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Tokyo Metropolitan Assembly

平成十四年東京都議会会議録第十九号

○議長(三田敏哉君) 五十九番鈴木貫太郎君。
   〔五十九番鈴木貫太郎君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十九番(鈴木貫太郎君) 初めに、災害医療体制について伺います。
 阪神・淡路大震災、米国でのテロ災害など、大規模災害に対する防災、危機管理が重要な課題であります。とりわけ混乱する状況下、迅速に多くの傷病者に最善の医療を施すことが何よりも大切であります。
 そこで、人命救助優先との観点に絞り、災害医療体制について具体的に伺ってまいります。
 我が党も指摘をしてまいりましたが、米国での同時多発テロ、炭疽菌テロのような生物、化学災害などのNBC対策、不測の事態に対し、都として今日まで医療体制をどう整備し、今後どう具体的に対応するのか、まず伺います。
 次に、大災害時には、限られた状況下で、一時的かつ多数発生する患者を一人でも多く救助、救命しなければなりません。この制度として、我が党は、阪神・淡路大地震を契機にトリアージの重要性を主張し、我が国で初めて東京都に導入をさせたのであります。
 導入以来、医療機関を含む各関係機関との間でさまざまな訓練が重ねられ、連係プレーもよくなっておりますけれども、改善すべき課題も多いと私は考えます。なぜかならば、当初想定した以上に、NBC災害など災害発生の様相が大きくさま変わりしているからであります。そのための災害医療体制も、それに応じ、柔軟に対応しなければなりません。
 そこで、これまでのトリアージの取り組みを通じ、どう検証し、課題は何か、マニュアルの改定を含め、どう取り組むのか、具体的に伺います。
 さらに、広域的な災害医療への取り組みも大切であります。首都圏で、大規模災害に対しては、都のみでの対応は困難な事例も多く、首都圏が共同して機動的な対応をしなければなりません。これこそ我が党提案のFEMA構想でありましょう。
 幸いにして十一月の七都県市首脳会議で、危機管理体制強化に向けた組織が合意を見たことは評価をされるところであります。
 そこで、災害医療の分野でも、七都県市の相互応援協定をより効果的に機能させるためにも、広域的に対応できる体制の確立が重要であります。広域的な災害医療への取り組みと、今後の方向性について、具体的に伺います。
 都立高等専門教育に関連し、何点か伺います。
 都立の高等専門学校は、昭和三十七年の設立以来四十年間、地元産業界を初め、各界で活躍する実践的技術者を世に輩出してまいりました。今日では大学の工学部と同等の評価を得ております。
 科学技術の進展、産業空洞化、アジア諸国の工業化などを背景に、地域の製造業を支えるものづくり教育の重要性がますます高まっている中、高専は今後地域の要請にどうこたえていくべきなのか。例えば全国的に設置が進んでいる専攻科問題などをも考え合わせると、都立高専の課題は山積をいたしております。
 そこで、当面する課題について、三点伺います。
 第一は、産学公連携促進のための区部拠点問題であります。
 都の大学改革大綱によれば、産学公連携センターを日野キャンパスに設置すると都はしておりますけれども、問題は、区部の拠点をどうするかでありましょう。私は、高専のこれまでの教育成果などを考え合わせ、産学公連携の区部拠点にこそ、この都立高専を積極的に活用すべきと考えます。高専活用のための具体的な対策を伺います。
 第二は、高専と産業技術の大学院との関係についてであります。
 都は重要施策の中で、産学公連携推進拠点の整備として、区部に産業技術の大学院の設置を検討するとしております。この大学院構想と都立高専とのかかわりについても、具体的に示していただきたい。
 第三に、産業界からの資金導入についてであります。
 私は、産業技術力強化法に基づき、高専としても民間企業からの資金をこの際積極的に受け入れ、都民生活に有益な研究を進めるべきと考える立場で伺います。
 都立大学では、受託研究、共同研究、研究奨励寄附金の三つの制度を整備しておりますけれども、残念ながら、都立高専では受託研究制度しか整備されておりません。高専も都立の大学と同じ高等教育機関として、民間と共通の課題を共同研究する共同研究制度、民間から寄附金を有効に受け入れられる研究奨励寄附金制度をこの際早急に整備し、社会貢献や学術研究に大いに役立てるべきであります。
 さて、石原知事、航空高専の学生が手づくりの人工衛星を国産H2Aロケットで打ち上げたいとの夢と希望とロマンを持っていることをご存じでしょうか。実は、夢の段階から、今や都のバックアップがあれば、何と都独自の防災観測の衛星を打ち上げる段階の高度のレベルにあるということを知っていただきたいと思います。
 この十月には、人工衛星など宇宙関係の計画、講座を持つ都立科学技術大学を含む十五の大学と航空高専の研究グループによる大学宇宙工学コンソーシアムがNPOの設立を申請、技術協力、人材育成、地域産業の活性化などの観点から、活動に立ち上がっております。
 さらに、同校では、平成五年から始まった衛星設計コンクールにも第一回から参画をし、東大、東工大などの大学と肩を並べるほどの常連校というから驚きであります。衛星の専門家から成る審査委員をもうならせる設計思想との高い評価を得ているのであります。
 こうした観点から伺います。学生を指導した教官の努力、学生たちのやる気に加え、何よりも宇宙への夢、希望、ロマンがあったればこそ、一流大学と堂々と伍していけたものと私は考えます。科学技術分野における同校に対する評価と関係する学術分野との連携を図るための具体策について伺います。
 さらに、学生たちが考えている打ち上げ衛星のミッション、つまり任務についてであります。
 一つは、首都圏防災活動のための支援衛星、二つには、離島に対する遠隔医療のための支援衛星、三つには、三宅島火山などの観測のための衛星といった、東京都独自で運用できる小型の衛星なのであります。打ち上げには、すき間衛星としてH2Aロケットの本体衛星の間に入れて打ち上げるという方式をとるのだそうであります。
 そこで、伺いますが、首都圏や東京都という地域需要に基づく人工衛星の打ち上げは、新たな技術開発を促し、新産業や雇用の創出に大きく私は貢献するものと思います。
 一方、教育、防災、医療などの行政や社会システムにも大きな影響を与えるものと考えます。だからこそ、こうした夢の実現という、私たちがどこかに忘れていたファイティングスピリットを喚起する研究成果を具体化していくには、さまざまな分野からの協力と支援が何よりも必要でありましょう。しかも、明年は江戸開府四百年の開幕に当たります。こうした佳節に合わせることも意義がありましょう。知事の率直な感想と、都としての支援姿勢をこの際お聞かせいただきたいと思います。
 次に、ものづくりを支える人材育成と評価制度について伺います。
 ものづくりは人づくり、人は資源などといわれております。我が国は無資源国であり、間違いなく人そのものが資源でありましょう。
 しかし、製造業に従事する平均年齢が五十歳以上という企業が今五〇%近くを占めており、この分野での高齢化は進む一方であります。先ほども指摘したごとく、宇宙技術のような高度な分野での熟練した人材を育成していくには、一朝一夕にしてできるものではありません。このままでは日本からものづくりを担う人材が失われかねませんし、一度失われた事例として、戦後の航空機産業にいみじくも象徴されているとおりであります。
 このような状況下で、都として、熟練した技能を有する人材の育成あるいは高度な熟練技能の継承にどう取り組んできたのか、具体的に伺います。
 次に、高学歴化が進む今日、学校教育の中で、職業とは何かを学ぶ機会が欠落をしていることも現実であります。その結果、社会的に技術、技能に対する理解や評価が不足していることも問題であります。社会的な理解や評価を高めるためには、私は、ドイツでのマイスター制度のような仕組みづくりが何よりも不可欠と考えます。
 そこで、都として、この際、独自の仮称マイスター制度を設けるなどし、技術者、技能者の社会的認知及び地位の向上を積極的に図るべきと考えます。所見を伺います。
 また、熟練技能者が社会的に評価されるためにも、資格や認証制度に加えて、その方の活動が地域の中で常に目に触れられることが大切ではないでしょうか。例えばものづくり教育の一端を担っていくなどの社会的活動に対し、都はこの際積極的に支援すべきと考えます。所見を伺います。
 最後に、小石川後楽園問題に関連し、伺います。
 小石川後楽園は、浜離宮と並び、特別史跡、特別名勝の二重の指定を受けている全国七カ所のうちの一つの都立公園であります。我が国でも有数の大名庭園であり、都の国際観光の拠点としても重要な場所でありましょう。都は、名園にふさわしい外周部の改修や築地塀などの整備をいたしております。
 このように環境を整備しておきながら、庭園を訪れる観光客誘致のための駐車場が残念ながらないのであります。幸いにして、庭園の真南の外堀通りに面した場所に国有地があります。庭園保存会の地元のメンバーからも、都に対し、国有地購入の運動が地道に続けられております。国も国有地を売却しようとしており、庭園の景観と環境の保全、千客万来の観光客誘致に対する地域振興の観点からも、格好の場所ではないかと思います。
 この際、東京都が購入し、活用すべきと考え、所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木貫太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 航空高専による人工衛星打ち上げのプロジェクトについて初めて聞きましたが、非常に心強い思いがいたします。こういうふうに無名に近い人たちの意欲と技術におけるポテンシャルというのは日本を支えてきたわけでありまして、NHKの人気番組の「プロジェクトX」なども、それをたどって、見るたびに非常に私たちは新しい感動と勇気を与えられますが、こういう若い人たちが、宇宙というスペースを対象に、自分たちの技術で新しい衛星を上げようと、もしそれが技術的に組み込まれるならば、都が、都の責任で、国のそういう専門の機関に取り次ぐことは決してやぶさかでございません。
 日本は、ご指摘の航空機と同じように、実はアメリカの圧力で人工衛星から疎外されてきました。一々情報をいまだにアメリカにもらっているていたらくでありますけれども、私は議員時代に二度ほど、仲間と一緒になって、日本独自の衛星を打ち上げようというと、貿易のインバランスを盾に、アメリカの衛星を買えと。じゃ、買おうかと予算を組むと、今度は事を構えて、結局売らないということで、いまだに日本は情報を収集するための有効な人工衛星を持ち得ていませんが、こういった思いがけない可能性があるならば、これは都でできることではございませんし、国に建言して、こういったものを積極的にピックアップしていく、国家のためにそういう積極的な姿勢をとれということを、都の責任で取り次ぐことはお約束して差し支えないと思います。
 なお、他の質問については教育長及び関係局長からご報告いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 都立高等専門学校に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、高等専門学校における民間企業からの資金の受け入れについてですが、都立高等専門学校では、これまで企業から提供されます研究資金を受け入れるために、受託研究の制度を整備し、対応してまいりました。
 ただ、近年、大学と産業界との産学連携が進む中で、都立高等専門学校におきましても、企業から、従来の受託研究に加えて、研究の奨励を目的とする寄附や共同研究の申し出がございます。都立高等専門学校が産学連携をさらに進めまして、地域産業の支援と教育研究の充実を図るために、都立の大学の制度も参考に、企業からの寄附金の受け入れや、共同研究が行えるよう、制度を早期に整備するよう検討してまいります。
 次に、都立航空工業専門学校の評価についてでございますが、航空高専では、工学の基礎科目の指導に重点を置きますとともに、専門性の高い実験、実習や卒業研究等の高等教育機関にふさわしい授業内容を展開し、工業技術に関する総合的判断力と創造力を養っております。
 お話しの、衛星設計コンテストやロボットコンテスト等における高い評価は、教員の深い専門性に裏づけられた指導力と、みずからの夢や希望を実現させたいという学生の旺盛な研究意欲が原動力となっているものと思われます。
 都教育委員会としましても、今後とも、高等専門学校が大学や研究機関との連携を図り、先端技術に関する教育内容が一層充実するよう、積極的に支援を行ってまいります。
   〔健康局長長尾至浩君登壇〕

○健康局長(長尾至浩君) 災害医療体制に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、NBC災害等の不測の事態に対する医療体制の整備と今後の取り組みについてでございますが、昨年の米国同時多発テロや炭疽菌テロの発生後、都は直ちに、警察、消防、都医師会や都立病院などの関係機関で構成します東京都災害医療運営連絡会を招集し、緊急連絡体制や原因物質特定のためのネットワークを構築いたしました。また、患者受け入れ医療機関や医薬品の確保を初め、都立病院を含む五病院に除染テントや防毒マスクを配備するなど、危機管理体制の充実を図りました。
 今後とも、健康危機管理マニュアルの見直し等を行い、不測の事態にも迅速に対応できるよう、一層の安全確保に努めてまいります。
 次に、トリアージの課題と今後の取り組みについてでございますが、都は平成八年に、都医師会や消防等の関係機関と協議の上、トリアージタッグの様式を統一した後、都独自のマニュアルを策定し、毎年の防災訓練や研修など、さまざまな機会を通じ、トリアージの普及に積極的に努めてまいりました。これまでの取り組みを通じ、医師を初めとする医療従事者のトリアージ技術の一層の向上と育成、さらには都民への普及啓発などが課題であると認識しております。
 今後、こうした課題を踏まえ、トリアージマニュアルの改定とあわせまして、より実践的な研修の実施などに努めてまいります。
 次に、広域的な災害医療への取り組みと今後の方向についてでございますが、医療協力につきましては、ワールドカップサッカー大会の開催を契機に、既に七都県市の災害医療担当部局間で連絡体制が確立されております。今後は、定期的な連絡会を開催する中で、災害医療における相互応援協定をより具体化したマニュアルの策定や患者搬送訓練の実施など、広域的かつ実践的な体制の整備に取り組んでまいります。
 また、ご指摘の七都県市首脳会議では、十五年一月に、七都県市合同による防災図上訓練を実施することも合意されており、その中で医療救護訓練も実施することとなっております。
   〔大学管理本部長鎌形満征君登壇〕

○大学管理本部長(鎌形満征君) 都立高専に関連いたしました二点のご質問にお答えいたします。
 まず、産学公連携の区部拠点としての都立高等専門学校の活用についてでございますが、都立の新大学において日野キャンパスに設置を予定しております産学公連携センターは、大学の研究成果などを地域に積極的に還元し、その活性化を図ることを使命とするものでございます。
 お話しの、区部に二校設置されております都立高専も、研究成果をもとに、技術相談や交流会などを通じて地域の企業を支援しているところから、大学と高専が密接に連携することによって、十分区部の産学公連携拠点になり得るものと考えております。
 現在、産学公連携センターの具体的な仕組みづくりを進めているところでありますので、区部拠点のあり方につきましては、高専とも協力して検討してまいります。
 次に、産業技術の大学院と都立高専とのかかわりについてでございますが、産業技術のための大学院の設置は、ものづくり現場において、企業と一体になって、教育研究面から地域産業の活性化に貢献していこうとする新しい試みでございまして、来年度、そのあり方などについての調査検討を予定しております。
 ご指摘の都立高専も、ものづくりのための教育研究に努めておりますので、そのかかわりにつきましては、今後、大学院構想を具体化する中で検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) ものづくりと人材育成に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、熟練した技能を有する人材の育成と高度な熟練技能の継承についてでございますが、都は、熟練技能の継承を図るため、昨年度、東京ものづくり名工塾を都立大田技術専門校で創設し、現役の熟練技能者を講師としまして、地域の若手技能者に基盤技術の高度なわざが継承されていく取り組みを開始いたしました。
 本年度は、大田技術専門校のほかに、立川技術専門校でも開設いたしまして、これまで二十名を、東京ものづくり若匠として認定いたしました。
 さらに、来年度以降、板橋技術専門校及び江戸川技術専門校にも拡大していくことを検討しております。
 次に、技能者の社会的認知及び地位の向上についてでございますが、我が国の製造業を強化するためには、高度な熟練技能が途切れることなく継承されるよう、それを担う人材が社会的に評価され、尊重される仕組みが重要でございます。
 そのため、都は、技能者の評価制度として、技能検定制度や優秀技能者の表彰などを実施しているところでありますが、今後、ご提案の趣旨も踏まえまして、表彰のあり方を見直してまいります。
 最後に、熟練技能者に対する支援についてでございますが、都としては、熟練技能者の方々を、地域の小中学校のものづくり教育や、工業高校生の技能競技大会の実技指導のために派遣するなど、社会的活躍の場を提供しているところでございます。
 また、技能継承推進者として登録いたしました熟練技能者や、優秀技能者知事賞受賞者の名簿を配布するなどいたしまして、広く区市町村や民間団体でも活用されるように努めております。
 今後とも、これらの取り組みをさらに充実いたしまして、熟練技能者の社会的な評価や技能尊重の機運が一層高まるように努めてまいります。
   〔財務局長田原和道君登壇〕

○財務局長(田原和道君) 小石川後楽園に隣接をいたします国有地についてのご質問でございます。
 この土地は、公園用地としての利用など、都としての事業計画がないことや、現在の財政の状況等から都が購入することは困難でございますが、ご指摘のとおり、来園者用の駐車場として適地でございますので、国に対し無償貸付を要望するとともに、仮に国が民間に売却をすることになった場合には、後楽園の環境保全に配慮したものとなるよう働きかけてまいりました。
 国は、現在のところ、この土地を売却予定地として位置づけておりますため、貸し付けは難しいという見解でございます。しかしながら、引き続き国に対して要請を続けてまいります。

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