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Tokyo Metropolitan Assembly

環境・建設委員会 管外視察報告

平成27年7月9日(木曜日)から7月10日(金曜日)
委員長 野上ゆきえ(維新の党)

 環境・建設委員会は、環境局と建設局の事業に関する事項を審議する委員会です。

 環境局の事業は気候変動対策や都市エネルギー施策のほか、廃棄物対策、大気や水質の改善、緑の保全と再生など、都民の暮らしや健康と密接に関連しています。また、建設局の事業は道路、河川、公園事業など首都・東京の都市基盤の整備と維持管理の分野を担っています。

 そこで、今回は、再生可能エネルギー及び河川の整備状況について調査を行うため、7月9日から10日にかけて、福島県及び岩手県への視察を実施いたしましたので、その概要についてご報告いたします。

柳津・西山地熱発電所

柳津・西山地熱発電所

 1日目は、初めに柳津・西山地熱発電所を訪問しました。東北地区の地熱発電の合計出力は、全国の地熱発電の50%以上を占めています。「地熱エネルギー資源の宝庫」とも言えるこの地で、柳津・西山地熱発電所は平成7年5月から営業運転を開始しました。

 地熱発電では、地下にある地熱貯留層から、生産井と呼ばれる井戸で蒸気と熱水が混ざったものを取り出して分離します。熱水は地熱貯留層に戻し、蒸気でタービンを回して発電します。発電に使用した蒸気は、冷却塔で冷やして、設備の冷却水として利用しており、大気も水も汚さない、クリーンなエネルギーです。

 この発電所は、地熱発電所としては大変珍しく、近くに民家や学校があります。また、地熱のポテンシャルが高いため、発電所が開所する前から温泉事業者が施設を有していました。そのため、発電所を建設するにあたり、騒音に配慮したり、万が一温泉が出なくなったときのために、代替の温泉井戸を確保するなど、地元の柳津町とともに、地元の方たちとさまざまな調整を行ったそうです。現在、代替の温泉井戸を町の温泉施設で有効活用するなど、地元と協力して町の発展にも貢献しているとの説明を受けました。

 質疑応答では、地熱発電の将来的な供給規模や、発電の際に発生する硫化水素の対策などについて、さまざまな質疑が行われました。

 その後、発電所を運転する中央制御室と、生産井を視察しました。

産総研 福島再生可能エネルギー研究所

産総研 福島再生可能エネルギー研究所

 次に、産総研 福島再生可能エネルギー研究所を訪問しました。この研究所は、再生可能エネルギーの技術開発から実証までを行う研究開発拠点として、また被災地企業への貢献のため、平成26年4月に開所しました。

 この研究所では、再生可能エネルギーを大量に導入するために必要なシステム技術の研究開発や、被災3県にある企業が持っている、再生可能エネルギーに関連したシーズ(注釈)やノウハウの性能を評価・育成し、その成果を企業にフィードバックすることで、被災地域の新たな産業創出を支援するという、被災地企業のシーズ支援プログラムにも取り組んでいます。

注釈 民間企業などが発想した提案技術、技術開発の種。

風力発電の風車

 説明聴取の後、研究施設を視察しました。太陽光発電のパネルや風力発電の風車について説明を受けた後、これらで発生した電気で水素を生成し、エネルギーとして利用する新たな技術についてお話を伺いました。現在の水素ステーションでは、700気圧という非常に高い気圧の気体で貯蔵する必要があります。そのため、もっと大量に長期間貯蔵できるように、水素を有機液体水素化合物に変換して、必要なときに効率よく利用できる技術を開発しているそうです。

 また、地中熱を利用した空調システムの実証実験や普及支援、薄型結晶シリコン太陽電池モジュール技術の研究開発についても、説明を受けました。

 質疑応答では、再生可能エネルギーの将来のシェアの見込みや水素キャリア製造などの民間共同開発についてなど、活発な質疑が行われました。

岩手県沿岸広域振興局

 2日目には、岩手県釜石市にある沿岸広域振興局を訪問しました。岩手県は、東日本大震災の津波により、大きな被害を受けました。5千人以上の方が亡くなり、行方不明の方は千人を超えました。家屋は2万5千棟以上が全・半壊し、長い海岸線を有するため、他の被災県に比べて建物用地に広く津波が浸水しました。未だに2万人を超える方たちが、仮設住宅での生活を余儀なくされており、佐々木局長の「岩手の沿岸においては、未だ非常時という事態」という言葉に、改めて被災地の厳しい現実を実感いたしました。

沿岸広域振興局

 復興に向けての「目指す姿」や原則、具体的取組などを明らかにした「岩手県東日本大震災津波復興計画」では、「安全」の確保、「暮らし」の再建、「なりわい」の再生を3つの原則として、26年度から28年度までを本格復興期間と定めています。海岸保全施設の復旧や整備、復興まちづくりや災害公営住宅の整備、避難計画の策定など、さまざまな復興事業について説明を受けました。また、東京都から派遣されている職員と交流し、各職員の業務や所感などを直接聞く、よい機会となりました。

大槌町

 その後、まず大槌町を視察しました。この地域は、東日本大震災の際にTP+16.6メートルの津波に襲われ、壊滅的な被害を受けました。大槌川、小鎚川も防潮堤が破堤して、施設全体が沈下する被害が生じました。現在は水門設置工事が進められていて、早期復旧を目指しています。

屋敷前地区の災害公営住宅

 次に、屋敷前地区の災害公営住宅を視察しました。大槌町の復興まちづくり計画のうち、災害公営住宅については、集合住宅タイプを県が、集落ごとの戸建てタイプを町が分担して建設しています。

 この災害公営住宅は、津波で流された大槌中学校の跡地に建設されています。2階に集会所や備蓄倉庫を備え、住宅は3階から5階となっています。東京と違い、寒さが厳しい地方であることを考慮し、ペアガラスなどで断熱性を高くしていると説明を受けました。間取りは、1DKから3DKのほか、車いす対応の住戸もあるそうです。

釜石港海岸

 最後に、釜石市の釜石港海岸を視察しました。ここには既存の防潮堤がありましたが、津波はこれを乗り越えて、TP+10.1メートルの津波が記録されました。そのため、防潮堤の高さをそれまでの+4.0メートルから6.1メートルに見直し、港湾施設が平均1メートル地盤沈下して満潮時に浸水するので、かさ上げを行ったそうです。また、この海岸に河口がある甲子川は、震災の際に津波が遡ったため、それを止めるために水門を新たに整備しており、杭を打ち込んでいる現場を見ることができました。

 以上、2日間という限られた日程ではありましたが、今回の視察での貴重な見聞や、活発な意見交換ができましたことは、今後の委員会活動を通じて、都の今後の政策・施策に十分に活かされるものと確信しております。

 最後に、柳津・西山地熱発電所、産総研 福島再生可能エネルギー研究所、岩手県沿岸広域振興局の皆様方には、お忙しい中、懇切丁寧に対応していただき、有意義な視察が出来ましたことに、心から御礼申し上げ、環境・建設委員会管外視察の報告とさせていただきます。

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