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Tokyo Metropolitan Assembly

平成二十四年東京都議会会議録第九号

平成二十四年六月十三日(水曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番三宅 正彦君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番福士 敬子君
七番土屋たかゆき君
八番野田かずさ君
九番山内れい子君
十一番関口 太一君
十二番くりした善行君
十三番西沢けいた君
十四番田中  健君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番松葉多美子君
十九番伊藤こういち君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番早坂 義弘君
二十四番高木 けい君
二十五番星 ひろ子君
二十六番小山くにひこ君
二十七番柳ヶ瀬裕文君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番中村ひろし君
三十二番たきぐち学君
三十三番田の上いくこ君
三十四番島田 幸成君
三十五番大島よしえ君
三十六番高倉 良生君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番遠藤  守君
四十番相川  博君
四十一番高橋 信博君
四十二番中屋 文孝君
四十三番村上 英子君
四十四番矢島 千秋君
四十五番高橋かずみ君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番しのづか元君
四十九番滝沢 景一君
五十番中谷 祐二君
五十一番笹本ひさし君
五十二番山下ようこ君
五十三番神野 吉弘君
五十四番鈴木 勝博君
五十五番興津 秀憲君
五十六番岡田眞理子君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番大松あきら君
六十番中山 信行君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番山田 忠昭君
六十五番林田  武君
六十六番小宮あんり君
六十七番吉住 健一君
六十八番神林  茂君
六十九番野島 善司君
七十番服部ゆくお君
七十一番伊藤 ゆう君
七十二番原田  大君
七十三番佐藤 広典君
七十四番西岡真一郎君
七十五番尾崎 大介君
七十六番山口  拓君
七十七番伊藤まさき君
七十八番松下 玲子君
七十九番野上ゆきえ君
八十番今村 るか君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番吉田 信夫君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番田中たけし君
九十番宇田川聡史君
九十一番鈴木 隆道君
九十二番三原まさつぐ君
九十三番田島 和明君
九十五番吉田康一郎君
九十六番斉藤あつし君
九十七番泉谷つよし君
九十八番くまき美奈子君
九十九番大西さとる君
百番いのつめまさみ君
百一番小沢 昌也君
百二番石毛しげる君
百三番大津 浩子君
百五番清水ひで子君
百六番ともとし春久君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番古賀 俊昭君
百十一番吉原  修君
百十二番鈴木あきまさ君
百十三番宮崎  章君
百十四番川井しげお君
百十六番吉野 利明君
百十七番比留間敏夫君
百十八番門脇ふみよし君
百十九番増子 博樹君
百二十番大塚たかあき君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番大山とも子君

 欠席議員 一名
百十五番 三宅 茂樹君
 欠員
    十番 九十四番 百四番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長笠井 謙一君
財務局長安藤 立美君
警視庁総務部長室城 信之君
主税局長新田 洋平君
生活文化局長井澤 勇治君
スポーツ振興局長細井  優君
都市整備局長飯尾  豊君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長松田 芳和君
消防総監北村 吉男君
交通局長野澤 美博君
水道局長増子  敦君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長樋口 眞人君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長中西  充君
選挙管理委員会事務局長影山 竹夫君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長加藤 英夫君
監査事務局長塚本 直之君
収用委員会事務局長細野 友希君

六月十三日議事日程第三号
第一 第百三十八号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百三十四号議案
  東京電力管内の原子力発電所の稼働に関する東京都民投票条例
第三 第百三十五号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第四 第百三十六号議案
  東京都公債条例の一部を改正する条例
第五 第百三十七号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第六 第百三十九号議案
  東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
第七 第百四十号議案
  東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百四十一号議案
  東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百四十二号議案
  東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百四十三号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百四十四号議案
  東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百四十五号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百四十六号議案
  救急業務等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百四十七号議案
  警視庁野方庁舎(仮称)(二十四)新築工事請負契約
第十五 第百四十八号議案
  都立保谷高等学校(二十四)改修工事請負契約
第十六 第百四十九号議案
  東京国際フォーラム(二十四)ホール棟改修工事請負契約
第十七 第百五十号議案
  東京国際フォーラム(二十四)電気設備改修工事請負契約
第十八 第百五十一号議案
  東京国際フォーラム(二十四)空調設備改修工事請負契約
第十九 第百五十二号議案
  擁壁築造工事(二十四 四─放三十五)請負契約
第二十 第百五十三号議案
  新指令管制システムの製造請負契約
第二十一 第百五十四号議案
  東京都立学校における部活動中の事故に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
第二十二 第百五十五号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第二十三 第百五十六号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百五十七号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第二十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(二四財主議第一〇〇号)
第二 東京都監査委員の選任の同意について(二四財主議第一〇一号)

   午後一時開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(中村明彦君) 昨日に引き続き質問を行います。
 三十一番中村ひろし君。
   〔三十一番中村ひろし君登壇〕

〇三十一番(中村ひろし君) 最初に、少子高齢社会への対応について質問します。
 現在、老後の不安、若い世代の貧困など、先への不安を抱く方も多くいます。都政には多くの課題がありますが、現在の東京の最大の課題は雇用と貧困だと指摘する有識者もいます。昨今、知事は国政に関する発言が目立ちますが、都民の暮らしについても、もっと発信をしていただきたいと思います。
 二〇一三年四月以降は、公的年金の報酬比例部分が段階的に六十五歳に引き上げられます。現在のままでは、六十歳定年以降、継続雇用を希望したとしても、雇用が継続されず、また年金も支給されず、無収入となる期間が生じる可能性があり、いわゆる二〇一三年問題といわれています。この問題に対応するため、企業に、継続雇用制度などの六十五歳までの雇用を確保するための制度の導入を義務づける高年齢者雇用安定法の改正案が国会に提出されています。一方、この高齢者の雇用により、若年者の雇用機会が失われるのではないかとの声もあります。高齢者の生活も大切ですし、若年者の仕事の確保も大切です。高齢者、若年者、両者に対する就労支援を行っていく必要があると考えますが、都としての対応を伺います。
 次に、高齢者の住まいの課題について伺います。
 都は、施設での介護よりも住まいに近い形のモデルとして、サービスつき高齢者住宅、都型ケアハウス、シルバー交番の三つを示しました。とりわけ中間所得層向けのサービスつき高齢者向け住宅については、先日、見学もさせていただきましたが、バリアフリーの住宅に行き届いたサービスがあり、すばらしかったのですが、今後、普及するかどうかは注視をしていきたいと思います。今般、自治体でも品川区が主体となって整備するとの報道もありました。
 今後、サービスつき高齢者向け住宅などの高齢者向け住宅を大幅に供給していく必要があると考えますが、都の設置促進に向けた取り組みを伺います。
 孤独死、孤立死は、大きな課題です。以前も述べましたが、都知事の選挙公報の十の約束の一つに、認知症ゼロ、寝たきりゼロ、孤独死ゼロのトリプルゼロ社会を東京ルールで実現しますとありましたので、具体的な取り組みを求めます。
 昨年度、都は、東日本大震災の影響による電力不足を受けて、高齢者の熱中症対策を緊急対策事業として実施をしましたが、震災後の特殊事情だけではなく、日常的な高齢者施策としての見守りが必要です。地域では創意工夫を凝らしたさまざまな取り組みが行われていますが、オートロックマンションや個人情報の壁など、依然として見守りの現場における課題は多いのが現状です。取り組みに地域差があることも気になります。
 都は、市区町村において、より効果的な高齢者等の見守りの取り組みが進むよう、一層支援すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 三月二十八日に東京都のがん対策推進協議会を傍聴しました。さきの定例会最終日の二十九日の前日で、まだ条例の可否が決まる前でしたが、福祉保健局長からは議会での議論についての一定の評価をされていました。国の方でも、がん対策推進基本計画が閣議決定をされ、都も、二十五年度の改定に向けて取り組んでいる大切な時期だと思います。
 がんには、早く見つけて治療をすれば治るがんがありますし、治療も随分と進んできました。治せるがんを早く見つけるためにも、がん検診の受診率向上に向けた取り組みは大変重要で、そういう点では、都議会民主党の要望により、今年度の予算に新規事業として、がん検診受診率精度向上支援事業が計上されたことは評価します。
 しかし、都のがん対策基本計画では、平成二十四年度の目標を五〇%としながらも、二割台から三割台にはできましたが、まだまだ目標にはほど遠い数値です。がん検診受診率を向上させるためには、自治体だけではなく、職域等の受診率の向上も重要です。
 がん検診受診率への効果的な対策を考えるためにも、まず現状把握に取り組むべきと考えますが、現在、職域におけるがん検診は位置づけが明確になっておらず、受診状況の正確な把握もできていません。そのことに関する都の見解、所見をお伺いします。
 また、都民の受診率向上のために、都はどのように取り組んでいくのかも伺います。
 がん患者の方が自宅で療養する場合、独居高齢者の場合は十分に対応できないという不安もあります。往診に行ったら亡くなっていたという医療関係者の声も聞きました。在宅での療養と独居との関係も重要な課題です。国は医療制度をつくるのですが、地域福祉との連携は地方自治体の役割です。
 今後、都として、がん患者の地域における療養生活を安定したものにする施策、さらには、社会復帰に向けての支援について、どのように取り組むのか伺います。
 次に、精神保健福祉について伺います。
 昨年、厚生労働省が、精神疾患を五大疾患とし、医療計画の必須事項となりましたので、今後改定を行う東京都保健医療計画に盛り込まれることになります。とりわけ若年層については重要であるにもかかわらず、支援が十分に行き届いていない領域といわれています。若年者の苦しんでいる状況を何とかしたいという切実な声も届いています。精神疾患を早く見つけて早く支援を行うことは大切です。
 都は、そのために内科医の研修を行うなど取り組んではいますが、医療機関だけではなく、民間事業者によるサポートが行われている事例もあり、地域において若年層を対象とした医療と福祉の連携に取り組んでいく必要性があると考えますが、所見を伺います。
 精神疾患に関する施策に関連して児童虐待への対応についても伺います。
 さきの予算特別委員会でも多くの議論がありましたので、私も、東京都児童相談センターや杉並児童相談所を訪問しました。痛ましい事件がなくせるよう一層の取り組みを要望するものです。児童虐待が問題になるときに、親に精神疾患の疑いがある場合もあります。児童相談所で子どもの対応はするのですが、親への対応はどのようにしているのでしょうか。児童相談所は、保健所と連携したり、専門家を配置するなどの取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、地域主権について質問します。
 都は三多摩格差はなくなってきたといいますが、近年でも公立小中学校におけるエアコン設置率の余りの差に依然として格差があることを実感させられました。これは会派を超えた議員の取り組みだと思いますが、都が市町村総合交付金を年々拡充してきたことは評価をします。ただ、多摩地域では、保健所が統合されたり、多摩図書館の位置づけも変わりました。今度は労働情報相談センターも統合しようとしていますので、サービスが低下しないよう要望します。
 また、本年四月には、地域主権一括法により多数の事務が都から市区町村に移譲されました。各市区町村においては、実施主体の変更に伴うサービスの低下を招かぬよう懸命にサービス水準の維持向上に努めているところです。
 これら移譲事務に係る財源は、地方交付税により国が措置するとされていますが、多摩地域には、交付団体もあれば不交付団体もあります。不交付団体にとっては、仕事がふえたが財源は来ないという現状であり、この状況は住民サービスにも影響しかねません。私の地元三鷹市も不交付団体ですが、このような状況も踏まえ、先般、三鷹市長が総務大臣あてに、地方交付税の不交付団体における都市財政の充実強化についての要望を提出しました。
 都においても、市区町村の実情を踏まえ、国に対して強力に働きかけを行っていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、調布飛行場について質問します。
 調布飛行場は、三鷹市、府中市、調布市三市にまたがり、大島、新島、神津島と本州を結んでいます。都議会民主党は島嶼振興等調査会を設置し、私も会員として、島しょ振興に取り組んできました。一方、周辺に住む方にとっては安全への不安や騒音などの環境問題もありますので、常に配慮することが大切です。
 これまで都と地元三市で協定を結び、空港の運営については常に協議を行っていました。今回、羽田空港から三宅島への航空路線が平成二十四年度末をもって羽田では就航不可能になるとのことで、調布飛行場からの就航が検討され、既に都から地元三市への協議を申し入れ、島からも三市への要請もあったようです。
 また、新たな航空路線をふやすだけではなく、これまでは目視による有視界飛行しか認めてこなかったのを、天候によっては計器飛行に変更することもあわせて計画し、三市に申し入れているとのことですが、いずれも、今開会をしている三市の議会で協議をされると思われます。島しょ振興は大変重要ですが、安全対策を怠ってはなりません。最終的には三市の承諾が必要になりますが、前提として安全対策や騒音対策などが重要になりますので、都としてどのように取り組むのかを伺います。
 また、これまでも都が決定するときは、なかなか地元に情報が出てこないことに、地元の不信感がなかったわけではありませんでした。今後、地元三市、周辺住民にどのように説明をしていくのか伺います。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 東日本大震災以降、原子力発電への依存度を減らさざるを得ない社会になり、再生可能エネルギーの推進、省エネルギーの推進が大変重要になります。都議会民主党は、昨年、省エネ条例を提案して可決をさせ、それを受けて都は省エネ推進方針を策定し推進をしています。今後、一層省エネを進めるには、都だけが旗を振るのではなく、都民の中からも省エネを進める大きな動きが出ることを期待します。
 今回、東日本大震災や原子力発電所の事故に伴う大幅な電力不足の経験を受けて、多くの方がエネルギー政策に関心を持っている昨今の状況を踏まえ、都民の声をしっかりと受けとめながら、エネルギー政策を企画、展開していくことが必要と考えます。
 都は、東日本大震災を踏まえたエネルギー政策のあり方について、どのような検討体制で議論を深め、どのような取り組みをしてきたのか、今後はどのような取り組みを行っていくのかを伺います。
 最後に、中国残留邦人問題について伺います。
 私は一橋大学に在学のときからこの問題にかかわり、支援活動にかかわってきましたが、高齢化が進み亡くなる方も多くなってきました。いうまでもなく、中国残留邦人は、終戦の混乱や冷戦などの国際情勢のもとで、何十年も中国に残留を余儀なくされた日本人のことです。
 戦前、国策として満州に渡ったものの、敗戦を知らされず、ソ連軍の襲撃により多くの犠牲者を出しました。その後、東西冷戦により帰国の道が閉ざされ、ようやく日中国交回復後に帰国の道が開かれたものの、時間の経過により、判明が困難であったり、判明しても遠い親戚では受け入れが難航するなど、現実的に帰国できるまでにはさらに多くの月日がかかりました。人数は減りましたが、今なお訪日調査で身元を探す方もいます。国家間の戦争は国民を不幸にし、その後、何十年もつめ跡を残します。当事者にお会いするたびに戦争の愚かさと平和のとうとさを認識させられます。
 ここで、知事の中国残留邦人問題と平和に関する認識についてお伺いをします。
 中国残留邦人は、帰国後に日本語が不自由なため就職が困難で、本当に苦労をされました。国の責任と補償を求めて、国家賠償請求訴訟も起こされましたが、国との和解がなされ、法律が改正されて新たな支援策が導入をされました。新支援法の本格施行から約四年が経過をしました。支援相談員の配置はありますが、地域支援については受け皿となる民間団体が必ずしもなく、また、人数が少ない自治体だけでは対応が難しいところもあります。地域支援については、法律で市区町村の業務とはなりましたが、各自治体の取り組み状況と広域的な支援を行う都の今後の取り組みを伺います。
 中国残留邦人の問題は、長年放置されたせいで、二世、三世、四世へと、課題が継承されてしまいました。国の援助の範囲は同伴家族だけだったため、呼び寄せ家族への支援はほとんどないため、苦しい生活の方が多くいます。
 都は自治体として、問題に直面した方々に対して、国よりも対象範囲を拡大し、日本語学校事業を行ってきたことは高く評価をします。しかし、高齢化しつつある二世の中には、先への展望が抱けず不安を抱いている方もいます。根本的な問題は国の責務とはいえ、都としても国に対して要望すると同時に、現実的な対応が必要です。相談等の対象も呼び寄せ家族にも拡大するべきだと考えます。
 こうした呼び寄せ家族の問題について、都はどのように認識をし、どう対応するのかお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。ご答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 中村ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 中国残留邦人の問題と平和に対する認識についてでありますが、敗戦間際、ソビエトは中立条約を一方的に破棄して、我が国に宣戦布告をいたしまして、ソ連軍は、満州、南樺太、千島に一挙に侵攻し、どさくさに紛れて領土までもかすめ取ったわけでありますが、この戦で満州では開拓民を初め多くの同胞たちが悲惨な最期を遂げられました。何とか生き延びた人々も、日本へ引き揚げに際して厳しい苦難に遭って、こうした悲惨な歴史が今日の中国残留邦人の問題を生んだと思います。
 今でも覚えていますけれども、敗戦直後、私の父の友人の一族が、満州にいた方々が、ほうほうのていで引き揚げてきまして、生活のめどが立つまで私の家に数カ月滞在しておられましたが、子どもを産んだばかりの娘さんが、男に見せるために頭を丸刈りにして、まだ毛が、要するによく伸びていなかったのを、私、子どものころでありましたから非常に奇異な思いで眺めたのを覚えています。
 いずれにしろ、生き延びるためとはいえ、親が自分の子どもを手放さなければならなかった事実には、思いをはせたとき、本当に心が痛みます。引き揚げた人は、まだましであったと思いますけれども、とにかく子どもを向こうへ残した人たちというのは、本当に、何ともいえぬ断腸の思いだったと思いますが、こうした悲劇はもう二度と起こしてはならないと思います。
 しかし、その平和を成立させるためには、それを一生懸命願うだけではなくて、現実的な手だてを積み重ねる必要があるということを忘れてはならないと思います。戦後、日本はアメリカ依存でずっと過ごしてきましたが、さしたる緊張もなしに、今は平和の毒に侵されて、自分の手で自分を守るということすら忘れた感じがいたしますが、心がけずして安易に手にしている平和は、結局、結果として、物質主義、拝金主義という平和の毒を醸し出したと思います。
 有名な哲学者でありました田中美知太郎さんの非常に識者の間では評判の論文でありましたが、その中で田中さんは、憲法で幾ら平和を唱えても、それで平和を確立するわけではない、ならば憲法に台風は日本に来てはならないと記すだけで台風が防げるかという至言を残しましたけれども、私たち、これを胸に刻むべきだと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 高齢者と若年者に対する就業支援についてのご質問にお答えします。
 今後、少子高齢化の進展により、労働力人口の減少が見込まれる中、世代を問わず働く意欲と能力のある方が就業を通じて社会を支え、活躍できるよう支援することが重要であります。
 ご質問の高齢者につきまして、都は、東京しごとセンターで就業相談や就職支援講習などを行うほか、地域で臨時的、短期的な就業機会を提供するシルバー人材センターへの支援などを行っております。
 また、若年者に対しましては、しごとセンターでのカウンセリングなどに加え、就職面接会の開催、研修と就業体験を通じた正規雇用化への支援などを行っております。
 今後とも、さまざまな施策を通じて、すべての年代の方々に意欲と能力に応じた支援を行い、就業を推進してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 高齢者向け住宅の設置促進についてでございますが、高齢化が急速に進む中、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択でき、住みなれた地域で安心して暮らすことが重要でございます。
 このため、都は、平成二十一年、猪瀬副知事の発案により立ち上げたプロジェクトチームの検討結果に基づきまして、高齢者向けの賃貸住宅の供給促進を図ることといたしました。国は、この都の先駆的な取り組みを受け、昨年四月に関係法を改正し、現在は、これに基づき供給促進を図っております。
 お話の高齢者向け賃貸住宅は、平成二十三年度末で約二千七百戸が設置されており、平成二十六年度までの設置目標である六千戸に向け順調に推移しております。
 高齢者向け賃貸住宅の供給促進には、市区町村との連携強化や事業者への制度の周知が不可欠であり、都独自の基準や補助制度をわかりやすく示したパンフレットを作成し、周知に努めているところでございます。
 今後とも、国や市区町村と連携し、サービスつき高齢者向け住宅などの設置促進に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、区市町村の見守りの取り組みへの支援についてでございますが、都はこれまで、民生委員や自治会、町会などによります高齢者の見守りを行う区市町村に対して、包括補助を通じて支援をいたしているほか、シルバー交番設置事業により、地域の高齢者を見守る拠点の充実を図っております。
 今年度は、見守りの担い手を中心に構成する会議を新たに設置しまして、これまでの取り組みの検証や先駆的事例の分析を行い、効果的な見守り手法などを検討することとしておりまして、この結果も活用しながら、区市町村の取り組みが一層進むよう支援してまいります。
 次に、職域のがん検診についてでございますが、職域におけるがん検診は、法令等における位置づけが明確でないため、受診状況の正確な把握や精度管理を行うことが困難でございます。
 また、がん検診の受診率を向上させるためには、区市町村が行う検診とあわせ、検診全体に占める割合が高い職域における検診の受診を促進することが重要でございます。
 このため、都は、職域におけるがん検診につきまして、がん対策推進基本計画に明確に位置づけ、受診率や実施状況を把握できる仕組みを構築するとともに、有効ながん検診が実施されるようガイドラインを示すなど、支援策を講じることを、国に対し、提案要求をしております。
 次に、がん検診の受診率向上のための取り組みについてでございますが、都はこれまで、リーフレットやホームページ、イベントなどを通じ、がん検診の重要性や具体的な受診方法等について、都民に周知を図ってきました。
 また、がん検診の実施主体であります区市町村に対しましては、個別の受診勧奨など、効果的な受診率向上策に取り組む際に、包括補助事業を活用して支援をいたしております。
 さらに、がん検診に積極的な企業をがん検診推進サポーターに認定をいたしまして、従業員への受診勧奨や都民への普及啓発などの活動を支援しております。
 今年度は、こうした取り組みに加え、研修やイベント等で活用する映像作品を制作し、都民のがん検診受診率の向上を図ってまいります。
 次に、がん患者の療養生活についてでございますが、都は、病院での治療を終えたがん患者が、住みなれた地域で安心して療養できるよう、病院から在宅への円滑な移行等を調整する窓口の設置や急変時の病床確保など、区市町村における在宅療養の取り組みを支援いたしております。
 また、五大がん及び前立腺がんについて、東京都医療連携手帳を作成し、患者が自分の治療計画を理解して、地域で診療を受けることができるよう、普及を図っております。
 今後とも、がん患者が社会復帰を含め、地域の中で療養生活を継続できるよう、在宅療養の取り組みを進めてまいります。
 次に、若年層への支援における精神科医療と福祉の連携についてでございますが、精神障害者を支援するため、区市町村では、民間事業者も活用し、地域活動支援センターを中心に相談支援を実施いたしております。
 また、都では、精神保健福祉センターや保健所におきまして、若年層やその家族を対象に専門職による思春期、青年期相談を行いますほか、区市町村や民間事業者等と共同いたしまして事例検討会を実施するなど、医療と福祉が連携した支援に取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを進め、若年層の精神障害者を支援してまいります。
 次に、児童相談所における親への対応についてでございますが、児童相談所は、親からの虐待が明らかになった場合、子どもの状況や家族環境、親の精神的な状況など、個々の家庭状況等を把握した上で、その家庭に対する支援方針を定め、親への指導を行っております。
 そのうち、精神疾患の疑いがあるなど、医療支援が必要な親に対しましては、児童福祉司や保健師の資格を持つ専門職員が、保健所等と連携をし、医療機関への受診の働きかけを行うなど、家庭生活を立て直し、子どもの養育が適切にできるよう支援をいたしております。
 次に、帰国した中国残留邦人等への支援についてでございますが、平成二十年度から、法改正に伴いまして、中国帰国者等に対する通訳や相談員の派遣等を行う地域生活支援事業の実施主体が区市町村となりましたが、都は、実施体制が整わなかった区市町村について、暫定的に事業実施を補完してまいりました。
 この間、都は、区市町村に対し主体的に事業を実施するよう働きかけを進め、今年度から、支援が必要な中国帰国者等の住むすべての区市町村において、実情に合わせた事業が実施されております。
 また、都は、他の自治体の取り組み事例の紹介や、区市町村の支援、相談員等を対象とした医療通訳の専門研修等を行っており、今後とも、区市町村が中国帰国者等への支援を円滑に実施できるよう、引き続き取り組んでまいります。
 最後に、いわゆる呼び寄せ家族への対応についてでございますが、中国帰国者等への支援は、基本的に国の責任で行うべきでございますが、後から帰国した二世等の家族、いわゆる呼び寄せ家族を対象とした国の支援制度は設けられておりません。
 都は、呼び寄せ家族についても、言葉や生活習慣等の違いから生じる生活上の困難があると考えられることから、その自立、定着の促進を図るため、独自の生活相談員制度を活用し、日常生活等の諸問題に関する相談、助言、指導を行っております。
 また、無料で受講できる日本語教室や、都立高校での中国引き揚げ生徒のための入学者選抜について、呼び寄せ家族も対象にしているところでございます。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 市区町村の実情を踏まえた国への働きかけでございますが、地域主権一括法による市区町村への権限移譲に係る財源につきましては、国が、地方交付税や国庫負担金などにより確実に措置することとされております。
 しかし、地方交付税では、不交付団体にとって事実上の財源措置になり得ず、不満があることは都としても承知をしております。
 そのため、都は、国への提案要求等により、これまでも不交付団体などすべての市区町村に対し、必要な財源を措置するよう国に求めてまいりました。
 今後とも、市区町村の実情を踏まえながら、国に対して確実な財源措置を行うよう働きかけをしてまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 調布飛行場に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、調布飛行場の安全、騒音対策についてでありますが、調布飛行場は市街地に立地していることから、これまでも、安全性の確保や騒音の低減に向け、さまざまな取り組みを行ってきております。
 具体的には、安全面に関しては、毎月開催される運航担当者会議等において運航の基本手順等の徹底を図るとともに、都独自の取り組みとして事業者を対象に安全啓発講習会を開催するなどして、安全対策に努めてまいりました。また、騒音対策としては、国の基準よりも手厚い住宅防音工事補助等を実施してきております。
 今後は、航空法の改正により新たに導入された操縦者の技能維持を図るための特定操縦技能審査制度の活用などを図り、さらなる安全確保に万全を期すとともに、騒音対策にも引き続き努め、周辺住民の方々が安心快適に過ごせるよう、総合的に対策を実施してまいります。
 次に、調布飛行場の地元協議についてでありますが、都では、これまでも、飛行場の管理運営に関して大きな変更が生じた場合には、地元三市と協議を行うとともに、必要な住民説明も行ってまいりました。
 今回の三宅航空路線の新設及び計器飛行方式導入についても、地元三市に対して五月に提案を行い、協議を重ねているところであります。
 今後とも、地元市との協議が円滑に進むよう、適切な情報提供に努めるとともに、周辺住民の方々への説明会も開催し、地元から十分な理解が得られるよう全力で取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) エネルギー政策に関する検討についてでございますが、都は、昨年七月、東日本大震災を踏まえた今後の環境政策のあり方につきまして、環境審議会に諮問を行い、エネルギー政策についても、主要な検討課題の一つとして活発な議論が行われました。
 議論の過程では、パブリックコメントを実施いたしまして、都民、事業者等から寄せられた意見の内容を公表するとともに、適宜、最終答申に反映をいたしました。
 先月、都が発表しました省エネ・エネルギーマネジメント推進方針は、本答申を受けまして、昨年夏の経験を生かした賢い節電の定着に向けた方針と、スマートエネルギー都市の実現を目指した施策の方向性を取りまとめたものでございまして、今後、都民や民間事業者等と連携し、着実に取り組みを進めてまいります。

議長(中村明彦君) 三番三宅正彦君。
   〔三番三宅正彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三番(三宅正彦君) 太平洋に浮かぶ東京の島々にとって、水産業は非常に重要な産業です。その年の漁業のよしあしが、島の経済状況を左右するといっても過言ではありません。ところが、かつては豊かな水産資源に支えられていた島の水産業も、近年は漁獲も不安定になり、価格の低迷、経費の増大などから、漁業者の経営は大変厳しい状況となっています。
 一方、沖ノ鳥島、南鳥島を含めたこれら東京の島々による排他的経済水域は、日本全体の約四割という広大な面積となっており、日本の国益上、非常に重要なものとなっています。特に小笠原の島々は東京都でありながら国境の島であり、平成十七年度からは知事の意向を受けて、沖ノ鳥島への漁業操業を開始しました。小笠原特有の縦縄漁法によってマグロ類を中心に漁獲し、地元で薫製を製造するなど、新たな産業にも寄与していると聞いています。
 こうした島々とその排他的経済水域をあらしめるためにも、水産業が営まれていることが非常に重要であると思います。
 そこで、東京の島々の基幹産業である水産業振興について、知事の所見を伺います。
 私の地元である伊豆諸島の漁業者は、近年さらに水産資源が減少したと感じているようです。まとまって漁獲できる魚種が減少し、価格も低迷する中で、比較的漁獲量があり、単価も高いキンメダイに多くの漁業者が集中しています。また、他県の漁業者も以前からキンメダイを漁獲しているため、資源の減少に危機感を抱いています。
 伊豆諸島の海における水産業を持続可能な産業とするためには、水産資源が安定していることが必要不可欠です。
 ことし二月に都の調査指導船「みやこ」が竣工しましたが、この船は最新鋭の機器を搭載し、東京都の漁業者に貢献できる調査を実施すると伺いました。
 そこで、水産資源の管理について伺います。
 次に、小笠原航路について伺います。
 小笠原は世界遺産への登録を契機に観光客が増加する一方で、さまざまな問題も浮上しています。小笠原航路において、東京─父島間を運航する「おがさわら丸」は、観光客のみならず、そこで生活する村民にとって、唯一の大変重要な生活航路ですが、時期によっては、村民でもなかなか予約がとれず、二等客室のスペースは、混雑時は寝返りもできないといった話も耳にしております。
 運航事業者も、この六月より、二等客室の一人当たりのスペースを拡充しましたが、より一層の対策が待たれるところです。
 現在の「おがさわら丸」は、平成九年三月に就航してから、十五年ほど経過していますが、小笠原航路特有の長時間の外洋航行による船舶の老朽化も進行しているようです。こうした現状にかんがみ、新たな船の建造について都の考えを伺います。
 次に、離島航空路について伺います。
 まず、就航率向上についてですが、島しょ地域と本土を結ぶ離島航空路線の拠点である調布飛行場には、大島、新島、神津島との間で一日十便就航し、年間六万人を超える利用があり、島民の生活を支える上でなくてはならない重要な拠点となっています。しかしながら、これら各島と調布飛行場を結ぶ航空路線については、梅雨どきを初めとして欠航がたびたび発生しています。
 これは調布飛行場がいまだに有視界飛行方式になっており、天候などに大きく影響を受けてしまうためです。
 島民の日常の交通手段としてのみならず、島での治療ができず都内の病院に通院する足としても利用されており、欠航が多いのは死活問題にもつながりかねない状況になっています。また、島の観光振興といった観点でも、減少している観光客を呼び戻し、離島のよさをPRしていくために、航空路の安定性の向上は重要な課題となっています。
 このような課題の解決に向け、島しょ側の三空港については既に計器飛行方式を導入し、就航率の改善に一定の効果を発揮していますが、調布飛行場には導入されていません。こうした状況を踏まえると、一刻も早く計器飛行方式を導入すべきです。
 今般、三鷹、府中、調布の地元三市との協議を始めたとのことですが、今後どのように取り組んでいくのか都の見解を伺います。
 次に、三宅島の航空路について伺います。
 昨年七月に全日空は、現在就航している航空機について、平成二十四年度末に退役させるとの方針を打ち出しました。また、退役後は、三宅島空港の千二百メートルの滑走路では離着陸できる航空機を保有していないため、路線を維持できなくなるとしています。
 もとより、離島の航空路は島民の貴重な足であり、特に三宅島は東京から約百八十キロの遠方にあり、海路では六時間以上を要するため、島民の生活を守り、観光客の誘致などを進める上で、航空路は欠くことのできない重要な交通インフラです。
 都は、全日空の現行航空機の退役方針を受けて、三宅島島民の生活を守るという観点から、有効かつ迅速な対応を行い、島民が引き続き安心して暮らせる環境を実現すべきと考えますが、現在の取り組み状況と今後の展望について伺います。
 次に、島しょ地域の防災対策について伺います。
 昨日の我が党の島しょ地域の津波防災対策にかかわる質問によって、津波避難施設の整備、地元町村と連携した避難誘導の仕組みづくり、津波ハザードマップの作成支援、そして、十一月の神津島での防災訓練の実施など、ハード、ソフト両面にわたる津波対策を推進する旨の答弁がありました。
 ことしの春に、国や都の被害想定が出され、島しょ地域では、高い津波の想定への衝撃が走り、具体的な対策を望む声が多く寄せられています。地元の町村や消防団も、現実を見据えて取り組もうとしています。ぜひ都としても力強い支援を求めたいと思います。この十一月に行う都と神津島村合同での防災訓練でも、津波からの避難訓練を実践的に行うなど、都と島しょが一体となった取り組みを期待します。
 私からは、津波防災対策における基盤ともいうべき、通信の課題について質問します。地震が起こり、津波の到来が予想されるとき、即座に、そして確実に、島民や観光客に対して、避難を呼びかける必要があります。また、津波が来た後の救助、復旧への対策のためにも、本土との連絡を確実に確保しなければなりません。
 災害時の防災行政無線の強化を図るとともに、バックアップ体制も考慮し、絶対に通信を途絶させない対策を講じていくべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 最後に、社会資本整備について伺います。
 公共事業による社会資本の整備は、豊かな暮らしとこれを支える経済社会を実現し、安全で持続可能な誇りの持てる国づくりに必要な財産を築くものであり、国民の安全・安心を守る役割を担っていることはいうまでもありません。
 これまで、我が国の公共事業に関する議論は、毎年どのぐらいの予算を注ぎ込むかというフローばかりが着目されてきましたが、本来は、社会資本の意義を正確に理解し、次世代に残すべき社会資本ストックを明らかにして、真に必要な社会資本の整備を進めなければなりません。
 国は確たる理念もなく、公共事業関係費を削減し続けており、このままでは現存する社会資本の維持管理すらできず、国民の安全・安心の確保が難しくなります。コンクリートから人への理念は既に破綻しています。
 一方、都は、都民の安全・安心を守るとともに、東京に活力をもたらし、経済に波及効果や、雇用創出効果が高く未来につなぐ財産をも築く公共事業に予算を重点的に配分し、歳出総額を抑制しつつ、投資的経費を八年連続で伸ばしてきました。
 政府が、この国の将来の姿を示すこともできずにいる今、国に先駆けて、災害時の人的、物的被害を最小化する事前防災の考え方に基づき、公共事業において計画的かつ賢い投資を行い、東京の強靱化を積極的に進めるべきと考えます。
 そこで、まず、都民の生命と財産を守る土砂災害対策について伺います。
 島しょ地域や多摩山間部は、地震、台風、集中豪雨に襲われるなど、厳しい自然条件のもとにあり、土砂の流出やがけ崩れなどの災害を幾度となく受けています。一たび災害が発生すれば、土砂の流出は広範囲に及び、さまざまな生活の基盤にも被害を及ぼします。八丈島でも、島の生命線ともいえる港にまで土砂が流れ込むおそれのある危険な渓流があり、不安があります。
 これまで都は、ハード、ソフト両面から土砂災害対策を進めていますが、このような地域に生活する住民が将来の世代まで安全・安心に暮らせる環境をつくるための事業を進めることが必要であると考えます。
 そこで、島しょ地域や多摩地域における都の土砂災害対策事業の取り組みについて伺います。
 また、これらの地域は、急峻な地形などから道路が限られており、こうした道路の安全・安心を確保していくためには、日ごろからの備えを確実に行うとともに、過去に防災対策として擁壁や防護さくの設置などを行った斜面も含め、状況に応じた対策を計画的かつ柔軟に行うことが必要と考えます。
 そこで、斜面の崩落や落石などによる被害の発生や孤立集落の発生などを未然に防止する道路災害防除事業の取り組みについて伺います。
 こうした災害を未然に防止する対策を行っていたとしても、災害は予期せず発生します。大雨や地震などによって、一たび土砂崩れなどの災害が発生した場合には、通行どめなどによる日常生活への影響は甚大です。
 このため、災害に速やかに対応し、一日も早く安全な通行を確保するとともに、再び同じ災害を受けないようにすることが重要です。実際に神津島では、本年三月五日に二○○ミリを超える大雨によって、都道の斜面が崩落し、一時通行どめになりました。
 復旧に向けた都の取り組みについて伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 三宅正彦議員の一般質問にお答えいたします。
 東京の島々の水産業振興についてでありますが、豊かな漁場を持つ、伊豆諸島、小笠原諸島にとって、水産業はいうまでもなく基幹産業の一つでありまして、近年、漁獲の減少、高齢化など、厳しい状況にあり、その振興が急務であります。
 加えて、私の代議士時代のことでありますが、他県の漁船がやってきて、八丈の南の水域で、のど元で乱獲をしまして、島の、要するに漁民の方々の収穫が減ったこともありました。それから、ロシア、ソビエトの底引き船が勝手にやってきて、神津島の沖でサバを乱獲したこともあって、やっぱり豊穣な漁場というのは、他県あるいは他国の漁民にとっても格好の獲物であると思いますが、そういったものをこれからも起こり得ることでありまして、また、そのたんびに、私たちも強く抗議もして、これを阻害しなくちゃいけないと思いますが、都はこれまで、水産資源の管理に必要な調査や漁場造成など、それぞれの島が必要とする振興策を実施してきておりまして、今後も、地元の要望を聞きながら、きめ細かな対応をしていきたいと思っております。
 一方、東京の島々は、我が国全体の四割に及ぶ広大な面積の排他的経済水域を生み出しております。この排他的経済水域を守るためには、経済活動である漁業が活発に行われることが非常に有効であると思います。
 例えば、あの放置されていた沖ノ鳥島に、今では東京全体の組合長になりましたが、小笠原の非常に有能な菊池さんという組合長にお願いしまして、そのために新造船も、船もつくりましたけれども、あそこに新規の漁礁をつくってもらいまして、そのために、非常に漁獲が上がるようになり、日本の漁船も沖ノ島に出かけることになりました。その結果、今まで勝手に侵入してきた韓国や台湾や、あるいはシナの漁船が姿を消したという結果にもなりました。
 いずれにしろ、広大な東京のその海域は、都民、国民の大切な財産であり、また資源であることを踏まえて、今後とも、東京の水産業の振興を図っていきたいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、土砂災害に対する取り組みについてでございますが、集中豪雨や台風などによる土砂災害から都民の生命や財産を守るためには、砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業などを推進することが重要でございます。
 都は、土石流やがけ崩れの危険性が高い箇所などにおいて、砂防堰堤や崩落防止のためののり枠などを整備し、地域の安全性を高めてまいりました。
 今年度は、八丈島の重要な産業基盤である八重根漁港の保全対象とする大里一ノ沢などで新たに事業に着手いたします。あわせて、大島町の地の岡沢や三宅村の鉄砲沢、夕景沢など十五カ所、多摩地域では檜原村藤原地区などで十三カ所において整備を行ってまいります。
 今後とも、関係自治体と連携して土砂災害対策を推進し、都民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。
 次に、道路災害防除事業についてでございますが、島しょや多摩山間部の都道は、地域の生活や経済活動を支えるとともに、災害時の避難や救援活動に不可欠な生命線ともなる極めて重要な社会基盤でございます。
 このため都では、道路巡回にあわせて行う日常点検に加え、すべての斜面を対象とした五年に一度の定期点検、大雨等の際に行う異常時点検などにより、斜面の状況を的確に把握し、緊急度の高い箇所から計画的に対策を実施しております。
 二十四年度の事業箇所は、国道四一一号線や八丈循環線など二十二路線、五十四カ所で、このうち経年劣化が課題となっているモルタル吹きつけ斜面につきましては、「二〇二〇年の東京」計画に基づき、二十八カ所で対策工事を実施いたします。
 今後とも、道路災害防除事業を全力で推進し、都民の安全・安心を確保してまいります。
 最後に、神津島の道路災害復旧への取り組みについてでございますが、本年三月五日に発生した大雨による斜面崩壊につきましては、崩落した土砂等が道路をふさぎ通行不能になったことから、安全な通行を確保し、生活への影響を最小限に抑えるため、大型土のうの設置など応急対策を速やかに行いました。
 本格的な復旧につきましては、崩落に至ったメカニズムを特定した上で、斜面の安定化を図る対策工法や復旧範囲などを確定し、国土交通省、財務省の立ち会いのもと、その場で事業費を決定する実地査定により既に財源を確保しております。来春には工事を完了させる予定でございます。
 今後とも、自然災害に対して、道路等の復旧に機動的に対応し、都民の安心・安全を全力で確保してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 水産資源の管理についてのご質問にお答えいたします。
 水産資源が乱獲などにより枯渇すると、その回復は困難となるため、適切な資源管理こそが必要でございます。そこで都は、伊豆諸島の重要魚種であるキンメダイの生態調査を行い、伊豆諸島海域がその産卵や幼魚の生育に重要な場所であることを明らかにいたしました。
 この結果を受けて、伊豆諸島海域で操業する東京、静岡、神奈川、千葉の漁業者による協議会において、キンメダイを守る具体策を検討し、禁漁期間の設定や操業手法の制限等の取り組みを実施しております。
 今後はさらに、二月に建造いたしました調査指導船「みやこ」を活用して、新たな水産資源の開発にも取り組み、資源の持続的な利用と島しょの水産業振興を図ってまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新たな「おがさわら丸」の建造についてでありますが、伊豆、小笠原諸島の離島航路につきましては、国や都、町村、運航事業者などの関係者で構成される東京都離島航路地域協議会において、新船の建造を含む航路の維持改善等の調査検討を行っております。
 本協議会では、新たな「おがさわら丸」の建造についても、中期的な課題の一つとして検討を進めております。
 こうした中、世界自然遺産への登録以降、乗客数が大幅に増加し、現行の「おがさわら丸」では予約がとりづらい、客室の居住空間が狭いなど多くの苦情が寄せられております。このままでは、増加した観光客の維持が困難になるだけでなく、村民生活へのさらなる影響も懸念されます。
 このため都は、今後、小笠原村や運航事業者を初めとする関係者と、幅広い視点で改善に向けた調整を行ってまいります。
 次いで、島しょにおける災害時の通信の確保でありますが、大地震による津波の到来に備え、住民に迅速な避難を促すとともに、救命救助などの応急対策を着実に行うためには、島しょ地域における通信の確保が不可欠であります。
 このため、都ではこれまで、島しょの各支庁と町村役場に防災行政無線を整備した上で、地上系の通信回線に加え衛星回線を確保し、通信の多重化を図ってまいりました。
 今後は、町村の防災行政無線のデジタル化に向け、必要な助言や国に対する財政措置の要望などを行うとともに、万が一、防災行政無線が使用できない事態に備え、衛星携帯電話の活用などのバックアップ方策を講じてまいります。
 今後とも、島しょ町村と緊密に連携して、島しょにおける通信の確保に万全を期してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 離島航空路に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、調布飛行場への計器飛行方式の導入についてでありますが、大島、新島、神津島の各島の住民の方々にとって、調布飛行場との航空路線は、生活の安定や産業の発展に欠くことのできないものであり、その安定的な就航は極めて重要であります。
 このため、計器飛行方式を島しょ側の三空港に引き続き調布飛行場にも導入すべく取り組んでおり、これまで管制にかかわる調整を国や関係機関と進めてきております。
 さらに、ことし五月には調布飛行場の地元三市の合意を得るべく、三鷹、府中、調布市との協議を開始いたしました。
 今後、早期に三市との合意が得られるよう精力的に協議を進め、一刻も早く計器飛行方式が調布飛行場に導入できるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、三宅島航空路線についてでありますが、離島航空路は島民の生活を支える貴重な足であり、特に三宅島にあっては、復興を一層進めていく上においても、その確保が極めて重要であります。
 都では、全日本空輸株式会社からの現行航空機の平成二十四年度末の退役通告を受けて、昨年八月から、関係局で構成する三宅島航空路調査検討プロジェクトチームで検討を進め、この四月には、三宅村の意向も踏まえ、調布─三宅島間の航空路新設が妥当との結論を得ました。
 さらに五月には、調布飛行場の地元三市の合意を得るべく、三鷹、府中、調布市と協議を開始したところであり、今後、計器飛行方式導入と同様、精力的に協議を進め、調布─三宅島間の航空路線の早期開設に全力で取り組んでまいります。

副議長(ともとし春久君) 七十九番野上ゆきえさん。
   〔七十九番野上ゆきえ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇七十九番(野上ゆきえ君) 都は昨年、アジアヘッドクオーター特区として国から指定を受けたところですが、アジアのヘッドクオーターとしての地位を確立し、グローバルな都市間競争時代における強い東京の復権と、日本経済の活性化につなげていくためには、国際競争に打ち勝てる人材、アジアのエリートになり得る専門能力の高い人材を育てていくことが喫緊の課題です。
 知事は、一年前にこの定例会において、破壊的な教育改革を議論し発信する、教育再生・東京円卓会議を設置すると表明し、これまで三回の会議を開催されました。国際化に取り組む大学の学長や国際感覚豊かな民間出身の高校校長などを招き、グローバル化時代にふさわしい人材育成について、さまざまな意見が出されたと伺っております。
 まず、その議論に対する知事の所見を伺います。
 一方、国内では、若者の労働市場が縮小しております。高卒求人件数、全国では、平成四年の百六十七万人から平成二十三年の十九万人まで落ち込んでおります。約二十年で九〇%減です。
 その理由は、第一に、製造業等の海外移転などにより、高卒者の従来の就職先が激減したこと。第二に、労働者派遣法の改正以降に非正規雇用が拡大したこと。第三に、IT化による単純労働の縮小と知的労働が拡大したこと。第四に、従来の高卒者の就職先に大学生がいわば天下りしてきたこと。第五に、特にアジアに進出した日本企業が、海外の学生の採用を拡大していることなどのためだと考えられます。
 また、内閣府が発表した平成二十四年版子ども・若者白書によると、十五歳から十九歳の失業率は九・六%、高卒新卒者の三年以内の離職率は三七・六%、十五歳から二十九歳の若者が働くことに対して不安を抱いている割合は、十分な収入が得られるかが不安な若者が八二・九%、きちんと仕事ができるかが不安な者が八〇・七%、そもそも就職ができるのか、仕事を続けられるのかが不安な者が七九・六%などとなっており、若者が学校から社会に出るに当たっての仕上がり水準が、現在の労働市場の要求に耐えられない現状が見てとれます。また、それを反映して、若者自身も、学校卒業後の就職に大変不安を感じていることがわかります。
 グローバル化やIT化の進展、非正規雇用の拡大などによって、新卒労働市場が縮小しつつあるということは、これまで以上に高度な知識、高度な技術が卒業の時点で要求をされているということであり、安定した就職を意識した専門的な学習と適切な進路指導が不可欠です。
 そこで、今こそ専門高校における教育の質を向上させ、高度なスキルを習得し、専門的能力の高い人材を育成する専門高校へと生まれ変わるべきと考えますが所見を伺います。
 また、日本を支える高度な専門的人材を育成するためには、高校のころから専門教育を学び、大学においてさらにそれを伸ばしていくということも重要です。専門高校における教育そのものの質を上げ、例えば、商業高校の三年間に加え、大学商学部、経済学部四年間の合計七年間で商業実務のエキスパートを育成していくなどが必要であり、そうした質の高い専門教育を展開することにより、商業高校など専門高校の全体のレベルアップを図っていかなければなりません。
 そうでなければ、グローバル化時代における労働市場への有用な人材の輩出は不可能です。
 専門高校において、より一層充実した専門教育を行った上で、大学などとの連携を模索し、高校と大学とで必要な専門的な人材を育成していくシステムを構築していくことが急務の課題であると考えます。
 専門高校の生徒の技術力などを適正に評価して、専門高校から大学に進学する道を開いていくなどが必要です。専門高校と大学との接続についてどのように取り組むのか、所見を伺います。
 大学における教育には、中学、高校までの教育のように、一人一人の生徒を学年担任の集団などがきめ細やかに面倒を見るような姿勢は見られず、学生は半ば放任されているように見受けられます。学生を真に大切にしてくれる大学はどこなのか、熾烈な就職戦線を勝ち抜くことができる学生を育ててくれる大学は一体どこなのかなどを明らかにし、学生一人一人の顔が見えるよう、大学教育をも促していくことが必要です。
 そのために、高校側から大学側に積極的に働きかけて、大学側にも緊張感を持たせる、大学の姿勢やカリキュラムなどを変えていくことも必要なのではないでしょうか。
 こうした都立高校改革の取り組みは、大学で何を学ぶのか、高校や大学でどのように学ぶのかといった明確な目的を持った生徒を育てていくことになるとともに、日本の大学の改革にも大きな影響を与えるものであり、知事のいう破壊的教育改革を大きく前進させるものであると考えます。さらなる成果を期待して次の質問に移ります。
 次に、環境エネルギー政策について伺います。
 都は、昨年十二月に発表した「二〇二〇年の東京」において、低炭素で高効率な自立・分散型エネルギー社会を創出するという目標を掲げ、その達成に向けて、東京産電力三百万キロワット創出プロジェクトを、今後十年間で戦略的に展開していくとしています。その中核となる、百万キロワット級の高効率なコンバインドサイクル方式の天然ガス発電所の設置については、東日本大震災が提起したエネルギー問題に対して、エネルギーの安定供給体制を構築するために、東京都が示した解決方法の一つであると私は受けとめております。
 発端は、昨年五月の石原知事の定例記者会見での発言でした。その後、猪瀬副知事をリーダーとする局横断的な検討組織がつくられ、これまで議論が行われてきたと伺っております。
 先月には、東京天然ガス発電所プロジェクトの事業可能性調査の結果が公表されたところですが、検討目的とその内容、今後の取り組みについて猪瀬副知事に伺います。
 来月から開始される再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度については、買い取り価格や買い取り期間が、発電事業者の要望を踏まえた採算性のとれる水準に設定されたことで、今後、我が国の再生可能エネルギーの導入が急速に進展することが期待されます。
 都は、これまでも、キャップ・アンド・トレード制度において、大規模事業者のCO2削減義務の履行に利用できるオフセットクレジットの一つとして、グリーン電力証書を活用した再エネクレジットという仕組みを設けるなど、再生可能エネルギーの利用拡大を進めてきました。
 固定価格買い取り制度の開始により、これまでグリーン電力証書の対象であった風力発電所などの設備は、固定価格買い取り制度に移行していく可能性があると考えますが、都は今後どのようにしてキャップ・アンド・トレード制度を活用して再生可能エネルギーを普及していくのか、所見を伺います。
 固定価格買い取り制度の導入は、我が国において、再生可能エネルギーの普及が加速化する一つの契機となることは間違いありません。特に、風力発電を初めとする再生可能エネルギーの導入ポテンシャルが高い北海道、東北地域等においては、新たな発電設備の建設が進むことが期待されます。
 一方で、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に向けた電力制度改革が早急に求められております。これまでのように、電力会社がそれぞれの供給エリアごとに系統電力への再生可能エネルギーの新規受け入れ可能量を検討し、受け入れを制限している現状を改めない限りは、固定価格買い取り制度が始まっても、せっかくの供給ポテンシャルを生かすことができません。
 今後、再生可能エネルギーを拡充していくためには、系統、すなわちグリッドをいかにコントロールしていくかが重要なファクターとなるわけです。将来的には、グリッド全体の最適化が可能となるスマートグリッドの実現が望まれるわけですが、制度改革のスピードを上げて、一刻も早く具体化を図るべきと考えます。
 現在、国では、電力制度改革に向けた検討が行われていますが、都は再生可能エネルギーのさらなる活用促進に向けたグリッドのコントロールを実現する制度的な対応についても、国や東京電力に対して要求していくべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、医療政策について伺います。
 本年四月一日、練馬区に公益社団法人地域医療振興協会練馬光が丘病院が開設しました。日本大学が、日本大学医学部付属練馬光が丘病院として、平成三年から、ことし三月までの二十年間運営し、救急医療、周産期医療、小児医療など区西北部二次保健医療圏における地域医療の中核的役割を担ってきた病院を引き継いだものです。
 昨年七月、練馬区は、日本大学医学部付属練馬光が丘病院の運営が、平成二十四年三月三十一日に終了することを明らかにし、八月一日には、後継運営主体をプロポーザル方式で選定すると公表、九月十五日に地域医療振興協会を後継に選定しております。
 わずか半年という短い期間で引き継ぎを行うことや、新たに運営する地域医療振興協会の診療体制などに対し不安を募らせている住民や患者からは、日本大学による運営の継続を求める声が上がり、私のところへも多く意見や相談が寄せられました。
 都は、都内病院の開設許可を所管しており、今回の日本大学から地域医療振興協会への事業継承についても、地域医療振興協会から事前相談計画書の提出を受け、都が許可をしております。
 四月一日に開設した練馬光が丘病院の開設許可までの経緯と今後の都の取り組みについて伺います。
 日本大学医学部付属練馬光が丘病院は、東京都指定二次救急医療機関として、休日全夜間診療に取り組み、圏域有数の救急病院として活躍されるなど、東京都保健医療計画の施策の実現にも大きく貢献してまいりました。
 特に小児科は、十数名の常勤医師を配置し、住民から大きな信頼を得ており、都が実施している休日・全夜間診療事業(小児)実績では、平成二十一年、二十二年ともに一千台以上の救急車の受け入れ、このほか、隣接する埼玉県からの患者も受け入れていたと伺っております。
 一方、光が丘病院から十五キロ離れたところに小児科四十五床を持つ埼玉県志木市民病院がありますが、小児科医師不足により、四月から入院診療を中止すると発表しております。現在は通常どおり診療しているとのことですが、隣接する志木市において小児医療が不足すれば、練馬区、板橋区などの埼玉都県境地域の小児医療にも影響が及ぶ可能性があります。
 こうした医療資源の変化には、全国的な小児科医師不足の中、いつ、どこで起きても不思議ではなく、その影響を最小限にとどめることの取り組みが求められます。
 現在、都においては、小児科医師不足や、小児科を標榜する医療機関数の減少が見られるようですが、そのような現状の中でも限られた医療資源を活用し、安全・安心な小児医療体制を確保する必要があります。
 そこで、現在、都における小児救急医療体制はどのように確保されているのか伺います。
 安全で安心できる医療の実現には、例えば、緊急時においても迅速かつ確実に医療を受けられるなど、都民の病状に応じて速やかに適切な医療を受けることが可能な体制の確保が必要です。地域における、それぞれの医療機関の医療機能に基づく役割分担と、円滑な連携が必要であります。
 しかしながら、そうした医療連携は一朝一夕に体制が整備されるものではありません。光が丘病院の新しい運営主体である地域医療振興協会は、日本大学から一般病床三百四十二床を引き継いだものの、実際に引き継いだ患者は四名、稼働病床数は、六月十二日現在、百八十四床であり、現在もICU、心筋梗塞患者らを収容するCCUと、中核病院としては欠かせない産科分娩が行われていない状況です。都民に安全で安心な医療を提供するためには、引き継ぎ病院として許可された協会には、必要な体制を確保していただくことはもちろんですが、医療圏内外の地域の病院や診療所等との連携により医療を提供することが求められています。
 日ごろから地域の病院や診療所等と情報交換や患者紹介を行う中で培われる、そういった医療連携は、四月に新規開設し、一から信頼関係を構築するには大変困難が予想されます。
 そこで、都として、地域における医療連携の推進に当たりどのような取り組みを進めているのか所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 野上ゆきえ議員の一般質問にお答えいたします。
 グローバル化時代にふさわしい人材育成についてでありますが、先般の円卓会議メンバーで、国際経験豊かなメンバーの一人が、世界に出て外から日本を眺めてみると、日本という大きな船が少しずつ沈没しているのだが、船に乗っている人たちはそれに気づいていないという危機感を持ったとも述べておりました。まさにそんな感じがいたしますが、現在の日本は、まさにそのタイタニックの様相を呈していると思います。
 まだ大丈夫だろう、まだ大丈夫だろう、こんな大きな船だと。現代の最高技術でつくった船なんだからといっているうちに、タイタニックは機関室に浸水して、あっという間に沈んだわけであります。
 また、科学技術者であるメンバーからも、八〇年代まで世界の科学技術の最先端はアメリカと日本が中心だったと。しかし、九〇年代以降、世界の科学技術はアメリカとヨーロッパ、東アジアで三分されたと。しかも、日本はその東アジアのワン・オブ・ゼムに成り下がってしまったといっておりました。
 しかし、私は、これちょっと異論があるんですね。ノーベル賞というのは、平和賞とか文学賞とか経済学賞ってかなりいい加減なものでありますが、自然科学に関するノーベル賞だけは、これはきちっと実証性がありますから、非常にシビアな審査を得ていると思いますけれども、二〇〇〇年以後、アメリカを除いて日本人が獲得した自然科学におけるノーベル賞の数は、ヨーロッパの総数に匹敵するんですね。これは、私は大事なことだと思います。
 しかし、そのポテンシャルを私たちはやっぱり維持しなくちゃいけないと思いますが、いずれにしろ、国際──断っておきますけれども、アジアの諸国で自然科学におけるノーベル賞をとった人は一人もおりません。国際競争が熾烈をきわめる中、他国、とりわけアジアの国々が競争に打ち勝つべく必死で取り組んでいる一方で、我が国は危機意識も強く持たずにほとんど無為に過ごして、国際的地位を決定的に下げてしまいました。このままでは、やはりこの国の未来は非常に危ないと思います。
 今、隣の韓国のサムスンが非常に幅をきかしていますけれども、このきっかけになったのは、実は東芝がギブアップした半導体に関するプロジェクトチームのほとんどを、彼らは五倍以上の給料で引き抜いたわけですね。私、一人だけ残った人のインタビューというのをテレビで見ましたが、彼も悩むんですけれども、ある先輩に相談して、どうしようかといったら、その先輩が、君の人生だから自分で決めるがいい、ただ君がそれだけの条件で韓国に行って、あの国の科学技術の発展とか基本的な半導体のプロジェクトに参加するのは君の人生の問題だが、そうすることで君は日本における友人を失うだろうということで、彼は翻然として決心を変えて、今、東北大学の研究所の教授をしていらっしゃいますけれども、これはそれぞれの人生の問題ですから、それをとやかくいう必要はないと思いますが、しかし、サムスンなるものの原動力というのは、実は日本の科学者のチームというのがつくったということを、私たちは忘れてはならないと思います。それがまさにグローバル化の時代の一つの表象かもしませんが。
 日本の存在感を取り戻すためには、何よりも教育の立て直しが急務だと思います。戦後続けられてきたこの横並びの教育を根本から改めて、個性と競争を重視し、この可能性を存分に発揮させる、そういう教育へと大転換をしなくてはならないと思っております。国際競争、国際関係の中で、ナショナルならざるものがインターナショナルたり得ない、これは当たり前のことでありまして、例えば、日本の浮世絵というものを、すぐれたセンシビリティーを、フランスの印象派のすぐれた絵かきたちのみが評価して、そのまねまでした。ゴッホは随分その模写をかいていますけれども。いずれにしろ、自分のよって立っている国を誇りとして、その心意気を世界に向けて発信できる真の国際人の養成に取り組まなきゃならないと思っております。
 最近の商社のある社長に聞きましたが、新人を採ってみて、君は将来どこの国に行きたいかといったら、私は外国に行きたくないと。一体商社に入ってそれじゃ何をするんでしょうかね。あるいはまた一つの例で、あるゼネコンの社長に聞きましたが、これはまたちょっと筋の違う話かもしれませんが、とにかくゼネコンに入って、君は、うちは土木と建築とどっちへ行くかといったら、私は企画をやりたいと。現場も知らない人間が企画なんかできるわけがないんで、その社長が慨嘆しておりましたけれども。いずれにしろ、次代をしっかり担う人材をどうやって教育していくか、育成していくか。この最も重要で基本的な問題を、これ以上私たちは先送りするわけにはいかないと思います。
 しかるに、地方自治体が頑張っても、大阪の橋下君も慨嘆していましたが、地方が画期的な教育改革をしようたって、これ文部省が許さない。その権限はあくまで文部省にある。その文部省は何をやりましたか。ゆとりの教育ってばかなことをやって、一年間であっという間に子どもたちの学力の低下を見せた。しかも、それを正式に取り消していない。公立の学校でも気のきいた学校は、これに反発して、土曜日の授業も平気でやりましたけれども、それをとがめる能力も文部省にはない。
 私たち、やっぱりこういった問題を基本的に考えて、この教育の改革というもののイニシアチブをだれがどうやってとるかということを本気で考えていかないと、私たちは大事な機会を国家として逸するのではないかという気がいたします。
 他の質問については副知事、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔副知事猪瀬直樹君登壇〕

〇副知事(猪瀬直樹君) 東京天然ガス発電所プロジェクトについてでありますが、東日本大震災を契機として、安定的な電力供給の前提が揺らいだことを受け、自立分散型エネルギー社会の創出という目標のもと、東京産電力三百万キロワット創出プロジェクトの一環として、百万キロワット級の天然ガス発電所の設置に取り組んできました。
 昨年八月以降、関係九局から成る東京天然ガス発電所プロジェクトチームにおいて、具体的な検討を行ってきたところであります。
 本プロジェクトの目的は、首都東京がみずから地産地消の東京産エネルギーの確保に取り組むこと、東電の老朽火力のリプレースに向けた先導的取り組みとして、エネルギーの高効率化やCO2削減に寄与すること、電力市場の課題を発掘し、真に自由化された電力市場の実現に向けた取り組みを国に対して提案要求すること、この三点であります。
 本プロジェクトとしては、まず、昨年九月に、発電所に適した土地の条件を整理するとともに、その条件を満たした都有地五カ所を選定、事業可能性調査を実施しました。
 その結果、五カ所のうち三カ所について事業成立の可能性があり、東電への売電を主としつつ、一定割合を新電力に売電するスキームが効率的かつ現実的であるとの結論に至りました。
 今後は、本調査を受け、三カ所の候補地周辺の自然環境調査に着手し、引き続き事業を推進していきます。
 また、本プロジェクトにおける発電事業には、新電力を経由した売電も念頭に置いていることから、東電の送配電網を利用する際に支払う託送料金の軽減など具体的提言を、先般、枝野経済産業大臣に行ったところであります。
 きのうきょうの新聞に、託送料金一〇%値下げというふうなものが報じられていたりして、背景はいろいろありますが、今後とも、本プロジェクトを東京モデルとして、東電改革につなげていくとともに、こうした機運を醸成するという、競争環境を整備していくなど、国に対しては、さらに規制緩和などの実現を強く迫っていくつもりであります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、専門高校の教育の質の向上についてでございますが、国際競争が激化し、若者の雇用が厳しさを増す中で、専門高校には、専門的な技術、技能を持った人材を育成し、生徒を確実に就職させていくことが求められております。
 このため、これまで企業の熟練技術者によるものづくり実習の指導、模擬株式会社の設置による商品企画や財務管理の実践、デュアルシステムの推進など、地元企業と連携した実践的な人材育成を展開してまいりました。
 今後は、学校全体として到達すべき技術、技能の水準を専門学科ごとに、産業やビジネスの社会で通用するよう高く設定いたします。その上で、生徒に将来の明確な目標を持たせ、その実現に必要となる高度な技術、技能の習得や有用な資格の取得を支援し、生徒の進路実現を図ってまいります。
 次に、専門高校と大学との連携、接続についてでございますが、専門高校は、高校で学んだことをもとに進学し、その専門性をさらに高めたいという生徒の希望にも的確にこたえていくことが必要でございます。
 このため、専門高校生の進学に当たりましては、高校で取得した専門の資格を生かした大学への推薦制度や、工業高校卒業後に都立産業技術高等専門学校四年次へ編入する制度を設けるなどして、専門高校から高等教育機関へ接続する取り組みを進めてまいりました。
 今後、大学のカリキュラムの基礎や導入部分として位置づけられるような授業を専門高校で展開するなど、高校で学習した成果を進学後に生かせる効果的な大学等との連携、接続のあり方について研究し、その成果を大学等に対して発信してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、キャップ・アンド・トレード制度を活用した再生可能エネルギーの利用拡大についてでございますが、この制度におきましては、グリーン電力証書を利用した再エネクレジットのほか、風力発電所等の電力を大規模事業所に直接送電し、削減義務の履行に利用できる、いわゆる生グリーン電力の仕組みを設けるなど、再生可能エネルギーの利用拡大を図ってまいりました。
 今後、生グリーン電力につきましては、再生可能エネルギーと高効率天然ガス発電による低炭素電力との組み合わせによって利用しやすくなるよう、年度内を目途に検討を進めてまいります。
 あわせて、再生可能エネルギー等による低炭素電力を供給する電力事業者を選択することが、削減義務の履行において大規模事業所のメリットになる仕組みについても検討を進めてまいります。
 これらを通じまして、キャップ・アンド・トレード制度による再生可能エネルギーのさらなる利用拡大を図ってまいります。
 次に、再生可能エネルギーの拡大に向けた国等への制度要求についてでございますが、都がこれまで導入を求めてまいりました固定価格買い取り制度は、本年七月からようやく開始されることになりまして、業種業態を超えて再生可能エネルギーによる発電事業への参入意欲が高まっております。
 今後、風力発電のように供給ポテンシャルが地域的に偏在する再生可能エネルギーのさらなる活用を実践するためには、送電系統の全国的な一体運用など、電力会社のエリアを超えた広域的な対応が必要になります。
 また、将来的には、現在、地域的な取り組みが始まっておりますスマートグリッドを発展させまして、系統全体で電力需要の変動に効率的に対応できる最適制御を実現することが必要でございます。
 都はこれまでも、国や東京電力に対しまして、系統電力の一体的な運用を求めてまいりましたが、今後とも、送電系統への再生可能エネルギーの優先接続や太陽光発電の大量導入時における配電網の強化等、再生可能エネルギーの活用促進に向けた積極的な取り組みを求めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、練馬光が丘病院の開設許可までの経緯と今後の都の取り組みについてでございますが、昨年九月に、練馬区が日本大学医学部付属練馬光が丘病院の後継運営主体を公益社団法人地域医療振興協会に決定して以降、都は即座に、大学、協会及び区に対し、医療安全を確保し、円滑に引き継ぎを行うよう開設直前まで繰り返し指導を行ってまいりました。
 また、事業を継承する協会に対しましては、地域医療を維持継続していくための診療体制の確保や病棟使用等に関する具体的な計画を事前に提出させ、確認の上、開設を許可し、開設後にも、病院の運営状況や医療安全体制に関する臨時の立入検査を実施し、指導を行っております。
 今後も、適切な医療が提供される体制を確保する観点から、定期的に計画の達成状況を確認し、必要な指導助言を行ってまいります。
 次に、小児救急医療体制についてでございますが、都はこれまで、区市町村が実施いたします小児初期救急医療事業に対する支援を行いますとともに、入院が必要な救急患者に対し、小児科医師が二十四時間体制で診療を行う小児の二次救急医療機関を五十施設確保してまいりました。
 また、重篤な小児救急患者を必ず受け入れ、高度な救命治療を行うこども救命センターを都内四カ所に整備し、三次の救急医療体制を確保いたしております。
 さらに、こども救命センターを中核といたしまして、地域連携会議や研修会の開催を通じ、地域の実情に応じた医療機関相互の連携体制を構築しております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、小児救急医療体制の確保に努めてまいります。
 最後に、地域における医療連携の推進についてでございますが、都は、患者の疾病や症状に応じて必要な医療を切れ目なく提供できるよう、がんや脳卒中等の疾病ごとに地域連携クリティカルパスの活用を促進するなど、地域の医療機関の連携体制構築を進めております。
 また、救急、小児、周産期など、広域的な医療連携体制確保が必要となる医療につきましては、二次保健医療圏等を単位として検討会を開催いたしまして、医療機関相互の実効性のあるネットワークづくりに取り組んでおります。
 さらに、医療機関に対し、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」により、各医療機関の診療科目や保有する診療機器など医療機関に必要な情報を提供いたしております。
 今後とも、これらの取り組みを通じて医療連携を推進してまいります。

議長(中村明彦君) 三十六番高倉良生君。
   〔三十六番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三十六番(高倉良生君) 初めに、防災対策について質問いたします。
 昨年の東日本大震災では、都内のターミナル駅を中心に大量の帰宅困難者が発生し、同時に都心に向かう車が集中して大渋滞を引き起こしました。首都直下地震等による東京都の新たな被害想定では、帰宅困難者は五百万人以上とされており、交通渋滞もさらに大規模になると想定されます。
 こうした事態において、極めて大切になるのが情報であります。
 ターミナル駅周辺には、仕事でその場所に来ている人、買い物や観光に来ている人など、たくさんの人がおります。それらの人に、周辺の一時滞在施設の位置や受け入れの可能性、備蓄品、列車運行の見通しなど、必要な情報を迅速的確に提供しなければなりません。
 最近は、スマートフォンと呼ばれる多機能な携帯電話を使う人が急増しております。専用のアプリケーションを用意すれば、必要な情報にたやすくたどり着けます。都交通局が運用している都営ナビがそのよい例であります。
 都は、帰宅困難者への情報提供の方策として、独自の専用アプリを作成し、多くの人が活用できるようにすべきと考えますが、見解を求めます。
 昨年の大震災では、都心の交通大渋滞が、緊急車両の通行の大きな妨げになりました。こうしたケースについても、情報提供は大切であります。交通規制の状況、道路の被害、道路沿いの建物の倒壊や火災の状況、交通混雑などの情報を適切に提供することで、ドライバーを安全に避難誘導し、渋滞を緩和させる大きな効果があります。
 都議会公明党は、昨年、第四回定例会で、ITS、インテリジェント・トランスポート・システムを活用した災害時の交通対策を提案いたしました。このITSを積極的に活用し、現在普及しているスマートフォンやカーナビを通じて、災害時の渋滞緩和に必要な情報、ドライバーへの避難誘導情報の提供を一元化すれば、これまでにない先駆的な事例になります。都の取り組みについて見解を求めます。
 次に、被災地支援について質問いたします。
 私は、ことし四月、福島市の弁天山公園で行われた除染ボランティアに参加し、くま手を使って公園斜面の落ち葉や腐葉土を取り除く作業に取り組みました。
 作業の後、地元の町会連合会会長が、帰ったら家族の皆さんや地域の皆さんに、福島の私たちは元気でやっていますとお伝えくださいと訴えておられました。福島を忘れないでほしいとの強いメッセージと感じました。
 福島県は、放射性物質による汚染と風評被害がいまだ復興の妨げになっております。被災地以外では震災記憶の風化さえ懸念されている中、改めて支援のあり方を考えさせられました。
 このような中、石原知事の発案で、福島県の裏磐梯で関東地方知事会が開催され、福島県に対する支援の決議が採択されました。その意義は大変大きいものがあったと思います。
 そこでまず、福島の復興に寄せる知事の思いについてお伺いをいたします。
 都は、福島支援に向けた新たなキャンペーン展開の第一弾として、島じまん二〇一二で福島県産品の販売を行ったと聞いております。福島県を応援していこうという都民の機運を高めていくには、民間団体とも連携し、息の長い取り組みをする必要があると考えますが、見解を伺います。
 福島県いわき市に、アクアマリンふくしまという環境水族館があります。津波で九割の生物が死に、生き残ったトド、セイウチ、アザラシなどの大型生物や他の小型生物が、都立葛西臨海水族園など全国七つの水族館、動物園に一時移されました。そして、その後、復旧、再開したアクアマリンふくしまへ無事戻っております。
 ことし二月、都議会公明党が復興支援に向けた調査で福島県を訪問した折、アクアマリンふくしまの副館長と意見交換をいたしました。その際、東京からの観光客、入場者数が減少しているというお話がありました。
 葛西臨海水族園では、震災後、アクアマリンふくしまの飼育生物の受け入れなどに協力をしてきたところでありますけれども、東京から再び多くの人がアクアマリンふくしまを訪れるよう、さらに応援を続けていく必要があると考えます。今後の取り組みについて伺います。
 また、都立水族園、動物園が被災したときに備え、全国の水族館や動物園と相互の支援協力体制を明確に構築しておくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 ところで、ことし三月、葛西臨海水族園のフンボルトペンギンが逃走し、八十二日間の逃亡生活の末、保護されました。生き延びるために、えさを求めて東京湾内を必死に泳ぎ回ったためか、胸の筋肉などが非常に発達したようであります。
 私は、スティーブ・マックイーンが出演した「大脱走」という映画を思い起こしました。一度に逃げた動物はまた逃げるとか、次は仲間を連れて逃げるといっている人もおります。
 せっかく有名になった脱走ペンギンでありますが、水族園では、三百三十七番という番号で呼ばれているようであります。逃走中、さまざまなところで発見情報が寄せられました。泳ぎ回った想定経路や想像される生活ぶりをパネルで紹介をするとともに、このペンギンに名前をつけ、葛西臨海水族園の新しい人気者になってもらってはいかがでしょうか、見解を求めます。
 次に、障害者施策について質問いたします。
 まず、介助犬の普及についてであります。
 介助犬とは、身体の不自由な人の手助けをするため、特別な訓練を積み、認定を受けた犬であります。ベッドに足をのせてくれたり、荷物を運んでくれたり、着がえを手伝ってくれたりします。
 日本に第一号の介助犬が誕生したのは一九九五年で、現在、国内で実際に働いている介助犬は五十八頭であります。
 世界で最も普及しているアメリカが数千頭規模、イギリスでも一千頭以上が活躍しているようであります。日本で介助犬を必要としている人は約一万五千人いると推計されていますが、介助犬の認知度はいまだ低く、普及も進んでいないのが現状です。
 今月、私は、山梨県内で開催された介助犬使用者のオリエンテーションに参加してまいりました。各地から参加した車いすの方々が、介助犬との触れ合いを楽しみました。このイベントを通じ、介助犬をふやすためには、犬の育成に必要な支援とともに、訓練施設の整備を進めることが必要であり、また、こうした普及イベントへの支援も必要だと感じました。
 今後、介助犬を初めとした身体障害者補助犬のさらなる普及を図り、介助犬の育成を推進する環境づくりを積極的に進めるべきと考えますが、答弁を求めます。
 次に、視覚障害者の選挙権行使のための情報提供について質問をいたします。
 文字情報に触れることのできない視覚障害者が、公職の候補者や名簿提出政党の政策、公約を知ることができるよう、各選挙管理委員会では点字や音声による選挙のお知らせ版を配布しています。
 総務省の会議体が、昨年三月、障害者の投票環境の向上に関する報告書を発表しました。この中では、今後の方向として、視覚障害者の状況に応じ、点字、カセットテープ、CDといった媒体のほか、音声コードつき拡大文字版を準備すること、さらに、選挙のお知らせ版は選挙公報の全文とすることを指摘しております。
 これから来年にかけ、国政選挙や都議選が相次いで実施されます。視覚障害者のために、選挙公報の全文を点字やCDにして配布することを標準化すべきであります。また、音声コードつき拡大文字版についても、音声コード読み取り機能つきの汎用携帯電話が普及し始めたことを踏まえ、実施を検討すべきと考えますが、答弁を求めます。
 次に、妊婦健診の未受診問題について質問いたします。
 この問題は、昨年の各会計決算特別委員会で取り上げました。その後、都は、周産期母子医療センターなどにおける未受診妊婦の状況について、周産期搬送コーディネーターによる搬送調整事例をもとに調査結果を公表しております。
 調査結果を見ると、未受診妊婦の中には、合併症として重症妊娠高血圧症候群が多いこと、また四人に一人が低出生体重児であることなど、母子ともにハイリスクな状況にあったことが明らかになっております。
 また、未受診妊婦は若年層が多いこと、七割が婚姻しておらず、また四割がパートナーと連絡がとれなかったこと、未受診の理由として経済的困難が比較的多いことなどから、背景には、若年層の望まない妊娠や、経済的な問題など生活上の困難を抱えた妊婦もいることが浮き彫りになっております。
 こうした妊婦を適切な支援につなげるためには、まず、悩みを抱えた妊婦が相談しやすいよう窓口を設置し、きめ細かく対応していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 最後に、指定管理者制度における適正な労働環境の確保について質問をいたします。
 各種民間調査機関によると、民間企業のこの夏の一時金は二年連続でマイナスになることが見込まれるなど、都内の民間企業を取り巻く雇用、経済情勢は厳しくなっております。
 また、東京労働局が公表した最近五年間の労働災害の発生状況を見ますと、建築工事や運送業などの危険業種に限らず、小売、飲食業などの第三次産業にまで広がっている状況があります。
 都は、公的施設の管理運営に民間の能力を活用する指定管理者制度を幅広く導入しておりますけれども、民間企業の労働環境をめぐるこうした課題の影響が都民サービスの低下につながるような事態は避けなければなりません。
 指定管理者制度における適正な労働環境を確保し、都民が安心して利用できるようにするためには、例えば、社会保険労務士などの専門家の知見を活用することも考えられます。
 そこで、指定管理者制度における適正な労働環境を確保するための取り組みについて見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 高倉良生議員の一般質問にお答えいたします。
 福島の復興についてでありますが、大震災の発生から一年余の歳月が経過しましたが、福島においては、いまだに原発事故に伴う放射能汚染やそれに伴う風評被害に苦しめられておりまして、動きの鈍い国の対応とも相まって、まことに気の毒としかいえない状況が続いております。
 東京は、これまで、福島から電力を仰ぎ、農林水産物など多くの供給を負うてきました。こうした恩に報いるためにも、都は、福島県に対して、行政実務にたけた職員の派遣や被災地応援ツアーを初めとする多様な支援を全力で行ってきました。また、先般、東京から呼びかけまして、福島の観光PRを兼ねて、関東地方知事会が福島県の裏磐梯で開催されました。会議では、福島県の復興が一日も早くなし遂げられて、日本の再生が果たされるよう、引き続き連帯して支援をしていくことを決議もいたしました。
 現地において、福島県の佐藤知事からは、こうした取り組みが風評被害の払拭につながり、県民に勇気と力を与えてくれるとの謝辞もありました。会議開催の意義は極めて大きなものがあったと思っております。
 都は、今後とも、幾多の苦難に呻吟しながらも、懸命に立ち上がらんとしている同胞への支援の手を緩めることなく、全国自治体の先頭に立って、本格復興に向けて福島がみずから踏み出す歩みを強力に後押ししていきたいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、葛西臨海水族園における福島県立福島海洋科学館アクアマリンふくしまを応援する取り組みについてでございますが、アクアマリンふくしまは、黒潮と親潮が出会う福島県沖の魚類の展示や釣り堀を併設した子ども体験館などが魅力の水族館でございます。
 平成十二年に葛西臨海水族園との間で友好提携を結び、平成二十年には、世界に二体しかない貴重なインドネシアシーラカンスの標本展示などを共同で実施しております。
 東日本大震災後は、被災によりアクアマリンふくしまが閉園していた平成二十三年五月から七月までの間、葛西臨海水族園として応援イベントを開催し、緊急保護として受け入れたウミガラスなどの生物の展示や被災状況のパネル展示などを実施し、支援してまいりました。
 今後とも、アクアマリンふくしまからの移動水族館の展示や年間を通したチラシの配布など、アクアマリンふくしまの魅力を多くの人々に伝える取り組みを行ってまいります。
 次に、都立動物園の被災時における全国の動物園、水族館との相互協力についてでございますが、全国の動物園、水族館と被災時の相互支援や協力体制を整えておくことは重要であると認識しております。
 都は、東日本大震災の際に、アクアマリンふくしまからの被災動物の受け入れ要請に基づき、いち早く受け入れと支援物資の輸送を開始いたしました。
 また、全国約百五十の動物園、水族館で構成する公益社団法人日本動物園水族館協会からの支援要請に対しまして、被災地の動物園、水族館へのえさなどの提供や輸送機材の貸与などを行いました。
 これを契機として、同協会では、災害時における動物の保護への関心を喚起するとともに、保護のための相互支援や輸送手続の簡略化などを関係機関に働きかけるとした決議を平成二十三年五月に行いました。
 この決議に基づき、国内の動物園、水族館との支援協力体制をより一層強化してまいります。
 最後に、保護されたペンギンについてでございますが、飼育している動物が脱出することはあってはならないと認識しております。
 平成二十四年三月に脱出したペンギンは、東京湾などで住民に目撃されたことやマスコミの報道により多くの関心を集めましたが、その後葛西臨海水族園が保護し、六月の七日から公開しております。
 今後は、生き物に対する理解を深めるため、このペンギンの東京湾での行動記録の紹介や、来園者から愛称をつけてもらう取り組みなどを通じまして、より多くの人々に親しまれる水族園を目指してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、帰宅困難者への情報提供の方策でございますが、大規模災害の発生時には、帰宅困難となった都民が、行政等が発信する多くの情報の中から、それぞれの状況に応じて必要となる情報を容易に収集できる仕組みをあらかじめ構築しておくことが重要でございます。
 このため、今後、スマートフォンを初めとする携帯端末やパソコンなどから、一時滞在施設の開設状況や鉄道の運行状況などの情報に簡易にアクセスできるアプリケーションソフトを作成し、広報紙による周知や訓練での体験を通じて、広く普及していくことで、災害時に都民が円滑に情報を得られる環境を整えてまいります。
 次いで、福島に対する支援でございますが、原発事故に伴う風評被害に今なお苦しむ福島の早期復興を図るためには、その払拭に向け、一大消費地である東京が率先して行動していく必要がございます。こうした観点から、都は、多くの都民に対し、福島の県産品と観光を効果的にPRする、ふくしま東京キャンペーンを新たに展開することといたしました。
 先月末に開催された島じまん二○一二での福島県産品の販売を皮切りに、来月中旬からは、JR秋葉原駅を初めとする駅構内での産地直売市を予定しております。
 また、鉄道事業者、金融機関等の民間団体や区市町村とも連携し、各種媒体を活用した観光PRや通信販売による福島県産品の消費拡大など、多様な取り組みを継続的かつ積極的に実施し、福島の復興を応援してまいります。
 最後に、指定管理者制度における適正な労働環境の確保についてでございますが、都民に安全で良質なサービスを提供するためには、適正な労働環境を確保することが重要でございます。そこで、都立施設の指定管理者には、各施設の設置条例において、労働基準法や最低賃金法など関係法令の遵守を義務づけております。
 また、これまでも、外部の専門家を含む委員会を設置し、指定管理者の選定に当たって人件費や人員配置などを含む事業計画を審査するとともに、毎年度の評価においても、法令の遵守状況や管理水準を満たした運営の履行状況などの確認を行っております。
 引き続き専門家の知見を活用しつつ、指定管理者制度における労働環境を適正に確保し、都民に安心で質の高いサービスを提供できるよう、必要な取り組みを行ってまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) ITS、すなわち高度道路交通システムを活用した災害時の情報提供についてでございますが、災害時の迅速的確な道路交通情報の提供は、ドライバー等の安全確保や救急車などの緊急車両の円滑な通行を確保する上で重要であると認識しております。
 都では、交通規制や火災の状況、駐車場の情報、また、自動車から発信される走行地点等を示す、いわゆるプローブ情報を利用した通行可能な道路の情報など、ドライバー等の避難などに役立つ、官と民が各機関、団体、企業等それぞれで保有する情報を地図の上に一元化して提供する仕組みにつきまして、大学などの研究機関、防災機関や民間事業者と連携し、検討を進めているところでございます。
 情報提供の手段といたしましては、スマートフォン等を活用した情報提供の仕組みの構築が有用であると考えており、来年十月に東京で開催されますITS世界会議で、それまでの検討の成果を紹介すべく取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、介助犬の育成に向けた環境づくり等についてでございますが、都は、身体障害者の自立と社会参加を促進するため、平成十六年度から身体障害者補助犬給付事業として、従来の盲導犬に加えまして、介助犬、聴導犬についても給付の対象といたしますとともに、身体障害者補助犬の役割や店舗などの受け入れ義務等について、リーフレットやポスター、ホームページ等を通じて普及啓発を図ってまいりました。
 しかし、お話のように、介助犬や聴導犬の認知度はいまだ低く、普及が進んでいない状況にございます。本年十月には、身体障害者補助犬法が施行十周年を迎えることから、都は改めて都民や商業施設、飲食店事業者等に対しまして、法の趣旨、内容について周知するなど普及啓発に努めまして、介助犬を含めた身体障害者補助犬の育成に向けた環境づくりにつなげてまいります。
 次に、未受診妊婦等への支援についてでございますが、区市町村では、保健センターなどで母子健康手帳交付時に受診勧奨を行うとともに、妊娠や出産に関する相談や指導を実施しており、福祉事務所等でも、妊娠中や出産後の生活相談に対応いたしております。
 また、都におきましても、妊娠、出産に係るさまざまな悩みについて、女性のための健康ホットラインや女性相談センターの電話相談窓口等において相談に応じております。
 今後も、区市町村と連携をしながら、健診の重要性の啓発に努めますとともに、医療機関において、早期の妊娠届け出の必要性や健診未受診のリスク等の説明、適切な相談窓口の紹介などが行えるよう、医師会や産婦人科医会との連携を強化してまいります。
   〔選挙管理委員会事務局長影山竹夫君登壇〕

〇選挙管理委員会事務局長(影山竹夫君) 視覚障害者の選挙権行使のための情報提供についてでありますが、都選挙管理委員会は、都知事選挙及び都議会議員選挙において、昭和五十年から選挙公報の全文点訳を実施しております。また、視覚障害者の中には、点字を読むことが困難な方も多いことから、平成十九年の参議院議員選挙からはカセットテープ版による選挙公報の全文音訳も実施し、昨年の都知事選挙では、加えて、CD版の作成、配布を行うなど、視覚障害者の利便性向上を図ってまいりました。
 今後、都が管理する選挙におきましては、汎用性が高く、迅速な提供が可能となるCD版の作成を推進し、区市町村選挙管理委員会などと連携して、希望者全員への配布を目指してまいります。
 また、音声コードつき拡大文字版についてでございますが、音声コード読み取り機能つき携帯電話が普及し始めたものの、文字数の制限などの課題もございます。引き続き、音声コードに係る技術革新や普及状況を踏まえ、導入に向けた検討を進めてまいります。
 今後とも、視覚障害者への選挙情報の提供の拡充や利便性の向上に努めてまいります。

副議長(ともとし春久君) 四十一番高橋信博君。
   〔四十一番高橋信博君登壇〕

〇四十一番(高橋信博君) 最初に、農林水産業の振興についてお尋ねいたします。
 まず、都市農地の保全について伺います。
 都民に新鮮な農産物を供給している都市農地は、この十年間で相続税の支払い等により、千代田区の面積とほぼ同じ約一千二百ヘクタールも失われてしまいました。この農地減少の主要因である諸制度を所管している国は、昨年になってようやく重い腰を上げ、都市農地の保全に向けた検討を開始したものの、いまだ道半ばで、先が見えない状況が続いております。
 こうした中、市街化区域内に農地がある都内三十八区市町村の首長は、都市農地保全推進自治体協議会を結成して、都市農地の保全に向けたさまざまな活動を行っています。来月には、都庁で、都と共催で都市農地保全自治体フォーラムを開催し、都市農地保全への決意を宣言し、国に対しても強く働きかけを行っていくと聞いております。
 このような都市農地を持つ区市町村の声を切実に受けとめ、国の動きを加速させて、貴重な農地を保全していくために、知事が先頭に立っていただきたいと切に感じております。
 そこで改めて、都市農地の保全について知事の所見を伺います。
 次に、多摩川の天然アユについてお尋ねいたします。
 さて、六月に入り、多摩川のアユ釣りが解禁となり、多くの釣り人が多摩川水系に訪れております。我が党では、これまでも江戸前アユの復活を強く要望しており、平成十八年ごろから天然アユの遡上数が毎年増加し、ことしは一千万尾を超える勢いと聞いております。
 しかし、そのアユも多摩川水系の約四十カ所の堰を上っていくうちに徐々に減少し、多摩川と秋川の合流点に位置する昭和用水堰で、アユの遡上割合は一%にも満たないとのことです。天然アユの価値はその香りが重要であり、水のきれいな上流域に数多く遡上させることが最も大切です。そのことにより、多くの釣り人や都民が川に集まり、地域振興にも多大な貢献ができると思います。
 そこで、天然アユの遡上を促進するため、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
 次に、東京の木、多摩産材についてお尋ねいたします。
 都がこれまで行ってきた多摩産材利用拡大の取り組みにより、生産量は年々増加してきており、これらの材の利用についても拡大を図っていかなければなりません。木材は、やわらかさや温かさ、湿度を調節するなど、人に優しい機能を有しており、幼児や高齢者に好影響を与えるといわれています。
 今後は、保育園や老人ホームなど社会福祉分野での活用が期待されます。特に地域の木材である多摩産材を活用することは、他県産材と比較して輸送に係る環境負荷が少ないだけでなく、多摩の健全な森林の育成にも貢献することから、東京の木をたくさんの人に使ってもらえるようにすることが重要です。
 そこで、多摩産材の利用拡大に向けた本年度の主な取り組みについて伺います。
 次に、第二十九回全国都市緑化フェアTOKYOについてお尋ねいたします。
 先月、私の地元小平市において、緑化の推進などを目的とする花いっぱい運動の全国大会が、多くの市民の参加により開催されました。私も、緑のまちづくりの重要性を再認識したところでございます。
 さて、緑と花の一大イベントとして、九月二十九日から三十日間開催される第二十九回全国都市緑化フェアTOKYO開幕まで百日余りとなりました。三鷹の森ジブリ美術館南側の区域の一部が追加開園した井の頭公園恩賜公園や上野恩賜公園などメーン六会場にとどまらず、市区町村の公園や都立公園、民有地の緑のほか、道路の街路樹や河川の緑も含めて、緑のつながり、広がりを体感、発信するフェアにしていくと伺っており、大いに期待しております。三月末には、緑化フェアの実施計画が策定されたと聞いておりますが、どのような緑と花のイベントとなるのか、具体的な実施内容について伺います。
 また、先月、風評被害に苦しんでいる福島を応援するため、緑化フェアの場を活用して、桜の交流プロジェクトを実施することも公表されました。今からちょうど百年前の一九一二年、当時の尾崎行雄東京市長が贈ったワシントンDCのポトマック河畔に植えられた桜は、日米友好のシンボルとして親しまれております。今回の桜の交流プロジェクトは、福島と東京のきずなを一層強化し、観光振興の観点でも進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩四百万都民の安全・安心の確保の観点から、多摩地域における流域下水道の取り組みについてお尋ねをいたします。
 先般、東京都防災会議より、東京都の新たな被害想定が報告され、立川断層帯地震の被害想定が盛り込まれるなど、多摩地域においても、災害時に都民生活を守り、都市機能を維持していくための高度防災都市づくりは、大変重要な課題となっております。
 多摩地域の流域下水道では、阪神・淡路大震災で下水処理場が被災し、処理機能が停止したことを教訓として、多摩川を挟む二つの水再生センターを連絡管で結ぶ整備を進めており、先見性のある取り組みとして大いに評価しています。
 この連絡管は、一方の水再生センターが被災した際にも、下水や汚泥を処理することができるバックアップ機能を持ち、東日本大震災を受け、その必要性はますます高まっています。
 そこで、流域下水道における連絡管の整備について、これまでの具体的な成果と今後の取り組みについて伺います。
 また、私の地元である小平市には、ふれあい下水道館という下水道施設を活用し、大きな下水道管の中に直接入り、下水道の仕組みや大切さを学べるPR施設があります。連絡管のような全国でも先見性のある取り組みについては、広く都民に紹介し、下水道の機能や防災対策などの理解を深めるべきであると考えます。
 そこで、連絡管を活用したPRの取り組みについて伺います。
 次に、水道事業についてお尋ねいたします。
 先月、利根川水系で水質事故がありました。報道によれば、埼玉県や千葉県の一部の浄水場では、水道水から国の基準を超えるホルムアルデヒドが検出され、河川からの取水を一時停止しました。特に野田市や柏市などでは、長時間にわたり断水が発生し、市民生活に大きな影響を与えました。東京都でも三郷浄水場の送水を停止しましたが、これにより供給能力が不足し、重大な影響が出る可能性もあったと聞いております。
 今回の水質事故は、塩素処理によってホルムアルデヒドとなる物質が河川に排出されたことが原因であるということですが、このような事故に対しては、迅速な対応と再発防止に向けた対策の構築が重要であると考えます。
 そこで、今回の水質事故に際して、東京都の対応について具体的に伺います。
 今回は、都内において断水などの被害は何とか回避できましたが、首都東京で一たび大規模な断水が起これば、都民生活や都市活動に与える影響ははかり知れません。さらに将来に目を転じれば、こうした水質事故だけにとどまらず、気候変動や大規模な災害の発生など、水道事業に深刻な影響を及ぼしかねないさまざまなリスクが数多く想定されます。首都東京を支える基幹的なライフラインとして、こうしたあらゆるリスクに対する備えを万全にする必要があると考えます。
 そこで、あらゆるリスクに備えるための今後の施設整備について伺います。
 次に、多摩地域の発展と安全に欠かすことができない小平三・二・八号府中所沢線の整備についてお尋ねをいたします。
 さきの東日本大震災では、人命救助や緊急物資の輸送などに道路ネットワークが重要であることが再認識されました。それを教訓として、災害時に都市の交通機能を維持するため、道路ネットワークをさらに充実させていくことが不可欠であると考えます。
 現在、骨格幹線道路の整備が重点的に進められておりますが、その中でも、主要な幹線道路である府中所沢線は、地域の防災性の向上のためにも必要不可欠であります。私の地元である小平市内では、五日市街道から青梅街道までの区間が未着手で、府中所沢線の重要性や隣接区間の事業の進捗状況をかんがみますと、この区間の早期整備が必要と考えます。
 さきの予算委員会で、平成二十五年度に事業に着手すると伺ったところであります。おくれることなく予定どおり事業に着手していくには、現在、手続中の都市計画変更を着実に行うことが重要です。
 そこで、府中所沢線のうち五日市街道から青梅街道までの区間における都市計画変更の見通しを伺います。
 次に、連続立体交差化計画についてお尋ねをいたします。
 平成十六年度に都が策定した踏切対策基本方針では、鉄道立体化の検討対象区間が二十区間選定され、その後、先ほど触れた府中所沢線と交差する西武新宿線などについて、連続立体交差化の都市計画等の手続が進められていると聞いていますが、その取り組み状況について伺います。
 私の地元小平市においては、西武新宿線小平駅周辺で北口のまちづくり協議会が立ち上がるなど、まちづくりの機運が高まっており、これを機に、重点踏切が複数存在する小平駅付近も鉄道を立体化できないかという声が地元から出ています。踏切対策基本方針では、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられていないことから、都の前向きな取り組みを要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 高橋信博議員の一般質問にお答えいたします。
 都市の農地の保全についてでありますが、都市農地は、農業生産の基盤としてばかりではなく、いざというときの避難場所や都市の潤いの確保など、さまざまな機能を持つ都民の貴重な財産であります。都が行ってきたアンケートでは、都民の八五%が、東京に農業、農地を残したいと望んでおります。しかし、税制を初め、国の都市農地の保全に向けた政策転換は、まことに遅々としておりまして、こうした間にも農地が減少し続けることは看過できない問題であると思います。
 都市の中で、農業、農地が大きな役割を果たしていくためには、国が都市農地の役割と重要性をしっかりと認識し、速やかに実効性ある保全策を講じていく必要があります。
 今後とも、区市町村とともに、都市農地の保全を強く国に求めていきますが、また貴重な都市農地で農業が継続できるように、農業者をしっかりと支えて、都独自の取り組みも進めていきたいと思っております。
 これは、本当は、肝心の国の役人が、とにかくその現場へ来て見る、東京を歩いてみるとわかることなんですけれども、国会を構成している国会議員もみんな地方から来ている人ですし、とにかく国の役人というのは絶対に現場を見て回らない。この通弊というものがこの問題の解決をおくらせていると思いますし、何とか、どういう局、どういう省のどういう人間を連れていくか、私も研究しますけれども、ともかく、国の役人が一向に現場を見ないという、この通弊というものが非常に悪い形であらわれているのがこの問題だと思っております。何とか努力して、国のしかるべき官僚を現場に引き出して、何というんでしょうかな、彼らもどこに住んでいるかわかりませんけど、この問題を実感として味わわせることが必要じゃないかと思っております。
 残りの問題については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、全国都市緑化フェアの具体的な実施内容についてでございますが、二十一世紀にふさわしい、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の創造を加速させるとともに、被災地に支援の輪を広げるフェアとするため、上野恩賜公園では、東北の稲や野菜、果樹などで構成する東北「農」の庭を展示し、日比谷公園では、復興への願いを込めた一万人のメッセージガーデンを来場者の参加により制作いたします。
 さらに、井の頭恩賜公園では、最新の緑化技術を体験していただくため、畳約六百畳の大温室の天井一面から圧倒的なボリュームの花々が頭上を覆う花の庭など、さまざまな庭園群を展示いたします。
 日本有数の大名庭園である浜離宮恩賜庭園では、これまで継承されてきた江戸の庭園技術や園芸文化を伝えるため、庭園都市江戸東京館を設置するなど、それぞれ特色ある会場づくりを行ってまいります。
 また、緑あふれる東京を強く全国に発信していくため、例えば、都心の緑を公園や民有地、街路樹や河川などで体感できる多様なツアーを実施するほか、東京駅周辺の行幸通りと丸の内仲通りで、民間事業者とともに緑と花のイベントを展開してまいります。
 次に、桜の交流プロジェクトについてでございますが、被災地福島を応援するキャンペーンの一つで、緑化フェアの場を活用して募金を募り、桜を互いに贈り合う取り組みでございます。
 都からは、江戸東京にゆかりのある桜、ジンダイアケボノやコマツオトメなどの苗木を、三春町や裏磐梯の北塩原村などに贈り、新たな桜の名所といたします。一方、福島では、宇宙を旅しましたミハルタキザクラの種を地元の小学生が育てておりまして、この貴重な苗木を井の頭恩賜公園に植樹し、復興を願う東京のシンボルの一つとしてまいります。こうした取り組みを通じて、福島の観光振興にも寄与するとともに、桜の成長を見守りながら、福島と東京のきずなを一層強めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、天然アユの遡上についてでありますが、都は、これまで多摩川のアユの遡上数を増加させるため、堰に魚道を設置するほか、カワウなどからの隠れ場や産卵場の造成などを行ってまいりました。また、国や関係機関と連携しながら魚道管理連絡会を設置し、既存の魚道を常に機能させるように取り組んでおります。こうした中、水質改善の効果も加わり、アユの遡上数は、平成二十二年度の二百万尾から平成二十三年度七百八十万尾に増加し、今年度は一千万尾を超える勢いでございます。
 今後の課題として、アユのにおいの改善が残されており、そのために、水のきれいな多摩川上流域へ遡上するアユの数を増加させることが必要であります。こうした取り組みを進め、地域の産業振興に結びつけるとともに、都民に恵みをもたらす豊かな川の実現を目指してまいります。
 次に、多摩産材の利用拡大についてでありますが、都は、これまでスギ花粉発生源対策事業による木材の切り出しや林道等の基盤の整備に取り組んでまいりました。こうした取り組みによりまして、平成二十三年度の多摩産材の原木出荷量は、多摩産材の認証を開始した平成十八年度の五倍近い約一万三千立方メートルに増加しております。こうした中、多摩産材のさらなる利用の拡大を図る上で、その知名度と品質の向上が重要であります。
 そこで都は、知名度を高めるため、魅力ある多摩産材製品の開発や効果的な普及策を公募するなど、民間のアイデアを活用する事業を実施するとともに、社会福祉法人などを対象として、多摩産材の導入効果などをPRするシンポジウムを開催いたします。
 また、品質の向上を図るため、公共施設等の整備で求められることが多いJAS認定の取得に要する経費の二分の一を製材業者等に助成いたします。
 今後とも、こうした多面的な取り組みをより一層進め、多摩産材の利用拡大を図ってまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、流域下水道における連絡管のこれまでの成果と今後の取り組みについてでございます。連絡管は、施設の更新や維持管理の効率化と震災時のバックアップ機能の確保を目的として整備をするものでございまして、全国でも先駆的な取り組みでございます。
 既に、多摩川上流水再生センターと八王子水再生センター間は、平成十八年度から稼働しておりまして、下水や汚泥を相互融通することで、設備の補修工事などを効率的に実施をしております。
 昨年の計画停電の際には、汚泥処理が停止をいたしました八王子水再生センターから対岸の多摩川上流水再生センターに汚泥を送ることによりまして、処理に支障を来すことはございませんでした。
 二本目となります北多摩一号水再生センターと南多摩水再生センター間では、既にトンネル工事は完了いたしまして、現在、送泥管などの敷設工事や関連する設備工事などを実施しておりまして、今年度の完成に向け、鋭意整備を進めているところでございます。
 また、三本目の北多摩二号水再生センターと浅川水再生センター間につきましても、今年度工事に着手をいたしまして、早期の完成を目指してまいります。
 次に、連絡管を活用したPRの取り組みについてでございます。下水道の機能や防災対策について、広くお客様、都民の皆様にご理解していただくことは大変重要でございます。これまで稼働中の連絡管において、夏休みに、地元の子どもたちを対象にした施設見学会を開催いたしまして、実際に連絡管の中を歩いてもらうなど、下水道の役割や大切さについて理解を深める取り組みを進めてまいりました。
 現在建設中の北多摩一号と南多摩の両水再生センター間を結ぶ連絡管では、工事見学会を開催をするほか、さらに新たな取り組みとして、下水と汚泥が流れる様子を直接見ることができる配管の導入を行うこととしております。
 また、この連絡管の三十メートルに及ぶ深さや連絡管の上にある多摩川や鉄道の位置がわかるような表示を行うなど、延長が三・三キロメートルにも及ぶ連絡管の規模を実感しながら、連絡管の目的や機能をわかりやすく伝えられる工夫をしてまいります。
 今後も、さまざまな機会をとらえ、ふだん目に触れる機会が少ない下水道について、建設段階から工夫を凝らした整備を行い、積極的なPRを推進することで、広くお客様、都民の皆様にご理解を深めていただくよう取り組んでまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、今回のホルムアルデヒドに際しての対応についてでございます。ホルムアルデヒドとなる原因物質は、高度浄水処理により除去可能であるものの、事故発生時には、三郷浄水場は工事のため高度浄水施設を停止しており、十分な処理を行うことができませんでした。
 そこで、万全を期すために、三郷浄水場の送水を停止し、他の浄水場の処理能力を最大限増強するとともに、送水管ネットワークを活用した系統変更を行うなど、総力を挙げて対応した結果、辛うじて断水の発生を避けることができました。
 しかし、気温が上昇し、水需要がふえれば、断水の発生するおそれがあったほど切迫した状況にございました。
 今回のような水質事故は、広域的に重大な影響を与えることから、都が中心となって利根川、荒川水系の四十三団体の水道事業者で構成される連絡協議会といたしまして、国や排出事業者に対し、再発防止の緊急要望を行ったところでございます。
 次に、今後の水道の施設整備についてでありますが、今回の水質事故が、浄水場施設の工事中に発生しましたように、今後は、大規模な水道施設が更新時期を迎える中にあって、未知の物質の脅威や気候変動の深刻化、さらには切迫性が指摘される首都直下地震など、さまざまなリスクが複合的に発生することも考慮しなければなりません。このため、バックアップ機能のかなめとなる施設能力のさらなる増強や管路のネットワーク強化などの施設整備は、まさに急務でございます。
 水道局では、本年三月に策定した施設の再構築基本構想において、このようなリスクに対する整備方針を明らかにしており、今後、あらゆるリスクに直面しても、水道システム全体で対応できるよう、総合的な取り組みを着実に進め、より安全度の高い水道を構築してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、府中所沢線の都市計画変更の見通しについてでございますが、府中所沢線は、多摩地域の交通の円滑化や都市間連携の向上に資する道路ネットワークを形成するとともに、震災時には、緊急物資等の輸送路となり、防災性の向上にも寄与する南北方向の重要な路線でございます。
 お話の五日市街道から青梅街道までの区間につきましては、ことし四月に、環境影響評価書案に係る見解書を提出したところであり、引き続き、環境影響評価とあわせ、都市計画の手続を着実に進め、年内の都市計画決定を目指してまいります。
 今後とも、多摩地域のさらなる自立、発展のため、関係機関と連携を図りながら、都市計画道路ネットワークの形成に向け、全力で取り組んでまいります。
 次に、連続立体交差化の都市計画の取り組みについてでございますが、都は、平成十六年度に踏切対策基本方針を策定し、鉄道立体化の検討対象区間二十区間を選定いたしました。このうち鉄道と交差する都市計画道路の整備計画が具体化するとともに、沿線まちづくりの取り組み熟度が高い箇所について、順次都市計画等の手続を進めてまいりました。
 具体的には、西武新宿線東村山駅付近と京王線笹塚駅から仙川駅間は、本年十月にも都市計画決定を行う予定であり、昨年八月に都市計画決定を行った西武新宿線中井駅から野方駅間は、今年度事業認可を取得する予定でございます。
 今後とも、関係機関と連携を図りながら、都市計画等の手続を進めるなど、連続立体交差化の早期実現に向け積極的に取り組んでまいります。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十六分休憩

   午後三時四十五分開議

〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十七番伊藤まさき君。
   〔七十七番伊藤まさき君登壇〕

〇七十七番(伊藤まさき君) 「疎開の婦女子子供等一八〇人を乗せた輸送船二隻は昭和二十年六月三十日石垣港発台湾に向かう途中七月三日 敵機の銃撃を受け一隻は沈没した 当時遭難した人々及び辛うじて尖閣群島に辿りつき同島で死亡した人々の霊を慰めるためにこの碑を建てる」、これは昭和四十四年、魚釣島に建立された慰霊碑の碑文です。
 しかし、今現在、遺族が強く望んでいるにもかかわらず、魚釣島での慰霊祭は行えない状態が続いております。歴代政府は、中国などに気兼ねし、いかなる理由でも上陸を認めていないからであります。歴代政府は、この地域には領土問題は存在しないといいながら、人間として当たり前の、死者を弔い、その死を悼むという心情を無視し続けております。
 私は、今、尖閣諸島に対し、地元の方々がどのように思っているかを直接聞くべく、先週、石垣市に行ってまいりました。沖縄県八重山農林水産振興センター、石垣市役所、竹富町役場、八重山漁業協同組合を訪問し、率直に意見をお聞きしてまいりました。
 これまで歴代政府にさまざまな要望をしてきたが、聞き入れられたのはごくわずかで、中国漁船の衝突事故以来はさらに国の対応が硬直化している。尖閣の購入については、国が本来きちんと対応すべきだが、国が当てにならない以上、都がやってくれるのならば、それに期待し、協力していくと、国へは失望と怒り、都へは強い期待があることがよくわかりました。この期待に首都東京としてしっかりこたえていかなくてはならないと決意を新たにしてまいりました。
 昨年の第三回定例会で、私は、海底資源の開発を初め海洋政策の推進について質問してまいりました。知事からは、国が重い腰を上げるのであるならば、都としてこれに協力することはやぶさかではありません、極めて重要な日本の海洋資源を守るために、あなたが本当に頑張って国を実際に動かしていただきたいとのありがたい答弁をいただきました。尖閣の購入については、この答弁を一歩も二歩も進めた積極的なもので、海洋政策を推進している私としては、大いに賛同するものであります。
 以来、会派でも勉強会を開催し、ことし第一回定例会で、くりした善行議員もこの問題を取り上げました。
 国への働きかけを行った結果、今年度予算編成の目玉とされた日本再生重点化措置という特別枠に、レアメタルなど資源権益の獲得等に約四百六十億円の予算が盛り込まれました。
 一月の改正鉱業法施行では、海底の石油や天然ガスの開発において国が開発業者を選定できる規定が盛り込まれ、さらに、外国船などによる違法な海底探査活動を規制することも可能となりました。
 三月には、EEZを根拠づける離島に名前をつけ、所有者のいない離島二十三カ所を国有財産として登録をいたしました。
 四月二十七日には、我が国がかねてから大陸棚の延伸を主張してきた小笠原諸島近くの海域など七カ所、計七十四万平方キロメートルのうち、四カ所、計三十二万平方キロメートルが新たに日本の大陸棚と認められました。
 来年の初頭には、世界初となるメタンハイドレートの試掘が南海トラフで行われる予定となっております。
 このように、国もその重い腰を上げつつありますが、領土、領海を何が何でも守るという決意と行動が、これまでの国には欠如しているといわざるを得ません。
 石原知事が尖閣諸島を購入すると決意されたことは、こうした状況に一石を投じ、多くの方々に希望を与えているのは間違いのない事実であります。現に、多くの都民、国民からの激励だけでなく、十一億円を超す寄附金が寄せられていることからも明らかであります。
 しかし、都が尖閣を購入することに反対ないしは慎重な意見を持つ都民に対し、購入することの意義を説明しなければなりません。さらに、大きな期待を受けて尖閣を購入した後のことについても、入念な準備をしていかなくてはなりません。
 幸いなことに、尖閣諸島には海底油田があることが確実視され、豊穣な漁場を有しております。これら有望な海洋資源の開発を都がサポートしていくことは、国益にかなうだけでなく、都民へもわかりやすい恩恵を与えることができます。
 現在、尖閣諸島の海域において、盛んに漁をしているのは外国の船だそうであります。外国の漁船は二十トンから三十トンクラスの大型船ですが、八重山漁協の漁船は五トン以下の小さな船なので、天候の変わりやすいこの海域での漁は、安全面でかなりの障害になっているようです。
 魚は豊富に存在しているのはわかっているので、漁に出たいのはやまやまなのですが、最低三日間はなぎの状態でなければ漁に出られないそうです。その結果、外国の漁場と化してしまっております。
 尖閣諸島に、海が荒れたときの一時避難のための水深三メートル程度の簡易な港、近隣の天候状況をリアルタイムで計測する気象観測所、無線の中継施設などを設置できれば、だれにいわれなくても漁師は迷わず尖閣付近で漁をするということです。
 海底油田については、既に確立された技術がありますので、探査さえ行えれば、開発はそれほど難しくはありません。
 尖閣を購入することの会派の是非はまだこれからでありますが、国益を守るため、海洋資源の開発のために、私個人としては大いに賛成し、これを精力的に進めていく立場から、以下質問並びに提言いたします。
 まず、知事に伺います。
 尖閣購入に当たり、これまでどのように取り組み、そして今後どうしようとしているのか、決意も含めてお聞かせください。
 領海、領土を守るのは本来は国の責任であります。都が尖閣を購入した後、国が本来の責任を果たすよう国に働きかけをすべきと考えます。沖ノ鳥島、南鳥島は両島とも、EEZの設定や資源開発に関係する離島を政令で指定し、国が護岸工事等の港湾施設の建設、管理等を行うとされている特定離島に指定をされております。今後、国へはどのように働きかけを行うのか所見を伺います。
 都から約二千キロ離れた離島を買って、都が責任を持ってできることはあるのかという疑問があります。都庁から沖ノ鳥島まで千七百三十三キロ、南鳥島まで千八百六十一キロと、ほぼ同じ距離です。都のこれまでの取り組みを十分生かせると考えます。
 我が国を取り巻く政治状況は、近年、厳しさを増しつつあり、領土問題において国が十分に対処できていないと多くの国民が憂慮している今このとき、海洋政策を実行できる都が明確な意思を持って、国が役割を果たせていないことにコミットしていくことは、首都として当然の責務です。
 そこで、知事に提案します。
 伊豆・小笠原諸島とともに尖閣諸島も視野に入れた都独自の海洋基本計画を策定すべきです。国において海洋基本計画を本格的に現在見直しております。自治体の海洋基本計画は、石垣市の隣の竹富町が我が国で初めて昨年策定しておりますし、石垣市においても現在策定中です。こうした先行事例を参考にしながら、都としての基本政策を明確にし、海洋政策を着実に進めることは、地元自治体と連携を図るためにも、都民への説明責任を果たすためにも必要と考えます。所見を伺います。
 海底資源の開発には莫大な資金がかかり、それが調査の障害となっております。例えば地球探査船「ちきゅう」で実際探査を行うと、約百五十人の人員、燃料費、さまざまな実験機材など莫大な経費がかかります。
 しかし、それに革命を起こす発明が現在進行中であります。それは、「江戸っ子一号」開発プロジェクトです。私の地元葛飾、杉野ゴム化学工業所が中心となり、下町の蓄積された技術を活用し、ガラスの球体に3Dカメラやさまざまな計測機器を入れた簡易型の海底探査機です。八千メートルの海底に潜れ、ソニーの最新技術で鮮明な映像を録画することができ、さらに、何度も使用することができるすぐれものです。実証実験を既に終え、ことしの年末には試作品をつくり、来年度中には商品化する予定で着実に開発が進んでおります。
 都の所有する船でも、海底資源調査を安価に行うことができます。都内町工場の支援のためにもつながり、まさに一石二鳥です。ぜひ「江戸っ子一号」を活用し、伊豆、小笠原諸島だけでなく、尖閣諸島で都独自の調査を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 ことし二月に、都のEEZをすべてカバーできる最新鋭の広域漁業調査船「みやこ」が竣工しております。高性能の計測機器を持ち、水深千メートルまでの水中映像を記録でき、厳しい状況下でも安全に航行できる能力を持っており、その活躍に期待をしております。
 現在の活動状況、並びに今後は尖閣諸島でも調査活動を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 海洋政策を力強く推進していくためには、都民の十分な理解と協力が必要であります。国の海洋基本法の第二十八条では、学校教育及び社会教育における海洋に関する教育の推進がうたわれております。海洋政策研究財団が平成二十一年にまとめた二十一世紀の海洋教育に関するグランドデザインで、海洋教育に関する具体的なカリキュラムや単元計画が示されております。こうしたものを活用し、都内小中学校でより活発に海洋教育が行われるようにすべきと考えますが、所見を伺います。
 クルーズ客船の寄港は、寄港地に大きな経済効果をもたらし、島しょ産業振興のためにも有効と考えます。一回の寄港により数千万円の経済効果があるともされております。離島観光復活の切り札となる可能性を秘めていると考えます。
 都では、今年度から新たに補助制度を創設して、クルーズ客船を伊豆、小笠原諸島に積極的に誘致をしております。昨年、小笠原諸島が世界遺産登録されたタイミングであり、時宜を得た政策と考えます。現在の状況と今後の取り組みについて所見を伺います。
 現在、日本の離島は七千近い数に上ります。これまでは、国が特別法を施行し、財政的支援を行い、港湾施設などハード面の整備に力を入れてまいりました。しかし、産業は衰退し、自立が難しくなってきております。
 隣接する地域間での連携をする動きはあるようでありますけれども、全国レベルでの自治体間の連携する仕組みが不十分であると考えます。
 そこで、さまざまな問題を抱える離島の自治体に働きかけ、離島サミットを開催するなど、都が主導し、自治体相互の連携を強化する取り組みをすべきと考えますが、所見を伺います。
 石垣市を訪れた際、こんなエピソードを聞きました。観光に来られていたお年寄りがつえをつきながら、これを尖閣諸島のために使ってくださいといって、現金を市役所に届けに来てくれたそうです。聞けば、年金で生活をされているという滋賀県から来たお年寄りが、その限られた旅行費を削って寄附をしてくれたことが先月あったそうです。これを聞き、私も胸が熱くなりました。それを一つのきっかけとして、先日、石垣市でも寄附金を募り始めたそうです。
 知事の投じた一石が日本全国に、今、大きなうねりを起こしています。私も、東京の一地方議員として最大限の努力をすることをここに決意して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 伊藤まさき議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、尖閣諸島の購入についてでありますが、歴代の政権は、アメリカ依存の平和の中でみずからを守るという当然の行為を怠ってきました。外交を他国と事を構えないための技術と勘違いし、時には相手にこびへつらいながら、結果として、この国の国益を損なってきました。そして、シナが日本の実効支配を打破すると声明している今、一刻も早くこの島々の所有を個人から公に切りかえ、その安定を図らなければならないと思いました。
 都は、東京のため、都民のため、そして日本のために施策を実行すべく、尖閣諸島の購入を決断いたしました。直ちに購入、活用に向けての専管組織を立ち上げまして、近々、東京みずからも船を仕立てて必要な調査を行うつもりでもあります。
 東京が起こした行動に対して、全国から国家への熱い思いが集まり、拠金は十一億を超えております。こうした国民の思いは、我が国を救う大きなよすがになると思います。
 今後、できるだけ早期にこの購入を果たしたいと思います。そのためにも、ひとつ伊藤さんも多大な献金をお願いしたいと思います。
 次いで、尖閣諸島を視界に入れた海洋計画についてでありますが、都は、沖ノ鳥島周辺での漁業活動の振興のほか、世界自然遺産に登録された小笠原諸島における自然保護など、荒廃した尖閣諸島を蘇生させ、国土保全につなげるためのさまざまなノウハウを持っております。このノウハウを十全に発揮するためにも、まずは、あくまで地元自治体である石垣市や沖縄県と連携しながら、この島々の活用方策を検討していくことが肝要であると思います。
 今、沖縄の非常に矮小な漁船の航行能力について付言されましたが、そういう漁船を守るためにも、例えば、南小島と北小島の間にある、満潮になれば潮をかぶりますけれども、普通は浮き上がっている浅い岩盤は、あれは北側といいますか、西側にテトラを積んで防波堤をつくれば、日本の今の技量をもってすると簡単に大きな船だまりはできると思います。そういうことも、これから積極的に考えていきたいと思います。その調査もしたいものだと思っています。
 今後、地元自治体との議論も深めて、豊穣な海や豊かな自然など、この島々の特徴を生かした具体的な活用方法を練り上げていきたいと思っております。こうした取り組みを通じて、東京の、ひいては日本の海を守り、その恵みを都民、国民に還元していくとともに、日本の実効支配の強化に結びつけていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 小中学校での海洋に関する教育についてでございますが、四方を海に囲まれた我が国にとって、児童生徒が海洋について正しく理解し、認識を深めることは意義あることでございます。
 現在、小中学校では、社会科や理科などの教科におきまして、大陸と海洋の分布や海洋が気候に与える影響等について学習しております。また、小学校の中には、東京港の見学等を通しまして、港湾の働きや我が国の貿易の様子について学んでいるところもございます。
 このような教科の学習に加えまして、総合的な学習の時間においては、海洋に関する調査や体験活動等を実施している学校もございます。
 今後とも、都教育委員会は、学習指導要領及び東京都の実態を踏まえまして、各教科等における海洋との関連を図った学習について研究してまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、尖閣諸島の特定離島の指定についてでございますけれども、我が国の広大な排他的経済水域や大陸棚には、豊富な水産資源、多様なエネルギー、鉱物資源が存在しております。排他的経済水域等を適切に保全し、その権益を確保するためには、いわゆる国境離島の維持保全を強固にしていくこと、これが都民生活や東京の都市力の維持発展にとっても極めて重要なものだと認識をしております。
 都はこれまで、沖ノ鳥島周辺での漁業活動を振興するなど、我が国全体のおよそ四割を占める排他的経済水域等の保全に資する取り組みを推進してまいりました。こうした都の動きをも受けて、国は新たな法律を制定し、沖ノ鳥島に加えて南鳥島を排他的経済水域等の保全拠点である特定離島に指定したところでございます。
 この法律の規定によりますと、尖閣諸島の指定につきましては、地元沖縄県などの意見を聞いて国が判断することとなるため、都といたしましては、石垣市や沖縄県とも連携し、活用方策の検討を進める中で、必要に応じて協力をしてまいります。
 次に、海底探査機を活用した海洋調査についてでございますが、我が国の広大な排他的水域や大陸棚に存在する多様で豊かな海底資源や水産資源、この活用を進めていくためには、海洋調査を効果的に行う技術の開発が重要だというふうに考えております。
 お話の簡易型の海底探査機「江戸っ子一号」は、優秀な技術を持つ東京の下町の町工場三社が参画し、来年度の実用化に向けて開発に取り組むプロジェクトであるというふうに認識をしております。
 都としては、海底資源のみならず、水産資源を含めた海洋調査を効率的、効果的に行うための技術開発の動向を今後とも注視してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 都の漁業調査指導船についてでありますが、都は本年二月、漁業調査指導船「みやこ」を更新いたしました。現在、新しい「みやこ」は、大島の波浮港を基地として、都の主要水産物であるキンメダイやトビウオなどの資源管理型漁業を推進するために必要な生態調査等を行っております。こうした調査活動は広範囲にわたりますが、いずれも漁業法等に基づき各都道府県が定める漁業調整規則に従って実施しております。
 お話の尖閣諸島周辺海域は、沖縄県が管轄する海域でありまして、都による島の購入はこの海域の取り扱いを変えるものではないことから、調査活動を行います場合は、沖縄県や地元の漁業協同組合等の理解を得ることが不可欠でございます。
 尖閣諸島周辺海域での調査につきましては、これらの点を踏まえ、沖縄県などと連携しながら検討してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 伊豆・小笠原諸島へのクルーズ客船の誘致に向けた取り組みについてでありますが、クルーズ客船は、寄港地ににぎわいやイメージアップをもたらすとともに、大きな経済効果を生み出すものであります。
 このため都は、東京港及び島しょへのクルーズ客船の誘致を一層促進することを目的に、水先案内料など寄港コストの一部を助成する制度を今年度から新たに開始いたしました。
 また、これに先立ち、本年三月には、島しょの自治体と連携して、クルーズ客船社や旅行業者等を対象にセミナーを開催するなど、島しょの魅力や都のクルーズ客船誘致施策のPRに努めております。
 こうした取り組みなどにより、既に、東京港発着で伊豆・小笠原諸島に寄港するクルーズが三件、今年度中に実現する運びになっているとともに、引き続き複数の事業者と具体的な調整を行っている状況にございます。
 今後とも、国内外の関係者に対して戦略的にセールス活動を行うなど、伊豆・小笠原諸島へのクルーズ客船の寄港促進に積極的に取り組んでまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 離島を有する自治体間の連携についてでございますが、島しょ地域は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれ、また、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から国益を維持する上でも重要な役割を担っております。
 一方、島しょ地域は、その厳しい地理的、社会的条件から、島民生活の安定や産業振興を進めていく上で多くの課題を抱えております。
 こうした状況を踏まえ、都はこれまで、離島を有する都道県で組織する離島振興対策協議会の事務局を務め、離島振興のあり方に関する共同研究や離島振興法の改正、延長の要望活動など、自治体間相互の連携と共同による取り組みを主体的に行ってまいりました。
 今後とも、離島を有する自治体との連携を密にし、島しょ地域の一層の振興に取り組んでまいります。

議長(中村明彦君) 九十八番くまき美奈子さん。
   〔九十八番くまき美奈子君登壇〕

〇九十八番(くまき美奈子君) 超高齢社会を目前に控え、施設整備もさることながら、在宅高齢者が安心して暮らせる体制が必要不可欠です。特に、医療と介護の連携、在宅療養の推進は重要な課題であると考えます。都の見解をまず伺います。
 平成二十一年度に発足した板橋区の地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターは、その前身である東京都老人医療センターの時代から、地域における高齢者専門医療機関として重要な役割を担うとともに、都立板橋ナーシングホームと連携して、退院後における高齢者の在宅生活全般を支えてきました。
 板橋ナーシングホームについては民営化されることになりましたが、私は、施設の運営が民間法人に移っても、これまで培ってきた伝統を生かし、健康長寿医療センターが新たな施設と連携し、引き続き地域における高齢者の医療、介護を支えてほしいと心から願っております。
 そこで、健康長寿医療センターは、民営化される板橋ナーシングホームとの連携をどのように確保し、在宅療養の分野で地域の期待にこたえていくのか伺います。
 地域において、医療と介護が連携した在宅療養を推進するためには、それを担う介護人材の育成が不可欠です。
 国によれば、昨年度の全国の介護職員は約百四十万人ですが、いわゆる団塊の世代が全員七十五歳以上となる平成三十七年には、約一・五倍の二百十三万人以上の介護職員が必要になると見込まれています。また、要介護高齢者が安心して在宅生活を送るためには、良質な介護サービスが安定的に提供されることが重要なことから、今から質の高い介護人材を育成していくとともに、介護職員が将来の展望を持って働き続けられるよう支援していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 さらに、在宅療養生活を送る中では、介護とともに医療を必要とする場面も多く、とりわけ、主治医の指示書に基づき、ターミナルケア等の療養上の世話、褥瘡の処置や医療器具装着中の管理等の診療の補助など、在宅医療への移行にかかわる支援等を行う訪問看護は、医療と介護をつなぐ重要な役割を担っています。
 今後、一層高まる在宅医療へのニーズにこたえるためには、訪問看護ステーションに加え、地域医療を支える中小病院の看護師確保が課題となっています。都が策定した看護職員需給見通しにおいても、平成二十三年時点では、看護職員全体で約二千六百人の不足となっています。
 一方で、看護師の離職率は依然として高く、都内の潜在看護師数は約五万人ともいわれています。看護師確保のためには、離職防止のほか、潜在看護師の掘り起こしが重要と考えますが、見解を伺います。
 先日、母親が妊娠中に感染したトキソプラズマと呼ばれる寄生虫によって、脳や目に障害が出た乳児が三年間に十六人認められ、先天性トキソプラズマ症と診断されていたことが日本小児感染症学会の調査で判明し、テレビでも報道されました。
 免疫に異常がなければ、トキソプラズマに感染しても、一般に何の症状もありませんが、妊婦が初めて感染すると、血液中に流入したトキソプラズマが胎盤を介して胎児に感染し、脳や目に障害を来す先天性トキソプラズマ症状を発症するおそれがあり、重い場合は死産したり流産したりすることも報告されています。
 主な感染経路は口、いわゆる経口感染です。感染原は、不十分な加熱処理の食用肉や内臓あるいは猫のふんに含まれています。近年の食生活の変化やペットブーム、ガーデニングブームなどの影響により、発症の報告がふえていると見られるとのことです。
 この報道により、自宅で猫を飼っている妊婦の家庭を初め、不安を感じられた方々も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、このトキソプラズマについては、適切に対処することで十分に感染を防ぐことができるもので、しっかりと注意することは必要ですが、過剰に恐れることはありません。そのためには、寄生虫の存在や感染のリスクについて注意を呼びかけるなど、事前の正しい情報提供が不可欠であると考えます。
 私たちの身の回りには、このトキソプラズマだけでなく、多くの細菌やウイルスが存在しています。中には、妊娠中の女性に感染し、妊娠経過や胎児に悪い影響を与える場合もあります。健康な妊娠、出産のため、妊婦に対し、感染症予防についてどのような注意喚起が行われているのか伺います。
 妊婦の方々だけではなく、今の人類はさまざまな感染症の脅威に直面しています。感染症の歴史は生物の共生とともにあり、有史以来、人類の病気の大半を占めています。
 また、昨今、新興感染症の出現は、開発行為により、これまで人間に接することのなかった細菌やウイルスが動物を媒介して人間社会に入り込むようになったことや、あるいは自然界ではあり得ない状況での大量の家畜の飼育などが原因といわれ、感染症との闘いは文明社会の宿命といっても過言ではありません。
 さらには、交通手段の発達により、病原菌は想像を超えるスピードで世界じゅうに伝播します。例えばウエストナイル熱は、アメリカでは平成十一年に初めて患者が報告されました。その原因は、ウエストナイルに感染した鳥類の血を吸った蚊が、航空機によってアメリカ大陸に運ばれたことによるといわれています。
 記憶に新しい新型インフルエンザは、三年前の四月二十五日にWHOがメキシコでの発生を宣言し、我が国でも、空港での水際対策に右往左往する検疫職員をしり目に、瞬く間に感染が拡大しました。また、世界では、麻疹や百日ぜきなどの再流行が起こっているほか、原因不明の新たな感染症の発生例も報告されています。
 感染症対策の基本は、日々の予防と早期発見、そして何よりも正しい知識を我々自身が持つことです。
 私は、従前より、感染症対策の拡充、特に平常時からの監視体制の強化や予防策、感染防止策について、都民にわかりやすい情報提供を求めてまいりました。
 今後、さらに人や物の交流が増加する中、国境を越えて伝播する感染症の脅威はますます高まっていますが、都は、感染症対策についてどのように取り組むのか、見解を伺います。
 ここ数年、築地市場の移転問題には多くの時間が割かれ、議論がなされてきましたが、東京都が所管する市場は築地市場だけではありません。私の地元にある板橋市場を初め、東京都は築地以外に十カ所の中央卸売市場を設置し、それらが築地市場と同様に、都民の日常生活を支える重要な役割を担っています。しかしながら、その運営自体には、市場の老朽化、取引高の減少など、多くの困難を抱えています。
 私は、各市場の整備に当たっては、老朽化した施設を計画的に更新していくことに加え、物流効率化や食の安全・安心の確保など、流通環境の変化や都民ニーズにも積極的に対応していくべきと考えます。
 そこで、平成二十四年度の市場建設拡張費を見ると、豊洲新市場には約六百億円が予算措置されていますが、それ以外の市場は約五十七億円にとどまっています。築地市場が東京都の台所として主要な存在であることは周知のとおりですが、その一方で、鮮魚だけをとってみれば、築地以外に足立、大田といった市場があり、さらには野菜、果物や肉、花などを扱う大切な市場が存在し、都民の生活を地域に根差して支えています。
 また、震災などにより社会インフラが全般的にダメージを受けたときの中央卸売市場の役割も見逃せません。例えば板橋市場は他県と隣接し、ふだんから広域的な流通ネットワークを持っています。都内各地に立地する中央卸売市場は、災害時にもこうしたネットワークを生かし、生鮮食料品の安定供給という役割を担っており、重要な役割を果たしていく存在であることは、だれもが期待するところです。
 そこで、築地、豊洲以外の中央卸売市場の整備、活性化にも尽力することが必要と考えますが、見解を伺います。
 次の質問です。条例に基づく特定緊急輸送道路の沿道建築物が、私の地元である板橋区にも数多くあります。都の担当者は、こうした建物所有者の都合や要望に合わせて訪問し、条例の内容や耐震診断の必要性を説明してきたと聞いています。直接都から説明を受けることで、耐震診断を実施する気持ちになったなどの声も寄せられたとのことであり、都の丁寧な対応には高く評価をいたします。
 そして、本年四月一日からは、条例に基づき耐震診断の義務づけが施行されました。診断助成も、平成二十三年度の九十九件に対して、平成二十四年度は四月の一カ月間で二百二十九件の申請があり、五月も申請件数が大幅に伸びているとのことです。条例制定の効果も着実にあらわれてきており、今後、耐震診断の実施もさらに加速されるものと期待しています。
 しかし、建物所有者の視点に立ってみると、専門的、技術的な診断結果を手にして戸惑ったり、途方に暮れたりといったケースもあるのではないでしょうか。耐震化を円滑に進めていくためには、このような不安をできる限り解消し、所有者が診断結果の内容を理解し、冷静に対策を講じていけるような環境を整えることが不可欠です。
 耐震診断を実施した所有者に対して、きめ細かいフォローを行っていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 また、災害発生時には、都民が円滑、迅速に避難できることが重要です。しかし、いかに特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化が進んでも、その道路に違法な放置自転車やバイクが並んでいたのでは、避難や救護、救援活動の大きな妨げとなってしまいます。
 自転車やバイクの違法駐車は、平常時においても歩行者等の通行の妨げになっているほか、強風時にはそれらが将棋倒しになるなど、非常に危険を感じます。
 放置自転車等の実態調査結果によれば、近年、その台数は大きく減少していますが、いまだ至るところに放置されており、まだまだ改善が必要な問題であると考えます。
 自転車も車両であり、これを道路上に放置することは道路交通法に違反する行為であり、まずもって利用者のモラルが問われるべきではありますが、同時に、駐輪場の整備を初めとして、官民でのさまざまな取り組みが必要と考えます。都の見解を伺います。
 最後の質問です。
 日本の食事作法の成立には、仏教、特に禅宗、そして儒教、茶の湯の影響があり、形式が重んじられてきました。食事作法を含む日本の生活作法は、中国の古典書、すなわち三礼といわれる周礼、儀礼、礼記が源流とされており、平安時代は食礼と呼ばれる作法が形成され、鎌倉時代には、中国大陸から禅が伝わり、禅の清規が茶の湯の所作や懐石料理の食事法として発展したといわれています。
 食事の作法は、国、地域、家庭によって異なり、時代の流れにも影響されるということは理解できますが、昨今の日本の状況は、先人たちが培ってきた食事作法の文化を余りにも置き去りにしてしまっているのではないでしょうか。
 例えば、はしの持ち方や日本食の配ぜんなど、正しくできない人々がふえています。洋食が身近になり、食事マナーについて学習する学校は多いようですが、洋食マナーを学ぶ以前に、日本人として日本食の作法をしっかりと理解しておく必要があるはずです。
 次世代を担う若者たちには、我が国の歴史を学び、伝統文化に触れることで、その背景とすばらしさや価値感を理解し、日本人としての自覚や誇りを持って活躍することが求められています。
 日本の生活の中で尊重されてきた礼儀作法が忘れられていく風潮にある中、都立高校において、礼儀作法を含め、日本の伝統文化を尊重する教育を行うべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) くまき美奈子議員の一般質問にお答えします。
 日本の伝統文化を尊重する教育についてでございますが、都教育委員会は、平成十八年度に、和の心や未来に伝える日本の伝統文化について、カリキュラムや教材等を開発いたしまして、その中で、はしの正しい使い方や食にかかわる作法を体験的に学ぶことを扱っております。
 都立高校の中には、日本の伝統文化を教育課程に位置づけ、特色ある教育活動を展開している学校があり、これらの学校では、例えば、茶道、華道などの学習を通して、生徒に立ち方や座り方、おじぎの仕方などの礼儀作法を学ばせるとともに、そこに込められた日本人の精神文化を尊重しようとする心をはぐくんでおります。
 今後とも、都教育委員会は、代々受け継がれてきた礼儀作法を含め、生徒が日本の伝統文化のよさを理解し、それらを尊重する教育を推進してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、在宅療養の推進についてでございますが、都はこれまで、医療や介護の関係者など、多職種による協議会の設置や、病院から在宅への円滑な移行と在宅医療の継続を調整するための窓口の設置など、区市町村の行う在宅療養推進の取り組みに対し、包括補助により支援をしてまいりました。さらに今年度からは、医療と介護の連携に重要な役割を果たす訪問看護ステーションの拠点整備や、サービスを支える人材育成等を一層推進いたします。
 こうした取り組みにより、高齢者が地域の中で安心して療養生活を継続できる環境を整備してまいります。
 次に、健康長寿医療センターと板橋ナーシングホーム民営化後の施設との連携についてでございますが、現在、センターとナーシングホームの間では、センターが必要な医療の提供を行い、ナーシングホームは、センターを退院した高齢者に対して、在宅生活の継続に必要なリハビリテーションを提供するなど、連携しながら高齢者の在宅復帰を支援をいたしております。
 ナーシングホームの新たな事業者の公募に当たっても、センターとの連携を要件としており、決定した事業者からは、センターの助言を得て、施設入所者の在宅復帰を支援する提案が出されております。
 今後、センターと新施設が連携をして在宅療養の推進に取り組めるよう、都としてもセンターの新たな中期目標を策定してまいります。
 次に、介護人材の育成などについてでございますが、都は、介護人材の質の向上を図るため、介護職員スキルアップ研修や現任介護職員資格取得支援事業などを実施いたしますとともに、人材の確保、育成事業を行う区市町村に対し、包括補助制度により支援を行っております。
 また、介護人材の定着が図られるよう、昨年七月、大都市にふさわしい介護報酬のあり方について国に緊急提言を行いまして、今回の改定において、介護職員処遇改善加算の創設や地域区分の見直しが行われました。
 今後とも、介護人材の質の向上に引き続き取り組むとともに、報酬改定の効果等を把握、分析をして、必要に応じて国に提案をしてまいります。
 次に、看護師確保についてでございますが、都はこれまで、離職した看護師の再就業を促すため、地域の身近な病院で離職期間、就業希望先に応じたきめ細かな復職相談や研修などを行う看護職員地域確保支援事業を実施いたしまして、平成二十一年度には、訪問看護ステーションコースを新設するなど、充実を図ってきております。
 また、看護師確保が困難な中小病院を対象にして、昨年度から二次保健医療圏ごとに配置をしました就業協力員が巡回訪問を行い、看護職員の確保や離職防止に向けた勤務環境の改善、新人研修体制の充実について助言を行っており、今年度は、新たに就職相談会の開催や認定看護師の資格取得支援を実施をいたします。
 これらの取り組みによりまして、看護職員の離職防止、再就業支援を推進してまいります。
 次に、妊婦の感染症予防についてでございますが、妊婦は免疫力が低下することや母子感染の可能性があることから、妊婦が感染症の予防をすることは特に重要でございます。
 このため、区市町村では、母子健康手帳に、動物の唾液やふん尿に触れた場合などに手洗いを徹底することや、食品の十分な洗浄や加熱処理の必要性について記載するとともに、母親学級等での保健指導の際にも注意喚起を行っております。
 また、都は、区市町村の保健師などを対象とした研修や会議において、妊婦が気をつけるべき感染症等に関する最新の情報を適宜適切に提供いたしております。
 最後に、感染症対策についてでございますが、都は感染症健康危機管理情報ネットワーク等を活用いたしまして、国や保健所、医療機関等と連携をし、患者の発生動向を迅速に把握いたしますとともに、独自に東京感染症アラートを構築いたしまして、新たな感染症が発生した際には、疫学調査からウイルス検査までを速やかに行うことといたしております。
 また、都民に対しては、ホームページなどさまざまな媒体を通じて、感染予防策を普及啓発するとともに、流行状況に応じた注意喚起を行っております。
 今回、健康安全研究センターを再編整備いたしまして、最新の検査機器を設置いたしますとともに、健康危機に関する情報の一元的な収集、解析、発信や、現場で迅速な原因究明等を行う体制を整備いたしました。こうした機能を十分活用し、感染症対策の強化を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長中西充君登壇〕

〇中央卸売市場長(中西充君) 築地、豊洲以外の中央卸売市場の整備活性化についてでございますが、都は築地市場などの基幹市場だけでなく、地域のニーズに対応した役割を担う市場など、それぞれ特色を有する十一の中央卸売市場を開設しています。これらの市場が相互に補完しながら一体となってその機能を発揮し、都民の日常生活に欠かせない生鮮食料品の安定供給という責務を果たしています。
 これらの市場の整備に当たっては、各市場が有する特徴を生かし、また、災害対応力の強化の視点も踏まえ、着実な整備運営を図る必要がございます。都は、本年一月に策定した第九次東京都卸売市場整備計画において、こうした考え方に基づき、品質管理の高度化や物流機能の強化などに取り組むほか、非常用発電設備の整備によるエネルギー不足への対応等を図っていくこととしています。
 例えば、板橋市場においては、老朽化した施設の維持修繕を行うとともに、機能強化の観点から、青果部において、都と市場関係業者が一体となって今後の活性化のあり方を検討し、その成果を踏まえ、適切に対応してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 耐震診断を実施した緊急輸送道路沿道建築物の所有者への対応についてでございますが、耐震化を円滑に進めるには、診断の結果を所有者が十分理解することが不可欠でございます。
 このため、都としては、診断を実施した建築士による丁寧な説明を徹底するとともに、区市とも連携し、個々の建物の耐震性能や状況に応じた適切な助言を行ってまいります。さらに、建設業の関係団体等とも連携し、耐震化に向けた専門的、具体的な相談にも適切に対応してまいります。
 今後とも、条例に基づき、耐震診断の実施を加速していくとともに、診断結果を耐震化に的確に結びつけることで、都民の安全と安心を確保してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 放置自転車の問題についてでございますが、平時における安全で円滑な交通の確保のみならず、災害時における迅速な避難を実現するためにも、放置自転車の対策は重要な課題でございます。
 都内における駅周辺の放置自転車は、近年、減少を続けておりますが、放置自転車の状況をさらに改善するためには、自転車の撤去だけではなく、利用者がルールを守るための啓発活動や駐輪場の整備の促進、わかりやすい案内表示などのさまざまな施策が必要でございます。
 現在、幅広い関係者による東京都自転車対策懇談会におきまして、放置自転車問題についても議論されており、その結果を踏まえ、関係機関が協力し、放置自転車への対策を推進してまいります。

議長(中村明彦君) 五番山崎一輝君。
   〔五番山崎一輝君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇五番(山崎一輝君) 初めに、中小企業対策についてお伺いをいたします。
 新・元気を出せ商店街事業は、我が党からの要望により平成十五年度にスタートし、質と量の両面から充実を図りながら、商店街振興の面で大きな役割を果たしてきました。
 同事業では、商店街の意欲のある取り組みを後押しするため、都が経費の一定部分について助成をしてきました。しかし、この事業の前提となるわずかな自己資金すら確保できず、商店街の活性化に向けた計画やアイデアをうまく実行できずにいる中小の商店街もあると聞いております。
 我が党は、さきの予算特別委員会の宇田川聡史議員の質疑の中で、やる気はあっても自己負担の資金を集める力がなく、都の補助をあきらめざるを得ない商店街にも、しっかりと目くばせをするべきと問題提起をしたところであります。厳しい状況にある商店街が、費用の負担を抑えながら、新・元気を出せ商店街事業を利用できるような支援を速やかに行うべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都市交通の一翼を担うべき自転車についてお尋ねをします。
 自転車は環境負荷が少なく、まちの回遊性も高めることができ、日常生活での利用のほか、観光地でのレンタサイクルやスポーツなど、幅広くさまざまな目的で使用されております。ロンドン、パリなどの海外の諸都市では、自転車が都市の交通体系の中に位置づけられ、自転車を共有して使う自転車シェアリングが大きく普及をしております。大都市東京においても、さらに自転車の普及を進め、より快適な都市空間を確保し、東京のプレゼンスを高めるためには、安全対策を十分考慮した自転車シェアリングなど、戦略的な自転車普及策の展開が必要であると考えます。
 こうした中、江東区では、自転車シェアリングの実証実験をことしの秋ごろから実施することを発表いたしました。自転車を普及し、環境負荷の低減を図るためには、江東区のような自治体が実施する自転車シェアリング事業と連携を深めるなど、都として広域的展開の視点も踏まえた取り組みが重要と考えますが、今後の自転車施策の展開について伺います。
 次に、臨海副都心開発についてお尋ねいたします。
 昨年策定したアジアヘッドクオーター構想において、臨海副都心は、東京に進出する外国企業を掘り起こすために重要な役割を担い、MICE、国際観光拠点を推進する地域となり、大いに期待をしております。
 昨年、東京モーターショーが二十四年ぶりに東京で開催をされ、世界じゅうから八十四万人をも超える入場者を数えましたが、この集客をひもとくと、一つに、地域が連携して関連イベントを開催したことが大きく寄与したと、私も現場を見てそう感じました。
 同様に、MICE等の開催に合わせ、地域が連携して盛り上げに向けた取り組みを行うことで集客効果が高まり、臨海副都心でのMICE開催の付加価値向上となり、さらにMICE誘致に貢献するものと考えております。
 こうした取り組みを充実することにより、MICE、国際観光拠点として発展を目指すことが重要であると考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 また、青海地区南側は、昨年、東京都立産業技術研究センターがオープンし、こうした産業支援施設を活用した企業創生ゾーンとしての発展が期待をされております。企業創生ゾーンの環境をフルに活用し、行政と民間が連携し、効果的な起業家支援などを行うことにより、特色のある企業が生み出され、ひいてはアジアヘッドクオーター特区として海外企業の進出にもつながるのではないかと考えます。
 今後、臨海副都心をMICE、国際観光拠点として、青海地区南側の企業創生ゾーンとしての活性化に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、舟運の活性化による臨海部の観光振興についてお尋ねいたします。
 東京には、ことしに入り、東京ゲートブリッジを初め、先ごろオープンした新名所、ダイバーシティ東京や東京スカイツリーなど、次々と新たな観光スポットが誕生をいたしました。これらを将来にわたって東京の魅力的な観光資源として生かしていくためには、観光スポット間のネットワーク化を図るなど、東京全体で相乗効果を高める取り組みが重要です。
 とりわけ臨海部は、羽田空港国際化に続き、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化や豊洲の新市場開設に伴う千客万来施設の整備が進むなど、今後も大きく集客が伸びることが予想をされます。臨海副都心から羽田空港や隅田川上流など、水上交通を活性化することにより、観光スポットとしての魅力も一層大きくなると期待をしております。
 こうした臨海部の水上アクセス活性化に対する都の認識を伺います。
 また、江東区では、この秋、東大島の旧中川の河川敷に川の駅を整備する予定だと聞いております。この川の駅には、飲食などが楽しめる川床や、そして足湯などの施設を初め、和船やカヌーの乗り場を整備することになっており、都民の憩いの場として大いににぎわうのではないかと期待をしております。
 中でも一番の目玉は、多目的スロープを整備し、都内初の水陸両用バスの営業運行を開始することです。水陸両用バスは、東京スカイツリーや亀戸天神や勝ち運の香取神社を陸路で回り、川の駅から進水をして、水上の遊覧を楽しめると聞いております。
 こうした江東区の先駆的な取り組みは、江東区のみならず、ウオーターフロント全体の観光の活性化につながる極めて有意義なことであると思います。
 このような取り組みを、都としても、新市場開場を控えた豊洲や高い集客力を持つ臨海副都心でも行えるよう、関連施設の整備を含めて積極的に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック招致についてお伺いします。
 先月の二十四日早朝、東京は二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補都市に選定をされました。東京の開催計画をもってすれば、一次選考を通過したのは当然のことというものの、非常に喜ばしいことであります。
 私の地元にある東京ゲートブリッジでは、これを記念し、オリンピックをイメージした五色でのライトアップも実施されました。IOCのレポートでも指摘されたとおり、今後は、支持率の向上が何といっても喫緊の最重点課題です。より一層、招致機運を本気で、本気で盛り上げていかなければなりません。
 先週、オリンピック・パラリンピックの開催に伴う経済波及効果が発表をされました。それによると、全国の生産誘発額は約三兆円、雇用誘発数は約十五万人とのことで、改めて大会開催に伴う効果が裏づけられました。
 このような大会の開催効果や理念、意義を都民、国民にわかりやすく伝えることは、支持獲得に向けて非常に重要なことであります。特に、本定例会の我が党の代表質問でも述べたとおり、再生した日本の未来を担っていく若者への働きかけも必要です。
 私は、三月の予算特別委員会において、ブログやツイッター、フェイスブックなどの活用について提言をしました。このような若者が参加をしやすい手段をさらに活用していくことが求められております。今後、インターネット上でのサポーターズクラブのような仕組みやソーシャルネットワーク等の媒体を利用していくことを強く要望いたします。招致活動のうねりを、ロンドン・オリンピック・パラリンピックもあることから、より力強いものとする時期に来ていると考えますが、見解を伺います。
 最後に、豊洲新市場に合わせて開設する千客万来施設についてお尋ねいたします。
 豊洲新市場整備については、土壌汚染対策、施設の建設などを一つ一つ着実に進めていくことが重要であります。東京の新たな観光拠点として整備する千客万来施設も、地元の期待も高く、あわせて具体化に向けた取り組みを進めていく必要があります。
 MICEの質問の中で先ほども触れましたが、都内の観光商業施設の開発動向を見ると、つい先日、新下町流を目指した商業施設ソラマチを併設する東京スカイツリー、また、これに先立って臨海副都心のダイバーシティ東京、そして渋谷駅前のヒカリエにも大規模なスポットが相次いで誕生いたしました。これらの施設は、その地域の特性を踏まえ、ターゲット層を明確にした上で、独自の魅力を打ち出し、話題を呼んでおります。
 新市場の千客万来施設についても、ほかの観光スポットとの差別化をしっかりと図り、集客力の高いにぎわいを実現していくことが非常に重要であります。それと同時に、開発を担う民間事業者の知恵と工夫をどう引き出していくのかがかぎになります。
 私は、築地の場外市場のようなあの温かみのある、あの何ともいえないにぎわいをつくるのが、都の責任の一つであると考えます。
 千客万来施設において、にぎわいを創出していくために、ほかの商業施設との差別化をいかに図るのか、また、どのような手順で整備を進めていくのか伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 山崎一輝議員の一般質問にお答えいたします。
 新・元気を出せ商店街事業についてでありますが、都はこれまで、本事業により商店街に対してさまざまな支援を行ってまいりました。しかし、店舗数や売り上げが減少して、自己資金を十分に確保することが難しく、イベントを開催したくても実施に踏み切れない商店街も、お話のように存在いたします。
 このため、今年度、新・元気を出せ商店街事業による特別の対応として、こうした商店街に対し、三十万円以下の開催経費で、防災、環境など、当該商店街にふさわしいテーマを掲げてイベントを実施する場合、都の補助を上乗せすることといたします。実施時期は、この秋以降を予定しております。
 こうした施策により、イベントの実施に踏み切れない商店街にも目くばせをして、都内商店街の活性化に取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 自転車施策の今後の展開についてでございますが、自転車は、自動車からの転換が可能な移動手段の一つでございまして、その利用を促進することは、大気汚染対策や地球温暖化対策にも有効でございます。また、自転車シェアリングは、自転車の利用を促進するとともに、自転車が共同利用されることから、その利用者が特定されることから、放置自転車対策や交通ルールの周知にも効果が期待できます。
 今回、江東区の取り組む実証実験は、道路幅員が広く、地形的にも比較的平たんで、自転車利用に適した臨海部を対象としたものでございまして、通勤や業務、観光など、多様な目的での自転車の利用が見込めるものでございます。
 また、その運用面におきましても、利用料金を柱とした民間事業者主体による事業の運営や最新のICT技術を活用した利用者へのルート案内など、新たな試みも予定されております。
 都としては、関係部局で構成する自転車シェアリングに関する連絡会を近く立ち上げまして、駐輪施設の立地や安全対策に関する助言等、区への支援も行い、環境を初め、安全、観光、健康など、さまざまな効果、知見の収集を進めてまいります。
 今後、こうした取り組み等によりまして、都市生活と調和のとれた新たな自転車利用の広域的な普及を図ってまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 臨海部に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海副都心におけるMICE等に合わせた地域連携の取り組みについてでありますが、東京モーターショーの開催に当たっては、臨海副都心まちづくり協議会や臨海ホールディングスグループが中心となって、「ゆりかもめ」乗車券のセット販売や花火の打ち上げなど、地域全体で関連イベントを開催したことが、モーターショーだけでなく、まち全体の来訪者の増加に寄与したと認識しております。
 また、本年のゴールデンウイークには、ダイバーシティ東京のオープンに合わせて、ドイツ観光局と連携したイベントの開催が行われるなど、地域を挙げての取り組みが行われ、大きな集客につながっております。
 さらに、秋には、関係者の努力により、世界でも有数の映画祭であり、国内外から来訪者が多数訪れる東京国際映画祭の関連事業が臨海副都心で開催されることになっております。地域では、これを核として、まち全体での関連イベントを現在企画中でございます。
 今後とも、地域の進出事業者等との連携を一層強化し、MICE関連イベントに合わせた効果的なイベントを展開し、MICE誘致の取り組みを強力に推進してまいります。
 次に、臨海副都心における企業創生ゾーンの活性化についてでありますが、ご指摘のとおり、青海地区南側の企業創生ゾーンには、東京都立産業技術研究センターのほか、国の産業技術総合研究所や民間のSOHO施設などが既に立地し、技術革新と新しいビジネス機会の創出の場として、集積を備えつつあります。
 こうした地域のポテンシャルをさらに高めていくため、本年度創設した外国企業の進出促進等に資する先駆的な事業への助成制度を活用するなど、民間の創意工夫を生かした企業創生ゾーンのさらなる活性化を図ってまいります。
 さらに、新たなビジネス機会の創出に向けて、ビッグサイトで行われる展示会等との一層の連携を図り、MICE事業との相乗効果を生み出す取り組みを充実させてまいります。
 次に、水上アクセスの一層の活性化についてでありますが、ご指摘のように、ウオーターフロントに魅力ある施設のオープンが相次ぎ、これを効果的に結ぶために水上交通を活用することは、時宜にかなって重要と考えております。浅草や日の出などと臨海副都心を結ぶ水上バスの定期航路には、最近、相次いで新型船が投入されており、舟運による臨海副都心への来訪者が年間約三十万人に達するなど、ウオーターフロントのネットワーク化に水上交通が大きく寄与しております。
 都としては、水上アクセスの一層の向上を図るため、不定期航路の規制緩和を国に引き続き働きかけていくとともに、既存桟橋の有効活用策の検討を積極的に進めるなど、ウオーターフロントの魅力向上に努めてまいります。
 最後に、水陸両用バスの豊洲や臨海副都心での取り組みについてでありますが、江東区で導入予定の水陸両用バスは、それ自体大きな観光資源となるものであり、ウオーターフロント全体の観光の活性化につながるものと認識しております。豊洲は、新市場移転により千客万来施設ができるなど、今後、観光客の集客が大いに期待できるエリアであります。また、臨海副都心は、MICE、国際観光関連施設の誘致を積極的に進めることにしており、外国からの来訪者も含め、より大規模な集客エリアになることが期待されます。
 こうしたことから、豊洲や臨海副都心の整備の進捗に合わせて、水陸両用バスの就航が実現できるよう、関係機関とも調整の上、検討を進めてまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック招致についてでございますが、招致活動への支持をさらに拡大させていくため、インターネットやソーシャルネットワークなどを活用することは大変有効であると認識しております。
 さきの予算特別委員会での山崎議員からのご提言を踏まえ、フェイスブックやツイッターにおいて有名アスリートの応援メッセージなどを掲載しております。これらに対し、招致を支援するコメントが寄せられるなど、賛同の輪が広がっております。
 今後、スポーツ界はもとより、あらゆる分野において影響力のある著名人から、みずからの言葉で招致を応援するメッセージを発信してもらえるよう、働きかけてまいります。また、招致委員会において、インターネットによる簡単な操作で招致活動を応援できる仕組みをつくるとともに、小口募金を受け付ける体制を早急に整備するなど、都民、国民が招致活動へ積極的に参画し、さらに発信していくような、広がりのある仕組みを構築してまいります。
 ロンドン・オリンピック・パラリンピックの盛り上がりも活用しながら、このような新しい媒体を利用した参加型の招致活動を展開し、招致の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
   〔中央卸売市場長中西充君登壇〕

〇中央卸売市場長(中西充君) 豊洲新市場の千客万来施設の整備についてでございますが、ほかの商業施設との差別化を図り、にぎわいを実現していくためには、築地で培われた世界でも有数の食文化を継承するとともに、新市場に隣接するという強みを最大限生かしつつ、独自の魅力を備えることが重要でございます。
 こうした観点から、市場ならではの専門的なノウハウを生かし、食に親しめる体験の場やしゅんの食材情報など、食の魅力発信機能を設けるとともに、市場に来る食のプロが評価する品質を備えた物販や、新鮮な食材を生かした飲食等の店舗により一般客を魅了し、市場と一体となった活気とにぎわいを形成するよう、民間の開発を誘導いたします。
 このようなにぎわいを実現し得るアイデアを引き出していくため、民間事業者の参加につながる開発スキームを見きわめつつ、募集に向けた方針を本年夏に公表するなど、整備に向けた取り組みを進めてまいります。

副議長(ともとし春久君) 五十九番大松あきら君。
   〔五十九番大松あきら君登壇〕

〇五十九番(大松あきら君) まず、教育について伺います。
 維新回天の電源となった魂の教育者、吉田松陰は、多くの門下生を旅に送り出し、旅から学ぶことを教えました。
 東京都は、かわいい子には旅をさせよと、今年度より都立高校生らを海外留学に送り出し、次世代リーダーの育成を開始しました。日本の若者を海外で武者修行させることの重要性について、まず、石原知事の見解を求めます。
 私立高校生の留学支援についても、各学校の要望をよく伺い、それぞれ独自の教育方針を生かせるよう、都として取り組むべきです。所見を求めます。
 吉田松陰は、門下生に旅を奨励しましたが、だれよりも自分自身が国じゅうを駆けめぐる、旅から旅への生涯でした。シビレエイが相手をしびれさせるのは、自分自身がしびれているからです。生徒を海外に送り出すことも大切ですが、むしろ教員の皆様方こそが海外に飛び出し、グローバル化が進む世界の中で必要な教育は何かを探っていただけるよう、支援するべきです。
 平成二十二年度より実施している指導主事と教員の海外派遣研修を継続し、研修修了者の活躍の場を広げるなど、その効果を上げていくべきと考えます。海外派遣の成果の普及と研修生の活用について、都の見解を求めます。
 一九九九年、ドイツのケルンで行われた主要国首脳会議で、サミット史上初めて、教育が主要テーマに取り上げられました。そして、翌二〇〇〇年四月、日本が議長国となり、主要国の教育大臣が集い合う第一回G8教育サミットが東京で開催されました。
 当時、小渕恵三総理が病に倒れる直前まで情熱を傾けられた事業であり、経済だけではなく、教育の分野においても、競い合い、協力し合う時代に入ってきた象徴的な出来事として、後世、高く評価されるものと確信しています。
 その上で、この業績の効果を広げ、永続的なものにするために、政府レベルだけではなく、現場レベルで、世界の教育関係者が交流し、情報交換できる場をつくっていくことが求められます。最近では、OECDが実施する国際的な学力調査が話題になり、教員や国民の間に海外の教育事情に対する関心が高まっています。
 そこで、日々子どもと向き合っている教員、自治体職員らが、各国の多様な教育に対する理解を深めながら、世界共通の課題である学力向上策などについて意見交換し、切磋琢磨できる教育者の国際会議を開催していくべきです。こうした会議は、教員らを派遣する国々との交流を深め、日本のすぐれた教育を世界に発信する場ともなり、国際貢献にもつながります。
 その第一歩として、海外派遣研修報告会を活用し、国際交流事業等にかかわる関係機関との連携のもと、教員が広く海外の教育等に触れ、国際交流の充実につながる情報を得る機会を設けるべきと考えますが、都教育委員会の所見を求めます。
 都立高校の教科書「江戸から東京へ」の中に、江戸時代、庶民教育を担った寺子屋が、高い識字率など、世界最高水準の教育を実現していたことが記述されています。こうしたすぐれた日本の教育が明治以降の急速な近代化を支えたともいわれ、国連教育科学文化機関、ユネスコは、この教育モデルを世界に普及させる世界寺子屋運動を展開しています。都内には、ユネスコと連携し、寺子屋運動を支援している学校があり、すぐれた国際貢献として高く評価されています。こうした国際機関や団体との交流は、国際教育の機会ともなり、大いに奨励をしていくべきです。
 また、インターネットを活用して、教員や児童生徒の交流を進める海外のNPOと連携する学校もふえています。その一方で、ノウハウが不足し、足踏みしている学校もあります。
 そこで、今後、都教育委員会は、国際交流に先駆的に取り組んでいる学校の実践事例などについて積極的に情報提供を行うよう要望しておきます。
 教育力は、医学と同様、実践と研究との往復作業の中で磨かれます。その模範の活動をしているのが、都内五つの教職大学院です。私も全大学院を訪問させていただき、現職の教員と現役大学院生が互いに教育力を磨き合う姿を拝見し、ここから東京の教育をリードする人材が陸続と輩出されていくとの期待に胸を膨らませてまいりました。教職大学院で学んだ教員がその力を存分に発揮していただけるよう取り組むべきです。派遣研修を修了した現職教員の学校での成果について、所見を求めます。
 次に、障害者施策について伺います。
 アメリカでは、障害のある人を、神から挑戦すべき課題を与えられた人という意味で、チャレンジドと呼び、就労や社会参加を促進しています。アメリカ人らしいポジティブなスピリッツとともに、近年のテクノロジーの発達が、障害のある人の社会参加のチャンスをふやしています。
 そして、法制度としてチャレンジドを支えているのが、障害があっても健常者と対等に能力を発揮できるよう環境を整備する、いわゆる合理的な配慮を義務づけるADA、アメリカ障害者差別禁止法です。日本でも昨年、障害者基本法が改正され、合理的な配慮という考え方が導入され、障害者施策の拡充が期待をされています。
 公明党は、ADAの日本版として、仮称ユニバーサル社会形成促進基本法の制定を目指しています。東京都においても、障害のある人もない人も、だれもが社会参加できるユニバーサル社会の形成を目指し、就労やまちづくりなど、あらゆる分野で体系的に施策を展開していくべきです。所見を求めます。
 昨年の障害者基本法改正で、発達障害が初めて法的に位置づけられました。その一つに、話す、聞くことはできても、読む、書くが困難というディスレクシアという障害があります。以前は知的障害と区別がつかず、的確な教育が受けられませんでしたが、近年、図書を電子化して特殊なソフトを使えば文章を読めることがわかり、今、さまざまな教育方法が開発されています。
 発達障害で本を読めなかった北区内のある中学生は、電子図書に出会ったとき、お母さん、本が読めるよと、喜びの声を上げたそうです。そして、北区教育委員会は、今年度から発達障害のある児童生徒に対するICT機器を活用した学習支援に関する研究を始めました。
 こうした支援により学習を積み重ねた生徒らも、やがて高校受験の時期を迎えます。支援を受けてきた生徒が都立高校を受検するに当たっては、ICT機器の使用を認める必要があると考えますが、所見を求めます。
 障害があっても地域で安心して暮らせる社会を目指していかなければなりません。しかし、地域での生活を希望しながらも、入所施設から地域生活に移行する際には、さまざまな不安や戸惑いを感じている人もいらっしゃいます。本人や家族に安心していただけるよう、丁寧な説明などが求められます。施設入所者の地域生活の移行について、東京都の取り組みについて見解を求めます。
 一方、入所施設を希望する方は現在も大変多くいらっしゃいます。こうしたニーズにこたえるため、都は都外にも入所施設を整備し、現在も多くの都民が利用されています。
 私は昨年、群馬、千葉県の施設を訪問し、多くの北区出身の利用者の皆様方とお会いし、懇談させていただきました。いずれの施設でも、職員の皆様方が懸命にケアされていらっしゃいましたが、重度の障害のある人たちにとって、親や保護者が高齢化し、みずからも高齢化する中で、安心して暮らし続けていける環境を確保していくことは切実な課題であり、このニーズにこたえていかなければなりません。
 都としても、本人や家族の皆様方と安心していただけるよう、今後とも都外施設をしっかり支援していくべきです。見解を求めます。
 次に、交通対策について伺います。
 昨年一月、JR目白駅で全盲の男性がホームから転落し、電車にはねられ、死亡しました。この事故を受け、視覚障害者団体がアンケート調査をした結果、視覚障害のある方の約四割がホームから転落した経験があることがわかりました。また、乳母車や車いすがホームから転がり落ちたり、携帯電話やゲームをしながら歩いていて電車に接触するなど、視覚障害のない方の事故もふえています。
 そこで都は、都議会公明党の主張を受け、転落防止のためホームドアの設置を促進するため、私鉄の三駅で試行的に補助を実施。JR東日本は、平成二十九年度までに山手線全駅に設置する計画と伺っています。
 そうした中、東京と埼玉を結ぶJR埼京線においても、ホームドアの設置が求められています。特にJR板橋駅では、三年前、中学生がホームから転落、電車にひかれ、重傷を負う事故があり、住民の願いは切実です。折しも、板橋駅では今年度からバリアフリーのための改修工事が行われます。ホームドア設置には、車両扉の位置の統一、ホームの幅、強度の確保などが必要ですが、今回の改修工事を契機として、ホームドア等の設置や将来の設置に備えた取り組みを行うべきです。
 板橋駅を含め、都内全駅でホームドア等の整備が進むよう、都はJRなど鉄道事業者に対し、積極的に働きかけるべきです。ホームドア等の整備促進に向けた都の取り組みについて伺います。
 JR十条駅では、鉄道立体化が課題です。駅周辺には、東京家政大学など、たくさんの大学があり、毎朝夕、多くの若者が駅を利用しています。地元のまちづくりと連携して、若者がにぎわう鉄道立体化を急ぐべきです。JR埼京線十条駅付近の鉄道立体化の進捗状況について伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 大松あきら議員の一般質問にお答えします。
 若者を海外で武者修行させることについてでありますが、世界が時間的、空間的に非常に狭いものになりました。国際競争がますます激化する中で、この国が自力で立っていくためには、世界を舞台に活躍できる、国際的な感覚を持った力強い若者の存在が絶対に必要であります。
 しかし、残念ながら現在の若者は、他者との摩擦、相克を避けて、非常に人間的にひ弱いものになってしまいました。
 先ほど申しましたが、せっかく商社に入社した人間が海外駐在を拒んだり、ちょっとカテゴリーは違いますけれども、ゼネコンに入った新入社員が、現場に行くのを嫌がって、企画へ行きたいとかばかなことをいっている。そういう結果、この五年間で海外留学者の数というのは二八%減りました。これは大変な数字だと思います。
 この国家社会の将来を担う若者たちがこのありさまでは、日本はなかなかこれからしっかり立っていけないんじゃないかという危惧を抱かざるを得ません。
 こうした現状にくさびを打つために、若者を海外に送り出し、さまざまな経験を積ませて鍛え直すことは、一つの有効な手だてだと思います。
 若者が海外文化に身を置くことは、新たな他者との摩擦、相克を生んで、より多くの刺激と耐性、トレランスを得ると同時に、外から日本を見詰め直すことで、我が国の歴史や文化を改めて認識し、日本人としての自覚と誇り、日本人としてのアイデンティティーを獲得し直すことになると思います。
 日本が世界の中で存在感のある国家として繁栄していくためにも、若者の挑戦意欲というものを引き出し、力強くそれを後押しすることが必要だろうと思います。
 先日、教育委員会が、留学を目指す研修生を百五十人募集したところ、六百人を超える応募があったと聞きますが、まず、こういった志のある都立高校生に、一年間なりの海外留学を経験させて、東京から次代を担う強い若者を育てていきたいものだと思っております。
 他の質問については、教育長及び技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、指導主事などの海外派遣研修の成果の普及と研修修了者の活用についてでございますが、派遣した指導主事は、海外の教育行政や施策等につきまして学び、帰国後は都教育委員会の実施する研修や都立高校生の海外派遣事業等の企画、運営の中核となり、活躍しております。また、派遣した教員は、英語の指導法等について学び、帰国後は校内の若手教員の指導者や研修会の講師を務めるなど、都の英語教育の充実に取り組んでおります。
 さらに、都教育委員会は毎年度、公立学校教員及び指導主事等を対象に、海外派遣研修報告会を開催するとともに、研修の成果をまとめた報告書を、全公立中学校及び全都立学校に配布しております。
 今後とも、本事業の成果を東京都全体に広げることによりまして、都の教育をリードできる人材の育成に努めてまいります。
 次に、海外派遣研修報告会の活用についてでございますが、これまでの報告会では、アメリカ合衆国に派遣した指導主事からは、地元の教育委員会や企業、保護者等が一体となって学校を支援する取り組みや、各学校が教科ごとに評価チームを組織し、生徒の学習効果を上げるための実践的な研究を行う取り組みなどについて報告してまいりました。また、教員からは、英語を母語としない生徒に対する英語の指導法などについて、具体的に報告を行ってまいりました。
 今後は、報告会の中に、派遣先の大使館等、国内外の公的な機関の職員を招いたシンポジウムを加え、海外の教育事情や国際交流の取り組みについて情報交換や意見交換を行うことを検討し、海外派遣研修報告会をより参加型へと発展させてまいります。
 次に、教職大学院への派遣研修を修了した教員の成果についてでございます。
 都教育委員会は、平成二十年度から都内五つの教職大学院に現職教員を派遣し、これまでの教職経験をもとに、指導理論を学ばせ、地域や学校における指導的役割を果たすことのできる実践力等を身につけさせております。
 平成二十年度から二十二年度までに教職大学院を修了した現職教員百名のうち、二名が副校長に、四十名が指導主事に任用され、学校や教育委員会において指導的役割を果たしております。また、二十四名が主幹教諭、三十名が主任教諭に任用され、校内研修の企画、運営や教科指導等にかかわる校内研究の推進を担当するなど、学校運営を担う人材として、意欲的に職務を遂行しております。
 今後とも、各教職大学院との連携を深めまして、学校教育の中核となる人材の育成を強力に推進してまいります。
 次に、都立高校入学者選抜における発達障害のある生徒のICT機器使用についてでございますが、発達障害のある生徒の可能性を最大限伸長できるよう、現在、中学校では、個別指導計画に基づき、放課後の補習など、個に応じた学習支援の取り組みが進められております。ICT機器の活用も有効な支援方策の一つと考えられ、既に一部の地域では、文字の読み書きに障害のある生徒に対してICT機器を活用した授業を行うための研究が始まっております。
 今後、研究の成果が普及し、中学校におけるICT機器を活用した授業が広まれば、高校の入学者選抜においても、発達障害のある生徒がふだんの学習で培った力を発揮できるよう、公平性を担保した上で、ICT機器の使用について柔軟に対応してまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) JR埼京線十条駅付近の鉄道立体化についてでございますが、連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路ネットワークの形成を促すとともに、地域の活性化や都市の防災性の向上にも寄与する、極めて効果の高い事業でございます。
 都は、十条駅付近を事業候補区間に位置づけており、これまで事業化の可能性について検討を進めてまいりました。平成二十四年度は、事業範囲や構造形式などについて調査を実施いたします。
 また、地元北区は、駅前広場を含む駅西口再開発の都市計画の手続を進めるとともに、関連する道路整備などの検討に取り組んでおります。
 今後とも、区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化の検討を進めてまいります。
   〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕

〇生活文化局長(井澤勇治君) 私立高校における留学支援についてでございますが、都内の私立高校では、既に多くの学校が、留学生の派遣や受け入れ、海外研修など、生徒の国際交流に積極的に取り組んでおります。これらの学校では、よりよい留学環境をつくるため、海外の提携校をみずから開拓し、特色ある交流プログラムを提供するなど、それぞれの建学の精神や教育理念に基づいて独自の留学制度を構築し、大きな成果を上げております。
 各学校におけるこうした独自の取り組み状況を踏まえ、現在、私立高校を対象とした留学支援のあり方について検討を進めているところでございます。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、ユニバーサル社会の形成についてでございますが、都は、障害のある人もない人も社会の一員としてお互いに尊重し、支え合いながら、地域の中でともに生活する社会こそが当たり前の社会であるという基本理念を掲げまして、広範な分野にわたり、全庁を挙げて障害者施策を計画的かつ総合的に推進をしてまいりました。
 また、本年四月には、これまでの取り組みを一層充実していくため、障害者計画及び第三期障害福祉計画を策定いたしまして、地域居住の場の整備やコミュニケーションの支援、一般就労の機会の拡大、職業教育の充実、福祉のまちづくりなど、都の取り組むべき施策を体系的に明らかにいたしました。
 今後、改正障害者基本法の趣旨も踏まえ、すべての都民が安心して暮らせるユニバーサル社会の実現に向け、区市町村とも連携しながら施策を実施してまいります。
 次に、施設入所者の地域生活への移行についてでございますが、障害者が希望する地域で安心して暮らしていくためには、お話のとおり、本人や家族等の地域生活への不安を軽減することが必要でございます。
 このため、都は今年度、本人や家族、施設職員等を対象に、地域移行した人の体験、地域で利用可能なサービス等を紹介するリーフレットや支援者向けのマニュアルを作成いたしますとともに、取り組み事例等を紹介するセミナーの開催をいたします。
 あわせて、今年度新たに策定をいたしました障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランに基づき、地域における生活の場であるグループホームや通所施設等の基盤整備も一層促進し、施設入所者の地域生活への移行を支援をしてまいります。
 最後に、都外施設への支援についてでございますが、主に都民の方が入所しておりますいわゆる都外施設は、都内の施設と同様に、入所支援を必要とする障害者に安定した生活の場を提供するという大きな役割を担っております。
 都はこれまで、都外施設のサービス水準の向上を図るため、独自に運営費を補助するほか、大規模改修等を行う場合には施設整備費補助を実施してまいりました。また、計画的に職員が施設を訪問し、施設運営や利用者支援の状況の把握に努めてまいりました。
 こうした取り組みにより、今後とも利用者に質の高いサービスを提供し、安定した運営ができるよう、都外施設を支援してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) ホームドアの整備促進についてでございますが、駅ホームからの転落防止策につきましては、鉄道の安全な運行の責任を負う鉄道事業者がみずから取り組むことが基本でございまして、都はこれまでも鉄道事業者に対し、ホームドアの整備を働きかけてまいりました。
 しかしながら、扉の位置の異なる列車への対応や、停車時間の増大による輸送力の低下、膨大な投資費用などさまざまな課題があり、なかなか整備が進まない現状がございます。
 そこで、都では、鉄道事業者の積極的な取り組みを促すために、昨年度から三年間、三駅に限り、設置費への補助を試行的に実施し、整備上の課題を検討しております。
 引き続き、国や地元自治体とも連携しながら、さまざまな機会をとらえて、鉄道事業者に対する働きかけを行うなど、ホームドアの整備の促進に取り組んでまいります。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十八分休憩

   午後五時四十六分開議

〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十八番淺野克彦君。
   〔二十八番淺野克彦君登壇〕

〇二十八番(淺野克彦君) 東日本大震災以後、都も、地震、津波への対策がクローズアップされておりますが、我が国は自然災害に加えて、テロや未知の感染症、さらに、他国からの軍事攻撃なども念頭に置かなければなりません。
 私は常々、日本では自然災害に比べて、こうした人為的危機への備えがおろそかになりがちであると感じており、日本の首都である東京都には、このような危機にもしっかりと取り組んでほしいと考えます。
 きのう、我が党の代表質問で、都内の劣化ウランの管理についての質疑がありました。こうした物質を用いたテロによって都民の生命が脅かされた場合に、都は、国民保護法に基づき、適切に対応する必要があります。
 そこで、核によるテロが行われた場合、都はどのように対応することになっているのか、まず伺いたいと思います。
 そのような場合も含めて、放射能被害は後々まで尾を引きます。昨年の福島第一原発の被害から被災地を復興させるために、東京都としてできる限りの尽力をされていることには敬意を表しますが、一方で、日本は原子力安全神話に邪魔をされ、放射能被害に対する防御や除染を効率的かつ的確に行う技術やシステムの構築がおくれているのではないでしょうか。
 既に環境省や福島県では、民間からの知恵を募集するなどの取り組みが行われているようですけれども、都としても効果的な除染のための新技術開発を後押しすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、自治体間の競争を促す取り組みについて伺います。
 ここ数年の事例を見るまでもなく、一般の方々は、自治体にもできるだけ競争を促す仕組みを望んでいることは明らかです。お隣の埼玉県では、知事のリーダーシップのもと、県内自治体の行政データを順位づけし、公表あるいは行政トップに知らせることにより、成果を上げています。都でも、できることから取り組んでいくべきです。
 例えば、個人住民税の徴収率で取り組めば、都民税は市区町村民税に合わせて徴収していただいているため、徴収率が上がれば、都も税収増となります。権利や自由に対して、責任や義務の規定が少ないといわれる日本国憲法でさえ、三つしかない義務の一つに納税がある以上、本来一〇〇%であるべきですが、行政による取り組みが必要だというのが現実です。
 そこで、徴収率の向上には、今すぐ順位づけまではいかなくても、各自治体が協力、連携にとどまらず、刺激を受け合い、競争意識を高めるような仕掛けが必要だと考えますが、所見を伺います。
 また、数字がすべてをあらわすとは思いませんが、数字は多くのことを客観的に示すものです。徴収率対策も、各自治体と協力しながら取り組む姿勢は否定はしませんが、必死で取り組む環境をつくり上げるためにも、各自治体のデータを順位づけし、徴収率向上に向けた取り組みを促すことを、今後前向きに検討していただきたいということを要望しておきます。
 このように、自治体職員がいい意味で相互に競い合い、高め合っていくことは、行政成果のレベルを引き上げていく上で極めて有効と考えますが、それだけで徴収率がアップするわけではありません。何よりも納税者の理解と納税意識の向上を図ることが大切です。自分は納税しているが、何に使われているのかといった気持ちの方もいらっしゃるようですが、公共サービスは、公務員給与などの人件費を除いても、納税者にかなりの還元があるということは余り知られておりません。そういった意識の向上を図るためにも、納税者には正しい理解をしていただくことが重要です。
 例えば、公立小学校の児童一人に対し、年額平均八十二万七千円の公費が投入されておりますし、公立中学校なら九十五万七千円の公費支出となります。合わせて百八十万円。このように都民が納めた税に対し、都民は都からどれだけの行政サービスを受けているのかという負担と受益の対応関係をわかりやすく広報していくことは、都民の納税に対する理解を深める上で有効と考えます。
 そこで、今後、納税者の理解を得るための主税局の広報の取り組みについて伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 まず、教育分野での自治体間の比較でございます。
 さきに示した埼玉県では、公立中学校の自治体別不登校者数を公表し、平成十八年から平成二十二年の五年間で、都道府県別に並べますと、悪い方から八位だったのが三十一位、百人当たり三・三一人だったものが二・六九人まで大きく改善されました。各自治体の首長さんが、データを知り、必死で取り組んだ成果だと思います。
 東京都も統計データは公表しておりますが、比較データにはなっておりません。今後、中学校の不登校改善に向けた取り組みを推進していくため、不登校者数についても、自治体間の比較データを作成、公表し、少なくても、各区市町村教育委員会は把握しているように努めるべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、尖閣諸島の寄附金の集まりを見て、日本の領土を守るということにみずから具体的な行動をもって協力したいと考える国民が多くいることはうれしい限りです。しかし、そのすべてが歴史的な認識あるいは地理的な関係性を理解しているとは思えませんし、さらには、昨今の若者に対する調査では、国土の場所など正確に把握できていない人もいるようです。
 沖縄県における基地問題や尖閣諸島の軍事的重要性などを理解するためには、地政学的に物事をとらえる必要があり、私は高校生くらいからそのような訓練をしておくことが必要であると思います。具体的には、地理歴史科と公民科の各科目相互の関連を図ることです。社会科という一つの科目が二つに分かれてしまっている現状では、なおさら必要であります。
 そこで、地理歴史科と公民科との関連を図った授業の研究をすべきと考えますが、見解を伺います。
 学校における部活動というのは、授業だけでは学べないチームワークや忍耐力、喜びや悔しさなど、人間的に成長するために必要なことが学べるよい機会です。今後、少子化や放課後の過ごし方の変化などで部活動への参加が減り、廃部や休部になるケースがふえてくることも予想できます。そういった場合におきまして、部活動はそのすべてが生徒の学習や成長につながるものなので、廃部や休部になる場合も、結果がどうであれ、顧問や関係する先生方には、廃部にならないよう努力する姿を見せてほしいと考えます。
 都教育委員会として、都立高校の部活動の廃部、休部に対する顧問教諭の活動についてどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 また、部活動において外部指導員を活用することへの取り組みには一定の評価をいたします。しかし、制度として定着していく一方で、予算上の制約などで対応しづらい場合も見受けられます。OB会など、部活動指導に貢献したいという積極的な指導者がいる場合には、予算の制約に対して、予算を増額するということだけが解決方法ではなく、学校や教育委員会の知恵で、都立高校の部活動に外部指導者の導入を柔軟かつ積極的に対応すべきと考えますが、所見を伺います。
 部活動における外部指導者にかかわらず、OBを活用することは、生徒の学びに効果的です。例えば、都立の伝統ある高校では、同窓会と連携して、各界で活躍する卒業生によるキャリア講演会などを実施しています。著名人や業界トップの方々だけでなく、いわゆる普通に働く方々や年齢の近い卒業生から仕事や就職に関する話を聞けるのは、生徒にとっても有意義です。このような取り組みは、在校生が主体的に自身の進路を選択する能力、態度を育てるキャリア教育を進める上で有効な方法だと思います。
 一方で、学校創設後十年にも満たない新設高校では、同窓会の組織自体がいまだ強固なものではなく、キャリア教育への支援がおぼつかない状況もあります。学校からの求めに応じて、キャリア教育に協力をするような仕組みを導入することにより、同窓会自体も活動が活発になることが期待できるのではないでしょうか。
 都立高校において、同窓会などを活用してキャリア教育を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、電力政策について伺います。
 東電は本年四月に、企業、産業向けのいわゆる自由化部門の電力料金値上げを強行しました。しかし、自由化部門といっても、実質的に東電以外に電気の供給先を需要家が選ぶことに制約がある状況では、競争が担保されているとはいえません。
 報道によれば、いまだ四割の需要家が契約に応じていないようですが、逆にいえば、値上げの説明に東電の不手際があるにせよ、やむなく契約更新に応じた六割の需要家がいるということになります。
 電力の安定供給など、エネルギー政策は国が主体的に取り組む課題であり、電力システム改革の方向性についても、国の専門委員会などで議論されていることは承知しておりますが、需要家が電力の供給先を自由に選択できる、真の意味での競争が担保されるようにしていくことは、都としても重要であります。
 そこで、都は、電力システムの改革にこれまでどう取り組み、今後どう取り組んでいくのか伺います。
 また、東電管内の電力供給は、昨夏のような危機的状況にはないものの、都民生活や経済活動を支える電力の安定供給には、火力発電所の役割が以前にも増して重要となっています。しかし、九都県市首脳会議でも議題となったように、運転期間が四十年を超える老朽火力発電所や三十五年を超える予備軍が多数存在し、その設備更新には一兆円を超える投資需要が見込まれています。
 このような老朽火力は、故障による停止のリスクを常に抱え、リプレース、つまり設備更新は喫緊の課題となっています。
 一方、東電の経営状況を見ると、多くの資金と時間を必要とする老朽火力のリプレースに東電が単独で取り組む余力がないことは明らかです。今回の東電の総合特別事業計画においても、今後は、老朽火力のリプレースについて、他社との共同事業という方向性が出され、東電の火力発電所八カ所がその対象として記載されています。東京のエネルギー政策上、重要な位置づけにある大井火力発電所も、その候補として上がっています。
 都として、こうした東電の老朽火力のリプレースは最優先で行っていかなければならないと考えますが、具体的な取り組みについて伺います。
 また、昨夏の電力不足の経験を踏まえ、都民や事業者の省エネに対する関心は高まっております。しかし、エネルギー効率という観点から、本当の意味での省エネは進められていないのではないでしょうか。例えば、発電所は一部を除き、熱エネルギーを電気エネルギーに変換しています。しかし、消費者側で電気エネルギーから熱を取り出すのは、エネルギー的には非効率だと思います。このような事例はまだ多いのではないでしょうか。
 そこで、都は今後、エネルギー効率という観点から、都民が真の省エネを進められるよう積極的な啓発を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、観光について伺います。
 旅行者向けの観光ガイドや説明用の看板は、情報提供に有効ですが、その育成や設置、更新に係るコストなど制約も少なくありません。
 そこで、旅行者への情報提供におけるICT技術の活用を提案いたします。
 ICT技術の活用により、携帯情報端末などを通じて、文字や映像での情報提供はもとより、多言語による多人数への対応も容易となります。また、二次元バーコードや専用アプリにより、楽しみながら情報を取得する仕掛けの構築も可能であります。何より、情報の更新が迅速かつ低コストです。
 ただ、こうした仕組みの開発に当たって、収益性が追求されると、旅行者のニーズに沿わなくなる可能性も高くなります。
 そこで、行政が民間の取り組みをつなぎ、その基礎的なプログラム開発にかかわるなどで観光にICT技術が活用されれば、東京のイメージやブランド力の向上につながると考えます。
 進歩が著しいICTの世界に行政がかかわることは難しい側面もあるとは思いますが、東京を訪れる旅行者の拡大を図り、その利便性を上げるためにも、受け入れ体制の充実に資するICT技術を活用した情報提供を進めていくべきと考えます。都の見解を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔副知事猪瀬直樹君登壇〕

〇副知事(猪瀬直樹君) 淺野克彦議員の一般質問にお答えします。
 電力システム改革の取り組みについてですが、東京電力など九電力体制による地域独占の弊害である競争のない電力市場の改革を目指して、東京都はさまざまな提言を行ってきました。
 現在、自由化部門に占めるPPS、いわゆる新電力の全国シェアは三・五%にすぎません。需要家が東電以外の事業者と電気の供給契約を結ぼうとしても、この期待にこたえられる状況ではありません。
 電力市場の自由化に当たっては、新規事業者の参入ルールの策定が必要であると認識していますが、まずは弱者である新電力を育成するために参入障壁を取り除くなど、政策誘導を行うことによって新規参入を促し、携帯電話市場のように、競争が当たり前の世界にしていくことが重要だと思っています。
 具体的には、東電等の送配電網を利用する際に支払う託送料金について、新電力の負担を軽減するなどの措置を講ずるべきことを国に提言してきました。経済産業大臣あるいは資源エネルギー庁長官に具体的に伝えました。
 また、今後、東京都みずからの取り組みとして、公営水力発電事業の売電先について、これまで条例により、東電のみを相手方としてきたものを、他の事業者に売却可能となるような検討を進めるとともに、同一事業所において、東電と新電力の双方から電力供給を受ける複数契約の推進などを通じて、競争環境の創出に取り組んでいきます。
 老朽火力発電所のリプレースについてですが、東電の火力発電所は、約四割が運転開始から三十五年を経過しており、今後、故障などの発生により、停止することもあり得ますので、電力の安定供給に支障が生じるおそれがあります。発電所も車の車検と同じで定期的にチェックするのですが、古くなると部品供給が、どんどんどんどん高くなります。性能も、古い車と同じで、古くなっていくとかなり効率が悪い。そういうことで、これから高効率かつ環境負荷の少ない発電所へのリプレースが早急に取り組むべき課題として迫られています。
 しかしながら、東電は、もはや自前でリプレースを行う経営体力はなく、他の民間事業者に依存せざるを得ない状況であります。一方で、新電力は販売電力の確保が課題となっています。
 そこで、先般、これも経済産業省に行き、枝野経済産業大臣に対して、新電力の自由化部門におけるシェアを、具体的に数値目標で三割と、そういう形できちっと目標設定をして、それを比重を高めていくというふうな大胆な政策展開が必要であると、こういうふうに提案して、そうしようというふうな話になりました。
 具体的には、今後更新されると想定される東電の老朽火力八カ所のうち、大井火力発電所などを東電以外の事業者がリプレースして、複数の新電力の電力供給基地として開放するということを提言しました。これにより、地産地消のエネルギーの確保と電力システム改革に向けた新電力の育成を図ることが可能となります。
 今後とも、東電改革の重要なテーマである東電の老朽火力発電所のリプレースに向けて、積極的に取り組んでいきます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、不登校生徒に関するデータの把握についてでございますが、区市町村教育委員会が不登校対策を検討する上で、不登校生徒の出現状況を把握することは重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、これまで区市町村別の不登校生徒数について、公立学校統計調査報告書で毎年公表いたしますとともに、指導主事連絡会等で不登校への対応策について情報交換を行ってまいりました。
 今後は、各区市町村の不登校生徒の出現状況について、都全体の状況と比較ができる資料を作成し、各自治体が不登校の状況をより正確に把握し、対応できるよう、区市町村教育委員会に提供してまいります。
 さらに、不登校対策で効果があった具体的な事例等につきましても積極的に提供することで、不登校解消に向けた取り組みが充実するよう支援してまいります。
 次に、地理歴史科と公民科の関連を図った授業研究についてでございますが、新学習指導要領では、歴史においては、歴史的事象を地理的条件と関連づけて、また、地理においては、地理的事象を歴史的背景と関連づけて考察することが、新たに地理歴史科の各科目の目標に加えられたところでございます。
 都教育委員会は、こうした新学習指導要領に対応した地理歴史科の授業について、教科等の指導内容、方法を研究し、実践事例の開発を進め、その成果を発表会や報告書により、全都立高校に広めております。
 さらに、地理歴史科の授業を計画する際には、公民科との関連に留意する必要がございますことから、今後はこうした視点からの研究も進めてまいります。
 次に、都立高校の部活動の休部、廃部に対する顧問教諭の活動についてでございますが、部活動は、生徒の自主性や社会性などを育て、豊かな人間関係、さらには個性、能力の伸長や体力を向上する上で極めて重要な教育活動でございます。
 しかし、都立高校の部活動の中には、運動部系、文化部系を問わず、部員数の減少により、休部や廃部となるものもございます。こうした部員数の減少による休部や廃部の防止に向けまして、都教育委員会は、今後とも、部員数の動向を把握しております顧問教諭に対して、生徒に部活動への関心を持たせ、新入部員の確保に努めるよう、講習会等の機会を通じて働きかけてまいります。
 次に、都立高校の部活動における外部指導員の導入についてでございますが、卒業生や地域の専門的指導者を外部指導員として部活動に導入することは、部活動を活性化するための有効な手段の一つでございます。
 このため、都教育委員会は、平成十八年度に規程を改正いたしまして、外部の指導者が部活動の顧問を行えるよう門戸を広げてまいりました。その結果、平成十九年度から平成二十三年度までの間、都立高校には延べ八千四百二十九人の外部指導員が導入され、そのうち、延べ四百四十九人の外部指導員が顧問として正式委嘱され、部活動に貢献していただいております。
 今後とも、都教育委員会は、部活動に貢献する意欲ある外部の指導者について、適切に導入していくよう、各学校を指導してまいります。
 次に、都立高校における同窓会を活用したキャリア教育についてでございますが、同じ高校出身の社会人から話を聞く機会を設けることは、在校生に身近な進路のイメージを持たせることができ、キャリア教育の推進の上で非常に効果的であると考えます。
 現在、幾つかの都立高校では、各界で活躍している卒業生から話を聞く取り組みが行われておりまして、生徒に将来への希望を抱かせる機会となっております。
 また、みずからの近い将来像を具体的に描くためには、職業について間もない卒業生から、現在の仕事、そこに至るまでのさまざまな経験や苦労話を聞くことも意義がございます。
 今後、都教育委員会は、各学校が同窓会等の協力を得て、これらの取り組みを進めるよう、実践事例を広め、生徒一人一人のキャリア形成の機会を充実させてまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 核物質を用いたテロに対する対応でございますが、核物質を用いた大規模テロ等が生じた場合、都は、国民保護法の定めにより、東京都緊急対処事態対策本部を設置し、国や関係機関と連携して、国民を保護するための措置を講ずることとしております。
 具体的には、防護措置を施した警察、消防、自衛隊が被災者の救出、救護を担い、都は、緊急被曝医療活動を行う救護班の編成を関係医療機関に要請するとともに、被災地付近の住民等をコンクリート屋内や放射線の影響を受けない安全な地域に避難させるよう区市町村に指示し、移動手段の確保などの支援を行います。
 こうした対応を適切に行うため、都は、対処マニュアルを整備するとともに、関係機関と連携して、大規模テロ等を想定した訓練を行っております。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、除染技術についてでございますが、福島県等におきまして、放射能の除染が課題となっており、そのために効果的な除染技術の開発と検証が求められているものと認識しております。
 昨年八月に施行されました放射性物質汚染対処特別措置法によりまして、除染や汚染廃棄物の処理等の技術開発については、国が行うこととされております。国は、昨年十二月、今後の除染作業等に活用し得る有望な除染技術について公募をしておりまして、除染の効果、経済性、安全性等の評価結果を本年九月に取りまとめる予定でございます。また、本年五月からも二回目の技術公募を行っており、来年三月に評価結果を取りまとめる予定でございます。
 都といたしましては、除染技術に関する国の取り組みを注視してまいります。
 次に、省エネに関する普及啓発についてでございますが、昨年夏の経験を踏まえて、過度に電力に依存した生活を見直し、賢い節電を定着させるとともに、電気、ガスなど各エネルギーの特性を生かした利用を進めていくことが大切でございます。
 都は、低炭素な自立分散型エネルギーを確保するため、昨年夏から、太陽光、太陽熱、ガスコージェネレーションシステムなど、電気と熱の両面から高効率な設備への導入補助を開始しております。
 今後とも、都は、太陽熱利用の促進に向け実施をしております「熱は熱で」のキャンペーンや節電アドバイザーの訪問によるアドバイス等を通じ、都民が総合的なエネルギー効率の高い機器を選択し、快適性、利便性と省エネ、節電が両立した生活を実現できるよう、きめ細かい普及啓発を実施してまいります。
   〔主税局長新田洋平君登壇〕

〇主税局長(新田洋平君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、個人都民税の徴収対策についてでございますが、都では、平成十六年度に個人都民税対策室を設置し、区市町村からの整理困難事案の引き受けや都職員派遣などの支援を行い、税収の確保に一定の成果を上げてきました。
 また、昨年度から、都職員が区市町村を訪問して幅広くアドバイスを行う巡回相談を開始するなど、年々、連携の充実強化を図ってまいりました。
 昨年末には、都内区市町村のほとんどが一堂に会した情報共有の場として、創意工夫に富んだ督促文書の展示会を開催いたしました。参加者は、他団体の取り組みを目の当たりにして相互に刺激を受け、業務改善意欲も高まったところでございます。
 このように、情報を共有し、互いに切磋琢磨することは、区市町村の徴税力強化にとって重要と認識しており、都として、今後そうした機会づくりに積極的に取り組んでまいります。
 次に、納税者の理解を得るための広報についてでございますが、都税が果たしている役割をわかりやすく伝えていくことは、都民の理解を得ていく上で極めて有効であります。
 このため、これまでも主税局では、局ホームページや広報紙「あなたと都税」等で、東京都の歳入歳出予算を初め、都民生活を支える事業や取り組みを紹介してまいりました。
 また、小中学校等に職員が出向いて出前授業を行う租税教室の実施や、中学生の税についての作文に対する支援、協力など、次代を担う児童生徒の納税に対する理解を深める活動にも取り組んできたところでございます。
 今後、より一層わかりやすさに重点を置いた伝え方に努めていくとともに、多くの都民に都税に対する興味を喚起してもらえるよう創意工夫を凝らし、納税者意識の高揚を図ってまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 旅行者に対する情報提供についてのご質問にお答えいたします。
 東京を訪れる旅行者に対して、充実した観光情報を提供することは重要であり、こうした観点から、ICT技術の活用は大きな可能性を持つものと認識しております。
 一方、ICT技術を活用した観光情報の提供については、既に民間事業者によってさまざまな取り組みが行われており、その創意工夫によって日々進歩していくものであると考えております。
 都としては、こうした動向を見据え、旅行者のニーズに的確に対応できるよう、ICT技術を活用する民間事業者等への観光情報の提供などの充実に取り組んでまいります。

議長(中村明彦君) 八十九番田中たけし君。
   〔八十九番田中たけし君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇八十九番(田中たけし君) 四月十八日に首都直下地震による東京の被害想定の見直しが発表されました。これまでの被害想定に対し、客観的データや科学的裏づけに基づき、より実態に即した被害想定へと全面的に見直しが行われたものであります。最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が区部で約七割と広範囲にわたり、死者が最大で約九千七百人にも及ぶとの衝撃的な発表でありました。
 焼失棟数分布図を見ると、私の地元品川区は、焼失棟数百以上を示す赤色が区内西部の広域にわたっており、予測されている焼失棟数が二万一千五百六十九棟、焼失率三一・九%と、都内でワーストワンであります。
 また、平成二十年に公表された地域危険度測定調査でも、火災危険度は品川区の豊町五丁目が都内全域で最も高く、ワーストテンには五地区も入っております。さらに、総合危険度にも、二葉三丁目がワースト四位に入っております。
 これまで品川区では、防災都市づくり推進計画のもと、都内最大の四百九十ヘクタールにも及ぶ林試の森周辺、荏原地区を重点整備地域に指定し、東急目黒線の連続立体交差事業、補助二六号線地区の都市防災不燃化促進事業などの事業が行われ、現在継続中の事業も数多くあります。これだけ積極的に木密対策が行われているにもかかわらず、今回の被害想定や地域危険度はまだまだ改善されておらず、抜本的な対策が望まれます。
 このたび、震災発生時に甚大な被害が懸念される木密地域での不燃化の取り組みを加速させるため、木密地域不燃化十年プロジェクトが実施されますが、品川区を指定せずして、一体どこを指定するのかとの思いを強くいたしております。品川区での木密対策の成果が上がれば、東京都全体の防災対策が進むものと確信しており、防災対策一点に絞り、質問をさせていただきます。
 まず初めに、まちづくりの視点からお伺いいたします。
 木密地域の改善に向け、建築物の不燃化とともに、延焼遮断帯となる都市計画道路の整備が求められます。現在、品川区の重点整備地域内にある小山台地区において、延焼遮断帯としての効果だけではなく、広域避難場所である林試の森公園へのルート確保の観点から、都市計画道路補助四六号線の整備事業が行われております。多くの地元の方々の協力のもと、事業が行われており、一刻も早い開通が望まれております。この補助四六号線の開通時期はいつごろなのかお伺いいたします。
 また、補助四六号線の開通は、木密地域の改善の視点から大きな効果が期待されておりますが、事業効果をどのように評価しているのかお伺いいたします。
 現在、さきの重点整備地域にある東急大井町線戸越公園駅周辺で、戸越公園駅周辺まちづくり協議会が組織され、都市計画道路補助二九号線の早期整備及び大井町線の連続立体化による災害に強いまちづくりに向け協議を重ねております。既に一昨年、石原知事に直接、地域要望を説明する機会を得、先月には事業推進を求める千二百名を超える署名を石原知事あてに提出いたしました。
 特に補助二九号線は、火災危険度ワーストテンに入る豊町五丁目、二葉三丁目地区を通り、地域危険度の大幅な改善につながり、早期事業化が期待されております。地元での防災都市づくりに向けた熱意をぜひとも受けとめていただきますよう、要望いたします。
 次に、税制の観点からお伺いいたします。
 現在、既存建物に耐震改修を行った際には、固定資産税、都市計画税は据え置きになりますが、耐震性を強化した建物に建てかえを行うと、資産価値が上がり、固定資産税等が上がってしまいます。また、住宅用の土地に対する固定資産税等は、更地と比較すると約六分の一になる特例があり、老朽化し使えない家屋も、取り壊しをせずにそのまま放置している例も見受けられます。
 税の公平性の観点から課題があることは承知しておりますが、建築物の耐震化促進や倒壊危険性のある建築物の除去などの防災対策を進める上で考慮しなければならない税制上の問題点について、検討を進めることを要望いたします。
 一方、首都直下地震がいつ発生するかわからない中、木密不燃化の促進に向け、あらゆる手だてを講じていく必要があり、税制面からの支援も有効と考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向け、耐震診断の義務づけや耐震改修費用の助成制度などがありますが、さらに促進していく上で、税制面からの支援も有効と考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、土地収用制度の活用の視点からお伺いいたします。
 再三申し上げておりますが、災害はいつ発生するかわからず、事業認可された都市計画道路は一刻も早く整備完了することが望まれます。用地の取得は地権者の同意を得ながら着実に進めることが大切でありますが、九割以上の用地取得がなされているにもかかわらず、数名の地権者の同意が得られないため、結果として事業が進まないケースもあります。広範囲にわたる被害が想定される中、災害発生前にどれだけ多くの事業を完了させるかが被害の縮小化につながり、時間との闘いともいえる状況にあります。
 そのような観点から、道路整備事業を行うに当たり、土地収用制度の積極的な活用も視野に入れた取り組みを講じるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 防災都市づくりを進める上では、都だけではなく、区市町村の役割も重要であります。都と同様、用地取得について地権者の同意が得られず、進捗がおくれている事業もあります。区市町村では、用地買収交渉に鋭意臨んでおりますが、区市町村の中には、土地収用制度についてのメリットを十分に認識していないため、あるいはノウハウがないために、本来、制度を活用すれば事業が確実に進むと思われるケースにおいても活用されず、事業が進まないこともあります。
 そこで、防災都市づくりを早期に進めるという観点から、区市町村に対し、土地収用制度への理解をより深めるよう取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、防災力強化に向けた人的対応の視点から、まず、地域での防災隣組の普及に関してお伺いいたします。
 都は、地域の自助、共助を推進するため、東京防災隣組を三十六団体認定いたしました。品川区では地域特性に応じた取り組みを行っている三団体が認定を受けました。
 都は、防災隣組の活用を広く紹介し、都内全域へと普及させていくことを目指しておりますが、地域特性に応じた取り組みは、同様の特性を持つ認定団体周辺地域へと波及させていくことも効果的だと考えます。広域的な普及活動に加え、周辺地域での普及に向け、区市町村と連携した取り組みを展開すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、地域特性に応じた消防団のあり方に関し、お伺いいたします。
 このたび、消防庁と水道局が排水栓の取り扱いにかかわる覚書を締結し、消火栓と同様の構造を持つ排水栓が活用できるようになり、特に木密地域での防災力の強化につながり、消防団の活躍を期待するものであります。
 これまで消防団では、人材育成や資器材の充実を図るなど全体的機能強化を図ってまいりましたが、並行して地域特性に応じた消防団の育成も望まれます。
 そこで、東日本大震災を踏まえ、特別区消防団の活動をより一層充実させるための消防庁の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、高校生の防災教育についてお伺いをいたします。
 これまで我が党は、昨日の代表質問での一泊二日の宿泊防災訓練を初め、防災教育の改善、充実について質問を重ねてまいりました。大原教育長からは、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人材を育てるとの理念に基づく防災教育を推進し、自助、共助、公助の精神をはぐくんでいくとのご答弁をいただいております。
 品川区でも防災教育に力を入れており、区内の全中学校にD級ポンプを配置し、操作方法を学ぶとともに、中学生有志によるポンプ隊を結成し、地域の防災訓練に参加するなど防災力向上に努めております。
 この取り組みが中学校での経験で終わることなく、高校でより実践的な活動につながることを期待しております。
 平日の昼間、多くの社会人たちが都心へ働きに出ている際に災害が発生した場合などは、地域で学ぶ中学生や高校生が防災の担い手となることが期待されます。
 このたび、宿泊防災訓練に加え、地元の大崎高校を初め、都立高校十二校を防災教育推進校に指定いたしました。大崎高校は、広域避難場所である戸越公園に隣接しており、災害発生時に避難場所での大きな活躍を果たしてくれるものと期待をしております。
 そこで、防災教育推進校の取り組みについてお伺いをいたします。
 今回の被害想定の見直しは、東日本大震災の際、想定外の事態が数多く発生し、多くの被害が生じたことを教訓に、過去の災害の最悪のケースをもとに、また、最新データを活用し、被害想定を見直し、その対策を講じることで万全の備えをしていくものと受けとめております。そのため、広範囲にわたり大きな被害が生じる想定となっておりますが、この被害想定どおりにならないよう、より積極的に防災対策に取り組むことが求められます。
 首都直下地震がいつ発生するかわからない中、防災対策は待ったなしの状況であり、木密対策は、大都市東京に残された大きな課題であります。この課題解決を通じて、初めて高度防災都市東京が実現されるものであり、私権の制限や土地収用制度の積極的活用なども含む石原知事の力強いリーダーシップが一層期待されております。改めて木密地域解消に向けた石原知事のご決意をお伺いし、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 田中たけし議員の一般質問にお答えいたします。
 木密地域の解消についてでありますが、この木密地域というのは、まさにこの東京のアキレス腱でありまして、都民が考えている以上に広範囲に点在しております。
 しかし、この木密地域は独特の風情もありまして、まちに入ってみますと、人情が細やかで、非常に連帯のとりやすい、昔ながらのそういう古いまちでもあります。
 一方では、今回の被害想定でも改めて浮き彫りになったように、一たびその大地震が発生すれば、建物倒壊や火災などによって甚大な被害が出る構造にもなっております。せめて、そこに居住している方々の生命だけでも守るべく、数年前に寝室をごく簡単に補強する、そういう工法というものを幾つか専門家に頼んで展示もしましたが、余り皆さんその気にならぬですね。まちに行って話してみますと、まちの長老や古い人たちに話しますと、石原さん、東京は危ないよ、必ず地震が来るよ、じゃあ、あなたのところ、危ないよというと、うちは大丈夫だと。なぜか、まあおっしゃる。
 人間というのは、人間は必ず死ぬっていうことは良識で知っていますけれども、自分が死ぬということを信じていないのと同じように、この木密地域の方々も、なぜか、確信を持ってうちは大丈夫とおっしゃるんで、なかなかとにかく話が進まないのが現況でありますが、いずれにしろ、この日本のダイナモである東京を、高度な防災力を備えた都市へと進化させていくために、不燃化十年プロジェクトを立ち上げました。八月には先行実施地区も定めて具体的な取り組みに着手いたしますが、強制力を持った事業手法や建てかえ時の生活支援など、さまざまな施策を総動員して、ともかくその木密地域の改善を一段と加速させていきたいと思っております。
 大震災の記憶が残る今、住民の危機意識を喚起して、地元区も巻き込みながら、東京を、壊れず、燃え広がらないという、そういう都市につくり変えていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 防災教育推進校の取り組みについてでございますが、防災教育推進校に指定した十二校では、生徒による防災活動支援隊を新たに結成し、地域防災訓練の実施に向けた会議への参加等を行います。また、地域の消防署等と連携した消火訓練、東京消防庁消防学校等での一週間程度の宿泊防災訓練、上級救命講習の受講など実践を中心とした防災教育を実施することとしております。
 今後は、事業を検証した上で、地域の特性を踏まえた防災訓練や小中学校との合同避難訓練を実施するなど内容を充実いたしますとともに、新たな防災教育推進校を順次指定することにより、防災教育を拡大してまいります。
 こうした取り組みを通して、生徒の防災に関する意識や技術を高め、高校在学中だけでなく、卒業後もそれぞれの地域での防災に貢献できる人間を育成してまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、補助四六号線についてでございますが、本路線は、目黒通り、中原街道と並行する放射方向の道路であり、防災都市づくり推進計画において重点整備地域に位置づけられた木造密集地域を貫く重要な都市計画道路でございます。
 本路線の山手通りから補助二六号線までの約一・三キロメートルの区間のうち、未開通箇所について、今月二十七日に交通開放する予定でございます。
 これにより、新たな道路ネットワークが形成され、災害時における延焼遮断帯としての空間確保や避難場所である林試の森公園へのアクセスルートの強化など、地域の安全性や防災性の向上が図られます。
 今後とも、財源の確保などに努め、地元区と連携を図りながら、燃え広がらないまちの実現に向け、都市計画道路の整備を全力で推進してまいります。
 次に、土地収用制度の活用を視野に入れた取り組みについてでございますが、道路整備の推進のためには、関係権利者の理解と協力を得て、事業用地を着実に確保することが重要でございます。
 このため、都はこれまでも、日本有数の折衝力を有する用地職員によるきめ細かな対応により、公正かつ公平な補償を行うとともに、代替地のあっせんなど、関係権利者の生活再建に向けた取り組みを行っております。
 また、事業への反対や補償への不満などにより解決が困難な案件につきましては、第三者機関による公正中立な判断が得られる土地収用制度により解決を図ってきております。
 今後は、防災上、効果の高い都市計画道路の整備を加速するため、関係権利者の生活再建支援を充実させるとともに、土地収用制度の機動的、積極的な活用を図り、事業効果の早期発現につながる用地取得を進めてまいります。
   〔主税局長新田洋平君登壇〕

〇主税局長(新田洋平君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、木密不燃化の促進に向けた税制面での支援についてでございますが、首都直下地震が切迫している中、木密地域の不燃化促進は極めて重要な課題であると認識しております。
 そのため、特に重点的、集中的に改善を図るべき地区として指定される特区におきましては、あらゆる手だてを講じていく必要があり、その支援の一つとして、税制面から対応していくことも有効であると考えております。
 今後、政策効果と公平性とのバランスや税収への影響等を十分に検証しつつ、関係局と連携しながら、効果的な税制活用について検討を進めてまいります。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化についてでございますが、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の促進は重要な課題であり、他の政策手段と組み合わせながら、税制面から支援することは有効であると認識しております。
 特定緊急輸送道路につきましては、そのエリアが広範に及ぶことから、都の固定資産税の課税対象地域である二十三区内にとどまらず、多摩地域や近隣県も含め、路線全体で沿道建築物の耐震化を進めていく必要がございます。
 このため、沿道地域において一体的に固定資産税を減額する税制上の優遇措置が受けられるよう、耐震改修を行った建築物に対する地方税法上の特例措置の創設に向け、関係局とも調整し、国に対し提案要求してまいりたいと考えております。
   〔収用委員会事務局長細野友希君登壇〕

〇収用委員会事務局長(細野友希君) 区市町村への土地収用制度に対する理解を深める取り組みについてでございますが、東京の防災都市づくりを推進していくためには、道路事業等を担う区市町村においても、収用制度を正しく理解し適切に活用することが重要であると認識しております。
 これまで、区長や市長など区市町村のトップを初め、用地担当部署を訪問し、制度の意義や効果等についてPR活動を行うとともに、区市町村の担当職員が収用制度を円滑に活用できるよう、制度に関する知識、ノウハウを学ぶことのできる研修などを開催してきております。
 今後とも、区市町村に対し、こうした取り組みを進めるとともに、今年度は新たに収用手続に関する事例を踏まえた実践的な研修を開催し、収用制度がタイムリーに活用されるよう積極的に支援を展開してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 防災隣組の普及に向けた区市町村との連携についてでございますが、東京の自助、共助の強化を図るためには、その先導的役割を担う防災隣組の意欲的な活動を近隣の地域へ広げていくことも重要であり、そのためには地域の実情に精通している区市町村との緊密な連携が必要でございます。
 このため、都は、シンポジウムや紹介冊子作成等の広域的な普及活動に加え、地元の区市町村と連携して防災隣組やモデル地区のさまざまな活動を紹介するイベントを開催するなど、各地域でのきめ細やかな普及活動も推進してまいります。
 こうした取り組みにより、防災隣組の活動の近隣地域への浸透を図り、地域の防災力の向上につなげてまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 東京消防庁における特別区消防団活動の充実についてでありますが、震災時を含めた消防団の活動は、防災リーダーとして地域の安全を確保する上で、その果たす役割は極めて重要であります。
 このため、これまで消防団活動に必要な資機材や分団本部施設等を計画的に拡充してきたところであり、新たに専用の携帯無線機を初め、電光標示器や非常用発電機等を整備しております。
 また、都知事の諮問に応じ、特別区消防団運営委員会においては、現在、東日本大震災を踏まえ、地域特性に応じた消防団活動のあり方について審議されているところであります。
 今後、その答申内容を踏まえて、各区や関係部局等と連携し、引き続き消防団の活動体制の充実強化に努めてまいります。

副議長(ともとし春久君) 五十三番神野吉弘君。
   〔五十三番神野吉弘君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇五十三番(神野吉弘君) 東京都は、アジア地域の業務統括、研究開発拠点となる外国企業を五十社以上、その他の外国企業五百社以上を誘致し、新規需要や高付加価値を創出して、東京の、ひいては日本経済の活性化を図るアジアヘッドクオーター構想を進めています。
 現在、政府から特区エリア指定を受け、具体的な事業計画策定を行っている段階と伺っていますが、この施策を東京にとってより効果のあるものとするために、幾つかの質問を行います。
 今回の誘致に当たっては、誘致企業に対して税制面での優遇措置を与えることになっています。国税である法人税は二〇%の所得控除、地方税の法人事業税は全額免除。これによって、誘致法人の実効税率は、三八・〇一%から二八・九%まで下がります。さらに、固定資産税も全額免除。たとえ五年間とはいえ、破格の優遇であります。
 景気の低迷を受けて、都内貸しビルの空室率が高どまりをし、固定資産税の支払いが困難なビルオーナーがたくさん存在します。
 また、円高による製造業の空洞化の中、懸命の努力を続ける都内企業が多数あるのに、誘致する外資系企業に対してこれほどの優遇措置を与えるからには、誘致することによる大きな経済効果をアピールしなければ、国内企業はもとより、みずからの努力で市場の開拓を行って定着をしている既存の外資系企業も納得をしません。
 お話によると、外国企業五百社を誘致したときの経済波及効果は九千六百億円と試算をしているとのことですが、基礎となる数字は平成十六年三月のものです。リーマンショック前の数値では、いささか説得力に欠けます。
 そこで、今回のヘッドクオーター構想による正確な経済波及効果の数字をお示しをいただきたい。
 対象企業の誘致活動はこれからとのことです。しかし、これだけの税制上のインセンティブを与えるわけですから、対象企業の選定に当たっても当然厳しい基準を設け、都内企業が納得するものとしなければなりません。外資系企業に税率を下げて、ただ来てくださいというのでは、投資が欲しいだけの発展途上国です。最近では、あの中国ですら、投資額、雇用、技術移転を条件として誘致企業の選定を行っているとのことですから、誘致する企業には、雇用や日本国内での生産を初めとして、さまざまな条件をつけるべきです。
 例えば、日本国内で行うビジネスは、都内企業と競合するものであってはいけません。なぜなら、同じ市場で競合するとしたら、税制面での優遇がある分、誘致企業が有利となってしまうからです。雇用が生まれて外資誘致の経済効果が上がったといっても、その陰で都内企業の売り上げが落ちたのでは、何のための施策かわからなくなってしまいます。日本には全くなかった新しい発想を持った外資系企業を誘致し、そのノウハウを都内企業が吸収できる機会を求めるべきです。
 また、製造業ならば、当然、都内での生産を義務づけるべきです。それによって雇用や下請企業の利益も生まれるわけですし、都内企業が新たな技術移転を受けることができれば、大きな効果を生むことができます。
 都は、外資系企業の誘致に当たってどのような戦略をお持ちなのか、見解を伺います。
 このヘッドクオーター構想では、税制面での優遇のほかにもさまざまな配慮が施されています。例えば、都が率先して、都内中小企業のすばらしい技術を誘致企業に紹介するサービス。誘致企業にとっては、日本のすばらしい技術をものづくりに生かすことができ、新たな可能性を広げることができる。都内中小企業にとっても、新たなビジネスチャンスを生むことができれば、双方にとって経済活性化を図ることができるわけですが、そこでぜひ配慮していただきたいのが知財保護及び技術流出への対策です。
 我が国は、技術を守るという意識が非常に希薄でした。これまでも、何度も、欧米諸国や中国、韓国に煮え湯を飲まされてきました。例えば、高峰譲吉が発見したアドレナリンは、アメリカのジョン・エイベルに業績を盗まれ、欧米ではエピネフリンとしか呼ばれません。武井武が発見した磁性材料のフェライトの特許は、技術を盗んだオランダのフィリップス社の国際特許が認められてしまいました。最近でも、特殊鋼板の製造技術を盗んだ韓国ポスコ社を新日鐵が訴えたり、サムスン電子への技術流出によって、日本の家電メーカーが苦境に立たされています。
 まさに国際社会とは、他国の技術を盗むことにたけた魑魅魍魎が住む世界です。日本の人のよさがえじきとされています。
 そこで、善良な中小企業がこうした技術窃盗に遭うことがないよう、十分な対策を講じて保護すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、誘致した外資系企業社員の生活環境を整備するためとして、EPA看護師、介護福祉士を活用したベビーシッターを確保する事業について伺います。
 最近、日本語が難しく、試験に合格できなかった彼女たちへの同情が高まり、日本語能力のハードルを下げるべきとの大合唱が始まっていますが、私はその論にはくみしません。介護福祉士、看護師の仕事は、日本人の命を預かる仕事です。もともと日本語は語彙が非常に豊富。同じ頭が痛い、腹が痛いでも、しくしくなのか、がんがんなのかでは意味が違います。日本語能力が十分でなければ、お年寄りや患者の言葉から症状を読み取ることができません。
 都は、今回のヘッドクオーター構想の特区制度を利用して、合格できなかった彼女たちの在留資格を変更、外国語のできるベビーシッターとして雇用し、外国企業社員の便宜を図るとしていますが、都がすべきは、彼女たちの日本語能力や専門知識を高める支援を行うことと考えますが、見解を伺います。
 日本のGDPの九割は内需です。それほど日本の国内市場は成熟をしていて、みずから進出をしてくる外資系企業も数多く存在します。今回、税制面等のインセンティブを与えてまで外資系企業をわざわざ呼ぶならば、真に日本企業にとってプラスになる戦略を構築しなければなりません。大切なのは日本です。グローバリズムの時代だからこそ、ナショナリズムが必要なんです。
 親善や友好といった言葉に流されず、また、五百社という目標に縛られず、しっかりした制度構築をお願いして、次の質問に移ります。
 先日、売れっ子お笑い芸人の母親が、長年生活保護を受給していたことが発覚をして社会問題になりました。その芸人が記者会見で、今度は自分がおかんの面倒を見ないといけないということに関して、考えが非常に甘かったと語っていた。私は、この言葉にこそ現代社会のさまざまな病理の根本があると考えました。
 年をとった親の面倒や子育ては、本来は家族の役割でした。とりわけ日本の家族は、お互いを助け合うセーフティーネットとしての機能と、先祖崇拝を通して、みずからが社会的存在であり、歴史的存在でもあることを子どもたちに自覚させ、倫理観、道徳観、宗教的情操をはぐくむという教育機能をも果たしてきました。
 家族の形の変化に伴って、行政へのニーズが高まっていますが、その変化を前提とした行政のあり方を追求するよりも、家庭、家族の役割を再評価、再構築することを求めるべきと考え、都の行政施策について伺います。
 都営住宅での孤独死が問題になった。また、亡くなった親の弔いもせず、ミイラになるまで放置して、その年金をかすめ取るという信じがたい事件も発覚しました。育ててくれた親の恩に感謝する風潮が失われつつあります。子どもたちに親孝行を教えるべきです。
 確かに、親と離れて暮らす所帯の増加や複雑な人間関係によって、行政の手助けが必要な場面がふえていることも事実です。でも、行政はあくまで家族の補完であって、代替にはなり得ません。独居老人の生活保護受給率が高いことからもわかるように、育ててもらった子どもが親の面倒を見る、親孝行の精神風土を取り戻さなければ、国がつぶれてしまいます。
 都は、今後、道徳教育に力を入れるとしていますが、とりわけ親孝行を重視すべきです。価値観の押しつけは悪とする批判もありますが、教育に強制はなじまないとするこの主張こそが、今の時代の混迷を招いているんです。都は、憶することなく徳目教育の中で親孝行を教えるべきですが、見解を伺います。
 都はことしから、離婚した親子の面会を支援する事業を全国に先駆けて開始しました。離婚家庭の増加を所与のものとし、行政へのニーズが増加していることが理由との説明ですが、私は、都が主眼に置くべきは、正式に結婚をした夫婦と、その子どもから成る家族の大切さを重んじて、それを維持させる政策だと考えます。
 子はかすがいというように、離婚を思いとどまらせるのは子どもに対する愛情です。ならば、離婚親子が子どもと面会することを仲介するサービスは、夫婦の離婚に向けてのハードルを低くすることになるのではないでしょうか。
 民間団体も行っているそのサービスを、あえて無料で都が行う必要があるのか、見解を伺います。
 保育所の待機児童解消が強く叫ばれています。その声を受けて、都は、保育の拠点づくりとして、認証、認可保育所の施設整備に平成二十四年度、約八十五億の予算を計上し、その拡充に努めています。
 ハード整備費と運営費などのソフト費用の単純比較はできないことはわかっていますが、例えば、在宅で子育てをするお母さんへの支援策、一時預かり事業の運営費補助には、約四千万の予算しか計上されていません。在宅での子育て支援は、ほかにも子育て広場への運営費補助などもありますが、全体的に少ないといわざるを得ません。
 子育てをしているのは、仕事を持つお母さんだけではありません。都は、家庭で子育てをする専業主婦への手助けにも力を入れるべきと考えますが、見解を伺います。
 行政施策においては、子どもを預けて働く母親と専業主婦それぞれへのサービスは平等であるべきです。ゼロ歳児保育には、一人当たりの運営費として月額四十万から五十万、一、二歳児には月額二十万前後の税金が投入される。これだけの税金を投入して保育所をつくっても、保育士は足りないし、待機児童の掘り起こしにつながるだけとの意見もあります。ならば、保育所を利用する人に投入されるその税金相当額を、保育所を利用せず家庭での子育てを選択する母親に手当として支払うことを検討してはどうでしょうか。ノルウェーで行われている在宅育児手当制度の検討を要望させていただきます。
 現在、高校で使用されている家庭科の教科書を見ると、家族の多様化のみが強調され、本来の家族の意義というものが相対化されています。伝統的な家族の役割である高齢者介護や子育てについても、その経済的、精神的負担のみが強調され、家族間の信頼関係についての肯定的な記述を見つけるのにも苦労するほど、極めて偏った記述があふれています。
 今、大阪維新の会に代表されるように、維新という言葉が大はやりです。しかし、そのモデルである明治維新の本質は一体何かというと、革命でもなくて、改革でもありません。王政復古なんです。
 変化を受けてそこからの改革を訴えるのではなく、都は、伝統的な家族の復古を政策として訴えるべきと考えますが、知事の所見を伺って、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 神野吉弘議員の一般質問にお答えいたします。
 家族の再生についてでありますが、有色人種で初めて、当時においての近代化というものを達成した明治維新の本質が王政復古であるとする議員の主張はともかくも、人間はだれしも他者とのかかわりなしには生きてはいけないわけでありまして、家族はそうした連帯の基本単位であると思います。
 しかし、昨今の生活保護をめぐる問題にしても、ご指摘にありました、親の死を三十年も隠して、ミイラになるまで布団をかぶせて、その年金を詐取した問題にしても、家族が機能不全に陥っているのはだれの目にも明らかであります。
 今日の日本は、残念ながら、金銭欲、物欲、そういった我欲が価値の第一となりまして、権利さえ主張すれば何でもかなうという風潮が蔓延してきました。これは、家族が日本人の立場や世代を超えて継承していかなくてはならない垂直な価値の基軸というものを伝える力を失いつつある一つの証拠であると思います。証左であると思います。家族の立て直しこそが差し迫った課題だと私も思います。
 長い年月を経て失ってきたものを一朝一夕で取り戻すことは難しいですが、日本人がかつて脈々として受け継いできたものを今日にもう一回思い直して、確かに伝えていく、伝承する、そういう多角的な取り組みを積み重ねていく必要が絶対にあると思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 児童生徒への親孝行の指導についてでございますが、いかなる時代や社会にあっても、児童生徒に父母等への感謝の念や親愛の情をはぐくむことは、人間として生きていく上で極めて重要なことでございます。
 都教育委員会は、都内の全公立小中学校に対して、道徳教育郷土資料集を作成、配布し、家族への敬愛の心をはぐくむ指導の充実に努めております。
 また、各学校では、道徳授業地区公開講座などで、家族愛等にかかわる授業実践や保護者と地域住民を交えた意見交換会を行い、道徳教育のあり方について理解啓発を図っております。
 さらに、現在新たに作成しております独自の道徳教育教材には、父母等への敬愛を取り上げており、今後とも、区市町村教育委員会と連携した取り組みを推進することで、児童生徒の親に対する敬愛の心の育成に努めてまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 三点の質問にお答えをいたします。
 まず、アジアヘッドクオーター特区についてでございますが、東京がアジアのヘッドクオーターたる地位を確立していくためには、アジア地域の都市間競争、これに勝ち抜く必要があるというふうに認識をしております。
 現在、国内には約三千社の外国企業が進出しておりますが、このうち誘致効果が極めて高い、アジア地区の中核をなす業務統括拠点を置いているのは、都内で十数社、全国でも二十社程度にしか過ぎません。
 このため、今回の特区の取り組みでは、ビジネス環境や生活環境を整えることで、外国企業全体で五百社以上を誘致すること、これを目標としておりますが、インセンティブとなる税制の優遇措置につきましては、アジア地区のこの業務統括拠点等を対象として、五十社以上の誘致を目指すこととしております。
 こうした外国企業と都内の高い技術力を有する中小企業等とのマッチングによりまして、新製品開発や販路拡大の可能性が高まるほか、東京進出後の地方への二次投資等によりまして、日本全体の経済活性化に寄与するものというふうに認識をしております。
 また、特区の取り組みによります経済波及効果につきましては、現在、最新のデータに基づく試算を進めているところでございます。
 次に、誘致対象企業の条件づけなどの戦略についてでございますが、都といたしましては、情報通信、医療、金融、電子・精密機械等の東京のさらなる成長を促す業種、こういった外国企業を誘致対象と考えておりますが、その中でも、先ほど申し上げたところでございますが、税制の優遇措置の対象となる外国企業につきましては、誘致効果の極めて高い業務統括拠点等としております。
 こうした外国企業に対しては、国税と一体となった都税の減免措置や入国審査の簡素化等の規制緩和措置を行うに当たって、資本金、雇用等の一定の要件を国と調整の上、課す考えでございます。
 最後に、EPA看護師、介護福祉士候補者に対する国家試験等の支援についてでございますが、都は、EPAに基づき来日した看護師、介護福祉士候補者の国家試験合格率が低い水準にあることから、国に対して、来日前の日本語教育や来日後の国家試験対策の充実などを強く要望してまいりましたが、一部の改善にとどまっているのが現状でございます。
 そこで、都独自の支援策として、看護師候補者に対しては、首都大学東京と連携し、本年五月に日本語教育を含めた国家試験対策講座を開設したところでございます。
 今後は、来日前のビデオ等を利用した遠隔教育を実施する予定であり、また、介護福祉士候補者に対しても、日本語教育や国家試験対策を行うなど、都として支援策を充実させてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 中小企業の知的財産の保護についてのご質問にお答えします。
 海外への販路開拓などを進める中小企業がふえる中、すぐれた技術を持つ企業の知的財産を保護することは重要となっています。
 知的財産総合センターでは、特許権等の知的財産権を用いた保護方法、共同研究や製品開発時における秘密保持のための契約書の書き方や社内規程のつくり方などについて、きめ細かいアドバイスを実施しております。あわせて、セールスの場面などで意図せざる技術流出を防ぐための営業担当者向けの講習会や、秘密の保持管理に関するセミナーも開催しております。
 こうした取り組みを通じて、中小企業の知的財産の保護を総合的に支援してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、離婚した親子の面会交流支援についてでございますが、本年四月に施行された民法の改正におきまして、親が離婚する際に、別居する子どもとの面会交流に関して取り決めを行うことが新たに規定されました。
 この施行にあわせて、国は、民間支援サービスの利用が難しい所得の低い方を対象に、自治体が無料で面会交流の支援を行う制度を創設をいたしました。
 都は、この制度に基づき、親子の交流に向けた支援を実施いたしております。
 次に、在宅での子育て支援についてでございますが、区市町村では、子育てひろばや子ども家庭支援センターで育児相談に応じるほか、保育所等における一時預かり、保護者が病気や育児疲れなどの場合に子どもを預かるショートステイ、家庭への育児支援ヘルパーの派遣など、在宅の子育て家庭を支援するさまざまな取り組みを行っております。
 地域の実情に応じて区市町村が実施しております子育て家庭に対するこうした取り組みを、都は、今後とも、包括補助事業等により支援してまいります。

議長(中村明彦君) 九番山内れい子さん。
   〔九番山内れい子君登壇〕

〇九番(山内れい子君) 原発の是非を問う都民投票条例の制定を求めて、東京都に直接請求が行われました。昨年の福島原発事故以来、子どもへの被曝や市民生活に対する不安から、多くの市民が行動を起こさずにはいられなかったことを重く受けとめなくてはなりません。
 思えば、チェルノブイリ原発事故による食品の放射能汚染を契機に危機感が高まり、二十三年前の一九八九年、五十五万筆の署名を持って、東京都に食品安全条例の制定を求める直接請求が出されて以来の都民の政治行動です。
 知事がいうような単なるセンチメントではなく、自分たちの権利や暮らしを守りたい、これからの将来にみずから責任を持ちたいと考える都民が、三十二万人もいたということです。
 地方分権一括法が施行され、地方自治体の自己決定権、自立性を高めていくことが今、求められています。
 選挙で選ばれた議員といえども、すべてを白紙委任されたわけでありません。住民の生活や将来を左右する重大な課題については、民意の反映を保障する実質的な制度が必要です。
 知事は、直接民主制が、間接民主制を補完する重要な手段であることは論をまたないがとおっしゃっておられますが、住民投票制度についてどのようにお考えか、所見を伺います。
 次に、エネルギー対策についてです。
 国は、福島原発事故について、きちんとした検証も反省もせず、大飯原発を再稼働しようとしていますが、原発に依存しないエネルギー政策を打ち出すべきです。
 ことし夏の電力需給は、東京電力管内の予備率が、猛暑の場合でもプラス四・五%と試算されています。これは節電の定着が前提ですから、都民、事業者がしっかりと省エネに取り組む必要があります。
 都では、賢い節電について示していますが、具体的にどうしたらよいか悩む人たちも多いと思われます。
 一方、すぐれた節電、省エネ対策を実施している事例もあります。都がその事例を収集し、広く周知することで、節電がより一層進むと考えますが、所見を伺います。
 家庭における賢い節電を定着させるためには、我慢ではなく、電力使用量の見える化を図り、使用量データを活用した取り組みが有効です。
 東京電力は、今後五年以内に総需要の八割にスマートメーターを導入する方針を出しましたが、せっかく導入しても個々のユーザーがそのデータを活用できなければ意味がありません。また、最近では、家庭用エネルギー管理システム、HEMSの導入も始まっています。
 都として、ユーザーが電力使用データを十分に活用し、節電効果が電力料金に反映されるよう国や東京電力に求めるとともに、スマートメーターやHEMSを活用した省エネ、節電の推進についても、今後、普及拡大を目指していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 来月から再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートします。十キロワット以上の太陽光発電については、全量買い取りとなっており、今後、ビルやマンションなど、一定規模の建物で導入の加速が見込まれます。また、市民のお金を集めて市民共同発電所をつくろうという動きも顕著になっています。
 都は、これまで補助事業を実施してきましたが、この機会をとらえて、さまざまな建物で太陽光発電の市場を一層拡大できると考えますが、所見を伺います。
 次に、緑施策についてです。
 都は、先月、「緑施策の新展開─生物多様性の保全に向けた基本戦略─」を発表しました。都はこれまでも、既存の緑を保全する地域指定や自然保護条例に基づく開発許可制度と緑化計画書制度を通じて緑の確保や創出を図り、効果が見られたところもありますが、緑の減少を食いとめることができていません。
 例えば、市街地で四万平方メートル開発される場合でも、そこがグラウンドだったため、自然地が含まれないということで許可制度の対象とならず、そこに戸建て住宅が建つことで、緑化計画書制度の対象にもなりません。
 緑施策の新展開には、開発行為が生態系に与える影響を緩和する新たな仕組みが将来的な方向性として示されており、制度の見直しや緑の確保と創出が進むものを期待しております。
 都は、開発許可制度と緑化計画書制度のこれまでの成果をどのようにとらえ、生物多様性に配慮した緑の質と量を確保するために、今後どのように施策を進めていくのか伺います。
 最後に、若者支援についてです。
 ことし三月、内閣府は、若者雇用を取り巻く現状と問題で、高卒の三人に二人、大卒の二人に一人が教育から雇用へと円滑に接続できていないと発表し、大きな衝撃を与えました。
 五月の総務省発表の労働力調査でも、若者の完全失業率は各年齢の中で群を抜いています。これまで、若者の雇用の問題は、若者の意識の問題として論じられ、若者に責任が押しつけられてきました。しかし、就業の入り口でつまずき、経験やスキルのないまま年齢を重ね、ますます就労が難しくなるという悪循環を断ち切るためには、早期離職の内実を探り、そこを支援しなくてはなりません。
 若者の早期離職は、当事者である若者にとってダメージであるばかりか、非常に大きな社会的コストになります。
 こうした社会状況を踏まえて、現代の若者の雇用状況に対する東京都の見解を伺います。
 二〇一〇年に視察をしたイギリスでは、若者の失業は、単に職を失うだけではなく、将来にわたり大きな困難をもたらすとして、大規模な財政を投じ、コネクションズサービスを立ち上げ、若者のための一体化支援で実績を上げています。
 日本においては、二〇〇九年七月に子ども・若者育成支援推進法を制定し、自治体は全庁横断的な支援体制をつくることになっています。これまで、私たちは、困難を抱えている子ども、若者に対し、学校を卒業してから仕事に定着するまで社会的にサポートしていくべきと要望してきました。
 それには、孤立している若者たちが気軽に相談できる機関や居場所、多様な社会参加の場の提供等が欠かせないと考えますが、都の見解と取り組みについて伺います。
 都では、多摩地域の人材育成支援の拠点として、二〇一一年四月に、多摩職業能力開発センターを開設し、一年が経過しました。平均年齢が二十代のコースでは就職率も高く、企業側も大いに期待していると聞いています。仕事とのミスマッチを防ぎ、就職したい職業に必要な知識、技能を身につける機関として効果的な支援の一つであり、質、量ともに充実することが必要です。
 そこで、多摩職業能力開発センターにおいて、若者の能力開発にどのように取り組んでいるのか伺います。
 東京都労働相談情報センターやNPO法人労働相談センターに寄せられる相談では、職場の嫌がらせやいじめ関連の相談がふえていると報告されています。これは、まさにパワーハラスメントそのものにほかなりません。
 このような情勢を踏まえ、ことし三月、厚生労働省の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言により、定義と対策が発表されました。
 うちに限ってない、関係ないという思い込みが、パワーハラスメントの顕在化を妨げています。防止するためには、パワーハラスメントの認識の共有、予防と対策に真剣に取り組むことが必要です。
 そこで、都庁内においてパワーハラスメントをどのようにとらえ、未然防止や対策を行っているのか伺います。
 また、都として、雇う側の企業や事業主に対して、パワーハラスメントについての認識や防止に積極的な対応を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたしまして、生活者ネットワーク・みらいの質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 山内れい子議員の一般質問にお答えいたします。
 住民投票制度についてでありますが、改めて申し上げるまでもなく、住民投票という直接民主制が、間接民主制、つまり議会制度というものを補完する重要な手段であることは論をまちません。
 しかしながら、今回提出されている条例案の原発稼働の是非に関していえば、一自治体の住民投票になじむものでは決してないということを繰り返して申し上げています。
 エネルギー問題は、国家発展のかなめであります。しかるに国は、いまだにエネルギー戦略の明確な方向性を見出しておりません。高度に発達した社会を支える我が国の経済を発展させるために、いかなるエネルギーをどれだけ確保するか、政治が責任を持って決断し、早急に基本戦略を策定すべきであります。
 その上で、原発稼働の是非は、国が、安全性はもちろん、経済性、産業政策などを複合的に考慮して、専門的な知見も踏まえ、理性的かつ冷静に判断すべきであります。
 住民投票という手段で、ただ観念的に原発の是非だけを問い、その結果がにしきの御旗のごとくの力を持つならば、国を傾け、滅ぼす危険にもなりかねないと思います。
 ゆえにも、都民投票の条例案には反対であります。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 四点のご質問でございます。
 まず、節電対策の優良事例等の周知についてでございますが、都はこれまで、大規模事業所への総量削減義務制度や中小事業所への地球温暖化対策報告書制度、また、家庭の省エネ診断員制度などの地球温暖化対策を進めてまいりました。こうした経験を生かしまして、昨年の夏におきましても、多くの都民、事業者が比較的無理なく節電に取り組むことができたものと認識しております。
 今後とも、都は、事業所でのすぐれた対策事例や家庭向けの具体的でわかりやすい対策について、ホームページで公開するとともに、省エネセミナーや節電アドバイザーなど、さまざまな機会を通じまして、広く都民、事業者に周知し、無理なく長続きできる節電対策を促してまいります。
 次に、家庭における賢い節電の推進についてでございますが、スマートメーターは、時間帯別の電力使用状況を把握できる電子式メーターでございまして、多様な料金制度とあわせて導入することで合理的な節電を促す有効な手段でございます。
 都はこれまで、国や東京電力に対しまして、スマートメーターの導入促進と柔軟な電気料金メニューの設定を繰り返し求めてきております。
 また、現在進められておりますHEMSとの情報連携に向けた規格化の動きを見据えながら、電力使用量の見える化に加え、需給逼迫時における自動制御等、家庭での電気の使用において、快適性の確保と省エネ、節電の両立を可能とするツールとしての活用を促してまいります。
 次に、太陽光発電のさまざまな建物への普及拡大についてでございますが、これまで余剰電力の買い取り制度が適用されてきた太陽光発電につきましては、今後、十キロワット以上という条件つきではございますが、全量買い取りが適用されるようになるため、従来の業態を超えて新たに発電事業に参入する事業者の動きが活発化しております。
 太陽光発電の導入方式としても、建物の所有者がみずから設備を設置する従来の方式に加え、建物の屋根貸し事業など新たなビジネスモデルが広がることも考えられます。
 都は、新たなビジネスモデルも含め、さまざまな形で太陽光発電の市場が拡大できるよう、事業者のニーズも踏まえながら、今後の普及策につなげてまいります。
 最後に、緑施策の成果と今後の進め方についてでございますが、都は、条例に基づく開発許可制度と緑化計画書制度を通じ、緑の確保と創出を着実に推進してまいりましたが、これまでも確保すべき緑地面積の割合の引き上げ、既存樹木の保全の検討の義務づけなど、随時制度強化を行ってまいりました。
 緑施策の新展開では、生物多様性に配慮した質の高い緑化を開発事業者に促す取り組みなど、新たな緑施策の方向性を示しておりまして、今後、緑の保全や創出をさらに積極的に推進してまいります。
 なお、開発許可制度につきましては、対象地に一定規模の自然地が含まれる場合には、グラウンドであっても制度の対象としているほか、緑化計画書制度につきましても、区市の同様の制度との役割分担のもと、小規模な宅地造成にも適切に対応しております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、若者の雇用状況についてでありますが、若者を取り巻く雇用環境は、失業率が高い水準にあることや、フリーターなど不安定な就業を余儀なくされている若者の増加など、厳しい状況にあると認識しております。
 こうした状態を放置したままでは、若者自身の職業的自立やキャリア形成に支障が生じるだけではなく、社会にとっても大きな損失につながります。
 都は、緊急就職支援事業により、非正規の若者の正規雇用化や職場への定着をサポートするとともに、職業訓練の拡充や就業支援の強化など、切れ目のないさまざまな雇用対策を実施し、意欲ある若者の安定的な就業の実現を後押ししております。
 次に、多摩職業能力開発センターにおける若者に対する能力開発の取り組みについてでありますが、昨年四月に施設や訓練規模を拡充して開設いたしました同センターでは、多摩地域の産業特性を踏まえ、エアコンなど電化製品の動作を制御する技能を学ぶ計測制御システム科など、四科目、年間百二十名の定員で、若者を対象とした実践的な職業訓練を実施しております。
 このほか、高校中退者などを対象に、若年者就業支援科溶接コースを年間三十名の定員で実施し、コミュニケーション能力やビジネスマナーなど社会人としての基礎能力を重視した訓練も行っております。
 こうした取り組みを通じて、多摩地域の若者の能力開発を支援しております。
 最後に、職場におけるパワーハラスメントについてでありますが、いわゆるパワーハラスメントを含む職場の嫌がらせは、労働者の尊厳や誇りを傷つけるばかりでなく、職場環境の悪化を招くものであります。
 このため、一義的には、企業の経営者などがその防止や対応を行うことが必要であり、都は事業主などを対象に、ハラスメント防止に関するセミナーや未然防止の取り組みの参考となる冊子等の作成、配布を通じて普及啓発を実施してまいりました。
 お話の国の有識者会議における提言では、パワーハラスメントの典型的な六つの行為類型を示しており、都としても、この提言も活用して、引き続き普及啓発に取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 若者への支援についてでございますが、社会生活を円滑に営むことが困難な若者の支援に当たりましては、関係機関が連携して対応することが重要でございます。
 そこで、都では、若者が電話やメール、面接により人間関係の悩みや孤独などを気軽に相談できる総合相談窓口、これを若者の若と片仮名のナビで若ナビと呼んでおりますが、この総合相談窓口、若ナビを運営し、相談内容に応じて就労、精神保健等の専門機関への紹介を行っております。
 また、ひきこもりの若者については、訪問相談、フリースペース、社会体験活動から成る都のプログラムに沿って支援を行うNPO法人等を登録し、サポートする事業を実施しており、そして参加団体では、若者の自宅への訪問や、自宅以外の安心できる居場所の提供、運営、ボランティア体験活動への参加などを行っております。
 都は、これらの団体や関係機関と連携しながら、若者が社会参加に向けた一歩を踏み出せるよう引き続き支援してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 都庁におけるパワーハラスメントの防止対策についてでございますが、一般的に職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的、身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させる行為とされております。
 近年、企業等では、厳しい経営環境の中で、職場内コミュニケーションの希薄化等の影響により、パワーハラスメントが顕在化しつつありますが、業務上の指導等との線引きが難しく、具体的な行為の認定やその後の対応に苦慮していると聞いております。
 都庁におきましては、現在、こうした企業等の事例研究や管理監督者への研修等を通じて、パワーハラスメントを未然に防ぐ意識啓発を行うなど、良好な職場環境の確保に取り組んでおります。
 今後とも、お話の国の有識者会議の提言も参考としながら、職員一人一人が意欲と能力を遺憾なく発揮できる風通しのよい職場風土づくりに一層努めてまいります。

議長(中村明彦君) 七番土屋たかゆき君。
   〔七番土屋たかゆき君登壇〕

〇七番(土屋たかゆき君) 初めに、石原知事の憲法発言と領土の問題に関して、都議会議員として、また憲法学会会員としてご所見をお伺いいたします。
 知事は、四月十六日、ワシントンにおいて、また定例記者会見、産経新聞の「日本よ」で、憲法問題に関する極めて法理的なご主張をされています。
 この問題は、私の盟友で憲法学会の雄である南出喜久治弁護士、世界的に著名な発明家であり、東京大学における創造学講義においても無効論を説き続けられた中松義郎博士も同じ見解を主張していますが、占領下の昭和二十一年二月三日、マッカーサーは、ホイットニー民生局長にマッカーサーノートを提示、これを基本に憲法を新たにつくることを指示しています。
 改正に関して、米国政府から、日本の統治体制の変革の命題がマッカーサーに出されていることからも、これは形式的意味において天皇の発議をとっていますが、実質的意味においては、法律の専門家もいないGHQ民生局のわずかな人数でつくられ、日本の自主的な帝国憲法の改正憲法という虚構の上で公布されたものであることは、その後、公開された資料からも明白な事実であります。
 サンフランシスコ講和条約第一条(a)では、昭和二十七年四月二十八日までは戦争状態にありました。ポツダム宣言は、第九項で、武装解除などを目的としています。十三項にも、全日本軍の無条件降伏と明記されており、これを戦後の言論統制などで日本国の無条件降伏といいかえ、国際法違反の占領地の法改正、マスコミの検閲、情報操作によって、被占領経験のない日本国民は、心理学定義のマインドコントロールの典型例として洗脳されたのであります。
 ハーグの陸戦法規第四十三条にも、占領地の現行法を尊重しとあります。実際、憲法学者の宮沢俊義氏は、当初、日本国憲法制定は、日本国民が自発的、自主的に行ったものではないと発言し、また美濃部達吉博士も、この憲法は国体、つまり日本の国柄の変更であるとして審議会でも反対、議会でも採決の際は欠席するなどして抵抗をしています。
 比較憲法学の観点からも、フランスの一九四六年憲法第九十四条に、占領下の法改正は無効と書かれています。別にフランスのように明文化されていなくても、国際法に規定がある以上、それは違法といえます。
 その国際法を侵犯して、銃剣による恫喝と厳重な言論統制のもとで、憲法が違法な手続のもとにいわゆる改正され、憲法と同格の皇室典範も、憲法第七十五条では、異常な事態、例えば摂政を置かなければならないような事態での憲法及び皇室典範改正は禁じられているにもかかわらず、占領下という異常事態で、皇室典範にも不当かつ重大な干渉があったといえます。
 そもそも帝国憲法では、憲法改正は天皇が発議するとありますが、日本共産党の野坂参三議員は、二十一年六月二十八日、憲法改正にはその手続がなく、さらに国会では修正できないと書いてあるのに、修正するのはおかしいといった趣旨の主張をし、これは宮沢も美濃部も、さらには民主主義科学者同盟もそういっていて、これは定説だと発言しています。少なくとも、この共産党の発言は正しい憲法解釈であります。
 つけ加えれば、この日の議会で、共産党野坂議員は、防衛戦争は正しい戦争だといい、八月二十四日の本会議では、自衛権を放棄して民族の独立を危うくするから、改正憲法は反対だと主張しています。これを付言しておきます。
 そもそも今の憲法解釈も、議員諸氏も官僚諸君も、大学で宮沢憲法概説を習ったと思いますが、その改正に当たっては基本理念を逸脱したものは無効というのが今の学会の主流です。こうした論に対峙するためにつくられたのが八月革命説です。もしこれが通るとするなら、憲法の規定はことごとく無意味になります。
 このように、手続に重大な瑕疵、欠陥があり、それを正当化する説も極めて陳腐なものです。
 石原知事の憲法についての基本的ご認識は、日本国憲法は憲法として認めがたく、第九十六条の改正条項によらず、無効宣言をして排除できるというご見解であると拝察しますが、法理論的には当然の結論で、その手続を省略しての自主憲法制定は、違法な憲法強制を間接的に認めたものであることを指摘しておきます。つまり、違法性を排除した上で、自主的な帝国憲法の改正手続こそが、法律の精神に合致しているといえます。
 注目すべきは、憲法の復元、改正条項の中で、国を守る権利に関する事項があります。世界の多くの国で、国を守ることは憲法の崇高な行為であると規定されています。参議院憲法審議会報告ホームページには、国を守る権利があると明記されています。国を守るのは義務ではなく、国民の権利だといえます。
 一方、日本国憲法という観点から領土問題を考えたとき、自衛隊は迎撃戦、つまり正当防衛行動しかとれません。となると、例えば尖閣が一たんシナ北京政府に不法占領された後では、尖閣の奪還は、武器使用と戦闘行動対応の制限からして困難となります。領土とそれを守る自衛権など、憲法規定は極めて密接に関連しています。交戦権がない軍は、世界に例がありません。
 したがって、改正憲法でも、交戦権があることを当然とした上で、国民の崇高な権利として国を守ることが明記されることが望ましく、また、例えばスイス憲法のように、保健、介護、環境保護の社会行動を代替として義務づけることも世界の常識であります。
 つまり、国を守る概念は幅広く、国を構成する国民は、その権利とそれに付随する義務が本来あるということであります。
 石原知事の憲法無効宣言、領土と国を守る権利と憲法の条項に関してご見解をお伺いいたします。
 石原知事が、国が何もしないので、都が尖閣を買い上げると発言、マスコミなどは産経新聞を除いて、シナ北京政府におもねった内容の記事を書いています。
 国民は、十一億円を超える浄財を国家を守るために寄付しています。
 ところが、「フィナンシャル・タイムズ」によれば、シナ北京政府駐在大使である買弁資本出身の丹羽宇一郎氏は、国民の石原知事への圧倒的支持について、日本の国民感情はおかしい、日本は変わった国と、まるでシナ北京政府の高官のような発言をしています。ちなみに、民主党、元社会党の横路代議士も同席しています。
 また、民主党政府は、外務省が注意したと官房長官が発表していますが、これは明らかに国益を損ない、多くの国民の尖閣買い上げ支持、都民で九五%を冒瀆する行為で、直截的にいえば、国賊、売国奴といえます。当然、即時罷免が相当でありますが、自民党の山本一太議員が国会で罷免を求めたところ、何と驚くべきことに、野田総理はこれを拒絶しました。石原知事の尖閣への執念、またこうした売国奴外交官の暗躍にどのような考えをお持ちなのか、お伺いいたします。
 次に、いわゆる東京都平和祈念館の問題について、都民的ディベートを提案します。
 これは、平成九年に私が当選した直後の第四回定例議会の前に私が調査した結果で、左翼と生活文化局ぐるみの陰湿な策謀です。展示計画の七分の一が追悼、あとは、東京は軍事都市だったから爆撃された、日本の加害責任の追及などで七分の六が占められています。
 質問の過程で、局は、都議会議員の皆さんにも参加をしていただいてと、その正当性を強調していましたが、先日、野田かずさ都議が「江戸から東京へ」の偏向を追及したときも、教育庁は、文教委員会の先生方にはゲラを配っていますと抗弁しています。配布することが同意したと認識するとするなら、とんでもない法感覚を持った人間といえます。
 なぜ今この話題がと不思議に思われる議員諸氏もいるでしょうが、平成九年から十年にかけて、都議会では大議論になりました。文教委員会でも集中審議が何度も行われ、つじつまの合わない答弁で予算凍結、つまり、計画は実質中止となりました。
 ところが、十年以上経過したころから建設推進の陳情が出るようになり、過日は都議会議員へのアンケート調査が実施をされています。
 このような計画は、大概、審議会がつくられます。前回もそうでした。ところが、座長を含めてトップ三人は、そろいにそろって空襲容認史観、自虐史観であります。
 座長は、この平和祈念館問題が議会で議論になっていることを知って、議会で議論になろうとなるまいと、議会での議論を建設委員会の中に持ち込まないというのが私の考えですと、平成九年十一月十四日の委員会で発言しています。知事の私的諮問機関にすぎない委員会の座長が、都議会の二元代表制を無視した主張であります。
 生活文化局は、この偏った人選について、適正に選んだといい張りました。今もいっています。
 さらに、一般公募と称する民間人が五名参加しています。その審査で選ばれた人の本当の仕事は、団体役員とあるのは、日本原水爆被害者団体協議会事務局次長、平和博物館を創る会編集委員、中学教師とあるのは、教職員組合の教文部長、主婦とあるのは、社民系の日本婦人会議常任委員、社民系でつくる東京平和運動センター代表幹事、会社員とあるのは、反核家族新聞発行人、大学生とあるのは、民青の影響の強い東京の高校生平和の集い実行委員の前歴がある京都大学学生であります。
 実は、公平でない証拠があります。当時、私は民主党に所属しておりましたが、その運動センター幹部から、おれたちが送り込んだ公募委員に反対するなと直接いわれたんですよ、民主党の諸君。このどこが公平で公正なんでしょうか。ですから、公募委員の発言は、追悼から離れて、東京大空襲に至った侵略戦争、回覧板も戦意高揚の政策だといいたい放題であります。
 実は、この審議会とは別に、企画会社の中に秘密の委員会がありました。この委員会の存在が判明したのは、担当課長が説明の折に、うっかり資料を机の上に忘れていったからであります。この秘密の委員会はどんな資料にもありません。企画会社の中にこれをつくったといい逃れをしていますが、実はいろいろな資料から、ここで展示の核心を計画したことがわかりました。もちろん、都庁職員も参加しています。
 生活文化局は、今もいい逃れに終始していますが、都庁官僚諸君は、人権週間に左翼講師を招聘し、天皇が死んだら祝杯を上げようと発言した講師の選定も問題がないといい張り、都立西高のごみ捨て場の後ろに国旗掲揚塔が建設されているのも、巡回する指導主事が意図的に見逃しているさまは、曲学阿世──学問を曲げて世を惑わす──や浅学非才──学問が浅く才能がない──を通り越し、無知蒙昧、左翼小児病罹患と認定できます。
 十五年の間、私は同志とともにこれらを摘発してきましたが、局から私たちに報告があった事例はゼロです。これを考えると、橋下大阪市長の公務員制度改革が必要であると考える都民はたくさんいます。
 ゲーテは、最も民族的なものこそ最も国際的といいました。また、歴史学者トインビーは、十二歳ごろまでに自国の神話を教えられていない民族は滅びると、またリンカーンは、国民は記憶の糸でつながっているといっています。
 この民族の歴史の糸をへんぱ的で稚拙な政治的なアジテーション史観で踏みにじっているのが今日の教育や左翼の歴史捏造です。この問題についても、石原知事のご見識をお伺いいたしまして、私の質問といたします。「Alles über Japan」、意味、自分で調べてください。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 土屋たかゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、憲法についてでありますが、現日本の憲法なる怪しげな法律体系の非常に矛盾に満ちたといいますか、ゆがんだ成立の過程に対するあなたのご指摘は全く正しいと思います。それを証明する資料はたくさんあります。大事なことは、私たちがどういう形で降伏したかということを思い返す必要がある。
 ドイツも日本に先んじて数カ月前に降伏しましたが、ドイツと日本の降伏の形は違うんです。ドイツは、勝ったり負けたりした過去の戦争の体験がヨーロッパでありますから、非常に大事なことを連合軍にいいました。それは、我々が降伏した後の国を立て直すための基本法の憲法は私たち自身がつくる。もう一つは、戦後の教育の体系は私たちがつくる。一切外国の干渉は受けない。それが許容されないなら私たちは降伏をしないといい渡して、連合軍もそれをのんでドイツは降伏しました。
 日本の場合はどうなんでしょうか。無条件降伏と称しているのは、マッカーサーの演説でありますけれども、いずれにしろ、私たちは残念ながら、そういう強い注文はつけずに、一種の敗戦という処女体験をしたわけでありますが、ともかく、この憲法が、占領軍が占領している地域というものを支配するための一つの基本法でありまして、それ以外の何物でもない。こういった、要するに占領軍が占領地域を支配するのにつくった法律というものを、占領を受けていた地域というものが独立を果たし、国家として成立し直したときに、これを直さなかった事例というのは、私は、世界の歴史を眺めてどこにもないんです。どこにもないんです。
 つまり、いろんな法律、いろんなものを引用する人がいますけれども、一番大事なことは、歴史というものを眺めてみて、歴史というものを通じた戦いの後のいろいろ複雑ないきさつがあるでしょうけど、そういったものを支配してきた歴史の原理というものがある。そういうものを照らしてみても、今の憲法というものを私たちは何でここまで墨守してきたか、私には本当に許せないし、考えられない。これは法律の歴史学者に聞いてみても、こういう事例は全く世界にない。ないことを日本人は唯一やってきた。本当に見事にマインドコントロールされたんだと思います。
 私の親友でありました村松剛君がカナダの客員教授で二年ほど行っておりまして、帰ってくる途中に近くのニューヨークに寄って、アメリカの代表的な新聞でありますニューヨークタイムズの、日本が降伏したときとドイツが降伏したときのエディトリアル、論説を、社説をコピーして持ってきてくれました。
 ドイツの場合には、これは非常に優秀な民族なんですね。ナチスのドイツによって道を間違ったが、彼らは必ず国を再建するだろう。この優秀な民族の再建のため、私たちはあらゆる手だてを講じて援助をしようと。残念ながら、戦後、ドイツは分割されましたが、やがて統一されましたが、そういうことで、アメリカを含めた連合軍はドイツの復興に協力した。
 日本の場合はがらっと違うんです。全然違うんです。漫画が添えられていまして、その漫画は、この建物の半分ぐらいあるような巨大な化け物がひっくり返っていて、ナマズに似た、鯨に近いような大きな化け物ですが、そのあんぐりあいた巨大な口の中に、ヘルメットをかぶったアメリカの兵隊が三人入って、やっとこでそのきばを抜いている。
 論説には、この醜くて危険な怪物は倒れはしたが、まだ生きている。我々は世界の平和のために、アメリカの安全のために、徹底してこれを解体しなくちゃならぬということでアメリカの統治が始まった。そのために、一つの手だてとして今の憲法がつくられた。
 それを私はなぜか知らぬけど、とにかく今まで墨守してきたわけでありまして、この憲法というものは間違った点、汚点、マイナスなんていうのはたくさんありますが、これを改正などする必要はないんです。改正なんかを唱えているから時間がかかるんだ。これはしっかりした政権ができれば、その最高責任者が、とにかく国民の一番の代表として、この憲法は認められないと、歴史に例がないと。ゆえに、私たちはこれを要するに捨てる、廃棄する。廃棄という言葉が強いんだったら、どうもそぐわないカップルが、このままいくと決して幸せになれないから、私はこの女性と別れます、私はこの男と別れます──この憲法から別れたらいいんですよ。その判断をすればよろしい。国民はそれを必ず是とするでしょう、いろんなマイナスがあるんですから。
 ということでありまして、私は、集団自衛権も含めて、世界じゅうが共同していろんな外敵というものを防ぎ、テロを防ごうとしているときに、その協力に積極的に参加できない国というのは尊敬されるわけがない。インド洋での給油作戦を小沢何がしが早くやめろと、そういう話をしましたが、ああいうばかな指導者というのがああいうことをいって、国もそれに従うということの面妖さというものは、世界は本当にひんしゅくしていると思いますけれども、そういう点で、私は全く今の憲法を評価しませんし、評価するしないじゃなしに、非常に害があると思うし、国家の安危というものを損ないかねないと思いますから、皆さんがもう一回憲法を読んでみて──この中に読んだ人は余りいないでしょう。いないと思いますよ。あの前文に、日本語としての間違いが三つも四つもありますよ。とにかく、精読すればわかることです。こんな憲法を拝受している国家というのは、今まで見たことない。ですから、私たちは、この憲法と手を切って別れればよろしい。それだけの価値しかない。私はそう信じております。
 次いで、尖閣購入の決意と、これに関する丹羽というあほみたいな大使の発言でありますが、あんなものを、伊藤忠ですか、一番シナとの交易に大いに実績を上げている会社の社長をとにかく大使に仕立てて送り込む政府というのは、私、気が知れないんだけれども、非常に危険な人事だと思いますね。それが結局、今度、発覚したわけです。
 いずれにしろ、なぜ尖閣を購入したかといえば、これは土屋議員が指摘された国を守る権利というものを国が行わないから、都がかわりにやっただけの話でありまして、だから、これだけの多くの方々が献金という行動を通じて賛意を表してくださっている。
 いずれにしろ、シナの覇権主義というのはとどまるところがなくて、私はダライ・ラマと非常に親しい仲ですけれども、外務省はとにかくダライ・ラマが来るたびに牽制して、私に会わせない。ダライ・ラマもはばかって、迷惑かけてはいかぬというので会いに来ませんが、私はやっぱりこの日本を第二のチベットにしてはいけないと思いますね。
 そういうことを私たちは銘記した上で、この尖閣の問題をこれから考えていきたいと思います。
 とにかく、何を考えているか知りませんが、シナは中古になった航空母艦をロシアから買い込んで、何のつもりか知りません、浮かべてますけど、あんなものは世界の失笑を買っているだけで、海上における戦略の展開に何の役にも立たない。何の役にも立たない。そんなことを私たちは知った上で、彼らのデモンストレーションに幻惑される必要はないと思います。
 それで、何度も申し上げてきたことですけど、私はこのままでいくと、下手をすると、日本はアメリカの属国から今後転じて、中国の属国になる、シナの属国になる。アメリカの「ニューズウイーク」という雑誌に、あるとき表紙に国旗がかかれていました。今さら何で日本版の「ニューズウイーク」にアメリカの国旗がかいてあるのかと思ったら、最後の小っちゃな星は小さな日の丸でしたが、下手をするとそのうちに、シナの国旗の六番目の星は、五星紅旗の六番目の星は、小さな日の丸になるかもしれぬ。私はそれを絶対に好まないし、私たちは子孫のために今すべきことをして、せめて、とにかくみんなの手で尖閣を守ろうということで、今度の挙に出ました。
 次いで、東京都平和祈念館についてでありますが、これは今まで歴史認識や展示内容などをめぐって、議会でもさまざまな議論がなされて、当時の予算に付された都議会の合意を得た上で実施するということなど、付帯決議はまことに妥当でありまして、その重みを十分認識しております。
 おかしな話で、広島の原爆の慰霊碑に「過ちは繰返しませぬ」、これ、一体主語は何なんですか。どう考えたってこれは日本人じゃない。オッペンハイマーという天才的な科学者、この人が原爆をつくった。私はオッペンハイマーの評伝というのを読みましたが、彼は広島の惨劇というものを目にして、日本にざんげして後悔して、その後、それをずっと演繹した水爆の製造に同意せずに、結局、マッカーシーによって非米委員会にかけるような、一時は要するに裏切り者とされて、結局、ケネディがそれを復権させたんですけれども、そのオッペンハイマーは、自分がつくった原子爆弾というものがいかに効果があって、いかに多くの人を一方的に殺りくしたか。あの瞬間にして殺された被害者というのは数十万ですけれども、九九%非戦闘員ですよ。これは明らかにジュネーブ協定違反ですが、その他のことをアメリカは堂々とやってきた。
 この記念碑の対象になっている東京の大空襲にしたって、あれはもはや高射砲が届かないぐらいの高空というものを飛ぶようになったB29という一種の新兵器というものが制空権をなくした日本の空で、超低空、三百メートルの低空でとにかく焼夷弾をばらまいて、非戦闘員を一晩にして東京では十万殺した。名古屋でも同じことをやりましたが、これをとがめた岡田資という当時の中部軍管区の総司令官が、パラシュートでおりてきたアメリカのB29の操縦士を処刑した。これは結局B級戦犯として一方的に裁かれて、抵抗の余地もなく死刑にされましたが、こういった事例を私たちはもう一回思い返したらいい。
 しかも、ルメイというのは航空の総司令官ですけれども、東京の大空襲を参謀たちは反対したのに、おれは日本が嫌いだ、日本人が嫌いだ、あの汚い国を焼いてきれいにするんだといって強行した。そのルメイに日本はおかしなことに、空軍自衛隊、航空自衛隊の創設に功があったというので勲章をやるんですな。こんなばかげた国というのは、私は世界にはないと思いますけれども、そういうことも思い起こして、この平和祈念館なるもののこれからの存続については、私たち、しっかりと物を考えた方がいいと思います。終わります。

〇議長(中村明彦君) 以上をもって質問は終わりました。
   〔傍聴席にて拍手する者あり〕

〇議長(中村明彦君) 傍聴席、静かにしてください。拍手をしないで、静かに退席をしてください。

議長(中村明彦君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十五まで、第百三十八号議案、東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案二十三件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事佐藤広君。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

〇副知事(佐藤広君) ただいま上程になりました二十五議案についてご説明申し上げます。
 第百三十四号議案から第百四十六号議案まで及び第百五十六号議案、第百五十七号議案の十五議案は条例案でございます。
 新設の条例は二件ございます。
 第百三十四号議案、東京電力管内の原子力発電所の稼働に関する東京都民投票条例は、去る五月十日に三十一名の条例請求代表者から、地方自治法第七十四条第一項の規定に基づき直接請求がありましたので、同条第三項の規定により知事の意見をつけて提案するものでございます。
 第百三十九号議案、東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例は、いわゆる地域主権改革に関するもので、設備や人員などの基準が条例に委任されたことに伴い、新たに規定を定めるものでございます。
 次に、一部を改正する条例でございます。
 第百三十七号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、地方税法等の一部改正に伴い、環境負荷の大きい自動車に係る自動車税の税率を重くする特例措置を二年間延長するものなどでございます。
 第百三十八号議案、東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、区市町村立学校の教職員の児童手当の認定及び支給に関する事務処理の特例を定めるものでございます。
 第百四十号議案、東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例外二件は、先ほど述べたものと同様に地域主権改革に関するものでございます。
 第百四十三号議案、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例は、介護サービス情報調査手数料に係る規定の区分を改めるものでございます。
 第百四十四号議案、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例は、震災に起因する二重債務問題に対応するため、回収納付金を受け取る権利を放棄する条件を追加するものなどでございます。
 第百五十六号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例外一件は、国の法令改正に伴い、有害物質の追加などを行うものでございます。
 このほか、法令の改正に伴い規定を整備するものなど四件ございまして、一部を改正する条例の合計は十三件でございます。
 次に、第百四十七号議案から第百五十三号議案までの七議案は契約案でございます。
 第百四十七号議案、警視庁野方庁舎(仮称)(二十四)新築工事など、契約金額の総額は約百八十億六千万円でございます。
 第百五十四号議案及び第百五十五号議案の二議案は事件案でございます。
 第百五十四号議案は、都立高校の教員の過失による部活動中の事故に伴う損害賠償請求訴訟事件について和解を行うものでございます。
 第百五十五号議案は、更新時期を迎えたヘリコプターを買いかえるものでございます。
 次に、専決でございます。
 東京都都税条例の一部を改正する条例は、施行までの間に議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 上程になりました二十五議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
 まず、東京都教育委員でございます。
 七月十二日に任期満了となります大原正行教育長の後任には、比留間英人氏を任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都監査委員でございます。
 七月六日に任期満了となります筆谷勇氏につきましては再任いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

〇議長(中村明彦君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定に該当する議案については、あらかじめ教育委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

〇議事部長(鈴木省五君) 教育委員会の回答は、第百三十八号議案について異議はないとの意見であります。

二四教総総第三九九号
平成二十四年六月四日
東京都教育委員会委員長 木村  孟
 東京都議会議長 中村 明彦殿
「都道府県教育委員会の権限に属する事務の一部を、市町村が処理することとする条例」に対する教育委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十四年五月二十九日付二四議事第九九号により照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。
       記
一 提出議案
第百三十八号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
二 意見
 一について、異議ありません。

〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、第百三十八号議案については、委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、第百三十八号議案は原案のとおり可決されました。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第二から第二十五までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、日程第二から第二十五までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

〇議長(中村明彦君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件

二四財主議第一〇〇号
平成二十四年六月五日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 中村 明彦殿
東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都教育委員会委員大原正行は平成二十四年七月十二日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     比留間英人

      略歴
現住所 東京都小平市
比留間英人
昭和二十六年五月十六日生(六十一歳)
昭和五十年三月  東京教育大学文学部卒業
昭和五十年四月  入都
昭和六十三年八月 教育庁副主幹〔コンピューター教育開発センター派遣〕
平成二年四月   総務局副主幹〔調査研究〕
平成五年四月   教育庁人事部勤労課長
平成七年六月   教育庁総務部企画室予算担当課長(統括課長)
平成十三年四月  教育庁参事(人権・企画担当)
平成十三年十一月 教育庁学務部長
平成十五年四月  教育庁総務部長
平成十七年七月  教育庁次長〔中央図書館長事務取扱〕
平成十八年七月  中央卸売市場長
平成二十一年七月 港湾局長
平成二十二年七月 総務局長
平成二十三年十月 株式会社東京臨海ホールディングス代表取締役社長
平成二十三年十月 東京港埠頭株式会社代表取締役社長(兼務)
現在       株式会社東京臨海ホールディングス代表取締役社長
         東京港埠頭株式会社代表取締役社長(兼務)

〇議長(中村明彦君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(中村明彦君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

〇議長(中村明彦君) 追加日程第二、東京都監査委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都監査委員の選任の同意について一件

二四財主議第一〇一号
平成二十四年六月五日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 中村 明彦殿
東京都監査委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十四年七月六日任期満了となるため、再び選任したいので、地方自治法第百九十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     筆谷  勇

      略歴
現住所 千葉県船橋市
筆谷  勇
昭和十一年八月十日生(七十五歳)
昭和三十五年三月 東京大学農学部卒業
昭和四十四年五月 公認会計士登録
昭和四十四年八月 監査法人太田哲三事務所入所
昭和五十八年八月 監査法人太田哲三事務所公企業会計部長
昭和六十二年七月 太田昭和監査法人代表社員
昭和六十二年八月 日本公認会計士協会公会計委員会委員長
平成二年八月   日本公認会計士協会租税調査会副委員長
平成十一年四月  東京都包括外部監査人
平成十三年七月  新日本監査法人代表社員
平成十四年七月  中央大学大学院教授
平成十六年七月  東京都監査委員
現在       公認会計士、東京都監査委員

〇議長(中村明彦君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(中村明彦君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

〇議長(中村明彦君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願一件及び陳情八件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 明十四日から十九日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、明十四日から十九日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は六月二十日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時四分散会

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