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Tokyo Metropolitan Assembly

平成二十三年東京都議会会議録第二号

平成二十三年二月十五日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番小山くにひこ君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番大松あきら君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番田中たけし君
二十四番鈴木 隆道君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番中村ひろし君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番中山 信行君
三十七番高倉 良生君
三十八番橘  正剛君
三十九番松葉多美子君
四十番神林  茂君
四十一番早坂 義弘君
四十二番高木 けい君
四十三番宇田川聡史君
四十四番鈴木あきまさ君
四十五番矢島 千秋君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番伊藤 興一君
六十番吉倉 正美君
六十一番上野 和彦君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番吉原  修君
六十五番山田 忠昭君
六十六番三宅 正彦君
六十七番石森たかゆき君
六十八番高橋 信博君
六十九番服部ゆくお君
七十番こいそ 明君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番伊藤まさき君
七十五番山口  拓君
七十六番松下 玲子君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番中屋 文孝君
九十番村上 英子君
九十一番林田  武君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番くまき美奈子君
九十六番大西さとる君
九十七番いのつめまさみ君
九十八番門脇ふみよし君
九十九番小沢 昌也君
百番石毛しげる君
百一番花輪ともふみ君
百二番大津 浩子君
百三番大塚たかあき君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番川井しげお君
百十一番高橋かずみ君
百十二番野島 善司君
百十三番三宅 茂樹君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十八番斉藤あつし君
百十九番増子 博樹君
百二十番泉谷つよし君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
  八番 土屋たかゆき君
 欠員
百十七番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長比留間英人君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長荒川  満君
生活文化局長並木 一夫君
スポーツ振興局長笠井 謙一君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長新田 洋平君
消防総監新井 雄治君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長宮川 雄司君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長山本 洋一君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長藤井 芳弘君

二月十五日議事日程第二号
第一 第一号議案
平成二十三年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十三年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十三年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十三年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十三年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十三年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十三年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十三年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十三年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十三年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十三年度東京都病院会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十三年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十三年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十三年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十三年度東京都港湾事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十三年度東京都交通事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十三年度東京都高速電車事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十三年度東京都電気事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十三年度東京都水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十三年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成二十三年度東京都下水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
東京都新しい公共支援基金条例
第四十七 第四十七号議案
保険業法に基づく特定保険業の認可審査に係る手数料に関する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
東京都妊婦健康診査支援基金条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例
第六十三 第六十三号議案
医学系総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都婦人保護施設条例を廃止する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都中山間地域等農業活性化支援基金条例を廃止する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都暴力団排除条例
第八十三 第八十三号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
都立板橋学園特別支援学校(仮称)(二十二)改築工事請負契約
第八十六 第八十六号議案
東京芸術劇場(二十二)改修工事請負契約
第八十七 第八十七号議案
東京消防庁金町消防署庁舎(二十二)新築工事請負契約
第八十八 第八十八号議案
中央環状品川線南品川換気所建築工事請負契約
第八十九 第八十九号議案
東京芸術劇場(二十二)改修電気設備工事請負契約
第九十 第九十号議案
東京芸術劇場(二十二)改修空調設備工事請負契約
第九十一 第九十一号議案
警視庁鮫洲運転免許試験場庁舎棟(二十二)改築空調設備工事請負契約
第九十二 第九十二号議案
白子川地下調節池工事(その五)請負契約
第九十三 第九十三号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十二 一─環二汐留工区)請負契約
第九十四 第九十四号議案
古川地下調節池取水施設工事請負契約
第九十五 第九十五号議案
包括外部監査契約の締結について
第九十六 第九十六号議案
公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
第九十七 第九十七号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター定款の変更について
第九十八 第九十八号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが徴収する料金の上限の認可について
第九十九 第九十九号議案
平成二十三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百 第百号議案
平成二十二年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百一 第百一号議案
平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百二 第百二号議案
平成二十二年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三 第百三号議案
平成二十二年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百四 第百四号議案
平成二十二年度東京都母子福祉貸付資金会計補正予算(第一号)
第百五 第百五号議案
平成二十二年度東京都農業改良資金助成会計補正予算(第一号)
第百六 第百六号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

〇議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(和田宗春君) この際、会議録署名議員の変更について申し上げます。
 本日の会議より、土屋たかゆき君から九番山内れい子さんに変更いたします。ご了承願います。

〇議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
 百二十三番大沢昇君。
   〔百二十三番大沢昇君登壇〕

〇百二十三番(大沢昇君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 最初に、都政運営について伺います。
 まず、平成二十二年度最終補正予算案について伺います。
 平成二十二年度の日本の経済状況は、アジアを中心とした外需による持ち直しがここに来て一時減速し、内需の不振も響いています。そして、日本銀行の地域経済報告によると、関東甲信越地域の景気は緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感が見られ、雇用情勢は引き続き厳しい状況にあるということです。
 このような中、都税収入は、二十一年度決算比で一千三百四十億円の減となりました。その一方で、中小企業に対する制度融資は一兆九千億円規模に上り、就労が不安定な母子家庭への貸付金もふえていると聞きます。こうした都政をめぐる状況の中で、どのような方針で最終補正予算の編成を行ったのか、都の所見を伺います。
 昨年、国は、円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策を実施するため、平成二十二年度補正予算を編成いたしました。都は、雇用の下支えや子宮頸がんなどの疾病対策の推進、介護など高齢者の生活の安心を確保するため、国の経済対策による基金事業や交付金を効果的に活用していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、平成二十三年度予算案について伺います。
 一般会計の予算規模は、前年度比○・四%減の六兆二千三百六十億円で、三年連続の減額としましたが、一般歳出は、石原都政下で二番目の規模、前年度比一・○%減の四兆五千八百三十九億円にとどめています。
 内訳は、経常経費を七百十六億円の減とする一方、投資的経費を前年度比三・三%増の八千四百四億円、単独事業費も前年度比八・六%増の五千百四十八億円とし、ハード面を重視した予算となっています。そして、全二十八会計の規模は、前年度比五・三%減の十一兆七千六百四十二億円としていました。
 予算策定に当たって行った事業評価は、監理団体を通じて行う事業や特別会計に範囲を拡大し、百九十五件を見直して約二百十億円の費用を確保するとともに、歳出を精査して約八百九十億円の事業費を削減しています。こうした取り組みで基金の取り崩しを最小限にとどめた財政運営については、基本的に評価をするものであります。
 本予算案では、雇用情勢が厳しい若年層、離職者への就職サポートや、円高などの影響で経営が苦境にある中小企業への支援、遅々として進まない耐震化の推進など、都民が抱える不安に対する支援を強め、都市の活力を取り戻すとしています。
 中長期的な課題では、急速に進む高齢者の対応、環境、そして次の世代をはぐくむ教育、都市インフラの整備などの諸施策を戦略的に取り組むとして、都民生活を支える公共サービスを含めた諸施策を都政の使命と名づけ、果たしていくとしています。
 しかしながら、医療従事者の確保や、なかなか短縮されない救急搬送時間への対応、木造住宅密集地域の耐震化の促進など、都民福祉の向上を図るため、さらなる取り組みが必要な分野がまだまだあります。石原知事は、この都政の使命を果たすために、どのような理念を持って今回の予算編成を行ったのか、所見を伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 平成二十三年度の都税収入は、四兆二千二百五億円と前年度比一・七%の小幅な伸びとなりました。景気は今後緩やかに回復しつつあると予測されていますが、税収は伸び悩むと考えられています。地方交付税不交付団体である都が財源として活用できる基金残高は九千六百三十五億円に減少しています。
 一方、これから四年が経過した後、団塊の世代が六十五歳を超え、都内では約三百万人の高齢者が暮らす都市型高齢化社会となってきます。働く生産年齢人口は二十二万人減少し、消費水準が下がるとも考えられています。都市基盤の整備費や社会資本ストックの維持更新経費など、世界の主要大都市東京の経営に必要な経費、そして首都特有の経費もかかります。
 都は、行財政改革の一環として、中期財政フレームの試算や事業評価の範囲拡大、そして法人事業税暫定措置の撤廃などに取り組んできましたが、税収が伸び悩むとされる中、だれもが暮らしやすい活力ある東京を目指して、強固で弾力的な財政基盤を堅持していかなければなりません。そのためには、中長期的な展望を持ちながら、将来にわたって健全性を維持する財政運営を徹底していくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 都と特別区は、事務移管と配分の検討対象とされた四百四十四項目の評価整理を終え、今後の運営方針を協議しています。そして、国は地域主権戦略会議に対し、まずは直轄国道、河川などを地方移管の対象とする出先機関改革のアクションプラン案を提示するとともに、住民自治の強化などの地方自治法改正案を提案する方向で、地方分権や東京における分権は着実に動いており、この自治権拡充の動きを推進していかなければなりません。
 また、都政を取り巻く状況は、都市型高齢社会の進展や都民ニーズの多様化などで大きく変化していくと考えられます。そこで、都は、さまざまな行政課題に対応でき、都民を向いたモチベーションの高い人材を確保、育成していくことや、組織体制や事務事業の見直し、高水準の説明責任と情報公開、都民やNPOなどとの協働の推進、外郭団体改革など、一層の行政改革の取り組みが求められております。
 都は、中長期的で大都市経営の視点を持って、今後の行政需要変化に適合できる質の改革を行う努力をしていかなければなりません。都はどのような方向性を持って今後の行政改革を進めようとしているのでしょうか。所見を伺います。
 次に、「十年後の東京」について伺います。
 石原知事は、四年前、東京発の日本再生は第一章を終えたばかりで、八年間の具体的な実績を次の四年につなげ、東京の魅力と都民福祉の向上に引き続き全力で取り組むとともに、東京における改革の成果を日本の新たな発展に結実させていくと、都政に対する抱負を述べました。
 今回、都は、三期十二年の石原都政を二○○○年─二○一○年都政の軌跡として総括しました。財政再建や国に先駆けた外形標準課税の導入、新公会計制度による都のコスト意識改革、羽田空港国際化、環境対策など、財政危機への対応や大都市東京の問題を踏まえた政策の進捗を評価するものですが、総括とするならば、すべてを取りまとめて締めくくることから、新銀行東京への追加出資やオリンピック落選といった都政における重要な判断や出来事に触れることや、目標達成が厳しいと思われる都内住宅の耐震化や東京の自治制度など、現下の課題にも言及すべきであったと考えます。みずからの都政の総括について、知事の所見を伺います。
 鈴木俊一知事は、みずからの都政の締めくくりに、有識者による懇談会からの報告や都民とのシンポジウムなど、一年をかけて綿密な二○一五年長期展望を作成しました。二十年後の実現すべき東京の姿と構築すべき社会を都民の思い入れも入れて展望したものです。
 一方、石原知事は、知事就任直後、都市構想では、私たちは都民との協働という理念を大事にすべき、都の施策を広く都民の皆さんに提起し、また、皆さんからの意見を受けながら、皆さんとともにこれからの東京を築き上げていきたいと述べていましたが、将来の指針は、都民や区市町村からの意見を聞くことなく、都庁内部のみで検討したものとなりました。果たして知事は、この二十一世紀中ごろまでの東京はこうあるべきだとしたビジョンを都政にどう位置づけるつもりなのでしょうか。知事の所見を伺います。
 次に、東京の成長戦略について伺います。
 一月二十四日から始まった通常国会の冒頭、菅直人首相が、施政方針演説において国づくりにおける三つの理念を示しました。そして、その第一として、平成の開国を掲げ、明治の開国、戦後の開国に続く第三の開国に挑むとの決意を述べました。
 平成の開国では、特に、ことし六月を目途に交渉参加について結論を出すとしている環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについては賛否さまざまな意見が闘わされています。
 しかし、我が国が今後も世界に確固たる地位を占めていくためには、自由貿易の推進を避けて通ることはできないものと考えます。そして、東京都は環太平洋の一都市として、また、世界の一都市として、改めてその存在意義を問われることとなるのです。そのとき、私たちはグローバルシティーとしての東京を復活させ、この国の原動力となっていかなければなりません。
 そのためにも、十年後、二十年後の将来ビジョンを濶達に議論し、その中に農林水産業のみならず、製造業、非製造業のイノベーション、税制や医療福祉改革、外国人を含めた労働力の確保と積極的労働移動策などを位置づけ、積極的に自由貿易の推進を図っていく必要があると考えますが、石原知事の見解を伺います。
 石原知事が「十年後の東京」への実行プログラム二○一一において示した将来への指針では、その第一に、アジアのヘッドクオーターを掲げ、東京がアジア随一のビジネスセンターになるとの将来像を描いています。
 一方、これに先立ち、東京都は、昨年九月二十一日までに国が行っていた総合特区制度の提案募集に対して、アジア域内ヘッドクオーター特区の創設を提案していますが、私たち都議会民主党も、政権与党に携わる者として、この実現に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えています。
 あわせて、今通常国会においては、アジア拠点化推進法案の提案も予定されており、こうした法案の早期成立も求められています。東京がアジアのヘッドクオーターになるべく、特区の創設も含め、東京都の今後の取り組みについて見解を伺います。
 海外企業の誘致について、昨年六月の私たちの代表質問に対して、東京都は、海外の企業を東京へ誘致することは都内中小企業のビジネスチャンスを広げ、産業の活性化につながる重要な取り組みであるとの認識を示しました。
 こうした認識に基づき、現在、東京都は、海外企業誘致セミナーの海外での開催や、意欲ある企業に対する産業交流展への出展の働きかけなどを行うとともに、東京ビジネスエントリーポイントでの相談を通じた必要な情報提供や、定着に向けたサポートなどを実施しているところです。
 しかし、私は、東京が国際ビジネス拠点としての地位を高めていくためには、東京への進出を希望する企業からの個別相談が来るのを待つのではなく、企業の進出にとって、東京が魅力的でメリットのあるエリアであることを行政としてしっかりと発信していくことが重要であると考えます。こうした点を踏まえ、都は外国企業の誘致についてどのように取り組んでいく考えであるのか、見解を伺います。
 さて、我が国日本を追い抜き、隣国である中国がGDPで世界第二位となりました。もちろん中国経済も幾つかの課題を抱えているものの、いずれアメリカのGDPさえも追い抜き、世界一の経済大国になるとさえいわれています。
 このような中、東京都としても、中国との関係については、好き嫌いの感情を超え、ともに成長するアジアのパートナーとして、その連携を強化していくべきであると考えます。そして、それは経済だけでなく、文化面での交流も深め、相互に理解し、協力し合える関係を構築していくべきではないでしょうか。
 現在は市民や学生、NPOや文化団体、経済団体など、さまざまなチャンネルでの交流がありますが、東京都としても、例えば、過去設けていた海外事業所の北京での設置、あるいは北京を初め海外事業所を展開している自治体国際化協会、CLAIRの効果的で有効な活用、さらには、行政同士の人事交流なども含めた関係強化が求められます。中国との関係強化について、石原知事の見解を伺います。
 次に、港湾機能の強化について伺います。
 首都圏のみならず、日本の国際競争力を強化していくためには、港湾機能の強化は欠かせません。釜山などアジア諸港が台頭し、京浜港の国際的な地位が相対的に低下し続ける中で、民主党政権は、これまでのばらまき的、総花的な港湾行政から、集中と選択による港湾行政に大きくかじを切りました。
 昨年八月には、国際コンテナ戦略港湾として京浜港と阪神港の二港が選定されましたが、東京都としても、引き続きポートオーソリティーも視野に入れて、横浜、川崎との連携を深め、アジアのハブ港の実現に向けて取り組んでいかなければなりません。
 私たち都議会民主党も、国際コンテナ戦略港湾総合特区の創設を初め、国の迅速な取り組みを促すべく、これまでにも増して積極的に働きかけていきたいと思います。そこで、今後、国際コンテナ戦略港湾として、どのように国際競争力の強化に取り組むのか、東京都の見解を伺います。
 国際基幹航路における寄港地の絞り込みが進む中で、日本の港はアジアの諸港と比べ、貨物量の相対的な低下やコスト高という現実の中で、寄港するメリットが少ないとみなされつつあります。また、ガントリークレーンの整備を初め、外貿ふ頭の機能強化やリードタイムの向上なども課題として指摘されています。
 このような中、平成二十三年度予算案は、釜山港などから東京港への利用の転換を図るために、輸送コストの一部補助を実施することなどが盛り込まれています。貨物集荷に向けた取り組みについて、東京都の所見を伺います。
 京浜港の国際競争力を強化するためには、集荷策による貨物の集積や、ふ頭機能の向上に加え、臨海部における道路ネットワークの充実強化が求められております。国際コンテナ戦略港湾への取り組みに向けては、そのバックヤードたる機能が十分に充実している必要があります。
 東京港においては、現在整備中の中央防波堤外側コンテナターミナルの供用開始を契機として、コンテナふ頭の再編を進め、ふ頭機能を強化する方針を打ち出していますが、あわせて、現在整備中の臨海道路Ⅱ期工事を初めとして、道路ネットワークの充実強化を図っていくことが不可欠ではないでしょうか。港湾機能の強化に向けた道路ネットワークの整備に向けて、今後、東京都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 経済のグローバル化やアジアを中心とする新興国の経済成長などとともに、少子化、高齢化に伴う国内市場が縮小する中で、東京都の産業振興策については、さらに目的の明確化を図り、選択と集中を強めていくべきだということは昨年六月の代表質問においても述べてきたところであります。
 このような中、東京都は一月二十六日に産業振興指針二○一一を発表しましたが、前回策定したような三カ年での取り組みではなく、平成二十三年度において重点的に取り組むべき施策のみを記載し、その後の取り組みについては具体的な言及を避けております。これは、今後の三年間を見通すことが困難であるとの理由からですが、しかし、東京の強みを生かしたイノベーションを積極的に促し、国際競争力を強化していくという方向性にだれが異を唱えるのでしょうか。
 また、政府の成長戦略と相まって、東京都としても、環境、健康、観光といった分野への取り組みをさらに促進させていくことは当然であると考えます。こうした方向性を踏まえ、東京都においては、今後、さらにめり張りがきいた、より大胆な産業施策を展開すべきであると考えますが、今後の産業施策の方向性について見解を伺います。
 中小企業に対する金融支援については、私は、昨年九月の代表質問においても、現下の状況にかんがみ、輸出に軸足を置いている中小企業、あるいは輸出向け企業と取引をしている中小零細企業などに対し、セーフティーネットという視点から、さらに手厚い支援策が必要であると主張してまいりました。
 ことし三月末で国の緊急保証が終了することもあり、来年度の取り組みとしてセーフティーネット型の金融支援が重要となり、あわせて、九月議会でも申し上げたとおり、東京の国際競争力を強化していくために、環境や観光、健康や福祉といった成長産業を育成するという視点、あるいは海外販路を拡大していくといった視点も求められています。そこで、中小企業に対する金融支援について、今後どのように対応していこうとしているのか、見解を求めます。
 少子高齢化の進展により日本国内での市場縮小が見込まれる中にあって、成長が見込まれるアジアに向けて、中小企業の販路拡大を積極的に支援していく必要があります。既に東京都では、商社OBである海外販路ナビゲーターによるきめの細かな相談や、専門商社へのマッチングなどを行う海外販路開拓支援事業を実施しており、また、海外の展示会や見本市への出展支援なども実施しているところであります。
 私は、昨年九月の代表質問においても、これら事業の拡充を求めてきましたが、中小企業の海外販路の拡大に向けて今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、都立産業技術研究センターについて伺います。
 昨年二月、多摩地域の新たな産業拠点となるべく、産業サポートスクエア・TAMAが開設し、いよいよことし五月には江東区青海に都立産業技術研究センターが開設する予定です。この産技研本部の開設を契機として、大学や研究機関、企業や業界団体、あるいは国や周辺自治体などの連携をさらに進め、より効果的、効率的な事業展開を望むものであります。
 また、東京の国際競争力を強化していくためには、都立産業技術研究センターにおいても、環境や福祉などの成長産業におけるイノベーションを促していく取り組みが求められております。東京の将来を担う成長産業の育成に向けて、都立産業技術センターはどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 二月四日、新銀行東京の第三・四半期決算が発表されました。実質業務純益で開業以来、初の黒字を計上しましたが、経営陣を初め、関係者の引き続きのご努力をお願いしたいと思います。
 一方で、新銀行のセカンドステージについて、石原知事はこの間、聞かれもしない中国での交渉についてみずから切り出したにもかかわらず、その後の議会答弁では、事柄の性格上、今の段階で詳しく答えられないと繰り返すばかりでした。その後、エイチ・アイ・エスなどの名前も取りざたされましたが、二月四日の定例会見では、経営者の判断であり、私たちが口を出すべきではない旨発言するなど、セカンドステージについてみずから積極的に関与するという姿勢も感じられなくなりました。
 しかし、石原知事は製造物責任があります。石原知事の現在の任期では、今定例会が知事と議論できる最後の機会となります。石原知事は、今任期を終える前にセカンドステージを示すつもりがあるのかないのか、見解を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 今議会に提案されている平成二十三年度中央卸売市場会計予算案の中には、豊洲新市場関連予算として、新市場の実施設計費や土壌汚染対策工事費など、計二十一億三千九百万円が計上されています。
 昨年十月二十二日の石原知事による豊洲移転の決断宣言及びその後の東京都の取り組みなどを踏まえれば、私たち都議会民主党は、当該予算に対しては極めて厳しい対応をせざるを得ないと、まず申し上げておきます。
 石原知事は、ことし一月七日の定例会見でも、豊洲移転に反対の根拠というものがさっぱりわからないと述べています。しかし、石原知事の宣言以降も、築地市場の地元中央区からは要望書が出され、築地市場最大の業界団体である水産仲卸は、移転賛成派、反対派が拮抗する中で、総代選、理事選、理事長選が行われています。築地移転を取り巻くこうした状況をつぶさに把握していれば、さっぱりわからないという方がナンセンスであります。
 また、私たち都議会民主党は、十月の特別委員会において、平成二十二年度予算の一部執行に言及するなど、大方の合意形成に向けて柔軟かつ慎重な対応をとってきましたが、石原知事の発言や行いは大方の合意を妨げるものでしかありません。
 この間、石原知事は何か具体的な指示を出すなど、みずから汗をかいてきたのでしょうか。私たちは、大方の合意形成に向けて、地元自治体や市場関係者と真摯に協議をしてきたとは到底思えません。今後、築地市場の移転問題に関して、大方の事業者の合意形成に向けてどのように取り組んでいくのか、石原知事の見解を求めます。
 市場会計とは別に、平成二十三年度一般会計予算案には、築地地区を中心とした将来のまちづくりの検討として、三千万円が新規計上されております。平成二十三年度になっての計上は、今さらの感はぬぐえず、この間の中央区の要望をさんざん無視してきたことをまず自戒すべきです。
 加えて石原知事は、昨年十月二十九日の定例会見において、中央区からの要望に対して、論外論外とこきおろし、市場機能をばらばらにするなんてとんでもない話と酷評しています。量販店対応と小口とを分けるツインマーケットの案は、都議会の特別委員会でも議論されてきたところであり、ましてや地元中央区からの提案について、その可能性すら検討しない姿勢はいかがなものなのでしょうか。
 築地地区を中心とした将来のまちづくりの検討に当たっては、築地の伝統文化も生かしながら、銀座や都心に近接し、ポテンシャルの高い築地地区を中心とした将来のまちづくりについて検討しますと説明されていますが、築地の伝統文化とは、まさに市場があることによって培われてきたものではないでしょうか。
 石原知事は、昨年三月十五日の予算特別委員会において、豊洲も築地も、ともにブランドとして並び立つような妙案をと答弁していますが、今回の検討は、市場との関係においてどのような形で検討を進め、結果を示していく予定なのか、見解を求めます。
 豊洲新市場は、豊洲地区における汚染土壌の完全な除去が大前提であり、その安全性が確認されなければ、平成二十六年度中の開場も不可能なのではないでしょうか。多くの都民同様、私たち都議会民主党も、昨年六月の実証実験の結果でもって豊洲の安全性が確認されたとはみじんも思っていませんが、それ以前に、土壌汚染対策工事を実施する上において、そもそも汚染原因者である東京ガスとの費用負担についての協議はどのような状況にあるのでしょうか。
 既に一月三十一日には用地取得に係る土地鑑定評価は終了しており、また、東京都の説明では、土地鑑定終了後、速やかに用地を取得することとなっていました。そこで、平成二十二年度の豊洲市場関連予算一千二百八十一億円のうち、一千二百六十億円を占めていた用地取得費に関して、東京ガスの負担する額や負担の考え方、執行時期などを含め、東京ガスとの協議はどのようになっているのか、見解を求めます。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 昨年夏の記録的な猛暑から一転して、この冬は日本海側の都市で、過去最も多い積雪を観測するなど、異常気象が続いております。海外に目を転じても、ヨーロッパにおける百年に一度といわれる寒波の到来や、アメリカ東部での記録的な大雪、さらには、南半球のオーストラリアやブラジルなどにおいても異常気象による大洪水が発生し、人々の生活や経済活動に甚大な被害を与えています。
 地球温暖化対策は、まさに待ったなしの状況であると考えます。この危機を回避するためには、世界全体のCO2を今世紀半ばまでに半減させることが必要であり、中でも先進国は八○%以上の削減が求められております。
 このような中、都は、昨年四月、国に先駆けて大規模事業所を対象としたキャップ・アンド・トレード制度を導入しました。昨年、都議会民主党の調査団がヨーロッパ諸国を視察し、キャップ・アンド・トレード制度などのヒアリングを行いました。
 EU諸国で導入されているEU─ETSは、発電所や製鉄所など大規模なエネルギー集約型施設を対象とした制度であるのに対し、都の制度は、都市に集中的に立地するオフィスビルなどの業務系施設を対象とする、世界初となる先駆的な都市型キャップ・アンド・トレード制度であることを改めて認識いたしました。
 そこで、昨年四月の総量削減義務の開始以降の制度の運用実態はどのようになっているのか、また、義務対象事業所においてどのような取り組みが始まっているのか、所見を伺います。
 都のキャップ・アンド・トレード制度では、オフィスなどの事業系施設に関しては八%、工場などの産業系施設に関しては六%の総量削減義務を課しています。また、省エネ対策に積極的に取り組み、他の模範となる事業所は、削減義務率の軽減を受けることができるトップレベル事業所の認定制度も設けております。
 去る一月上旬の、オフィスなど業務系施設に関する認定申請の締め切り時には、事業所、テナントビルを中心に五十五件の申請があったほか、三月末には工場などの産業系施設からも申請が行われる予定と聞いております。そこで、都のキャップ・アンド・トレード制度においてトップレベル事業所を設けた意義を改めて伺うとともに、都としての今後の取り組みの方向性についての見解を伺います。
 大幅なCO2削減を実現するためには、省エネ対策だけでなく、太陽エネルギーなど再生可能エネルギーの利用拡大が不可欠です。調査団も、スペインでさまざまなタイプの太陽光パネルが大規模かつ集中的に設置されている場所を視察してまいりましたが、ヨーロッパ諸国では太陽エネルギーの導入が進んでおり、我が国においてもその利用拡大は急務であると考えます。
 こうした状況にもかかわらず、都は、過去二年間にわたって実施してきた太陽光発電の補助事業を打ち切り、今後は太陽熱補助に特化していくとのことです。我が国の太陽光発電の利用は拡大への歯車が回り始めたばかりであり、ここで補助をやめるとなれば、活発化しつつある太陽光発電市場も再び失速してしまうのではないかと懸念するものであります。太陽光発電については、今後も導入拡大が進んでいくのかどうか、所見を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 一月二十八日に総務省が発表した昨年十二月の完全失業率は、十カ月ぶりに五%を下回るとともに、新規求人倍率は一・○一倍と二年一カ月ぶりに一倍を上回りました。
 しかし、同日発表された二○一○年の完全失業率は、前年と同じ五・一%と二年続けて五%台の高水準となるなど、雇用情勢は依然厳しく、特に今春卒業予定の大学生の就職内定率は、昨年十二月一日現在、六八・八%と過去最低となり、超氷河期といわれております。
 このような中で、石原知事は「十年後の東京」実行プログラム二○一一において、緊急事業として、新規学卒者の支援を拡大し、雇用のミスマッチを解消することを第一に掲げ、平成二十三年度予算案においても、未就職卒業者緊急就職サポート事業を初めとする新規事業を打ち出しております。また、国と連携しながら、三月の一日、二日、三日の日程で就職応援面接会の実施を追加するなど、年度末が迫る中にあって、さらに取り組みを強化しております。
 国の補正予算によって緊急雇用創出事業も拡充されましたが、区市町村とともに連携しながら、早期に実効性のある対策が講じられることも期待したいと思います。私は、これら雇用就業対策を迅速かつ効率的に展開することで、雇用の改善に全力で取り組むべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 平成二十三年度予算案において、新規事業として打ち出した、未就職卒業者緊急就職サポート事業は、紹介予定派遣制度を活用し、未就職卒業者と中小企業をマッチングすることにより、正規雇用就職をサポートするものとされています。
 しかし、一方、ことし三月の大学卒業予定者数のうち、就職希望者が四十万五千人と推計され、東京の大学には全国の学生数の四分の一が集まっていることを踏まえれば、より幅広く効率的な新卒者対策も求められております。
 当サポート事業では、七百五十人を対象に十五億円の予算を投じるわけですから、新卒大学生の正規雇用化の実現はもとより、中小企業にとっても有意義な若手人材の育成、確保につながるよう、確実に成果を上げていく必要があります。そこで、未就職卒業者緊急就職サポート事業の意義、時期、支援、その具体的内容について、都の見解を伺います。
 新卒者対策は、大学生だけでなく、同じく厳しい雇用就業状況に置かれている高校生に対しても積極的に取り組んでいくべきであります。
 特に高校生にとっての就職活動は、進路指導に当たる先生に負うところが大きく、こうした先生たちに対して情報提供を初めとした適切な支援を行うとともに、学生たちの勤労観、職業観を早い段階から育成していくことが求められています。
 こうした取り組みは、学校の責任でしっかりと進めていかなければなりませんが、現下の厳しい状況では、就労支援機関での側面的な支援も重要です。そこで、高校生に対する雇用就業支援について、東京都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 石原知事は、学生たちの就職希望が大企業に多く、中小企業に人材が集まらないことを懸念していますが、例えば東京都においても、都立進学校で何名が有名国立大学に進学したかの実績を競うように、各大学でも、どれほど一部上場企業に就職したかを宣伝することで学生たちを集めているのが実態であります。
 こうした価値観の転換は一朝一夕でできるものでありませんが、東京都としても、ものづくりを担う中小企業の人材確保に向けて、製造業の現場で、その魅力を直接体験できる機会を設けたり、学生がものづくり企業の社員から仕事のすばらしさを直接聞くことのできる場をつくるなど、取り組みを着実に進めていくべきものと考えます。
 このような考え方を踏まえて、中小企業におけるものづくり人材の確保について、都としてどのように取り組んでいくのか、見解を求めます。
 次に、公共サービスにおける労働環境の確保について伺います。
 豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現するためには、さまざまな都民サービスを良好な水準で提供するとともに、都民が適正な労働条件で働き、生活基盤を安定させることも重要です。
 行き過ぎた公共サービスの効率化、コストダウンの要請のもと、事業者間の競争による低入札のしわ寄せは、結果として労働者側に押しつけられるおそれがあります。こうした観点から、国においては、国と地方公共団体に公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備についても、必要な措置を講じることを定めた公共サービス基本法を施行しました。
 一方、指定管理者制度は、都の施設の管理を民間事業者にゆだねる都民サービスの提供に係る制度であります。この制度のもとで、労働者が適正な労働環境で働き、都の施設の管理をゆだねられた事業者などがその社会的責任を果たすよう努めることが、結果として質の高い都民サービスを提供することになると考えます。
 現在、幾つかの区においては、指定管理者における適正な労働環境を維持確保するため、社会保険労務士などの専門家を活用した労働監査や労働モニタリングの導入を行っている例があります。そこで、都の指定管理者制度において、適正な労働環境を確保する取り組みについて所見を伺います。
 次に、医療について伺います。
 まず、がん死亡率を下げ、がんの早期発見、早期治療に必要ながん検診の受診率を目標の五〇%に引き上げる取り組みについて伺います。
 大腸がんや子宮がん、乳がんといったがんは、検診受診率が高くなれば、がん死亡率が減少することが科学的に実証されております。
 しかしながら、東京都におけるがん検診受診率は三〇%程度で、全国の都道府県の中でも低い状況にあり、受診率向上が急務であります。がん検診の受診率向上には、検診対象者個々への受診勧奨、再勧奨が有効であることが諸外国の研究で明らかにされています。
 メタボ検診や○○検診といった情報が多数発信されており、不特定多数を対象としたキャンペーンで、実際の検診受診に結びつけていくことには限界があるものと考えます。都民のがん検診の受診機会は、職場で受ける検診と区市町村の検診とがあり、このどちらについても、個別の受診勧奨、再勧奨を行って受診率を上げていかなければなりません。
 都として、エビデンスのある受診勧奨の取り組みがすべての区市町村で実施されるよう支援することとあわせて、企業におけるがん検診への取り組みが進むよう積極的に働きかけるべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、がん医療水準の向上について伺います。
 東京都では、都拠点病院、地域拠点病院、さらには都認定病院の指定が進んでいます。これに伴って、私たちがこれまでさまざまな機会をとらえて、拠点病院と地域医療機関の連携によるシームレスながん医療、療養のツールとして普及、そして患者の立場からの改善を求めてきた東京都版がん手帳や、がん患者とそのご家族の抱える不安に的確に対応する相談支援センターの開設など、期待すべき新たな取り組みが始まっております。
 他方で、拠点病院、認定病院は、最低でも五大がんの集学的治療や外来化学療法が可能な体制整備など、さまざまな医療機能を備えることが条件となっております。
 備えた機能が十分に活用されているか、あるいは協力して地域のがん医療の向上に貢献できているのか、治療成績はどうかなど、個々の病院が能力を最大限に発揮し切れているか、都としての評価と、その評価情報の開示を行うとともに、都内のがん医療均てん化を実現していけるよう、都として取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 すべての患者が治療早期から受けられる緩和ケア医療について伺います。
 がんといえば、七転八倒のつらく苦しい治療というイメージがあります。我々の祖父母世代には、がんになったが最後、そのような治療が避けられないという時代もありました。また、緩和ケアといえば、積極的治療を断念した後のものというイメージもいまだに強く、治療初期から全般にわたって痛みを適切にコントロールすることが療養上重要であるということもなかなか知られておりません。
 現在、多くのがんでは、疼痛抑制や激しい副作用を避けることなど、かなり可能となっており、できる限り今までどおりの生活を続けながら、がん制圧を目指す方も多くなっております。
 しかし、最新の方法が受けられなかったり、多様な選択肢を十分検討した上での薬剤選択や痛み軽減対策が行われていないケースもあります。がん医療均てん化の中では、患者のQOLばかりでなく、がんそのものの予後にも影響のある痛み、苦痛のコントロールをがん医療に携わるどの医師にかかっても受けられるよう、取り組みを強化することが必要であります。
 また、緩和ケアの実施に当たっては、医師、看護師を初めとした医療スタッフが一体となって患者を支える体制が必要であります。広く関係者の理解を深める必要があります。今後、こうした取り組みにも力を入れていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、地域がん登録実施に向けての取り組みについて伺います。
 がん基本法制定時から、民主党が求めてきた地域がん登録がようやく本格化されることとなりました。地域がん登録データを活用し、しっかりとがん医療の向上に役立てることができるように取り組むべきです。
 対策の企画や評価に活用できる精緻ながん登録としていくためには、医療機関からの患者さんの情報に加え、その後生存されているかどうかの情報を継続的に収集することが必要であります。地域がん登録に必要なこれらの情報をきちんと把握するために、都としてどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 認知症介護は、国、都道府県、区市町村がバランスよく協力し合っていくことが大切であります。認知症医療についても同様で、国、都、区市町村の各行政と介護、地域のかかりつけ医、認知症疾患医療センターがバランスよく役割を果たし合って機能するサポート体制を構築していかなければなりません。
 認知症高齢者の数は全国で二百万人といわれています。しかし、これはあくまでも医師の診断書で日常生活において何らかの支援が必要と書かれた人の数であり、実際にはその一・五倍いるといわれています。
 東京都内には、何らかの認知症症状を有する方は二十九万人となっていますが、十五年後には、この数が五十二万人になる見込みとのことであります。今後も高齢者人口の増加が続くことが見込まれており、認知症高齢者の増加がすさまじい時代を迎えることとなり、認知症医療体制の整備が喫緊の課題であります。
 認知症の早期診断、早期治療は、症状の進行を抑えるためにも、あるいは安定した生活を送る上でも大変重要です。幾つかある認知症の原因疾患を特定し、それぞれに合った適切な治療をできるだけ早期に受ける必要がありますが、認知症の鑑別診断については、予約から受診までに数カ月かかる場合もあるようです。
 今後、どのように迅速な診断、治療開始に取り組めるようにしていくのか、都の見解を伺います。
 認知症疾患医療センターは、全国的には既に九十カ所以上が指定されていますが、東京都もようやく原則として二次保健医療圏に一つ指定することとなりました。都はセンター指定を契機に、各医療圏ごとを基本として、地域の医療機関や介護関係者と連携して、認知症高齢者を支えるネットワークを構築していくとしています。
 ネットワーク構築は、認知症高齢者や家族にとってはもちろんのこと、センターを担う病院にとっても、また地域の医療、介護関係者にとっても、また地元区市町村にとっても必要であり、機能させていかなければなりませんが、それぞれの役割分担、取り組みのバランスがとれていないとなかなかうまくいきません。
 がんなど他の分野では、地域連携パスの策定など、都が具体的な連携ツールの作成支援などを行い、地域の連携体制づくりが進められてきましたが、認知症の地域連携体制構築に対して、都はどのような役割を果たしていくのか、所見を伺います。
 また、センターは、自院の中での総合診療体制、すなわち診療科間の連携をとるとともに、相談室を設置し、地域包括支援センターや地域の医療機関からの相談を受けたり、地域の関係機関の支援の連携の促進など、多くの役割を担います。相談室が求められる役割を果たしていくためには、都としても、機能向上に向けた支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 一医療圏当たり高齢者人口が多い東京で、果たして二次医療圏に一カ所で十分対応できるのでしょうか。また、量的な問題に加えて機能面での課題もあります。
 今回、都は認知症疾患医療センターを地域型と位置づけていますが、認知症で受け入れ先がなかなか見つからない方のセーフティーネット、いわゆる基幹型センターの整備についても、今後の課題であると考えます。
 まずは地域のネットワーク構築が急務であるということは理解しますが、現実に受け入れ先がなかなか見つからない心理、行動障害、いわゆるBPSDや身体合併症の受け入れ体制構築も急ぐ必要があると考えます。今後の指定拡大についての見解を伺います。
 認知症患者の介護者は、介護により体の疲労蓄積、精神的な不安が募ると、人と会うのがおっくうになり、精神的に不安定になったりすることがあります。自分の介護の仕方や接し方が正しいのかという不安は、介護サービス提供者など専門家からの支援や相談だけでなく、家族会など、同じ経験をし、認知症への理解も深い一般の方との会話によって大きく軽減されることもあります。
 家族会は、認知症を初めとした高齢者の家族介護者のサポートに大きな役割を果たしています。今後指定する認知症疾患医療センターにおいては、家族介護者会との連携も重要だと考えますが、どのように取り組むのか伺います。
 高齢者施策に関連して、地域生活定着支援センターについて伺います。
 刑務所を満期出所したけれども、身元引受人がなく、福祉サービスの利用を必要とする人たちが、出所後スムーズに福祉サービスなど地域の支援を受けられるようにコーディネートする地域生活定着支援センターが、ようやく東京都にも設置されることとなりました。
 対象としては、主に障害や高齢により福祉サービスを必要としている方が想定されますが、まさに文字どおり、地域の生活に定着していくための支援が求められております。受け入れ先施設などに必要な助言を行うフォローアップ業務や本人からの相談に対して助言、支援を行うこともあり、多くの関係者、帰住先自治体など、多岐にわたる連絡調整、協力関係が必要とされております。
 都としてこのセンターにどのような役割を与え、どのように機能させていくのか、その所見を伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 初めに、新学習指導要領の全面実施に向けた取り組みについて伺います。
 文部科学省は、平成二十年に学校教育法施行規則の一部改正と小中学校の学習指導要領の改訂を行いました。また、平成二十一年度には高等学校の学習指導要領を改訂しました。新学習指導要領は、小学校は平成二十三年度、中学校は平成二十四年度、高等学校は平成二十五年度の入学生からすべての教科などで全面実施されます。これまで、小中学校は平成二十一年度から、高等学校は二十二年度から移行措置としての諸準備を進めてきたと伺っております。
 新学習指導要領は、生きる力をはぐくむという理念を実現するため、その具体的な手だてを確立する観点から改訂が行われました。具体的には、子どもたちの現状を踏まえ、知識や技能の習得とともに、思考力、判断力、表現力などの育成、学習意欲の向上や学習習慣の確立などをこれまで以上に重視しています。各学校においては、こうした新学習指導要領についての理解を深め、適正な教育課程を編成、実施することが重要であると考えます。
 そこで、新学習指導要領の全面実施に向けた都教育委員会のこれまでの取り組みと今後の展開についてお伺いをいたします。
 次に、学校を地域全体で支援する取り組みの推進について伺います。
 人々の価値感や倫理観などの変化、教育へのニーズの高まりなどを背景に、学校は多くの課題を抱えています。
 本来、教育は、学校、家庭、地域、社会のさまざまな関係者の相互の取り組みによって成り立つものです。子どもの教育に係るさまざまな課題に向けて、教員だけで担おうとしてきた意識を改め、関係者が相互に教育に対する責任を自覚し、地域の多様な人材で学校を支える仕組みを整えていくことがこれまで以上に必要となってきています。
 国の委託事業で、地域による学校支援として実施してきた学校支援地域本部事業は今年度で終了しました。来年度からは、学校、家庭、地域の連携協力推進事業の中で、学校支援地域本部と放課後子ども教室、家庭教育支援など、教育支援活動が各地域の実情に応じて有機的に組み合わせられ、今まで以上に学校、家庭、地域の連携協力の強化が図られると期待されております。
 これまでの全国の学校支援地域本部の取り組みは、本部数、学校数ともに増加傾向にあります。また、文科省の実態調査では、約八割の学校で本事業の取り組みがうまくいっている、ある程度うまくいっていると回答され、一定の成果が見られています。
 その成果の事例として、例えば、平成十九年度に学校支援本部を設置した杉並第一小学校では、数ある企画の一つとして地域住民による学習支援を行っています。朝の十分間の漢字学習などを地域の方々が担当し、その効果として、教員が朝の打ち合わせに集中できる、遅刻をする生徒が減る、地域の人々との交流が深まるといった成果が出ています。
 一方、都内の各学校では、地域コーディネーターやボランティアなど、地域人材の養成、確保が困難であるといった課題もあります。成功事例が数多くある一方、このような課題への取り組みも必要となっています。
 東京都においても、学校と地域の活性化につなげていくために、区市町村の学校支援ボランティア推進協議会の設置を一層支援するなど、学校を地域全体で支援する取り組みを促進、普及すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、少人数指導について伺います。
 政府は、三十年ぶりに学級編制の標準四十人を引き下げ、小学一年生に対して三十五人以下学級を予算案に盛り込みました。これにより、新学習指導要領の本格実施やいじめなどの学校教育上の課題への適正な対応、教員が子ども一人一人に向き合う時間の確保を通した質の高い教育の実現をうたっております。
 しかしながら、小学一年生の三十五人以下学級の実現に必要な教員数四千人に関しては、国で二千三百人の定数改善を行い、残り千七百人に関しては、既に地方自治体において少人数学級に使われている加配定数を活用することとなっております。我々は、事前に都の加配定数を持っていかぬよう国に要請してまいりましたが、東京都においても、他府県との公平性の観点から、少人数指導加配定数が減じられることが考えられます。
 この加配定数が減ると、少人数指導を実施していた学校でも、一部少人数指導が実施できない学級が出てくるおそれがあります。現場の混乱を招かぬよう、また、少人数指導の重要性から少人数指導が後退しないようにすべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、新しい公共支援基金について伺います。
 政府は、新成長戦略の一環として、市民の参加と選択のもとで、NPO法人などが積極的に公共的なサービスの提供主体となる新しい公共を検討し、補正予算に新しい公共支援事業交付金を盛り込みました。そして、東京都においては六億円の基金を設置することになりました。
 新しい公共支援事業のガイドラインによると、この事業の趣旨として、NPO法人にとって寄附や融資を受けやすい環境の整備、NPO法人などへの自立的活動の支援、そして、その結果生まれる公的な財やサービスの効果的な提供と、地域における雇用や参加の場の拡大を掲げております。
 新しい公共の担い手となり得るNPO法人など民間非営利団体の多くは、その活動の源泉を寄附に依存するなど、財政基盤の安定化が課題となっているため、新しい公共支援事業交付金を活用し、その支援をしていくことが重要と考えます。
 NPO法人が六千七百団体と数多く存在する東京都は、率先して寄附を社会に根づかせ、行政依存型ではなく、都民一人一人が地域社会の役割を担っていく新しい公共型社会を実現すべきと考えます。そこで、寄附を東京に根づかせるために、どのような環境整備を行っていくべきとお考えか、都の所見を伺います。
 次に、新しい公共を担う支援対象団体の選定について伺います。
 先般、活動実態の見られない休眠状態の宗教法人が急増していることが朝日新聞で取り上げられました。休眠法人が税制上のメリットを目的に事実上売買されている実態もあり、看過できない問題であります。
 NPO法人に関しても、東京都において事業報告書の提出がなく、督促を行った法人は平成二十一年度で一九・四%ありました。NPO法人は設立、解散などの動きが早く、規模や事業内容もさまざまであります。新しい公共をより発展させていくためには、支援相手を適正に選択していくことが重要であると考えます。そこで、都は、どのようなNPO法人を支援すべきと考えているのか、所見を伺います。
 新しい公共型社会の着実な実現のためには、活動基盤整備や寄附募集の支援など、個々のNPO法人などに対する支援事業とともに、NPO法人などの活動を下支えする市民ファンドや中間支援組織への支援もより重要となってきます。このような市民ファンドや中間支援組織を強化していくことで、寄附文化が広がりを見せ、NPOなどの自立的活動の発展につながっていくと考えられます。そこで、都は、新しい公共の担い手となる団体を支援する組織との連携、支援について、現段階でどのような考えを持っているのか、都の所見を伺います。
 次に、運営委員会の設置について伺います。
 ガイドラインは、都道府県が運営委員会を設置することになっております。運営委員会は、都が作成する基本方針案や事業計画案について了承するとともに、支援事業の選定も行うなど、重要な役割を担っています。
 構成委員は、市民、NPO法人、企業などの中から選定されますが、都が委員を選定する際は、新しい公共型社会の実現の理念と趣旨を理解し、公平中立な選定を行うよう、また、委員会の運営に当たっても、審議内容の透明性を確保するよう取り組みが求められますが、都の所見を伺います。
 次に、離島振興について伺います。
 東京の島々は、豊かな自然や個性あふれる歴史や文化により、都民のいやしの空間として、また、広大な排他的経済水域を確保するなど、その果たす役割は実に大きいものがあります。中でも、伊豆諸島は首都圏に近く、海洋や観光資源など、多くの可能性を有しているにもかかわらず、十分に生かされていないのが現状であります。
 昭和二十八年七月の制定以来、伊豆諸島は離島振興法の対策実施地域に指定され、離島振興計画のもと、離島の自立的発展を促進するための種々の事業が実施されてきました。この間、離島振興法は五次の改定、延長が行われ、現在は平成十五年度から平成二十四年度までの期間延長が行われています。
 そして、離島振興法の基本的な考え方も時代とともに変化しています。東京都離島振興計画にもあるように、離島振興の目的は、離島の後進性を除去し、国土の均衡ある発展から島の個性に着目した振興、価値ある地域差の発揮による発展へと大きくシフトしています。
 離島振興法は、島の暮らしを支える必須な法律となっております。いいかえれば、島の生活は離島振興事業を中心とする公共事業により、島の経済が支えられてきたともいえます。しかしながら、依然として小離島の交通基盤整備を初め、現計画から示された価値ある地域差の発揮による発展のための事業は十分とはいえません。また、各島々の自立的発展のための取り組みも、その目的の達成までの道筋はいまだ厳しい状況であり、さらなる延長は離島住民の方々が強く期待するところであります。
 そこで伺います。平成二十四年度に最終目標年次を迎えるに当たり、離島振興法の基本的な理念を踏まえ、これまでの事業の成果並びに今後の課題について、都の所見を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 都議会民主党は、建築物耐震化の推進を都政の重要課題の一つと位置づけており、これまでにもさまざまな提案を行ってまいりました。建築物の耐震診断、改修の実施は、現行の耐震改修促進法では努力義務にとどまり、所有者の意思にゆだねられていることから、対策の進展に限界があり、耐震化が進んでおりません。
 この課題の解決に向けて、今定例会では、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例案が提案されています。その内容は、特定緊急輸送道路の指定、その沿道建築物の所有者に対する耐震診断の実施義務、耐震改修などの実施の努力義務、耐震化に要する費用の助成などとなっています。
 私たちは、建築物の耐震化については、その対象を限定せずに進めるべきと考えてはいますが、この条例案を建築物の耐震化促進に向けた施策として、これまでより一歩進んだ内容となっているものと一定の評価をしております。
 そこで、本条例案について、詳細な内容は今後の予算特別委員会や常任委員会で質問をいたしますが、この場では、基本的な考え方などを中心に伺ってまいります。
 まず、本条例案では、耐震診断を義務化することとされています。旧耐震基準で建てられた建築物の所有者が耐震診断を行わない理由として、改修が必要となった場合の建築物の資産価値の低下や、改修や建てかえに向けた設計、工事などの費用負担の発生などに対するおそれから、耐震診断そのものを実施しないケースも多々あるようだと聞いています。
 耐震診断について、これまでの努力義務から、本条例案によって義務化することとした理由とそのねらいとする効果について所見を伺います。
 また、耐震診断を義務化するということは、その義務を所有者が履行することを確実にする必要があります。耐震診断の義務の履行確保策と履行義務の違反者への対応についての所見を伺います。
 次に、本条例案では、耐震診断を義務づけた一方で、耐震診断の結果、耐震性が不足すると判定された建物の耐震改修については、義務でなく、これまでどおりの努力義務にとどめていますが、その理由について所見を伺います。
 耐震改修が努力義務となっていることで、所有者の諸事情により耐震性が不足することが明らかになった建築物が長期間そのまま放置される可能性があります。このように想定される事態に対してどのように対処していくのか、所見を伺います。
 本条例案に伴い、耐震化助成制度の拡充、つまり所有者負担の軽減も実施される予定となっています。昨年の第四回定例会で示された緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進に向けた新たな規制誘導策の基本的な考え方の案では、耐震診断を義務化する必要があること、また耐震診断の義務づけに伴い、公的支援もあわせて拡大する必要があるとの認識が示されていました。
 その際、都議会民主党は、耐震診断を義務化するならば、所有者負担をゼロにすべきと主張をしてまいりました。これに対して都は、今回、耐震診断については、平成二十五年度までの時限措置でありますが、建物所有者の費用負担を実質ゼロとするとしています。
 都はこれまで、建築物の耐震化は基本的には所有者の責任とする考え方、所有者負担の原則を崩してこなかったわけですが、私たちは、耐震診断に限ってはこの原則を大転換したものと受けとめています。
 そこで、耐震診断の所有者負担を実質ゼロとする措置を期限つきとした理由について、所見を伺います。
 都の助成制度は、都が直接所有者に助成するのではなく、区市町村が実施する助成事業に対する助成となっています。しかし、区市町村によって助成制度がない、あるいは制度があっても内容が異なるため、所有者が公的助成を受けられない、あるいは受け取ることができる金額が異なるなどといった状況にあります。このような不公平性を解消するための今後の取り組みについて、都の所見を伺います。
 都が実施している耐震化に向けた耐震化助成制度のうち、緊急輸送道路沿道建築物や木造住宅を対象とした制度では、改修工事に限らず建てかえなども助成の対象となっております。
 一方、緊急輸送道路沿道以外の分譲マンションの耐震改修助成については、現在、改修工事をする場合だけが助成対象となっていますが、マンションの耐震化を促すため、建てかえる場合も助成対象とすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、暴力団排除条例について伺います。
 この条例は、都内における暴力団の活動が活発であること、すなわち平成元年から二十一年度までの対立抗争の累計件数が全国の約二八%に達するほか、二十一年度中における暴力団などによると見られるけん銃発砲件数が全国の約二七%、暴力団員などの検挙人員は約一七%、暴力団対策法に基づく中止命令の発出件数は約二五%と、いずれも全国の人口に占める東京の割合より大きく上回っていることから、社会全体で暴力団を排除することが必要不可欠として提案されました。
 これまでの警察対暴力団の構図を社会対暴力団に転換することにより、例えば条例案では都民などの責務が盛り込まれ、都民や事業者による情報提供を初め、暴力団排除活動に関する施策への参画、協力などを規定しています。
 しかし、暴力団との対決を警察から社会全体に転換し、都民や事業者に一定の責務を課すのであれば、まずもって東京都が暴力団排除に最前線で積極的に取り組んでいくとの決意なくしては、都民や事業者の協力は得られません。
 そこで、東京都として、暴力団排除に向けた決意についてまず伺いたいと思います。
 事業者が自主的に暴力団との関係を遮断した場合は適用除外とし、それ以外は関与の程度に応じて調査、勧告、事業者名の対外公表、行政命令、そして罰則と、事業者が暴力団との関係遮断を進めるため段階的に措置が定められています。
 また、暴力団との関係遮断を妨害する行為を禁止し、保護対象者に対する警察官による警戒活動その他の安全で平穏な生活を確保するために必要な措置を講じることが定められています。
 暴力団を社会全体で排除していこうというその趣旨は理解でき、評価できるものですが、現実に長い経緯のもとで、直ちに転換することが困難な事例も考えられます。例えば、町会、自治会が主催する祭りへの露店の出店などは、いわゆる長いつき合いの中で行われてきました。この種の露店の中には、暴力団と深い関係のある露店があるのも事実です。
 暴力団と関係する事業者は、当然に排除されなければなりませんが、これが、条例ができたから直ちにやり方を変えるといわれても、いたずらに混乱を引き起こすことになりかねません。
 本条例の施行日までに、こうした町会、自治会などにはどのような働きかけを行い、関係遮断を支援していくのか、都の見解を伺います。
 同時に、必ずしも意図したものではなくとも、暴力団とのかかわりが生じてしまい、その関係を容易に遮断できない場合もあります。こうした事業者を初めとした方々の暴力団との関係遮断を促進するためにどのような対策を講じるお考えか、見解を伺います。
 また、妨害行為の禁止が定められておりますが、それでもなおかつ脅迫、つきまとい、嫌がらせなどが予想され、関係遮断をちゅうちょすることは容易に想像されます。こうした事業者や都民に対してどのような保護策を講じられるのか、所見を伺います。
 こうした暴力団排除の取り組みの一方で、殺人、強盗や暴行など、凶悪犯、粗暴犯を初めとした外国人の犯罪も後を絶ちません。警視庁の取り締まりもあり、検挙件数、人員ともに減りつつありますが、日々生活している私たちの体感としては、決して安心できる状況にはありません。
 政府の観光戦略もあり、訪日外国人が一昨年を除き年々ふえつつありますが、その裏には外国人の犯罪組織の侵入も危惧されております。このような外国人犯罪に対してどのような対策を講じられようとお考えか、所見を伺います。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁によっては再質問を留保しておきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 大沢昇議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、二十三年度予算についてでありますが、今回の予算編成では、依然として厳しい財政環境が続いている中にあって、都民の不安を払拭するため、いかに効果的な手だてを迅速に講じるか、また、中長期的な視点に立ち、東京の新たな成長につなげる取り組みをいかに揺るぎなく進めていくかが大きな課題でありました。このため、まず築いてきた強固な財政基盤を堅持しながら、現場を持つ強みを生かして、より実効性の高い施策を構築し、財源を重点的に振り向けました。
 こうして編成した二十三年度予算は、雇用対策や中小企業支援、公共建築物の耐震化の推進など、都民の不安に的確に対応するとともに、都市インフラの整備を初め、東京の可能性を引き出す戦略的な取り組みを着実に進めておりまして、都民の期待に十分こたえるものになっていると確信しております。
 この予算をてことして、厳しい社会経済情勢に直面する都民に安心と活力をもたらすとともに、将来への展望を指し示し、東京から日本の活力を切り開いていきたいと思っております。
 次いで、都政の総括についてでありますが、就任以来さまざまな課題に取り組んでまいりましたが、そうしたものを取りまとめて実行プログラムの中で今回お示しをしたわけであります。
 都政の総括をとのお尋ねでありますが、これまで手がけたことについてみずからあれこれ評価するつもりはありません。かつて中曽根元総理は、政治家の人生は、そのなし終えた結果を歴史という法廷において裁かれることのみで評価されると述べておられましたが、政治家の評価についての正しい見識であると私は思います。
 いずれにしても、首都を預かる知事として、歴史と文明の大きな流れを見きわめながら、東京と日本の現在と将来を一心に考えて、都政のかじ取りに当たってきたつもりであります。
 次いで、将来への指針についてでありますが、今日、我が国が混迷している原因は、追いつき追い越せで発展を遂げたものの、その先の進むべき国家の進路、いかなる社会をつくり上げるかを見失っていることにあります。
 その中で、東京を世界の範となる都市へと進化させるべく、明確な近未来図を「十年後の東京」計画で描いて、日本の羅針盤ともなる政策を率先して進めてきました。東京を世界に冠たる成熟した都市へとさらに進化させていくためには、直面する課題への対応だけではなくて、長期的な展望を持つ必要があります。
 今回の実行プログラムの改定では、そのためのよすがとして「十年後の東京」計画の先に目を向けた、東京の都市像の一端を将来の指針として示しました。
 次いで、自由貿易についてでありますが、我が国は資源にせよ、食料にせよ、その多くを海外に依存しております。また、すぐれた製品をつくり出し、海外に売ることで、経済的にも成り立ってまいりました。
 我が国にとって自由貿易が極めて重要なのは論をまちませんが、一方で今日の国際情勢を眺めれば、日本は難しい事態に直面しております。新興国の発展や世界的な人口増加によって、今後、資源や食料の需要が増大し、物価も上がるでしょう。
 そうした中で、資源は外交カードとしての重みをさらに増してまいります。要は、外交力の問題でありますが、その背景にさらに何を持つべきかという問題でもあります。
 地球温暖化によって干ばつや耕地の荒廃が進めば、食料そのものの確保が難しくなってもまいります。こうした要因によって、自由な経済取引がいつ妨げられるかわかるものでもありません。自由貿易なるものは、もともとそういう本質を持っているということを十分心得てかかるべきだと思います。
 国際情勢が複雑さを増し、かつてないリスクにこの国がさらされている中で、いかに国家と国民を守るかが政治に問われております。国にはTPPへの参加の是非の議論にとどまらず、さらに重層的、複合的に戦略を組み立ててもらいたいものだと思います。
 次いで、中国との関係強化についてでありますが、東京と北京市は長年にわたる友好都市で一応ありまして、近年では水、環境などの分野で相互に協力関係を築いております。
 一方、昨今の中国政府の振る舞いは、尖閣諸島をめぐる一連の事態だけではなく、東京の沖ノ鳥島をただの岩と一方的に呼び、領有権を認めず、日本の排他的経済水域を否認するなど、まさに私にいわせれば言語道断であります。
 昨日、私も属しております外人記者クラブで、あの中国の漁船らしき得体の知れぬ船と保安庁の船の衝突のビデオをリリースしました、もとの職員であります一色さんの講演を聞きましたが、彼も今までの経験に照らして、この春、海上の気象が落ちついてきた段階で一体何が起こるかということを非常に懸念しておりました。いかに中国が経済的に大きくなったとしても、国際ルールを踏みにじり、日本の国益を害する行為は断じて許せません。
 都市同士は国家同士とは異なる友好の関係の形もあるでしょう。都としては、北京市民、中国国民と友好関係を築くことは決してやぶさかではありませんが、しかし、中国政府のあの姿勢では、都市間の友好も何もあったものではないんじゃないでしょうか。
 まずは、日本政府が、現政府も、現実的に理にかなった実効性のある外交戦略、安全保障を構えて、国民の生命と財産をきちっと守るべく、中国政府に毅然とした態度で臨むべきだと思います。
 また、我が国の周囲を眺めますと、インド、ベトナム、インドネシア、ロシアなど、日本にとって有益な、非常に利益的な経済可能性を秘めながら、日本のすぐれた技術や人材などを必要としている国がたくさんあります。選択肢を広げ、多角的に外交、経済協力を求めることが重要であると思います。
 次いで、新銀行東京についてでありますが、新銀行東京は親身に取引先の経営相談というものを、ほかの銀行は全くしておりませんのに、全くとはいいません、ほとんどしていないのに、この銀行はそれを本当に地道にやってまいりました。きめの細かい対応を行ってきました。
 そして、貸付条件の変更を行ういわゆるリスケジュールを他行に先駆けて実施するなど、小零細企業への支援を行いながら、懸命に再建を進めてまいりました。
 平成二十三年度までの再建計画で目標とした黒字の達成でありますが、こうした努力の結果、平成二十二年度第三・四半期において、本業の収支であります実質業務純益についても初の黒字を計上いたしました。
 新銀行東京は、小零細企業を支援するという役割を十全に果たせるように、引き続き再建の努力を重ねております。
 今後の事業展開については、新銀行東京の経営陣がその姿を検討するものでありまして、都はその取り組みを引き続き支援していくつもりであります。
 銀行の製造物責任とのお話がありましたが、確かに私はその新銀行東京の発案者でありますが、設立に当たっては都議会の賛同を得ております。そのときは、都議会民主党も賛成をいただいております。
 新銀行東京の再建のために、私はこれまでセカンドステージへのさまざまなサジェスチョンを行ってきました。議員の皆さんにも、製造の責任者の一人として、小零細企業支援という新銀行東京の趣旨を踏まえて、これからも有益な提案をしていただきたいと思います。
 築地市場の移転問題に関する事業者の合意形成についてでありますが、築地市場は施設の老朽化もきわまり、市場業者の経営環境も一段と悪化しております。首都圏三千三百万人の食生活を支える豊洲新市場の整備を遅滞なく進めることが、首都の行政を預かる主体者としての都の責任であります。
 昨年の豊洲移転の決断の際には、移転への理解を求める私からのメッセージをすべての市場業者に届けるとともに、業界代表の方々とも直接お会いし、話を伺ってきました。水産仲卸業者の一部に反対はありますが、市場はこれらの方々だけではなくて、水産及び青果の卸、仲卸、買い出し人、関連事業者等の多くの事業者で成り立っておるのでありまして、大多数の事業者は早期の豊洲移転を望んでおります。これまで繰り返し、これらの大多数の事業者から新市場の建設推進を進める要望が都や都議会にも提出されております。
 もとより、移転を具体的に進めていくには、市場業者が個別に抱える課題や不安に対して丁寧に耳を傾け、安心して移転ができる環境を整備することが重要であります。そこで、先般、築地市場内に移転相談窓口を設置したことに加え、先月には経営や資金面などにおける移転支援の方向性を業界団体に提示いたしました。
 今後とも、新市場整備に一人でも多くの市場業者の理解が得られるよう努力をしてまいります。
 次いで、雇用就業対策の取り組みについてでありますが、長引く景気の低迷の中で、失業率の高どまりや前年度よりさらに悪化している大学生の就職内定率など、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 この問題の本質的な解決のためには、国が明確な成長戦略のもと、実効性のある経済対策を進め、雇用を創出することが不可欠でありますが、都としてこの事態を座視することはできません。
 都はこれまで、雇用創出や職業訓練の大幅な拡充、さらには就業支援の強化など、切れ目のないさまざまな雇用対策を実施してまいりました。
 来年度は、これらの対策をさらに推し進め、東京の活力の源泉である中小企業と若者の双方を結びつける取り組みを新たに実施するほか、雇用創出事業も今年度を上回る規模で実施するなど、機を逸することなく、重層的に雇用就業対策を実施してまいります。
 次いで、暴力団排除についてでありますが、暴力団は社会の脅威であり、社会の敵であります。社会全体でその排除に取り組んでいかなくてはなりません。
 とりわけ、日本経済の中心地である東京は、集中、集積が進み過ぎたせいもあって、全国の暴力団の五人に一人が活動し、不当な利益を上げていく現状であります。東京から暴力団の資金を絶ち、徹底して封じ込めることは、ひとり東京のためだけではなく、日本全体に不可欠なことであります。
 こうした動きを先導すべく、都は既に都営住宅から暴力団員を排除しました。昨年からは、都が締結するすべての契約から暴力団を排除しております。
 今後とも、警視庁、区市町村と連携を強化しながら、企業や地域で暴力団と決別する機運を高め、それに向けた具体の運動をさらに強力にバックアップするなど、都としても全力で取り組んでまいります。
 他の質問については、警視総監、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

〇警視総監(池田克彦君) 四点のご質問にお答えします。
 初めに、祭礼等の行事を主催する町会、自治会等に対する関係遮断に向けた支援についてであります。
 祭礼や縁日で親しまれている露店の中には、古くからいわゆるテキ屋組織とつながりを持つものがあり、その収益の一部が暴力団の資金源になっている実態にあるため、暴力団排除の観点からそのあり方を改善していく必要があると認められます。
 本条例案が可決、成立した場合には、祭礼等の行事からの暴力団排除が進み、暴力団組織に流れる資金を封じる効果が期待できるほか、露天商の皆さんにとりましても暴力団との関係を遮断する契機となり、業界の健全な発展にも寄与するものと考えております。
 警視庁といたしましては、露店が長年にわたり都民の間で親しまれてきたという歴史と事実を尊重し、当面は祭礼等の行事の主催者や運営に携わる町会、自治会の皆様を初め、広く地域のご理解を得ることに力を注ぎ、これらの方々や露天商の皆さんと連携を深めた上で、着実に暴力団の影響を排除するための方策を進めてまいります。
 次に、事業者と暴力団の関係遮断を促進するための対策についてであります。
 ご指摘のとおり、意図せずに暴力団との関係を持ってしまい、容易に関係遮断ができずにいる事業者も少なからず存在していると思われます。このような事業者に対しては、警察の行った調査に基づき、利益供与の事実があれば公安委員会が勧告し、これに従わなければ、その旨を公表することとなります。
 他方、この勧告がなされる前にみずから事実を申告し、将来にわたって違反をしない旨の書面を公安委員会に提出した事業者に対しては、これらの手続は行わないという、いわば引き返す黄金の橋を用意しております。
 警視庁といたしましては、これらの手続の各段階において、当該事業者との接点が生まれることにより、必要な助言指導を行い、あるいは相談を受けるなど、ケース・バイ・ケースのきめ細かい対応を行うとともに、関係遮断を決断した事業者には、暴力団追放運動推進都民センターと連携し、必要な情報の提供や関係者の保護を初めとする支援を適切に行ってまいります。
 このように、本条例案は事業者による自主的な関係遮断を促進して、事業活動から暴力団を排除することを主眼とするものであります。
 次に、保護対策についてであります。
 都民の自主的な暴力団排除活動を促進するためには、活動にかかわる都民や事業者の皆さんが安心して取り組めるよう環境を整えていくことが不可欠であり、警視庁におきましては、従来から関係者の保護に全力で取り組んできております。
 このたびの条例案では、この点を一層明確にするため、暴力団排除活動に取り組んだことなどにより、暴力団または暴力団員から危害を受けるおそれがあると認められる方々に対して、警察官による警戒活動など、必要な保護措置を講ずることを第十四条に明記することとしております。
 また、第二十一条が禁止する妨害行為を行っている者に対しては、公安委員会の委任を受けた警察署長が迅速にその中止等を命令し、これに違反した場合には罰則を科すなど、徹底した取り締まりができるようにしております。
 警視庁といたしましては、暴力団に指一本触れさせないという強い覚悟を持って、都民の安全確保に万全を期してまいります。
 最後に、外国人犯罪への対策についてであります。
 近年の外国人犯罪の情勢は、強盗、侵入窃盗、薬物密売等の従来型の犯罪に加え、犯罪を助長する基盤、すなわち犯罪インフラの蔓延により、世界的規模で活動する犯罪組織が我が国へ浸透するなど、治安への悪影響が現実のものとなってきております。
 このような厳しい情勢に対し、警視庁におきましては、海外の治安機関と連携を強化するとともに、外国人犯罪組織が進出しやすい繁華街等に重点的に捜査力を投入するなど、対策を強化しております。
 また、入国管理局とも連携して合同摘発に取り組むなど、不法滞在者の摘発を積極的に推進しております。
 さらに、蔓延する犯罪インフラ、例えば偽装結婚や偽造旅券などでありますけれども、こういうものが犯罪組織の重要なツールになっている現状にかんがみ、これら犯罪インフラに関する情報収集を行うとともに、その解明を進めることにより、犯罪組織に打撃を与えていくことが重要であり、その対策を進めてまいる所存であります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新学習指導要領の全面実施に向けたこれまでの取り組みと今後の展開についてでございます。
 新学習指導要領は、教育基本法や学校教育法の改正などを踏まえ、生きる力をはぐくむという理念のもと、児童生徒が変化の激しいこれからの社会を生きるために、確かな学力、豊かな人間性、健康、体力の知、徳、体をバランスよく育てることをねらいとしております。
 こうした新学習指導要領改訂の趣旨や内容に基づきまして、各学校が適正な教育課程を編成、実施するよう、都教育委員会として支援することは極めて重要な課題であります。このため、都教育委員会は、国に先駆けて、平成十九年度から学習指導要領改訂の背景やその趣旨、今後の東京都における学習指導のあり方や留意点、全面実施までに準備すべき事項等についての都独自の指導資料を作成、配布いたしますとともに、説明会を実施し、各学校の教育課程の適正な編成、実施を支援してまいりました。
 また、公立学校の授業研究の推進役を担う教員を対象といたしまして、すべての教科等で新学習指導要領に対応した授業のあり方についての研究や研修を実施してまいりました。
 今後も、都教育委員会は、こうした教員の研究や研修を一層充実し、その成果を全都に普及するなどして、各学校の学習指導要領の趣旨を実現する教育を強力に支援してまいります。
 次に、学校を地域全体で支援する取り組みの推進についてでございます。
 変化の激しいこれからの社会において、確かな学力、豊かな人間性、健康、体力など、子どもたちの生きる力をはぐくむためには、地域が持つ教育力を学校の教育活動に効果的に取り入れ、多様な体験活動など幅広い教育を行うことが重要でございます。
 学校支援ボランティア推進協議会は、地域全体で小中学校を支援する体制をつくり、地域の人々の多様な知識や経験を活用した支援活動を行うことにより、教育の充実を図る取り組みでございます。
 都教育委員会は、区市町村における学校支援ボランティア推進協議会の設置を推進しておりまして、現在、都内二十一区市の小学校二百八十校、中学校百四十一校で国語や算数の授業の補助のほか、職場体験、読み聞かせ、登下校の安全確保などの支援活動が行われております。
 また、都教育委員会は、広域的な観点から、地域人材と学校との調整を担う地域コーディネーターの研修の実施、先進的な活動事例や企業、NPOと連携した教育支援プログラムの情報提供などを行っており、今後とも、多くの学校で地域の教育力を活用した教育活動が行われますよう、区市町村を支援してまいります。
 次に、少人数指導加配についてでございます。
 小学校一年生の三十五人以下学級の実施に必要となる教員数は、全国で約四千人と見込まれます。これを賄うため、国は、児童数の減少に伴う定数減の二千人と、既存の少人数指導加配定数のうち、全国で小学校一年生を対象に少人数学級を編制するために転用されている千七百人を充当するとともに、三百人の定数を純増し、基礎定数化することといたしました。
 都教育委員会は、従前より少人数指導が極めて有効であると考えておりますことから、少人数指導のための加配を少人数学級に転用はしておりませず、この加配が削減されますと、少人数指導の実施が一部不可能となります。
 このため、都教育委員会は、少人数指導のための加配定数を少人数学級のために転用していない自治体の加配定数を削減しないよう、国に対してあらゆる機会を通して申し入れてまいりました。
 しかし、今月十四日に、国は、全都道府県に対して一律に少人数指導加配定数の削減を行うことといたしまして、都においては九十六の定数の削減が内示されたところでございます。
 このため、都教育委員会としては、国の動きを注視するとともに、少人数指導を実施している小中学校に混乱を生じさせないよう検討しているところでございます。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断の義務化についてでございます。
 建築物の耐震化を進めていくためには、耐震診断を確実に実施し、建築物の正確な耐震性能を把握することが必要不可欠でございます。現行法は、耐震診断の実施を所有者の意思にゆだねておりまして、それが大きな壁となっております。
 このため、都では、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を一刻も早く進め、震災時の広域的な救援活動や復旧、復興の大動脈を確実に確保するため、特に重要な道路を指定し、その道路に面する建物の所有者に対して耐震診断を義務づけることといたしました。
 耐震性能が明確になることで、耐震改修に向けた所有者の自覚と行動が促されるとともに、行政としても、個々の所有者に対して具体的な指導や助言等を行うことが可能となります。
 また、不動産取引における重要事項説明におきまして、診断結果に関する説明義務が法律上規定されていることから、耐震性能が不足する場合には、改修等の措置が講じられていくものと考えられます。
 これらのことから、耐震診断の義務づけは、耐震化を推進するための効果的な施策であると考えております。
 次に、耐震診断の義務履行の確保等についてでございますが、耐震診断が円滑に実施されるためには、まず所有者が耐震診断の実施に主体的に取り組める環境を整えることが重要であると認識しております。
 このため、所有者に対して、条例の内容について十分説明するとともに、所有者が安心して耐震診断に取り組めるよう、診断技術者の紹介、相談への対応などの技術的支援や費用負担の軽減策を講じ、所有者の積極的な取り組みを促してまいります。
 耐震診断が自発的に行われない場合には、条例に基づく指導助言等を行い、必要に応じて公表や命令などを適切に実施し、義務履行を促してまいります。その上でなお診断義務が履行されない場合には、罰則の適用も視野に入れ、耐震診断の実施を確実に図ってまいります。
 次に、耐震改修の実施を努力義務にとどめた理由についてでございますが、努力義務を超えて条例による義務づけを行うには、義務づける行為を明確にする必要がございます。しかし、緊急輸送道路沿道建築物の倒壊を防ぐ方法は、耐震改修のほか、建てかえや除却など多種多様でございまして、所有者がそのいずれを選択するかは、テナントの有無や将来の利用計画等、個々の事情によって異なっております。
 したがって、所有者の個々の事情にかかわらず、条例で特定の方法に限定した耐震改修を強いることは適切ではなく、仮に義務づけたとしても義務が履行されない場合に、行政が強制的な措置をとることは困難となり、義務づけの実効性を確保することはできません。こうしたことから、耐震改修につきましては努力義務にとどめたものでございます。
 次に、耐震性能が不足する建築物への対応についてでございますが、耐震化を進めるには、耐震診断の義務づけによって得られる結果を耐震改修に着実につなげていくことが重要でございます。
 今回の条例では、診断結果の報告を義務づけており、その内容を十分踏まえ、個々の建築物の所有者に対して、耐震改修を進めるために必要な具体的な指導助言を適切に行ってまいります。
 また、相談への対応などの技術的支援や耐震改修に係る費用負担の軽減策を講じ、所有者の主体的な取り組みを促してまいります。
 さらに、必要に応じて条例に基づく耐震改修の実施の勧告を行うことで、耐震化の速やかな実現につなげてまいります。
 次に、耐震診断の助成制度についてでございますが、民間建築物の耐震化は、自助、共助、公助の原則に基づき、所有者みずからがその必要性を理解し、主体的に取り組むことが基本でございます。
 耐震診断の費用については、これまでも所有者の責任で対応することを原則としながら、老朽化した木造住宅が特に密集している地域など、防災対策上必要性が高い場合には、一定の助成を行ってまいりました。
 特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化は、特に公共性、緊急性が高いことから、耐震診断の義務づけに合わせ、原則として所有者負担がなくなる助成制度を整備するとともに、これを短期間で集中的に推進する必要があることから、平成二十五年度までの時限措置を設け、所有者の迅速な取り組みを促していくことといたしました。
 次に、区市町村を通じた助成についてでございますが、緊急輸送道路の機能を確保するためには、沿道建築物の倒壊による道路の分断を路線全体にわたって防ぐ必要があり、一体的に耐震化を進めていくことが重要でありますが、従来の制度では区市町村の取り組みに差があることから、所有者の負担が異なる場合がございます。
 このため、今回の新たな助成制度では、耐震化に必要不可欠な耐震診断の費用につきましては、従来の制度における区市町村負担分を都がすべて負担することにより、沿道建築物が立地する区市町村にかかわらず、所有者に対する助成に差が生じないようにいたします。
 また、耐震改修費用につきましても、区市町村間の差を可能な限り少なくするため、すべての区市町村で従来の所有者負担を軽減することができるよう、助成制度を拡充いたします。
 今後、緊急輸送道路沿道の耐震化をしっかりと進めるためには、区市町村による取り組みが欠かせないことから、これまで耐震化助成を制度化していない場合にはその創設を、制度化している場合には一層の拡充を強く働きかけてまいります。
 最後に、分譲マンションの耐震改修助成についてでございますが、分譲マンションは建物規模が大きく、被災時の影響が広く及ぶ一方、権利者も多く、耐震化に向けた合意形成が難しいなどの課題がございます。
 都はこれまでも、管理組合の取り組みを促すため、関係団体と連携したセミナーの開催や相談窓口の設置とともに、耐震アドバイザー派遣、耐震診断、改修工事に対する助成を行っております。
 昭和五十六年以前の旧耐震基準のマンションの中には、建築後相当の年数を経たものもあり、これらのマンションでは、改修だけでなく建てかえも視野に入れて検討することが合意形成の上でも有効でございます。
 このため、来年度から建てかえの場合にも耐震改修助成相当分を補助することとしております。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、最終補正予算についてでありますが、今回の補正予算は、第一に今年度予算の執行状況を踏まえ、歳入歳出の精査を行うこと、第二に国の経済対策を伴う補正予算に対し所要の対応を行うこと、この二点の方針により編成をいたしました。
 特に歳入歳出の精査といたしましては、母子福祉資金貸付金を増額するなど、所要の経費を計上するとともに、給与改定による給与費の減や事業費の実績減など、不用となることが明らかな事項についてしっかりと精査を行いました。
 こうした取り組みにより、基金の取り崩しを縮減し、財源として活用可能な基金残高をできる限り確保しており、都財政を取り巻く厳しい環境を見据えながら、強固な財政基盤の確保にも十分気を配った予算であるというふうに考えてございます。
 次に、今回の補正予算のもう一つの柱であります国の経済対策に伴う基金事業や交付金の活用についてでありますが、国の補正予算を踏まえ、子宮頸がん対策や子育て支援、雇用創出などのための基金を新たに創設、または拡充するとともに、現時点で実施可能な事業については、その基金の一部を取り崩し、今年度内に実施することといたしております。
 また、新たに創設された地域活性化交付金については、その趣旨に沿って、警察力や消防力のさらなる充実強化、DV対策や自殺予防対策に充当するなど有効に活用しており、都のこれまでの取り組みと相まって、都民の安全・安心に資するものと考えております。
 次に、将来にわたる健全な財政運営についてでありますが、二十一年度に一兆円もの減収となった都税収入は、二十三年度においても小幅な増にとどまっており、こうした厳しい財政環境は今後も続くと見込まれております。
 さらに、少子高齢化の進展や首都機能を維持発展させるためのインフラ整備や更新の需要などを踏まえると、現在のみならず将来に向けても、財政の健全性を維持していくことがこれまでにも増して重要になってまいります。
 そのためには、今後とも事業評価の取り組みなどを通じ、むだの排除を徹底するとともに、一つ一つの施策を厳しく検証し、将来への影響も踏まえながら、その効率性や実効性の一層の向上を図るなど、都庁の自己改革力をさらに高めるべく、努力を続けていかなければならないと考えております。
 その上で、将来の財政負担も見据え、都債を適切に活用しつつ、基金についても計画的に活用し、残高の確保に十分に配慮することで、中長期的に積極的な施策展開を支え得る財政基盤を確保してまいります。
 また、法人事業税の暫定措置については、都財政にとって将来にわたる負担ともなることから、一日も早く撤廃するよう国に対し引き続き強く働きかけてまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

〇総務局長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、これからの行政改革の方向性についてでございます。
 都はこれまで、社会経済状況の変化や多様化する都民ニーズに的確に対応するため、監理団体や民間など多様な主体との連携を図りつつ、徹底したむだの排除による執行体制の再編や、新たな公会計制度導入によるコスト意識の醸成など、既存の行政システムを抜本的に見直す改革に取り組んでまいりました。
 今日、景気の動向など都を取り巻く状況は極めて不透明であり、こうした中で、今後の地方分権の流れや、都政のさまざまな重要課題に迅速的確に対応していくためには、行政運営の質を高めるさらなる改革を進めていくことが必要でございます。
 今後とも、行政としての責任を果たしつつ、都民サービスの向上を図るため、監理団体や民間などとの連携を一層強化するとともに、スリムで効率的な執行体制の確立や情報公開のさらなる推進、すぐれた実務感覚を備えた人材の確保、育成に取り組むなど、不断の行政改革を推進していきます。
 次に、指定管理者制度における労働環境の確保でございます。
 指定管理者には、公の施設の管理運営に当たり、各施設の設置条例において、労働基準法や最低賃金法など関係法令の遵守を義務づけております。
 また、指定管理者の選定に当たっては、経費面だけではなく、都が募集要項に示す施設の管理水準や適正な人員配置などを満たした事業計画となっているかなど、質的な面を重視して審査を行っております。
 今後とも、指定管理者制度の運用に当たっては、こうした公募段階の取り組みとともに、実際の管理運営において労働環境を含めて事業計画が履行されているかを適切に評価するなど、必要な取り組みを進めてまいります。
 次に、島しょ地域の振興についてでございます。
 島しょ地域は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれ、また、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から国益を維持する上でも、重要な役割を担っております。
 都はこれまで、島しょ地域の重要性にかんがみ、地元町村の意見を十分踏まえ、離島の地理的、自然的特性を生かした振興を基本理念に離島振興計画を策定し、島しょ地域の生活水準の向上に取り組んでまいりました。これにより、交通体系、道路、水道、医療体制などの基本的な生活環境は大きく改善してきております。
 しかしながら、島しょ地域特有の厳しい自然環境の中で、島民生活のより一層の安定を図るためには、引き続き、道路、港湾など社会基盤の充実が不可欠であり、また、観光を初めとする産業の活性化、医療人材の確保などの課題も多く残されております。
 島しょ地域の振興には、何より町村みずからが主体性を発揮し、自立した島づくりに取り組むことが重要でございます。
 都は、今後とも、こうした町村の取り組みと連携を図りながら、島しょ地域の自立的発展に向けた振興策を積極的に展開してまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) アジアのヘッドクオーターについてでございますが、国におきましては、総合特区法案やアジア拠点化推進法案が、今後国会で審議される予定となっております。
 東京がアジアのヘッドクオーターとして、海外からの企業誘致や開発拠点の形成を推進していくためには、現行の法律の枠組みを超えた大胆な規制緩和等が必要であると考えておりますが、都といたしましては、今後、国の動向を見きわめながら、新たな制度の活用も含め検討してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、海外企業の誘致についてでありますが、都はこれまでも、海外企業の誘致のため、東京のすぐれたビジネス環境等について積極的なPRを行ってまいりました。具体的には、海外の企業に東京の魅力を紹介する海外企業誘致セミナーへの参加を幅広く呼びかけて、東京への進出に向けたきっかけづくりを行ってまいりました。
 また、東京への進出に必要な情報提供の窓口である東京ビジネスエントリーポイントにつきまして、ホームページや在日大使館を通じて宣伝を行いまして、海外企業が都内で活動しやすい環境づくりにつなげております。
 さらに、都内の企業立地や、中小企業の技術や製品の情報を、外国語でウエブサイトを通じ発信しております。
 これらを通じて、今後とも、海外企業の誘致に向けた取り組みを効果的に進めてまいります。
 次に、今後の産業施策の方向性についてであります。
 東京の産業を発展させていくためには、すぐれた技術を有する中小企業や優秀な人材の集積など、東京が持つ強みを生かしてイノベーションを促進し、国際競争力の強化を図ることが重要であります。
 こうした方向性につきましては、既に平成十九年三月に策定いたしました東京都産業振興基本戦略において明らかにしております。これまでも、本戦略に沿いまして、中長期の視点に立った環境、健康、航空機など成長性の高い産業への支援や経済情勢の変化に対応した中小企業の経営基盤の強化など、各種産業振興策を講じてまいりました。
 一方、現在の経済情勢は依然として厳しく、円高も長期化の様相を呈しており、こうした状況が中小企業に及ぼす影響も見きわめる必要がございます。このため、平成二十三年度におきましては、都市課題解決のための技術戦略プログラムなどにより、成長産業への支援を強化するとともに、円高対策に万全を期すことといたしました。
 引き続き、基本戦略を踏まえ、将来の東京の産業発展を見据えながら、具体的な施策を展開してまいります。
 次に、中小企業に対する金融支援についてであります。
 都は、大企業と比較して信用力が弱い中小企業の運転資金や設備資金の需要にこたえるため、幅広く資金繰り支援を行っております。
 平成二十年秋に端を発した世界的な経済危機以降、都の制度融資では、国の緊急保証制度に対応した融資メニューである経営緊急を中心に、厳しい経営環境に直面した都内中小企業を支援してまいりました。
 国は、緊急保証制度を今年度末をもって終了するため、都の経営緊急も終了せざるを得ません。しかしながら、いまだ都内中小企業を取り巻く経営環境は回復しておらず、来年度は、都の制度融資において、これまで講じてきた小規模企業者に対する保証料の二分の一補助を継続するとともに、円高対応融資メニューを創設して五百億円の融資枠を確保するなど、セーフティーネット融資を重点的に推進してまいります。
 こうした取り組みにより、東京の産業基盤を支える中小企業の資金繰りを支援してまいります。
 次に、海外販路開拓支援に向けた取り組みについてであります。
 アジア市場の発展は目覚ましく、今後も大きな成長が見込まれることから、都は、今年度から機械、金属等の分野ごとに、商社OB等による海外販路ナビゲーターを配置し、中小企業に対し、現地の市場動向に関する情報の提供などを行っております。
 これまでの支援の中で、精密機械や化学等の分野でも商取引のニーズが高いことや、海外での展示会出展が効果的との状況が明らかになっております。このため、ナビゲーターの数を倍増して情報提供を行うとともに、海外展示会への出展機会も拡充を図ることといたしました。
 今後とも、本事業を通じて、中小企業の海外販路開拓の支援を着実に行ってまいります。
 次に、産業技術研究センターの取り組みについてであります。
 東京の産業が国際競争力を高めるため、将来に向け成長が期待される産業や新事業を創出し育成していくことが重要であります。このため、産業技術研究センターでは、環境、福祉、安全・安心など、これからの東京を支える産業分野における技術支援を積極的に行うこととしております。
 具体的には、ことし五月、江東区に新本部を開設することを機に、例えば環境負荷の小さい太陽電池を利用した製品や、インフルエンザのウイルスを迅速に判別できる機器などの研究開発を支援してまいります。
 また、首都大学東京と協力し、環境や省エネルギー技術の研究開発等を進め、その成果を今後の実用化に向けて中小企業に提供してまいります。
 次に、未就職卒業者緊急就職サポート事業の内容についてであります。
 新卒者の厳しい就職状況を踏まえ、都はこれまでもさまざまな支援策を実施してまいりましたが、都内にはすぐれた人材を求める中小企業が数多くあるにもかかわらず、学生の目が向きにくく、ミスマッチが生じているため、来年度から新たな支援策として未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始いたします。
 この事業は、就職先が決まらないまま大学等を卒業した方や、卒業後三年以内で求職中の方を対象に、中小企業での就業体験を通じて正規雇用を目指すものであります。まず研修で社会人としての基礎力を養い、キャリアカウンセリングを通じて企業とのマッチングを行った上で就業体験を実施いたします。
 就業期間中もキャリアカウンセラーによる職場訪問などにより、若者、企業双方へのフォローアップを行い、正規雇用化を促進いたします。
 現在、新年度の早い段階から本事業を開始できますよう着実に取り組みを進めております。
 次に、高校生に対する就職支援についてであります。
 高校生の就職活動支援は、学校現場がハローワークと連携して行うことが基本でありますが、高校生の就職状況は厳しさが続いており、東京しごとセンターにおいてもきめ細かい支援を実施しております。
 一月には、東京しごとセンターに新卒特別応援窓口を開設し、キャリアカウンセリングや学生向けの各種セミナーを実施しており、高校生も対象としております。
 来年度は、新たに学校現場の希望を踏まえ、三年生を対象に実践的な面接対策セミナーを実施するとともに、就職希望の一、二年生を対象に就職活動の基本を学ぶしごとセンター就職体験セミナーを実施いたします。また、教員を対象とする進路指導者向けセミナーも開催いたします。
 今後とも、学校現場と密接に連携しながら、着実に取り組みを進め、高校生の就職活動を適切に支援してまいります。
 最後に、中小企業のものづくり人材の確保についてでありますが、東京のものづくりを支える中小企業の発展を図る上で、そこで働く人材を安定的に確保することが不可欠であります。そのためには、企業の持つ魅力を学生に伝えて、正しく理解してもらうことが効果的であります。
 これまで都は、中小企業で活躍する若者を紹介したホームページを設けたり、就職活動に臨む学生やその保護者を対象にものづくりの現場を訪問するツアーを実施するなど、中小企業で働く魅力を広く発信してまいりました。
 今後は、若者に現場の魅力を伝える機会をふやすため、中小企業の経営者による学生向けの講義や企業でのインターンシップの機会の確保に取り組んでまいります。
 引き続き、ものづくり中小企業の魅力を発信することによりまして、中小企業の人材確保を支援してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 港湾機能の強化に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国際コンテナ戦略港湾としての競争力強化に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、躍進著しいアジア諸港に対峙して、国際基幹航路の維持拡大を図るため、川崎市、横浜市とともに入港料の一元化など、さまざまな連携施策を展開してきております。
 さらに、昨年八月には、国際コンテナ戦略港湾に選定されており、今後は、これを契機として、京浜港への貨物集荷策やターミナルリース料の低減などの取り組みを行ってまいります。
 また、貨物量の増加に備え、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備にあわせ、東京港全体のコンテナターミナルの再編を行うなど、港湾機能を充実強化してまいります。
 こうしたハード、ソフト両面の対策を総合的に展開し、熾烈なアジア諸港との競争の中で確固たる地位を築いてまいります。
 次に、貨物集荷に向けた取り組みについてでありますが、現在、国内各港から釜山港などアジア諸港を経由して欧米に輸送されているコンテナ貨物を京浜港に取り戻すためには、国内貨物輸送のコスト低減に向けた取り組みが必要であります。
 このため、都は、来年度から川崎市、横浜市と連携し、船会社や荷主企業などを対象に輸送コストの一部補助を行い、釜山港経由などから、京浜港経由への利用転換を促進する新たな貨物集荷の制度を創設いたします。
 こうした京浜港みずからの取り組みとともに、内航航路や鉄道等の国内貨物輸送ネットワークの強化により、広域からの貨物集荷を進める国のフィーダー機能強化事業とも連携を図り、京浜港の貨物集荷力強化に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、東京港の道路ネットワークの整備についてでありますが、港湾物流の効率化を図るためには、ふ頭と背後地とを結ぶ道路交通機能の充実強化が極めて重要であります。
 現在、東京港では、羽田空港や千葉方面への東西方向の交通の円滑化を図るため、平成二十三年度の完成を目指し、臨海道路Ⅱ期事業及び新木場・若洲線の整備を進めております。また、これらの路線の開通に伴う交通量の増加に対応するため、国道三五七号との交差点部において、立体化事業をあわせて実施しております。
 さらに、中央防波堤地区の新たなふ頭開発に対応し、南北方向の交通機能を強化するため、今後、臨港道路南北線の早期事業化を図ってまいります。
 これらの事業を着実に推進することで、東京港の物流機能の強化に全力で取り組んでまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

〇中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 最初に、築地地区を中心としたまちづくりの検討についてです。
 検討に当たっては、このまちの特質を十分考慮する必要があります。
 まず、築地というまちは、都心や銀座に隣接し、都市機能が集積しているなど、極めて高いポテンシャルを有しており、まちづくりという視点から、今後の東京を考える上で極めて重要なエリアになっております。
 また、このまちは、築地市場を中心として、場外市場など周辺とのかかわりの中でにぎわいを生み出し、独特の伝統文化を継承してきたという特質を持っております。
 来年度から実施する豊洲に新市場を整備した後の築地地区を中心とした将来のまちづくりの検討におきましては、このようなまちの特質を考慮して、広く関係者の意見も聞きながら、局をまたいで多面的に取り組んでまいります。
 次に、東京ガス株式会社との協議についてです。
 東京ガス株式会社は、新市場予定地におきまして、環境確保条例上必要な対策を実施し、平成十九年にはその手続を完了しております。
 しかし、その後の都の調査により、新たに都市ガス製造の操業に由来する汚染物質が検出されたことから、都は、平成二十一年二月に土壌汚染対策経費の一部負担につきまして、東京ガス株式会社に協議の申し入れを行いました。
 都はこれまで、東京ガス株式会社に対し、土壌汚染対策の詳細な内容や新市場予定地において行いました実験の結果などについて丁寧に説明し、理解を求めてきました。
 現在、東京ガス株式会社と具体的に話し合いを進めており、今後とも精力的に協議を進め、早期の合意に全力を尽くしてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 地球温暖化対策に対しての三点のご質問でございます。
 まず、大規模事業所における総量削減義務の取り組み状況についてでございますが、約千三百の対象事業所は、昨年の秋以降、都に対しまして、削減義務量の算定の基礎となる基準排出量の決定申請を行うとともに、今後五年間の削減計画を提出いたしました。
 これらの提出に当たりましては、我が国で初めて第三者機関による検証というプロセスを義務づけましたが、対象事業所におきましては、計画的な取り組みを進めていただきまして、順調に提出が行われました。
 また、本制度の開始を契機に、最新鋭の省エネ性能を有するオフィスビル等の建設が進んでいるほか、既存の建築物におきましても、大幅なCO2の排出削減に向けた省エネ改修や再生可能エネルギーの大量導入が行われるなど、先駆的な取り組みが始まっております。
 次に、トップレベル事業所認定制度についてでございますが、この制度は、総量削減義務の対象となります大規模事業所におきまして、最高水準の省エネ設備の導入や運用対策が進んでいると認定された場合、削減義務率が軽減される仕組みでございまして、事業者の削減努力を正当に評価して、制度の公平性を担保することを目的としております。
 加えて、この認定基準は、事業所が目指すべき省エネ対策の最高水準を提示する内容ともなっておりまして、この水準を目指すことによりまして、CO2の大幅な排出削減が可能となります。
 今後、都は、新築建築物が目指すべき省エネ水準として、この認定基準の活用を促すとともに、既存の事業所におきましても、より高い取り組みを誘導し、大規模事業所の省エネ対策のレベルアップを図ってまいります。
 最後に、太陽光発電の今後の導入拡大についてでございますが、都の補助事業に続く国の補助事業の復活や余剰電力買い取り制度の創設等によりまして、都内の住宅用太陽光発電の年間設置数はこれまでの約五倍に増加いたしまして、全国的にも約二倍となるなど、着実に市場が拡大してきております。
 今後、業務、産業系施設を含めた国の全量買い取り制度が予定どおり開始されれば、太陽光発電の市場は一層拡大するものと認識しております。
 既に都内では、大規模建築物の新築に当たっての再生可能エネルギーの導入検討義務やキャップ・アンド・トレード制度の開始を契機といたしまして、都心の業務ビルや羽田空港などの大規模施設でも太陽光発電の導入が進んでおります。
 今後とも、都の気候変動対策の諸施策を総合的に活用して、太陽光発電の普及拡大を進めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 十点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、がん検診についてでございますが、受診率向上のためには、区市町村及び職場の検診それぞれにおいて受診促進を図ることが重要でございます。
 このため、都は、個別の受診勧奨と未受診者への再勧奨等による受診率向上策に取り組む区市町村を、包括補助事業を活用して支援しており、効果が認められた取り組みを周知することにより、実施地区の拡大を図っております。
 また、職域での取り組みを促進するため、がん検診に積極的な企業をがん検診推進サポーターに認定し、活動を支援いたしますとともに、企業や健康保険組合に対しまして、がん検診の重要性や従業員の受診促進の具体的事例を情報提供するなど、積極的な働きかけを行っております。
 今後も、地域や職域での取り組みを進め、都民のがん検診受診率の向上を目指してまいります。
 次に、がん医療水準の向上についてでございますが、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院の機能を評価し、都民に医療機関の情報を提供するためには、医療機関ごとに取り扱うがんの種別や五年生存率等を把握する院内がん登録データの蓄積が必要でございます。
 都におきましては、拠点病院では平成二十一年に、認定病院では平成二十二年に院内がん登録データの集約を開始しており、現在、必要なデータの蓄積を進めております。
 今後、十分なデータを収集し、東京都がん診療連携協議会におきまして、分析、評価を行い、その結果を医療機関に還元し、都におけるがん医療の均てん化を促進してまいります。
 次に、緩和ケアの取り組み強化についてでございますが、都はこれまでも、拠点病院等による地域の医療機関への診療支援や医師を対象とした緩和ケア研修などに取り組んでまいりました。
 来年度は、緩和ケア等に関するさらなる理解促進を図るため、がん医療に携わる医師や看護師等医療従事者を対象としたがん対策普及啓発事業を実施いたします。
 本事業では、がん治療の経験者による講演や多職種の医療従事者が現場で活用できる取り組みをテーマとしたパネルディスカッションを開催いたします。
 今後とも、都民が安心して緩和ケアを受けられるよう、研修や普及啓発に取り組んでまいります。
 次に、地域がん登録についてでございますが、地域がん登録は、がんに罹患した方の診断、治療等に関するデータや死亡情報等を集約し、罹患率や生存率を把握する仕組みでございます。
 精緻ながん登録としていくためには、がん患者の罹患情報を数多く収集することが必要であり、院内がん登録を実施している拠点病院や認定病院を初めとする医療機関に協力を依頼してまいります。また、患者の生存状況を確実に把握するために、人口動態統計の活用に加え、区市町村への住民票確認を定期的に実施いたします。
 今後、医師会等の関係団体と連携をして、協力医療機関の拡大を図りますとともに、区市町村に対しまして、地域がん登録の意義を説明し、理解と協力を求めてまいります。
 次に、認知症疾患医療センターに関します五点についてお答えいたします。
 まず、認知症の迅速な診断、治療についてでございますが、都内には認知症の専門医療機関が数多く存在しておりますが、特定の医療機関に患者が集中し、予約から初診に至るまで時間を要する事例もございます。
 来年度、二次保健医療圏ごとに整備をいたします認知症疾患医療センターは、みずから診断、治療を行うことに加え、圏域内にある他の専門医療機関の診療状況を把握することなどにより、患者の状況に応じて適切な医療機関を紹介する役割を担うこととなります。これにより、認知症の疑いのある方を迅速に専門医療機関につなげ、早期診断、早期治療を図ってまいります。
 次に、認知症に係る地域連携体制の構築についてでございますが、認知症の方が地域で安心して生活を継続できるようにするためには、地域の医療機関同士、さらには医療と介護が緊密に連携することが必要でございます。
 このため、認知症疾患医療センターは、医療・介護連携協議会や事例検討会の開催などを通じまして、地域の医療機関、地域包括支援センター、区市町村等の関係機関とネットワークの構築に取り組むこととしております。
 都は、各センターのこうした取り組みが円滑に進むよう、標準的な地域連携パスを作成するなど、地域連携体制構築に向けた支援を行ってまいります。
 次に、認知症疾患医療センターの医療相談室についてでございますが、医療相談室は、専門医療機関や地域包括支援センターとの連絡調整、退院時の調整等を行う地域連携のコーディネーター役として位置づけられております。
 このため、医療相談室には、認知症に関する専門知識を有する精神保健福祉士や保健師等を配置することとしております。
 都は、各センターの地域での取り組みについて、専門職同士が情報交換する場を設けるなど、医療相談室の充実を図ってまいります。
 次に、認知症疾患医療センターの指定についてでございますが、センターは、地域の医療機関等と連携して、認知症に係る医療支援体制を構築していくことが重要であるため、東京都保健医療計画に定める二次保健医療圏に一カ所を基本として指定する予定でございます。
 お話の認知症の方の身体合併症や行動障害などについては、センターだけでなく、地域の認知症に係る専門医療機関、一般病院や精神科病院などとの緊密な連携のもと、地域全体で対応してまいります。
 今後の指定拡大につきましては、センターの運営状況などを十分踏まえ、その必要性を検討してまいります。
 次に、家族介護者の会との連携についてでございますが、認知症の方の介護を担っている家族は、徘回などの周辺症状への対応に戸惑い、周囲に理解されない孤立感の中、精神的なストレスや不安を感じていることが多くなります。こうした方々にとって、家族介護者の会は、日ごろの状況を話したり、家族としての思いや悩みを共有し、地域のさまざまな情報を交換するなど、支え合いの場となっております。
 認知症疾患医療センターにおきましては、このような家族介護者の会と十分連携し、介護者に対する相談活動や適切な情報提供などを行ってまいります。
 最後に、地域生活定着支援センターについてでございますが、矯正施設退所後、親族等の受け入れ先がなく、福祉的な支援を必要とする高齢者や障害者を福祉サービス等につなげ、社会復帰を支援していくことがセンターの役割でございます。
 このため、保護観察所と協働し、入所者から本人の意向や生活歴、心身の状況等を把握するとともに、区市町村や他の道府県のセンターなどの関係機関と連携をいたしまして、矯正施設退所者が適切な場で必要な福祉サービスが受けられるよう事業を実施してまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

〇生活文化局長(並木一夫君) 新しい公共支援基金に関する四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、寄附を根づかせるための環境整備についてでございますが、国は、新しい公共の担い手となるNPO法人等の自立的活動を後押しする新しい公共支援事業交付金を決定し、二年間の限定で約六億円を都に交付することといたしました。
 都は、今後、ファンドレイザーと呼ばれる資金調達の専門家による個別指導や多様な媒体を活用した寄附金の募集の広報など、新しい公共支援事業交付金を利用した方策を検討し、NPO法人等に対する寄附へのインセンティブが働きやすい環境の整備に努めてまいります。
 次に、新しい公共支援事業の対象となるNPO法人等の選定についてでございますが、国が定めた新しい公共支援事業のガイドラインでは、地域の諸課題を解決する意欲や能力があり、継続的に活動していくNPO法人、ボランティア団体、公益法人や社会福祉法人などの民間非営利組織を支援の対象としております。
 今後、新しい公共支援事業に関して、具体的な内容を決定していくこととなりますが、それぞれの支援事業の対象としてふさわしいNPO法人等をこのガイドラインに沿って選定してまいります。
 次に、中間支援組織との連携、支援についてでございますが、都はこれまでも、いわゆる中間支援組織でございます東京ボランティア・市民活動センターを通じて、市民活動に関する情報提供や会計、税務に関する相談等を行い、NPO法人等の活動を支援してまいりました。
 今回の新しい公共支援事業の実施に当たりましては、引き続き東京ボランティア・市民活動センターと連携して支援を行っていきますとともに、当該センターに限らず、NPO法人等に対して支援のノウハウや実績があり、公平に事業を実施できる中間支援組織との新たな連携、支援の方策等について検討してまいります。
 最後に、運営委員会の設置についてでございます。
 国が定めたガイドラインによりますと、新しい公共支援事業の実施に当たって設置する運営委員会では、都が策定する事業計画の検討、支援事業や支援対象者の選定、モデル事業の選定及び評価等を行うものとされております。
 このため、こうした多様な運営委員会の役割を担うことができるNPO法人等の活動に関して高い見識を有する人物など、公平中立な立場から委員を選定していきたいと考えております。
 また、運営委員会は原則として公開することとされておりまして、都におきましても、議事録をホームページで公開することなどにより、審議内容の透明性、公平性を確保してまいります。

〇議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十三分休憩

   午後三時四十一分開議

〇副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十三番三宅茂樹君。
   〔百十三番三宅茂樹君登壇〕

〇百十三番(三宅茂樹君) 平成二十三年第一回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 さて、今をさかのぼること百年前、西暦一九一一年、明治四十四年、日本は江戸末期に結んだ不平等条約の改正に成功し、関税自主権を回復しました。真の意味で欧米列強と対等な国になったのであります。その後、日本は、一度は敗戦によって焦土となりましたが、日本民族の底力を発揮して奇跡の経済発展を遂げ、世界第二位の経済大国になりました。
 しかし、今日、こうした輝かしい歴史を持つ日本に落日が迫っている現実から目を背けることはできません。若者は就労の道が狭められ、サラリーマンは会社の将来を憂い、中小企業は独立自営の機会と意欲を失いつつあり、高齢者は社会保障制度が自分を本当に守ってくれるのか、不安を抱えております。
 さらに、GDPで中国に抜かれ、世界第三位に転落したとの報道もなされております。もちろん、中国とは人口も国土面積も異なり、単純な比較は避けるべきです。しかし、看過できないのは、中国が国際社会のルールを無視し、我が国固有の領土である尖閣諸島をねらう強欲さを示してまでも、経済発展を図ろうとしていることであります。
 このゆゆしき問題に対し、我が国政府は毅然とした態度をとることが全くできず、アジア諸国からは、国家としての基本的な姿勢に疑問のまなざしが投げかけられております。それゆえ、日本の存在感はアジアにおいて急速に低下しております。
 日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す。つつがなしや。これは、聖徳太子が隋の皇帝煬帝に送った親書の有名な一文であります。我々は、当時の大帝国隋に対して対等の外交を求めた聖徳太子の志を学ばねばなりません。
 今日の日本は、頼みの経済力も陰りが出て、もはや日出る処の国としての勢いを失いつつあり、決然とした国家としての姿勢もとれておりません。また、政治が目先の利害にとらわれ、国民に安易におもねり、国家の未来図を示すことができなければ、国民は、将来に対し大きな不安を抱くことは当然です。この国政の現状について、知事の所見を伺います。
 全く頼りない国に対して、都政では、議会と知事とが車の両輪になって「十年後の東京」計画を未来図として、先進的な政策を着実に展開しております。今般、実行プログラムを改定し、雇用対策や災害対策といった喫緊の課題を緊急重点事業と位置づけ、果敢に推進していくことは高く評価をしております。さらに、「十年後の東京」が計画期間の半ばに差しかかる中、誤りなくかじをとるために、東京の将来像を将来への指針として明らかにしております。
 国に何ら期待ができない状況にあって、都民、国民に希望を指し示すことができるのは都政であり、まさに知事が再三述べられているように、東京が倒れれば日本が倒れるのであります。「十年後の東京」は、今や、日本の活路を切り開くための計画でもあります。日本の浮沈をも占う東京の将来について、知事に所見を伺います。
 平成二十三年度予算案は、都民の不安を払拭する事業に迅速に取り組みながら、東京の新たな成長に向けた施策についても、これを確実に進めるものとなっております。
 特に目を引くのは、景気回復の出口が見えない中、我が国の活力を取り戻すために、雇用創出や経済成長の促進につながる施策を展開している点です。中でも、投資的経費を七年連続で増加させ、昨年度から三・三%増の八千八百四億円とし、東京の都市機能をさらに向上させるインフラ整備などを着実に行っていくとしたことは、二年続けて公共投資を減らし、ばらまき公約の実現に奔走する、成長戦略とは名ばかりの政府の対応とは極めて対照的であります。
 投資的経費は、雇用や成長を十分に踏まえた生きた金の使い道であり、厳しい状況の今こそ、真に必要な事業は積極的に推進すべきです。もとより、投資的経費のほかにも各分野へのきめ細かい配慮が随所に図られるなど、まさに我が党のこれまでの主張と軌を一にする予算であると考えます。
 そこで、現下の状況を見据え、どのような思いで二十三年度予算を編成されたのか、知事に伺います。
 国は、財政運営面においても、戦略のない帳じり合わせに終始しているようです。鳴り物入りで始めた事業仕分けは、今回の予算編成で三千億円の効果しか得られず、苦肉の策として、埋蔵金や税収を超える国債の発行で収支不足を穴埋めするありさまです。将来に負担を先送りするだけの、その場しのぎの財政運営に、我が国の行く末を案じざるを得ません。
 一方、都においては、将来を見据えた財政の健全性をしっかりと維持しております。財政環境の大きな好転が期待できない中、基金の取り崩しを最小限に抑え、残高を九千六百三十五億円確保するなど、将来にわたり都政の使命を果たし得る強固な財政基盤を堅持するものとなっております。
 このように、二十三年度予算が積極的に施策を展開しつつ財政の健全性を堅持することができたのは、これまで知事が我が党とともに手を携え貫いてきた堅実な財政運営に、引き続き揺るぎなく徹したゆえにほかなりません。
 そこで、そうした姿勢に基づき、今回の予算編成では、強固な財政基盤を堅持するために都はどのように取り組んだのかを伺います。
 次に、危機管理について質問します。
 危機は突然として我々を襲います。リスクを予想し、被害を最小限に抑えていくことは、都市を経営する上で極めて重要であります。石原知事ほど、危機管理に力を入れている知事はありません。FEMA、DMAT、ビッグレスキューと、数々の政策が実現しており、就任以来一貫して備えを固めてこられました。
 そして今回、緊急輸送道路の沿道建物や緊急豪雨対策でも、新たな施策を講じることは高く評価いたします。都市そのものを災害に強く生まれ変わらせなければなりません。
 もっとも、危機管理ほど、いうはやすく行うはかたしな政策はありません。都民、国民の皆様に、危機を本気で意識していただかなければ事業は進まないのであり、政治のリーダーシップが問われるのであります。
 我が党も、東京の危機管理の強化に全力で当たってまいる所存でありますが、改めて知事に危機管理への思いを伺います。
 震災対策について伺います。
 東京に一たび大地震が起これば、その被害は甚大です。とりわけ、建物の倒壊により緊急輸送道路が遮断されれば、災害時の避難、救急活動、復旧、復興の動脈としての機能を果たせなくなり、その影響ははかり知れません。
 我が党はかねてより、大地震から都民の安全や首都東京の都市機能を確保するため、一刻も早く緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するよう、踏み込んだ施策を講じるべきと主張してきました。これを受け、都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進するための新たな条例案を本定例会に提案しました。
 緊急輸送道路沿道には、民間のオフィスビルやマンションも数多くあります。我が党は、耐震化の推進には、費用負担の軽減を初めとする支援策の充実強化が不可欠であると主張してきました。民間建築物に対する支援策の考え方と概要について伺います。
 次に、豪雨対策について伺います。
 昨年末からことしにかけて、オーストラリアなど世界各地で発生している記録的な豪雨による大規模な災害は、近年の地球規模の気候変動の一例といえるのではないでしょうか。こうした豪雨が、都市機能が高度に発達した首都東京を襲えば、都民の生命財産はもとより、社会経済への影響も甚大です。
 このような状況を踏まえ、都では、昨年十二月、「十年後の東京」への実行プログラムで、緊急重点事業の一つとして緊急豪雨対策を位置づけました。我が党は、かねてより治水対策の促進、拡充を主張していますが、さらなる豪雨対策に取り組み、都民の安全・安心を確保すべきであります。
 そこで、まず緊急豪雨対策における河川事業の取り組み状況について伺います。
 一方、都市に網の目のように張りめぐらされ雨水を排除する下水道は、豪雨対策における基幹的都市施設であり、浸水対策事業を強力に促進する必要があります。この観点から、緊急豪雨対策では、地下街対策として銀座地区など五地区で貯留管などの整備を前倒しするとともに、神田川、石神井川、白子川の三流域においても、雨水排除能力を増強するための下水道管等の整備を前倒しするとのことです。
 そこで、これら下水道事業における緊急豪雨対策の取り組み状況について伺います。
 次に、東京都暴力団排除条例案について伺います。
 昨年の第四回定例会において、東京都の暴力団情勢が予断を許さない厳しい現状にある旨を伺いました。この東京都内が暴力団の大きな資金獲得の場となっている現状を踏まえ、都内の事業活動から暴力団を締め出すという強い意志を示すことが、今こそ必要と考えます。
 そのような中で条例案第二十四条では、事業者が利益供与をすることが禁止される対象者については、暴力団員にとどまらず、より広く規制対象者とされていますが、このように規制対象者を規定した趣旨、背景について、警視総監に所見を伺います。
 また、規制対象者に対して利益供与をした事業者については、勧告、公表、命令、罰則の制裁を科すこととされていますが、このように段階的な制裁手続を設けた趣旨、目的について警視総監に伺います。
 さらに、全国的に暴力団の排除に関する条例が制定される中で、警視庁独自の提案として、事業者による違反事実の自主申告を規定した適用除外という規定がありますが、この適用除外を設けた趣旨について、警視総監の所見を伺います。
 次に、福祉、医療について伺います。
 まず、児童虐待について伺います。
 児童虐待防止法施行から十年が経過しましたが、都が受けた虐待の相談件数は、平成二十一年度には、法施行前の二・六倍の三千三百六十六件となるなど、急増しています。また、昨年国が公表したところでは、平成二十年度は全国で百を超える死亡事例が報告されており、救いの手が届かないまま、子どもの命が失われることがあってはなりません。
 都はこれまでも、児童相談所の体制強化や区市町村における先駆型子ども家庭支援センターの設置等、先進的な取り組みを進めてきました。
 我が党は、急増する児童虐待へのさらなる対応が急務と考え、さきの第四回都議会定例会において、虐待防止に向けた取り組みの強化を求めました。
 知事は施政方針表明において、虐待対策の強化に取り組むと述べていますが、虐待防止に向けた知事の決意を伺います。
 虐待防止のためには、児童家庭相談の一義的窓口である区市町村への支援の充実も急務です。区市町村の児童虐待対応力向上に向けた具体的な取り組み内容について、児童相談所における機能強化とあわせ、伺います。
 児童虐待問題は、かけがえのない子どもの命と生活を守るために、社会全体で取り組むべき課題です。我が党は都とともに、この問題に全力で取り組んでまいります。
 次に、保育サービスについて伺います。
 現在、国は、子ども・子育て新システム検討会議において、幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的、一元的なシステムの構築について検討を行っています。制度、財源がさまざまに分かれている現在の子ども、子育て支援施策を再編する大きな制度改正となるにもかかわらず、現政権が政治主導で行っている検討は遅々として進まず、迷走しています。制度の詳細はいまだ不透明ですが、都独自の基準により設置運営されている認証保育所が正当に位置づけられないのではないかと懸念する声があります。
 我が党が積極的に支援してきた認証保育所は、制度創設後十年目を迎え、都民の広範な支持を得て定着していますが、国はこのような現実を直視していません。
 今後とも、認証保育所が保育を必要とする都民のニーズにこたえるサービスを安定して提供していくよう支援すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、子ども手当について伺います。
 政権党が目玉施策としてマニフェストに掲げた子ども手当は、何ら財源の裏づけもなく、金額の根拠も不明であるなど、基本的な制度設計さえ満足にされていないことが明らかとなっています。それにもかかわらず、ただ単にマニフェストに掲げた施策だからとして固執し、ばらまきを行うという政府の姿勢は、まさに無責任としかいいようがありません。
 国は昨年度、その財源については、二十二年度限りの暫定措置として地方負担を残し、平成二十三年度は改めて検討するとしていました。ところが、性懲りもなく来年度も地方負担を継続することとしています。
 このように、地方負担を残したまま子ども手当を継続することについて、都の所見を伺います。
 次に、高齢者施設における防火安全対策等について伺います。
 近年、群馬県の未届け有料老人ホームや札幌市の認知症高齢者グループホームで痛ましい火災事故が続きました。移動等に支援が必要な要介護高齢者を受け入れる施設においては、防火安全対策に万全を期すことが重要であり、都は、独自の補助制度により、グループホームにおけるスプリンクラー等の設置を促進しています。
 また、要介護高齢者を宿泊させている通所介護事業所が増加していることから、先般、消防設備等について緊急調査を行い、現在、消防法に基づく立入検査を実施するとともに、国に対して必要な法整備を求める緊急提案を行ったと聞いています。
 高齢者施設における防火安全体制等の現状と、法が整備されるまでの間の対応も含め、今後の都の取り組みについて伺います。
 次に、東京都住宅供給公社の住宅を活用した少子高齢化対策について伺います。
 我が党はかねてから、少子高齢化対策に力を入れておりますが、本格的な少子高齢社会に対応するためには、保育、医療、雇用、住まいなど、あらゆる分野における総合的な取り組みが必要と考えています。昨年の予算特別委員会では、高齢者や子育て世帯の住まいの確保という観点から、公社の賃貸住宅における少子高齢社会対応の必要性について訴えたところですが、公社においてさらなる検討を進めていくよう、都としても働きかけていく旨の答弁がありました。
 その後、検討が進んでいることと思いますが、例えば、公社住宅の建てかえの際に生み出す創出用地や保有するオープンスペースを活用し、高齢者向けの住宅等を供給していくことも可能ではないかと考えております。
 今後の公社住宅における少子高齢社会に対応するための取り組みについて伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 平成十八年の障害者自立支援法施行により、障害者が必要とするサービスを受けられる体制が整備されました。また、法施行後も、我が党は利用者負担の大幅な軽減措置や事業者経営の安定化のための報酬改定など、円滑な実施に向けた政策を進めてきたところです。現在、国は、障害者自立支援法にかわる新たな法制度を検討していますが、その議論とは別に、法制度を充実する取り組みは不可欠です。このため、我が党は、利用者の応能負担の導入や重度の視覚障害者の移動支援を法定給付とすることなど、現行の課題を解決する法改正を一昨年来提言しており、昨年十二月、その改正が行われました。
 改正法は、平成二十四年四月までに順次施行することとされておりますが、具体的な改正内容は明らかになっておりません。利用者のためにも円滑に実施していくことが望まれますが、都の対応について伺います。
 次に、精神障害者施策について伺います。
 都は今年度、医療中断などにより地域での安定した生活が困難な精神障害者に対し、医師や保健師等の専門職チームが訪問支援するモデル事業を実施しています。本事業により、自発的に通院するなど効果も出ていると聞いており、昨年十二月の東京都地方精神保健福祉審議会でも指摘されたように、この取り組みを一層推進すべきと考えます。
 また、審議会では、地域生活を継続するためには、症状が悪化する前に短期間入所できる施設の確保も必要とされています。
 都は、モデル事業の成果や審議会の意見を踏まえて、精神障害者の地域生活支援に今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、地域生活定着支援センターについて伺います。
 矯正施設の退所者が、社会復帰を果たし地域で暮らしていくためには、さまざまな支援が必要であり、特に、高齢であったり障害を有する場合には、福祉的な支援が重要となります。国はこうした退所者を支援するため、地域生活定着支援センターを各都道府県に設置する方針を、平成二十一年七月に打ち出しました。
 我が党は、事業の理念、目的には賛同するものの、実施に当たっては慎重に対応すべきと昨年の第一回定例都議会で指摘しましたが、都はこれを踏まえて準備を進め、現在、来年度の設置に向けて運営事業者を公募しているところです。
 本事業を円滑に実施していくには、関係機関の理解と協力が不可欠と考えますが、今後、センターではどのように事業を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、救急医療の東京ルールについて伺います。
 都は、平成二十一年八月から東京ルールに基づく搬送体制を実施しています。我が党は昨年の第二回定例会では、都全域で早期に実施するとともに、ルール導入後の救急医療の実態を把握すべきである旨を提言しました。これを受けて、昨年七月、全都での運用が開始され、地域救急医療センターについても、開始当時の二十六カ所から五十九カ所に指定を拡大するとともに、昨年九月には、一週間にわたって救急搬送の実態調査が実施されました。
 そこで、この調査結果及び今後の課題に対する認識について伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 過日の本会議場で、包括外部監査人からの報告では、財務処理上の課題が取り上げられておりましたが、都立病院改革そのものは、東京ERの運営による救急医療の充実や、東京医師アカデミーによる質の高い医師の確保、育成体制の確立など、着実に実行されてきております。さらに、新型インフルエンザなどの新たな課題や、医療を取り巻くさまざまな環境変化にも柔軟に対応してきたところです。
 そういった取り組みを結集し、昨年三月に開設した多摩総合医療センター及び小児総合医療センターにおいては、高度な医療機能を備えた多摩地域の医療拠点として、重要な役割を果たしていることを高く評価しています。
 そして、駒込病院は、がん・感染症医療センターとして、松沢病院は精神医療センターとして整備が進められており、来年度にはその最終段階を迎えます。我が国のフロントランナーとして認められているこの二つの病院のオープンで、都立病院改革も大きく進み、医療機能も飛躍的に強化されるものと期待しています。
 そこで、駒込病院と松沢病院の整備により、どのように医療機能が強化されるのか伺います。
 次に、看護師確保対策について伺います。
 都が発表した平成二十三年から二十七年までの看護職員需給見通しによると、二十三年は約二千六百人の不足ですが、二十七年には需給が均衡すると推計されています。少子化の進行により若年人口が減少する中、養成数の大幅な増加は期待できず、一方、看護職員は離職者が多い現状を踏まえると、今働いている看護師がやめない環境づくりを進める必要があります。
 看護師の圧倒的多数は女性であり、結婚や出産などにより職場を離れるケースが多い上、医療技術や医療機器の進歩が非常に速く、一たん現場を離れると、復帰の負担は非常に大きいと聞いています。
 都内の潜在看護師数は約五万人といわれており、その掘り起こしと職場復帰が、看護師確保を進める上で重要なかぎを握っています。需給見通しの最終年の平成二十七年は、四人に一人が高齢者となる超高齢社会に突入し、医療と福祉の充実がますます重要な課題となります。需給均衡を着実に実現するため、どのように確保に取り組んでいくのか、今後の看護師確保対策について伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について質問いたします。
 一昨年、世界各地で発生した新型インフルエンザは、ウイルスの毒性が低く、当初懸念したほどの被害はありませんでしたが、グローバル化の中で瞬く間に世界規模に拡大した新型インフルエンザとして、数多くの教訓を得ることができました。
 しかし、国においては、ワクチン接種の優先順位や接種回数のたびたびの変更などで、現場や国民生活に混乱を来した場面もありました。
 一方、都は、都民への的確な情報提供とともに、重症化しやすい未就学児などに対し、国に先駆けて接種時期の前倒しを行うなど、刻々と変わる状況に応じ、区市町村、医師会など関係機関と連携しながら円滑に対応してきました。
 この秋冬も、渡り鳥への感染や、渡り鳥経由の養鶏場における鳥インフルエンザ発生が報告されており、ウイルス変異による新たな新型インフルエンザ発生への警戒は、引き続き必要です。今後、新たな新型インフルエンザが発生した際には、流行状況に応じ、サーベイランスや相談、防疫体制など、さまざまな分野において迅速かつ的確な対応をとることが必要です。
 都は、平成二十年に新型インフルエンザ発生に備えガイドラインを作成しましたが、今回の教訓を踏まえ、このガイドラインについて、保健医療体制全般にわたる見直しを行うべきと考えますが、所見を伺います。
 まちづくりについて伺います。
 東京の幹線道路ネットワークの整備は、交通渋滞の解消や環境改善、防災や安全性の向上のみならず、日本経済を活性化させ、国際競争力を強化するために必要不可欠であります。とりわけ、外環道は整備効果が絶大で、その便益が国全体に及ぶ幹線道路であり、閉塞した経済状況のもと、その早期完成がこれまでにも増して強く求められています。
 このため、我が党は、都議会外かく環状道路建設促進議員連盟と連携し、外環の早期整備の実現に向け、国などへの積極的な働きかけを行ってきました。明日、二月十六日には、都民や沿線区市、地元及び産業界などが一体となって、外環の早期着工に向けた都民の集いの開催が予定されており、外環の早期完成に向けて、機運は一層高まっております。
 そうした中、現地においては、今年度、道路区域が決定され用地取得が進められるなど、事業は大きく踏み出していますが、一方で、整備手法が未決定であり、来年度予算についても不透明な状況にあります。
 このような状況を打開するために、国に対してどのような働きかけを行い、また、外環の早期完成に向けてどのように取り組むのか、知事の決意を伺います。
 都内には、いまだ約千百三十カ所もの踏切があり、交通渋滞や市街地の分断による都市の活力の低下を招く要因となっています。数多くの踏切を同時に除却する連続立体交差事業は、これら課題を抜本的に解決する極めて効果の高い事業であり、我が党では、これまでも幾度となく本事業の推進を要請してまいりました。
 昨年、京浜急行本線では、環状八号線に唯一残された踏切が除却され、JR中央線では、三鷹駅から立川駅間の全区間において高架化が完了しました。これらの事業に引き続き、連続立体交差事業をより一層推進していくことが不可欠であります。
 そこで、連続立体交差事業の推進に向けた都の取り組みについて伺います。
 次に、歩行空間の整備について質問いたします。
 歩道は、子どもや高齢者、車いす使用者など、すべての人が利用する、日々の都民生活に欠かせない空間であります。安全で安心して通行できる快適な歩行空間を形成するため、歩道から電柱をなくし、段差や勾配の改善を図るとともに、歩行者と自転車の安全対策も大変重要です。
 直近の都政モニターアンケートを見ても、都の施策展開への関心で自転車走行空間の整備、高齢者への対応、無電柱化の推進が上位三位を占めており、歩行空間の整備に対する都民の期待の高さがうかがえます。こうした都民ニーズにどうこたえていくのか、都の取り組みについて伺います。
 次に、屋外広告物を活用したエリアマネジメント活動の支援について伺います。
 平成二十年の第四回定例会において、我が党は、屋外広告物条例に基づく規制を緩和し、商店街の街路灯に企業広告の表示を認めて、その広告収入を商店街の活性化の取り組みに充てることを提案しました。
 これを受け、都が提案を踏まえた仕組みを創設したことから、これを活用して自主財源の確保を図る商店街も出てきました。このように規制緩和をうまく活用し、地域の自主的な活性化の取り組みを支援することは、まちづくりを進める上で効果的であるため、今後は、商店街に限らず、より適用範囲を広げていくことが重要であると考えます。
 特に近年、住民、企業などが、みずからのまちを、みずからの手で維持管理などを行うエリアマネジメント活動に取り組む地域がふえてきました。こうした活動に対して、屋外広告物の規制緩和を活用した支援を行うことは極めて有効であると考えますが、所見を伺います。
 産業対策について伺います。
 我が国の経済は依然として厳しい状況が続いておりますが、経済のかじ取りを担うべき国はいまだ有効な対策を講じることができず、そのため都民は、未来に明るさを見出せずにおります。
 しかし、こうした状況をいつまでも厳しい、厳しいと嘆いていても始まりません。今こそ我々は将来を見据え、歩を前に進めていかなければならないのであります。都内の中小企業は、それぞれにみずからが持つ高度な技術を一層高め、すぐれた新製品を生み出すべく日々懸命に努力しております。こうした中小企業のたゆまぬ努力にこたえ、必要な施策、支援を行い、中小企業の成長を促進することで、東京に新たな発展を実現させなければなりません。
 平成二十三年度予算案では、中小企業対策の予算は、厳しい経済情勢にあって不安を募らせる都民や中小企業の要請に力強くこたえるものであり、これは、これまでの現場に根差した我が党の活動から把握した切実な要望にこたえるものと、高く評価するものであります。
 都が行う産業施策は、東京の産業特性を踏まえた地に足のついたものであり、都政の大きな柱の一つといえます。こうした施策の展開によって、東京の経済に活路を開くことが何よりも大切であります。
 そこで、産業施策についての知事の基本的な考え方を伺います。
 将来の産業発展のためには、足元の対策にも万全を期すことが必要であります。しかるに、昨年夏以降の急激な円高は、下請企業への単価切り下げや発注減少など、ものづくり産業を初めとする都内中小企業に大きな打撃を与えており、数多くの中小企業の経営が行き詰まることが危惧されています。
 この状況を踏まえ、我が党は昨年十一月に、円高対策の実施を求める緊急要望を行い、都は、速やかに資金繰り対策や経営相談、下請対策などの緊急円高対策に着手しました。これらの施策は、企業現場の切実な声にこたえた効果的な支援策であります。現在まで、円高は既に半年以上に及んで長期化の様相を示しております。こうした中で、さらに都は、来年度も円高対策の充実を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、平成二十年秋のリーマンショック以降、中小企業の資金繰りを支えてきた緊急保証制度は、幅広な業種を対象に一〇〇%保証を実施してきましたが、現政権は、二十二年度末をもってこれを終了し、来年度からは、例えば、主に零細事業者が営む飲食や食料品小売りなど、生活に密着した業種についても一〇〇%保証の対象外とするとしております。これは、国の中小企業に対する金融支援の後退のみならず、都の制度融資も大きな影響を受けることになります。
 都内中小企業の依然として続く厳しい経営環境を考えれば、緊急保証制度終了後においても都内中小企業の資金繰りに不安が生じないよう、最大限の取り組みを行うことが東京都に期待されているわけであります。
 都は来年度、制度融資を初めとした中小企業に対する金融支援にどのように取り組んでいくのか伺います。
 緊急的な対策を的確に実施することに加え、中小企業が売り上げや収益を着実に伸ばしていくことができるよう、新しい販売先を確保する努力を行政としてしっかり支援することも重要と考えます。
 既に国内市場が成熟して、競争力のある商品を売り出しても、国内で安定した業績を上げることが難しくなっている中、アジアを初めとする海外市場に活路を見出そうとする中小企業は確実にふえております。こうした企業の多くは、購買力が高まったアジアでの取引拡大に高い関心を持ちつつも、現地での取引相手の情報が乏しかったり、国内とは異なる法制度や商習慣に対応できずに、具体的な商談に踏み出すことができずにいる実態があります。
 都は今年度から、海外市場での販路開拓を支援するため、商取引に当たり必要となる情報や知識を提供するなどの取り組みを始めましたが、こうした施策は速やかに充実を図ることが不可欠であります。特に、円高の進行などにより、中小企業はさらに厳しい状況に置かれており、海外販路の拡大に対する支援は待ったなしの緊急度の高いものとなっています。
 そこで、都は来年度、中小企業の海外における販路開拓に向けてどのような支援を行っていくのか伺います。
 次に、商店街の振興について伺います。
 商店街は、地域住民の消費生活を支えるだけでなく、地域コミュニティの核として重要な役割を果たしています。各地の商店街では、まちおこしや文化の継承を目指すさまざまなイベントを通じて、地域のにぎわいの創出に取り組むとともに、防犯カメラを設置し、地域を挙げた犯罪防止の取り組みや、東京消防庁と協定を締結し、地域ぐるみの防火安全体制を強化するなど、安全で安心して暮らせるまちづくりの実現に向けた努力を数多く実施しています。
 こうした商店街を後押しするために、都は、平成十五年度から新・元気を出せ商店街事業を創設し、商店街活性化のための意欲ある取り組みを幅広く多角的に支援してきました。最近では、都政の重要なテーマである地球温暖化対策についても、街路灯のLED化を支援することで多くの商店街で具体的な取り組みが着実に広がっております。
 人と人とのつながりが希薄化した地域社会において、身近な触れ合いを大切にする商店街は、住民の暮らしに欠かせないライフラインとしての役割を今後ともしっかりと果たしていくことが期待されており、都もそれを支援すべきと考えます。
 都の商店街支援は、地元商店街からのさまざまなニーズを受けとめながら、その時々の社会経済の状況に適切に対応できるようにつくり上げてきた取り組みであり、我が党がどこよりも力強く一貫して求めてきたものであります。
 これまでの都の商店街施策の展開の考え方を踏まえながら、これからの商店街振興にどのように取り組んでいくのかについて伺います。
 次に、中小企業の人材確保と新卒者対策についてお伺いいたします。
 東京の将来の発展を担うのは今の若者であり、次代を担う若者が夢と希望を持てるような社会をつくっていくことが重要です。
 しかし、先行きが見えない状況が続く中、若年者が安定志向に流れ、中小企業になかなか目が向かない現状があり、その一方で、若年者を採用したいと考えている中小企業からの求人倍率は四倍を超えるなど、中小企業にとって人材の確保が十分に進んでいない状況が続いております。
 現在の若年者の就職をめぐる厳しい状況は、裏を返せば、中小企業にとって優秀な人材を採用する可能性がより一層広がるという意味で、好機ととらえることができます。我が党は、こうした中小企業の魅力を若年者が認識し、厳しい雇用環境の中、強い意志を持って就職を決め、社会的に自立していくことが重要であると指摘し、両者の橋渡しをきめ細かく行うことを求めてまいりました。
 都はこの主張を受け、これまでも中小企業の人材確保のために中小企業が持つ魅力の発信に努めるとともに、合同面接会の実施などによって、中小企業と若者とを結びつける取り組みを実施してきました。
 しかし、若年者の就職状況が一層厳しくなる中で、やる気のある若者の職業的自立を促進するためにも、また中小企業の発展を促すためにも、これまでより踏み込んだ方策を打ち出すべき時期に来ているものと考えますが、知事のご所見を伺います。
 若年者雇用のうち、特に新卒者の就職が深刻な問題となっています。昨年十二月時点の大学卒業予定者の就職内定率は六八・八%で、十月の発表に引き続き過去最低の水準となりました。十二月の時点で七割に到達しなかったのは、調査開始以来初めてのことです。
 前途ある意欲に満ちた若者が就職できないという事態に、手をこまねいているわけにはいかないことから、しごとセンターなどで従来から実施している支援策だけでなく、さらに一歩踏み込んだ対策の実施が急務と考えます。
 今こそ、新たな就職氷河期世代を生み出すことのないよう、学生はもちろん、リーマンショック後に就職できずにいる既卒者も含めて、優秀な人材を求める中小企業への就職につながるよう、より実効性の高い具体的な支援策を進めることが重要となっていると考えますが、所見を伺います。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 我が党は、これまでも都民に安全・安心な農産物を供給するとともに、都民生活に潤いを提供する都市の貴重な農地については、できる限り保全に努めるべきと強く主張してきました。しかし、いまだに東京の農地は、相続に伴う農地の処分や農業後継者の不足などにより、減少傾向に歯どめがかからない状況にあります。
 また、長引く景気の低迷により、産業全体が苦戦を強いられる中、都市農業についても農産物価格の低迷などにより、農家の経営は厳しい状況に置かれています。
 一方、都内産農産物の地産地消に対する都民の期待の高まりや、各地域で行われている地場農産物を活用したまちおこしの取り組みなど、都市農業にとって明るく喜ばしい話題も多く聞かれるようになりました。
 こうした変化を踏まえ、将来に向け、都民や農業者が東京の農業に明るい展望を持てるよう、新たな発想のもとに、東京の農政を再構築する必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 地球温暖化対策は、将来に向け、我々世代が責任を持って果たさなければならない重要な課題であり、北欧一国並みのCO2を排出している東京は、率先して削減に取り組んでいく責務があります。CO2を大幅に削減しようとするとき、省エネルギーを進めるとともに、再生可能エネルギーの大幅な導入が不可欠です。
 都が昨年度から実施している太陽エネルギー導入補助は、国による太陽光発電の補助制度を再開させ、余剰電力の新たな買い取り制度を創設するなど、全国的な市場拡大の先導的役割を果たしました。
 今後、さらなる太陽エネルギーの利用拡大を進める上では、エネルギー効率が高いにもかかわらず導入が進まない太陽熱利用の普及が重要であり、都はその普及を牽引していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 この四月からは、都市型キャップ・アンド・トレード制度の義務履行手段として排出量取引が開始されます。削減義務のない中小規模事業所にも取引参加を可能とするなど、温暖化対策と経済が両立する新しいモデルのすそ野を広げる期待も高まっています。
 この制度を円滑に機能させるため、都は、中小規模事業所に対する省エネ促進・クレジット創出プロジェクトを開始しました。このプロジェクトは、中小企業者の省エネ対策を促進するとともに、CO2の削減量を排出量取引に利用可能な中小クレジットとして創出し、さらには、経済への波及をもたらす三方得の仕組みで推進していくべきと考えます。
 そこで、改めて環境施策としての視点から、本事業を開始した主たるねらいと実績について伺います。
 太陽熱利用の拡大や省エネ設備の更新など、都が地球温暖化対策を強力に推進していくことで、新たな環境ビジネスや新技術の創出など経済に原動力を与え、CO2排出量を半減させるビルが建設されるなど、事業者の取り組みも着実に進んできております。
 このように、都の施策と連動した企業の先進的な事例を共有し拡大していくことは、CO2の削減の実現とともに、経済の活性化にもつながると思います。都の考えを伺います。
 次に、下水道事業における国際展開について伺います。
 昨年の第四回定例会において、我が党の質問に対して、積極的に下水道事業の国際展開を推進するとともに、先進的、実用的な個別技術については既に海外展開を進めているとの答弁がありました。
 下水道の分野においても、技術大国日本をアピールし、日本経済の活性化につなげるため、国内企業とも歩調を合わせ、さらに実績を積み上げていくことを期待したいと思います。
 その際、重要なのは、下水道に対するニーズは国や地域によってさまざまであるということです。都でも、海外のニーズ調査や情報収集などを行っていると聞いていますが、今後、日本の有する技術力やノウハウを最大限発揮できるよう、相手国のニーズなどをしっかりと把握した上で、実情に即した具体的な取り組みを推進していくべきであると思います。
 そこで、海外ニーズ調査等も踏まえ、下水道事業における国際展開の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。
 次に、水道事業の国際展開について伺います。
 我が党は、世界の水事情の改善と日本経済の活性化のため、都に対しさまざまな提案をしてまいりました。都では、民間企業へのヒアリング、国などへの要請活動、ミッション団の派遣など精力的に施策を推進しており、大変評価しております。
 こうした取り組みにより、今や国を初め、他の自治体や民間企業の動きも活発化し始めておりますが、アジア諸国は四十億人の人口を抱えており、その市場も非常に大きく、我が国一丸となったさらなる取り組みが求められています。
 今後は、都の進めてきた官民連携の流れを加速させるとともに、この取り組みを日本全体の大きなうねりとしていくために、都が牽引役となっていく必要があります。
 そこで、一年間の活動をどのように総括しているのか、また、今後どのように事業展開していくのか伺います。
 次に、多摩地区水道について伺います。
 昨年十月に、日野市で配水管の経年劣化による漏水事故が発生し、バックアップ機能の不足により、断水、濁水の影響が広範囲に及びました。この漏水事故に象徴されるように、多摩地区では広域的な管路のネットワーク化がまだ不十分であり、昨年策定された多摩水道改革計画においても、その整備は急務とされています。
 また、平成二十三年度末には、多摩地区の事務委託が完全解消となる大きな節目を迎えます。
 今後は、都営水道として、多摩地区の給水安定性向上を図るため、一元的に施設整備を進め、広域水道としてのメリットを一層発揮していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 次に、伝統芸能の振興と海外への発信について伺います。
 ロンドン、パリなど世界の主要都市は、国際社会の中で文化都市として確固たる地位を確立している一方、最近では、アジア諸国も、都市の成長戦略として芸術文化の振興に力を入れており、ソウルやシンガポールなどが急速にその存在感を増しています。東京も、これらの都市に伍して、芸術文化都市として確固たる地位を築いていかなければなりません。
 東京の文化の魅力は多様さにありますが、東京が世界の中で独自の存在感を示すためには、とりわけ我が国固有の伝統芸能に強い光を当てていくことが重要です。
 我が党はこれまでも、伝統文化を若い世代に継承し、さらに発展させていくことの重要性について主張し、都の取り組みを強く支援してきました。
 今後とも、東京文化発信プロジェクトなどで実施している伝統芸能に対する取り組みをさらに強化し、海外に発信していくべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、私立学校の振興について伺います。
 一昨年の政権交代後、国は、十分な検討もせずにさまざまな施策を打ち出し、多くの分野でゆがみを生じさせています。私学振興についても同様の問題があります。
 まず、幼稚園就園奨励費についてであります。
 国は本年度、対象園児の約七割を占める最大の階層で、保護者の負担を増加させる制度変更を行いました。我が党は、これに反対するとともに、都に対して激変緩和措置を要望し、その結果、二十二年度一年限りの時限措置として独自の就園奨励特別補助が創設され、保護者負担増の抑制を図ることができました。
 その後、都は国に対して、就園奨励費補助の見直し、拡充を強く要望してきましたが、多くの保護者の願いもむなしく、保護者負担増が抜本的に解決されることはありませんでした。結果として、平成二十三年度予算案においても、引き続き、就園奨励特別補助を都の自主財源で盛り込まざるを得なくなったところであり、この間の都の努力は評価はいたします。
 そこで、こうした結果を招くことになった国における経過と都の今後の対応について伺います。
 次に、いわゆる高校無償化について質問いたします。
 国は、本年度から、公立高校の授業料を無償化するとともに、私立高校などに通う生徒については、高等学校等就学支援金を支給することとしました。ところが、この就学支援金は、制度が複雑な上、事務手続も煩雑で、学校関係者からは、事務の負担が大き過ぎるとの悲鳴にも近い声が寄せられています。
 本来、国が必要な措置を講じるべきものではありますが、我が党は、こうした声をこのまま放置することができないと判断し、私立高校に対して必要な支援を行うよう強く都に要望いたしました。その結果、来年度は総額一億五千万円の事務費を学校に対して交付することとなりましたが、この事務費交付に関する基本的な考え方を伺います。
 こうした国の私学振興施策のほころびは、現場感覚を全く欠いた制度設計によるものといわざるを得ません。
 我が党は、責任ある政党として、現場の実態を踏まえ、真に子どものことを考えて、私学振興のために引き続き最大限努力していくことを、改めて表明しておきます。
 次に、学力向上施策について伺います。
 教育は、知、徳、体のバランスのとれた人間の育成を目指すものであり、都教育委員会では、この目的を達成するためにさまざまな施策に取り組んでおります。
 特に、知力に関して、全国に先駆け、都独自の悉皆による学力調査を実施してきた結果、東京都の小中学生の学力は、全国的にも高い水準にあると聞いています。これは、都教育委員会が、学力調査の結果を児童生徒一人一人や家庭に還元し、学習意欲を喚起した成果と確信しております。
 国は、この学力調査の方式を、今年度より悉皆調査から抽出調査に変えてしまいました。抽出方式では、すべての児童生徒には調査結果を還元することはできないため、児童生徒一人一人が自己の課題を把握して次なる目標を持つことができないという、まことに遺憾な状況をつくり出しています。
 都教育委員会においては、国のような考え方ではなく、今後とも、児童生徒一人一人の学力を把握してその結果を還元することを継続し、児童生徒の学力向上に取り組んでいただきたいものです。
 そこで、都教育委員会は、今後どのように学力向上施策を展開していくのか、伺います。
 次に、子どもの健全育成について伺います。
 最近の子どもの問題行動は、複雑化、多様化し、まことに憂慮すべき状況です。学校は、課題を抱えた子どもに対して、保護者との連携を大切にするとともに、関係機関との連携を図りながら対応していくことが重要です。
 このため、都教育委員会では、スクールカウンセラーなどを配置し、子どもだけではなく、保護者への支援を行うとともに、関係機関と連携して問題行動の解決を図る取り組みを推進しています。
 しかし、課題を抱えた子どもの保護者の中には、我が子の問題行動への対応を学校に任せきりにしたり、どうしたら我が子を立ち直らせることができるのか、相談もできずに悩んだままでいる保護者もおります。
 今後は、課題を抱えた子どもの家庭を訪問し、保護者からの相談に乗り、解決に向けた方策について助言するなど、直接家庭に働きかけを行う支援体制を構築すべきと考えます。
 都教育委員会では、新たな保護者支援に焦点を当てた取り組みを行うと聞いていますが、この新たな取り組みについて、事業の趣旨と具体的な内容について伺います。
 次に、子どもの体力向上について伺います。
 いうまでもなく、体力は気力や精神力はもとより、学力向上や健全育成の源であります。この重要性にかんがみ、国は平成二十年度から、全国すべての小学校五年生と中学校二年生を対象とした体力調査を開始しました。
 平成二十二年度の調査の結果、東京の中学校の男子が四十七都道府県中四十六番目であることに象徴されるように、東京都の子どもの体力は全国平均を大きく下回っております。これは、東京都の子どもの知、徳、体のバランスが崩れているあかしです。
 今後、東京ならではの方策により、幼少のころからすべての子どもたちの体力を底上げしていくことが重要です。また、教員一人一人が、子どもたちの現実を直視し、危機感を持って指導力を発揮していくことも必要と考えます。
 そこで、都教育委員会は、今後、どのような具体策を講じて子どもの体力向上を図っていくのか、伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 昨年七月、ご自身がスポーツマンである知事のリーダーシップのもと、スポーツ振興局が発足いたしました。都のこの先駆的な動きは、国をも刺激し、スポーツ庁の新設やスポーツ基本法提案が改めて俎上にのるなど、我が国におけるスポーツ環境整備の機運を牽引しております。
 来年度の都のスポーツ予算は、百九十億円余を計上し、国の二百二十億円余と遜色のない内容となっております。中でも、ジュニアスポーツのすそ野を広げ、地域からの競技力の向上を図るための取り組みをさらに拡充するなど、これまで我が党が強く要望してきたことにこたえるものとなっていることを高く評価するものであります。
 また、都内六十二全区市町村を会場にして開催されるスポーツ祭東京二〇一三も、いよいよ二年半後となりました。都民、国民に夢と感動を与えるこの一大イベントの開催準備も佳境を迎えます。東京の新たなスポーツ振興を切り開く元年といえる、平成二十三年度予算に込めた知事の思いをお伺いします。
 最後に、豊洲新市場整備について申し上げます。
 知事の豊洲移転の決断を受け、新市場整備が大きく動き出している中、市場業界は、先日、議長及び都議会の全会派に対して、平成二十六年度開場に向けた豊洲関連予算の成立を強く望むとの要望書を提出しました。そこには、豊洲新市場整備が大きく歩み出したことへの歓迎と、早期の整備を願う痛切なる思いが込められていました。
 現在、市場業者を取り巻く経営環境は大変厳しい状況にあります。新市場整備を着実に進めていくことはもとより、あらゆる面で市場業者を支援していくことこそ重要であります。
 今後は、都民及び業界にとって豊洲新市場がよりよいものとなるよう、都議会としては、党派を超えて知恵を出し合い、現実に即した歯車を回し続けていくことが、我々の使命であり、責務であることを申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、国政の現況についてでありますが、中国は日本の人口の十倍の人を抱えているわけでありまして、こうした国が経済的にある程度成長すれば、そのGDPも巨大になるのは当然でありまして、日本が中国に抜かれたからといって、それだけで取り立てて騒ぐことはないと思います。
 しかし、問題なのは、我が国が無為のままに衰退の坂道を転げ落ちていることでありまして、このままでは、三位、四位、五位と、じり貧とならざるを得ないような気がいたします。
 国債の予算に対する依存率からしましても、もし日本がヨーロッパにある国であるとするなら、これからEUに入ろうと思ったら、これは拒否されて入れませんし、EUに属している国でも、これだけ借金のかさが膨らんできますと、恐らくユーロの使用というのは禁止されるんじゃないかと思います。
 自民党の政権の存続以来、しかし、今日もなお、対米依存の他力本願が習い性となりまして、国家的な危機に対して余りにも国全体が鈍感のような気がいたします。
 振り返ってみますと、この十二年間政党の離合集散が繰り返され、総理大臣は猫の目のようにかわり、一昨年には政権交代もありました。しかし、政治は、困難から逃げを続けるばかりで、本質的な問題は一向に解決をしていないと思います。情緒的な言葉だけの政治や党派的な利害と決別して、国家の基本にかかわる憲法の問題や、破綻に瀕した財政を立て直すために不可避な消費税の問題など、それこそ大連立でも何だろうと、果敢にやってのけなければならない時期だと思います。
 日本の将来のみならず、人類の未来もかかった地球温暖化対策についても、東京は他の自治体とスクラムを組んで施策を進めておりますが、国も、口ばかりではなくて、本腰を入れた取り組みをすべきだと思います。本質的な問題に正面から取り組まなければ、首相が何人かわろうと、だれにかわろうと、政権が何度交代しようと、このままでは日本は自滅しかねないんじゃないかという気がいたしてなりません。
 次いで、東京の将来については、今日の東京のように高度に集中、集積が進み、国家の中の国家的存在となっている巨大な都市は、世界じゅう見渡してもどこにもありません。首都東京の将来を論じる際には、そのかじ取りが、東京一都市だけではなく、我が国の行く末をも左右する大きな問題であるということを強く認識することが不可欠だと思います。
 こうした認識のもとに、「十年後の東京」計画を策定し、都市インフラを初め、環境、産業、福祉など幅広い分野で、先進的かつ実効性のある施策を展開してきたつもりでございます。
 実行プログラムの改定に当たっては、従来からの施策の充実強化に加えて、「十年後の東京」計画も計画期間の半ばに差しかかったことから、さらにその先を見据えて、近未来の東京の都市像の一端を将来への指針として明らかにいたしました。
 もとより、東京には人材や技術が集積しておりまして、大きな可能性を有しておりますが、将来にわたり我が国を先導し、活路を切り開いていくには、大都市という現場で、その強みをさらに鍛え、磨き上げる必要があります。
 これまでの蓄積の上に、さらなる進歩を重ねることにより、東京は、経済活動と環境が高次元で両立した、魅力と活力にあふれる世界最先端の都市へと進化し、日本のみならず、アジアのヘッドクオーターとしてその存在感を示し続けることができると思います。
 次いで、二十三年度予算についてでありますが、今回の予算編成では、都民の不安を払拭するためにいかに効果的な手だてを迅速に講じるか、また、中長期的な視点に立ち、東京の新たな成長につなげる取り組みをいかに揺るぎなく進めていくかが、大きな課題であります。
 都の税収は、小幅な増にとどまっておりまして、依然として厳しい財政環境が続いておりますが、これまで築いてきた強固な財政基盤を堅持しながら、都政の使命を果たす予算とすべく、現場を持つ強みを生かしまして、より実効性の高い施策を構築し、財源を重点的に振り向けてまいりました。
 とりわけ、現下の厳しい景気状況を踏まえまして、雇用や経済への波及効果にも十分配慮した施策をきめ細かく展開しているつもりであります。
 また、公共事業については、東京の都市機能を一段と高め、経済への還流性もあわせて持つことから、投資効果の高いものを厳選しまして、積極的に推進してまいります。
 我が国全体が閉塞感に覆われている今だからこそ、この予算をてことして、都民に安心と活力をもたらすとともに、東京が先陣を切って、混迷する日本の活路を開いていきたいと思っております。
 次いで、危機管理についてでありますが、信長が愛吟したようでありますが、敦盛の文句の一たび生を得て滅せぬものもあるべきやという有名な文句がありますが、人間は死が不可避であるということを知っていながら、自分が死ぬということは案外信じていないんですね。これは人間の弱さがもたらす現実忌避の最たるものだと思いますが、災害に関しても同様のことがいえると思います。
 日本列島は、地震や豪雨など大規模な災害に幾度も見舞われてきました。しかし、我々はえてして、自分は決してその被害に遭うことはないと思いますが、そうした勝手な思い込みとは全く無関係に、実は災害は襲ってくるわけでありまして、現実を踏まえた備えを着実に進めなければ、これはなりません。
 これまでも、都は、実践的な防災訓練を行い、災害に強いまちづくりも進めるなど、日本の頭脳部、心臓部の機能麻痺を食いとめる手だてを講じてきました。
 もとより、危機に対処するには、行政の公助だけではなく、おのずと限界がありまして、個々人がまず自分と家族を最低限守る自助、そして近隣を助ける共助というものが基本となってこそ、危機の発生に迅速に対処し、被害を最小限に抑えることもできるわけであります。都民、国民の皆さんにも、それぞれの家庭、地域ででき得る備えをぜひしっかりと固めていただきたいと思います。
 次いで、児童虐待についてでありますが、次代を担う子どもたちが、親や地域の人々の愛情に包まれて健やかに育つことは万人の願いでありまして、その育ちを支えることは、行政はもとより、社会全体の責任であります。
 それにもかかわらず、痛ましい虐待事件が後を絶ちません。子どもを慈しみ、守るべき親が、みずからの我欲におぼれて子どもを虐待し、最後は殺してまでしまうということは、日本人の精神のただならぬ荒廃が、最も端的に、また醜悪にあらわれたものといえると思います。
 児童虐待は、子どもの心に深い傷を残すだけでなく、子どもたち一人一人が持つ未来への可能性をも奪うことになりまして、人として決して許されるものではないと思います。
 都は、専門機関である児童相談所の人員を拡充するとともに、第一線の窓口であります区市町村の虐待対応力も高めて、学校や医療機関などと一体となって、児童虐待の防止に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
 次いで、外環道についてでありますが、現政権が、コンクリートから人へという耳ざわりのいいスローガンを掲げて、その結果、皮肉なことにインフラに使う予算が余っているようでありますが、これも優先順位をどう配分するかについて問題があるでしょうけれども、東京のインフラこそ、これは最優先にされるべきでありまして、私も、ある人脈を通じて現政権の有力な人物に、とにかく東京のためにこれを積極的に使えということを申しておりますが、就任以来、私も外環道の早期整備を都政の最重要施策に掲げ、国を動かし、事業化してきました。しかし、昨今の国政の混乱によって、事業の手法やその財源がいまだに定まっておりません。
 一方、都は、現地に精鋭を配置して、用地取得の推進をより一層加速させております。何よりも、国には外環道の国家的意義の正当性を認識させて、速やかに工事に着手するよう強く求めてまいります。
 あすの外環の早期着工に向けた都民の集いには、私も出席して、これは超党派で、目的達成のために皆さんと協力して事を実現していきたいと思います。
 次いで、産業政策の基本的考えについてでありますが、東京には、他の追従を許さぬ高度な技術力を持つ中小企業の集積がありまして、東京のみならず、我が国の活力の源泉となっております。
 景気は、依然として厳しい状況が続いておりますが、中小企業の高い可能性を存分に発揮できるように支援しまして、今後の成長につなげていくことが、都に与えられた責務であると思います。
 これまでも、CLO、CBOや新銀行東京によりまして、経済活動の血液ともいえる資金の新たな調達の可能性を広げ、将来性にすぐれた中小企業の資金繰りを支援してまいりました。
 また、チャレンジ精神に富む企業の革新的製品、技術を見出して、広くPRするために、ベンチャー技術大賞を創設するなど、中小企業の有する大きな潜在力を生かすためのさまざまな手だてを講じてまいりました。
 ちなみに、私の後輩たちと相談してやりましたローン担保証券あるいは社債担保証券は、アメリカのジャンクボンドマーケットともいわれておりますけれども、これは既に七千億を超します一兆円近いマーケットになりました。参加企業数も一万六千二百社、そのうち上場にこぎつけた会社は七十四社もあります。
 こういった制度は、本来は国がやるべきことでありますけれども、東京都が先鞭をつけたんですが、既に、これに賛同して他の自治体でも、自分の抱えている企業が幾つかこれに参加させてほしいということで受け入れております。来年度には、資金繰り支援や経営支援を初めとする円高対策の拡充など、現下の経済情勢への対策に万全を期します。
 加えて、発展の著しいアジア市場の販路開拓や、成長性の高い産業分野に対する技術支援、さらには産業を支える人材の育成に至るまで、将来を見据えて重層的に施策を展開していきたいと思っております。
 こうした取り組みによりまして、懸命に努力をしている中小企業を全力で支え、東京の産業をさらに発展させていきたいと思っております。
 次いで、中小企業の人材確保と若年者の就職対策についてでありますが、東京の中小企業の力は、世界に誇る高度な技術とそれを駆使できる人材によって支えられております。先般、世界の耳目を集めました小惑星の探査機「はやぶさ」の壮挙は、実は、こうした東京の非常にマイナーな幾つかの会社が、その部品を正確につくって与えることで成功に導かれたものであります。
 現に、中小企業の求人倍率は四倍を超えているのですが、なかなかその求人と就職に乖離が生じてうまくいきません。中小企業は、学生の目にとまりにくいですが、ものづくりの魅力にあふれ、初任給も、大企業と比べて余り遜色ないというところまで来ているんです、企業にもよりますけれども。
 ここで思い起こしますには、私が大学を卒業しました昭和三十一年、余り景気のよかった時期ではありませんけれども、そのときもなかなか就職難でもありましたが、身内の親しい仲間がトヨタ自動車へ入りました。仲間は、何で日本の自動車会社へ入ったんだ、そんなところへ入って大丈夫かと。それが、今では世界のトヨタになりました。電通に入った人間は、広告業、そんなものは一体企業といえるのかねと。今、電通は、日本で確たる最大のシェアを持った広告会社になりました。
 日本航空へ行った人間も、日本の航空会社なんてとばかにされたものですけれども、日航はちょっとよたよたしておりますが、他の飛行機会社も活躍しておりまして、そういうふうにその当時の風俗にまみれた価値観というのは余り当てになりませんで、私は、このミスマッチを何とか克服して、求人というもののニーズを抱えている東京の優秀な中小企業に、でき得れば優秀な人材、新鮮な人材をこれからもより多く供給していきたいと思っております。
 新たな若い力を強く求めて、秘めたる可能性を持つ職場に若者が就職しない状況を放置しては、これはものづくりの基盤を揺るがすことになるわけであります。
 このため、経営者による講義や企業でのインターンシップを通じ、若者に現場の魅力をじかに伝えるとともに、新たに、すぐれた中小企業の成長の軌跡を発信するなど、就職に結びつける機会と場所を確保したいと思います。また、採用した若者を定着させるために、中小企業の経営者に対して、特に労務管理に関する職場づくりについてのアドバイスを都独自の形で行っていきたいと思っております。
 これは、私の特別秘書のアドバイスにあったんですが、私のかつての選挙区の大田区も非常に中小企業が多いところでしたけれども、そこに社長としているおっさんは、仕事熱心のために、夕飯もろくに食わず遅くまで働いちゃうんですな。これはやっぱり、新しくやってくる若い社員には余り好ましい状況じゃないんで、そういったものをしんしゃくして、自分が残って働くのはいいけれども、やっぱり企業としての正当な営業に見合う、成績に見合う労務管理というものをしなくちゃいかぬということは、これは都としてすべきアドバイスだと思います。
 こうした施策を重層的に展開することによりまして、中小企業の人材確保と若者の就業を実現し、東京の産業力を維持強化していきたいと思います。
 あなたも、中小企業の相談の資格を持っていらっしゃる方なので、ぜひその労務管理についてはいいアドバイスをしてやってください。
 次いで、太陽エネルギーの活用についてでありますが、地球上のすべての生物は太陽のエネルギーの恩恵を受けておりまして、地球に一時間に降り注ぐ太陽エネルギーの量は、人類が一年間に消費するエネルギー量に相当するんです。
 昨年、数々の困難を乗り越えて無事地球に帰還した探査機「はやぶさ」も、実に六十億キロメートルという膨大な距離を、ほとんど太陽エネルギーを利用することだけで飛翔したわけでありました。しかし、人類は、いまだにこの無尽蔵な太陽エネルギーを十分に活用できてはおりません。
 都はこれまで、太陽光発電で国を牽引してきましたが、太陽エネルギーを最大限活用するためには、エネルギー効率の高い太陽熱の利用が不可欠であります。
 このため、都は、太陽熱の利用を促進する新たな基金を創設し、先端技術や高い活力を有する民間企業とともに、本格的な太陽熱利用の新たな都市モデルを生み出し、我が国の地球温暖化対策をリードしていきたいと思っております。
 次いで、スポーツ振興についてでありますが、スポーツは、教育や医療、高齢者、障害者福祉など、多岐にわたる問題に直面する現代社会を大きく変えていく力を持っていると思います。
 例えば、近年の若者は、つらいことを嫌がり、避けようとします。日本の将来を担う強い若者を育てるには、スポーツで肉体をしごき、他者との相克にも耐え得る、強くしなやかな心、脳幹を鍛えなければならないと思います。ゆえにも、東京は、国に先駆けてスポーツ局を設置いたしました。来年度は、国や地域を背負って戦うことのできる若いアスリートの育成、スポーツ施設の整備など、ハード、ソフトの面からスポーツ振興に関して積極的な予算を組んでおります。スポーツの力で、日本を東京から再生していきたいなと思っております。
 ことしの東京マラソンも、あと十日になりましたが、東京マラソンを契機に一大ランニングブームが起きつつあるように、老いも若きも健康づくりにはスポーツが不可欠であります。
 さらに、先日のサッカーアジアカップでの日本チームの活躍を見ても、すぐれたアスリートが国を代表して世界のひのき舞台で活躍する姿は、国家への愛着も呼び覚まして、国民を一つにまとめていく大きなよすがになると思います。
 今日、暗い事件が続きまして、閉塞感に包まれている今こそ、スポーツを通じて若者に輝くひとみを取り戻し、すべての人々に若者からも勇気を与える、そういう必要があるんじゃないかと思います。
 他の質問については、警視総監、教育長、技監あるいは関係局長から答弁します。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

〇警視総監(池田克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、事業者の利益供与に関する規制対象者の範囲を広く定めた趣旨、背景についてであります。
 警察による取り締まりの強化や社会における暴力団排除意識の高まりを受けまして、近年の暴力団は、暴力団員ではないものの、暴力団と一定の関係を保ち、その組織的な威力を背景に暴力的不法行為等を行う者や、表向きは暴力団を脱退したかのように装いながら、その実は暴力団やその構成員の利益のために活動している者などをふやし、これらの者を介して、資金獲得活動の拡大と多様化を進めてきております。
 このような現状を踏まえまして、本条例案では、暴力団の資金獲得ルートを効果的かつ確実に遮断することが可能となるよう、事業者による利益供与を禁止する対象を暴力団員のみに限らず、暴力団員ではないものの、暴力団または暴力団員との間に一定の関係を有すると認められる者をも規制対象者として明確に定義し、これらの者を介して行われる資金獲得活動を規制することとしております。
 次に、事業者に対して段階的な制裁等の手続を設けた趣旨、目的についてであります。
 本条例案におきましては、事業者に対し規制対象者への利益供与を禁ずるとともに、これを担保するための制裁等の手続を定めておりますが、この手続は、直接かつ一律に罰則の適用や公表という制裁をもって臨むものではありません。
 事業者の規制対象者への利益供与が、暴力的不法行為を行うことの対償として行われるなど、両者の間にいわば持ちつ持たれつのような密接な関係がある場合には、公安委員会が当該事業者及び規制対象者に勧告を行い、次いで、勧告に従わない場合にはその旨を公表し、さらに違反行為が繰り返される場合には、その防止のための措置を命令するというように、順序を経て慎重に手続を踏んだ上で、命令違反に対する懲役または罰金を科すことにしております。
 また、その一方で、このように暴力団と密接な関係を持つまでには至らない事業者の利益供与行為に関しましては、勧告及び公表にとどめ、さらに一定の要件で手続の適用除外を設けるなど、きめ細かな制度設計を行っております。
 このように、本条例案は、事業活動に伴う暴力団への資金流入を効果的かつ確実に遮断するという目的の達成と健全な事業活動の自由との調和を図るべく、勧告、公表等の手続を段階的に進めることとし、これら手続の各段階、各場面において事業者が自主的に暴力団との関係を遮断できるよう、その機会を提供することとしたものであります。
 最後に、適用除外を設けた趣旨についてであります。
 ただいま申し上げましたように、利益供与違反をした事業者に対しては、制裁を段階的に科すこととしておりますが、暴力団と密接な関係を持つまでには至っていない事業者につきましては、適用除外を設け、勧告を受ける前の段階で利益供与に関する事実報告または資料提出を行い、違反行為を繰り返さない旨の書面を提出した事業者には、その後の制裁に向けた手続を行わないこととしております。
 段階的な制裁手続とあわせて、いわば引き返す黄金の橋ともいうべき自主申告に基づく適用除外を設けることにより、事業者の自主的、自発的判断による暴力団との関係遮断が一層促進されるものと考えております。
 警視庁といたしましては、これらの規定を適時適切に運用するとともに、事業者の身辺に危害が及ぶことのないよう万全を期すことによって、事業者に対し、勇気を持って暴力団との関係を断ち切る決意を促してまいります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の学力向上施策についてでございます。
 児童生徒の学力向上を図るためには、学力調査によって学力の実態を明らかにし、その結果を児童生徒一人一人に還元するとともに、各学校における授業改善を推進することが重要であると認識しております。
 そのため、都教育委員会は、平成十五年度から独自の学力調査を実施し、平成二十年度にはそれまでの調査結果をもとに東京ミニマムを作成するとともに、平成二十二年度には、習熟の早い児童のために、発展的学習を推進するための教材や指導法を開発いたしました。
 また、各学校においては、調査結果をもとに授業改善推進プランを作成し、日々授業の改善に取り組んでおります。
 お話のように、平成二十二年度に国が学力調査を悉皆から抽出に変更したことにより、調査結果を一人一人に還元できず、学校と家庭が児童生徒の学力の状況を共有できなくなっております。
 こうしたことから、都教育委員会は、平成二十三年度から、小学校五年生と中学校二年生を対象に悉皆で新たな学力調査を行い、その結果を一人一人に還元し、学力向上を図っていくことといたしました。
 この調査では、新学習指導要領の目標及び内容の定着状況を把握するために、基礎的、基本的事項及び読み解く力を問う問題を国語、算数・数学の二教科から、小学校では社会、理科を加え四教科に、中学校ではさらに英語を加えまして五教科に拡大してまいります。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携し、学力調査を悉皆で実施することにより、各学校における授業改善を一層推進いたしまして、児童生徒の学力向上を図ってまいります。
 次に、児童生徒の健全育成に向けた保護者支援の新たな取り組みについてでございます。
 児童生徒の健全育成を図るためには、課題を抱えた児童生徒への対応だけでなく、その保護者への支援を行うことが重要であると認識しております。
 これまで都教育委員会は、お話のように平成七年度からスクールカウンセラーの配置を開始いたしまして、平成二十年度からはスクールソーシャルワーカーの配置や健全育成学校支援員の派遣を行うなど、学校における健全育成の取り組みを支援してまいりましたが、これらの取り組みを通しまして、学校から保護者への直接的な支援がないと問題解決につながらないことが多いという実態が明らかになりました。
 このため、都教育委員会は、保護者への支援を強化することを目的に、平成二十三年度から新たに、学校から家庭に出向いて支援を行う学校と家庭の連携推進事業を実施いたします。
 具体的には、学校に家庭と子どもの支援員として配置されました退職教員、保護司、民生児童委員や心理学系大学生等が教員とともに家庭訪問等を行い、保護者に対して子どもが抱える課題について明らかにするとともに、その解決に向けた助言を行います。
 さらに、相談にも積極的に応じまして、保護者の不安や悩みを解消することで子どもの立ち直りを図ってまいります。
 平成二十三年度は、こうした家庭と子どもの支援員を小学校で五十校、中学校百校に配置いたしまして、教員やスクールカウンセラー等との連携を図りながら、学校を拠点とした保護者支援の体制を一層充実して、児童生徒の健全育成を推進してまいります。
 次に、子どもの体力向上の具体策についてでございます。
 子どもの体力を向上させていくためには、何よりも教員が危機感を持ち、児童生徒一人一人の実態を把握し、全体傾向や生活実態等の調査結果の評価分析等を踏まえた取り組みを実施していくことが重要でございます。
 都教育委員会は、昭和四十一年以来、児童生徒の体力運動能力を抽出で調査してまいりました。一方で、区市町村教育委員会は、実施学年や調査内容が異なる体力運動能力調査を独自に行ってまいりました。
 こういった状況を踏まえまして、都教育委員会は、都としての統一的な実態把握の必要性から、小学校五年生と中学校第二学年に限らず、都内公立小学校から高等学校に至るすべての学年、すべての児童生徒約九十四万人を対象とした東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査、いわば東京都統一体力テストを平成二十三年度から実施してまいります。
 この調査では、都道府県単位で初めてとなる一日の歩数調査もあわせて実施し、体力低下の原因に関する科学的データを得ることとしております。
 また、今後実施する体力テストの結果を学校や児童生徒一人一人に還元して、体力の現状と課題を把握できるようにするとともに、生活・運動習慣モデル事業の普及や体つくり運動実践事例集の活用促進を通して、教員の意識啓発と体育授業の指導力向上に努めてまいります。
 さらに、全公立学校の教員が一校一取り組み運動や東京都体力向上努力月間における取り組みを一層充実できるよう働きかけるなどいたしまして、児童生徒の体力向上を推進してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急輸送道路沿道の民間建築物に対する支援策についてでございますが、所有者の主体的な取り組みを促し、耐震化を着実に進めていくためには、新たな条例に合わせ、必要な支援を的確に行っていくことが重要でございます。
 今回の条例では、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を一刻も早く進め、震災時の広域的な救援活動や復旧復興の大動脈を確実に確保するため、特に重要な道路を指定し、その道路に面する建物の所有者に対しまして耐震診断を義務づけることといたしました。
 これに合わせ、耐震診断の費用につきましては、平成二十五年度までの間、原則として所有者負担がなくなる新たな助成制度を整備することにより、早期に路線全体にわたる建物の耐震性能を明らかにしてまいります。
 この耐震診断の結果、耐震改修が必要となる建物に対しては、助成制度を拡充し、所有者負担を従来よりも軽減することにより、耐震改修の速やかな実施につなげてまいります。
 このほか、建物所有者が安心して耐震化に取り組める環境を整えるため、診断技術者や改修工法の紹介、耐震化総合相談窓口の設置などの技術的支援もきめ細かく行ってまいります。
 新たな条例に基づく耐震診断の義務づけと、こうした建物所有者に対する支援策を一体的、総合的に展開していくことで、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進し、災害に強い東京を実現してまいります。
 次に、東京都住宅供給公社の少子高齢社会対応についてでございますが、公社は、現在、約七万戸の公共賃貸住宅を供給管理しております。今後は、市場ではなかなか進まない高齢者向け住宅や子育て世帯向け住宅の供給など、少子高齢社会にも的確に対応することとしております。
 このため、公社では、少子高齢化に向けた今後の取り組みについて検討を進めてきておりまして、今年度中に取り組み方針を策定し、公表する予定でございます。
 具体的には、団地の建てかえなどに合わせ、サービスつき高齢者賃貸住宅や子育てに適した住宅などを供給するとともに、建てかえにより創出した用地を活用して、高齢者施設や子育て支援施設等の誘致を図ること、また、既存住棟について、首都大学東京によるコスト圧縮工法の研究成果を活用しながら、エレベーターの設置や隣接する二つの住戸を一つの広い住戸に改修するなどの住棟改善事業を行うことなどが、主な内容となっております。
 公社では、これらの取り組みを板橋区の向原住宅、世田谷区の烏山住宅及び稲城市の平尾住宅の三団地において、地域のまちづくりとも連携しながら、モデル事業として進めていくこととしております。
 最後に、屋外広告物を活用したエリアマネジメント活動の支援についてでございます。
 地域住民や企業等によるエリアマネジメント活動は、魅力あるまち並みの形成や観光振興など、まちの活性化に大きく寄与することから、これを積極的に支援する必要がございます。
 こうした活動が継続的、安定的に行われるためには財源の確保が重要であり、ご指摘のような屋外広告物の規制緩和を活用した支援策について、現在検討を進めております。
 具体的には、これまで実施してきた商店街の街路灯における規制緩和に加えまして、新たに地域の公共的な空間において案内板等に企業広告の表示を認め、これにより得られる広告収入を財源に充当する仕組みを構築してまいります。
 また、良好なまち並みの形成を図るためには、規制緩和に合わせて地域の景観ルールの策定や広告デザインの自主審査体制の導入なども必要と考えておりまして、来年度の早期にモデル事業を実施し、施策の効果等を検証した上で、平成二十四年度を目途に本格実施し、商店街の振興も含め、まちの活性化を図ってまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 二十三年度予算における財政基盤の堅持に向けた取り組みについてお答えをいたします。
 今回の予算編成では、都税の大きな伸びが期待できない中にあって、将来にわたり都政が継続的に使命を果たしていくため、強固な財政力をいかに堅持していくかという点にも十分配慮いたしました。
 そのため、まずは、これまでなし遂げてきた都庁の自己改革をさらに推し進め、施策の効率性や実効性を高める取り組みを徹底するなど、歳入歳出全般にわたって見直しを行いました。
 具体的には、国に先駆けて、都として五年目となる事業評価をさらに強化し、監理団体等を通じて実施する事業や特別会計、歳入を新たに評価対象に加えました。
 また、新たな公会計手法の活用や関係する部局との連携強化など、評価手法の充実も図っております。
 あわせて、むだをなくすという視点に立って、事業の実績などに基づく歳出の精査を徹底し、事業費の見直しなどを行いました。
 その上で、都債を将来の負担を見据えて適切に活用するとともに、基金を計画的に取り崩し、財源として活用可能な基金残高をできる限り確保いたしたところであります。
 今後とも、将来にわたって積極的な施策展開を支え得る財政基盤を堅持すべく、引き続き取り組んでまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急豪雨対策における河川事業の取り組みについてでございますが、近年の局地的な集中豪雨の増加を踏まえ、迅速かつ集中的に実施する施策として、白子川地下調節池に、流域の異なる石神井川からも取水することといたしました。
 現在、本定例会において、調節池となるトンネル工事等の契約案を上程しております。
 この調節池の整備に当たりましては、技術提案型総合評価方式を採用し、最新のシールド技術を導入するなど民間のノウハウを活用して、工期を約一年間短縮いたします。
 また、平成二十三年度から、石神井川に新たに設ける取水口の構造や取水方法など、具体的な検討を開始いたします。
 一方、昨年溢水のあった石神井川が流れる北区において、出水期前の五月には、水防ポンプ車の出動訓練やヘリコプターによる救助訓練など、東京消防庁、北区及び地元住民と合同で実践的な水防訓練を実施いたします。
 さらに、局地的な集中豪雨による被害を想定して、リアルタイムに雨量、水位情報等のデータを収集、提供する水防災総合情報システムを活用しながら、関連機関と合同で初の情報伝達図上訓練を実施する予定でございます。
 今後とも、都民の命と暮らしを守るため、これまで以上に関係機関と連携を強化し、緊急豪雨対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、道路ネットワークの形成を促進するとともに、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 現在、七路線八カ所で事業を進めており、このうち西武池袋線では、本年四月に練馬高野台から石神井公園付近の下り線を高架化し、六カ所の踏切を除却し、富士街道の踏切で最大五百メートルあった交通渋滞が解消いたします。
 また、JR南武線では、年内に矢野口駅付近から府中本町駅間の下り線を高架化いたします。これにより、踏切の遮断による交通渋滞が緩和されます。
 一方、新規箇所については、二路線四カ所で事業化に向けて諸手続を進めており、このうち京王線では、笹塚駅から八幡山駅間及び八幡山駅から仙川駅間の都市計画案及び環境影響評価準備書の説明会を本年三月に実施いたします。
 また、西武新宿線では、中井駅から野方駅間及び東村山駅付近の都市計画及び環境アセスメントの手続などを進めてまいります。
 今後とも、必要な財源の確保に努めるとともに、区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業をより一層推進してまいります。
 最後に、歩行空間の整備についてでございますが、歩道は、歩行者の安全確保はもとより、都市の緑など潤いの空間、また電気、水道などライフラインの収容空間として、日常生活に欠かせない重要な役割を担っております。
 都は、「十年後の東京」計画に基づき、だれもが安心・安全、快適に通行できる歩行空間の整備を着実に進めてまいりました。今後とも、その整備効果を一層高めるため、歩道のバリアフリー化や無電柱化、自転車走行空間の確保を連携して複合的、一体的に整備してまいります。
 具体的には、平成二十三年度より三カ年で、東八道路や環状六号線など五路線で、こうした一体的整備を約十九キロメートル完成させてまいります。
 引き続き、多くの都民の期待にこたえ、すべての人が快適に利用できる歩行空間の整備を積極的に推進してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、下水道事業における緊急豪雨対策の取り組みについてでございます。
 近年、一時間五〇ミリを超える局所的集中豪雨が頻発している中、東京では地下街がさらなる広がりを見せるなど、浸水リスクが増大しております。今回、新たに策定した緊急豪雨対策では、浸水による被害の危険性が高い地域に対策を重点化し、早期に整備を進めていくこととしております。
 具体的な地下街対策といたしましては、一時間七五ミリの降雨に対応できる施設として、渋谷駅東口周辺の街区基盤整備事業の中で貯留施設の整備を行うこととし、平成二十三年度の工事着手に向け、現在、事業者と細部の調整を進めているところでございます。
 神田川流域では、中野区と杉並区を流れる桃園川幹線流域について、雨水排除能力の増強を図る新たな幹線建設のための検討を進めております。また、石神井川流域では、地元区の緑地整備事業と連携し、緑地用地の下に雨水貯留池を整備することを検討しております。さらに白子川流域では、目白通りの延伸事業に合わせて、新たに白子川一号幹線などを整備することとしており、現在、関係機関と調整を進めているところでございます。
 今後とも、地元区や関係機関と密接に連携を図りながら下水道事業を進め、早期に浸水被害の軽減を図ってまいります。
 次に、下水道事業における国際展開についてでございますが、これまで現場の創意工夫から生まれ、高度な技術によって確立した個別技術の海外展開を推進してまいりました。
 例えば、合流式下水道の改善を図る水面制御装置については、昨年のドイツ、韓国に続きまして、現在、アメリカ、カナダの企業との特許実施許諾契約の締結に向けた交渉を進めております。
 また、老朽化した下水道管を更生するためのSPR工法につきましては、シンガポールや北米など、この一年間だけで約二万メートルの施工が見込まれており、累計で約五万メートルの海外での施工実績となります。
 一方、マレーシア、インドへ職員を派遣した現地調査や下水道グローバルセンターによる調査などからは、下水道施設の効率的な整備運営や、下水汚泥の資源化などに対する多様なニーズがあることが確認できました。とりわけ水資源が逼迫する中で、下水処理水の再利用への高い関心があることも明らかになってまいりました。本日も、マレーシアの国営会社の経営責任者が砂町水再生センターに視察に訪れております。
 東京の下水道は、短期間で大規模な下水道システムを構築し、効率的に運営管理してまいりました。その経験やすぐれた技術を生かし、今後、国やJICAなどの関係機関、下水道関連企業や商社などと連携協力し、相手国、地域のニーズに応じた技術支援や、施設計画の提案などを行ってまいります。これらの取り組みを通して、下水道事業における国際展開を積極的に推進してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 十点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、児童虐待対応力向上に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまで、児童福祉司の増員、虐待対策班の全児童相談所への設置、三百六十五日切れ目ない緊急相談窓口の設置など、虐待に迅速かつ的確に対応できる体制の強化に取り組んでまいりました。さらに来年度は、児童福祉司を十一名増員し、児童相談所の体制の充実を図ってまいります。
 また、児童家庭相談の第一線である区市町村におきましては、先駆型子ども家庭支援センターに、新たに虐待対策コーディネーターを配置し、ケースの進行管理を的確に行うとともに、学校や保健センターなどの関係機関との連携を強化いたします。加えて、児童人口に応じて虐待対策ワーカーを増配置し、対応力を強化いたします。今後、児童相談所と先駆型子ども家庭支援センターの連携を一層強化し、都と区市町村が一体となって児童虐待防止に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、認証保育所についてでございますが、認証保育所は、平成十三年度の制度創設以来、大都市の保育ニーズに的確にこたえ、広く都民の支持を得て着実に設置が進んでおります。平成二十三年二月現在の設置数は五百六十カ所、定員は一万八千人を超え、東京の保育施策に不可欠なものとなっております。
 都はこれまで、認証保育所を国の制度に位置づけ、財政措置を講じるよう国に提案要求をしてまいりました。また、子ども・子育て新システムを前倒しした待機児童解消先取りプロジェクトに対しましても、認証保育所を含む地方単独保育施策を財政支援の対象とするよう緊急要望を行いました。今後とも、都は、保育所制度の抜本的改革を国に強く求めるとともに、東京の保育サービスの重要な柱の一つである認証保育所を支援してまいります。
 次に、子ども手当についてでございますが、子ども手当は、全国一律の現金給付であり、国の責任において実施すべきものであることから、その費用につきましては、地方に負担を転嫁することのないよう、都は国に対して再三にわたり要望してまいりました。しかしながら、国が地方に十分な協議や説明も行わずに、平成二十二年度に引き続き児童手当との併給方式とし、地方負担を残そうとしていることは、まことに遺憾でございます。
 都は、実際に支給事務を行う区市町村に配慮して、平成二十三年度予算案に所要経費を計上したものであり、引き続き、国の責任において確実に財源を確保するよう強く働きかけてまいります。
 次に、高齢者施設における防火安全体制についてでございますが、都は、法令上の設置義務にかかわらず、高齢者施設にスプリンクラーの整備費を補助しており、お話の認知症高齢者グループホームにつきましては、今年度末時点で約九五%が設置する見込みとなっております。
 また自主事業で宿泊サービスを提供している通所介護事業所につきましては、昨年十二月に、区市町村と協力して行った調査結果を踏まえ、消防設備等の確認が必要な事業所に対し、東京消防庁と連携して立入検査を実施いたしております。さらに宿泊サービスの実態等について、すべての事業所を対象として立入調査を行い、保険者でございます区市町村とともに必要な指導を行っております。
 あわせて、宿泊サービスを提供する場合の施設基準や届け出の仕組みがなく、事業の実態把握、指導が困難なことから、必要な法整備を行うよう、先般、国に対し緊急提案を行っております。法整備が行われるまでの間、都としては、独自の届け出基準等を早急に策定し、利用者の安全確保を図ってまいります。
 次に、障害者自立支援法の改正への対応についてでございますが、新たな制度を円滑に実施するためには、利用者が安心してサービスを利用できる事業内容や報酬体系等とするとともに、地方自治体や事業者が早期に準備に着手をする必要がございます。
 しかし、現段階では、新たなサービスの基準や障害児サービスの再編などを初め、改正内容の詳細が明らかになっておりません。このため、先般、国に対し、具体的な内容を早急に示すよう提案要求をいたしました。今後も、現場の実情を踏まえた制度となるよう、必要に応じて国に提案要求を行うとともに、区市町村と連携して課題を整理し、詳細な内容が示され次第、利用者や家族への制度内容の周知や、事業者への説明会を実施するなど、着実に準備を進めてまいります。
 次に、精神障害者の地域生活支援についてでございますが、都が今年度、二十三区及び西多摩二次保健医療圏で実施をしております訪問型支援のモデル事業におきましては、医療を中断していた患者の半数が治療を再開したほか、家族の不安が軽減するなどの効果がございました。
 こうした成果を踏まえまして、来年度からは、都内三カ所の精神保健福祉センターに、医師、保健師、福祉職等から成る多職種チームを配置し、区市町村、保健所と連携しながら、都内全域で訪問型支援を実施いたします。
 また、この訪問型支援と緊密に連携して、症状が悪化する前に速やかに精神障害者を受け入れる短期宿泊事業を区部及び多摩地域の二カ所のセンターで新たに実施いたします。今後、こうした取り組みを一層進め、保健、医療、福祉の関係機関が連携しながら、精神障害者の地域生活を支援してまいります。
 次に、地域生活定着支援センターについてでございますが、都は、現在、矯正施設退所後に、親族等の受け入れ先が得られない高齢者や障害者の社会復帰を支援するため、センターの開設に向け準備を進めております。
 お話のように、本事業を円滑に実施していくためには、関係機関の理解と協力が何よりも不可欠でございます。そのため、都が実施するセンターでは、保護観察所と協働し、本人の意向や生活歴、心身の状況等を、入所中から的確に把握することとしております。また、施設退所後には、福祉サービスを提供する区市町村、他の道府県のセンターや、これまで長く矯正施設退所者の支援に携わってきた保護司会等の関係機関と連携し、適切な場で必要な支援が受けられるよう事業を推進してまいります。
 次に、救急医療の実態調査についてでありますが、全都での東京ルール運用開始を機に、都は昨年九月二十七日から一週間、東京ルール事案を含めたすべての救急搬送一万一千四百五十六件の実態を調査いたしました。調査結果では、東京ルールの運用開始前と比較すると、救急搬送患者に占める軽症患者の割合が七・八ポイント減少したほか、救急隊の医療機関への受け入れ照会回数も減少いたしております。この結果は、救急搬送への都民の理解の深まりや医療機関の意識の高まりなどによるものと考えております。
 一方、救急搬送時間については、患者の背景や救急隊の活動環境が大きな影響を及ぼすことが改めて明らかになりました。主な要因として、患者の背景では、ひとり暮らし、精神疾患、泥酔状態などが挙げられ、また活動環境では、医療機関における院内調整や、患者、家族への説明などが挙げられます。
 今後、こうした課題解決に向け、東京消防庁や医療機関と十分な検討を行い、東京ルールの安定的運用とあわせ、救急患者を迅速適切に受け入れるための取り組みを充実強化してまいります。
 次に、看護師確保についてでございますが、都はこれまで、勤務環境の改善や、新人職員の研修体制の整備などの定着対策、地域の身近な病院で復職の相談や研修などを行う再就業対策に取り組んでまいりました。来年度は、東京都ナースプラザの就業協力員を増員して、二次保健医療圏ごとに配置し、定着対策及び再就業対策をより一層強化いたします。
 就業協力員は、看護職員の確保が困難な中小病院を巡回訪問し、多様な勤務形態の導入や研修体制の充実など、看護職員が安心して働き続けることができる環境整備を支援してまいります。また、巡回訪問した中小病院の協力を得て、離職者にナースバンクへの登録を促すとともに、地域ごとの医療機関の求人情報をメールマガジンなどを活用して、きめ細かく提供してまいります。こうした取り組みにより、医療機関、訪問看護ステーション、福祉施設などで、東京の医療、福祉を支える看護職員を着実に確保してまいります。
 最後に、新型インフルエンザのガイドラインの見直しについてでございますが、現在、一昨年の新型インフルエンザ発生時における経験を踏まえ、病原性や感染力に応じて適切に対応できるよう、三月の公表を目途にガイドラインの改定を進めております。
 新たなガイドラインには、サーベイランス、相談、防疫、医療など、保健医療全般の取り組みを盛り込み、流行状況に合わせて、医療機関における院内体制の強化を段階別に示すほか、都が備蓄した抗ウイルス薬の放出や簡易ベッドの配布時期を明確化するなど、医療体制を具体的に定めることとしております。また、流行期には、入院患者の発生状況を調査する都独自の入院サーベイランスを実施するなど、発生段階ごとのサーベイランスについても明記いたします。
 今後、本ガイドラインを活用し、区市町村や医療機関など関係機関による主体的な取り組みと相互の連携を一層推進し、新型インフルエンザへの備えを強化してまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

〇病院経営本部長(川澄俊文君) 都立病院の再編整備による医療機能の強化についてでございますが、駒込病院は、ことし九月の全面供用開始に向け、鋭意改修工事を進めているところでございます。
 都におけるがんと感染症のセンター病院として、手術室、外来治療センターの拡充、放射線機器等の充実、緩和ケア病棟の整備及び感染症病棟の拡充など、医療機能を強化し、より高度で専門性の高い医療を提供してまいります。
 また、松沢病院は、平成二十四年二月の運営開始を目指し、新館の建設を進めているところでございます。今後の精神医療のニーズにこたえていくため、精神科急性期医療を中心に、他の医療機関では対応困難な救急医療、身体合併症医療、薬物依存等の特殊医療などについて機能強化を図り、都における精神医療のセンター病院としての役割を果たしてまいります。
 今後とも、再編整備を初めとする都立病院改革を着実に進め、行政的医療を適正に都民に提供し、都における医療サービスの一層の向上に向け、全力で取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず円高対策についてであります。
 円高が長期化する中、製造業を初めとする都内中小企業の経営状況の悪化が懸念されるため、今年度の緊急対応に引き続き来年度も円高対策を的確に行うことが重要と考えております。
 具体的には、円高に苦しむ中小企業の資金繰りを支援するため、制度融資に円高対応融資メニューを創設して五百億円の融資枠を確保し、このメニューを利用するすべての事業者に対し保証料の二分の一を補助いたします。また、企業の経営内容を改善するため、中小企業診断士等の専門家チームを最大十回まで派遣して、効果的な円高対応策についてのアドバイスなども行う新たな仕組みとして、円高対応・企業変革アシストプログラムを実施することといたしております。
 さらに、円高の影響により、下請関係にある中小企業が不利な条件で取引を行うことがないよう、下請相談の人員や下請法の講習会の回数をふやすことにより支援策の充実に取り組んでまいります。その上で、適正な取引条件のもとで開催される下請企業取引対策商談会や、海外見本市への出展支援の拡充により仕事を確保する取り組みの支援も行うこととしております。
 こうした多面的な支援策を講じることにより、長引く円高で厳しい経営環境に置かれた中小企業を全力で支えてまいります。
 次に、来年度の中小企業への金融支援についてであります。
 都制度融資では、これまで国の緊急保証制度に対応した融資メニューである経営緊急、これを中心に、厳しい経営環境にある中小企業を支援してまいりました。
 国は、緊急保証制度を今年度末をもって終了し、この間、信用保証協会の一〇〇%保証の対象となっていた業種も、来年度、特に十月以降は大きく縮小することとしております。このため、都の経営緊急については終了せざるを得ない状況にあります。
 しかし、いまだ都内中小企業を取り巻く経営環境は好転していないことから、都としては、来年度、既存の融資メニューについて、融資条件の拡充や小規模企業者に対する保証料の二分の一補助の継続を行うなど、国の指定から外れる業種も含め幅広い業種を対象としてセーフティーネット融資を重点的に推進してまいります。
 さらに、こうした制度融資の取り組みに加え、地域の金融機関と連携した新保証つき融資や機械設備担保融資といった都独自の融資制度もあわせて推進することによりまして、都内中小企業の資金繰りに万全を期してまいります。
 次に、中小企業の海外販路開拓支援についてであります。
 中小企業が成長著しいアジア市場において販路開拓を進める上で、現地での情報収集などを単独で行うことは困難な場合が多いことから、行政としての着実な支援が極めて重要と考えております。
 都は、今年度から開始いたしました海外販路開拓支援事業により、機械や金属等の四分野について、海外販路ナビゲーターを配置し、中小企業に対するサポートを実施しております。
 支援を行う中で、精密機械、化学、情報サービス等の分野でも、商取引のニーズが高いことや海外での展示会出展が効果的との状況が明らかになっております。このため、ナビゲーターの数を倍増し、ニーズの高い四分野を加えた八分野について、情報提供などをきめ細かく実施するとともに、海外展示会への出展支援の機会も拡充することにより、厳しい経営環境が続いてアジア市場に活路を求める中小企業のニーズに速やかに対応することといたしました。
 今後とも、海外販路開拓の支援を適切に行って、円高などにより苦境に置かれた中小企業の経営の向上を実現してまいります。
 次に、商店街振興の取り組みについてであります。
 商店街は、地域住民の生活を支える重要な役割を果たしていることから、都は、商店街振興を産業施策の重要な柱の一つとして位置づけ、平成十五年度に、新・元気を出せ商店街事業を創設し、商店街活性化に向けたさまざまな支援を行ってまいりました。
 また、商店街が地域コミュニティの中心としての役割を担っていることに着目し、地域と一体となってまちおこしに取り組む商店街を支援する地域連携型商店街モデル事業を開始しております。さらに防犯、防災、環境対策など、東京が直面する重要な課題の解決に結びつく取り組みを商店街が実施した場合に支援する特定施策推進型商店街事業などメニューを順次拡充してまいりました。
 来年度は、商店街がLEDやソーラーパネルを活用した街路灯など、環境対応型の仕組みを取り入れ、その内容を地域に発信していく取り組みを支援する環境対応型商店街活性化事業を新たに開始するなど、商店街の地域社会での役割を踏まえた施策を展開してまいります。
 今後とも、商店街が地域コミュニティの中で適切にその役割を担うことができるよう、その意欲あふれる多様な取り組みを積極的に支援し、効果的な振興策の実現を図ってまいります。
 次に、新卒者等を中小企業への就職につなげる支援策の実施についてであります。
 新卒者等の就職環境は、引き続き厳しい状況にあり、都は、東京しごとセンターに一月から開設した新卒特別応援窓口や合同就職面接会等を通じ、現在、全力を挙げて支援を実施しております。来年度も合同就職面接会を拡充するほか、中小企業が自社の魅力をアピールし、若者と直接交流する合同企業説明会を新たに年十二回開催するなど支援を強化いたします。
 さらに優秀な人材を求める中小企業と若者を効果的に結びつけていくため、より実効性の高い支援策として、未就職卒業者緊急就職サポート事業を新たに開始いたします。この事業は、中小企業での就業体験を通じて正規雇用を目指すものであり、就職先が決まらずに大学等を卒業した方や卒業後三年以内で求職中の方が対象となります。
 まず研修で社会人としての基礎力を養い、キャリアカウンセリングによって本人の適性や希望を踏まえた上で三カ月間の就業体験を実施いたします。さらに正規雇用化への実効性を高めるため、就業期間中も、キャリアカウンセラーによる職場訪問などによりフォローアップを行います。
 今後とも、学生の在学中から卒業まで切れ目なく、多様な就職の機会を提供するなど支援を継続することで、厳しい就職環境が続く中でも、意欲ある若者が早期に就職を実現できるよう支援してまいります。
 最後に、農業振興施策の再構築についてでありますが、東京の農業は、大消費地の中で営まれる優位性を最大限に生かし、豊かな都民生活の実現に貢献しております。都は、都民ニーズの多様化や農業者の高齢化など、都市農業を取り巻く環境の変化へ対応するため、平成十三年に策定いたしました東京農業振興プランに基づき施策を実施してまいりました。
 具体的には、農業、農地の持つ多面的な機能を生かしたまちづくりに向けた取り組みを支援し、貴重な都市の農地保全に努めております。また、大消費地東京のポテンシャルを生かした地産地消の推進など、農業経営の安定に向けた都独自の施策に取り組んでおります。
 今日、都民の農業、食の安全に対する関心や地産地消への期待が高まっていることから、今後こうした取り組みを一層進め、都民や農業者の期待に的確にこたえる農政を展開するため、来年度に東京都農林・漁業振興対策審議会を開催し、その議論を踏まえ、東京農業振興プランの改定に向けて検討を開始してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず省エネ促進プロジェクトについてでございますが、キャップ・アンド・トレード制度では、事業者がみずからCO2を削減することが基本でございますが、結果として、削減できない場合は、CO2削減量を排出量取引により取得する必要がございます。この排出量取引制度を円滑にスタートさせるため、本プロジェクトを創設し、中小規模事業所の省エネ対策を支援するとともに、削減されたCO2を義務履行に活用できる中小クレジットとして都が供給することとしたものでございます。
 昨年秋に実施をいたしました第一回募集の結果、四十一件の助成を決定いたしまして、今後五年間におよそ八千六百トンの中小クレジットの創出が見込まれております。また、この申請の半分は、省エネに対する専門的知見を有するESCO事業者との共同申請となっておりまして、これまで少なかった中小規模事業所におけるESCO事業の拡大にも道を開くものと考えております。なお、先月末に終了しました第二回募集では、第一回の倍以上の約百件の申請がございました。
 今後とも、削減義務の対象となります大規模事業所のCO2削減計画とその実施状況を見きわめつつ、必要な中小クレジットの確保に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、CO2の削減と経済の活性化についてでございますが、都の地球温暖化対策は、省エネ性能の高い設備への更新を促すなど、経済の新たな牽引役としての役割も果たしてきております。この動きをさらに広めるために、都の制度を活用した企業の先進的な取り組みを、東京商工会議所のホームページで公表しておりますが、今週開催いたします地球温暖化対策セミナーにおきましても、意欲的に取り組みを進めております事業者の皆さんから、具体的な省エネ対策の事例をご紹介いただくこととしております。
 今後は、このような事例の共有化に加えまして、LED照明などの先進技術の活用や、省エネ性能にすぐれた建築物に投資を促す仕組みづくりを進めまして、CO2削減と経済活性化を両立させる新たなビジネスモデルの創出や、経済効果の拡大を目指してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

〇水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えをします。
 まず、国際貢献ビジネスにおける一年間の総括及び今後の事業展開についてでございますが、この一年間の総括としましては、東京水道サービスを活用した新たな国際貢献の方針を公表して以来、海外事業調査研究会の設置や、ミッション団の派遣を初め、さまざまな施策を展開し、各国の実情や政策をじかに把握するとともに、相手国政府関係者等とのパイプを広げることができました。また、海外展開に必要な施策について、国や政府系機関に対する要請活動を強力に行うことで、在外大使館などへのインフラプロジェクト専門官の配置や、政策金融支援の拡充などに結実させることができました。
 こうした取り組みの結果、具体的なプロジェクトとして、当局の支援が成功に結びついたオーストラリアの案件のほか、ミッション団派遣国であるマレーシア及びベトナムの案件におきましては、国の資金を引き出して事業調査を手がけることとなりました。
 今後の事業展開としましては、アジア諸国における数多くのニーズにこたえていくために、ご指摘のとおり、民間企業との一層の連携強化が必要でございますが、途上国ゆえにリスクが大きいことや、相手国に事業提案していく際のファイナンス制度が不十分なことなどの状況にあります。
 そこで、ミッション団の派遣により得られたさまざまな情報や、国との協議の場などを活用して、新たな仕組みづくりを牽引していくとともに、民間企業を積極的に支援し、企業連合、すなわちコンソーシアムの形成が進むよう誘導していくなど、国際貢献ビジネスを一層推進してまいります。
 次に、多摩地区の水道施設整備についてございますが、多摩地区では、市町への事務委託完全解消を契機に、広域水道のメリットがさらに発揮できるよう、都営水道として一元的な施設整備を本格的に進め、給水の安定性を向上させる必要があります。このため、昨年八月に策定した多摩水道改革計画に基づき、事務委託中は十分できなかった市町間を結ぶ配水管の整備など、広域的な配水管ネットワークの形成を図ることにより、バックアップ機能を強化してまいります。
 また、日野市における漏水事故の原因である経年劣化した管路につきましては、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業等に基づき、事業量を倍増して、早急に取りかえを実施してまいります。
 これらの施策を積極的に推進し、多摩地区三百九十万人のお客様が一層確かな安心、安定を実感できるよう、質の高い水道サービスの提供に全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

〇生活文化局長(並木一夫君) 三点のご質問にお答えします。
 初めに、伝統芸能の振興と海外への発信についてでございますが、世界に向け文化都市として東京独自の存在感を示していくためには、ご指摘のとおり、我が国固有の文化である伝統芸能分野の取り組みが重要でございます。
 都は、東京文化発信プロジェクトにおいて、能楽や邦楽、日本舞踊など、あらゆる伝統芸能が集積する東京の特性を生かし、東京発・伝統WA感動事業を立ち上げ、第一線で活躍する実演家による新作発表や、子ども向け体験事業など、意欲的な事業を展開してまいりました。
 今後とも、これらの取り組みを充実し、伝統芸能のさらなる振興を図るとともに、外国語解説の導入や、海外メディア、観光業界等への働きかけを積極的に進めることにより、東京から海外に向けて伝統芸能の発信強化を図ってまいります。
 次に、私立幼稚園等就園奨励特別補助についてでございますが、国は、平成二十三年度の予算案で、幼稚園就園奨励費補助の単価を増額する改正を行いました。しかし、今回の国の措置は、すべての所得階層に対して一律で三千二百円上乗せするという内容であり、これまで都が指摘しました対象園児の七割がいる階層での保護者負担増の問題は依然として解決されておりません。このため都は、やむを得ず、さらに一年限り激変緩和措置として私立幼稚園等就園奨励特別補助を継続することといたしました。
 都といたしましては、国に対して、年収に応じてきめ細かな補助制度となるよう、当該階層区分を分割するとともに、補助対象であるすべての保護者について負担増を解消するよう、今後とも、制度の改善を強く国に求めてまいります。
 最後に、就学支援金の学校事務費についてでございますが、都は、就学支援金制度の導入に伴い、新たに事務センターを設け、支給に必要な個別データの入力集計等の事務を集約し、学校の負担軽減に努めてまいりました。
 しかし、学校の現場では、生徒に対する各種申請書類等の配布、回収、保護者からの問い合わせの対応など、まだ多くの事務が残ってございます。これらにかかわる経費をすべて学校の負担とすることは適切でなく、都は来年度から、新たに学校に対する事務費を交付することといたしました。
 もとより就学支援金は、国の政策として導入したものであり、その事務に係る経費も、すべて国の責任で措置すべきであります。都は、今後とも引き続き、事務手続の簡素化による負担軽減と事務費の全額措置を国に強く求めてまいります。

〇副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩をいたします。
   午後六時一分休憩

   午後六時二十分開議

〇副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番中嶋義雄君。
   〔百八番中嶋義雄君登壇〕

〇百八番(中嶋義雄君) 都議会公明党を代表して質問をいたします。
 最近、大阪都構想とか中京都構想、あるいは新潟州構想などと大変にかまびすしいですが、いかにも軽躁の感が否めません。今必要なのは、場当たり的な思いつきや、つけ焼き刃の構想ではなくて、国のあり方を根源的に問い直す分権改革への真摯な議論であります。
 石原都政がスタートして間もなく十二年。この間の石原都政の成果は、第一に公会計制度の改革であります。例の事業仕分けがほとんど目的を達成できなかったのに比べ、行政にコスト意識を反映させ、日々の会計処理や伝票処理の段階からむだの排除を内部化した公会計制度の改革は画期的であります。
 そして、二番目の成果がディーゼル規制であると思います。バスや大型トラックが吐き出すあの黒煙を何とかできないものかと嘆いていた人は決して少なくありません。ところが、それこそさまざまな事情から、この問題は先送りされてまいりました。
 そこに真っ向から挑んだのが、ほかならぬ石原知事であります。ディーゼル規制が実現しておよそ一年後、私が乗車したタクシーの運転手さんの言葉が印象的でありました。彼の、最近、夕日がやけにまぶしくなったんですよ、やっぱり空気がきれいになったんですかねとの話には実感がこもっておりました。
 確かに東京の空気はきれいになりました。これは東京を初め、九都県市が共同してディーゼル規制に取り組んだ成果にほかなりません。大気汚染などの公害対策は、単独の自治体で解決することは不可能であります。つまり、石原都政の第三の成果は、広域行政を現実の上で展開し、結果を示したことであります。
 私は、今回の代表質問において、この三番目の成果に着目し、改めて広域行政の展開、あるいは地方分権、地域主権改革を展望した道州制の導入に向け、東京都は先導的な役割を果たすべきであると申し上げたいのであります。
 元都庁職員の佐々木信夫氏は最近の著書で、百三十年前の明治時代に画定された都道府県の区分けに今も拘束される必要はあるのか、また、牛馬や人の足しか移動手段のなかった時代の都道府県の範囲は、時代に不適合を来しているのではないかとの同氏の疑問はもっともであります。
 現在、関西では七府県による関西広域連合が発足し、防災、文化、観光、産業、医療、環境などで広域行政の展開に取り組もうとしております。この広域連合は、地方自治法に基づく特別地方公共団体であり、関係自体が合意すれば短時日に結成が可能であります。
 法体系や行政機構の見直しなど、移行にかなりの年月を要する道州制より、手の届く範囲の未来に実現できる広域連合で問題の解決を目指すというなら、それはそれで一つの判断であります。
 一方、道州制は、明治維新以来の本格的な国の統治のあり方を問う改革であり、同時に、民主主義の根幹をなす団体自治、住民自治の本来のあり方を追求する試みであります。自民、公明の連立政権下においては、国の財政の健全化、地方の活性化という観点から、地方分権改革推進委員会や地方制度調査会、あるいは道州制ビジョン懇談会などで議論の俎上に上ったものの、政権交代以降、議論はすっかり影を潜めてしまいました。
 しかし、分権であれ、道州制であれ、これは国が主導するものではなく、あくまでも地方の側の主導権で実現すべき新たな地方政府の確立であります。その意味で、まず東京から、分権改革、地域主権改革の火の手を挙げるべきであると思います。
 政治、経済、財政、社会保障など、あらゆる面で限界状況を来している今こそ、東京から今後、目指すべき新たな国の形の提示が必要であると考えますが、石原知事の見解を求めたいと思います。
 続いて、財政運営について質問いたします。
 平成二十三年度東京都一般会計予算案は、政策的経費である一般歳出が一・〇%減の四兆五千八百三十九億円。しかし、投資的経費は三・三%増の八千四百四億円であり、景気、経済、雇用の拡大に臨む都の姿勢がよくあらわれております。
 さらに注目すべき点は、公会計制度改革の視点を取り入れて、新たな事業評価に取り組み、百九十五件の事業の見直し、再構築によって約二百十億円を確保し、あわせて、歳出の厳しい精査によって約八百九十億円の事業費の見直しを行ったことであります。堅実な財政運営への真摯な取り組みであると高く評価したいと思います。
 首都東京には、他の大都市にはない特有の財政需要が存在します。また、後ほど述べますが、これから東京は、本格的な都市の更新時期に入ります。したがって、新たな公会計制度などをフル活用し、東京都は、これまでにも増して財政基盤の強化に取り組む必要があります。知事の所見を伺いたいと思います。
 一方、国においては、財政危機が恒常化し、政権は、なりふり構わぬ歳入歳出のつじつま合わせに終始し、国民や自治体に大きな不安と不信を与えております。とりわけ、財源確保の手法として導入された、いわゆる一括交付金は、東京を初めとする大都市にとって看過しがたい問題があります。
 当面は、従来の継続事業が実施できるよう配分される見通しとなりましたが、一部に恣意的な、客観的指標なるものを導入し、今後それを拡大するとの方針を示すなど、予断を許しません。地方財政の自由度を高めるという一括交付金の本来の趣旨を生かす意味でも、公平性をゆがめる恣意的な基準ではなく、大都市の財政需要を的確に反映できる基準を設けるよう、国に強く働きかけるべきであります。見解を求めます。
 また、国は、法人事業税の一部国税化を継続し、来年度も東京から年間千八百億円を超える財源が奪われます。この法人事業税の不合理な暫定措置についても、引き続き撤廃を強く訴えていくべきであると改めて申し上げたいと思います。
 次に、都市の再生について質問をいたします。
 東京はまさに都市の更新時期を迎えました。平成六年度に都内区部の下水道普及率がおおむね一〇〇%を達成したと思ったら、比較的早い時期に下水道が整備された地域では、下水道管の老朽化が進み、次々と敷設がえ工事が始まりました。下水道のみでなく、水道管も、道路も、橋梁も、今後次々と更新時期を迎えます。財務局の試算によれば、今後十年間で必要とされる公共施設、主に建物の更新費用だけでおよそ八千三百億円とされております。公の施設だけでなく、民間のマンションや業務用ビルなども、当然次々と更新時期を迎えます。
 つまり、好むと好まざるとにかかわらず、東京は都市の更新時期を迎え、新たなまちづくりに取り組まねばなりません。どうせやらねばならないのであれば、改めて長期の視点に立って、合目的的で体系的、総合的なまちづくりに、まさに挑戦すべきであります。
 環境への配慮、耐震化の推進、そして、バリアフリーやユニバーサルデザインに基づいた新たなまちづくりに、今こそ取り組むチャンスであるといえます。都市の更新時期における、あるべきまちづくりの推進について、知事の見解を求めたいと思います。
 また、都市の更新に当たって危惧すべき点は、個々の施設や建築物、都市インフラなどが、相互の連携もなくばらばらに更新、建てかえを進めてしまうことであります。これでは、かつてと同じことの繰り返しであり、世界をリードする先進都市東京の再生には決してつながりません。都市の更新を体系的、総合的に進めていくためには、目的意識を明確にして、民間の意欲と能力、そして経済力を最大限に発揮できる枠組みを行政サイドで用意する必要があると思います。
 そこにおいて重要なのが、実は街区のあり方であります。思い切った街区の再編を実施し、大胆なまちづくりの構想を促すべきであります。東京都区部のうち約四千三百ヘクタールは、戦後復興や震災復興区画整理によって形成された街区であります。これでは街区規模が極めて小さく、敷地も細分化されているため、利用可能な容積率が低く、都市機能の更新の際の大きな阻害要因となっております。
 したがって、細分化された土地を集約し、街区の拡大を図り、その地域の潜在的な可能性を最大限に引き出す工夫が必要であります。同様に、都心部の街区内の道路についても、思い切って道路指定の弾力化を図り、まちづくりの構想や開発計画の自由度を高めることがこれからは求められます。
 既に民間では、韓国ソウル市の清渓川を参考に、日本橋の復活構想や、都心部の官民合わせた大胆なまちづくりの構想が議論されております。放置しておけば、こうした構想は日の目を見ず、都市の効率的な構造の構築や東京の誇るべき景観は形成されません。
 街区の大型化と公共施設や都市インフラの再編、さらに民間の構想力や実務能力、経済力を総合化して、活力と魅力に満ちた東京の再構築を実現するため、大街区化を促し、今までにない斬新な開発プロジェクトを進めるべきであると思いますが、見解を求めたいと思います。
 関連して、政府の地域戦略会議は、地域主権の観点から、都から区市町村へ都市計画の決定権限や、多摩地区における市町村への用途地域の決定権限の移譲などを行おうとしております。分権を進めることに異論はありませんが、一方で、広域プロジェクトを阻害し、あるいは首都機能の一体的整備を損なうおそれがあります。都は、東京の都市づくりビジョンに基づいて、広域自治体として区市町村との連携を適切に行う必要があります。都市計画や用途地域の決定権限の分権化について、都の見解を求めたいと思います。
 次に、地球温暖化による景気変動について質問いたします。
 気候変動における政府間パネル、IPCC作業部会の前議長であるマーティン・パリー博士によると、二〇五〇年までに五〇%の温室効果ガスを削減してもなお、二一〇〇年には平均二度の気温上昇があり、削減しない場合は平均四度の気温上昇が不可避であると警告をしております。
 つまり、可能な限り温室効果ガスを削減しても、地球の温暖化はとどめることができず、異常気象を初めとしたマイナスの影響は避けがたいということであります。北極海の解氷、北米大陸への巨大ハリケーンの襲来、ヨーロッパにおける熱波の発生、そして国内の集中豪雨や猛暑の襲来など、世界各地で発生している異常な自然現象が、今後も引き続き多発する可能性が極めて高いといえます。
 したがって、重要なことは、これまでと同様、温暖化対策を継続的に実施するとともに、避けがたい温暖化の進展に対する適応策への取り組みを開始することであります。高潮、洪水、集中豪雨など、温暖化を原因とする異常気象や災害に対する適応策を、今後は計画的、体系的に実施する必要があります。
 そのために、まず都庁内に局横断的な検討組織を立ち上げ、「十年後の東京」実行プログラムで実施する気候変動の影響調査を踏まえた、東京都独自の適応策の策定に早急に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めたいと思います。
 関連して、下水道局が進める温暖化対策について質問いたします。
 下水道局が排出する温室効果ガスは、都庁全体の約四割。そこで、下水道局は、アースプラン二〇一〇を策定し、汚泥処理などの過程で発生する温室効果ガスを、二〇二〇年度までに二〇〇〇年度比で二五%以上削減する目標を掲げました。
 これまで、日本で初となる汚泥炭化炉や汚泥ガス化炉の導入などにより、温室効果ガス削減に多大な成果を上げてきております。都の地球温暖化対策都庁プランで定めた都全体の削減目標値の約八割を下水道局で達成したことは、いささか褒め過ぎではあるかもしれませんが、評価に値します。このような効果の高い対策は、さらに拡充すべきであります。
 汚泥炭化炉や汚泥ガス化炉の今後の導入、拡大、活用の方針を明らかにしていただきたいと思います。見解を伺います。
 環境問題に関連して、金属資源のリサイクルについて質問します。
 昨年来、金、銀などの貴金属やレアメタル、レアアース等の金属資源の獲得競争が激化してまいりました。
 電気製品や電子製品の内部で使用され、再利用されないまま眠っている国内の金属資源の量は、金、銀などの貴金属が七万トン、インジウム、リチウムなどのレアメタルが百万トン、ネオジムなどレアアースが三十万トンといわれ、しかもその一割以上が都内に蓄積されていると推計されております。
 この貴重な金属資源を回収し、効率的にリサイクルするシステムを構築できれば、東京は、世界でも有数のまさに都市鉱山となります。その手始めとして、公明党は、国に携帯電話等の回収システムの構築を提言し、実現をさせました。
 都は、携帯電話に限定することなく、それこそ世界最大級の都市鉱山の開発に着手し、都内に埋蔵されている金属資源のリサイクルに本格的に取り組む体制を整備すべきであると考えますが、見解を求めたいと思います。
 またあわせて、金属類の中には、環境や人体に有害であり、環境における循環の輪を断ち切らなければならないものも存在します。その一つが水銀であり、環境中に放出されると、食物連鎖による生物濃縮等で環境リスクが拡大します。
 近年、日本国内の使用量は減少しておりますが、依然として血圧計、蛍光灯、ボタン電池など、身近なところで使用されております。環境負荷低減のためには、使用を削減していくとともに適正な処理が重要であります。
 特に、水銀含有製品の使用量、廃棄量ともに群を抜いて多い東京では、製造、販売、処理の各分野において、行政としての協議機関を設け、先導的な回収、処理対策を打ち出すべきであります。都の見解を求めます。
 次に、本格的な高齢時代を前にした都の対応について質問をいたします。
 まず、医療体制の整備であります。
 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、東京都の七十五歳以上の高齢者人口は、今後二十年間で約八十六万人増加し、二百十一万人に達する見通しであります。一方、都の調べによると、平成二十年度の高齢者の死亡総数は八万九百七十九人で、このうちの八割の方、およそ六万四千人の方が病院で亡くなっておられます。
 ところが、一般病床及び療養病床の数は、現在都内で総計九万五千七百四十四床にとどまっております。この病床数は、厚生労働省が都道府県ごとに定めている数でありますが、今後、確実に高齢化が進展し、入院を必要とする人が激増すると予想される中で、現状のこの基準病床数で対応が可能なのかどうか、極めて疑問であります。都の医療体制の整備方針、より具体的には病床数の確保について、都の見解を求めたいと思います。
 一方、本格的な高齢化を迎え、これまで以上に多くの高齢者が複数の医療機関や介護施設、自宅等を行き来することが予想されます。現在、こうした機関等の連携調整は、主に院内に配置されているメディカルソーシャルワーカーが担っておりますが、すべての病院に配置されているわけではなく、おのずと限界があります。病院、介護施設、自宅などの間の移動、調整を円滑に進める仕組みを構築すべきであります。見解を求めたいと思います。
 次に、高齢者向けの住宅整備について質問をします。
 都は昨年九月、今後五年間を視野に入れた高齢者の居住安定確保プランを策定、公表いたしました。本プランは、住宅施策と福祉施策が連携して、高齢者がニーズに応じた居住の場を選択できるよう、計画的に事業を進めるものとして評価できます。高齢者の住宅問題は緊急性の高い課題であり、施策展開のスピードが重要であります。
 まずは、福祉保健、都市整備両局にまたがる実務者レベルの機動的な実行組織を早急に設置し、計画の迅速な展開を図るべきであります。
 また、欠かせないことは、賃貸住宅として供給する場合、医療・介護連携型の住宅であっても、平均的な国民年金受給額の六万円強で入居できる家賃設定の実現であります。こうした住宅の供給を加速化するため、低額な家賃設定が難しければ、助成制度の拡充なども検討すべきであります。見解を求めます。
 関連して、住宅供給公社の少子高齢対応について質問いたします。
 都議会公明党は、昨年の予算特別委員会で、公社に少子高齢に対応する検討組織を設置するよう求めました。これに対して公社は、昨年四月、少子高齢対策室を設置し、高齢者向け住宅の検討などを進めてきたはずでありますが、現段階での検討の結果を示していただきたいと思います。
 また、公社は、公明党の要請を踏まえ、既存住宅の抜本的なバリアフリー化を進める住戸改善を試行的に実施するとしていますが、こうしたハード面のみでなく、地域コミュニティの活性化など、ソフト面の取り組みも重要であります。ハード、ソフト両面の取り組みについて、今後の方針を明らかにしていただきたいと思います。
 また、高齢者の住まいの安定と質の向上を図るためには、家賃が低廉な都営住宅の拡充整備が不可欠であります。都議会公明党は、昨年の第二回定例会の代表質問で、都の財政再建の過程でやむなく採用された、建てかえ後の狭小な間取りの見直しを強く求めました。特に一DKの居室については、単身高齢者の居住空間としても余りにも狭小であり、介護ベッドが入らない、子どもや孫が訪ねてきても居場所がなく介護もできない、寝室と居室が一体で訪問客を招き入れることができないなどの切実な声が寄せられています。
 折から、無縁社会における高齢者の孤立化の問題が提起されており、高齢者の住居には一定の配慮が必要であります。そうした意味で、将来は、一DKを原則廃止し、二DK等に切りかえるべきと考えますが、まずは、現行の一DKをより使い勝手のよい間取りに変更すべきであると考えますが、都の見解を求めます。
 また、我が党は、近い将来、耐用年数を超えた都営住宅が大量に発生し、住宅のセーフティーネット機能が損なわれることがないよう、年四千戸とされている建てかえ事業の加速化を強く訴えてまいりました。今後とも、建てかえ事業の進展を強く求めておきたいと思います。
 次に、ひとり暮らし高齢者への支援について質問いたします。
 無縁社会、高齢者の孤立化は、孤独死の発生を招きました。今や日本は、だれにも気づかれずに亡くなる孤独死が年間で三万人以上も発生する社会となってしまいました。中には、身元すら判明せず、無縁墓地に送られる方もおられます。
 かつてよくいわれた向こう三軒両隣は、もはや昔話でしかなく、日本の社会構造は大きく変化をいたしました。企業の雇用制度の変化による社縁、会社によるえにしの崩壊、未婚の増加や家庭の崩壊、親族関係の希薄化による血縁の弱体化、都市型社会の匿名性の高まりや地域コミュニティの劣化による地縁の崩壊などが無縁社会をもたらしたと指摘されております。
 現在、東京都においても、七十五歳以上の高齢者のうちの二〇%、約二十五万人がひとり暮らし高齢者で、その数は年々ふえ続けております。こうしたひとり暮らし高齢者が孤独死に陥らないためには、地域による見守り機能が不可欠であり、その機能は地域包括支援センターに期待されていました。しかし、同センターは、業務の大半がケアプランの作成に費やされ、ひとり暮らしの高齢者の見守りまで手が届かないのが現状であります。
 そこで、東京都は、区市町村から委託を受けたNPOや民間介護事業者などが、ひとり暮らし高齢者の緊急通報や相談などに二十四時間三百六十五日体制で対応し、必要に応じて個別訪問も行うシルバー交番制度を平成二十二年度から発足をさせました。
 現在、このシルバー交番は、都内で三カ所設置されておりますが、まだまだその数は十分ではありません。区市町村がシルバー交番の設置に踏み切れない原因の一つは、事業の継続性に不安があるからであります。したがって、都は、事業の継続を明確に宣言し、人口や地域の実情に応じて計画的に設置できるよう、区市町村への支援を明らかにすべきであります。都の見解を求めます。
 また、ひとり暮らし高齢者への生活支援に欠かせないのが買い物支援であります。過疎地はもちろん、都心部の団地や中心市街地においても、地元の小売店の撤退が相次ぎ、移動手段を持たない高齢者にとって、日常の買い物が困難になっております。
 そこで、まずひとり暮らしの高齢者の買い物を初めとする生活支援の必要性について答弁を求めたいと思います。
 こうした中、一部の商店街やNPOが、移動販売や宅配サービスなどによりひとり暮らし高齢者の買い物支援を行っていますが、運転資金の捻出で行き詰まっているのが実態であります。
 東京都は、新・元気を出せ商店街事業の中で、福祉、環境施策と連動した事業に五分の四の助成を行っております。平成二十二年度では、街路灯のLED化にほとんどの予算が費やされてしまいましたが、新年度予算案では、新たに十億円のLED化の予算が盛り込まれました。
 したがって、新・元気を出せ商店街事業の特定施策推進型商店街事業に、高齢者の見守りも兼ねた買い物支援事業を加えることは十分に可能であります。都の見解を求めます。
 次に、がん対策について質問をいたします。
 公明党は、国会において、がん対策を国家プロジェクトと位置づけ、がん対策基本法の制定の中心的な役割を果たしてまいりました。東京都においても、がん対策推進計画の中で、高度ながん医療や緩和ケア、がん登録の推進などを一貫して主張してまいりました。とりわけ放射線治療に関しては、手術に過度に傾斜した日本のがん治療を改め、欧米並みに手術、放射線、抗がん剤による効果的でバランスのとれた治療の普及を主張してまいりました。
 よく知られているとおり、がん細胞のみに放射線を照射する治療法は、患者への負担が少ない効果的な治療法として、がんの専門医からも期待されています。特に最新型の機器は、常に動きのある肺などの細胞に対してもピンポイントで放射線を照射することが可能で、周辺細胞に損傷を与えません。したがって、患者への負担を最小限にとどめ、午前中に治療を施せば、午後には帰宅が可能とまでいわれております。
 こうした最新鋭の放射線治療器を都立病院に導入し、がんに対する都民の不安を和らげるべきであります。がん治療の拠点病院として機能が一新される駒込病院にこそ、こうした機器を導入すべきであります。都立病院における放射線治療体制の強化について、答弁を求めたいと思います。
 これまで日本のがん治療に欠けていたのは、初期の段階からの緩和ケアであります。東大病院の、知事とも面識のある中川恵一准教授によりますと、欧米では、がんの初期の段階から緩和ケアを行うのが一般的であり、モルヒネなどを適切に処方した場合、生存率が高いとされております。
 モルヒネに対する忌避感の強い日本では、なかなか緩和ケアが普及しませんでしたが、患者本人の療養生活の質を高め、家族の精神的な苦痛を軽減する意味でも、必要かつ十分な緩和ケアを治療の早期から提供する体制を構築すべきであります。
 そして、そのためには、従事する医療人材の育成が急務であり、都は、都議会公明党の提案を受け、平成二十四年度までにがん医療に携わる都内の全医師に緩和ケア研修を行う方針であります。これまでの研修の成果と今後の方針について、改めて都の見解を求めます。
 あわせて、がん患者が住みなれた家庭や地域での療養を選択できるよう、在宅医療における緩和ケアを実施できる体制を整備すべきでありますが、今後の緩和ケアの普及促進について、見解を求めたいと思います。
 がん治療を適切かつ効果的に実施するために必要な制度が、地域がん登録であります。これは、がんの罹患率や生存率を把握するための仕組みであり、がん対策の有効性を評価するために不可欠であります。都議会公明党はこれまで、院内がん登録を実施する医療機関をふやし、地域がん登録の実施につなげていくよう主張してまいりました。
 現在、院内がん登録は、がん診療連携拠点病院と認定病院の三十二カ所で実施されています。一方、地域がん登録について、都は、平成二十四年度の事業開始を目指して具体的な検討を行ってきたと聞いております。
 精度が高く、効果的な地域がん登録を実施するためには、それにふさわしい体制の強化が必要であり、それと同時に、関係する保健医療機関との連携や、何よりも住民の理解と協力を得るための意識啓発が欠かせません。都の見解を求めたいと思います。
 次に、昨年三月に開設した都立小児総合医療センターにおける小児専門医療の充実強化について質問をいたします。
 患者がふえ続けている気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、小児アレルギー疾患対策の強化が急務であります。都が平成二十一年度に行ったアレルギー疾患に関する三歳児全都調査では、三歳までに何らかのアレルギー症状が出て診察を受けている小児の割合は、三八・八%と非常に高い結果が出ております。しかも、発症の低年齢化、治りにくくなるという難治化の傾向も見られます。こうした状況に対応するためには、アレルギー疾患に精通した専門医の育成のほか、保健師、看護師、薬剤師、栄養士等においても、アレルギー患者に適切に対応できる知識、技術を習得させる必要があります。
 さらに、専門の看護師等が治療管理や生活管理を行う小児アレルギーエデュケーターの活用が有力な取り組みとして今注目を集めております。
 そこで、小児総合医療センターのアレルギー科の機能をさらに拡充するため、こうした専門知識や技能を身につけた医療人材によるチーム医療を強化すべきでありますが、都の見解はいかがでありましょうか。
 次に、小児精神医療の拡充について質問します。
 児童、思春期の精神疾患は、精神遅滞や自閉症などの発達障害、摂食障害や不登校を伴う心因性精神障害など、さまざまな障害が発生します。
 小児総合医療センターでは、児童、思春期の精神疾患に対応するため、子ども家族支援部門を設置しておりますが、児童、思春期の時期においては、患者、家族にとって最も身近な存在の看護師のかかわりが極めて重要であります。平成十九年より精神科認定看護師制度が改正され、児童、思春期精神看護も含め、看護師のかかわる領域が十分野へと拡大され、専門性を生かす活躍の場が広がりました。この看護のスペシャリストともいうべき認定看護師が今後の小児精神医療を支えていく上で極めて重要であります。
 児童、思春期看護認定看護師の今後の育成方針について、都の見解を示していただきたいと思います。
 次に、障害者施策について質問をします。
 自立支援法に定めるサービスの本人負担率は、公明党などの主張で、平成二十二年九月から、一律一〇%から実質〇・三七%に軽減されました。その後、昨年十二月には法律の改正が行われ、応能負担の明確化がなされました。今後は、政府において、政省令等で確実にこうした改正が実施されるよう監視を強めていく必要があります。
 東京都においても、障害者福祉が着実に改善の方向に向かうよう改めて政策提言や改善要求を強く政府に働きかけるべきであります。都は、「十年後の東京」実行プログラムにおいて、世界に誇る福祉健康都市を掲げました。
 そこで、東京都が描く今後の障害者福祉について、まず知事の抱負を伺いたいと思います。
 障害者福祉の充実には、住まい、雇用、社会参加の三つの視点に立った取り組みが不可欠であります。特に居住の安定は、重視しなくてはなりません。都は、平成二十三年を三カ年プランの最終年として、グループホーム、ケアホームなどの整備に取り組んできました。この計画の新年度における事業見通しについて、まず提示していただきたいと思います。
 関連して、グループホームやケアホームなどに適さない重い障害を持つ方々には、地域における入所施設の整備が大きな課題であり、今後の検討を求めたいと思います。
 次に重要なのが雇用であります。一般に、障害者の雇用は景気や経済の動向に左右されます。しかし、その経済の見通しは、残念ながら、政権交代後の混乱によって一層先行き不透明となっています。
 そこで着目したのが、福祉施設における就労拡大であります。予算復活要求でも申し上げましたが、都は新年度より、企業への一般就労に加え、特別支援学校の卒業生などの若年障害者を中心に、福祉職場での雇用創出に力を入れていくべきであると考えますが、都の見解を求めたいと思います。
 また、障害者の方々の生きがいと社会参加のために強く要請されているのが移動支援であります。昨年十二月の法改正で、重度の視覚障害者向けの移動支援が新たに個別給付に加えられましたが、まだ多くの課題を残しております。都は現在、区市町村事業に四分の一の補助を実施していますが、移動についてのガイドラインなどを示していないため、都立特別支援学校に通う生徒同士であっても、利用できるサービスが異なっております。
 そこで、都内の障害者の皆さんがひとしく移動支援サービスを受けられるように、サービス全体の底上げを図るべきであります。見解を示していただきます。
 次いで、精神疾患の早期発見、早期対応について質問をいたします。
 自立支援法に基づく精神通院医療認定者数は、最近の五年間で約二万五千人ふえており、平成二十二年三月現在では十三万七千人に上っております。精神疾患が重症化し、本人の苦しみや家族の負担が増す前に、精神疾患を早期に発見し、適切に治療へと結びつける工夫が必要であります。
 精神疾患の早期発見のためには、精神科治療の知見を備えた一般診療科の医師をふやし、日常的な診療の際に発見、対処する方法が効果的であります。また、専門的な精神科治療が必要となる場合であっても、身近な医師からの紹介であれば、精神科病院への抵抗感が和らぎ、スムーズな受診につながりやすいと考えられます。
 都は、精神科と一般診療科の二人主治医制度を目指していますが、精神科と一般診療科の連携による精神疾患の早期発見、早期対応のためのシステムを構築すべきです。見解を求めます。
 また、一般に精神診療機関は予約制となっています。そこで、都は、急な治療や入院の必要が生じた場合に備え、それぞれの症状に適した治療機関を選択できる情報提供ネットワークを構築すべきであります。見解を求めます。
 都の新年度予算案では、地域に戻ったものの、生活が困難になっている精神障害者を対象に訪問支援を本格実施するとしていますが、これは重症化している精神疾患への対応策として有効ですが、一方で、初期の精神疾患への対応も欠かせません。
 初期の患者はふさぎがちになり、ひきこもりに陥っても、専門機関の診療を受診しない事例が多く、家族の大きな悩みの種となっております。都の訪問型支援の対象をこうした軽症者にまで拡大する必要があり、そのためには、民間診療機関の幅広い協力が不可欠であります。都の積極的な働きかけを求めたいと思いますが、見解を伺います。
 次に、映画のバリアフリー化について質問をいたします。
 耳が不自由な人のため日本映画に字幕をとの、かつての都議会公明党の質問に対し、映画制作の経験を持つ知事は、すべての人が映画文化に触れることのできる社会を実現したいと答弁で表明されました。
 平成十九年六月本会議におけるこの知事答弁が反響を呼び、その後、国の著作権法改正につながり、日本映画に字幕をつける取り組みが大きく前進しました。日本映画製作者連盟によれば、今では公開作品の六割以上が字幕つきになったそうであります。
 一方、目の不自由な方が劇場で映画を楽しめるのが音声ガイドシステムであります。このシステムを使えば、せりふだけでなく、場面の状況説明を音声ガイドで聞くことができ、情景を思い浮かべながら作品を楽しむことができます。昨年、このシステムで「ノルウェイの森」を上映した都内の映画館には、盲導犬を連れた人や杖をついた方たちが列をなしたそうであります。
 しかし、残念なことに、音声ガイドつき映画は、年間八百から九百本の国内公開作品のうち、わずか四、五本にすぎません。音声ガイドをつけて上映にこぎつける作業が、数少ないNPOや企業の社会福祉活動などに依存しているため、限界があるからであります。
 目や耳の不自由な人も話題の映画を楽しめるように、字幕とともに音声ガイドを提供する映画のバリアフリー化により、障害者に対する情報保障を進めることが重要と考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。
 こうした映画のバリアフリー化を推進していくためには、制作会社の理解、協力はもとより、広く各種イベントの主催者や映画を所管する国に対しても、対応するように働きかけていくことが必要でありますが、都の見解を求めたいと思います。
 続いて、障害者スポーツについて質問をいたします。
 東京都が平成二十五年に、国体と全国障害者スポーツ大会を一つのスポーツの祭典として、スポーツ祭東京二〇一三を開催することは、障害者スポーツの普及に向けた大きな契機となります。
 いうまでもなく、障害者の皆さんの生きがいと社会参加の実現には、スポーツが重要であります。しかし、これは一朝一夕になし遂げられるものではありません。指導員やボランティアなどの人材の育成、障害者が身近にスポーツを実践できる環境の整備など、中長期的なビジョンを明確にして、今後、体系的、継続的に取り組んでいくべきであります。
 都は、スポーツ祭東京二〇一三にも備え、障害者スポーツ振興のための中長期の指針を策定すべきだと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。
 続いて、教育、学力の向上策について質問をします。
 国際的な大競争の時代、日本はやはり人材が資源であります。将来の日本と東京を展望して、教育の質を高めていく必要がございます。ここでは、まず学力向上のための学力調査のあり方の改善を求めたいと思います。
 現在の学力調査は、試験から結果が届くまで期間がおよそ約半年、これでは遅過ぎます。そもそも学力調査は、その時々の児童生徒の学力の現状を把握し、その後の学習と授業の進め方の参考とするものです。それが、結果がわかるのが半年後では意味がありません。学力調査の結果を教育現場に反映させ、授業の改善、学習効果の向上につなげるために、教員の負担に配慮しながらも、学力調査の実施方法の改善と結果の分析、問題の整理などに取り組むべきであります。所見を伺います。
 体力の向上も重要であります。調査によれば、東京の中学二年生の男子は、全国都道府県で四十六番目との結果が出ております。塾通い等、あるいはゲーム等で慢性的な運動不足が原因であるそうであります。
 先日我々は、体力向上モデル校を二校視察しました。そこでは、足の健康というテーマで、フットプリントを撮って健康状態を調べたり、家庭同士が工夫を凝らした食事情報を交換するなどの取り組みを行い、約半年で大きな効果が上がったそうであります。こうした事例を他校にも公表し普及させるべきでありますが、見解を求めたいと思います。
 続いて、条例案について質問します。
 最初に、耐震化条例であります。
 建物が倒壊して避難路が使えなくなる、こうした事態に対処するために条例が提案されました。本条例は、特定緊急輸送道路を指定して、その沿道建築物の所有者に対して耐震診断を義務づけるものでありますが、しかし、これは道路の起点から最終まで一体的に改修されなければ効果が上がりません。しかし、建物が立地する区市町村によって助成制度が異なることから、その進捗状況に格差が出てしまうおそれがあります。路線全体の一貫した耐震化の実現について、局の見解を求めたいと思います。
 また、今後の課題として、建てかえが必要な場合の誘導策、助成額の拡大あるいは容積率の緩和など、建てかえを促す助成策の検討が今後の課題であることを申し上げておきたいと思います。
 続いて、暴力団排除条例について質問をいたします。
 昨年、都議会警察・消防委員会で福岡県と久留米市を訪問し、福岡県の暴力団排除条例について説明を聞き、福岡市と久留米市では、抗争の舞台となった閉鎖中の元暴力団事務所を視察してまいりました。
 久留米市で伺った話では、抗争が激しかった時期、住民が鋭い発砲音を聞き、表に飛び出してみると、事務所前の路上に旧ソ連製のカラシニコフ機銃が放棄してあったといいます。民家や商店が密集している地域で機銃の掃射があるなどということは、なかなか想像しがたいことでありますが、紛れもない事実であります。
 また一方で、薬物汚染やヤミ金融、おれおれ詐欺などの背景に暴力団の影が見え隠れすることも周知の事実であります。
 近年、全国的な不況の中で、地方の暴力団が上京して、東京を舞台に資金集めに力を注いでいるとの情報もあります。都民の安心・安全に責任を持った都政にとって、こうした状況は決して無視できません。したがって、警視庁がこの条例案を提出したことは歓迎いたしたいと思います。
 その前提で二つ質問します。
 まず、第十六条の青少年に対する措置において、青少年の教育、育成に携わる者の努力義務規定を設けています。本条例案にあえて青少年の健全育成等、教育に関する規定を盛り込んだ意図について、まず警視総監の所見を求めます。
 また、第二十二条の暴力団事務所の開設及び運営の禁止、第二十三条の青少年を暴力団事務所へ立ち入らせることの禁止について、罰則を含めた規制を設けております。これについても、その意図について警視総監の見解を伺いたいと思います。
 最後に、自転車政策について質問いたします。
 自転車協会の国内市場動向調査によれば、都内の自転車保有台数は、平成十一年から約十年間で二百万台以上ふえ、それに伴い自転車交通事故が激増しております。
 中でも看過できないのは歩行者の事故件数であります。過去十年間で三・七倍に急増、最近でも、五十五歳の女性が横断歩道を渡っている際に、信号無視の自転車にはねられて死亡した事故や、横断歩道を渡っていた六十歳の男性が、ブレーキ装備のない競技用自転車にはねられて死亡するといった痛ましい事故も発生しております。
 また、賠償能力のない中学生、高校生が加害者になるケースも目立っております。十五歳の男子中学生が、夜間に歩行中の六十二歳の男性と衝突し死亡させた事故では、裁判所がその中学生に三千万円の賠償を命じたケースもあります。
 自転車による対人事故の増加の背景には、自転車利用の運転マナーの欠如、自転車のための社会資本整備のおくれ、超高齢社会の進展などがあると指摘されています。
 自転車の安全運転対策については、平成十九年一月に自転車の安全利用推進総合プランを策定しましたが、実施主体や具体的な目標が明確にされていないほか、自転車走行空間の整備が進んでいないこともあって、事故の減少に結びついていないのが現状です。
 そこで、都は、都と区市町村の責務、自転車運転者の責任の明確化、義務教育課程での交通安全教育の徹底、登録ナンバー制度の導入、点検、整備や対人保険の加入促進などを定めた東京都自転車条例を策定すべきであると強く訴えて、また答弁を求めて質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、東京から新しい国の形を示すことについてでありますが、国はどんなに疲弊しても国であります。世界が激しく変化して先を見通すことが難しくなっている時代だからこそ、リーダーは、国家として日本の進路や、国民をどこに導くかを示しながら、その使命、役割を果たさなければならないと思います。
 もはや、高度経済成長期のように物質的な豊かさを追い求める時代でもありませんし、今さら日本が第二のアメリカになる必要もありません。
 西洋には、地政学的条件や歴史を踏まえた、特徴のある、個性のある、コンパクトで均衡のとれた国々が幾つもあります。日本は資源も持たず国土も狭くとも、歴史文化の堆積、垂直な価値の基軸に立脚した先端技術、独自の感性などを武器に、世界と伍す凜とした国家の姿をつくり直す必要があります。
 ハンチントンの説でも、日本の文化だけは、世界の中で極めて個性的で独立したものだという評価もありますが、例えば、この日本は世界で有数の、多分第六位だと思いますけれども、非常に広範囲な排他性経済水域を持っております。所によっては深度の問題もありましょうが、この海洋開発というものに関しての先端技術を日本は思い切って開発し、それを活用することで、極めて存在感のある、個性のある国になり得ると思います。
 例えばノルウェーのような国は、大した技術はありませんけれども、これは周りの海底油田を開発することで非常に潤沢な経済というものを持つようになりまして、EUにもあのノルウェーはたしか入っていない、その必要がないような国家になっておりますが、しかし、残念ながら日本を見ますと、それができずにおります。
 そもそも国の政治家の多くは、歴史的認識、危機意識自体が極めて希薄なような気がいたします。国家の将来やありようを語ることもなく、ただ国民におもねるばかりでは、これは本当に国が滅びるばかりであります。
 これに対して、危機が先鋭的にあらわれているこの東京では、皆さんの協力もあって、これまでもさまざまな取り組みを進めてまいりました。首都圏の自治体が協力して行ったディーゼル規制、排気ガス規制もそうでありますし、また公会計制度の改善もそうでありますが、これが東京から全国に発信しているわけですけれども、さらに、東京が世界の大都市で初めて導入しましたキャップ・アンド・トレードの制度もその手法の一つだと思います。
 先般も、すべての都道府県と政令市による地球温暖化対策全国自治体会議を東京で開催いたしました。現場発の具体的な手だてをてこにして、国に変革を迫る必要があると思います。都道府県の枠を超えた広域的な行政を展開しながら、大きな流れにかなったうねりを地方から起こして、国全体を健全に導くことで、目指す国のありようを造形することにつながっていくと思います。東京は、繰り返して申しますけれども、我が国の頭脳部、心臓部としてその先頭に立っていかなきゃならぬと思っております。
 次いで、財政基盤の強化に向けた取り組みについてでありますが、二十三年度予算において、厳しい財政環境のもとにあっても積極果敢に都政の課題に取り組むことができたのは、まさに、これまで皆さんの協力で、強固な財政力を培ってきた成果にほかならないと思います。
 この十年余りの間、都は、身を削って歳出削減の努力を重ね、人も減らし財政再建を達成した後も、事業を検証する機能を強化し、むだの排除を徹底するなど、自己改革を当然に進める仕組みを都庁の組織に組み込んでまいりました。特に、その過程で導入した新しい公会計制度は、財政の全体像を明らかにし、職員に金利感覚とコストの意識を持たせました。これまでの役所のあり方を本質的に変える強力な武器になったと考えております。
 今後、都税が大きな伸びを期待できない中で、都政が課せられた使命を確実に果たしていくためにも、新しい公会計制度も活用しながら、積極的な施策展開を支え得る財政基盤の強化に不断に取り組みまして、東京から日本の活路を切り開いていかなきゃならぬと思っております。
 次いで、都市の更新期における都市づくりについてであります。
 これは極めて重要な指摘でありまして、東京は日本の成長のエンジンであり、その役割を今後も揺るぎなく果たしていかなきゃなりませんが、そのためにも国際競争力をさらに強化し、地球温暖化対策も十二分に凝らすなど、時代の要請にこたえながら都市を更新していく必要があります。
 この都市の更新はいろいろな面がありますが、例えばそのインフラですね。隅田川にかかっております、過去につくられた有名な橋、言問とか、勝鬨とか、駒形とか、厩とか、こういった橋は、橋によってそれぞれ条件が違いますけれども、もう耐用年数に近くなっておりまして、これは近い将来必ず補強しなくちゃならない。これは案外都民も国も忘れています。都民も忘れていますが、こういった問題に実は非常に鋭敏で、興味を持ってアプローチしてくるのは外国のファンドでありまして、こういった状況は非常に皮肉な現象だと思いますけど、私たちはやっぱりこういうものを逆に活用しながら、この東京というものの、まさにその都市の更新というものを積極的に行っていかなくちゃならないと思っております。
 このため、三環状道路の整備や、羽田空港などの国際線のさらなる導入や、港湾物流の効率化などによって、快適で利便性の高い陸海空の広域ネットワークを再構築してまいります。
 私が気がつきまして、川崎、横浜と図って、東京湾の三つの港を統一化しましたが、これ幾ら統一して機能化しても、物を港に運ぶ道路が完成しなきゃどうにもならぬわけでありまして、この港を生かすためにも私たちは、首都圏における道路というインフラの整備を一刻も早くやらなければ、幾らその三港を統一しても効果が上がってこないと思います。
 また、民間の資金やアイデアを一層生かしまして、最先端の省エネ技術の導入も図りながら、都心部などの再生を積極的に推進する必要があると思います。
 例えば、八路線の鉄道が集まる渋谷駅は、大正時代より増改築が繰り返されておりますが、非常にいびつなものになっておりますけれども、耐震化やバリアフリー化など、乗りかえや利便性の向上などの課題をいまだに抱えております。
 今後、駅の施設の機能更新と、周辺の都市基盤や市街地の再編を一体的に進めまして、魅力のある商業、業務、文化機能などが充実した、安全で、歩いても非常に楽しい安全な副都心を形成していきたいと思っております。
 今後とも、スピード感を持ってこうした取り組みを進めることで、東京をアジア随一の国際都市として発展させるだけではなく、環境と調和し、世界を魅了する多彩な文化も花開くなど、二十一世紀にふさわしい成熟を遂げた都市へと更新していきたいと思っております。
 ついでに申しますと、まさに都市の更新の時期でありますが、このついでに、もう戦後六十五年たっているんですから、東京にいまだにありますマッカーサー通りとか、星条旗通りなんて通りの名前はもうやめてもらいたい。やめるべきだと思います。
 今後の障害者施策についてでありますが、どんなに障害が重くとも、障害者がみずからの生活や人生のあり方を選択し、人間としての尊厳を持って生活できるようにすることが、障害者施策の目指すところであります。
 都はこうした理念のもとに、国に先駆けてグループホームなど地域生活の場を整備してまいりました。また、福祉・保健、教育、労働の各分野が連携し、企業などの協力も得まして、障害者の自立に向けた就労支援への多角的な取り組みを進めております。
 全盲のピアニストの辻井伸行さんの例を引くまでもなく、一人一人が才能や可能性を持っておるわけでありまして、それを見出し、引き出して、仕事にせよ、スポーツ、芸能活動にせよ、その活動を後押ししていかなければならないと思います。また、ハンディキャップを乗り越える人間の真の強さというものを、昨今の若者にこそ知ってもらいたいと思います。
 今後とも、都の先導的な取り組みをさらに前進させ、区市町村と連携しながら、障害者が地域の中で自立し、安心して暮らせる社会を実現してまいります。
 次いで、映画のバリアフリー化についてでありますが、映画という文化に触れることで、人々はさまざまな刺激を受けて心が豊かになり、日々の生活に潤いが持たれるわけでありまして、こうした感動は障害の有無にかかわらず、だれもが求めるものでもあると思います。しかし、残念なことに現在の我が国においては、目や耳の不自由な方がいつでも映画を楽しむことはかなり難しい状況だと思います。
 その助けとなるのが字幕や音声ガイドだと思いますが、三年前の都議会の質問を契機に、長年の関係者の努力が実を結びまして、日本映画への字幕の表示には前進が見られました。私たちが若いころ見たかなりすぐれた映画が、外国にスーパーインポーズがないために埋もれておりましたけれども、あるグループの努力でこれが国際的に復活したことは大変うれしいことだと思います。音声ガイドについても作成を支援するNPOが生まれておりました。
 これらの活動がさらに広がり、すべての方々が映画文化に触れる機会を享受できるようになればすばらしいと思います。都としても、そうした社会の実現に向け、映画関係者や国に対して働きかけていきたいと思います。
 次いで、障害者スポーツの振興についてでありますが、人間はどんなハンディキャップを持っていようと、それぞれ異なる個性、能力を持っているものでありまして、それを支援し、またみずから努力することで、たとえ障害者だろうと、並みの人に比べてもはるかに大きく光輝くこともできるわけです。公明党から教えていただきました、東大の教授にもなった福島さんなどもその典型的な例だと思います。そして、ハンディキャップを強靱な精神力で克服し、アスリートとして活躍する姿は見る者にも大きな感動を与えます。
 パラリンピックが今の形になったのも、一九六四年の東京オリンピックに合わせて開催された大会からでありました。そうした歴史を持つ東京から、障害のある者もない者もともにスポーツの感動を分かち合い、だれもがスポーツを楽しむことのできる都市を実現することは、より高い次元で日本の成熟につながると思います。
 今重要なことは、障害者スポーツのあるべき姿や方向性を明確に指し示すということだと思います。今後、障害者スポーツ振興の指針となる計画策定に向けた準備を進め、スポーツ振興の新たな姿を東京から提示していきたいと思います。
 他の質問については、警視総監、教育長、技監からお答えいたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

〇警視総監(池田克彦君) 暴力団排除条例案に関する二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、青少年の健全育成、教育に関する規定を盛り込んだ意図についてであります。
 暴力団は、違法薬物の密売等の不法行為を繰り返すことで暴利をむさぼり、目的達成のためには殺人等の凶悪な犯罪行為も辞さない犯罪者集団でありますが、社会の一部には、暴力団を仁義を重んじる任侠団体として表現したり、あるいは暴力行為を売り物とする映画や雑誌があるなど、暴力団を美化する風潮が少なからず存在し、影響を受けやすい青少年が暴力団に対する誤った印象やあこがれを抱く危険性をはらんでおります。
 また、暴力団自身も、そのような青少年の誤った印象やあこがれに乗じて、青少年に対して勧誘活動を繰り返し行っており、青少年を支配下に置き、違法、不当な活動に加担させることにより、組織の存続を図ろうとしております。その結果、暴走族や不良少年グループの多くが、暴力団のいわば手先となるような事態が生じております。
 そこで、青少年が暴力団の巧みな勧誘に乗って暴力団に加入するようなことのないようにすることはもとより、暴力団による犯罪の被害を受けることがないよう、青少年に暴力団についての正しい認識を持ってもらうことが極めて重要であると考えております。
 そのためには、青少年の育成に携わる者が、青少年に対して、あらゆる機会をとらえて、暴力団排除活動に係る指導助言等を実施する必要があることから、本条例案において、青少年の健全育成、教育に関する規定を盛り込むこととしたものであります。
 次に、学校等青少年が活動する施設の周辺での暴力団事務所の開設・運営及び青少年を暴力団事務所へ立ち入らせる行為に対して、罰則を含めた規制を設けた意図についてであります。
 暴力団は、青少年の暴力団への誤った印象やあこがれに乗じて、勧誘活動を繰り返して行っておりますが、これらは暴力団事務所を拠点として行われていることから、本条例案に、暴力団事務所に青少年を立ち入らせる行為に対する規制を盛り込むものとしたものであります。
 また、ただいま申し上げたことに加え、暴力団事務所が青少年が活動する施設の周辺に存在した場合、出入りをする暴力団員と青少年が接触する機会が増加するなど、青少年の健全な育成に悪影響を及ぼすことが懸念されることから、青少年の活動の場となる施設周辺での暴力団事務所の開設・運営を規制することといたしました。
 規制の対象は暴力団員であり、彼らに厳正に対処することで、青少年の健全な育成の確保に万全を期したものであります。
 警視庁といたしましては、今後とも青少年の健全育成の確保にも配慮した暴力団対策を推進してまいる所存であります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の学力調査についてでございます。
 児童生徒の学力向上を図るためには、学力調査によって学力の実態を明らかにし、その結果を児童生徒一人一人に還元するとともに、各学校における授業改善を推進することが極めて重要であると認識しております。
 お話のとおり、現在、調査の実施から個人票の返却までに時間を要していることから、児童生徒みずからが解答の誤りを確認し、正しい知識や考え方を身につけることがおくれてしまい、また、教員が学力調査の結果を速やかに授業改善に生かしにくくなるという指摘もございます。
 そこで、平成二十三年度から悉皆で実施する新学力調査におきましては、児童生徒への結果の返却に即時性を持たせるために、各学校において調査結果を集計し、児童生徒一人一人に配布する個人票の印刷や、学級、学校の学力の全体傾向等の把握ができる集計処理ソフトを開発して、都内の全公立小中学校に配布し、教員の授業改善を支援してまいります。
 また、平成二十三年度においては、都と区市町村の代表者で構成される東京都学力向上施策検討委員会を設置し、これまでの取り組みの成果や課題を検証するとともに、学力調査における都と区市町村の役割分担などについて協議し、区市町村教育委員会に対する具体的な支援策について検討してまいります。
 今後とも、都教育委員会は、児童生徒一人一人の学力向上を図るための調査を、学力向上施策の中核に据えまして、東京都における義務教育の質の向上に努めてまいります。
 次に、生活・運動習慣改善を目指した研究の成果の普及についてでございます。
 現在、子どもたちは生活環境やライフスタイルの変化により、日常生活で体を動かさずに済む状況にあることから、運動やスポーツを行う以前に生活習慣を見直し、今以上に生活の中で体を動かす習慣を身につけていくことが必要であると認識しております。
 このため、都教育委員会は平成二十二年度、生活習慣や運動習慣等の定着に関する実践研究モデル校事業を小学校九校で実施し、児童の日常生活における活発な身体活動を推奨し、体力向上に向けた生活・運動習慣の改善方策について実践研究をしております。
 今後、こうしたモデル校での実践研究の成果を報告書として取りまとめ、都内全公立小学校に配布するとともに、実践報告会を開催するなどして、体力向上に向けた児童の生活・運動習慣の改善方策を積極的に普及啓発してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市再生に向けた大街区化についてでございますが、都市間競争が激化する今日、東京の活力を一層高めていくためには、都心を初めとする既成市街地において、街区再編や機能更新を計画的に行い、都市再生を進めていくことが必要であります。
 震災復興や戦災復興事業により、一定の都市基盤が整備された市街地の中には、高いポテンシャルを有するものの、区画街路により街区が細分化されているため、国際都市にふさわしい多様な機能を導入しようとする際に、土地の有効かつ高度な利用が阻害される例が見られます。
 こうした地区においては、複数の街区を集約して大型の街区を創出し、これとあわせて公共施設の再編を一体的に行うことにより、今日的なニーズに合わせた土地利用を図るとともに、交通アクセス機能や防災性の向上、さらには街区全体で環境負荷の低減を図ることが可能となります。
 都内ではこれまで、千代田区の神保町一丁目南地区や、中央区の京橋三丁目一地区などで、再開発事業や都市再生特別地区などの制度を活用した、民間主体による大街区化の取り組みが行われており、都もこれを積極的に支援してまいりました。
 今後、地元区や民間事業者等との連携により、より一層大街区化の取り組みを誘導し、東京の都市再生と国際競争力強化を図ってまいります。
 次に、用途地域などの権限移譲についてでございますが、国は昨年、地域主権改革の一環として、都が持つ用途地域等の決定権限を区市町村へ移譲しようとしました。しかし、都市のあり方を方向づける用途地域等について、機械的に全国一律の考え方で分権を進めれば、日本の心臓部、頭脳部の役割を担ってきた東京において、都市としての一体的な機能を発揮させる都市づくりが極めて困難となり、東京は機能的にばらばらになってしまいかねません。このため、都は国に対し、首都東京の一体性を損なう権限移譲はすべきではないと強く主張した結果、区部では従来どおり都が決定することとなりました。
 これまで都は、区部、とりわけ都心部を一体的にとらえて、用途地域や都市開発諸制度等を活用し、機能集積のメリットの発揮や、風格ある景観の形成などを進めてまいりました。
 今後とも、これらの都市計画を効果的に運用することにより、都市機能の一層の強化を図ってまいります。
 また、多摩では、用途地域等が市町村決定となる場合におきましても、市町村と連携して、その運用を支援、調整する仕組みを構築いたします。これにより、引き続き広域的視点を持った都市づくりを進めることで、多摩全体として土地利用のバランスが確保された自立した都市圏の形成を推進してまいります。
 都は現在、都市づくりビジョンに基づき、個々の都市計画を方向づける都市計画区域マスタープランの改定に着手しておりまして、この中で、区部、多摩を通じて地域の意向を反映しつつ、大都市東京の一体性を確保する考え方について明らかにしてまいります。
 今後とも、区市町村等と連携し、マスタープランに即した都市づくり等を推進することにより、都市全体として一体的な機能を十全に発揮できる東京の実現に取り組んでまいります。
 次に、高齢者向け住宅の整備についてでございますが、高齢化が急速に進行する中、住宅のハードと生活支援サービス等のソフトを組み合わせ、高齢者が安心して暮らせる住まいを実現していくことが喫緊の課題であると認識しております。
 都では、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームにおいて、住宅施策と福祉施策との連携を図りながら検討を行い、その結果に基づき、緊急通報など生活支援サービスつきの高齢者向け賃貸住宅の供給を促進しております。
 こうした動きなどを受け、国においては、高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正を検討しております。
 都としては、ご提案のあった実務者レベルでの連携会議を設けることなどにより、高齢者向け住宅の供給促進に向けた取り組みを一層強化してまいります。
 また、高齢者の居住の安定を図るためには、高齢者が適切な負担で入居できる住宅が必要であることから、都では従来より、高齢者向け優良賃貸住宅の家賃助成制度を導入した区市町村に対して補助を行ってまいりましたが、さらに来年度からは家賃の助成限度額を引き上げ、補助制度の拡充を図ることといたしました。
 今後とも、区市町村との緊密な連携を図り、都の補助制度を活用できる地域の拡大に努めるなど、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことができる環境の整備に取り組んでまいります。
 次に、東京都住宅供給公社における少子高齢対応についてでございますが、公社では、一般賃貸住宅の建てかえや既存住宅の再生を通じて、民間では進みにくい、少子高齢社会に対応した住まいの供給を行っていく方策について鋭意検討してまいりました。
 その成果として、年度内に今後の取り組み方針をまとめる予定でございまして、具体的には、板橋区の向原住宅、世田谷区の烏山住宅及び稲城市の平尾住宅の三団地におきまして、高齢者向け住宅や子育てに適した住宅を供給するとともに、建てかえにより創出した用地を活用し、高齢者施設や子育て支援施設等を誘致するなどのモデル事業を実施してまいります。
 特に高齢者向け住宅には、緊急通報設備の設置はもとより、地域のニーズに応じて高齢者福祉施設を併設し、あわせて、見守りやワンストップでの生活相談に対応するサービススタッフを配置するなど、高齢者が安心して暮らせるよう、きめ細かな配慮を施した住まいを提供していくこととしております。
 次に、公社の既存住宅のバリアフリー化等についてでございますが、公社では個々の住戸内において、床の段差解消や介護に配慮した間取りへの変更などの住戸改善を行うこととしており、まず、立川市富士見町住宅の空き住戸を活用したモデル事業を実施し、改修技術やコスト等についての検証を行った上で、その結果を踏まえ、順次展開を図ってまいります。
 また、ご指摘のように、地域コミュニティの活性化を図ることは重要であり、地元自治体や団地自治会等と連携し、高齢者や子育て世帯が支え合うための地域コミュニティ活動を支援することとしております。具体的には、集会所使用料の優遇や講習会に関する情報提供などにより、高齢者同士、また子育て世帯同士が気軽に交流し、情報交換できる環境づくりなどを予定しております。
 公社ではこれらにより、ハード、ソフト両面から、既存住宅における少子高齢対応に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、都営住宅の間取りについてでございますが、都営住宅については、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を適切に保持するため、老朽化した住宅の建てかえを推進しております。
 建てかえに当たっては、居住者の世帯構成に応じた規模や間取りの住宅を供給しており、これまでも子育て世帯に配慮し、小規模世帯向け住宅の間取りを見直すなどの改善に努めてまいりました。
 現在、高齢化が急速に進行する中で、自宅での介護を必要とする居住者も増加しており、こうした状況を踏まえて、お尋ねの一DKの住宅については、収納スペースや水回りの配置等を工夫し、介護のための使い勝手の向上を図るなど、間取りの見直しを行ってまいります。
 最後に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の確実な実施についてでございますが、建築物の耐震化を進めていくためには、耐震診断を行って、建築物の正確な耐震性能を把握することが必要不可欠でございます。
 また、緊急輸送道路の機能を確保するためには、沿道建築物の倒壊による道路の分断を路線全体にわたって防ぐ必要があり、一体的に耐震化を進めていくことが重要でございます。
 このため、今回の条例では、特に重要な緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対して、耐震化に必要不可欠な耐震診断の実施を義務づけ、これにあわせ、診断費用について、平成二十五年までの間、原則として所有者の負担がなくなる新たな助成制度を整備することといたしました。
 耐震診断の費用については、従来の制度における区市町村負担分を都がすべて負担することにより、建築物が立地する区市町村にかかわらず、所有者に対する助成に差が生じないようにいたします。
 また、耐震改修費用についても、区市町村間の差を可能な限り少なくするため、すべての区市町村で従来の所有者負担を軽減するよう、助成制度を拡充し、耐震改修の速やかな実施につなげてまいります。
 さらに、耐震性能が不足する緊急輸送道路沿道建築物の建てかえを促進するため、昨年九月に、容積率を割り増しする総合設計制度を導入しておりまして、条例の制定に合わせ、より一層この制度の活用を図ってまいります。
 同時に、耐震改修や建てかえを着実に進めるためには、区市町村による積極的な取り組みが欠かせないことから、区市町村に対して支援策の活用や充実を強く働きかけてまいります。
 新たな条例に基づく耐震診断の義務づけと、こうしたさまざまな支援策を一体的、総合的に展開していくことで、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進し、災害に強い東京を実現してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 国庫補助負担金の一括交付金化についてお答えをいたします。
 国の来年度予算において、都道府県向けの投資関係補助金等の一部が一括交付金化されることとなりました。地方への配分方法については、当面継続事業が実施できる配分とする一方、各府省の枠にとらわれず、客観的指標に基づく配分を一部に導入し、今後拡大していくとされております。
 制度の詳細がいまだ明らかとなっておりませんが、この先一括交付金化が、国の財源捻出や地方間の財政調整の手段として利用されてはならないと考えております。
 また、都には投資効果の高いインフラ需要が存在しており、我が国の成長を牽引していくためにも、引き続きこのような需要に応じた財源を確保していくことが必要でございます。
 こうしたことも踏まえ、一括交付金化が都にとって不合理な制度とならないよう、国に強く求めてまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 気候変動への対応についてでございますが、記録的な猛暑や局所的豪雨など、異常な気象は東京でも発生しておりまして、温暖化による気候変動は決して将来ではなく、今まさに取り組むべき課題であるというふうに認識しております。
 都では、現在副知事をトップとするカーボンマイナス都市づくり推進本部のもとに、温暖化適応に関する調査・分析チームを設置し、国や国立環境研究所などと共同して、専門家の意見を交えながら、東京における気候の変化と、それに伴う洪水などの自然災害や熱中症などの健康被害への影響につきまして、スーパーコンピューターも活用しながら予測を行うこととしております。この予測結果を検証し、都民の安全と生活を守るための適応策を、局横断的な体制のもと、総合的な視点から検討してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 下水道事業で取り組んできた汚泥炭化炉と汚泥ガス化炉の導入の拡大についてでございますが、汚泥炭化炉は、一般的な汚泥焼却と比べ温室効果ガスを約八割削減でき、生成した炭化物を火力発電所の燃料として活用することで、資源化率の向上にも寄与するものであります。
 汚泥ガス化炉は、汚泥を蒸し焼きにして生成するガスを用いて汚泥を処理することで、従来の燃料使用量を大幅に削減するとともに、発電も行い、温室効果ガスを約九割削減するものであります。
 導入に当たりましては、立地条件や資源化製品の販路を考慮し、炉の形式を選定しております。
 汚泥炭化炉につきましては、良質な炭化物を生成する技術が確立し、炭化物の販路が確保できたことから、平成十九年より、東部スラッジプラントに導入いたしました。現在、温室効果ガスのさらなる削減が可能な新型の汚泥炭化炉を同プラントに増設する事業を進め、平成二十五年四月の稼働を目指しております。
 さらに、南多摩水再生センターに汚泥炭化炉を新たに建設する予定で、平成二十三年度中の事業着手に向け、設計中でございます。
 汚泥ガス化炉につきましては、我が国初の実用化施設として、昨年七月、清瀬水再生センターに導入いたしました。今後、運転状況の検証を行い、既存の焼却炉の更新時期に合わせて追加導入を検討してまいります。
 今後とも、快適な地球環境を次世代に継承していくため、また引き続きご評価をいただけるよう、さまざまな手法を駆使し、地球温暖化対策に局を挙げて全力で取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 資源循環に関します二点のご質問でございます。
 まず、金属資源のリサイクルについてでございますが、レアメタルなどの金属資源のリサイクルを進めることは、我が国産業の国際競争力維持に貢献するとともに、地球規模での環境負荷低減に資するものでございます。
 電気電子製品にはレアメタルなどの金属が使われておりまして、高度な経済都市である東京は世界でも有数の都市鉱山を有しております。このため、都がレアメタルなどの金属資源のリサイクルに取り組む意義は非常に大きいと考えております。
 今後都は、さまざまな電気電子製品を効率的に回収し、その中に含まれる有用な金属資源をリサイクルする方法につきまして、関連業界や区市町村と連携して検討を進め、東京にふさわしい金属資源回収システムの構築に取り組んでまいります。
 次に、水銀の回収と適正処理についてでございますが、水銀による環境汚染を食いとめるため、現在水銀条約の締結についての検討が進められております。活発な都市活動の中で多量の水銀が使われている東京におきましても、水銀の製造、使用、処理の各段階での取り組みが必要でございます。
 その第一歩といたしまして、特に水銀血圧計に水銀の含有量が多いことから、都は、東京都医師会並びに血圧計の大手製造メーカーと連携し、廃棄時の注意を明示したラベルの表示を推進する取り組みをこのたび開始することといたしました。
 さらに今後、水銀に関する専門家、区市町村、製造事業者など、さまざまな関係者で構成する検討会を立ち上げまして、代替製品への転換や、水銀含有製品の回収、適正処理について、積極的な役割を果たしてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 十三点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、医療体制の確保についてでございますが、都の基準病床数を定める国の算定基準には、年齢階級別人口も加味されており、高齢化に伴って必要となる病床数については一定の配慮がなされております。しかしながら、この基準は全国一律で、都道府県の裁量の余地がなく、高度医療を提供する特定機能病院などに全国から多数の患者が集まるなどの、東京の特殊性を反映することができません。
 このため、都は基準病床数制度について、都道府県が地域の実情を反映できるような仕組みとするよう国に提案要求を行っており、引き続き平成二十四年度末の保健医療計画の改定に向けて国に働きかけてまいります。
 次に、病院や介護施設等の間の連携調整の仕組みづくりについてでございますが、都では今年度、病院から在宅への円滑な移行と在宅療養生活の継続を支援するため、都内三地域において在宅医療連携調整窓口を設置し、病院のメディカルソーシャルワーカーとかかりつけ医、介護事業者等との調整などを行うモデル事業を実施いたしております。
 このモデル事業を踏まえまして、来年度からは区市町村が主体となって、地域包括支援センターや医師会等に在宅療養支援の窓口を設置する事業を新たに実施いたします。また、円滑な転院調整に資するよう、メディカルソーシャルワーカーからの意見を取り入れ、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」に、入院患者受け入れが可能な医療機関の情報を追加し、逐次更新をいたしております。
 今後は、さらに患者が病状に応じて適切な医療や介護を受けられるよう、関係機関相互の連携調整の仕組みづくりを進めてまいります。
 次に、シルバー交番事業についてでございますが、この事業は、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームにおきまして提案されたものでございまして、高齢者などからの相談にワンストップで対応するとともに、訪問や安否確認などにより、高齢者の在宅生活の安全・安心を確保する都独自の取り組みでございます。
 シルバー交番は、地域包括支援センターなどと連携しながらサービスを提供するものであり、区市町村ごとに人口規模や日常生活の範囲などを考慮して設置することといたしております。来年度末までに六十カ所の設置を予定しており、以降は、平成二十三年度中に策定いたします高齢者保健福祉計画に盛り込み、これに基づき計画的に設置してまいります。
 次に、ひとり暮らし高齢者への生活支援についてでございますが、高齢者の地域における在宅での生活を支えるためには、介護保険サービスだけでなく、買い物など家事援助や日常生活上の困り事への対応など、多様な生活支援が必要でございます。
 今後、都内の六十五歳以上のひとり暮らし世帯は、平成十七年の約五十万世帯から、平成四十二年には約九十万世帯に達すると推計されており、ひとり暮らし高齢者への生活支援の充実がますます重要になってくると認識をいたしております。
 次に、医師緩和ケア研修についてでございますが、都は、がん患者の生活の質を総合的に高めるため、現在のがん対策推進計画期間であります平成二十四年度末までに、研修修了者数を三千八百名とすることを目標として、緩和ケアに精通した医師を育成する研修を実施いたしております。
 この研修は、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院において実施しており、本年三月末までに約二千四百名が研修を修了する予定でございます。今後、目標の達成に向けまして拠点病院等と連携し、積極的に取り組みを進めてまいります。
 次に、緩和ケア推進に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまで、拠点病院、認定病院の取り組みに加えまして、東京厚生年金病院に在宅緩和ケア支援センターを設置し、医療従事者等への専門的助言や在宅療養者、家族を対象とした講演会の開催など、在宅緩和ケアの普及を促進してまいりました。
 来月には、緩和ケアをさらに推進するため、東京都がん対策推進協議会に新たに緩和ケアあり方検討部会を設置いたします。その中では、専門病院とかかりつけ医の地域連携、在宅緩和ケアにかかわる薬局や訪問看護ステーションの確保などについて検討を行うこととしており、今後、この検討結果に基づきまして、治療の初期段階から在宅医療までの緩和ケアが広く提供できるよう取り組んでまいります。また、その成果は、次期のがん対策推進計画にも反映させてまいります。
 次に、地域がん登録についてでございますが、地域がん登録は、がんに罹患した方の診断、治療に関するデータや死亡情報を集約し、罹患率や生存率等を把握する仕組みであり、予防から治療に至るがん対策全般の評価や企画立案に重要な役割を果たすものでございます。
 実施に当たっては、個人情報の保護に万全を期すとともに、収集した情報を正確に登録し、的確な分析を行う仕組みや体制の整備が必要でございます。
 このため、都は、がん登録の専門家を交えた検討会を設置し、個人情報の取り扱いや具体的な登録方法等について検討を進めており、来月、取りまとめを行う予定でございます。
 平成二十四年度からの開始に向け、来年度は専管組織を新たに設置し、医療機関や区市町村に対する説明やリーフレットを活用した都民への普及啓発を行うなど、準備を着実に進めてまいります。
 次に、障害者グループホーム等の充実についてでございますが、都は、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランに基づきまして、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を実施し、障害者の居住の場の整備を促進いたしております。
 プランでは、平成二十三年度末までに、グループホーム等の定員を三年間で千六百四十人ふやし、五千五百十四人にすることとしておりますが、昨年十二月現在で四千八百三十二人分を整備しており、目標を達成できるものと考えております。
 最終年度となる来年度は、目標の達成に向けまして、事業者への働きかけをさらに強化するとともに、整備が十分でない区市町村に対して重点的な働きかけを行うなど、積極的に取り組んでまいります。
 次に、障害者の福祉施設での就労についてでございますが、都はこれまでも、区市町村障害者就労支援センター等の就労支援機関を通じまして、福祉施設における障害者の雇用を促進するとともに、職場実習の受け入れを進めてまいりました。
 福祉施設には、洗濯、清掃、事務補助など多様な業務があり、障害特性に応じた仕事の選択が可能であることに加えて、障害に対する職員の理解も深いことから、円滑な受け入れが期待できます。
 来年度は、福祉施設での障害者の就労をさらに拡大するため、指導員の確保など、受け入れ体制の整備に係る経費を新たに補助いたしますとともに、関係団体を通じまして積極的な受け入れを働きかけ、就労経験が少ない若年障害者の雇用を促進してまいります。
 次に、障害者の移動支援についてでございますが、障害者の移動支援は、地域での自立と社会参加の促進に不可欠な、日常生活を支える基幹的なサービスであると認識いたしております。
 しかしながら、現在の移動支援は、障害者自立支援法に基づく区市町村地域生活支援事業の一つとして位置づけられており、国から十分な補助がないため、区市町村に超過負担が生じております。そのことが、区市町村が事業の充実を図りにくい大きな要因となっており、都では十分な予算措置をするよう国に求めてまいりました。
 国は、障害者等に対する全般的な移動支援の充実が必要という観点から、今後、移動支援のあり方について検討を行うこととしており、都としては、事業の充実が図れるよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。
 次に、精神疾患への対応についてでございますが、心の不調を感じた場合、まずは内科など一般診療科を受診する傾向が見られることから、精神疾患を早期に発見し重症化を防止するためには、かかりつけ医と精神科医が緊密に連携し、専門的医療につなげることが有効でございます。
 こうした連携を進めるため、都は来年度から、地域ごとに一般診療科医師を対象として、精神疾患や精神保健医療制度に関する研修を行うとともに、一般診療科と精神科の合同症例検討会を実施いたします。
 また、精神疾患の初期症状やかかりつけ医から精神科医への紹介の流れなどを示したリーフレット等を新たに作成し、医療関係者や都民への普及啓発を行ってまいります。こうした取り組みを進め、精神疾患の早期発見、早期対応を図ってまいります。
 次に、精神科医療のネットワークについてでございますが、精神障害者の地域生活を支えるには、症状の変化に応じ適切な医療が受けられるよう、地域の医療機関や保健所、相談支援機関等による連携が重要でございます。
 このため、都は、今年度から二カ年の予定で、地域精神科医療ネットワークモデル事業を、区東北部と南多摩の二つの二次保健医療圏において実施いたしており、現在、各圏域において、地域で対応可能な疾患や診療時間等の情報の共有とその活用方法などについて調査検討を行っております。
 今後、モデル事業の実施状況を評価、検証し、それを踏まえて、精神障害者が必要なときに身近な地域で受診しやすい医療連携体制の整備を進めてまいります。
 最後に、精神障害者に対する訪問型支援についてでございますが、都が来年度から全都で実施する訪問型の支援事業では、医療の中断などにより地域での安定した生活が困難な精神障害者に対し、精神保健福祉センターの医師、保健師等の多職種チームが、区市町村、保健所と連携して支援を行うこととしております。
 今後、お話のように訪問型支援の対象を拡大し、身近な地域で普及していくためには、区市町村、保健所に加え、より多くの医療機関や福祉サービス事業者等の協力が必要でございます。
 このため、来年度は、事例検討会等を通じまして、区市町村等の支援力向上を図るとともに、東京都地方精神保健福祉審議会の議論なども踏まえ、訪問チームの担い手となる医療機関や訪問看護ステーション、相談支援機関等の確保や効果的な連携策について検討してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街における高齢者の生活支援についてでありますが、商店街は地域の住民が便利で安心して買い物をする場所であるとともに、地域コミュニティの中心として住民の生活を支える重要な役割を果たしております。こうした商店街が、宅配サービスや訪問販売などにより、日用品の購入など高齢者の生活支援を行っている事例は承知しております。
 都では、特定施策推進型商店街事業により、福祉や環境対策など東京全体が直面する重要な行政課題の解決に結びつく商店街の取り組みを支援しております。
 その一方で、ひとり暮らしの高齢者の生活支援については、地域の実情に応じた対応が基本であります。こうした商店街の活用のあり方を、今後、関係各局等と連携しながら検討してまいります。
 次に、映画のバリアフリー化についてでありますが、音声ガイドや字幕などバリアフリーの映画がふえ、目や耳の不自由な方々が気軽に楽しむことのできる環境を整えることは重要であります。
 都は、映画産業振興の視点から、東京国際映画祭やショートショートフィルムフェスティバル・アジアなどの各種イベントの支援を行っております。
 ご指摘のように、近年、字幕つき映画は着実にふえてきたところでありますが、音声ガイドつきの映画は極めて少ない状況といえます。今後、福祉保健局などと連携し、厚生労働省、文化庁、経済産業省といった関係省庁にバリアフリー映画の作成、普及に向けた取り組みを要望するとともに、東京国際映画祭などのイベント関係者に対し、機会をとらえ働きかけを行ってまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

〇病院経営本部長(川澄俊文君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、駒込病院における放射線治療についてでございますが、これまで駒込病院では、がん細胞に放射線を照射して治療する、いわゆるリニアックを三台活用して放射線治療を行ってきておりますが、今回の改修工事に当たっては、これを充実強化することとしております。
 具体的には、頭部や頸部のがんにピンポイントで放射線を照射できるサイバーナイフのほか、照射位置を確認する画像撮影機能と精度の高い照射機能が一体化された最新鋭の放射線治療機器を導入し、現在保有している三台の機器とあわせて稼働していく予定でございます。これらの治療機器を最大限活用して、患者の身体的負担がより少ない放射線治療を目指すとともに、手術、化学療法を効果的に組み合わせ、症状に応じた高度で専門的ながん医療を、今後とも都民に提供してまいります。
 次に、小児総合医療センターのアレルギー医療についてでございますが、小児アレルギーの治療効果を高めるためには、患者や家族の生活管理に対する指導や相談など、長期の治療計画に基づくきめ細かな対応が必要であり、医師の治療に加え、看護師、栄養士等が専門性を生かしながら、協同して治療にかかわっていくことが重要でございます。
 具体的には、栄養士による食物アレルギー患者への食事指導や看護師によるアトピー性皮膚炎患者へのステロイド使用法の指導、さらには生活環境の管理として、地域の医師、学校などとの連携や家族を含めた患者指導を行い、患者のQOL向上を目指してまいります。それぞれの専門分野が密接に連携し、チーム医療を行うことで、総合的な医療提供体制を強化してまいります。
 最後に、児童思春期看護認定看護師の配置育成についてでございます。
 小児精神医療においては、精神科分野に卓越した看護実践や指導、コンサルテーション能力等を習得した専門看護師及び認定看護師の存在が重要でございます。こうした専門性の高い看護師を育成するため、都立病院では東京看護アカデミーを活用し、看護職員のキャリアアップを図るシステムを構築しているところでございます。
 現在、家族を含めた治療を支援するための知識と技術を持つ精神科専門看護師及び児童思春期精神看護分野の認定看護師の資格取得のため、看護職員を専門の教育、育成機関に派遣して人材育成を行っているところであり、今後、その活用を図ってまいります。
〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 自転車政策についてでございますが、自転車に関する施策につきまして、都は、警視庁等の関係機関、区市町村とともに、安全教育の実施、交通法規の遵守の徹底、走行空間の整備などを推進しております。
 しかしながら、都内においても、近年、自転車対歩行者の事故は増加傾向にあります。ご指摘のとおり、行政のみならず民間を巻き込んだ取り組みにより、施策の再構築が必要と考えておりますが、ご提案の内容の条例の制定に関しましては、道路交通法との関係、既存の類似の登録制度との関係など、国や区市町村も含めて検討すべき多くの課題がございます。
 このため、まず、官民の関係機関が連携し、自転車をめぐる諸問題を解決するため、条例制定についての課題も含め、自転車の総合的な政策の検討を行ってまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 百五番大山とも子さん。
   〔百五番大山とも子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇百五番(大山とも子君) 日本共産党都議団を代表して質問いたします。
 都民の暮らしの困難が増しています。雇用は破壊され、広がるワーキングプア、働きたいのに保育園は入れない、低い年金、重い医療や介護の負担に都民は苦しんでいます。都民をこんな状況に追い込んだ自民党政権ですが、政権交代してもなお続く国政での自民党型政治に国民、都民の批判が広がっています。同時に、十二年間の石原都政の重大な責任は免れません。
 知事、あなたが、住民の福祉を増進するという地方自治体の魂を投げ捨て、福祉、暮らしの施策に大なたを振るったことが、今日の都民の困難を大きくさせてきたのです。知事は、財政をよみがえらせたなどといっていますが、果たして誇れるようなものでしょうか。
 財政が改善したのは、何よりも税収増に助けられたのです。都税収入を石原知事が就任した一九九九年度と比べてみると一目瞭然です。毎年度の都税収入を九九年度と比べると、年平均五千億円、合計五兆一千五百億円以上もふえています。違いますか。
 これだけ税収がふえたのに、知事は都民の施策を削りに削りました。同じように知事就任時からの増減を積み上げると、老人福祉費は約二千億円のマイナス、商工費は約七千億円マイナス、教育費、住宅費も含めると、その削減額は二兆六千億円にもなります。その上、コスト削減を第一に、行政の仕事を次々民間に投げ出し、住民サービスを低下させるとともに、官製ワーキングプアを生み出してきたのです。これが誇れることですか。知事、お答えください。
 知事は、来年度についても、次期知事の手を縛る本格予算を組んで自画自賛しています。にもかかわらず、都知事選挙が二カ月後に迫ったのに、みずからの去就をいまだに明らかにしません。本当に無責任です。都知事選挙は、どのような候補者、組み合わせになろうとも、石原都政の転換を図るのかどうかが問われています。十二年間の石原都政は、都民にとっては最悪の都政といわざるを得ません。
 石原知事が福祉や暮らしの施策を切り捨ててきたことに、都民の批判が渦巻いています。このため知事は施政方針で、高齢者の暮らしを確かに支えるとか、若者の挑戦を支えるなどと、福祉、暮らしに言及せざるを得ませんでした。しかし、魂が入っていません。具体策は不十分きわまりないものです。
 都の財政力は、韓国にほぼ匹敵する巨大なものであり、都政のあり方を転換すれば、都民の福祉、暮らしを大きく充実できます。私は、都民施策を真に充実していく方向を示し、幾つかの具体的提案を行う立場で、以下、質問いたします。
 第一に、福祉、暮らしの問題です。この問題で知事が都政に持ち込んだのは、ほんの一部を除いては、基本的に国の基準以上の施策はやらないということです。知事は、何がぜいたくかといえばまず福祉だといって、東京都単独の事業をことごとく切り捨てました。国の基準どおりしかやらないということなら、自治体の存在意義はないではありませんか。
 高齢者福祉は破壊されました。都民にとってなくてはならない老人福祉手当や老人医療費助成を廃止、シルバーパスは全面有料化されました。特別養護老人ホームへの用地費助成をなくし、整備費は四割にまで減らしました。利用者の処遇改善のために国基準以上に職員を増配置することや、中堅やベテランも働き続けられるための人件費補助も廃止しました。そのため、高齢者一人当たりの老人福祉費は九九年度の十三万円台から八万円台に激減し、歳出総額に占める老人福祉費の割合は全国二位から四十七位、最下位に転落したではありませんか。
 知事は、むだな福祉は削ったとまでいいました。これらの福祉のどこがむだだというのですか。
 とりわけ特養ホームは、都独自の補助があったからこそ増設が進み、二〇〇〇年度の整備率は全国二十七位でした。ところが、知事のもとで、特養ホームの整備率も全国四十三位へと大後退し、待機者は知事就任当時と比べて約三倍にふえ、四万三千人を超えました。特養ホーム関連の都独自の補助のどこがむだだったというのですか。
 高齢者福祉の立て直しは待ったなしです。特養ホームの増設が進まない大きな理由は、土地と人件費の問題であることは明白です。廃止した用地費助成を復活するとともに、積極的に東京都の土地を提供すべきです。また、二十三区内には約六百万平方メートル、東京ドーム百三十個分の未利用国有地があります。国が国有地を区市町村や社会福祉法人に安く提供するよう求めるべきです。
 介護人材不足が深刻な社会問題になっていますが、都独自の人件費補助、都加算補助を続けていれば、少なくとも東京の特別養護老人ホームでは、このような人材不足にはならなかったのです。そもそも人件費などの高い東京の施設は、介護報酬だけでは運営が成り立ちません。質の高い利用者サービスを提供するには、安定的な労働条件による優秀な人材の確保、定着がどうしても必要です。そのことは都も認め、国に改善を提言したではありませんか。都として、深刻な介護人材不足をどう打開するのですか。
 私は、特別養護老人ホームなどの職員の待遇改善や定着促進のための新たな人件費補助に踏み出す必要があると考えますが、見解を伺います。
 通えて泊まれて訪問サービスも行う小規模多機能施設を、思い切って増設することが必要です。東京都は、小規模多機能施設の整備が進まない理由として、土地価格の上昇、人材不足と制度内容そのものに課題があるとして、実態調査を実施しました。都は、この問題についてどう認識し、どう対応するのですか。
 宿泊料は一日六千円程度と高く、利用が困難です。宿泊料軽減のための支援を検討すべきと思いますが、どうですか。介護基盤整備の深刻なおくれが、デイサービス事業所での自主事業としての宿泊サービスを広げ、プライバシーもなく、人員配置も不十分で、防災上も問題がある事業所が急速にふえていることが社会問題にもなっています。
 宿泊デイサービスについて、昨年十二月、我が党は独自調査の結果を踏まえて、都に対し調査点検と指導是正を求めました。その後、都も調査を実施し、厚労省に緊急提案を行ったことは一歩前進です。しかし、関係者から、都の提案は厚労省にげたを預けたものとの声が上がっています。
 都自身が独自のガイドラインを定めること、継続的に実態を把握すること、都への届け出制度をつくることなどが必要です。どうですか。
 老人医療費助成の廃止は、高齢者を必要な医療から引き離しました。糖尿病、高血圧など、治療を中断すると命にもかかわる患者が、経済的理由で治療を中断しており、命さえも危険にさらされているのです。
 日の出町では、七十五歳以上の医療費無料化とがん医療費の無料化に踏み出しました。知事、医療費窓口負担の軽減は、世界の常識です。都としても、七十五歳以上の医療費無料化、六十五歳以上の医療費負担の軽減、がん医療費助成に踏み出すことを求めます。
 知事は、子どもたちの教育条件の整備もないがしろにしてきました。二〇〇九年度の普通会計決算における教育費は、石原知事就任の年と比較すると八百六億円も減っています。日本の教育への公的支出は、OECD加盟国の中でも最低水準で、子どもたちの教育にもっとお金をかけてほしいという声が渦巻いているにもかかわらず、教育費を減らす。知事は、世界に恥ずかしくないのですか。
 東京都は、八〇年代前半、歳出の二〇%以上を教育費に充てていました。それが今では一三・八%です。このままでよいはずはありません。
 知事、教育は子どもたちの未来への投資です。教育予算を大幅にふやすべきと考えますが、どうですか。
 この十二年間、石原都政は、教育にとって最も重要な役割を果たす教職員を削減してきました。来年度も、都立高校の図書館司書や肢体不自由特別支援学校の教員を削減する計画です。
 都は、都民から切望されている三十人学級も拒み続けてきました。その根底には、教職員の定数を減らすという知事の方針があるのです。
 今年度からやっと、小一、中一対策として、一学級三十九人の少人数学級も可能としましたが、全国では少人数学級を次々と拡大しています。今年度も、茨城県では、小学校一、二年生のみ三十五人学級にしていたのを一気に四年生まで、そして中学一年生に広げるなど、県独自の努力で実施を拡大しているのです。
 国もようやく来年度から、三十五人学級に踏み出す予定です。ところが都教委は、学級集団には一定の規模が必要などという、もはや通用しない口実を盾に消極的な姿勢をとり続けています。こうした態度は改めるべきではありませんか。
 世界はもとより、日本でも少人数学級が流れとなりました。都として計画を立て、三十人学級などの少人数学級に踏み出すことを求めます。来年度は、国の状況にかかわらず、小学校一年生の三十五人学級を実施することを明確にすべきです。
 特別支援学校も深刻です。今ですら大変な教室不足の上、今後、二千七百人も子どもたちがふえるにもかかわらず、今の計画では、学校数を一校もふやさないのです。しかも、一つの教室をカーテンで仕切って二クラスで使うという劣悪な教室の解消は、十年も先です。
 知事が障害児教育への支出まで出し惜しんでいるために、こうした事態が生まれているのです。心が痛まないのですか。特別支援学校の教室不足は、学校の新設で早急に解消することを求めます。
 私立高校に通う生徒への支援も重要です。今年度から公立高校の授業料が無償になり、公私格差が無限大に広がったといわれています。このため、全国では既に四十一道府県で、年収二百五十万円未満の世帯の私立高校生の授業料を無償化しています。十三府県は年収三百五十万円未満まで。年収五百万円未満まで無償化する府県もあります。私立高校生の学費負担軽減の充実は重要な課題だと思いますが、いかがですか。
 都でも、年収二百五十万円未満の世帯の無償化にはあと五億円、三百五十万円未満なら十億円でできます。どうしてやらないのですか。少なくとも年収二百五十万円未満の世帯の私立高校生の授業料無償化を直ちに行い、さらに拡大していくことを求めます。
 次に、中小企業支援と雇用対策についてです。
 知事は、就任直後に、これからの産業政策は、中小企業を一様に保護育成するような政策から転換するといって、きめ細かな業種別の支援策や、区や市からも使いやすいと歓迎されていた工業集積地域活性化事業を廃止しました。
 同じく廃止された商工指導所には、企業の現場を回り、要望や経営相談にきめ細かく応じ、現場の実態を都の施策に反映することに責任を負った経営指導職が五十人以上もいたのです。このため、業者からは、経営に行き詰まったとき、いつでも相談できる人がいなくなった、遠く離れた退職した職員のところに今も電話をして相談しているという声が出されています。東京の中小企業振興にとって重要な施策と人材、施設が失われ、中小業者は深刻な打撃を受けたのです。
 その結果、石原知事のもとで、歳出総額に占める東京の商工費の割合は五・四%に低下してしまいました。全国平均の八・五%と比べても、異常な低さになっているのです。
 知事、このような実態についてどう認識しているのですか。しかも、来年度予算で、中小企業対策費は約四百億円も減らされます。せめて商工費の割合を全国平均まで計画的に引き上げることを目指すべきです。
 都内のものづくりなどを支える中小業者は、どこでも今、大変厳しい経営状況を抱えながらも、必死の思いで取り組んでいます。知事は、こうした現状についてどのように認識していますか。
 具体的な支援策について提案します。
 まず、資金繰りの支援です。東京の制度融資の金利は、多くが二%以上です。しかし、愛知、兵庫、福岡などの各県では、すべてのメニューが二%以下となっています。京都府では、国が終了する景気対応緊急保証に対応して、長期、低利の融資を新設します。東京でも、多くの業者が要求している長期、低利の融資の創設を求めるものですが、どうですか。
 かつて都が実施していた工業集積地域活性化支援事業の二十一世紀版として、工業だけでなく、一次、二次、三次産業の集積地域を活性化させるための事業を新たに立ち上げることを提案します。
 我が党は、これまで中小企業支援と雇用確保、福祉や住環境の改善を一体で進めるよう提案してきましたが、とりわけ大きく全国に広がっているのが、住宅リフォーム助成です。
 我が党は、全国で県として初めて住宅リフォーム助成を実施した秋田県を調査しました。秋田県は、五十万円以上の工事に工事費の一〇%、最大二十万円を利用者に助成するもので、当初七千戸の目標でしたが、あっという間に利用者がふえ、一万五千戸に引き上げました。一月現在、一万三千五百戸で利用され、経済波及効果は二十四倍と試算しています。県内の八割の市が実施中の同様の制度の併用で、一層の波及効果が上がっています。
 建設業者や業界の皆さんは、これで何とか生き残れていると話し、県の担当者は、自殺者が減少していると話していました。都内でも既に九自治体が実施しており、来年度も広がる動きです。都は、こうした広がりと、その効果をどう評価しているのですか。
 我が党は、単なる住宅改善としてだけでなく、倒産が相次いでいる建設業などの仕事確保、そして雇用確保策と、一石三鳥の効果があるからこそ提案しているのです。都として住宅リフォーム助成の創設を求めるものです。答弁を求めます。
 同様に、公契約条例の制定が求められています。公共事業の質の向上とともに、業者と労働者の処遇の改善のために必要だとして、各自治体でも公契約条例を制定する動きが広がっています。建設労働者は低賃金だからという理由で若い人の希望が減り、世代交代ができない危機的状況に直面しています。存続にかかわる事態といっても過言ではありません。
 公共事業の落札が予定価格を大幅に下回る場合、業者の利益がなくなり、とりわけ労働者の賃金が減らされるというしわ寄せが生まれます。七割台で落札した都の工事に携わった労働者は、労賃が低く、不払いもあるといっています。都の契約工事でワーキングプア状態の労働者が続出することは、許されるものではありません。
 都の契約工事の実態を調査すべきではありませんか。さらに、賃金実態を調査することを求めるものです。
 千葉県の野田市に続き、政令市で初めて川崎市が公契約条例の実施に踏み切りました。世田谷区でも検討委員会を立ち上げました。都として、このような動きをどう受けとめていますか。公契約条例制定に向けて、検討委員会の設置を提案するものですが、見解を求めます。
 投資的経費は、この七年間、連続増額しています。こんな例は全国にありません。全国平均では、この七年間に七一%に減っているのに、東京都は一四二%にふえているのです。これに高速道路や空港、港湾施設の出資や貸し付けなどを加えると、バブル前の八〇年代の二、三倍、一兆円規模の投資が毎年行われており、石原都政十二年では、総額十二兆一千億円にもなります。都が出す必要のないお金を支出していることが、この最大の原因です。
 中央環状品川線は、一部区間をわざわざ都が三百三十億円もかけて直接施行しています。高速道路建設の貸し付けは、八〇年代には百八十億円台でしたが、石原都政では平均三百五十億円台になりました。自治体が本来負担する必要のない国直轄の大型公共事業負担金も、この間、五千六百億円以上出しています。こんなことも、全国に例がないことです。
 国民健康保険料や老人医療費の負担軽減のための助成は、国の問題だといって冷たく拒否する一方、高速道路や港湾建設は、国の事業であっても莫大なお金を負担する。おかしいではありませんか。国の大型開発事業の肩がわりはきっぱりやめるべきです。知事、どうですか。
 国直轄事業負担金について、知事は二〇〇一年の予算特別委員会で、考え直してもらいたい、国の国事として考えてもらいたい、そう述べていたではありませんか。なぜ、国に廃止を求めないのですか。直轄事業負担金の支出を中止すべきです。
 今後、長期にわたって都財政の大きな負担になると予想される浪費的投資が、港湾整備と関連道路等の建設です。東京港の整備計画は、中央防波堤外側や新海面処分場での外貿コンテナターミナル、臨港道路南北線の建設を含め、総事業費は莫大なものにならざるを得ません。昨年、東京都、川崎市、横浜市が作成した国際コンテナ戦略港湾計画の目論見書では、二〇一五年度までに施設整備に必要な事業費が約二千四百億円と見込まれていましたが、議会への説明はありません。
 しかも、その財源を国がどこまで支援するのかが不透明です。もともと京浜港の国際コンテナ戦略港湾計画は、国が京浜港を、規制緩和、税制優遇、国費の重点配分を行う総合特区にすることを前提としています。総合特区制度は、昨年十一月の事業仕分けで調整費の予算計上が見送られ、港湾整備事業の予算も圧縮されました。こうしたもとで計画を進めたら、なおさら都民へのしわ寄せははかり知れません。
 京浜港国際コンテナ戦略港湾計画で、東京港の整備に一体どれぐらいの総事業費がかかるのか、都の財政負担はどうするのか、明らかにすべきです。答弁を求めます。
 そもそもアジア諸港との競争に勝つために、京浜港にコンテナ貨物をかき集めることを至上命題とし、港湾施設の巨大化を進める発想自体が、時代錯誤です。国際コンテナ戦略港湾政策に対しては、日本港運協会会長が、日本港湾の物量などを勘案すると、十八メートル岸壁の必要性は全くない。この基本認識は、国内外の船会社とも共有できるはずだと発言するなど、港湾関係者から疑問と批判の声が上がっています。
 東アジアには、貨物の中継を中心に発展した釜山港や、巨大な生産地と消費地をバックに急成長を遂げる上海港など、それぞれに特徴を持つ港があり、日本にとって、これら各国の港との協力と役割分担を図ることこそ、現実的で発展性のある道なのです。
 知事、都が進める国際コンテナ戦略港湾計画は、浪費的巨大公共事業であり、見通しも危ういものです。中止すべきです。
 その一方、同じ投資的経費でも、十二年間の予算で見ると、都市公園整備は、骨格幹線道路予算の三五%にすぎません。しかも、二十三区内の公園の一人当たりの面積は、石原都政のもとで減り、わずか四・四五平方メートル、ロンドンの一六%にすぎないのです。公園予算を抜本的にふやし、整備を進めるべきですが、どうですか。
 石原都政十二年を振り返るとき、知事のトップダウンで進めたオリンピック招致で都民の血税を浪費したことも、見過ごせない汚点として残ります。知事は、オリンピック招致のためとして金に糸目をつけず、一回一億円もの費用でイベントを乱発するなど、招致推進活動経費だけで百億円もの税金を投入したあげく、招致に失敗したのです。
 重大なことは、四年前の知事選挙では豪華海外出張を反省し、経費削減をいわざるを得なかったのに、オリンピック招致の名で海外出張の浪費を削減どころか拡大したことです。知事は、前回知事選前の八年間で十五回の海外出張を行い、二億四千万円の税金を使いました。ところが、今期の四年間では実に十三回で総額二億二千万円もの税金を使ったのです。それまでの八年間とほぼ同額を四年間で使ったことになります。
 その浪費ぶりは目に余るものです。ホテルは、北京では夫婦で一泊二十四万円、ローザンヌでは一人十二万円の超デラックスルームを利用するなど、オリンピック招致関係の五回の出張では、二十三泊中二十一泊で都みずからが定めた基準を数倍も超えた宿泊料を使いました。航空機も、埼玉県や京都府など他県知事はファーストクラスが可能でもビジネスクラスに変更して節約をしているにもかかわらず、石原知事はファーストクラスに固執し、ベルリン往復だけで二百四十万円も使っています。
 この四年間の知事の海外出張で一日当たりに使った税金は三百二十八万円、それ以前の八年間の一・四倍になります。しかも、二〇〇九年の知事の海外出張は六回で約一億五千万円が使われましたが、もともと計上されていた知事の海外出張予算は三千五百四十万円にすぎません。何と予算の三倍、一億一千万円以上は他の費目から流用しています。
 知事は、経費を削減するという約束も、ホテルは一定の条件を備えた中で最も価格の低いものを選ぶという約束も守りませんでした。このことをどう反省しているのですか。今後ともこのような税金のむだ遣いを続けるのですか。お答えください。
 石原都政の正すべき重大問題は、自治体として乗り出してはならない事業に手を出していることです。
 その一つが新銀行東京です。三年で一千億円を超える累積赤字を出し、都が出資した一千億円の大半が消滅したため、前回知事選で知事は二年で立て直すと言明したにもかかわらず、その公約を翻して四百億円を追加出資したことは、都民の強い批判を受けました。その後の経過を見ても、既に新銀行は小零細企業を支援するという存在意義を失っており、清算するしかありません。
 重大なことは、石原知事が新銀行の清算を拒むだけでなく、新たなビジネスに乗り出そうとしていることです。それは、国際貢献の名による国際水ビジネスです。
 既に水道局は、都の監理団体の東京水道サービスを前面に立てて、水ビジネスを進めるための海外調査団派遣を行っています。昨年、三菱商事などの企業連合が、オーストラリアの水道事業会社を買収し、現地で水道事業を行うことになりましたが、ここに東京水道サービスが参加することで、都が海外水ビジネスに乗り出す一歩が踏み出されているのです。
 そもそも水道事業は、住民に対して最低限の公衆衛生と生活権の維持向上のために、自治体として責任を持って運営してきたものです。ところが、水道運営のノウハウを持たない財界は、政府を動かし、自治体が資金管理にまで参加する枠組みをつくろうとしているのです。
 水道局は、国際水ビジネスを行う上でどのようなことを検討し、実行しているのですか。公営企業法との関係や資金についてはどう考えているのですか。
 欧米系の水メジャーが水道事業に進出したボリビアでは、住民の激しい反発に直面して、政権が崩壊し、撤退するという大きなリスクが現実になりました。こうした例は各地で生まれています。昨年三月、都が打ち出した国際貢献の新たな取り組みという文書では、わざわざリスクの分析を行い、海外での為替変動や水質基準の変更などによる支出の拡大、施設建設コストの増大、共同事業者の経営破綻、現地政府の一方的な契約解除、現地の反対運動などの例を挙げざるを得ませんでした。このようなリスクとその対策についてどう検討しているのですか。
 そもそも水をもうけの道具にすることなど行うべきではありません。ましてや自治体が水ビジネスに乗り出すことなど、あってはならないことです。
 今、水メジャーは、世界各地で企業利益を生み出すために上下水道事業に進出していますが、途上国では貧困層がこうした水ビジネスでつくられた水を買えず、生命に欠かせない貴重な水が行き渡らないなど、さまざまな問題が生じていることが指摘されているではありませんか。しかも、都の監理団体である東京水道サービスが加わった民間企業が撤退したり提訴されることなどで、莫大な損失をこうむる危険が強いのです。この場合、水道料金など公的資金を投入することで、第二の新銀行東京となりかねません。知事、東京都と監理団体がビジネスに乗り出すことは直ちに中止すべきです。
 最後に、築地市場の豊洲移転問題は、知事の予算執行宣言に基づいて豊洲移転手続が進んでいますが、深刻な土壌汚染対策について、専門家や都民から、まともな調査も実験も行われていないと強い批判が寄せられています。専門家から要求されている公開討論の開催にも応じようとしていません。さらに、現在地再整備などについて議会で継続審議中なのです。これを無視して進めるということも許されません。
 今年度の豊洲移転用地の買い取り予算執行は中止し、来年度の豊洲移転関連予算は撤回すべきです。都が拒否するなら、我が党は豊洲移転関連予算案は削除の修正案を提案することを表明し、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 大山とも子議員の代表質問にお答えいたします。
 施策の見直しについてでありますが、改めて申し上げるまでもなく、私はこれまで社会状況が激しく変化する中で、都民ニーズに的確にこたえるために、見直すべきものは柔軟かつ大胆に見直し、必要なものには財源を重点的に振り向け、都政の改革を進めてまいりました。こうした一連の取り組みは、行政サービスを着実に向上させていくためにも必要不可欠であります。福祉を初め各分野で大きな成果を上げていると自負しております。
 今後、厳しい財政環境が続く中にあって、都政が積極的に役割を果たしていくためには、都民が必要とする施策をいかに効率よく提供するかという視点に立ち、行政サービスのあり方やその質についても不断に検証することが重要であります。減っている部分だけをとらえてその削減額を殊さら強調するのは、全く的外れな議論であると思います。複合的な思考のできない共産党の単細胞的体質というものが露呈している論だと思います。他の質問も含めてあなた方のいうことを総じて聞いていますと、どうも共産党のいうことを聞いていると、この国を、この日本を滅亡に導きたいような気がしてならない。
 次いで、高齢福祉予算についてでありますが、少子高齢化が急速に進む中では、福祉サービスの利用者の増加に比べ、社会全体の負担力は伸びません。旧態依然とした福祉施策を続けていたのでは、早晩、財政的に行き詰まることは明らかであります。だからこそ、将来にわたって安心できる社会を実現するため、時代にそぐわない事業は見直し、真に必要とする人への効果的な福祉サービスが行き渡るように改革を進めてまいりました。
 昨年十二月の予算原案発表の際の発言は、こうしたことについて改めて言及したものでありまして、その意味合いを正確にとらえていただきたいと思います。
 平成二十三年度予算案では、一般歳出における福祉保健費は九千八十六億円、福祉と保健の予算の割合も二〇・八%と、いずれも過去最高となっております。自分たちに都合のいい数値のみを取り上げて批判を繰り返すばかりでなく、福祉施策を論じるには負担と給付のバランスの議論を避けて通ることはできないことをどうか理解していただきたいと思います。
 ものづくりを支える中小企業の現況についてでありますが、東京には、高度で多様な技術を有する中小企業が数多く集積しておりまして、東京のみならず、日本の経済を牽引していく原動力となっております。しかし、長引く景気の低迷や急激な円高により、中小企業は、苦しい資金繰りや受注の減少など、厳しい経営環境に置かれております。このまま放置すれば、東京の活力は失われかねません。
 いわれるまでもなく、東京都はこうした状況を踏まえ、これまで制度融資を初め、中小企業の資金繰りに万全を期するとともに、経営支援などの円高対策や販路開拓の支援などの手だてを速やかに講じてまいりました。今後とも、企業現場の実情に即した施策をさまざまに展開し、ものづくりを担う中小企業を支援してまいります。
 ちなみに、私が最初の選挙戦のときから提唱し、実現いたしましたローン担保証券、社債担保証券、今では一兆近い市場になりましたが、これを最初から最後まで反対したのは共産党でありましたな。
 次いで、都市インフラの整備についてでありますが、いまだにご理解いただけないようでありますが、東京の都市機能を向上させることは、都民の利便性だけではなく、国際競争力を高め、東京の活力を維持する上で不可欠な取り組みであります。
 中でも、道路、空港、港湾などの都市の根幹となる施設の建設は、立ちおくれた社会資本を整備し、将来への道筋をつける重要な事業であります。東京にとって必要性、緊急性が高いものであれば、都として一定の負担を行うことは当然であります。
 次いで、これは驚くべき質問でありましたが、水道事業の国際貢献ビジネスについてでありますけれども、四大文明が大河のほとりに生まれた歴史をひもとくまでもなく、人類の進歩、文明発展にとって、水は致命的な意味合いを持ちます。今日にあっても、清潔で健康な暮らし、産業、農業の振興など、すべからく水が我々の生活にかかわっております。
 しかし、世界を眺めますと、日本と違い、九億人にも及ぶ多くの人々が安全な水に接することができないでおります。このため、全世界で一日約四千人の子どもが、下痢や伝染病で命を落としている。さらに途上国では、経済成長に伴う都市への人口集中などにより、水源の汚染や水不足が深刻な問題となっております。
 こうした現実に対して、東京は、どのような水質にも対応できる浄水処理技術や、漏水率三%を達成した漏水防止技術など、これまでに蓄えてきた知識、経験に裏打ちされた総合力があり、これで世界を救う力もありますし、責任もあります。だから、国は縦割りであり、なかなか重い腰を上げないために、東京は率先して行動を開始したわけであります。
 すぐれた技術力を最大限活用するとともに、企業連合形成の触媒となるなどして、途上国の水事情改善のために努力することは、国際都市東京の当然の使命であります。要するによい水を飲むこと、それがよい人生を送る、そして寿命の延長につながるわけです。後進国の寿命の短さというのは、ほとんどが水が原因となっています。これを放置することは、それをよしとする共産党の考え方は本当に恐ろしいですな、人類にとっても。途上国の人々の命を救い、その発展に貢献しながら、日本経済の活性化につなげることを否定するのは、まことに恐ろしい発想というか、愚かな発想というか、私には理解できません。
 他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、教育予算についてでございます。
 予算は、事業の精査を経て所要経費を積み上げることにより作成されるものであり、教育への公的支出に関して、OECD加盟国の対GDP比率などの水準によって優劣を論ずるという考え方は適切ではございません。
 次に、都の教育費については、その大部分が教職員人件費であり、基本的には児童生徒数に連動して増減する構造となっております。したがって、年度ごとの教育費の金額の大小や歳出全体に占める構成比の大小のみを比較して論じても意味はございません。
 平成二十一年度の東京都普通会計決算における教育費は九千二十一億円であり、平成十一年度と比較すると八百六億円減少しております。これは、平成二十一年度の給料や期末勤勉手当等の職員給が、平成十一年度と比べて八百五十億円減少しているためでありまして、教育水準が低下したものではございません。
 また、平成二十一年度の普通会計決算における教育費の構成比は一三・八%であり、昭和五十年代後半と比較すると約七ポイント程度減少しております。これは、この間、普通会計決算の歳出総額が倍増する一方で、教育費は基本的に児童生徒数に連動するものであり、昭和五十年代後半の七千億円前後の水準から、平成二十一年度は約九千億円へと増加しているものの、単純に倍増するといった構造ではないことから、結果的に構成比が減少したものにすぎず、教育水準が低下したものではございません。
 平成二十三年度予算においても、必要な教育予算は十分に確保しており、全くご指摘は当たりません。
 次に、公立小中学校の学級編制に関する都教育委員会の考え方についてでございます。
 都教育委員会は、児童生徒に望ましい人間関係や豊かな人間性を培うため、生活集団としての学級には一定の規模が必要であると考えております。多くの自治体が国の少人数指導加配定数を転用して少人数学級を実施している中で、都教育委員会は、基礎学力の向上に配慮してきめ細かい指導を行うため、少人数指導加配定数を他に転用することなく、一貫して少人数指導の充実に努めてきております。
 また、都教育委員会は、小一問題、中一ギャップの予防、解決のため、都独自の加配を行っているところでございます。必要な手だては講じております。都教育委員会として、学級編制に関する考え方を変えるつもりはございません。
 次に、三十人学級などの少人数学級の実施についてでございます。
 都教育委員会として、生活集団としての学級に一定の規模が必要であるとの考えは変わりません。
 今年度から、都教育委員会は、小一問題及び中一ギャップを予防、解決するために、教員を加配し、学級規模の縮小や少人数指導、チームティーチングの導入など、各学校の実情に即した最適策を選択できる弾力的な制度を実施しております。都教育委員会は、画一的に学級規模を小さくするような少人数学級の実施は考えておりません。
 次に、来年度の学級編制についてでございます。
 国が示した小学校第一学年の三十五人編制の実施については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に定める学級編制標準の改正が必要でございます。同法の改正案については、先般、通常国会に上程され、今後審議される予定であり、都教育委員会としては、国会審議を含め、国の動向を見守ってまいります。
 次に、特別支援学校の教室不足についてでございます。
 昨年十一月に公表した東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、今後の在籍者数の増加に対応できる教室数を確保するため、特別支援学校の再編整備計画を決定いたしましたが、この計画では新たに二校の新設校を設置することとしており、学校数を一校もふやさないという指摘は事実に反します。
 特別支援学校の施設整備は計画的に進めていく必要があり、一定の時間を要することから、その間、カーテン等で間仕切りした教室も利用することとなりますが、児童生徒の教育活動に支障がないよう、十分な配慮を行ってまいります。
 なお、特別支援学校の施設整備費につきましては、計画策定前の平成十三年度から平成十五年度の三カ年の平均予算額約三十億円から、第三次実施計画策定時の平成二十一年度から平成二十三年度までの三カ年の平均予算額約百億円と三倍強に増加しており、障害児教育への支出を出し惜しんでいるというご指摘は当たりません。
 次に、特別支援学校の新設についてでございます。
 昨年の十一月に策定した第三次実施計画において、今後も増加していくことが見込まれる知的障害特別支援学校在籍者に対応できる教室数を確保するため、新設二校、改築十校、増築三校、併置化三校の知的障害特別支援学校の再編整備計画を決定いたしました。
 この結果、特別支援学校の設置校数は、平成十六年度の計画策定時の五十五校一分校が、平成三十二年度の整備終了時には五十八校となります。また、知的障害のある児童生徒を受け入れる特別支援学校は、平成十六年度の三十校一分校から、平成三十二年度は学校の新設や併置化を進めることにより四十四校となります。
 今後も、計画を着実に推進することにより、特別支援学校における教室数を確保してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自治体における住宅リフォームの助成制度についてでございますが、各自治体の助成制度は、その目的と内容がさまざまであることから、それぞれが地域の実情に応じて取り組んでいるものと考えております。都としては、従来より、まちづくりの観点から耐震改修やマンション共用部分を対象とした改良工事への助成を行うなど、適切に支援を実施しております。
 次に、住宅リフォームの助成制度の創設についてでございますが、都は、良質な住宅ストックの形成のため、消費者向けには住宅リフォーム相談窓口の設置やガイドブックの作成、事業者向けには事業者行動基準の作成や講習会の支援などを行っております。また、ただいま申し上げましたとおり、耐震改修やマンション共用部分を対象とした改良工事への助成を行うなど、既にまちづくりの観点から必要な対策を適切に実施していると考えております。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 四点にお答えを申し上げます。
 まず、財政再建の取り組みについてでありますが、石原知事就任以来、二度にわたる財政再建推進プランを策定し、職員定数の削減を初めとした内部努力を徹底して行うとともに、時代状況等に応じた施策の見直しや再構築を進め、歳入の確保などにも着実に取り組んだことにより、八千億円にも上る財源を確保することができました。今日の強固な財政基盤を構築することができたのは、こうした身を切るような努力があったからであり、税収の増加によって財政再建が達成されたかのような指摘は全く当たりません。
 次に、都の契約工事の実態調査についてでありますが、我が国における賃金や労働条件は、各企業の労使間の交渉により自主的に決定される法制度となっており、国はこれを下支えするため、最低賃金法や労働基準法などで基準を定めております。都の入札契約制度は、契約に当たって最低賃金法や労働基準法などの法令遵守を義務づけることにより、労働環境の確保を図っております。こうした観点から、都の実態調査を行うことは考えておりません。
 次に、公契約条例に向けた検討委員会の設置についてでありますが、公契約条例については、労働政策や産業政策の観点から、整理検討すべき課題が指摘をされております。これは、国が立法措置上の問題として判断すべき問題であり、今後とも、国の検討状況を注意深く見守ってまいります。
 最後に、直轄事業負担金についてでありますが、外環道などの国直轄事業は、東京の活力を維持し、都市活動や都民生活を支える上で、いずれも欠かすことのできない重要性の高い事業であり、国と連携しながら、都として必要な措置を講ずることは当然であります。
 一方、実施に当たりましては、自治体の意見を反映する仕組みが不十分といった問題が依然として残されていることから、引き続き、国に対してその改善を強く働きかけてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、特別養護老人ホームの整備についてでございますが、都は、保険者でございます区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づきまして、計画的な基盤整備に努めております。整備に当たりましては、高齢者人口に比べて整備状況が十分でない地域の補助単価を最高で一・五倍に加算するなど、多様な手法を活用しながら着実な整備に努めております。
 次に、用地費助成の復活などについてでございますが、特別養護老人ホームの用地取得費助成につきましては、国の規制緩和により、民有地の貸し付けや定期借地権制度の活用による整備が可能となるとともに、用地取得費に対する融資制度が充実されるなど、状況が大きく変化したことから、平成二十年度着工分をもって終了したものであり、復活することは考えておりません。
 都有地の活用につきましては、都は、福祉インフラ整備事業により、介護保険事業者等に対し、未利用の都有地を減額して貸し付けております。
 また、国有地につきましても、定期借地権に基づく貸付制度が開始されましたが、事業者が介護保険施設などの整備に利用しやすくなるよう、貸付料の減額について、既に国に対し提案要求を行っております。
 次に、介護人材の確保についてでございますが、介護保険制度は、社会全体で高齢者を支える仕組みとして、全国統一の社会保険方式で運営されており、その財源は保険料と公費から成っております。また、事業者が得る報酬は介護報酬として定められており、人材の確保も含め、事業に必要な経費はその中で賄うことが基本でございます。
 介護報酬の設定は、制度の設計者である国の責任で行うものであり、都は国に対し、介護報酬を大都市の実態に合わせて抜本的に見直すことを再三提案要求をいたしております。
 次に、介護職員への人件費補助についてでございますが、先ほど申し上げたとおり、介護報酬の設定は国の責任で行うものでございます。都は国に対し、抜本的な見直しを再三提案要求しており、独自に人件費補助を行う考えはございません。
 次に、小規模多機能型居宅介護についてでございますが、登録定員の上限が二十五名であることや、宿泊室にあきがあった場合でも、登録者以外は利用できないなど制約が多く、運営が安定しないことから、小規模多機能型居宅介護の整備が十分に進まない状況にございます。このため、都は、登録定員の上限撤廃や登録者以外の者の宿泊利用について、国に対し提言を行っております。
 次に、小規模多機能型居宅介護における宿泊料軽減についてでございますが、都は既に、国制度であります社会福祉法人等による利用者負担額軽減の仕組みを、都独自に事業主体を拡大して実施をしており、新たな負担軽減策を行う考えはございません。
 次に、宿泊サービスを提供する通所介護事業所についてでございますが、先ほどもお答えしたとおり、国において法整備が行われるまでの間、都としては独自の届け出基準等を早急に策定し、利用者の安全確保を図ってまいります。
 最後に、医療費助成についてでございますが、高齢者医療やがん医療も含め、医療費負担のあり方につきましては、社会保障制度全体の中で、国の責任で対応すべきものでありまして、都として新たな医療費助成を実施する考えはございません。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

〇生活文化局長(並木一夫君) 二点のご質問にお答えします。
 初めに、私立高校生の学費負担軽減についてでございますが、都内の高校生の約六割が私立高校に通うなど、私立高校が東京の公教育に果たす役割は重要でございます。このため、都では、私立高校に対する基幹的補助であります経常費補助を行うとともに、所得に応じて私立高校生の保護者の負担の軽減を図るという考え方から、国の就学支援金に加えて、都独自に年収約七百六十万円以下の保護者を対象として授業料の一部を補助する特別奨学金制度を実施しております。
 次に、私立高校生の授業料の無償化についてでございますが、ただいまご答弁申し上げたとおり、都においては、所得に応じて私立高校生の保護者負担の軽減を図るという考え方から、国の就学支援金に加えて、都独自に年収七百六十万円以下の保護者を対象として授業料の一部を補助する特別奨学金制度を実施しております。
 これら二つの補助金に育英資金を合わせると、年収三百五十万円に満たない世帯の私立高校生については、都内私立高校の平均学校納付金額相当を超える補助制度となっており、経済的理由で修学困難な世帯への必要な支援は既に実施しております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業対策に係る予算についてでありますが、都内中小企業を取り巻く環境は依然として厳しいことから、来年度、円高対策を拡充するとともに、海外販路開拓支援の充実などに取り組むこととしております。
 また、都と中小企業振興公社や東京商工会議所などの支援機関が連携し、経営指導員などが中小企業を直接訪問して経営改善を助言するなど、引き続き個々の中小企業の経営課題にもきめ細かく対応してまいります。
 なお、予算額は、中小企業の借入動向に応じた制度融資の預託金や施設整備の進捗状況等により毎年度増減するものでございます。来年度予算におきましても、中小企業対策について必要額を計上したところであり、単なる予算額の推移、歳出総額に占める割合による他県との比較をもって評価することは適当ではありません。
 今後とも、都は、先進的かつ独自性を持った効果的な施策を講じ、中小企業の振興に努めてまいります。
 次に、中小企業に対する資金繰り支援についてでありますが、都制度融資の中心的なメニューである経営支援融資などには最優遇金利を適用しており、その多くが金利二%以内で利用されております。加えて、小規模企業者に対しては保証料の二分の一を補助するなど、他の道府県と比べても手厚い措置を既に講じております。
 さらに、来年度は、この間の円高の進行に対応するため、円高対応融資メニューを創設するとともに、国の緊急保証制度終了後の円滑な資金繰り支援のため、既存融資メニューについて、融資条件の拡充や保証料補助の継続などを行うこととしております。
 都としては、引き続きこうした措置を講じていくこととしており、お話のありました新たな融資メニューをつくることは考えておりません。
 最後に、産業集積に対する支援についてでありますが、東京の産業発展のためには、今後成長が期待される産業の育成に向けて、都が広域的な視点に立った施策を実施するとともに、区市町村が地域の産業特性等を生かして主体的に取り組むことが重要であります。
 このため、都は既に、創造的都市型産業集積創出助成事業により区市町村の産業集積の活性化に向けた取り組みを支援しております。したがって、ご提案のような事業を新たに立ち上げる考えはございません。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国際コンテナ戦略港湾にかかわる東京港整備の総事業費及び都の財政負担についてでありますが、国際コンテナ戦略港湾の応募に当たり、昨年三月、都が横浜港及び川崎港とともに国へ提出した目論見書においては、平成二十七年度までに京浜港の施設整備に必要な事業費として約二千四百億円を示したところでありますが、これは、国費の集中的な確保を目指し、その時点で想定し得る国費を含めた費用を見込んだものであり、実際の事業費とは性格が異なるものでございます。
 お尋ねの東京港整備のための事業費及び都の財政負担につきましては、個別の事業の具体化や国の負担割合の状況等を踏まえ、適宜明らかにしてまいります。
 次に、国際コンテナ戦略港湾の取り組みについてでありますが、アジア諸港の躍進が著しい中で、我が国港湾の国際的な地位は相対的に低下し、コンテナ貨物取扱量で日本最大の京浜港でさえ、国際基幹航路が減少傾向にあります。このままの状況を放置すれば、京浜港の国際基幹航路がさらに減少し、貨物の輸出入に当たり、海外の主要港での積みかえが一層増大することになります。これにより、輸送日数の増加や輸送コストの上昇などを招き、国内産業の競争力の低下や、首都圏四千万人の生活に種々の悪影響を及ぼすことになります。
 都としては、こうしたことがないよう、今後とも川崎港、横浜港とともに、国際コンテナ戦略港湾として、京浜港への貨物集荷策や港湾機能の充実強化など、国際競争力の強化に向けた取り組みを積極果敢に展開してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 骨格幹線道路予算と比較して少ない公園予算を抜本的にふやすべきとのことでありますが、東京の都市基盤整備は、最大の弱点である交通渋滞を解消し、国際競争力や経済活力を強化するとともに、良好な都市環境と魅力ある都市空間を形成し、安心で安全な都市を実現することにより、首都東京を二十一世紀の範となる都市へと進化させるものであります。
 このため、首都圏三環状道路を初めとする幹線道路ネットワークの形成、都民の生命と財産を守る河川整備、都市の貴重な潤い空間や防災拠点となる公園整備など、未来への財産となるストックを着実に築き上げてまいりました。これら事業の推進に当たっては、地域や都民のニーズに的確にこたえることはもちろん、日本を牽引する首都東京としての事業の必要性や優先度、効果などを総合的に勘案して計画的に進めております。
 お尋ねの公園整備につきましては、事業の推進により、都立公園の開園面積が、平成十一年から平成二十二年の間に約三百二十ヘクタール、東京ドーム六十八個分も増加しております。区部の一人当たり公園の面積は、分母である人口が約八十万人も増加しており、このため、ふえ方が緩やかとなったもので、東京の魅力、活力がそれだけ高まった結果であると認識しております。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 知事の海外出張の経費についてでございますが、海外出張はいずれも都市外交を初め都政の重要課題に対応するものや、政策実現のために必要な出張であることに加え、適正な手続も経ていることから、支出は妥当なものであり、むだ遣いとの指摘は当たらないものというふうに考えております。
 また、ご質問の中で、経費総額や一日当たりの経費などのお話がございましたが、これらの海外出張は、知事の海外出張と申しましても、知事一人で出かけたわけではございませんで、十九年度以降の十三回の出張で見ましても、最低で六人、アジア大都市ネットワーク21などでは十七から十八人、平均いたしますとおおむね十二人分の経費を合計したものでございます。さらに、宿泊ホテルに関しましては、もとより経費低減に努めつつも、セキュリティーの確保や要人との会談等の際にも、礼を失しない格式と設備が求められることなどを考慮して選定しているところでもございます。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

〇水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、国際貢献ビジネスの検討状況などについてでございますが、これまで海外事業調査研究会を設置し、アジア各国の関係情報の収集やビジネスモデルの検討、インドなど五カ国へのミッション団の派遣など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 地方公営企業法との関係につきましては、昨年五月、国の検討会において、実施主体が第三セクターであるならば現行法上特段の問題はないなどの見解が示されており、当局の進める新たな国際貢献ビジネスに当たっては東京水道サービス株式会社を活用しているところであります。また、同社及び企業連合が事業に参画する際の資金につきましては、政府系機関からの投融資の活用や民間事業者からの出資などによることを想定しております。
 次に、国際貢献ビジネスのリスクとその対策についてでございますが、先ほど、わざわざリスク分析を行い、さまざまなリスクの例を挙げざるを得なかったとのお話がございましたが、当局では、国際貢献ビジネスを展開していくに当たり、昨年三月、金利変動など十八項目にも及ぶあらゆるリスクを想定し、分析し、リスクヘッジへの検討を行ったところであります。こうした検討は海外での事業リスクを回避及び最小化する上で極めて重要な取り組みであり、当然のことであります。
   〔百五番大山とも子君登壇〕

〇百五番(大山とも子君) 知事に再質問をいたします。
 まず福祉です。
 知事は、むだな福祉は削りましたという発言について、真に必要とする人へ効果的な福祉サービスが行き渡るよう改革を進めてきたことに言及してきたものといいわけしました。しかし、知事は、改革の名で真に必要とする人への真に必要な福祉を切り捨ててきたのです。自分に都合のよい数字だけ持ち出すという話は、そっくりそのままお返しいたします。
 特別養護老人ホームの整備予算は、石原都政で四割に激減したんです。このため、特養整備率は全国二十七位から四十三位まで転落し、待機者は一万五千人から四万三千人へと急増したのです。知事として、責任そして痛みを感じないのですか。ご自身で答えてください。
 次は、教育予算について。
 知事に聞いたのに、教育長に答えさせました。児童生徒数に連動して増減するから、教育費が八百六億円減っても当然だという趣旨の答弁でした。教育費がこんなに減った最大の原因は、給与を減らしたことです。それで優秀な人材を確保できるのですか。教職員定数も七百七十人減らしました。東京都の児童生徒数は十二年前とほぼ同じです。おかしいじゃないですか。先進諸国の多くは、少子化傾向でも教育支出を伸ばしているのです。この事実をどう認識しているのですか。こんなことでは都民は納得しません。定数削減も給与削減も知事の方針なのですから、知事が答えてください。
 知事の海外出張についてです。
 前回知事選で、豪華海外出張への都民の批判に対し、知事は反省と経費削減を打ち出しました。ところが、今期も、同じ条件でもっと安いホテルに泊まれたのに夫婦で一泊二十四万円ものホテルに泊まるなど、ぜいたく三昧です。反省も経費削減にも努力していません。この約束違反をどう考えているのか、政治家たる知事に聞いたのです。なぜ知事が答弁しないのですか。前回知事選での反省ポーズは偽りだったといわざるを得ません。知事自身の問題です。知事がはっきり答えてください。
 住宅リフォーム助成について。
 私は、住宅改善と同時に中小建設業者の仕事確保、さらには雇用確保の一石三鳥の効果があり、大きな経済波及効果があることを示して実施に踏み出すよう求めたのです。にもかかわらず、技監の答弁は、まちづくりの観点から必要な対策を既に実施しているなどという硬直した縦割り行政そのものではありませんか。知事がリーダーシップをとって、まちづくり、住宅、中小建設業支援、雇用確保の各部門を束ねなくてどうするのですか。知事の責任で前に進めるべきです。知事、どうですか。
 以上四点について、知事、答えてください。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 繰り返しになりますが、平成十一年度から二十一年度にかけて職員の給与費が八百五十億円減っております。これによって、全体の教育費が減ったというにすぎない。教育水準が低下したわけではございません。ちなみに、職員の給与水準については人事委員会の勧告に従って、議会の議決を経て適正に対処しているところでございます。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 再質問の住宅リフォームの助成制度創設ということでのお尋ねでございます。
 今のお話で、住宅リフォームをやれば中小企業対策とか雇用確保にもつながるんじゃないか、だから住宅リフォームをやるべきだというお尋ねだということでございますが、やはり住宅リフォーム自体を助成制度としてやるべきかどうかということは、政策選択の場合に十分考えて判断しなきゃいけないことだと、そういうふうに考えております。
 先ほどもお答えしましたとおり、住宅リフォームで現在東京都でやるべきことは、これは消費者に対する適切な住宅リフォームができるような支援をすることと、それから事業者に対して住宅リフォームを消費者に対して適切に実施していけるように、いろいろな形での指導基準をつくったりすることの、そういう応援であろうと。今、東京都で住宅リフォームでやるべきことはそういうことだと判断しておりますので、お説のような住宅リフォーム助成を行う考えは全くございません。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) お答えいたします。
 ただいま特別養護老人ホームの整備費の件でお尋ねがございました。また、先ほどは、平成十一年度と二十年度の決算の比較の話もございましたが、この間、介護保険制度の導入ですとか、あるいは三位一体改革、そして定期借地権制度の導入といった、非常に比較の前提となる制度が大変大きく変わっております。
 こうした制度の変更ですとか、あるいは長期的視野に立った政策を総合的に考慮することなく、単純に高齢者の予算額ということで比較するというのは意味がないというふうに考えております。
 特別養護老人ホームについていえば、先ほど答弁申し上げましたように、保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定をしたサービス見込み量に基づきまして、東京都は計画的な基盤整備に努めているところでございます。
 また、先ほど国の基準額の範囲内で事業を行っているという話もございましたが、高齢者分野の施策だけを見ても、都独自の補助制度による認知症グループホームの大幅増設、あるいは新しい高齢者の住まいの整備、シルバー交番設置事業といったさまざまな都独自の施策も展開しておりまして、国基準の範囲内という主張は全く当たらないというふうに考えております。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 知事の海外出張の経費についての再度のお尋ねでございますが、出張の目的及び支出の手続とも適正でございまして、さらに宿泊ホテルに関しましては経費低減に努めるということはもとよりといたしまして、それ以外にもセキュリティーの確保、要人との会談等に必要な格式と設備が求められるということなども考慮して選定をしているところでございます。

〇七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時二十三分散会

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