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Tokyo Metropolitan Assembly

平成十四年東京都議会会議録第二号

   午後七時十七分開議

○議長(三田敏哉君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十二番曽根はじめ君。
   〔八十二番曽根はじめ君登壇〕

○八十二番(曽根はじめ君) 日本共産党を代表して質問します。
 かつて経験したことのない不況とリストラの嵐のもとで、都民の暮らしと営業は悪化の一途をたどっています。所得、消費、生産が連鎖的に落ち込み、物価下落が同時に進むという、いわゆるデフレスパイラルが経済を脅かし始めています。これは、戦後の日本も、世界の主要国でも経験したことのないことです。
 ところが、小泉内閣は、構造改革なくして成長なしという空疎なスローガンを繰り返し、乱暴な不良債権の処理や大企業のリストラ応援、医療制度の改悪など、経済と生活を破壊する路線に固執し、事態を打開する力も、将来を見通す力も示せないまま、国民に激しい痛みを押しつけております。
 このようなときにこそ東京都が、都民の暮らしと福祉を守るという地方自治体の基本的立場に立ち返り、全力を尽くすことが求められているのではないでしょうか。
 石原知事は、施政方針表明で、不況で苦しむ中小企業のために、二十三区での小規模な店舗や事業所用地の固定資産税の軽減措置や、国の対策の立ちおくれに対して、「地球温暖化阻止 東京作戦」の実施を宣言しましたが、これは当然の施策であります。
 しかしながら、石原知事は、今後の都政運営については、積極果敢な行動、連帯連携の強化、メッセージの発信という三つの基本的視点を示しましたが、肝心の不況に苦しむ都民の暮らしと営業、福祉をどう守るのかという視点は示されませんでした。
 知事、都政運営の基本というのであれば、何より都民の暮らしや営業、福祉を最優先に据えることが欠かせないのではありませんか、見解を伺います。
 都政運営の基本が示される来年度予算案が今定例会に提案されていますが、これも深刻な事態に直面している都民の暮らし、福祉をどう守るのかという立場で編成することが求められています。
 そこで、都政と来年度予算に課せられた緊急で、かつ切実な課題について絞って提案を行うものです。
 まず、小泉政権の医療改悪と重なって、痛みが広がっている福祉切り捨て問題についてです。
 石原知事が福祉改革を進めるといって真っ先に改革の名でやったことは、高齢者や障害者の命綱である医療費助成と福祉手当の切り捨てであり、シルバーパス全面有料化でした。シルバーパスの利用者は、全面有料化で七万五千人減りました。その上、昨年一万円の人は、ことしは一万五千円になります。住民税が均等割のみに軽減されている高齢者に対し無料だったものを、わずか二年で一万五千円に引き上げるのが、知事、改革だというのですか。
 老人医療費助成、マル福の対象から外される人は十万人を超え、医療費の負担に苦しんでいます。寝たきり高齢者への老人福祉手当はどうでしょうか。支給額は年額六十六万円から、今度は十六万五千円に大幅削減で、それも来年度限りで廃止となります。支給を受けている人も半減しています。
 我が党は、改めて実態調査を行いましたが、深刻な状況が浮き彫りとなりました。私が直接話を聞いた方は、夫婦とも八十歳を超えており、要介護度四と三で、娘さんが介護しています。二年前まではヘルパー派遣は無料でしたが、今は介護保険の利用料と保険料の負担もあり、月に夫婦で五万円を超える負担増になっています。その上、老人福祉手当は現在、夫婦で五万五千円の削減です。福祉手当がなくなってしまったら、暮らしは到底維持できなくなると訴えていました。このほかにも多数の方が、この二年間に経済的負担も介護の負担もふえたと回答しています。
 介護保険の保険料、利用料など負担増の一方、老人福祉手当は大幅削減で、サービスの利用を減らし、家族の負担がふえるという結果になっているのです。とうとう貯金が底をつき、この先どうすればいいのかという声もありました。こんなせつない話はないではありませんか。老人福祉手当は、来年度限りで廃止という方針は再検討すべきです。お答えください。
 介護保険が始まるからといって、老人福祉手当の廃止を決めて削減してきましたが、実は逆に必要性は高まっているのです。練馬区や江戸川区は、シルバー福祉手当、熟年者激励手当などの形で、都の老人福祉手当切り捨てを補う努力を続けています。また、豊島区が、要介護認定を受けた高齢者の入院費用の一部助成制度の創設を決めたように、新たな取り組みも始まっています。全国のほとんどの政令市では、シルバーパスの無料制度や老人医療費助成を、財政が厳しいもとでも継続しています。
 以上述べてきたように、一層深刻になる経済悪化と医療費、介護保険などの負担増と相まって、都の経済給付的福祉施策切り捨てによる都民の痛みが広がっていることを、知事はどう認識しているのですか。住民の命と健康、暮らしを守ることこそ、地方自治体の第一の責務であり、その原点に立ち返って、経済給付的事業の切り捨ては中止し、もとに戻すよう求めるものです。知事の見解を伺います。
 経済給付的事業にかえて在宅サービスなど新しい福祉施策を充実するとしていましたが、実態はどうでしょうか。二○○○年度決算によれば、予算の執行率は、知的障害者の重度生活寮は二○%、ガイドヘルパーに至っては一・五%など、実に三百十六億円もの福祉費を使い残しています。医療費助成や福祉手当はばっさり削り、新しくつけた予算は三百十六億円も使い残すという結果を、知事は予算執行の責任者としてどう考えているのか、認識を伺います。
 経済給付的事業と在宅サービス、施設サービスの両方をともに拡充していくことが、深刻な事態に追い込まれている都民の生活にとって不可欠であることを、改めて指摘をしておくものです。
 知事が医療改革だといって進めているのも、改革どころか、都立病院の大幅統廃合であります。地域医療から手を引いて、十六の都立病院を八病院に半減させようという都立病院改革会議の報告を、そのまま都のマスタープランとして具体化したばかりか、知事は施政方針で、スクラップ・アンド・ビルドは避けられないとなると述べました。二十六万人以上の署名が集まっている八王子、清瀬の小児病院や、世田谷の母子保健院の存続を求める都民と自治体の切実な願い、身近な安心のよりどころとなっている病院がなくなってしまうという住民の痛みを、知事は一体どう考えているのですか。
 中でも、差し迫っているのは、ことしの十二月末、廃止が打ち出された母子保健院であります。母子保健院は、夜間、休日も小児科医が救急対応できる世田谷区内で唯一の病院です。世田谷区の年間六千人の新生児のうち、千人が母子保健院で生まれています。母親が出産で入院するとき、上の子を併設している乳児院で預かるという、少子化対策にとって貴重なサービスも喜ばれています。
 年内廃止の理由として、同じ区内に国立成育医療センターが開設されることを挙げています。しかし、世田谷区内にはもともと国立小児病院と地域医療に取り組んでいた国立大蔵病院に小児科、産科があり、この二つが統合されて高度先進医療が中心の、しかもナショナルセンターという位置づけの成育医療センターになるのですから、そのことをもって母子保健院を廃止する理由にはなりません。
 我が党は、厚生労働省に出向き、責任ある肩書の方に直接確認しましたが、母子保健院がなくなるから、成育医療センターで受けましょうということは全く考えていませんとの回答でした。地域住民から、かけがえのない母子保健院をなくさないでという声が挙がっています。世田谷区は、マスタープラン発表からわずか一年で廃止というのは拙速過ぎると訴えています。
 昨年の第四回定例会で、マスタープランはゴールではなく、あくまで出発点であるとの答弁がありました。そうであるなら、母子保健院の年内廃止を前提とすることなく、地元自治体と区議会、住民の声に耳を傾けて誠実な協議を行うべきです。答弁を求めます。
 知事は所信表明で、患者中心の医療の実現に努めるといいましたが、八王子、清瀬でも、世田谷その他でも、都立病院の統廃合に反対の声を上げているのは、ほかならぬ患者とその家族であります。その声を無視して患者中心の医療の実現などあり得ないと考えますが、所見を伺います。
 都のマスタープランを一方的に押しつけて実施することはやめ、患者と住民、自治体との協議を尽くすことを改めて求めておきます。
 慢性肝炎と肝硬変、肝がんのヘパトームを難病指定から外し、ことし十月以降、難病医療費助成を打ち切ろうという計画も重大な問題です。その一方で、新たなウイルス肝炎対策として、入院のみ対象の助成制度を創設し、さらに当面三年間に限り、住民税非課税世帯に対しては通院、入院とも現行制度を適用するなどの経過措置を講じるとしています。
 しかし、現在、慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームの難病医療費助成を受けている患者三万一千人のうち、新たな入院助成の対象者はわずか四千人、経過措置の対象者は六千二百人にすぎません。
 慢性肝炎や肝硬変の治療は、インターフェロンの投与を初め、非常に重い医療費負担が長期にわたって継続します。それも、ほとんどは通院治療です。入院は、ごく初期の短い期間か、肝がんにまで進行した場合に限られており、通院医療費助成の廃止は、患者にとってまさに死活問題であります。
 にもかかわらず、なぜ入院助成に限定し、肝心の通院助成は廃止するのですか。お金のない人は治療が継続できないという深刻な事態を招くものであり、全く道理がないと考えますが、答弁を求めます。
 そもそもウイルス肝炎は、旧厚生省がWHO勧告をなおざりにして、注射針、注射器の使い回しを多年にわたり放置したことや、手術の際の輸血や血液製剤によって感染が広がったものであり、薬害エイズと同様、責任はずさんな衛生行政にあります。そのことが明らかになり、国は来年度からようやく検診事業などを開始します。
 そのときに、都が国に先駆けて取り組んできた通院医療費助成を廃止するのは、重大な逆行ではありませんか。それだけに、患者団体や肝炎の専門家、医療関係者から、都の計画に対し怒りの声が上がっています。
 現行の医療費助成の継続を求める患者団体の請願には、この都議会の過半数に及ぶ七十七名が紹介議員になっています。石原知事、この声にどうこたえるのですか。慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームに対する医療費助成は、通院、入院とも現行どおり存続することを求めるものであります。所見を伺います。
 来年度予算は、環境や少子化対策など前進も見られますが、全体として福祉や暮らしに冷たい予算であるとともに、都市再開発と幹線道路建設に偏った、都市再生に重点的に予算を配分するという逆立ちぶりも際立っています。この点で知事は、来年度予算案の編成の基本として、都財政の危機への対応を挙げました。
 しかし、具体的に示されたものは、職員定数の削減と都民生活にかかわる事業の廃止、休止、さらには公共料金の値上げなど、都民サービスを後退させ、痛みを都民に押しつけるものばかりです。今日の都財政を圧迫している元凶ともいうべき大型公共事業の見直しについては、言及がありませんでした。
 知事の肝いりで来年度予算編成で初めて取り入れられた重要施策では、約四千億円の事業費のうち、雇用と産業対策にはわずか一%の四十二億円、福祉・医療費は一二%の四百八十億円しか配分されないのに、幹線道路など知事が推し進めている都市再生のための予算には五七%、実に二千三百九十五億円もつぎ込まれることになっています。
 首都圏環状メガロポリス構想の具体化である都市再生は、都財政への影響だけでなく、地球環境や都市環境などさまざまな分野に影響を及ぼします。
 既にこの構想を具体化するための都市づくりビジョンがまとめられ、現在、土地利用計画の見直しがトップダウン方式で、区市町村を巻き込んで進められようとしています。その特徴は、既に先行している汐留、六本木などの開発に加え、新たに秋葉原、丸の内などの都心部での大規模再開発を規制緩和と民間主導で進めるもので、ある住都公団の開発にかかわっている建築家が、都市再生というより都市インフラの再生だと批判したように、超高層オフィスビル開発がそこらじゅうで進められることになります。
 また、都心居住といっても、実際は申しわけ程度にすぎません。汐留の再開発の基本フレームでは、六万人の就業人口に対して供給される住宅はわずか六千戸で、しかも庶民には届かない億ションばかりであります。
 一極集中が促進されることで、自動車の新たな集中、さらには周辺区や多摩地域の経済的衰退の心配も指摘されています。この点について、「都政新報」は社説で、財政危機克服が緊急の課題といわれる中で、新年度予算は将来に金のかかる事業を多く予算化、これで本当に財政危機を打開できるのだろうかと懸念を表明しています。
 都財政を立て直す上で、知事が施政方針表明で、臨海副都心開発について過大な見積もりを行ったことを認め、事業の全面的な見直しを行うことを初めて表明したことは極めて重要です。しかし、千三百億円の支出を削減することについては、収支の改善には役立つものの、抜本的解決にはほど遠いものであるといわざるを得ません。
 そこで、全面的な見直しを現実のものとするための幾つかの提案を行いたいと思います。
 まず、見直しに当たっては、企業都市づくりという開発目的の是非について、また、ゼネコンや大銀行のための開発計画であったことなど、問題の根本にさかのぼった総括が欠かせません。加えて、土地利用の見通しが立たない現実を踏まえ、七千億円といわれる負の遺産をどう解決していくのかも重要です。小手先の収支見通しで問題解決を先延ばしすることは許されません。
 開発が進められたとはいえ、残された未利用地は、都民にとって貴重な土地空間です。見直しに当たっては、都庁内部の検討にゆだねるのではなく、少なくとも、前回見直しのときのように都民参加で行うことは欠かせません。以上の点について、それぞれ知事の見解を伺うものです。
 東京都は投資的経費を抑制したといっていますが、来年度から特別会計に移管される住宅局分の経費を加えると、昨年と同水準、さらに来年度予算案と同時に発表された今年度最終補正予算案の投資的経費を加えると、今年度より八百億円も上積みされたことになります。
 問題は、こうした経費の財源として借金が充てられていることです。我が党の試算によれば、都財政の収支見通しが示した毎年三千五百億円の都債発行を続けるならば、三十年後に至っても六兆七千億円の借金が残されることになります。
 ところが、来年度予算で三千七百億円の都債が積み増しされることで、都債の残高は、住宅局分を除いても今日の都財政規模を大きく上回る七兆円に達し、特別会計も合わせると八兆円を超えてしまいます。この路線をとり続けるならば、いつまでたっても借金地獄から抜け出すことはできないではありませんか。知事、どのようにして借金地獄から抜け出すつもりなのか、具体的にお答えください。
 今日の財政状況を考えるならば、公共事業は国の補助事業を中心にし、都財政立て直しで許される範囲にとどめること、また、その内容も中小企業の役に立つ、都営住宅や介護基盤整備など、生活に密着した事業を中心にすることを提案するものですが、知事の見解を伺います。
 今指摘したように、大型公共事業に偏った都財政運営の転換は避けて通れません。同時に、税金の使い方を都民の暮らし、福祉中心に切りかえることで、切実な都民要望にこたえることも可能となります。その立場から、切実で緊急な課題について提案します。
 まず、差し迫って解決を迫られている雇用、とりわけ深刻な若者の雇用と生活支援についてです。
 東京の完全失業者は三十五万人を超えましたが、その中でも、とりわけ深刻なのが若者の就職問題です。昨年度の失業率は、年齢別に見ると十五歳から二十四歳までの失業率が実に八・五%、しかも男性は十人に一人が完全失業状態となっており、三十五歳から五十四歳までの二倍前後の高い水準となっています。しかも、これは完全失業率ですから、きちんとした就職ができない若者は、その二倍も三倍もいることが予想されます。
 高校の就職担当の先生方のレポートを読ませていただきましたが、昨年までは問題にならなかった成績上位の生徒も落ちてくる、求職者が求人数に満たないのに落とす企業がふえてきたと、深刻な事態が報告されています。厚生労働省の調査でも、高校新卒者の採用計画をやめる企業がふえているとされています。
 私はこの間、多くの若者と懇談する機会がありましたが、だれもがまじめに自分の進路を考え、自分の力で働いて生活を支えたいと願っていました。やがてこの日本、そして東京を支えることとなる有為の若者の多くが、勤労の機会を得ることなく過ごすことを見過ごしていてよいのでしょうか。
 私は、このような若者の働く場を保障せず、その意欲と能力を生かすことができないということは、社会の損失であり、国の将来をも揺るがしかねない重要な問題と考えますが、知事の見解を伺います。
 また、若年者の雇用が進まないことは、技術の継承や人材育成にとって世代間の断絶を招きかねません。大企業に若年者の雇用を行うよう申し入れるとともに、中小企業が計画的に若年者を雇用する場合に東京都が助成を行うことなど、実効性のある対策を求めるものですが、答弁を求めます。
 東京都を初め、自治体の役割も重要です。待機者の多い保育園や特別養護老人ホームなど、おくれている介護基盤整備、教職員定数改善の前倒し実施など、自治体として当然の仕事を行うだけでも大きな雇用効果を上げることができるではありませんか。
 東京都として、こうした立場から将来の都政を担う人材を計画的に採用することは欠かせないと思いますが、どうか。就職する前に失業者になっているという若者を救うために、失業手当の給付などの対策を国に求めること、都としても、若年失業者を対象とした職業訓練教育や自己啓発のための助成などを実施することも考えられますが、それぞれ答弁を求めます。
 国の緊急地域雇用特別基金事業が来年度も継続されることになり、期待も寄せられています。私は、労働者や失業者みずからがつくったNPOなどと懇談を行い、これまでの基金事業を実際に活用してきた経験や要望など、つぶさに伺いました。そこで出された要望は、NPOが委託事業に参加できるようにしてほしい、建設労働者や自営業者などが仕事がなく、いわゆる暇場状態で、失業状態にある場合も対象にしてほしいというもので、これは東京都がその気になればすぐに実現できるものです。この切実な要望に直ちにこたえるべきではありませんか。
 同時に、これらの個別の対策で根本的な解決には至りません。私どもは、繰り返し、野放しとなっている大企業の身勝手なリストラ、海外移転などを規制すること、日本だけにまかり通っているサービス残業をなくすことで、賃下げを伴わないワークシェアリングが実現でき、新たに九十万人の雇用を拡大できることを明らかにしてきました。
 石原知事が、都政の守備範囲を超えることがあっても速やかに行動するというのであれば、雇用を守るために迅速に行動することを要望しておきたいと思います。
 信用金庫、信用組合など、地域金融機関の相次ぐ破綻から中小企業を守る課題も切実です。小泉政権の不良債権早期一括処理の方針に基づいて、金融マニュアルの機械的押しつけが行われた結果、昨年だけで全国で五十三もの信金、信組が破綻、そのうち二割を東京が占める勢いです。
 地域経済を支えてきたこれらの信金、信組の破綻は、地域の中小企業に深刻な打撃と不安を与えています。それは、これまで手形割引など即時に対応できたものが、一週間から十日もかかったり、新たな融資が受けられなくなったりするなど、即刻、深刻な被害が及ぶからです。出資金も没収されます。
 さらに、管財人が入り、不良債権の区分によってRCC、すなわち整理回収機構送りともなれば、借入金の一括返済や担保物件の差し押さえなど、倒産、廃業に追い込まれるからです。
 私ども都議団は、この問題で、東京都信用金庫協会、東京都信用組合協会、中小企業団体中央会、東京商工会議所を訪ね、懇談を行いました。そこで共通して指摘されたのが、中小企業のための金融機関に対して、大銀行と同じ基準の検査マニュアルを適用することの理不尽さでありました。
 東京商工会議所では、会頭、副会頭会でこの問題が話題となり、また、二十三区のブロック会議でも対策が求められたそうです。いずれの団体でも、ダブルスタンダードの必要が訴えられました。
 政府は、口を開けばグローバルスタンダードといいますが、アメリカでは、農協規模の金融機関など全国に無数にあり、検査機関も、金融機関別に四つもあるとのことです。一律のマニュアルの適用で信金、信組をつぶすやり方は改められるべきと考えますが、知事の所見を求めます。これ以上の無用な信金、信組つぶしをやめさせるために、地域金融機関にふさわしいマニュアルをつくらせること、出資金については、受け皿の金融機関に引き継ぐことを強く国に要望する必要があります。
 また、不良債権扱いとなった中に、東京都の制度融資も多く含まれていることもわかりました。本来、制度融資は不良債権ではありません。この基準が守られていれば、破綻を免れた信金、信組もあったはずです。改善が急がれると思いますが、あわせて見解を伺います。
 介護予防の抜本的な強化も急がれています。健康で長生きしたいというのは多くの都民の願いであり、同時に医療費や介護費を適正に抑えるためにも大事な課題です。
 ところが、日本の介護予防の取り組みは、欧米諸国に比べ、余りにも貧弱だといわれています。しかし、衛生局の調査でも、リハビリなどの適切な対応がとられれば、多くの場合に寝たきりは防ぐことが可能であることが示されています。知事、リハビリを初めとした介護予防の抜本的強化で、要介護高齢者を半分に減らすぐらいの思い切った取り組みを推進することを提案するものですが、いかがでしょうか。
 その具体策の一つとして、いわゆるパワーリハビリの導入を提案するものです。
 これは、フィットネスマシンなどを使って筋力トレーニングを高齢者に対して行うもので、アメリカやドイツでは広く行われています。日本では、幾つかの自治体や病院、老人保健施設などの取り組みが始まったばかりですが、自立歩行できなかった高齢者が、テニスの壁打ちができるまで回復した事例も報告されています。
 川崎市は、ことしからモデル実施を開始し、市内全域に広げようとしています。都として、パワーリハビリの普及促進に直ちに取り組んでいただきたいと思いますが、答弁を求めます。
 重い介護保険の負担の軽減では、都内でも既に二十に及ぶ自治体が保険料の独自軽減に踏み出しています。自治体関係者からは、特に住民税非課税の第二段階を中心とした低所得者の負担軽減の必要性を指摘する声が共通して上がっています。
 保険者である基礎的自治体が苦労しているのに、国の対応は立ちおくれています。都として、国に先駆けて保険料減免を行う区市町村の支援制度に踏み出すことを提案するものです。また、国に対して新たな保険料減免措置を講じるよう求める必要があります。所見を伺います。
 都が実施した利用料の軽減制度は、所得制限を緩和し柔軟に対応することや、預貯金の制限をやめること、事業者負担の問題などを改善し、さらに拡充するよう求めておきます。
 地球温暖化の問題では、知事が「地球温暖化阻止 東京作戦」を発表し、積極的に取り組む姿勢を示したことは、アメリカが京都議定書の調印を拒み、小泉政権も企業への義務づけを先送りしようとしているときだけに重要であり、今後の取り組みを期待するものです。
 この問題では、一月に策定した環境基本計画で、温室効果ガス排出量を二〇一〇年までに一九九〇年度比で六%削減する目標が盛り込まれました。これは、かねてから我が党が提案してきたものであります。
 続いて今回の東京作戦では、オフィスなど大規模事業所の二酸化炭素の削減義務を導入するとしており、これは歓迎するものです。その上で、我が党は東京作戦を効果あるものにするために、東京都自身が何ができるのかについて幾つか提案を行います。
 まず、排出源についていえば、産業構造の変化を受け、製造業など産業部門が減り、家庭、業務など民生部門、運輸部門が急増していることを踏まえ、東京作戦の実施に当たっては、削減の義務づけをオフィスだけにとどめるのではなく、中小企業に配慮しつつ、運輸部門にも拡大することが必要であると思いますが、知事の見解を伺います。
 自動車に大きく依存した交通システムの転換も急がれています。ヨーロッパでは、工場で使う部品をLRTで運んでいる都市も生まれています。何でもすべからく自動車に頼るというやり方は、もう切りかえるときが来ているのではないでしょうか。
 私の地元北区では、新聞の印刷工場の建設計画が進められていますが、このままでは新聞用紙や印刷後の新聞を積んだトラックが一日四百台以上も一つの工場に集中してくることになります。幸い、この工場は隅田川に接しており、船を使った運搬も専門家により検討されています。都として、これをモデル事業として積極的に位置づけて、実現に努めるよう提案するものですが、答弁を求めます。
 民生部門の排出削減では、都民参加が何といっても欠かせません。埼玉県川口市では、ボランティア団体が市の協力も得てエコライフデーを呼びかけ、電気製品の電源を切るなどで二酸化炭素の削減量をはかるシートを配ったところ、一万人余りの参加があったそうです。
 そこで、東京都として毎週曜日を決めてエコライフデーを都民に呼びかけること、また、その日には庁用車の利用も控えるなど、都が大きな旗振りをすることなど、どうでしょうか、答弁を求めます。
 知事は、施政方針で、深刻な環境の危機のあらわれの一つとして緑の減少を挙げました。だとするならば、自然の宝庫の高尾山にトンネルをぶち抜く圏央道計画は、抜本的に見直してしかるべきと考えます。
 あわせて、知事がいうセンター・コア内での都市公園の拡充や、保全緑地の公有化資金の拡大などが極めて重要な役割を果たすと思いますが、どうか。また、自然公園内の保全地域の指定の拡大、生産緑地の指定拡大など、都市部やその周辺での緑の再生に全力を尽くすことが必要と考えますが、答弁を求めます。
 次に、大きな流れになろうとしている三十人学級についてです。
 国の差別と選別、受験競争一本やりの教育の押しつけのもとで、東京の教育は不登校が過去最高を記録し、学級崩壊やいじめも深刻さを増すばかりで、一向に解決の兆しが見えません。
 こうしたもとで、行き届いた教育、とりわけ三十人学級を求める都民の声と運動は日に日に広がり、この都議会にも請願が百七十万人も寄せられました。それは、現在の四十人学級では多様化した子どもたちに対応できず、すべての子どもたちに目を行き届かせることは困難で、荒れや学級崩壊などを防ぐことは難しいからです。
 私は先日、いち早く三十人学級への移行を決断した福島県を訪ね、詳しく話を伺ってきました。お会いした三十人学級を求める請願運動に取り組んだ方の話では、福島ではダムや空港や港湾開発にさんざんお金をかけてきたこと、そのため自治体は疲弊し、地域は衰退の一途をたどっていること、そうした中から、今後はせめて未来を託す子どもたちにこそよりよい教育をという世論が、県民全体に広がったとのことでした。そして、ついに知事も、ことし年頭の所信表明で、春から小、中一年で、来年は小二でも三十人学級を実施する決断をしたのです。
 福島だけでなく、昨年来、山形、長野、埼玉と、形はさまざまですが、三十人学級に向けた取り組みや決意が発表され、既に少人数学級を一部始めていた新潟、秋田、広島などを含め、急速に全国に広がっています。
 これらの自治体は、東京都と比べて決して裕福ではなく、むしろ非常に厳しい財政状況に置かれています。であっても、父母や子どもたちの願いにこたえようとする姿勢こそ、自治体のあるべき姿を示していると思います。
 ところが、東京都教育委員会は、習熟度別少人数学習で事足りるとして、いまだに三十人学級にこたえようとしていません。しかし、先行した各県は、いずれも議論の末に、教科別の少人数授業だけでは不登校や学級崩壊問題は解決しないこと、学習と生活の場は一致していることが望ましいという結論に行き着いたのです。
 知事に伺いますが、このように全国で、県知事の決断によって三十人学級が広がっていることについてどう受けとめていますか、所見を伺います。
 東京都内でも、三十人学級を国や都に求めるとともに、みずから踏み出そうという動きが起きてきています。町田市では、市独自に小学校一、二年生の三十人学級の早期実現をとの請願が、市議会で全会一致採択されました。
 知事、東京より数段財政の厳しい県で実施に踏み切っているわけですから、東京都にできないことはありません。子どもたちに、少しでもゆとりを持って勉強できる環境をつくってやろうではありませんか。知事の決断を求めるものです。
 四月からの学校週五日制完全実施が目前に迫っています。我が党は第四回定例会で、都として、地域や学校や区市町村のさまざまな取り組みに本格的な支援策をとるよう求めましたが、都の来年度予算案には、都としての五日制に対応する予算は見当たりません。
 しかし、各区市町村では五日制に対応する事業の具体化に力を入れており、東京都とは対照的です。
 例えば、北区では、週末に子どもたちが地域に根づいた体験をできるようにと、子どもの居場所づくりをねらいとしたボランティア中心の地域寺子屋という事業を始め、博物館見学や体験学習を計画しています。また、科学離れに対応するサイエンススクールとして、大学の実験室訪問やロボット製作講座などを検討しています。
 文部省も、モデル事業ですが、基礎的自治体での独自の取り組みを支援する子ども放課後・週末活動等支援事業を打ち出しました。今からでも遅くはありません。都として国の支援策に抜本的な上乗せを行うなど、区市町村の取り組みを支援するよう、予算措置をとることを求めるものです。答弁を求めます。
 今定例会に、議員提案で、幹部職員に加え、一般職員の給与カットを二年間にわたり延長するための条例改正案が提案されようとしています。既に我が党が第四回定例会で指摘したように、一般職員の給与カットを今年度末で打ち切ることについては、既に労使間で合意されているのであります。
 そもそも地方自治体の職員の給与は、争議権など労働基本権が制約されているもとで、民間の給与水準を反映する仕組みである第三者機関としての人事委員会の勧告に基づき、労使間での合意によって決定されるというルールが確立しているものです。給与カットの押しつけが道理がないことは、自民、公明、保守の小泉連立政権のもとでも、国会議員の歳費の削減は行われたものの、国家公務員の給与カットについては、経済に与える影響が大きいとして見送られた、この一事を見ても明らかであります。
 また、東京都は、都税収入の落ち込みを給与カットの新たな根拠にしようとしていますが、今日の財政の困難をもたらしたのは、都財政難にもかかわらず、開発に税金をつぎ込み、浪費とむだを温存してきた東京都の行財政運営にあることは明白です。そのしわ寄せを職員に押しつけることは許されないことをも申し述べておくものです。
 私は、福祉・医療、雇用、中小企業、生活支援、環境、教育などについて、石原知事が都民の切なる願いにこたえるよう求めてきました。確かに、都税収入が大きく減少するなど、都財政をめぐる状況には厳しいものがあります。
 しかし、都民の暮らしと福祉を守ることが自治体に課せられた責務である以上、この実現に全力を挙げることに最優先に取り組まなければなりません。そして、たとえ厳しい財政であっても、大型開発に大きく偏った税金の使い方を切りかえれば、都民の願いにこたえることは可能であることを申し述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
 都政運営の基本についてでありますが、指摘されるまでもなく、都民が不況に苦しんでいることは、よくよく認識しております。この東京を見ると、雇用不安や産業競争力の低下、治安の悪化、環境の危機など、我が国が構造的に抱える危機の本質が先鋭的にあらわれていると思います。
 こうした問題の背景には、社会に蔓延するその場限りの状況主義や先送りの風土に加え、危機感の不足した国の対応のおくれがあることはもう自明であります。でありますがゆえに、都もいろいろ独自の施策を展開し、首都圏の再生と都民生活の不安の解消に積極的に取り組んでいきたいと思います。
 次いで、福祉施策についてでありますが、今日、日本はさまざまな問題に直面しておりますが、これは、戦後半世紀以上蓄積されてきた矛盾が噴き出した結果だと思います。この状況は、小手先のびほう策では克服できないのでありまして、抜本的な改革こそが唯一の道であると認識しております。
 都の福祉改革は、こうした観点に立った取り組みでありまして、これこそが真の意味での都民福祉の充実に資するものと思っております。東京から全国に向けて新しい福祉のありさまを発信するものであり、ぜひぜひなし遂げたいと思います。共産党にも心からのご理解を賜りたいと思います。
 次いで、福祉施策の見直しについてでありますが、都は、ただいま述べた考えに立ちまして福祉改革に取り組んでおりまして、今回、改革をさらに新たな段階に推し進めるため、福祉改革STEP2を策定いたしました。一連の福祉施策の見直しは、福祉改革の前提をなすものとして実施し、既に都民の理解を得ているものと思います。見直しをもとに戻す考えは全くありません。
 福祉予算についてでありますが、予算は、知事である私が議会に提案し、お認めいただいた、東京都としての政策方針そのものであります。お尋ねの十二年度の福祉予算についていえば、社会経済状況の変化に対応した福祉見直しの実施、それによる財源を活用した新たな施策の積極的展開、この二つを一体として福祉改革を進める、これが議会のご審議を経て定められた都の方針であります。
 私は、予算の執行の責任者として、この方針の目指す目的を十分に果たし得たと考えております。新規の試み、新規の予算の執行というのは、いろいろ試行錯誤も伴いますから、それが例えば使い残しても、それは別に残した予算が消えるわけではありません。それをもって非難の対象とするのは、いささか日本の旧弊の単年度会計方式に毒された発想でありまして、ちょっと筋違いな非難ではないかと思います。
 それから、都立病院改革に対する都民、自治体の要望についてでありますが、都立病院改革マスタープランの策定に当たっては、地元自治体や都民からさまざまな意見や要望をいただいておりまして、都立病院に対する期待の大きさを改めて認識したところであります。
 改革に当たりましては、地元自治体や地域の医療機関との役割分担も踏まえた上で、都立病院が担うべき全東京的な役割を明確にし、全都を視野に入れた医療提供体制を構築することが、都民に対する総体としての医療サービスの向上につながり、都民全体の理解が得られるものと考えております。
 次いで、慢性肝炎などの医療費助成についてでありますが、慢性肝炎等は、最近の医学的知見によると、希少で原因不明、治療法が未確立という難病の定義には当てはまらず、医療費助成の対象疾病としてはなじまないために、これを再構築するものであります。新たな総合的ウイルス肝炎対策は、予防から早期発見、早期治療に至る一貫した推進体制を構築するものであります。
 臨海副都心開発についてでありますが、臨海副都心の開発の目的は、業務、商業、居住、文化、レクリエーションなど多様な機能を備えた理想的な都市の形成であります。この基本目的は、開発当初から今日に至るまで、いささかも変わったものではございません。
 域内都市基盤整備がおおむね終了したこの地域は、新しいまちの形成が着実に進み、多くの都民から親しまれております。都民だけではなしに、他県からの外来者も非常に多いわけでありまして、さらに、ことしじゅうに、りんかい線が新木場から分岐して大崎に達する一種の環状をなすわけでありまして、これは、この地域のこれからの発展に非常に有力な素因となると思っております。
 今後とも、東京の活力を支える有力な拠点として臨海副都心の開発を進めてまいります。
 公共事業についてでありますが、これについて共産党の考え方はいかにも陳腐だという気がしますけれども、東京におけるさまざまな都市基盤の整備は、次世代に引き継ぐ財産となるものでありまして、産業の活性化や国際競争力の向上はもちろんのこと、生活基盤の質を高める上でも極めて重要であります。したがって、十四年度予算においても、限りのある財源を都市再生など投資効果の高い事業に重点的に振り向けたところでありまして、今後とも、その着実な推進を図ってまいります。
 なお、ご指摘をまつまでもなく、十四年度予算では、厳しい財政状況の中で国庫支出金の確保に積極的に取り組み、国庫補助事業については着実に伸ばす一方で、単独事業についても引き続き抑制を図ってまいりたいと思っております。
 いずれにしろ、公共事業を通じてつくるべきものはつくらなくてはなりません。その選択の基盤となる文明工学の視点は、共産党と私はいささか異なるようではございますけれども、別にここで一々非をとらえて申しませんが、少しは現代的な発想をお持ちになったらいかがかと思います。ただのセンチメントでは行政はとても成り立ちません。(発言する者あり)自民党、静かにしてください。(笑声)
 次いで、若者の就業問題についてでありますが、若者の多くは、ほとんどの若者が自分の努力で未来を切り開き、意欲を持って仕事につきたいと思っており、また、社会に貢献したいと思っていると思います。その若者たちが仕事につけないということは、本人の人生にとっても大変不幸なことでありますし、同時に、社会、国家にとっても大きな損失であると思います。
 このような若者に対し、安定した就労の確保が図られるように、就業相談や技能の習得など総合的な支援策の充実に今後も支援し、努めていきたいと思っております。
 次いで、金融検査マニュアルの一律適用についてでありますが、現在行われている金融検査等を通じた日本の金融システムの改善、再構築については、これは本来、国の施策として行われるべきものであります。平成十二年四月から、信用組合についても、他の銀行などと同様に、国の金融庁ですか、これが検査、監督を実施しております。そういうことになりました。
 このことについては、都が意見をいう立場にありませんが、しかし、昨年、監督官庁がかわりまして、東京都が今までハンドルしておりました信用組合について、一律の検査が行われ、その結果について発表されるときには、東京は東京の地域としてのいろいろな事情があり、あうんの呼吸もあることであって、これは一概にそう乱暴な発表は慎むべきである、配慮しながら、そういうデータというものを発表し、金融庁の見解を述べるべきだということは強く申し入れたつもりであります。
 次いで、「地球温暖化阻止 東京作戦」についてでありますが、我が国の温暖化対策の立ちおくれは、どう考えても甚だしく、もはや座視のできる状況ではございません。
 今回、都が提案した五つの政策は、京都議定書の目標達成を真剣に考えるならば、本来、国がみずから立案し、実施すべき当然の政策であると思います。我が国においても、今後、特に運輸、業務、家庭部門での対策の強化が必要でありまして、今回の提案は、もとよりこれらの各部門を視野に入れたものであります。
 都は、活発な議論を広げながら国民的なレベルで機運を盛り上げ、国に提案の実現を迫るとともに、東京でも独自の行動を展開していきたいと思っております。
 次いで、圏央道についてでありますが、圏央道の都市計画決定に際しましては、環境アセスメントを適正に実施してきておりまして、高尾山区間についても、自然環境の保全に十分配慮した計画となっております。青梅インターチェンジから日の出インターチェンジに至るまで、この三月に開通する予定でありまして、残る都内区間についても、平成十四年度以降、順次開通を目指しております。圏央道計画を見直す考えは一向にございません。
 ちなみに、スイスの有名な、美しい、しかし恐ろしい山のアイガーにも、ただ観光のためにも、あの山の土手っ腹をくり抜いた、主にトンネルを使った登山鉄道が走っております。念のために一度ご視察になったらいかがかと思います。
 次いで、全国での三十人学級の実施状況についてでありますが、他の道府県の中に、学級編制の弾力化を実施し、もしくは検討している団体があることは十分承知しております。教育水準の維持向上を図るためには、それぞれの自治体が、地域の実態に応じて、生徒の数も含めまして、さまざまな努力、工夫を行うことが重要であると思います。
 都における三十人学級の実施についてでありますが、学級を児童生徒が社会性を養うための生活集団の場ととらえ、その教育効果を考えた場合には、一定の規模が当然必要であります。このために学級編制基準は引き続き四十人とし、学習面で教科等の特性に応じた多様な学習集団が編成できるよう少人数指導の充実に努めるという都教育委員会の方針は、妥当なものと考えている。
 ただ、今日の教育の荒廃、停滞というものを、単に学級の生徒の数に直接つなげて、それをもってすべてとするのは、非常に乱暴な、短絡的ないい分であると思います。今日の教育の荒廃はいろんな素因がありますが、あなた方共産党が指導している教師たちの素質、この怠慢さ、そういったものに多く起因しているということを私たちは忘れてならないと思います。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 学校週五日制に対応しました区市町村への支援についてですが、子どもが自由に使える時間の中でさまざまな社会体験、自然体験等の体験活動を活発にできるよう、体制を整えていくことは必要なことでございます。
 そのため、都教育委員会は、平成十二年十一月に、学校外の子どもの活動を支援する完全学校週五日制対応行動プランを策定しますとともに、区市町村等と協働して、とうきょう親子ふれあいキャンペーン事業や、障害のある児童生徒の地域活動のための指導者を養成するモデル講座などを実施してきているところでございます。
 今後とも、学校週五日制対応につきましては、さまざまな事業を工夫、活用しながら区市町村への支援に努めてまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、福祉施策の見直しについてでありますが、東京都は、平成十二年度から、高齢者や障害者などが地域の中で必要なサービスを選択し、自立した生活を送ることができるよう、真に都民ニーズにこたえられる福祉の実現を目指して、福祉改革に取り組んでおります。現在は、福祉改革STEP2を策定し、改革をさらに新しい段階に推し進めている状況にございます。
 お話の老人福祉手当を含む一連の福祉施策の見直しは、こうした福祉改革の前提をなすものとして、昨年度、制度間の整合性などの観点に立って実施したものであり、見直しをもとに戻すことは考えておりません。
 次に、介護予防についてでありますが、介護予防に向けた取り組みは重要な課題であり、既に国は、要介護高齢者への介護サービスを中心とする介護保険制度と一体で、寝たきりなどに陥ることを予防する介護予防・生活支援事業を実施いたしております。
 都は、これまでも、この事業を活用して、区市町村が実施する転倒予防教室など種々の事業を支援しており、引き続き支援に努めてまいります。
 次に、パワーリハビリについてでありますが、いわゆるパワーリハビリとは、要介護高齢者等を対象にして、トレーニング機器を使用して行うリハビリテーションのことでありますが、現行制度上、介護保険サービスや介護予防・生活支援事業の一環として実施することが可能であります。
 都としては、こうした事業を活用しながら、パワーリハビリに取り組む区市町村を支援してまいります。
 最後に、介護保険料の減免についてでありますが、介護保険制度は、国民の共同連帯を理念とするものであり、健全な運営のためには、すべての被保険者が保険料を公平に負担することが不可欠であると考えております。既に本制度では、低所得者への配慮として、所得に応じた保険料の設定方式などが講じられております。
 したがって、都としては、ご提案のような独自の取り組みや国への要望は考えておりません。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立母子保健院についてでありますが、都立母子保健院は、施設の狭隘化、老朽化が著しい上に、他の診療科との連携が難しいなど、都立病院の新たな役割にふさわしい高度かつ専門的な医療を提供していくことがもはや困難であることから、国立成育医療センターの開設にあわせて廃止することとしたものであります。
 都立病院改革マスタープランの策定に当たりましては、地元世田谷区を初め関係機関と協議を重ね、その要望も踏まえた上で、地域医療の確保について、その考え方を盛り込んだところであります。
 今後とも、区との役割分担を踏まえながら、必要に応じて協議を行ってまいります。
 次に、都立病院改革による患者中心の医療についてでありますが、都立病院の再編整備を実現し、医療機能を集約することにより、専門性が高く、より質の高い医療を効果的、効率的に提供するとともに、都立病院間を初め、他の医療機関とのネットワークを強化することにより、患者のさまざまな疾患に対して、最も適切な医療を提供できる体制を整備することが可能となります。こうした都立病院改革を早期に実現することこそが、都民の求める患者中心の医療を具体化することにつながるものと確信しております。
 次に、慢性肝炎等の医療費助成についてでありますが、これは現行の難病としての施策を再構築したものであり、予防から早期発見、早期治療に至る総合的ウイルス肝炎対策として、より効果的な制度へと転換を図ることとしております。
 新たな対策では、国の老人保健法に基づく基本健康診査における肝炎ウイルス検診に加えて、さらに、都として精密検診や入院医療費についても助成を行うこととしたものであります。
   〔港湾局長川崎裕康君登壇〕

○港湾局長(川崎裕康君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海副都心の土地処分についてでございますが、これまでも積極的に企業誘致活動を展開してきましたが、昨年、民間ニーズに的確に対応するため、土地売却方式の導入や処分にかかわる規制の緩和を実施した結果、このほど新たな進出事業者が決定するなど、大変厳しい経済環境下においても処分を着実に進めてきております。
 今後、りんかい線の大崎延伸や広域幹線道路の整備を契機に、土地処分がさらに進むものと考えております。
 次に、臨海副都心開発の見直しについてでございますが、現在、この開発は、都民も参加した懇談会や都議会での活発な議論を経て、総合的な見直しを行い策定しました、まちづくり推進計画に基づいて行われてきており、着実に成果を上げてきておるところでございます。
 今回の事業見直しは、財政基盤強化を目的として、このまちづくり推進計画に沿って行っているもので、改めて都民参加による見直しを行う考えはございません。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) 都債残高についてのお尋ねでございますが、都債の償還額は、平成四年度以降に大量に発行した都債の償還時期が到来することにより、平成十四年度から急激に増加し、その後も当分高い水準が続くものと見込まれております。
 このため、財政構造改革の一環として、新たな都債の発行を極力抑制し、将来の財政負担の軽減を図っているところでありまして、この結果、都債の発行額がピークであった平成五年度に一五・一%であった都債依存度は、十四年度予算におきましては六・三%まで下がってきております。こうした抑制基調を継続していくことにより、将来的には、都債残高は現在よりも低下し、償還額も平準化されて、健全な財政運営につながっていくものと考えております。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 雇用及び金融に関する五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、若年者の雇用対策についてでありますが、企業への指導や支援などを通じた雇用の確保は、基本的には国の責務でございます。しかし、働く意欲や能力がありながら仕事につけない若年者が増加しており、国の全国一律的な対応では不十分であります。
 このため、都としては、「TOKYOはたらくネット」の活用や経済団体への要請を通じて就業機会の確保に努めるとともに、企業と若年者が一堂に会する合同就職説明会を新たに開催するなど、若年者が地域で円滑に就職できるよう支援しているところでございます。
 なお、都としては、若年者を雇用する企業に助成を行う考えはございません。
 次に、若年失業者への職業訓練などについてでございますが、都としては、若年者が必要な知識や技能を習得し、希望する仕事に円滑につけるよう、都立技術専門校や民間教育訓練機関への委託などを通じた職業訓練の充実に努めているところです。また、いわゆるフリーター等を対象とした雇用支援セミナーや、高校生や大学生を対象とした就職ガイドセミナーを開催しており、その自己啓発や職業意識の醸成を支援しているところです。
 なお、お話の若年者への失業手当の給付については、かえって就業意欲をそぐおそれもあり、適切でないと考えております。
 次に、緊急地域雇用創出特別基金事業についてでございますが、国の事業実施要領では、NPOへの事業委託も可能であり、建設労働者や自営業者等においても、失業状態であることが証明できれば雇用対象に含まれます。
 次に、金融機関の検査監督及び出資金の取り扱いについてでございますが、金融検査マニュアルは、国の政策として作成されるものであると理解しております。
 なお、出資者は出資金の範囲で責任を負うことが原則であり、出資金が受け皿の金融機関に引き継がれ、保護されることはないと聞いております。
 最後に、制度融資に係る債権分類についてでありますが、金融検査の基準及びその適用については、国の事務であり、都は関知しておりません。
 なお、基準では、制度融資はすべて保証協会の保証つき融資であり、不良債権として扱わないと聞いております。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 雇用対策の面からも、将来の都政を担う人材の計画的な採用をすべきではないかとのお尋ねでございますけれども、新規職員の採用をできる限り計画的に行うことは望ましいことでございますけれども、現在、財政再建を達成するための内部努力の大きな柱といたしまして、職員定数の削減に取り組んでいることから、新規採用につきましても、引き続き厳しい抑制が必要であると考えております。
 なお、東京都では、都民に対し、よりよいサービスを効率的に提供していくため、民間委託などの活用も進めております。これらの方法によりましても、社会全体における雇用の創出効果が図られるものと考えております。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、北区の新聞印刷工場におけます船による輸送についてでございますが、事業者から提出されました環境影響評価書によりますと、外部に搬出する残土及び建設資材の一部の運搬については、工事用車両を削減するため、船を利用することとなっております。
 また、新聞輸送につきましては、船の利用は時間がかかり、速報性が失われるので、当面、極めて困難であるが、今後も可能性を探りながら研究を続けていくと聞いております。
 次に、家庭部門におけます地球温暖化対策についてでございますが、東京においては、二酸化炭素排出量の二割を家庭部門が占めており、この部門に対する取り組みは重要でございます。
 家庭部門からの排出削減のためには、ライフスタイルの見直しとともに、省エネルギー製品の普及を進めるための仕組みづくりが必要でございます。
 都は、こうした観点も含めまして、二酸化炭素の排出抑制に向けた国民的な機運の醸成と新たな政策の実現を目指し、「地球温暖化阻止 東京作戦」を開始したものであり、積極的にこの作戦を展開してまいります。
 最後に、緑の確保についてでございますが、東京を自然と共生し、持続可能な都市としていくためには、多摩の森林を再生してまいりますとともに、都市部やその周辺において、農地や残された樹林地などの貴重な緑を保全し、地上部だけでなく、屋上などにおいても積極的に緑を確保していくことが重要でございます。
 このため、都は、都市公園や海上公園の整備、屋上緑化などを推進するほか、身近な緑の施策を担う区市町村との連携を図り、都民の協力を得て、東京の緑の確保に努めてまいります。

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