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Tokyo Metropolitan Assembly

平成十二年東京都議会会議録第十三号

○議長(渋谷守生君) 六十六番吉住弘君。
   〔六十六番吉住弘君登壇〕

○六十六番(吉住弘君) 最初に、大江戸線全線開通に伴う地域の振興についてお尋ねいたします。
 大江戸線は、昭和四十七年に、都市交通審議会、現在の運輸政策審議会から、東京圏高速鉄道整備計画として答申された路線の中の一路線であり、以来三十年近くを経て、このたび、十二月十二日に全線が開通する運びとなりました。
 沿線の住民にとっては、待ちに待った全線開通であり、深い感慨を覚えるとともに、この間の関係者のご努力に対しまして高く敬意を表するものであります。
 さて、大江戸線は、新宿副都心を起点として東京を一巡する、地下鉄としては初めての環状部と、練馬、光が丘方面へ延びる放射部から成る、極めてユニークな路線であり、都内を走る他の鉄道ときめ細かく連絡し、新しい交通ネットワークの形成、交通不便地域の解消に役立つとともに、沿線地域の活性化に大いに貢献するものと期待されています。
 とりわけ、長引く不況に苦しむ沿線地域の商店街は、大江戸線開通に伴う経済効果、集客力のアップに大いに期待を寄せているものであり、開通を機に、記念イベントや特別セールを計画している商店街も多くあると聞いております。
 台東区におきましては、雷門地下駐車場及び上野駅東西連絡路の完成、さらには、大江戸線開通による区内三駅、蔵前、新御徒町、上野御徒町の開業と、二十世紀最後の年にふさわしい、待望の施設開設が相次いでおり、これらを記念して、台東区商店街振興組合連合会が、大江戸台東まつりと称した一大イベントを計画いたしております。
 また、区内三駅に近い個々の商店街におきましても、それぞれ、新御徒町駅近くの佐竹商店街振興組合による、ふくろうまつりや、アメ横表通り商店街振興組合による大江戸線開通記念イベントなどが企画されており、大江戸線開通を機に、商店街振興の機運が大いに盛り上がっています。
 そこで、こうした地域の商店街で行われる大江戸線開通記念イベントに対し、都としても、地元区や商店街と連携したPR等、積極的な支援を行うべきと考えますが、ご所見を伺います。
 また、大江戸線の開業を契機に、沿線地域において、地元商店街の活性化など、新しい駅を核としたまちづくりを進めていくことが必要であると考えます。開業時のイベントだけでなく、駅を地域の活性化の拠点の一つとして位置づけ、積極的にコンコースなどを地域に開放し、駅としても地元イベントへの参加、協力を進めていくべきだと考えます。ご所見を伺います。
 次に、本年四月に山谷対策検討委員会でまとめた報告書「山谷対策の今後のあり方」に関連して、山谷地区についての認識と、これからの展望についてお尋ねいたします。
 簡易宿泊所が密集する山谷地域の労働者は、いざなぎ景気、オイルショック、バブル期、そして平成不況と、景気の好不況の影響をまともに受け、雇用の調節弁の役割を担わされてきました。そして現在の山谷は、深刻な就職難とともに日雇い労働者の高齢化が進行しております。
 当分回復する見込みのない不況、そして建設現場の機械化など、山谷の労働者を取り巻く状況は余りにも厳しいものがあります。社会経済状況の変化や山谷の町自体の変化を踏まえ、このたび、山谷対策の今後のあり方を改めて検討したことは、意義深いことと評価いたします。
 さて、報告書を読みまして、地元選出の議員として、幾つかの所感を述べさせていただきます。
 まず第一は、山谷労働者の高齢化と、それに伴う就労、福祉対策についてであります。
 報告書の中では、山谷労働者の高齢化の進行を随所で触れていますが、その就労の確保策として、特別就労対策の維持向上や、高齢者向けの新たな職種を開拓する必要性などを提案しています。もちろん、このような対策は必要であります。しかしながら、その先については、大都市問題でありながら、地元区に過重な負担がかかるとの不安を抱かざるを得ません。その先とは、稼働能力のなくなった、つまり福祉に全面的に依存せざるを得なくなった山谷労働者の多数の出現と、それに伴う財源問題であります。
 報告書では、地方分権をもとに都と区の新たな役割が強調されています。確かに、住民に対する直接的サービスは基礎的自治体が担当し、広域的役割や専門的役割は広域自治体が担うことになっています。一般的には、基礎的自治体にとって自治権拡充は望ましいことでありますが、全国各地から山谷に集まり、そして日本の高度成長を支えてきた労働者の老後を、直接的サービスは基礎的自治体が担うとの理由だけで地元区が全面的に担っていくには、負担が余りにも重過ぎます。
 台東区の生活保護率は、平成十二年四月現在で三六・一パーミル、都の平均は一一・〇パーミル、全国の平均は約七・七パーミルと、都、国と比較して異常な高率となっています。今、山谷の簡易宿泊所では、実に二千五百人にも上る多くの人が保護を受けております。これらの人たちは、故郷や肉親と疎遠になりながら、高齢単身で孤独な生活を送っているのが現状です。このような形の居宅保護は、今後ますますふえ続ける傾向にあります。
 東京の、いや、日本の大都市問題を抱える山谷地区の、とりわけ高齢化した労働者の処遇を台東区と荒川区だけの問題にしてよいものでしょうか。あいりん地区の大阪市、寿地区の横浜市、そして川崎市、名古屋市など、山谷地区と同様の大都市問題を抱える各市はいずれも政令指定都市であり、財政規模も権能も一特別区とは比較にならぬ堅固な基盤を持っております。
 報告書では、保健、福祉施策のより一層の充実を地元区に求めておりますが、山谷労働者の老後の真の安寧を考えるならば、国や都による実効ある財政支援が不可欠であると思いますが、このことについてどのようにお考えでしょうか。
 山谷地区は、簡易宿泊所と一般住宅が混在しながら一つの町を形成しているのが特徴であります。つまり、労働者の福祉の向上のみならず、そこに住む地域住民や地域の環境にも十分に意を注いで施策を行うことが必要です。
 しかしながら、報告書を拝見しますと、本来の山谷対策としての問題は、高年齢化し、失業が常態となった単身男性の日雇い労働者の問題に絞られつつあるような記述があります。私は、山谷対策が充実するためには、労働者の問題だけでなく、まちづくりや環境改善などを含めた課題の取り組みが重要だと思うが、どのようにお考えでしょうか。
 次に、元気を出せ商店街事業の継続実施について、先ほどの共産党田中議員に対する労働経済局長の答弁内容は、我が自民党として到底納得できないので、一言意見を述べさせていただきます。
 我が国の景気は、設備投資が増加するとともに個人消費も下げどまり、穏やかな回復が続いております。しかし、業種別に見ますと、小売業では回復がおくれ、大型店やディスカウント店などとの競争が激化し、空き店舗がふえるなど、商店街は引き続き厳しい状況にあります。こうした状況のもとで商店街は、地域の歴史、文化を踏まえたイベントや施設整備事業を実施し、集客を図るためのさまざまな工夫を凝らして活性化に努めているところであります。
 都は、平成十年度に我が党の提案により、元気を出せ商店街事業を創設し、このようなイベント事業を支援することといたしました。この元気を出せ商店街事業は、資金力の弱い小規模な商店街が実施するイベントを主たる対象とした制度で、法人の有無を問わないため、非常に活用しやすく、商店街はもとより地元住民からも大変喜ばれ、好評を得ているところであります。
 また、小規模商店街にとって大変有効な事業で、商店街を初め区市町村や商工会などからも強い継続要望が我が党に寄せられており、都の支援への期待は大変大きく、また、切実なものであります。
 私は、力の弱い商店街が一生懸命に取り組むこうした事業に対してこそ、手厚い支援があってしかるべきと考えます。我が党が発案したこの事業が商店街に大きな成果をもたらし、そして商店街や地元住民が期待しているこの事業を、よもや廃止することなど考えられることではありません。都においても、このことは十分理解されていることと考えております。事業が継続されることは当然のことであり、あえて質問はしませんが、念のため、知事に強く要望いたしておきます。
 最後に、映像文化の振興について伺います。
 世界的な都市間競争が激化する中、いかに東京の活力と魅力を高め、東京のイメージアップを図っていくかが重要な課題であります。都市のイメージアップという点で、映画という映像文化が持つ影響力はまことに大きなものがあります。
 例えば、ニューヨークでは六〇年代後半から七〇年代にかけて非常に荒廃し、暴力の町という悪いイメージが定着し、観光客が減少しました。これを、七〇年代後半に市長直轄の部署をつくり、ニューヨークでの映画ロケ撮影に協力した結果、ウッディ・アレンの「マンハッタン」を初めとした数多くの映画がつくられ、都市のイメージアップにつながったと聞いております。
 また、我々がローマやパリに対して持つイメージの多くは、「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」といった映画を通じて形成されてきたのではないでしょうか。カメラのレンズがとらえた映像の記憶は、かくも鮮明に我々の脳裏に残るものであり、都市や町に対して抱くイメージの大半は、こうした都市を舞台とした映画を通じて形成されている部分が大きいと思います。
 東京にも、浅草や上野公園を初め、外国人にとっても魅力的なかいわいが数多くあります。そこを舞台とした映画が次々と制作されることは、東京の魅力を海外にまで広めていく上で極めて重要であると考えます。しかし、現状では、日本の都市におけるロケ撮影等の手続は非常に煩雑であり、映画のロケ地として最も魅力ある我が東京も、その例外ではありません。新聞等によれば、最近、大阪や神戸等で撮影に関する手続等の簡素化を図り、積極的にロケ地として売り込んでいく働きがあるようです。
 ついては、東京においても、まず都が率先して、窓口の一本化など撮影に関する手続の簡素化を進め、映像文化の振興を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉住弘議員の一般質問にお答えいたします。
 東京における映像文化の振興についてでありますが、確かに、かつては小津さんの「東京物語」など、東京を舞台としたすばらしい名作が、日本だけじゃなしに世界の方々に紹介されて、東京のイメージづくりに貢献してまいりました。おっしゃるとおり、映画という大きなスクリーンでの映像のイメージというものは長く残りますし、今、東京はまさに落ち目でありますから、この失地を回復して、東京のセールスにこれから乗り出そうというときに、非常にいいサジェスチョンをいただいたと思います。
 従来も、映画関係者から、日本では撮影に関する手続等が非常に複雑多岐で困るという指摘もございました。東京がロケ地となり、世界に東京の魅力が紹介されるためには、その改善が絶対に必要だと思います。
 公道を使っていろんな行事をすることに、どうも日本の警察はなかなか渋い顔で、せっかく野田総監がここにおりますから、これからも警視庁と協力し合って、東京を売り出すためにも、警察の協力のもとに――現に、確かにニューヨークの五番街でもカーチェイスをやってるわけですから、ハリウッド映画は。それが日本でできないわけはないんで、寅さんの映画一つ見ても、柴又の帝釈天ですか、あそこの現場の方がはるかに風雅な通りなんですけれども、映画ではちゃちなセットを組んでやっていますけれども、あれだって、やっぱりロケーションということになるといろいろ問題があるんじゃないかと思いますが、こういったものは、何といっても東京の吸引力を映画を通じて醸成していくためにも、積極的に考えたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 大江戸線開通記念イベントへの支援についてのお尋ねでございますが、大江戸線の開通は、駅周辺のにぎわいを創出し、地元商店街や地域経済の活性化に大いに貢献できるものと考えております。
 また、この開通に際し行われる各種イベントなどは、商店街の振興を促進する意義深いものと認識しております。
 都としては、こうした記念イベントや開通を契機として施設整備を行う商店街に対し、地元区と連携して、元気を出せ商店街事業や活力ある商店街育成事業などを活用して支援してまいります。
   〔交通局長寺内広壽君登壇〕

○交通局長(寺内広壽君) 大江戸線駅施設の開放と地元イベントへの参加、協力についてのお尋ねですが、駅をお客様の乗降の場とするだけではなく、沿線地域の活性化の拠点としていくことは、大江戸線の乗客誘致にとりまして非常に有意義であると考えております。
 したがいまして、地元の要望に応じてコンコース等駅施設の活用を図りますとともに、地元と連携したイベントの開催等にも積極的に取り組んでまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 山谷対策についてのご質問にお答え申し上げます。
 まず、国や都の財政支援についてでございますが、山谷地域において、都は、従来から生活相談や就労、医療等、総合的な対策を実施してまいりましたが、近年は高齢化が進んでいることから、養護老人ホームの建設助成や都営住宅特別割り当ての枠の拡大などにも取り組んでおります。
 また、地元区に対しては、環境整備等への財政支援を行う一方、国に対して、簡易宿所密集地域対策の確立や財政支援を要望してきたところでございます。
 今後とも、地元区と適切に役割を分担し、力を合わせながら山谷対策の充実に取り組んでまいります。
 次に、山谷地域のまちづくりや環境改善についてでございますが、山谷地域では、人口の減少や高齢化とともに、簡易宿所や小売店等の減少が進んでおります。
 このような実態を踏まえ、引き続き日雇い労働者の自立と安定した生活の支援に努めるとともに、そこに住むだれもが住みやすい町にしていくことが大切な課題であると考えております。
 今後とも、地元区と連携して、こうしたまちづくりに向け取り組んでまいります。

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