては、民間移譲後、法人の経営努力を踏まえながら、合理的な範囲で都が補助するということになっておりまして、おおむね四千八百万円程度、それから、ショートステイなどの居宅事業収入が一千六百万円程度ということで、総額でおおむね四億六千百万円程度という試算になります。
 多摩療護園の民間移譲後の運営費でございますが、定員五十八名で、全員最重度の入所者の民間施設といたしまして試算いたしますと、年間給与費が二億七千九百万円程度、サービス推進費が三億二千八百万円程度、建物維持管理経費補助がおおむね四千八百万円程度、ショートステイなどの居宅事業収入が三千万円程度ということで、総額おおむね六億八千五百万程度という試算になります。
 先ほど、小平福祉園につきまして二億五千万円程度減少するということでございますけれども、平成十八年度につきましては、社会福祉事業団が指定管理者でございまして、職員は都からの派遣職員がほとんどでございまして、小平福祉園の職員の平均年齢が五十・二歳ということで、人件費が高いというのが大きな要因になっているというふうに想定されております。

○かち委員 先ほど質疑もありまして、民間に移っても今のサービス水準を維持するために、必要な職員は手当てをするんだと。そういう意味では、認定制度も取り入れて、その分の補てんをするんだというふうにいわれましたけれども、それらの補てんを含めた予算が、この差額として出ているわけですね。
 事業団で年齢が高いから人件費が高いんだというふうにおっしゃいましたけれども、総じて大きく影響するのは、やっぱり人件費ということだと思うんですね。今まで東京都としてつくり上げてきた都の基準を引き下げて、民間基準であれば事業費を抑えることができるということだというふうに思うんです。
 それでは、ちなみに、都の職員の場合の今の年収、平均ベースはどのぐらいなのか、民間ではどのぐらいなのか、わかったら教えてください。

○松浦障害者施策推進部長 都の派遣職員の年収につきましては、ちょっと算出困難でございますけれども、参考までに申し上げますと、東京都が公表しております平成十七年度の都職員全体の平均年収でございますが、八百六万円でございます。
 民間はということにつきましては、先ほど申し上げました年間給与費等につきましては、人件費の内訳が示されておりませんので、算出できません。

○かち委員 都の職員の平均では八百万円ということでしたけれども、今、福祉分野、医療も介護も看護もそうですけれども、こうした領域の人材不足というのも深刻なわけですよね。
 特に、介護も含めた福祉分野の賃金、低賃金というのが大問題になっているわけです。私たちがいろいろなところから聞いているのでは、年間で四百万とか四百五十万というふうにいわれています。ある調査では二百万円ベースだというふうにもいわれています。家族を持って働いていても、月に二十数万円ということでは、生活そのものも成り立たないという状況だと思うんですね。まさにワーキングプアの領域に入っているような事態になっているんです。
 そもそも福祉の分野は、民間の低賃金水準や働く条件が低過ぎることが今問題になっているわけです。そのため、人材確保も深刻な社会問題になっています。その打開に向け、今、全力を尽くすべき東京都が、現在の民間の賃金水準や国の低い配置基準に合わせようとすること自体、問題解決とは逆行するものではないでしょうか。
 先日、私は、両施設を訪問し、実態を見させていただきました。現場で何が起きているかということですけれども、事業団運営の小平では、玄関先に大きく非常勤職員募集というふうに書いてありましたけれども、応募がなかなかないということで訴えられました。
 また、多摩療護園では職員の定着が悪い。三年ともたないということなんですね。あるフロアでは、四年たったら全員が入れかわってしまうような状況だというふうにいわれていました。多摩療護園は、七二年に身体障害者療護施設として都が設立し、財団法人が委託を受けて、三十五年以上の歴史的経過の中で、最重度障害者が限りなく人間らしい生活を送ることができるために何が必要かということを利用者とともに検討し、積み重ね、切り開いてきた経験を持つ、すぐれた事業団だというふうに実感しました。
 しかし、今でさえこういう厳しい状況なのに、民間移譲ということで、さらに多摩療護園でいえば一億円、小平でいえば二億五千万円も運営費を減らされて、たとえ引き続き運営を引き受けることになったとしても、現場が滞ってしまうのではないかと大きな危惧を抱きました。
 配置基準も、この間、東京都は、九八年から民間移譲を視野に入れて、民間にすればもっと効率化できるということで切り下げてきました。重度の施設ということで、東京都が独自基準でやってきた一対一・二五、これを一対一に引き下げてきたわけですけれども、多摩療護園のような最重度の身体障害者施設の運営が、一対一で十分対応できると見ているのでしょうか。お聞きします。

○松浦障害者施策推進部長 職員配置を一対一・二五から一対一に変更しましたのは平成十一年度からでございまして、既に七年半も経過しているところでございます。
 この間、利用者への支援、サービス提供は適切に行われているというふうに認識しております。

○かち委員 実態は、私が先ほど述べたとおりです。
 一対一ということは、五十八人の定員に対し、七十三人の職員が十五人減らされるということなんです。現場にとっては大変大きな影響です。実際、多摩療護園では、日中活動のほとんどをボランティアに依存せざるを得ない、こういう実態でした。
 自立支援法では個室化が義務づけられています。ここでも全室個室になっていますけれども、そのことは、今の配置基準では職員に大変大きな負担となっています。どういうことかといいますと、ほとんど全介助を要する方々が個室に入ってしまうと、全く外からは見えません。ちょっとした不注意やミスが命に直結するという問題を抱えています。
 ちょっと例をいいますと、上身の筋力が低下している方で、酸素を使っているんですけれど、寝るときには酸素を外す。あおむけに寝ると、上唇が鼻を圧迫してしまって呼吸ができなくなる。そのために必ずテープを張るということをやっていたんですけれども、その一つ一つの行為は、決まっているからというのでやるのではなくて、本人に確認しながらやるということになっていたんですが、その確認は、本人の手を上下することだけでしか確認がとれないんですね。それで、まだ新しい職員がそのことを確認したときに、はいといったのを、下に置いたところしか見ていなくて、これはやらなくていいというふうに解釈をして、やらなかったという事態があったそうです。一緒にいたスタッフが気づいて、それは万難を排したんですけれども、そういうことからして、一つ一つが非常に神経を使う状況にあるわけですね。ゆえに、利用者も不安が募り、一日に二千回もコールする方もいるというふうに聞きました。
 プライバシーの尊重は大いに歓迎すべきことではありますけれども、そのためには、それに見合う人手がどうしても必要になるんです。
 民間移譲された後の大きな支えとなっているのが、都からの補助金、サービス推進費と建物維持管理費だというふうに思いますけれども、そこで、サービス推進費は、本来、公私格差是正ということで位置づけられていたものですけれども、サービス推進費に変更され、それも五年間の暫定措置でありまして、二〇〇九年には抜本的な見直しをするというふうになっていますよね。どのような見直しを予定しているのか、サービス推進費が将来も現行水準を維持できる保証はあるのでしょうか。

○松井企画担当部長 現行のサービス推進費補助につきましては、サービスの向上に向けた施設のさまざまな努力が真に報われるよう、平成十六年度に再構築を行い、平成二十年度までの五年間の経過措置を設けた上で、平成二十一年度から本則で実施するということにしております。抜本改革を今後行うということではございません。
 今回の民間移譲を予定している小平福祉園、多摩療護園のサービス推進費補助につきましては、現行制度をもとに試算しておりますが、利用者の状況や、あるいは施設の取り組み内容によって変動するものでございます。
 サービス推進費は、先ほど申しましたけれども、サービスの質の向上を目的とするものであります。そのため、事業者が努力すれば報われるという制度になっております。したがいまして、その水準につきましては、事業者のサービス向上に向けた取り組み内容によるものでございます。

○かち委員 本則適用で見直しをするという中身は、人件費の補助ではないんだよと、サービスに努力をしたことが見えたら、それに補てんしましょうというふうに変えるんだというふうなご説明だったと思うんですが、福祉も介護も、必要な手だてがあるかないかで、サービスの質にも大きな影響をもたらします。
 これまで何とか人件費の不足分を補ってきたその土台をしっかり支えた上でこそ、サービスの質や向上が問われるものだと思うんですけれども、今、都がやろうとしていることは、その土台を取り除いた上で質の向上だといっても、それは本末転倒ではないかと思います。
 民間移譲によってどういうことが起きるかということですけれども、小平は築三十五年を経過し、数年後には改築、建てかえという問題も出てきます。民間が引き受けてから改築などということは大変難しい問題だというふうに思いますけれども、土地や建物の扱いをどのように考えているのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 小平福祉園を民間移譲した場合ということになりますけれども、民間移譲後、建物につきましては、財産運用委員会を経まして承認を得た後に、無償で移譲先法人に貸し付けることになります。
 そのため、都立施設の民間移譲に係る建物の維持管理につきましては、建物の躯体にかかわる工事、修繕につきましては東京都が行いまして、比較的小規模な修繕につきましては移譲先法人が行うことになります。

○かち委員 建てかえなどは東京都が行うということですけれども、それ以外はすべて事業者、法人が行わなければならないということで、将来的にかなり、維持管理については法人独自で行わなければならないことだと思います。その分も含めて、運営費の中から捻出をしなければならない厳しさがあるわけです。運営費の捻出のために、利用者の食費を初めとした利用料の負担増など、サービス低下にもつながりかねません。
 民間移譲した後の都の指導責任、権限はどこまであるのでしょうか。

○松浦障害者施策推進部長 利用料負担につきましては、法定で決まっておりますので、運営費が苦しいからといって利用料負担が上がることはございません。
 民間移譲後の都の指導責任についてでございますけれども、東京都は、移譲先法人から毎年、事業実績報告を受けまして、応募時の法人の提案が確実に実施されているか検証するなど運営費指導を行います。
 また、利用者や保護者に対しましては、定期的なアンケート調査を実施するなど、都として責任ある指導に努めてまいります。

○かち委員 都立施設ということで、同水準の処遇体制確保を図ってまいりますとおっしゃいましたけれども、まさにこれは公私格差を是正しなさいということですよね。そのための手だてをどんどん削っておいて、やることだけをやれというのでは、余りにも酷な要求ではないでしょうか。利用者へのサービス水準の維持向上、職員の処遇体制確保というなら、今、民間移譲をどんどん進めるのではなく、都としての福祉人材確保のために手だてをまず行うべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。

○長橋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○長橋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十七分散会

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