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Tokyo Metropolitan Assembly

総務委員会速記録第三号

平成十五年二月二十五日(火曜日)
第五委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十四名
委員長名取 憲彦君
副委員長倉林 辰雄君
副委員長大西由紀子君
理事山下 太郎君
理事藤井  一君
矢島 千秋君
長橋 桂一君
酒井 大史君
古館 和憲君
野田 和男君
橋本辰二郎君
鈴木 一光君
山崎 孝明君
木村 陽治君

 欠席委員 一名

 出席説明員
知事本部本部長前川 燿男君
外務長田邊 隆一君
次長森澤 正範君
企画調整部長渡辺日佐夫君
秘書部長今里伸一郎君
政策部長村山 寛司君
政策担当部長石井 恒利君
企画調整担当部長中田 清己君
特命担当部長高島 茂樹君
危機管理調査担当部長金子正一郎君
国政広域連携担当部長熊野 順祥君
首都調査担当部長関口 栄一君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
国際共同事業担当部長高橋 道晴君
監査事務局局長藤堂 義弘君
監査担当部長鈴木  襄君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 監査事務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第四十二号議案 東京都監査委員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
 知事本部関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出 知事本部所管分

○名取委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十五年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年二月二十四日
         東京都議会議長 三田 敏哉
総務委員長 名取 憲彦殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、二月二十四日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 二月二十七日(木)午後五時

(別紙1)
総務委員会
 第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 総務委員会所管分
 第二号議案 平成十五年度東京都特別区財政調整会計予算
 第四号議案 平成十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算

(別紙2省略)

○名取委員長 次に、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○名取委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局及び知事本部関係の予算調査並びに監査事務局関係の付託議案の審査を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第四十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際、資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○名取委員長 これより知事本部関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、知事本部所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○渡辺企画調整部長 去る二月四日の当委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております総務委員会要求資料第1号、集中的な渋滞対策についてをごらんいただきたいと存じます。
 まず、1の概要ですが、この事業は、これまでの違法駐車対策(スムーズ東京21)に加え実施するものでございまして、通過に十分以上要するなど渋滞が激しい交差点を中心に、五年間でおおむね百カ所程度の渋滞改善を目指すものでございます。
 次に、2の、改善のための対策ですが、交差点付近の施設改善として左折車線を確保したり、交通の流れを確保するための信号表示の調整やバスベイの設置、また、交差点付近の違法駐車を排除するなどの対策を行ってまいります。
 一枚ページをおめくりいただき、二ページをごらんください。都内一般道路の交差点における渋滞発生状況ワーストテンを一覧表にしてございます。それぞれの交差点について、所在する区市名、流入路線名、交差路線名、渋滞方向及び渋滞距離を示しております。なお、一番下に、本データの出典の根拠を記載してございます。
 次に、資料第2号、先行まちづくりプロジェクトについてをごらんください。
 まず、1の概要ですが、本事業は、地域の活力や魅力を高めるため、都が積極的にかかわりながら大規模な公有地スペースを活用し、民間プロジェクトを推進するものでございます。
 次に、2の、事業の進め方ですが、平成十五年度にプロジェクトの実施地区を選定し、事業に着手いたします。このため、庁内の連携体制を構築し、民間からの公募提案等を実施いたします。また、プロジェクトを推進するため、地域の実情に応じた規制緩和方策などの集中的な実施や、都市再生緊急整備地域における取り組みとの相互連携を図ってまいります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○名取委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○倉林委員 それでは、先行まちづくりプロジェクトについて伺っていきたいと思います。
 この取り組みは、平成十四年の十一月に発表された、いわゆる重要施策の中で打ち出されてきたわけでありますけれども、重要施策は都政の構造改革を推進するための戦略を示す、こういうふうに位置づけられているわけでありますけれども、まちづくりについても、これまでのやり方を少し変えていこうと、こういう、ある意味では意図も見られるというふうに私は思うわけであります。
 そこで、特に今回の先行まちづくりプロジェクトは、知事本部に予算措置されているわけでありますけれども、これは重要施策の中にも書かれておりますけれども、局が横断的な考え方でまちづくりに取り組んでいく、また、これまでのまちづくり政策の弱点を克服しよう、こういう考え方のあらわれではないかと、こう思うわけであります。
 そこで、このまちづくりは、どこに問題というのでしょうか、課題があるというふうに思っているのか、認識されているのか、そこからまずお伺いをいたします。

○中田企画調整担当部長 これまでのまちづくりの課題でございますが、東京全体の活力や魅力の向上を目指し、まちづくりを真に実効性ある形で進めていくためには、それぞれの地域特性を踏まえ、産業、生活、文化など、多様な政策視点に立ったまちづくりを進めていくことが必要であると考えております。
 そうした観点から、これまでのまちづくりの課題を整理いたしますと、第一に、規制中心で現場とのかかわりが薄い、抽象的なビジョンはあっても、それが現実の町を動かしていく力に欠けていた。第二に、容積率などの制度の運用が画一的であった。地域特性に応じて規制緩和などの誘導策を用いて、民間を活用したまちづくりを進める、こういった視点が十分でなかった。第三に、庁内においてまちづくりを直接担う部門同士はもとより、産業、あるいは福祉、こういった他の行政分野との連携が不足していた、さらに、公有地が全庁的視点からまちづくりに活用されていない。以上のような課題がこれまでのまちづくりにあったと認識しております。

○倉林委員 いろいろと、今、課題を挙げていただいたわけですけれども、私も東村山市から都庁を往復してやはり感じますことは、東京の町並みもちょっと雑然としているなと、こんな思いをいたしております。知事も、予算特別委員会の中でもそんな意味合いのこともおっしゃっておりましたけれども、バブル崩壊以降、東京のまちづくりは長いこと停滞していた、こんな感じもいたすわけであります。とはいうものの、そういう中では、汐留、あるいは東品川、六本木あたりでしょうかね、大規模プロジェクトが進んで、町に活気を呼び起こしている。かといって、このような大規模プロジェクトを東京のどこでも実施するというわけには当然いかないわけでありますけれども、それぞれの地域性にふさわしいまちづくりを東京全体でバランスよく推進をしていく、そのことが東京の活力を向上させていく、大変これは必要なことだと思うわけであります。そして、それが商業の振興や都民生活の向上につながっていくだろう、こう思うわけであります。
 そういう中で、この先行まちづくりプロジェクトは、都が積極的にかかわりながら大規模な公有地スペースを活用した民間プロジェクトを推進する、こう記されております。そこで、いわゆる公有地、あるいは都有地をプロジェクトに活用していくという意義はどういう意義なのか、意味合いを説明してください。

○中田企画調整担当部長 公有地は都民の貴重な財産でございまして、都民のために有効に活用することが都の責務であると考えております。今後は、既存施設の更新、少子高齢化などによりまして、住宅用地や学用地、こういった公有地スペースが大量に発生することが見込まれております。これらは、東京のポテンシャルを高める貴重な財産であります。ただ、これまでは、各局の事業用地は所管局の管理に任されておりまして、まちづくりに戦略的に生かされるという視点では不十分な点がありました。そこで、地域の活力と魅力を高める具体のまちづくりプロジェクトを進めるため、公有地スペースを活用することとしたものでございまして、公有地をプロジェクトに活用する意義は以上のとおりでございます。

○倉林委員 公有地スペースの活用とともに、民間によるプロジェクトを行っていく先行まちづくりプロジェクトという考え方といいましょうか、柱はわかりました。これまでは公共施行が中心であったけれども、公共施行では事業量に限界があるし、民間によるプロジェクトの推進は、むしろ今の時代の要請である。しかし、単純に民間に任せて、まちづくりが必ずしもうまくいくとは限らないだろうと思います。その意味では先行まちづくりプロジェクトは、これからの都のまちづくり手法の考え方の基本となるものでありますから、ひとつ都の役割を明確にして、適切に民間プロジェクトを誘導していくということが大変重要であると、こう思うわけであります。
 また、この重要施策の中では、その点が、積極的にかかわりながらと、いささか抽象的に表現をしておりますけれども、プロジェクトの推進に当たって、都が民間事業者をどのように誘導していくのか、そこのところも教えてください。

○中田企画調整担当部長 都が民間事業者をどのように誘導していくかというご質問でございますが、先行まちづくりプロジェクトは、単に民間に仕事を任せるのではなく、優良なプロジェクトとなるように都が積極的に指導、誘導していきます。具体的に申し上げますと、公有地スペース活用の条件といたしまして、当該地域に導入すべき機能、これらなど、まちづくりに関します基本的な方針を都自身が提示いたします。また、地域の実情に応じたまちづくりが可能となりますように、規制緩和を検討、実施いたします。さらに、まちづくりの効果を高めるため、プロジェクトに関連する公共施設整備をあわせて実施することとしております。

○倉林委員 都有地の戦略的な活用、あるいは多角的な政策視点に立ったまちづくり、あるいはプロジェクトの内容に応じた規制緩和、こういうお話がありましたけれども、それにはどうしても局と局との連携、いわゆる局間の連携というのが大変必要なものばかりだと、こう思うわけでありますが、これまでのまちづくりに庁内連携の不足もあったやに、答えもあったように思われるわけでありますけれども、先行まちづくりプロジェクトを進めていくに当たって、どのように庁内の連携を保っていくのか、そこをお聞かせください。

○中田企画調整担当部長 今回の取り組みは、東京のまちづくりを実効性あるものとするため、縦割りの体制を克服することも目的の一つでございます。これは重要施策を貫く精神でございますが、このため、既に知事本部を含む関係局から成る推進会議を設置しております。今後、実施地区の選定、事業の実施など、個々のプロジェクトの進捗に応じまして、関係局による連携を強化いたしましてまちづくりを推進していきたいというふうに考えております。

○倉林委員 今お話を伺っておりまして、進まない東京のまちづくりを打開する一つの仕組みとして、この先行まちづくりという考え方が打ち出されてきた、そういう意味合いのことはわかってまいりました。具体的なまちづくりの推進のために、公有地を活用して、あるいは規制緩和も行っていく多角的な政策視点も踏まえたプロジェクトにしよう、こういう意気込みが感じられたわけでありますけれども、公有地の活用、あるいは民間活力の活用、あるいは庁内体制の整備などは、これまで必要性が叫ばれながらも、具体的にはなかなか手がつけられていくことができなかった課題ではなかったかと思います。こうした課題を正面から取り上げて、まちづくりを具体的に動かすために、隘路も克服しようと、こういう意欲的な取り組みであると評価はいたしますが、しかし、あえて申し上げるとすれば、これらは限定された地域の中でのプロジェクトではないだろうか、そんな思いがいたすわけであります。
 先行まちづくりプロジェクトという新しい仕組みを継続し、都市再生の取り組みと連携した東京のまちづくり全体を見渡した取り組みが、まさに必要だというふうに思うんでありますけれども、本部長、何かご答弁をいただければと思います。

○前川知事本部長 先行まちづくりプロジェクトでありますが、これは、問題意識、私どもは二つほど最初ございまして、一つは、先ほど倉林副委員長からもお話ありましたが、東京は都市計画がないといわれて久しいと。私どもの若いころからもそうでありますし、石原知事も再三おっしゃっているわけでありますが、ありていに申し上げると、一方で非常に抽象的なきれいなビジョンができて、現実にやっているのは市場原理で町のばらばらな開発が進んでいる。そういうのでいいのかというのが根本的な問題意識の一つでございます。しかも、それを、庁内、都市計、建設、住宅それぞればらばらにやっているような状況がある、それを変えたいと、それが一つです。
 もう一つは、やはり東京の経済の活力、国際競争力の強化、それももちろん重要でありますし、加えて都市環境の改善、それから良質な住宅の供給、これもなかなか、いうはやすくして難しい課題であります。これにチャレンジしようと、都市再生も進めているわけでありますが、やっぱりこれと一体となって、こういう都民生活の向上の取り組みをやっていく必要があるだろうと。
 こういう、大きく二つの問題意識で、何とかこれまでと違った方法でやろうというふうに考えたのが、この先行まちづくりプロジェクトでございます。一言でいえば、東京のまちづくりの方向とか手法を変えていきたい。したがって、当然、抽象的なビジョンをこれまでのように先行させるのではなくて、今ご指摘があったように、公有地を活用しながら、民間の活力を利用しながら、具体的に目に見える形で、しかも、都が主体的に取り組んでいきたいと、それが一点。
 もう一点は、やはり都市再生と連動して、当然でありますが、都市再生は何もオフィスの更新だけを目的としているわけではありませんので、住宅の供給、環境改善が非常に大きなものでありますけれども、それをやることによって豊かな都民生活を実現をしていきたい。この両面から考えたのが、今回のこのプロジェクトでございます。
 庁内を横断的に取りまとめながら、最初の一歩は小さいと思いますけれども、この取り組みを積み重ねて、目に見える形で東京の町を変えていきたい。なかなか難しいんですが、全力を挙げていきたいと、こう考えております。よろしくお願いいたします。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 知事本部の平成十五年度予算の中で、自治制度改革事務に関する経費が計上されております。これに関連して、最初に自治制度改革の取り組み内容について質疑を行いたいと思います。
 昨年の四月ですけれども、知事本部から行財政基本問題特別委員会に自治制度改革の論点整理、これが、資料が提出をされて、その内容を参考にしながら、この行特委では審議が行われておりますが、最近では有識者も招聘して公聴会も行われていると聞いております。それで、今、統一地方選挙を前にして、地方自治のあり方や自治制度の将来像を整理する意味で、この、いわゆる論点整理を読み返してみました。改めて、少しこれは聞いてみたいと思う内容が散見されておりますので、質問させていただきたいと、このように思います。
 例えば、論点整理の冒頭の部分なんですけれども、今後の審議の参考となるよう論点や課題を整理した、都としてのビジョンや考え方を示すものではない、このように説明が掲げられております。しかし、この中では、道州制とか市町村の合併とかが突っ込んだ形で書かれておりますし、普通で考えれば、理事者側が都議会に何らかの資料を出す以上は、行財政特別委員会の議論を一定の方向にリードしていこう、こういうふうに感ずるのは否めません。そこで、改めて、この論点整理の性格をどのようなものと考えているのか、まず、見解をお伺いしたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 論点整理は、行財政改革基本問題特別委員会の審議事項に基づきまして作成し、提案したものでして、この特別委員会等での議論を踏まえ、審議の参考となるよう論点や課題を整理したものでございます。
 先生お話がありましたように、都としてのビジョンや考え方を示すものではなく、それぞれの論点について意見の相違がある場合は、それがわかるように記述をしておりまして、結論をあらかじめ決めて議論を特定の方向にリードしようとするものではありません。

○古館委員 今、そのように特定の方向にリードしようとする意図はないということですけれども、ただ、意見が違う場合は書き方がちょっと違うんですよね、こういう意見もあるとか。ところが、かなり、先ほどいいました道州制とか市町村合併とかというのは、それなりの都の意見として感ずるという部分があります。それで、この論点整理の位置づけはどうであれ、そこに盛り込まれている内容には、依然として私は多くの問題があると考えています。
 例えばこの論点整理の五ページですけれども、一都三県から成る首都圏では、同一の経済圏、生活圏の中で、環境問題など多くの広域的課題を抱えており、広域行政の展開に向け、広域的自治体のあり方を検討していくことが必要となっているとか、先ほどもいいましたけれども、市町村も、合併を含め、みずからの行財政基盤を強化する取り組みを主体的に展開することが必要になっている。また、今後、市町村合併の進展によっては、都道府県のあり方を問い直していくことも求められる、このように書かれております。これは、都としての考え方が示されていると同時に、既に現実にこの方向に沿って都政運営が進められてきている。これは、今までの推移が明瞭に示していると思います。
 さらに、論点整理では、同じ第二章の中で、先ほども指摘しましたけれども、行政と民間との役割分担にとどまらないで、行政内部の役割分担論、例えば広域的自治体と基礎的自治体との役割分担にまで言及をしています。しかも、特徴的なことですけれども、国、広域自治体、基礎的自治体との間の役割分担を整理する事業として、補完性の原理、こういう考え方を紹介しております。
 そこで、お尋ねしますけれども、この補完性の原理という考え方は、そもそもどのようなところから来た考えなのでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 補完性の原理は、ヨーロッパ地方自治憲章の中で取り上げられた考え方でありまして、行政サービスは、まず、地域の最も身近な基礎的自治体が担い、基礎的自治体で担えないものを広域的自治体、さらに、国で担うといった考え方を示すものとされております。

○古館委員 今、ヨーロッパの地方自治憲章というのが出されました。しかし、この補完性原理の説明がありますヨーロッパ地方自治憲章ですけれど、これがそうなんですけれど、かつて企画審議室だった時代に、調査部が日本語訳、和訳を行っております。そこでは、そのような言葉は一度も使われていない。それで、どういう点で、少し似通ったものがあるかということで、私もこれ読み返してみたんですけれども、そこで近いものがあるとすると、公的な責務は一般に市民に最も身近な地方自治体が優先的に履行する、他の自治体、地方自治体への権限配分は、仕事の範囲と性質及び能率と経済の要求を考慮して行われる、こういう文言があるだけなんですね。
 私はこの文言を何度も読み直しましたけれども、逆にこれは、市民に最も身近な地方自治体が公的な責務を優先的に行うこと。それで、その最も身近な地方自治体が、市民に最も近い自治体であるこの自治体が、他の自治体への権限配分を行うと。つまり東京都がすみ分けをするというような考え方ではなくて、最も身近な地方自治体の方が逆に優先的に、権限配分なども含めて、その他の自治体の仕事の範囲とか性質とか能率とか経済とかということを考慮して、どこに一番この仕事をゆだねたらいいかという、このことが実はこのヨーロッパ地方自治憲章の本質であります。
 私は、東京都がこうした表現を解釈を変える。それで、ことさら補完性の原理と呼ぶのは、ある意味があるのではないかというふうに思ってしまうんですね。そこでお伺いしますけれども、都としてこの補完性の原理をどのようにとらえているのか、改めてお答えいただきたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 補完性の原理につきましては、論点整理でもいろいろな意見を三カ所にわたって整理をしております。いろんな疑問についても触れておりますけれども、この原理について、都として公式に方針として取り上げたものではございません。
 補完性の原理につきましては、東京のような大都市とそれ以外の地域では事情もいろいろ異なるなど、この一般的な規定だけでは、役割分担を定める具体的な指針とするには困難ですが、地方分権を推進し、国、都道府県及び区市町村の役割分担を適正化する上での一つの考え方として論点整理に載せたものでございます。

○古館委員 そうはいいますけれど、補完性の原理というのは、この論点整理の中でも、後でも出てくるんですけれども、結構補完性の原理というのが使われているんですね。
 今、ご答弁ですと、一般的な規定だけでは役割分担を定める具体的な指針とするには困難だと、こういうようなご回答でしたが、結局、このヨーロッパの自治憲章は、私からすると、ただ便宜的に、しかも自分の都合のいいように持ってきたと、こういうふうに理解できるんですね。行政サービスは、まず、地域の最も身近な基礎的な自治体が担い、基礎的自治体で担えないものを広域的な自治体、こういうふうに東京都が考えて、トップダウン的な考え方で解釈をされてきている。私はそのようにいわざるを得ないと思っていますが、結局これは、都が補完性の原理を使って、いわゆる末端の最も身近な自治体に対しての財政緊縮、これを進めて、都立施設を減らして、区市町村に事務事業を転嫁する、こういうことを意図して使われているんではないか、このように私は解釈するわけでありますけれども、この補完性の原理による役割分担の見直しは、都が本来担うべき役割を縮小する、あるいは放棄する、このことを意味し、それが現実になってきていると考えますが、いかがでしょうか。

○幡本自治制度改革担当部長 補完性の原理について誤解があるといけませんので、先に申し上げたいと思いますが、ヨーロッパ地方自治憲章では、確かに市民に身近な地方自治体が優先的に履行するとしておりまして、補完性の原理という言葉は使っておりません。しかし、その後に続いて検討されました世界地方自治憲章草案では、同様の内容のもとに補完性の原理を用語として明記をしております。一般にも研究者等の論文を見ましても、このヨーロッパ地方自治憲章が補完性の原理の考え方に立っているとしておりまして、また、地方分権推進委員会の最終報告でも同様の考え方を、用語を明記をして取り上げているところでございます。
 それで、ご質問の都と区市町村との役割分担ということでございますが、役割分担を検討するに当たりましては、地域に密着した行政はできる限り基礎的自治体である区市町村が担い、また、広域的事務や大規模な事業など、広域的自治体が担う方が効率的でふさわしい事務は広域的自治体が担うということが基本的な考え方となります。このような考え方に立って、都と区市町村の間の役割分担を適正化する必要があるというふうに考えます。

○古館委員 私の質問には直接的にお答えがないんですよね。私が聞いたのは、こういう補完性の原理というのを使って、いわゆる地方自治体、末端の最も身近な地方自治体の財政緊縮、それから、区市町村に事務事業は押しつけるけれども、財源補償、こういうものがされていないのではないか。これについての問いには答えていないんですね。
 それで、論点整理の一三ページですが、ここではこういうふうに書かれているんです。ヨーロッパの地方自治憲章に見られるように、一、行政サービスは、まず、地域に最も身近な基礎的自治体が担い、二、基礎的自治体で担えないものを広域的自治体、三、さらに国が担うといった基礎的自治体優先主義、これを括弧して、補完性の原理が現在主流となっており、地方自治法も同様の考え方に立っている。この補完性の原理をもとにして行政の適切な役割分担を考えるべきであると。その後に、行財政基盤の強化が出てくるんですね。なお、補完性の原理実現の前提として、基礎的自治体の行財政基盤強化は不可欠であり、そのためにはどうしたらいいか、合併は有効な選択肢の一つだと。つまり行財政基盤を強化しなさいよというときには、合併がその選択肢の一つだということを、この論点整理の中では書かれているわけです。
 このことの例証は、例えば都民の安全、安心を行政として責任を持って担っていくべき医療の分野などでも、既に母子保健院が廃止されたり、板橋区にある都立の豊島病院、あるいは老人医療センターなどは経営を統合した上で民営化を図る方針が打ち出されているなど、具体的に進行している。しかも、こうした都のやり方に区市町村からは大きな批判と異論が出ているのはご承知のとおりであります。
 特別区についても、今年度の財調協議の場では、これは木村幹事長もたびたび質問しておりますけれども、水面下では、固定資産税の減税に見られるように、都が事前に特別区と相談しないで勝手に物事を進める手法に対する感情的な不満が今でも残っているというのは、これは事実であります。今、石原都政が区市町村に対してトップダウン式に上から押しつける方法で臨んでいて、こうした状態を今後とも続けていってよいとは考えられません。地方分権の観点も踏まえ、住民福祉の向上に対しても、財源補償の問題でも、住民に身近な基礎的自治体足り得るように、東京都の一層の頑張りを求めておきたいと思います。
 論点整理の中では、区市町村のような基礎的自治体のあり方だけではなくて、さらに踏み込んで広域的自治体についても触れております。今回の都議会の議論の中でも、広域自治体の将来像として道州制をめぐる議論が取り上げられております。石原都政が首都圏メガロポリス構想などを公表して、三環状だとか都市再生など大規模開発に力を入れている。やがては道州制を目指しているかのように私たちの目には映ります。
 しかし、首都圏で人口三千三百万人の巨大な自治体をつくる場合の、そのスケールメリットを追求するばかりじゃなくて、逆にスケールデメリットというものについても、私は深い検証が必要になる、そのように考えているものであります。また、自治体の区域が広がることで、住民と自治体との距離が広がることは、懸念されるところであります。いわゆる住民自治が空洞化するという問題が生じるわけです。
 そこでご質問しますが、こうした議論を踏まえた上で、そもそも住民自治についてどのようにとらえているのか、お伺いしたいと思います。

○幡本自治制度改革担当部長 補完性の原理につきまして誤解があるようですので、先にお断りをしておきたいと思いますが、住民に身近な行政について基礎的自治体ができることは基礎的自治体が担うということは当然のことでありますが、都として、広域的自治体である都として、東京の広域行政及び大都市の課題について責任を持って担っていくということは、これは当然のことでございまして、最初に申し上げましたように、補完性の原理はあくまで一般的な指針でございまして、それですべて決められるというものではございません。具体的な事業の状況であるとか、そういうものを勘案をして、具体的な事務事業の配分を決めていかなくてはならないものだというふうに思います。
 都としましては、そのように広域行政、大都市の総合性、一体性を確保するための大都市行政を、区市町村と連携をしまして、住民福祉の向上を総合的に図っていくという立場で臨んでいく考えでございます。
 ご質問の住民自治についてでございますが、これはいうまでもなく団体自治とともに地方自治の本旨を実現する上で、車の両輪を成す重要なものでございます。道州制とかいろいろ区域、規模の拡大によって住民自治がどうなるかというご質問でございましたが、自治体の規模の拡大は、自治体の行財政基盤を強化し、その能力を拡大するものでありまして、むしろ住民と自治体の自己決定権、住民の意思に基づき自治体が自己決定をしていくという、その自己決定権の範囲を拡充するものであるともいえると、そのように考えております。

○古館委員 私は、住民自治の問題というのは、スケールが大きくなればできるとか、そういうようなものではないというふうに確信をしています。実は私ども日本共産党都議団で一月の十六日に、木村幹事長も同行しましたが、私が団長で長野県に、県庁に視察に行ってまいりました。それで、この長野県の視察で非常に私は大きな刺激を受けたといいますか、県民と極めて密接な、県民とともに歩むという姿勢を、県政運営に一貫して貫いていることを実感して帰ってまいりました。
 田中知事が最初に手がけたのが、情報公開条例の改正でした。そこでは、県民だれにも知る権利がある。県は県民に対して県情報を知らせる義務がある。このことを明確にした情報公開条例に改正をして、それで、知事自身が車座集会というのを積極的に行って、この二年間で毎月一回計二十六回、この車座集会を開催して、ここに集まった県民、一万七百人の方と対話を進めました。この十五年度からは、それに加えて、さらに月一回、十人程度の県民から直接話を聞く機会を設ける。また、一週間から十日間、ネーミングはお出かけ知事室、どこでも知事室というふうに銘打って、松本市庁などにも出かけて、市町村長や県民の声を聞く計画になっています。そういう情報公開条例を改正した段階で、知事室を三階から一階に移して、ガラス張りで、県民といつも目線が一緒で、外からでも、また、隣室の県民談話室からでも、ガラス越しに知事の執務の状況がつぶさに見られるようになっています。各種審議会なども、すべて公募委員を入れて、審議会でも、議会でも、傍聴者にも、委員などに配布した同じ資料を配布して、今、何が議論されているかということが県民にとってわかるようになっておりました。予算編成の段階から、インターネットやマスコミなどを使って、県民などに予算編成の過程でもこれを公開している。こうした中で浅川ダムの中止などが実現をしていきました。県政がこんなに県民に開かれ、身近なものになっているという実感を得て、私は帰ってまいりました。
 今、改革という言葉によって、さまざまな課題がすべて解決されるかのような風潮がありますけれども、住民自治という立場をしっかりと据えた改革こそ、都民は今求めているんじゃないでしょうか。このことがしっかりと座っていれば、大きいことはいいことだというふうにはならない。国も分権改革を推進するとして地方分権改革を立ち上げて、昨年十月には事務事業のあり方に関する意見を取りまとめております。意見の中では、やはり地方公共団体や国に事務権限を配分するという原則として、ここでも補完性の原理を掲げております。この補完性の原理の名のもとに、自主的といいながら、地方制度調査会の西尾私案に見られるように、市町村合併の、しかも強制合併がねらわれていることは、補完性の原理の意図するところがどこにあるか明瞭に示していると思います。今こそ福祉の増進という地方自治体の目的に沿った、都民主役の民主的な都政の転換こそ、都民が求めている。その大きな流れを強調して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、重要施策についてお尋ねいたします。この重要施策については、昨年、四定の総務委員会で木村委員が質問しましたが、これまでの重要施策は年度ごとに知事本部の中でも二転三転しながら策定されてまいりました。しかし同時に、重要施策が、石原都政の政策がどこを向き、だれのためにあるかという点では、一貫した流れがありました。今年度の場合、重要施策として都民に発信した内容のおよそ六割が、首都再生に注ぎ込まれるというものでありました。新年度の場合、制度疲労という用語が多用されて、都政の制度疲労、日本の危機を生み出している制度疲労、これらが強調されました。そして、重要施策と同時に、重要施策実現のための戦術として重点事業が出されました。その重点事業のイの一番に知事本部が取り組む事業として出されたのが、先行まちづくりプロジェクトの推進であります。この事業に十億円が計上されております。このプロジェクトは、平成十四年度中に候補地区の抽出を行い、平成十五年度には事業者の選定や事業に着手しようとしております。
 そこで伺いますけれども、現段階では先行まちづくりプロジェクトの候補地の抽出等について、どのような状況にあるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○前川知事本部長 私から、ちょっと見過ごしにできないんで、一言お答えしたいと思います。
 一つは、大変恐縮ですが、疑心暗鬼というか、すべてをある方向に方向づけて解釈をしたら、どんな解釈でもできるわけでありますが、補完性の原理というのは、これは世の中の常識でありまして、住民に身近な福祉とかまちづくりは区市町村がやる、それは当たり前のことであります。我々は広域自治体として、それを超えた、福祉であれ、あるいは環境のディーゼル規制であれ、広域自治体として責任を果たしていくと。
 道州制についても、あたかも東京都がすぐやるようなことをおっしゃいますが、知事の答弁を聞いていただいてもわかるように、これはなかなか難しい問題であると我々は考えております。それを、何か長野県が非常に住民参加が進んで、東京都が進んでいない、これは全く逆でありまして、東京都はそれこそ美濃部さんの時代から住民参加を率先してやっているわけであります。長野県でやっているようなことは、ガラス張りにはしていませんけれども、ある意味では東京都はとっくにやっている、ここはよくご理解をいただきたいと思います。
 それから、当然でありますが、重要施策は、これもやはりそうでありますけれども、何か初めから方向を決めてやっているわけではなくて、本当に必要な危機を突破するために構造改革をやっていこうと、こういう、純粋にやっているわけであります。ぜひご理解いただきたいと思います。

○中田企画調整担当部長 古館委員から、現段階での先行まちづくりプロジェクトの進捗状況といいますか、そういったご質問でございますが、先行まちづくりプロジェクトは来年度に実施地区を選定し、事業に着手する予定になっております。それに向けまして、現在、プロジェクトに活用可能な公有地スペースの洗い出しを行っているところでございます。

○古館委員 先ほどの自治の問題については、補完性の原理の問題で、本来、末端の地方自治体が優先されるというのは当たり前のことだと、私もそれいいました。それで、何がないかといったら、財政基盤を--そういう重要事業に自立するような自治体として、財政基盤の問題についても、ここで私は質問したものでありまして、それに対しては直接的なご回答もありませんでしたし、ですから、私どもはそういう点での、基礎的な自治体が本当に基礎的自治体として住民の期待にこたえられる、そういう方向性は、今、前川本部長もお話しありましたけれども、考え方や設置の仕方は違うかもしれませんけれども、日本共産党としては人後に落ちないつもりであります。
 そこで、今のいわゆる先行プロジェクトの問題ですけれども、候補地としてどのような場所が適しているかという選定自体が、この先行まちづくりのプロジェクトがどういうねらいを持ったものなのか、推しはかる上でも一つのポイントになるものだと思っております。それで、実はこの先行プロジェクトのひな形といいますか、先行した取り組み、先進的取り組みというふうに東京都の方は書いておりますが、この重要施策の中で高い評価をしているものに、南青山一丁目の団地の建てかえプロジェクト、これがあります。この事業実施の例などを見ておりますと、結局は民間の、私から見ると、いいとこ取りということにしか映らない。候補地は、実際には都心の公有地に限られるんじゃないでしょうか。この点についてはいかがですか。

○中田企画調整担当部長 お話の南青山一丁目の事例でございますが、このプロジェクトは公有地スペースを活用いたしまして、都心部において優良な市街地の再開発を行うものでございます。こうした取り組みによりまして、国際化やIT化に対応したオフィスのみならず、良質な住宅やオープンスペース、都心でのグループホーム、保育園、これらの福祉施設の供給が可能となっております。住宅についてちょっと詳しく述べさせていただきますが、都営住宅は従来どおり百五十戸、良質な賃貸住宅は約三百三十戸建設される予定になっております。この事例に見られますように、公共によるインフラ整備と優良な民間プロジェクト、これをあわせまして進める都市再生の取り組みは、住環境や市街地環境など、生活の場としての都市環境を向上させ、豊かで快適な都民生活の実現を目指すものでございます。
 先行まちづくりプロジェクトも同様の認識に立ちまして、都市再生の取り組みとあわせて進めるものでございまして、都心に限らず、地域特性に応じたまちづくりを実現し、都民生活の向上を図っていくとしております。

○古館委員 先ほどの南青山一丁目の都営住宅ですが、おっしゃるとおり確かに都営住宅の現戸数の百五十戸、これは計画していますが、民間マンションを三百二十七戸と倍以上に計画をしているわけですよね。それで、実際にはPFIということで、七十年までどうぞということで使わせるわけであります。もちろんそれに対する賃料のようなものは取りますけれども、そういう点でいきますと、民間が主体的にいくと。それで、このキーワードというのは、民間がなきゃ話にならないというのが、この計画のキーワードの一つなんですよね。
 そういう中で、都心部に限って候補地を洗い出しているわけじゃないというご回答でありますけれども、しかし、都自身が東京構想二〇〇〇などにつきましても、あらゆるいわゆる大都市開発の計画を見ましても、センター・コア・エリアというのを拠点に据えているわけであります。しかも、公有地の利用ということになれば、民間企業は採算が合う付加価値の高いところに対してまず触手を伸ばすというのは、当たり前の考えであります。そうすると、都心の公有地となることは十分に予測のつくところであります。実際に、立地条件に恵まれ、開発に際し、この計画は民間事業者の参入が見込まれると、そういうふうに書いてあるわけですね。
 先ほど倉林副委員長からも、限定された地域のまちづくりになるんじゃないかという懸念も表明されましたけれども、それでは、質問をさせていただきますが、この知事本部の今回の先行プロジェクトの中で、十億円に上る事業費が計上されておりますが、これは具体的にどのような使い道で考えているのでしょう。

○中田企画調整担当部長 先行まちづくりプロジェクトは、来年度に実施地区を選定しまして事業に着手する予定でございますが、そのため、委員おっしゃったように知事本部に十億円の予算がついておりますが、その予算につきましては、実施地区選定に当たりましての基礎的データの収集、民間事業者に対する公募提案に要する経費、プロジェクトに関連する公共施設の整備等、プロジェクトの実施に必要不可欠な予算を計上したものでございます。

○古館委員 つまり、今、データとか公募に要すると、これは大して費用はかからないんですよね。恐らくこれは基盤整備ですよね。だから、そういうところに、土地は公有地で、しかも付加価値の高いところを民間に提供して、おまけに規制緩和というボーナスもつけて、しかも、先行して基盤整備を都民の税金で行うというものですから、これは民間にとって、こんなおいしいプロジェクトはないというふうに思います。それで、この計画は、都民の貴重な財産をゼネコンなどの大規模な開発に投入することになるんじゃありませんか。いかがでしょうか。

○中田企画調整担当部長 まず、先ほどの公共施設の整備ですけれども、これは本来公共が整備する部分について先行してやるということでございますので、民間がやるべき部分を知事本部の予算でやるというものではございません。
 それと、今、ゼネコンに対する奉仕といいますか、につながることではないかというご指摘といいますかご意見ですが、大規模開発とゼネコン奉仕、あるいは都民福祉が相反するかと、こういった認識は間違いであるというふうに考えております。先ほどの南青山の事例でもご説明しましたが、市街地の再開発によりまして、オフィスビルの更新だけではなく、良質な住宅環境や緑とオープンスペース、こういったものも供給をいたします。また、三環状、こういった道路整備をいたしまして、大気汚染の改善など環境改善にも大きな効果がございます。こうしたものをあわせて進めますのが都市再生の取り組みというふうに考えております。
 急速にグローバリゼーションが進む中、東京が国際競争力に勝ち抜き、我が国経済の活性化を先導することなくして豊かな都民生活もないというふうに考えております。都市再生は、そのために今進めるものでございまして、先行まちづくりプロジェクトも同様の認識に立ちまして進めるものでございます。豊かで快適な都民生活を実現することが先行まちづくりプロジェクトの目的とするものでございます。

○古館委員 それは、どうにでもいい方はあるわけなんですよね。ただ、今いいましたけれども、私がいったこと自体--先ほどいいました、規制緩和もやるし、それから、付加価値の高いところがまず優先されて民間に提供するし、それで、今十億円の問題はありましたけれども、しかし、これは十億円という形で先行的にやるわけですよね。だから、こういうおいしいプロジェクトはないわけなんです。
 そこで聞きますが、最近、東京のしゃれた街並みづくり推進条例、この議会にも出されておりますが、このしゃれた街並みづくり推進条例の中の街区再編まちづくり制度というのがありますが、これは先行まちづくりプロジェクトと連動するものでしょうか。関係はどのようなものですか。

○中田企画調整担当部長 街区再編まちづくり制度は、密集市街地等におきまして地域の実情に応じた規制緩和等を行うことによりまして、街区単位のまちづくりを推進する仕組みでございます。具体的には、都が指定します街並み再生地区内におきまして地区計画を定めた場合に、地権者等の提案により〇・一ヘクタール以上の区域で再開発を進めることが可能となります。先行まちづくりプロジェクトの推進に当たりまして、公有地スペース周辺のまちづくりの状況に応じまして、必要な場合はこの制度を活用していきたいというふうに考えております。

○古館委員 このしゃれた街並み、プロジェクトというのは、今、必要な場合は連動すると。そうなると、本当にそこの地域、こういう先行プロジェクトでやったとしますと、その周辺がそれに適するような状況になれば幾らでも、あのしゃれた街並み条例の中には、三分の二の地権者だったかな、そういう形で、つまり大きな力を持っている、資力を持っている人が、土地を三分の二持っていれば、そこを開発できるという形の条例の中身なんですね。つまり、そうすると、もっと大きな広範囲でもって開発をやろうと思えば、そういうことは不可能ではないということで、さらにこれは大型開発に拍車がかかっていくということはいうまでもありません。
 例えば私は板橋ですけれども、木造密集地域だとか、都営住宅の建てかえ団地、大規模な団地が二つほどあります。きのう、予算特別委員会で我が党の曽根議員も紹介しておりましたけれども、二月二十一日付の「都政新報」で、石田頼房都立大名誉教授、先生が、都市環境政策にかかわって、気をつけないと民間開発業者等がかかわり得るような地区だけが動き、本当に改善が必要だが困難を伴う地区がそのままになってしまう可能性がある、自治体としての東京都は、後者のような地区に責任を負って、その改善にエネルギーと財政をつぎ込むことが必要だ、このように述べています。つまり、どうしても日の当たるところがあると陰になるところがある。この計画も、そういう危険性というか、そういう嫌いもあるということを指摘をしています。
 そこで、最後に質問しますけれども、こうしたところへのまちづくりは置いてけぼりということでは、行政としてあってはならないことだというふうに考えております。都のイニシアチブは、こうした周辺地域の住環境についてこそ注がれる必要があります。こうした地域については都と区が主体となって、住民の声を反映しながら、地域の商工業の育成や緑化スペースの拡大など、そうしたシステムをこそ知事本部が重点的に政策形成を図るべきと考えますけれども、最後にこのことを求めて質問を終わりたいと思いますが、ご答弁をお願いいたします。

○中田企画調整担当部長 都が進めている大きな流れといたしましての都市再生、そして、今回の先行まちづくりプロジェクトが、多くの都民を置き去りにするのではないかという懸念、意見でございますが、それは誤解でございます。
 都市再生のねらいは大きく三点あるかというふうに思っております。一点は、経済を活性化させ、長期的に都民生活の向上につながることを目的としているということで、先ほど来いいましたけれども、急速にグローバリゼーションが進む中で、東京が国際競争力に勝ち抜き、我が国経済の活性化を先導することなくして豊かな都民生活はないということが一点でございます。二点目として、都市再生の内容でございますが、環境改善そのものへの対応であるというふうに考えております。三環状道路など都市計画道路の整備は、交通渋滞の解消とともに大気汚染による環境負荷を低減する効果を持ちます。さらに、民間プロジェクトと一体となった市街地の再開発は、良質な住宅供給は当然のことといたしまして、緑やオープンスペースを確保し、生活の場としての環境改善全般を向上させ、防災性の向上という観点からも極めて有効であるというふうに考えております。三点目は、直接的にオフィスだけではなくて、住宅や、先ほどいいましたオープンスペース、福祉施設、こういったものも供給するということでございます。先ほど南青山の例でご説明しましたが、公有地スペースを活用した南青山の事例では、グループホーム、保育園、こういった福祉施設の供給もされております。
 こうした公共によりますインフラ整備と優良な民間プロジェクトをあわせ進めるのが都市再生の取り組みでありまして、今回の先行まちづくりプロジェクトもそうでございます。都市再生、そして、それとあわせまして進めます先行まちづくりプロジェクトは、あくまで豊かで快適な都民生活を実現することを目的としております。

○木村委員 古館さんの発言に私の名前が出てきましたので、先ほどの前川発言について一言申し上げたいと思います。
 委員の質問と当局の答弁とは、論と論のやりとりであったわけですね。それに感想はいろいろお持ちでしょうけれども、いきなり疑心暗鬼だというような決めつけというのは、やっぱり論と論を闘わせていることに対する発言としては、こういう一般的な形容詞でもって決めつけるのはいかがかというのが一つです。
 同時に、道州制をあたかもすぐやるかのようにいうという話がありましたが、私が聞いている範囲ではそんなことはいってないと思うんですよ。むしろ道州制をあたかもすぐやるかのようにいっていたのは都側の方であって、石原知事の側であって、ビジョンⅠの第三部のところにビジョンⅢの方向というのが記されていて、そして、そこに、道州制を視野に入れて東京から新たな自治制度を発信していくというくだりがあることは事実ですね。それで、知事のいろんな言動、発言を見ても、その腹の中に、気持ちの中に、新たな自治制度として道州制を視野に入れた広域な自治体制度を発信したいということは、これまで発表されたアクションプランなどを読めば、これはわかることです。
 ところが、実際はそれが現実にならなくて、現にビジョンⅢもまだ発表されていない、それがなぜなのかと。どうして予定どおりいかないのかというところがいろいろ問題であって、古館さんのいろんな質問のモチーフも、結局、東京都が新たな自治制度を発信するためにも、基礎的な自治体などとの関係で地方自治の大道を踏み外すようなことが幾つもあるからじゃないかという問題の提起がされたんだと私は思うんですね。そこは、だから、本当に解明していかなきゃならない問題だと思うんです。
 それから、もう一つは、長野県の話が紹介をされて、住民との対話が非常に進んで、公開されているという紹介があったんですけれども、そういうことは美濃部の時代から東京都は既にやってるという反論がありました。これは、美濃部都政のときにやっているけれども、今やってないというところが問題なんで、鈴木都政になってからもタウンミーティングがあったし、青島都政のときにも障害者団体と知事が会うという場面もあったんですけど、石原さんになってから、都民と議論する会というのが何回か持たれて中断。今は、知事と住民団体が会うなんてことはとてもできないという事態になっているじゃないですか。
 そういう意味で、美濃部のときからやっているといういい方というのは、これはまさに時間と空間を飛び越えたようなお話だと。これはやっぱり反論としては極めて現実から離れているということを指摘しておかざるを得ないと思います。
 以上です。

○渡辺企画調整部長 ただいま木村委員の方から、論と論を闘わせていくべきであるという大変本筋のお話がございました。知事本部長の方から疑心暗鬼という言葉を使ったのは、総じて論理としての組み立て方が、一定の仮設に偏り過ぎているんではないかということで、わかりやすく表現したということだと理解してございます。そういう点で、逆に知事本部長の言葉を余りにも疑心暗鬼で受けとめ過ぎでおられるんではないかというぐあいに感じました。
 次に、道州制についてでございますが、ビジョンⅢはなぜ出ないのかということでございますけれども、行財政基本問題特別委員会におきまして審議事項を委員会の場で定めまして、順次検討していこうと。それで、この点につきましては、理事者側と議会の両方が、それぞれ協力して議論を闘わせていこうではないかというぐあいな進行順序になっていたように記憶してございます。ですから、そういう点で私どもも、議会の議論と相まってビジョンⅢを出していくのが本筋ではないかと思っておりますので、理事者側、あるいは都側が先行して出すというのはいかがなものかなと。その辺、先生、お忘れになったんではないかと懸念をしております。
 それから、三点目のタウンミーティングでございますけれども、これは知事も十回ほど、知事と議論する会ということで、単なるお話し合いではなくて大いに議論していこうということが、これからの都政の発展のためには役に立つのではないかと私どもは確信してございます。

○大西委員 では、ストレートにお尋ねしたいと思います。来年度予算にかかわる質疑ということで、私は東京構想二〇〇〇から質疑していこうと思っているわけですけれども、その前提として、突然なんですが、本部長に基本的な事柄を質問しておきたいと思っております。
 首都圏を含めまして東京の自治を考える場合、分権改革との関連を考えざるを得ないわけですけれども、確かに分権一括法によって戦後最大の制度改革がなされ、機関委任事務が廃止となりました。そして、明治以来の地方自治体の首長を国の機関とするあり方が廃止され、自治事務と法定受託事務とされたことは画期的なことだと、今、改めて思うんです。むろんこの改革には限界や不十分さがあり、公共事業の、国から地方自治体関係の改革とか、それから、補助金及び財源の問題など、課題は確かに残っております。しかし、地方分権のこういう最大の課題であるこれらの権限と財源をおろせば、自動的にうまくいくわけでは、ある意味、ないわけということもまだあるわけですが、そういう意味で都は、こうした体制づくりの先頭に立たなくてはならないと思っております。
 また、こうした分権は行政界の分権にとどまらず、第三の分権、市民への分権イコール施策決定の市民参加を進めていくことだと思っております。そこまでの分権が必要ということが私たちの立場なんですけれども、具体的に、では、市民参加というのは何なのかということは、市民参加型の施策決定ルールを制度化することや、それから、住民投票制度を制度化する市民参加条例の制定を積極的に検討すべきだと考えています。
 こうした点から考えますと、国からの分権はともかく、都からの分権という点では、このところやはり遅々として進まないばかりか、これらの東京都の石原知事以降の施策を見てみると、しゃれ街条例、都市再生、教育ビジョンなど、やはりそういう分権に逆行した動きも感じられます。そういう意味で、本部長としてこうした分権についての考え方をまずお聞きしたいということ。
 そして、もう一つ、私は自治基本法、そして自治基本条例を柱に、市区町村への分権推進を中心にした改革を進めていくことを基本とすべきと考えているんですけれども、そうはいいながら、これらを超える都や、あるいはまた都から広域的な課題についても、いろんな自治体を媒介--問題があるわけですが、そういう中でも、あくまでも基本はやはり基礎自治体を媒介として積み上げる政策的な広域連合を推進すべきだと考えております。
 先ほど補完性の原理とかもいろいろ議論がなされましたけれども、実際、この問題では、東京圏レベルではディーゼル車対策の環境問題や、それから消費生活条例等、実態として広域連携が国の政策を動かしているわけです。そういう意味では、これまで七都県市はこうした観点で、東京への集中を展都という形で実践してきたわけですけれども、やはり今ここに来て、都市再生、そして環状メガロポリス構想は、これまでの路線と矛盾するのではないかと。この二つがどうしても気になります。そういう意味で、この二つの点について、つまり分権と、それから集中という意味で、この二点で知事本部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○前川知事本部長 突然のお尋ねでありますが、私はいろいろ論を闘わせるのが好きでありまして、こういう答弁の機会を与えていただくと大変ありがたいと思っております。感謝を申し上げます。
 まず、分権でありますが、当然ながら国から都道府県、さらには都道府県から、それから区市町村へという、特に身近な福祉なりまちづくりなりが、そういう基礎的な自治体で賄われる、担われるべきだというのは、これは当然であろうと。そういう意味で先ほど古館委員のご質問にも、ご質問というか古館委員にもお答え申し上げましたように、それは補完性云々といわなくても当然であろうという趣旨で申し上げたわけであります。
 そこで問題は、じゃあ、都としての広域的ないわば責任と、区市町村のいわば基礎的自治体としての責任と、どこでどう線を引くかという問題でありますけれども、これはやはり一義的にはいえないであろうと。例えば今お話もありましたが、ディーゼル車の問題であったり、あるいは羽田空港の問題であったりとか、こういった問題はある意味では都圏域を超えてやらなくちゃいけない。そういう意味では、道州制になるかどうかわかりませんけれども、いわばそれを、ある意味ではですよ、ある意味では先取りするような形でやらざるを得ない局面もあるし、当然、都内であっても、区市町村の領域を超えて取り組むべき課題も山積をしている。
 お答えになっているかどうかわかりませんが、私は当然の議論として、区市町村を最優先した自治は当然推進されるべきでありますが、ただ、それ万歳とだけはいっておれないと。当然ながら広域自治体としての都の責任、それからまた、それを超えた連携について具体的な課題を処理しながら対応していくのかなと、大体そういうふうに、余りはっきり申し上げられませんけれども、そういうふうに考えております。

○大西委員 ありがとうございます。突然で申しわけございませんでした。
 そのお聞きした中で、東京構想二〇〇〇について聞くんですけれども、まず、知事本部として平成二十七年までの長期計画である東京構想二〇〇〇をどのように位置づけているのかとか、その上で今回の重要施策との関係、これからちょっとお聞きしたいと思います。

○中田企画調整担当部長 東京構想二〇〇〇の総論部分でございますが、これは人口や経済などにつきまして、策定時点での一つの将来への見通しを示したものでございます。一方、各論でお示ししました今後の取り組み、あと、三カ年推進プラン、これらは都の取り組みを具体的に示した計画と位置づけております。
 次に、今回の重要施策でございますが、政策から執行体制まで含めた都政の構造改革を推進する戦略指針としての位置づけでございます。東京構想に掲げました施策、事業の大半は、個別課題に応じまして経常的に実施していくものというふうに位置づけております。中には重要施策に考え方を引き継いでいるものもございます。

○大西委員 東京構想二〇〇〇では、本格的な人口減少時代が到来するとしているということが書いてありました。この問題については先日の予算特別委員会で、その認識に変化はないかという私どもの大河原の質問に対して、やはり長期的に見て東京に人口減少時代が到来するの認識は変わらないと。しかし、近年、区部を中心に人口回帰現象があらわれ、市部においても人口増加が続いているわけで、直近の推計では人口がピークに達する時期は、構想で想定した二〇一〇年ごろよりも数年おくれ、その時点での人口も多くなるという答弁がありました。そういう中で確かに、このところ都心への回帰というものはあるわけで、そういう意味では--それと、さらにセンター・コア、都市再生の動きの中で都心への集中というものをより加速させているということはあるわけですけれども、もともと東京の一極集中問題というものがあって、一たん東京都としての方向は、もう少し広域に分けなきゃいけないということが出ていた。そして、さらにもう一回戻したということは、いろいろご意見あると思いますけれども、この一極集中問題の解決というのは、ある程度なされたということがあるんでしょうか。そういう認識のもとに行われているんでしょうか。

○中田企画調整担当部長 経済のグローバリゼーション、情報化、IT化が急速に進む現代にありまして、集積こそ都市の活力の源泉であるというふうに考えております。集積は悪ではないと。東京への集積が我が国の活力の源泉ということは、これ事実でございまして、国土の均衡ある発展を目指す時代ではありません。首都圏全体をにらみながら、絶対的に不足する道路、交通網の整備や、民間プロジェクトと一体となった市街地再開発を進めていくことが重要であると考えております。こうしたことによりまして、交通渋滞の解消、大気汚染などの環境改善、良質な住宅供給やオープンスペースの確保策、こういった都民生活の質の向上を実現させることができるというふうに考えております。

○大西委員 先ほども都市再生の目的というところで、経済の活性化、国際競争力、環境改善ということが挙げられていたわけですけれども、もともと国際競争力をなくした、東京がなくしてしまった原因というのは何だとお考えでしょうか。

○中田企画調整担当部長 我が国、特に東京が国際競争力を失ったという理由については、さまざまな原因があるかと思います。一つには、例えば労働、雇用の賃金単価が総体的にやはり高くなってきて、それがコストにはね返りまして、基本的には、対外的に競争力が失われつつある。あるいは、これは重要施策でも指摘させていただいたわけですけれども、我が国の今までの社会システムを支えていたものが、制度疲労という形で、さまざまな点で行き詰っている。こういったさまざまな複合的な要因によりまして、我が国の国際競争力が失われている、あるいは、その原因に対して、例えばインフラ整備であるとか、そういった点について国が中心となって余りにも怠慢であったと。そういったことが大きな原因ではないかというふうに思っております。

○大西委員 それに加えて、私はやっぱり東京が余りにも地価が高かったということ、それから、今それを取り戻そうという中で高度化を進めていくということですけれども、やはりそれにも、世界のレベルから比べたときには、まだまだ限界が、ハードルがというんですか、高いなというふうに思いますし、あと、環境の問題も大きな要素だと思っております。
 今、今後の社会は人口減少、これは一時的にはふえても、やっぱり今後的には日本の人口は減っているわけですから、東京といえども、その余波があるわけです。だから、人口減少や環境面での制約等を踏まえ、やみくもに経済成長を追い求めることはやめ、地域コミュニティを充実させることにより豊かさを実現していく定常型社会という一つの考えがあります。そういう意味でも、この定常型社会というのは、やはりある意味、東京が進む中で、その考えに私は入れていくことが必要だと思ってるんです。それを考えたときに、現在都が進める都市再生の取り組みや、人口や諸機能の集積による国際競争力の強化や経済活性化などを目指しているこの都市再生は、どうもそれを非常に無視しているというんですかね、そこには考えたくないというような気持ちがあるのかなというふうに思うんですけれども、こういう定常型社会に対する都の見解というのを教えてください。

○中田企画調整担当部長 定常型社会は、千葉大の広井先生なんかがおっしゃっている概念なのかと思いますけれども、私ども、経済は生き物であって、特に現代にありましては世界経済は大きく変動しておりまして、急速なグローバリゼーションが進んでおります。世界経済は一体化しているというのが現状認識であることは間違いないかと思います。このような時代にあって、東京が国際的な都市間競争に勝ち抜きまして、日本経済の活性化を先導することなくして豊かな都市生活はあり得ない。都市再生の目的は、先ほど来申し述べてるように、ここにあります。
 市街地再開発は、先ほど来いっておりますけれども、オフィスビルの更新だけではなく、都心部での良質な住宅の供給や緑とオープンスペースの確保をあわせ進めるものでございます。また、都市再生によります三環状、こういった道路の整備によりまして、大気汚染の改善など環境の改善に大きな効果がありまして、当然ながら都市再生の取り組みは環境にも十分配慮しながら進めております。都市再生と環境改善、定常化社会という考え方でございますが、単純に対比させるという考え方そのものが、かなり問題ではないかなというふうに思っております。

○大西委員 単純にその考えを押しつけるということじゃなくて、そういうことの考えに対するご見解はいかがですかということで聞いたんです。
 それと、良質な住宅というのは、知事本部が目指す良質な住宅というのは、どういうイメージなんでしょうか。

○中田企画調整担当部長 良質な住宅という概念でございますが、これは、質というものはさまざまな価値観が、受け取る方によりましてあろうかと思います。そういった中で、一般的にいいますと、同じ値段であれば少しでも広く、あるいは少しでも近く、あるいは少しでも質の、いわゆるクオリティーですね、この部分がいいというふうになろうかと思いますし、そこら辺の判断基準によりましてかなり違うわけですけれども、一般的に今申し上げたような形で良質な住宅というのが、対象者によって違いますけれども、一般的には先ほど私がいいましたような形で決まるのではないかというふうに思っております。

○大西委員 そういう効果があったのか、最近の東京を見ますと、東京都心でマンションブームが起こっておりますし、人口が増加し、そして、かつ一戸当たりの居住面積も増加しているわけです。そういう意味で非常に良質な住宅が、ある意味供給されているということがいえるのかなと思っております。移転してきた人は、やはり若い世代、そして、郊外から戻ってきたという感じの人が多く、職住近接が東京都心でも実現している。このことは本当にやはり悪くはないと思っております。
 しかし、一方でオフィスは旺盛に都心で供給されているものの、従業者は減ってるのではないかとか、それから、東京が、いわゆる東京が競争相手としております近隣諸国、アジアの香港や上海、シンガポール、そういうところのセンター等と比べて、やはり魅力が低下しているという指摘はまだまだあるわけです。そういう意味では、先ほどから東京の国際競争力というものがどうなのかということもちょっとお話ししてきたわけですけれども、やはり三千三百万人の都市圏という東京圏の巨大さ、これが非人間的な居住環境を形成しているのではないか。そういうことで、なかなか外国からのそういう、今、東京が待ちかねている、居住者が多くならないということが、この中ではいえるんじゃないかなと思っております。
 そういう意味で、都心回帰やオフィスビルの建設ラッシュは、やはり無邪気に喜んでいるばかりではない時代、東京だけで日本の新たな発展があり得るのかということを真剣に考えていくときじゃないかなと、今の答弁をお聞きしながら思っております。この辺も少し考えていただきたいなと思っております。
 それから、市民参加ということから一つお聞きしたいんですけれども、まちづくりについて、まちづくりに関心を持つ市民がとてもたくさんいるわけです。ましてや東京という大都市には、そこに住む人たちだけではなく、そこに来る人、それから近隣からやってくる東京の町を常に感じている人たち、そういう人たちにとっても非常に関心があるわけで、今回のように都市再生の中で先行まちづくり、それからしゃれ街条例、大型プロジェクトが出るときには、だれかがやはり何かをいいたいというような、そういう思いがたくさんあると思います。
 そういう意味では、そういう市民が広範に、その地域だけではなくて、もっと広くそういう物をいいたい人たちを集めるような制度が一つ必要だということと、それから、開発には必ず利権というものが絡み、利害関係が生じるわけですから、それ以前の住民合意というんですか、その形成のあり方というものも、もっともっと本当に東京都は真剣に考えなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○中田企画調整担当部長 まちづくりに際しての、広く住民の意見を求めるべきだ、あるいはまた合意形成についてのというご質問かと思いますけれども、これまでも東京都におきまして、まちづくりの実施に当たりましては、都市計画の手続であるとか、あるいはアセス、こういったものを通じまして必要な情報を提供いたしまして、広く都民のご意見を聞きながら進めているところでございます。都市再生の取り組みにつきましても、都民福祉を増進するということを目的として、今いったような制度にのっとって進めていきたいというふうに考えております。

○大西委員 先ほどの、良質な住宅のところでもう一ついわせていただきたいんですけれども、確かに値段と、それからスペースということは非常に大きな意味があるわけですけれども、やはり少子高齢化社会の中で、老人や、それから子どもを育てる世代が本当にそういう、今東京都が目指してる住宅だけで良質な住宅といえるかどうかということをちょっと考えていただきたいなと思っております。やはり高層の巨大な住宅に住むということは、子どもたちにとって、それから、本当に高齢者にとって、非常にある意味マイナスの部分もたくさんあるわけです。あえて今そこに目をつぶって、とにかくやり遂げたいというような気持ちがあるんですけれども、都心の住宅というものも、もっともっと、それだけではない、箱型ではない、いろんなやり方があると思いますので、そういうものも少し広く考えていただきたいなと思っています。
 今までの答弁の中で、なかなか質疑はかみ合わないわけですけれども、私からいわば二つの点を強調しておきたいと考えます。
 やはり今の都のあり方は、東京の集中であり、また、東京の一人勝ち、分権の逆を行っているということをいわざるを得ないと思います。むろん私は、これまでの行政のあり方を変えようとする方向は賛成です。場合によっては強いイニシアチブもそういうときは必要です。しかし、その方向こそが鮮明でなければならないと考えております。
 そこで、ちょっと古くなりましたけど、英国の例が参考になるんじゃないかなと思います。英国では、サッチャー元首相が規制緩和と行政改革で大なたを振るい、英国病とまでいわれた経済は回復したわけですが、その結果、富める地域と荒廃する地域との格差が広がり、貧富の差もますます激しくなってしまいました。九〇年代に入ってからは、この格差を是正し、コミュニティを活性化させるためのさまざまな施策が打ち出されました。その一つに、これまでもネットはいっておりますが、SRB、日本語で訳しますと包括的都市再生予算があると思います。荒廃した町をよみがえらせるには、そこに住む地域住民が主体となったまちづくりを行うしかないということに気づいて、地域に根差したNPOとのパートナーシップによる事業に予算をつけていきました。これが包括都市再生予算です。
 この予算を措置する基準なんですけれども、地域の人たちの参加がどれだけ得られるか、それから、地域のパートナーシップができているか、そして、その事業が費用も含めて地域にどれだけの活気をもたらすかということが、その包括補助金を、予算をつける基準になっています。審査は非常に厳しいものですが、すべての縦割りをなくし、コミュニティの包括的なニーズに対応できるようになっています。この手法が地域の活性化をもたらしたといわれております。
 今回の予算編成の中でも、やはりNPOとかパートナーシップはいわれているわけですけれども、実際にはなかなかNPOに対する認識というものがなされてない。確かにいろんなNPOがあります。そういう意味では警戒なさるという気持ちもわかるんですけれども、先ほどいいましたように、ちゃんとした入札時点でのクリアさ、それから審査、こういうものをしっかりやれば、そういうものが可能になってくるわけですので、ぜひこれからの都政にそういうものを生かしていただきたいということを強く要望して質問を終わります。

○矢島委員 平成十五年度の知事本部予算、二十億の増額要因であります先行まちづくりのプロジェクト推進、集中的な渋滞対策等については、新生間もない知事本部が直接ハードに係る事業を担うことは、これまでなかったんではないかと思いますが、事業内容は既に我が党の倉林副委員長が先行まちづくりのプロジェクトについて伺っておりますので、知事本部所管となった意味と経緯、その後の扱いについてお伺いをいたします。
 また、知事本部の主要事業のスムーズ・アンド・スピードアップ東京作戦には、生活文化局に計上の違法駐車対策がありますが、この二事業との扱いの違いがあるのか、お伺いいたします。

○中田企画調整担当部長 先行まちづくりプロジェクトは、先ほど倉林副委員長へのご答弁で申し上げたように、これまでのまちづくりにさまざまな課題があることを踏まえまして、公有地スペースや民間活力を活用した地域のまちづくりの新たな仕組みを構築し、実施する事業でございます。集中的な渋滞対策、スムーズ・アンド・スピードアップ東京作戦でございますが、これまでの生活文化局所管の違法駐車対策に加えまして、各局が個別に所管していた交差点の施設改善、バスベイの設置など、渋滞対策のさまざまな事業を取りまとめまして、ハード、ソフト両面から対象路線、区間の特性に適しました対策を組み合わせて、集中的に実施する事業でございます。したがいまして、スムーズ・アンド・スピードアップ東京作戦は、違法駐車対策を含めた総合的な渋滞対策事業であるというふうに位置づけることができるかと思います。これらは、事業のやり方自体を新たに組み立てるものでございまして、具体化を検討する際に、関係局間の調整や取りまとめが必要となることから、知事本部に予算を計上したものでございます。

○矢島委員 知事本部の役割はいろいろな場面でいわれておりますけれど、縦割り、所管に縛られた東京都の行政に横軸を通すことで、都行政の効率を高め、持てる多様な力を目的のために統合して有効に発揮するもの、一般的にいえばこういうことになろうかと思いますが、新規二事業も各局にまたがる所管の決めにくい事業を知事本部事業として直接取りまとめて、軌道を見定めた上、事業局に引き継ごうというふうに私は解釈をしておりますが、今後、これまでの重要施策を選定するという方法を一歩進めて、このような方法を活用して、知事本部の総合調整機能をさらに強化していくべきではないか、私はそのように思います。この点について、まずお伺いいたします。
 そして、このことは、新規、横断的、所管の決めにくい事業ばかりでなく、既に取り組まれている事業についても、多くの所管にわたり、そのボリューム、影響範囲の大きさなど、状況に応じて知事本部が司令部になる必要が今後生じてくるんではないかと思いますが、この点についてもお伺いいたします。

○中田企画調整担当部長 知事本部の総合調整機能をさらに発揮すべきことは、ご指摘のとおりでございます。それには、進まないまちづくりを打開するために新たな仕組みを構築した今回の先行まちづくりプロジェクトのように、一時的に知事本部が予算を確保いたしまして組織横断的に事業を実施していく方法や、各局横断的な検討組織を設置するなどして庁内連携体制を確保する方法など、さまざまな方法があろうかと思います。また、既存の個々の事業につきましては、基本的には各局が実施するのが基本であると考えておりますが、中には、例えば大気汚染訴訟への対応のように、都政の重要課題に対して全庁的視点から対応すべきものは、知事本部が実質的な調整を図るということも実際やってきております。知事本部が総合調整機能を発揮するに当たりましては、それぞれの課題に適した方法を今後ともとっていきたいというふうに考えております。

○矢島委員 予算書によりますと、知事本部はわずか百四十名で、秘書業務から報道、政策、企画調整、政策評価までこなすことになるんでありますけれども、このためには大変な努力と何らかの工夫をしているというふうに思います。しかし、さらに、今回の二事業のように、知事本部が取り組むと、専門性とマンパワーの上で不足を来たすことにならないか。この場合、スタッフの、民間でいうところの出向、また、一時転籍など、柔軟な対応の必要が生じるように私は思います。どのように考えるか、お伺いいたします。

○中田企画調整担当部長 先ほど申し上げましたが、総合調整機能を発揮する方法にはさまざまな方法があろうかと思います。それぞれの課題に適しました方法をとっていく中で、人員についても柔軟な対応が必要となるということもあろうかと思います。状況に応じまして判断していくというふうに考えております。

○矢島委員 最後に、私は、石原知事誕生の時代背景と知事本部が担っている役割には共通のものがある、このように思います。これまでは縦割り所管と行政内部のネットワーク社会が、漸進、少しずつ進む拡大時代の対応を、大変いい形で進めていたといえないこともないと思いますけれども、現在のように先の見えにくい時代では、そのままではかえって新しい取り組みを生みにくくする。このようなときこそ、迅速果敢、柔軟な石原知事のトップダウン方式が有効となるように私は思います。つまり知事が一般質問の答弁でいみじくも、東京の中にある先鋭的な問題を解決するために新しい施策を講じるということの積み重ねで、これからの東京の社会としてのあり方が造形されていくと思うと語った内容を実現する行政の先頭機関車が知事本部であり、その責任はまことに重い、このように思います。
 構造改革のためには、悪いところを押すような形ではなくて、先頭に立って、先ほど申し上げたように、事業を積極的に知事本部が取り込みながら、それを、一つの方向を見定めて、手法も、方法も、そして向かうべき道もしっかり努力していくことが必要であろうと私は思います。新しい社会に向けて都庁を先導する知事本部が果たさなければならない役割、そのためには、知事本部の組織のあり方について、取り組みの最前線に位置する企画調整部長にお伺いをいたします。

○渡辺企画調整部長 東京の危機を克服するためには、直面する課題を解決する具体的な取り組みを積み重ねていく必要があると、知事が一般質問でお答えしたわけでございますけれども、こうした考え方にのっとりまして知事本部ではいろんな施策を実施してきております。重要施策も、このかなめになったものだと思っております。そこで、重要施策に示しました施策事業、その他、都政の課題、重要課題の解決に向けましては、今後とも横断的、総合的な取り組みを行っていかなければならないし、また、行っていくつもりでございます。
 知事本部の役割につきましては、今申し上げたようなことでございまして、今後とも各局の仕事を総合的、横断的に調整して、取りまとめていくということになりますけれども、具体的な調整につきましては、課題の性質によってさまざまなものがあろうかと思います。都政全体が総合的な力を発揮して、都民生活の向上、福祉の向上のために全力を尽くしていくと、それが都庁のあり方であり、私どもの公務員としての心構えだと認識しております。よろしくお願いいたします。

○矢島委員 今お話ございましたけれども、一番最初に申し上げたように、予算規模二十億の新しいプロジェクト、知事本部が所管をするということに、新しい時代の始まりをまたある意味では感じないこともありませんので、何回も申し上げますけれども、学生と違ってプロは結果を出さなきゃいけませんので、ぜひ一つのいい形になりますように、今後の努力を期待をいたします。
 終わります。

○名取委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○名取委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会します。
   午後二時四十五分散会

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