ロゴ 東京都議会

Tokyo Metropolitan Assembly

財政委員会速記録第十二号

平成二十九年九月二十九日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長まつば多美子君
副委員長小松 大祐君
副委員長石川 良一君
理事増田 一郎君
理事上田 令子君
理事曽根はじめ君
おじま紘平君
伊藤しょうこう君
うすい浩一君
藤井あきら君
清水やすこ君
いび 匡利君
宇田川聡史君
長橋 桂一君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小室 一人君
契約調整担当部長五十嵐 律君
主計部長松川 桂子君
財産運用部長山根 恭子君
利活用調整担当部長鈴木 光祐君
建築保全部長永島 恵子君
技術管理担当部長中山  衛君
庁舎運営担当部長米今 俊信君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君

本日の会議に付した事件
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百四十一号議案 有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他工事請負契約
・第百四十二号議案 都立八王子地区第二特別支援学校(仮称)(二十九)新築工事請負契約
・第百四十三号議案 都立光明学園(二十九)西棟新築工事請負契約
・第百四十四号議案 民間社会福祉施設建替促進施設(二十九)新築工事請負契約
・第百四十五号議案 東京都清瀬喜望園・清瀬療護園(二十九)解体工事請負契約
・第百四十六号議案 東京消防庁赤羽消防署庁舎(二十九)改築工事請負契約
・第百四十七号議案 東京消防庁三鷹消防署庁舎(二十九)改築工事請負契約
・第百四十八号議案 有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他電気設備工事請負契約
・第百四十九号議案 有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他空調設備工事請負契約
・第百五十号議案  有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他給水衛生設備工事請負契約
・第百五十一号議案 夢の島公園西地区護岸改修工事(その四)請負契約
・第百五十二号議案 夢の島公園東地区護岸改修工事(その三)請負契約
・第百五十三号議案 有明テニスの森公園(二十九)施設改修その他工事請負契約
・第百五十四号議案 善福寺川整備工事(その百四)請負契約
・第百五十五号議案 外濠(市谷濠、新見附濠、牛込濠)しゅんせつ工事請負契約
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・「平成二十八年度東京都年次財務報告書」について

○まつば委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託されました契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百四十一号議案から第百五十五号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 私の方からは、この第三回定例会に提出されました工事請負契約議案について伺いたいと思います。
 財務局が取り組んできた入札契約の制度改革でございますが、六月の二十六日に公表する案件から施行が開始されておりますが、本議案につきましては、改正前の制度が適用されると伺っております。例えば議案のうち四件は、一者希望ということでありますから、新制度であれば中止ということになり、再公表という手続をとることになります。
 一者入札を中止し、入札の透明性や公正性、競争性を高めるという新制度の趣旨は理解できますけれども、一方で、都民の生命と財産を守るための、いわゆる命にかかわる、そうしたインフラ整備事業が一者入札の中止によって事業がおくれると、都民の安全と安心が脅かされるおそれがあります。
 そこで、一者入札の中止による事業への影響をどのように抑さえていくのか、見解を伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の入札契約制度改革では、競争入札におけます契約の透明性、公正性を高めるため、一般競争入札または希望制指名競争入札に希望申請してきたものが一者以下の場合に、入札手続を中止する取り組みを試行として実施しております。
 まず、一者中止に至ることがないようにしていくことが大変重要であることから、市場価格とのギャップがない適正な予定価格の設定、それから事業者に無理を強いることのない適切な工期や工程の設定を行うとともに、設計図書に施工条件や内容をより詳細に明示することなどによりまして、より多くの事業者の方が入札に参加しやすい環境の整備に努めてまいります。
 それでもなお、希望者が一者以下で入札が中止となった場合には、工事連携部署と連携いたしまして、企業実績や過去の施工実績といった入札参加条件などを再度検討した上で、速やかに再発注を進めることで事業の進捗に大きな影響が出ないようにしてまいります。
 なお、これらの条件見直しを行った上で、再度、希望者が一者となった場合には、入札手続を続行することといたしております。

○うすい委員 ただいまご答弁いただきましたように、まずは、希望者が一者とならないことが重要ですので、適正な予算価格や工期の設計に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、この第三回定例会に提出された議案の中には、落札率が八〇%を切るなど、落札率がかなり低い案件が見受けられます。特に、有明テニスの森及び有明コロシアムの改築に係る建築工事及び電気工事については、低入札価格調査を経て落札決定されたと伺っております。
 低入札によって工事品質の低下、また、下請事業者へのしわ寄せ、それから労働者の賃金カットなどあってはならないことはいうまでもございませんが、そこでまず、低入札価格調査の目的と、今回の契約議案でどのような調査が行われたのか、お伺いします。

○五十嵐契約調整担当部長 低入札価格調査は、工事の品質を確保し、下請事業者へのしわ寄せ、現場従事者の労働条件の悪化等の防止を目的として実施しております。
 調査におきましては、当該案件の内容に適合した履行がなされないおそれがあるか否かを判断するため、対象者から、工事費の積算内訳のほか施工体制に関する資料などの提出を受け、書類の調査及びヒアリングを実施しておるところでございます。
 具体的には、入札内訳書の単価や数量の妥当性の調査、手持ち工事、資材、機械数の保有状況や過去の公共工事の履行状況などを調査しているところでございます。また、下請業者の見積書の工事内容が明確化、下請事業者の単価等が不当に低額に設定されていないかなど、入札価格の算出根拠につきましても調査しているところでございます。さらに、財務諸表等についても調査を行い、企業の経営状況についても問題がなく、確実な履行が可能だということを確認した上で契約をしているところでございます。

○うすい委員 今回の制度改革では、より競争環境を高めることを目的として、低入札価格調査制度の適用を拡大したと伺っております。この適用範囲については、我が党からの意見を踏まえ、中小零細企業へ配慮して財務局契約の一部に限定したわけですが、それでも、それなりの数の低入札価格調査が実施されることになります。
 これまでは、大部分の工事で最低制限価格を適用していたこともあり、都が実施してきた低入札価格調査では、基準額を下回り失格になった例がほとんどないとも伺っております。
 低入札価格調査制度の適用範囲の拡大に当たって、ダンピング防止や将来の担い手の確保という品確法の趣旨を反映するために、新しい制度では、低入札価格調査を厳格化すると聞いておりますけれども、どのように見直したのか、お伺いします。

○五十嵐契約調整担当部長 従来は、最低制限価格を適用していた工事案件に対しまして、低入札価格調査制度を適用することになることから、改正品確法で発注者の責務とされている、将来にわたる公共工事の品質確保とその中長期的な担い手の確保、ダンピングの防止に向けて、低入札価格調査制度を厳格化し、その実効性を確保していくことが大変重要と考えております。
 このため、今回の制度改革に当たりましては、調査マニュアルを改正いたしまして、工事成績評定で六十五点未満のものがあった場合には失格とする工事成績判断基準を導入すること、積算内訳書が従来の特別重点調査基準に該当した場合には失格とする数値的失格基準の導入、それから社会保険未加入者と下請契約を結んでいないかどうかを確認いたします履行状況調査などを実施することといたしておりまして、厳格な調査基準を明確に定めることにより、適切に運用をしていくこととしております。

○うすい委員 低入札価格調査制度も、それから最低制限価格制度も、ダンピングを防止し将来の担い手を確保するという点では同じだと思いますけれども、低入札価格調査制度がきちんと機能するかどうかについては、これは都の運用のあり方にかかっております。新しい制度による調査も既に実施されていると伺っておりますけれども、ぜひ適切な運用に努めていただきたいと思います。
 今回は、付議議案に係る一者入札と低入札価格調査について伺ってきましたが、入札契約制度改革については、JV結成義務の撤廃に関して見直しを求める声も聞こえております。都は、こうした意見にも耳を傾けながら、よりよい制度に向けて適宜見直しを行い、入札の競争性や透明性の確保とともに、公共事業の担い手の確保につながる取り組みを進めていくよう強く求めて質問を終わります。

○伊藤委員 こんにちは。このたび、初めて質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、十五件の付託議案についてですが、東京都が結ぶ契約のうち、議会の議決が必要なのは、予定価格九億円以上の工事または製造の請負契約となっております。
 私は、八王子の市議会を経験しているんですが、八王子市議会の議決では、二億円以上ということなので、やっぱり東京都はスケールが大きいなと思いますし、また、これだけの案件があるんだなと思っております。
 公共事業に都民生活へのさまざまなインフラ整備を行います。同時に、公共事業のあるべき姿については、我々都議会自民党は、都内の努力する中小企業と人材を育成することが大事であると考えております。いいかえれば、公共事業は、都が直接現場を施工するのではなく、入札により契約を行い、対価を支払うかわりに民間事業者に施工していただくので、事業者は一定の利益を受け、税金として還元をされるわけであります。だからこそ、都内業者優先の取り組みがあり、都内業者の育成にもつながっていくと考えております。
 そこで、今回の案件についてお尋ねをいたします。
 今回提出された十五件の工事契約議案のうち、五件が一者入札で、落札価格の三件が九九%、二件がくじ引きと、二件が低入札価格調査制度の適用となっております。
 一方で、ことし都が発表した入札契約制度改革によりますと、今年度の実施方針では、入札参加促進等による一者入札、九九・九%の落札の抑制や品質確保と競争性の向上を取り組みとして四点挙げられております。予定価格の事後公表、JV結成義務の撤廃、一者入札の中止、低入札価格調査制度の適用拡大とありました。今回が、新制度前の、六月二十六日以降の公表案件の前ということになりますので、ちょうど境目となりますので、対比をしながら質問をさせていただきます。
 まず、一者入札についてお尋ねをしたいと思います。
 今回、十五件中五件が一者入札ということになっております。すなわち審議案件の三分の一となっておりますが、内容は全て学校の新築とかスポーツ施設とか、どれもこれも都民にとって大事な事業ばっかりであります。
 広く公募をした結果として、一者入札になってしまった原因をどのように認識しているのか、まず、お尋ねをいたします。

○五十嵐契約調整担当部長 一者入札になる原因につきましては、発注する案件やその時期などによってそれぞれ異なると考えられ、個別具体的に分析することはなかなか難しいところでございますが、一般的に入札参加者が少なくなる場合としては、同時期に同種の発注があり事業者が他の案件に分散すること、事業者の手持ち工事が多く、工事に必要な技術者が確保できないこと、それから施工に当たって特殊な技術や機材が必要であったり工事現場に制約が多いことなど、そういった施工の困難性などが挙げられるところでございます。こうした事項が複合的に影響し、先生ご指摘の五件につきましても、結果として一者入札になったものと考えております。

○伊藤委員 ただいまご答弁をいただきました。個別に分析することは難しいということなんですけど、今おっしゃった以外にも、予算的なものも大きなウエートを占めているのかなというふうに感じております。
 そこで、今回は契約制度変更前なので一者入札でも可ということになっておりますが、変更におけると、この五件のうち参加希望申請時点で一者しかなかった四者、五件のうち四者は入札中止となります。
 それでは、制度変更後、一者入札を中止する意図や目的はどのようなものを考えているのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 都の入札におきましては、電子調達システムを利用した電子入札を実施しておりまして、入札参加者は開札されるまで他の誰が入札に参加しているかを知ることはできず、たとえ結果として一者入札となったとしても、潜在的に競争がなされているものと考えております。
 一方、入札の結果が一者入札で、かつ落札率九九%であった場合には、その競争の過程が都民に見えにくいことから、都民に疑念を抱かせるおそれがあると認識しております。
 そのため、今回の制度改革では、競争入札における契約の透明性、公正性を高めるため、案件公表時に入札への参加希望者が一者以下の場合には入札手続を一度中止し、より多くの事業者に入札参加してもらえるよう、入札参加条件などを再検討した上で再発注を行うこととしたものでございます。

○伊藤委員 今回は、制度変更前ということで、潜在的に競争がしっかり行われているということでありますけど、変更後は中止になるということになります。特殊技術や、あるいは特殊な案件で、特命とか随契とか、どうしてもいろんな事情で一者という場合には、理由はともかくとして、公平、公正性というのには、疑念というか、課題は残ると思うんですが、一般の案件について、結果として一者入札を今後中止していくというのは、どうも納得がいかないような気がします。迅速な都民サービスの執行にも支障を来すのではないかと指摘をしたいと思います。
 次に、落札率についてお尋ねします。
 今回、十五件中、落札率九九%が三件あります。案件は、有明テニスの森公園などの給水衛生設備、河川の整備、外堀のしゅんせつとあります。そもそも予定価格というのは、公共事業について、人件費や材料費、施工費、管理費、利益等を含めて都が積算して積み上げた合計金額でありますので、既にもう皆さん方もご承知のとおりで、一〇〇%でも、ある意味では適正な価格と、こういうふうに考えてもいいんだろうと思います。
 それでは、今回、落札率九九%が三件あることについて、なぜそのようになったのか、どのように分析をされておられるのか、お伺いしたいと思います。

○五十嵐契約調整担当部長 個々の事業者の入札行動につきましては、都が、その考え方などを逐一把握することは困難でございますが、一般的には、手持ち工事の有無、人員の確保の可否、施工の困難性、工事の採算性などを踏まえた事業者の総合的な経営判断の結果と認識しております。
 今回、議案として提出しております工事契約案件は、制度改革前の予定価格の事前公表制度のもとで入札を行っておりまして、予定価格内での採算のとれなくなるおそれのある施工条件の厳しい工事などでは、落札率が高くなる場合があると考えております。お話の三件につきましても、こうした事情によりまして、九九%以上の落札率になったのではないかと考えております。

○伊藤委員 そういたしますと、今おっしゃったように、いろいろな事情の中で九九%ということになります。予定価格を公表していますから、一〇〇%ということもあり得たわけであります。
 一方で、今度、六月から始まりました入札制度の新しい方式の中の改革方針には、一者入札、落札率九九・九%のような入札結果について、都民の疑念を払拭することが喫緊の課題と、こういったことが背景にあると記載がありますが、それでは、今回の落札率九九%は問題があるとお考えなのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 入札契約制度改革は、より多くの入札参加者を確保し、適正な競争により契約が締結されたことを都民にも目に見える形で制度を再構築し、入札の透明性をこれまで以上に高めることを主眼として実施しているものでございます。
 今回、提案している契約議案の中には、結果として落札率が九九%以上の高落札率になった案件はございますが、制度改正前のルールに基づき、適正な手続のもとで入札が行われていることから、何ら問題はないものというふうに認識しております。

○伊藤委員 ご答弁いただきました。もちろん適正な手続で問題ないと、落札率についても九九%でも問題ないということなんだけど、問題ないことが問題として改正すると、どうもちょっと理解に苦しむんですが、それはしっかり、もう一度原点に立ち返って、本当にあるべき姿というのをお考えいただきたいなと思っております。
 次に、JVについてもお尋ねをいたします。
 国交省のホームページによりますと、共同企業体、いわゆるJVとは、建設企業が単独で受注及び施工を行う場合とは異なり、複数の企業が一つの工事を受注、施工することを目的として形成する事業組織体のことをいいますと、方式に三種類あり、また目的には、大規模かつ技術難度の高い工事の施工に関して、技術力等を結集することによる安定的な施工確保や中小中堅建設企業が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力、施工力を強化する目的で結成する場合などがありますと、こういうようにありました。
 それでは、都では、従来より一定規模以上の工事案件につきまして、JV結成義務を課してきましたが、その目的や効果はどのようなものがあったのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 都に、入札に参加いたします事業者の九割が中小企業であり、公共工事の担い手として、中小企業の果たす役割は非常に大きいというふうに認識しております。
 このため、都が発注する大規模工事案件におきましては、昭和五十年より大企業に対して、構成員に中小企業を加えたJVの結成を義務づけてきたところでございます。
 こうした取り組みにより、一定規模以上の中小企業を中心に、大規模工事案件に元請として参加する機会が得られたことにより、受注機会の確保に加え、技術力の育成などにつながり、地域の公共工事の担い手の育成、確保に一定の効果を発揮してきたものというふうに認識しております。

○伊藤委員 ご答弁いただきました。すなわち、今まで東京都が課してきたJV結成義務というのは、入札に参加する事業者の九割以上は中小企業ということで、すなわち中小企業に沿った、育成に沿った制度というか条件であったんだろうと思います。
 そこで今回の十五件についてお尋ねします。
 十五件中十三件がJVとなっています。この十三件のJVの構成員の内訳について見てみますと、JVの代表会社については、都内企業が三社、都外が十社と都外の方が多くなっております。一方で、出資比率に応じた下位の事業者を見てみると、都内事業者が十三社、都外が計七社と、逆に都内の方が多くなっております。
 そもそも中小企業建設業者を含めた事業者といいますのは、公共事業の担い手という側面もありますけれども、例えば、大雪などの災害時には、東京都と提携を結んで災害復旧をしていただいたり、あるいは地域のさまざまな行事等でもご尽力をいただいたり、そういった役割もあるんだろうと思います。
 今回、入札制度変更後、発注要件からJV結成義務が撤廃され、JVまたは単体企業のどちらでも参加できる混合入札となりますが、今回の案件から見ても、全て私、承知をしているわけでありませんけれども、都内の中小事業者の受注機会が減少するのではないか、こんな不安があるわけでありますけれども、その点どのようにお考えなのか、お答えください。

○五十嵐契約調整担当部長 都では、これまで財務局が発注する大規模な工事におきまして、大企業と、それに準ずる一定規模以上の中小企業を中心にJV結成を義務づけてまいりましたが、都が発注する単体工事や国や他自治体の工事などと比較した場合、入札参加者が少なくなっており、かえって中小企業の入札参加の制約になっていることが考えられます。
 このため、今回の入札契約制度改革では、より多くの事業者が入札に参加しやすい環境を整備するためJVの結成義務を撤廃し、企業単体でも、JVでも応札可能な混合入札を導入することといたしました。
 導入に当たりましては、都内中小企業を含むJVを自主的に結成する事業者に対しましては、総合評価方式において加点を行うほか、従来、JVの構成員でなければ入札に参加できなかった中小企業が、みずからの判断により企業単体での入札参加に加えまして、中小企業同士で結成したJVでも入札参加を可能とするなど、入札参加機会の確保のための配慮を行っているところでございます。
 JV結成義務の撤廃が中小企業に与える影響につきましては、今後実施いたします制度改革の検証の中で、しっかりと確認を行ってまいります。

○伊藤委員 ただいまJVについてお答えいただきました。先ほどは、これまで中小企業の育成とか受注機会の確保、施工能力の向上ということで効果があったと、一方で一部制約になっている面もあると、こんなご答弁であったと思います。
 今回、三月の末に、改革というんですか方針が発表されて、実際六月二十六日から三カ月半、約四カ月弱しかない中で、本当に、入札制度、完璧な方法はないですから、検証しっかりしたのかなという意味でも、ある意味不安というか、疑問点が残るわけであります。
 そこで、財務局長に見解をお尋ねしたいと思います。
 ただいま、今回の案件について、一者入札、落札率、JV等について状況をお聞きいたしました。多くの業界団体からも今回の変更についてはどうなるんだろうと、大変不安が多いと、非常に心配の声が寄せられております。今回の入札結果を見ても、今後の全体像に不安を抱かざるを得ないということであります。
 今後、財務局として、どのように運用されていくのか、その見解をお聞きしたいと思います。

○武市財務局長 入札契約制度は、競争性、公平性、透明性を担保いたしますとともに、品質の確保でございますとか、中小企業の育成、障害者の雇用、女性の活躍促進など、さまざまな政策課題への対応とのバランスをとりながら、総合的に制度を構築していく必要があるというふうに考えております。
 そうした中で、いつの時代にも適応できるような絶対的な制度をつくるというのは、現実的には非常に困難でございますけれども、経済情勢など、その時々の制度を取り巻く環境を踏まえつつ、不断の見直しを図っていく、そうした中で制度を運用していくことが非常に重要であるというふうに考えております。
 現在は、新しい制度につきまして、お話もありましたように、六月下旬以降に公表いたしました財務局の契約案件を対象に試行を始めたところでございます。そうしたものにつきましては、今後、本格的な検証作業を進めていくことになってまいります。
 今回の試行につきましては、既に、厳しい意見も頂戴をいたしております。一方で、賛意をいただいているものもございます。さまざまなご意見を頂戴しているところでございます。
 まずは、試行を続けまして、そうしたものを積み重ねていった上で検証をしっかり行いまして、また、改めまして業界団体の皆様からもご意見を聞かせていただきながら、よりよい制度となるよう改革に取り組んでまいります。

○伊藤委員 ただいま局長から答弁いただきました。これでいいと、一〇〇%これで正しいという制度は、もしかしたら将来的にもないのかもしれません。
 これまでも東京都と事業者と、いわゆる発注者と受注者の関係があって、もちろんその一番の前提には、都民の理解と、こういうのがありながら、時の経済状況とかいろんな状況の中で制度の改正というのをしてきたんだと思いますので、全てが悪い、全てが今度の改革した後が悪いとはいいませんが、かなりの部分で不安が残るのも事実であります。実際、今回、八月に二回目の臨時会まで開いて行った豊洲の関係の九件の工事も、一者入札が四件あって中止となりましたので、急いでやろうとして、かえってそれが先延ばしになってしまうというようなこともありますので、メリット、デメリット含めて、もう一回よく事業者を含めて意見を聞いていただいて、検証もされるということですから、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。

○いび委員 質疑に先立ちまして、会議の前に報告もありましたし、メディアでも取り上げられております不法投棄の件に関しては、今回の議案審議にも関係ありますので、都としても情報収集に努めるとともに、不正は許さないという断固とした対応をとること、本委員会にできるだけ早急に報告することを求めておきます。
 質疑に入りますが、東京都の入札契約制度改革は、豊洲新市場の施設建設やオリンピック競技施設建設の工事契約にかかわって一者のみが応札して、しかも九九%以上という高落札率が相次ぐという事態について、談合の疑いがあるのではないかという都民の不信も高まるという中で、より公平で、透明性、競争性が確保された制度に改革するということが出発点になっていると受けとめております。
 その中で、今回の入札契約制度の改革では、日本共産党が繰り返し改善を要望してまいりました、一者入札の中止や入札価格の事前公表の事後公表への見直し、入札監視委員会の機能強化が図られていることが重要であり、評価をしております。
 今回、議案となっている契約案件の中で一者入札の案件が五件あります。そのうち百四十二号議案、都立八王子地区第二特別支援学校新築工事の件は、二者の要望があったものの一者が入札に不参加で、結果として一者入札となったということで、落札率は九一%でした。そして、それ以外の四件は、初めから一者入札で落札率が九八%、九九%という高い落札率となっております。
 今回、一者入札となった案件、議案第百四十三号、光明学園の新棟建設、議案第百五十号、有明コロシアム等の改修や給水衛生設備工事、議案第百五十四号、善福寺川整備工事、百五十五号、外濠しゅんせつ工事、それぞれについて、この一者入札の原因となるような何か特別な事情があったのか伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 一般的に申し上げますが、一者入札に限らず入札参加者が少なくなるケースといたしましては、同時期に同種の発注があり、事業者が他の案件に分散すること、工事事業者の手持ち工事が多く、工事に必要な技術者が確保できないこと、工事に当たって特殊な工法技術、機材が必要であること、また、工事現場が閑静な住宅街や交通量の多い商業地、道路などで施工に当たって制約が多いこと、こうしたことがございまして、工事案件によってその事情はそれぞれ異なるものと考えております。
 お話の四件の工事につきましても、ただいま申し上げた事項が複合的に影響し、結果として一者希望になったものというふうに考えてございます。

○いび委員 ただいまのご答弁で、複合的にといわれましたけれども、今回、十五の契約案件が提出されていますが、その中で、九九%、九八%といった高落札率の案件は一者入札になった四件以外にはないという点では、非常に傾向がはっきりあらわれているのではないかと思うところです。他の一者入札ではない案件と比べて、本来求められる競争原理が働いていないのではないかと、そう疑わざるを得ないわけです。
 今後、入札契約制度改革により一者入札になった場合は、開札せずにやり直すということになるわけですが、これ自体、前向きなことであると受けとめておりますけれども、このことによってどこまで透明性や競争性が担保できるのか。入札をやり直してもやっぱり応札したのは一者のみということもあるかもしれませんし、そうならないように、いろいろな判断をすることもあるでしょう。新しい制度のもとで具体的にどのように対応するのか伺います。

○五十嵐契約調整担当部長 今回の入札契約制度改革では、競争入札における契約の透明性、公正性を高めるため、一般競争入札または希望制指名競争入札に希望申請してきたものが一者以下の場合につきましては、入札手続を中止することとしております。
 希望者が一者以下で入札が中止となった場合には、工事起工部署と連携いたしまして、個々の案件に応じて入札参加条件を設定した場合には、企業規模などの入札参加資格や過去の施工実績などの技術的要件について見直しを行い、その事業の進捗に大きな影響が出ないよう、速やかに再発注を進めてまいります。
 なお、これらの条件の見直しを行った上で、なお希望者が一者となった場合につきましては、ただいま申し上げましたように、事業の進捗に大きな影響が出ることが考えられますので、入札の手続を続行することとしているということでございます。

○いび委員 今のお答えの中でも述べられましたように、やはり一者入札になって手続を中止してやり直した場合でも、いろいろやったけれども一者しか参加しなかったということも起こり得るということです。
 今回の東京都の入札制度改革については、私たち一定の評価をするものですが、なお課題が残されているということも明らかとなったと思います。
 談合を防止して競争性を発揮させる、同時に中小企業が排除されないように、むしろ育つように配慮もしなければならない、その両方が重要であると、私たちも考えております。
 今後、一層の透明性、公平性、競争性の確保のために、さらなる制度改革の可能性を探求していただきたいということと、入札制度改革の一つである予定価格の事後公表に当たっては、予定価格を探る不正な動きが強まる可能性もありますから、予定価格などの情報管理の徹底、職員への研修の充実など職員のモラルの強化、都庁への口ききについての報告、公表制度の強化を求めて質疑を終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○まつば委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○増田委員 今回、初めて質疑をさせていただきます増田でございます。よろしくお願いいたします。
 今回、私の方から、報告事項のうち、二十八年度東京都年次報告書につきまして、幾つかお伺いしたいと思います。
 この年次報告書、平成十八年度に導入されたということで、それまでの単式簿記・現金主義という官庁会計制度から大きく変えて、いわゆる民間の財務諸表をベースとしたものに近い複式簿記・発生主義、そういったものを取り入れた非常に画期的なものであったと理解しております。
 私も、今回、議員になりますまで約二十九年、金融実務の世界におりまして、数限りないアニュアルレポートですとか、有価証券報告書というのを見てきたわけなんですけれども、最初に見て思いましたことは、最初につくったときのご苦労というのは本当に大変なものだったんだろうなというところで、何しろ、ことしの総資産の額が三十四兆円ということでございまして、ちょっと興味を持って調べたんですけれども、これよりも大きいバランスシートを持った会社というのは日本に二つございまして、一つが日本郵政、これはもう、ちょっと桁が違いまして二百九十一兆円、二番目がトヨタ自動車四十七兆円、それに次ぐ大きなバランスシートを持った自治体、単純には比べられないと思うんですけれども、これをまとめ上げられた都というのは、本当に大変だったんだろうなというふうに、まずもって拝察した次第でございます。
 また、その制度を、今、東京都が先鞭をつける形で他の自治体に対しても、この複式簿記、発生ベースというものを広げていっていると。これはやはり一般市民にとって、ディスクロージャーを進化させるという点で、非常に有意義なものであるというふうに理解をしているところでございます。
 また、東京都では、ちょうど十年少したったというところですね。ちょうど振り返るにはいいタイミングなのかなというふうにも思いまして、まず、お伺いしたいところは、この導入されてから十年経過したというところで、今までこの十年間で、都の自治体の財政運営であるとか、それを立案する上において、この新しい会計制度が具体的にどのような成果を上げてきたのか、この十年間を総括するような視点でお伺いしたいと思います。

○松川主計部長 都は、従来の官庁会計から把握できる歳入歳出構造や財政指標に加え、複式簿記・発生主義に基づく新たな公会計制度を活用することによりまして、貸借対照表や行政コスト計算書などの財務諸表を用いて、さまざまな切り口から財務状況を分析、公表し、都民に対するアカウンタビリティーの充実を図っております。
 また、公会計によって得られるストック情報や減価償却費といった官庁会計では把握できない発生主義によるフルコストの情報を、事業評価の取り組みに活用することにより、コスト分析や将来需要の検証など、施策のマネジメント力の強化につなげているところでございます。

○増田委員 今ご説明の中で、一つにキーワードとしてありましたが、やはりアカウンタビリティーの向上ということがあったかと思います。また、過去の年次報告書におきましても、そのときそのときのさまざまなテーマから、分析を行ってこられていると思うんですけれども、今回の二十八年度の報告書におきまして、特に改善を意識されたところ、あるいは工夫をされたところというのが、もしありましたらご説明ください。

○松川主計部長 年次財務報告書では、普通会計決算や健全化指標など、通常の決算情報だけにとどまらず、都民に対するアカウンタビリティーの一層の充実を図る観点からも、これまでもさまざまな切り口で、都の財務情報を公表してまいりました。
 今回、都財政を考えると題する解説の中で、過去の大幅な減収局面と現在の歳出構造の違いを分析し、財政再建や事業評価などの取り組みを通じて都財政が質的転換を図った経緯を、指標やグラフを多く用いながら、できるだけわかりやすくなるよう紹介しております。
 また、将来の財政需要を分析することにより、今後の都財政を考えるため、社会保障や社会資本ストックの維持更新、防災に係る経費の将来推計を行うとともに、その備えとなる事業評価の取り組みや基金、都債の現状を具体的に示しております。

○増田委員 今のご答弁の中でありました成果として、事業評価というところなんですけれども、関係部局と連携した取り組み、あるいは公会計手法の活用というところで、その実績は上げてこられていると思うんですけれども、数字も含めてより具体的な、その成果というところについて、もう少しご説明いただけますでしょうか。

○松川主計部長 都はこれまで、予算編成の一環として事業評価を実施しておりまして、取り組みを開始しました平成十八年度以降の十一年間で、四千三十八件の評価結果を公表いたしますとともに、累積で約六千九百億円の財源確保につなげております。
 毎年度、評価手法を充実させながら、一つ一つの施策を厳しく検証し、その効率性や実効性を向上させる取り組みを不断に行ってまいりましたことが、現在の強固で弾力的な財政基盤の構築に結びついていると考えております。

○増田委員 わかりました。それではちょっと話を、いわゆる財政規律というようなところに移したいと思うんですけれども、こちらの報告書の中でも、かなり詳細に分析をされておりますように、今後、中長期的に社会保障関係経費、これの増加、そして社会資本の整備、維持更新コストの増加、これはもう誰が見ても不可避であると。
 また一方で、少子高齢化というところの影響で、税収もそう多くは増収が見込めるわけでもないというところで、やはり我々子供を持つ親としても、また、さらにその先の世代を考えるときでも、やはり今後将来に向けての財政規律、例えば、今、国でありますと国債の発行額というのは千兆を超えて、国民一人当たりの負担が八百四十万ともいわれております。非常に負担というのは、途方もない数字になっているわけでありますし、既に若年層への負担というのは、もはや課題だろうということもいわれているわけで、これ以上のツケの先送りというのは、我々としても、やはりそれはしてはいけないんだろうというふうに思っております。
 それを踏まえて、都として、いわゆる借金、都債、これは我々もその時々の状況に応じて、これは全く使ってはいけないものだとは思っておりませんし、必要なときというのはあるんだろうと思うんですけれども、今の国の財政のように、そこまで個人の負担が大きくなるような、そういうところも、これは決して都までそうなってしまってはいけないだろうと、こういう思いもあるわけです。
 そこで、財務局の基本的な考え方としまして、今後、中長期の財政規律、これをどのように維持していくのか。私は申しましたように、都債の発行というのは、コントロールできる範囲に抑えていただきたいと思っていますし、そういうようなお考えなのではないかと思うんですけれども、そこを確認させてください。

○松川主計部長 都債は、世代間の負担の均衡と財源の年度間調整を図る機能を有しており、発行に当たりましては、将来負担を考慮するとともに、その時々の経済環境や事業の動向等を踏まえまして判断していくことが重要だと考えております。
 平成二十八年度の都債発行額は千五百二十六億円で、リーマンショック後の二十三年度と比較いたしまして三千億円以上減少しており、都債残高につきましても着実な減少傾向にあるなど、都は、将来を見据えた発行抑制に努めております。
 今後も、都の不安定な税収動向等をしっかりと見きわめながら、本格的な少子高齢化、人口減少社会の到来に備え、将来世代の受益と負担のバランス、また、都財政の健全性等に配慮しつつ、都債を引き続き適切に活用してまいります。

○増田委員 ぜひ、その財政規律というものは、高い意識で維持していただきたいと思うんですけれども、一つここでちょっと私も思うところがございまして、発行残高を一定程度抑える、これも非常に大事なわけですけれども、出した場合の発行条件というのは、やはり最良のものを求めていかなければならないと思うんです。
 それは都民の負担するコストに直結いたしますので、そこの中で、今現在の都債の格付ですね、信用格付、これがSアンドP社、これは国際的に大手の格付機関というのは、ムーディーズ社とスタンダード・アンド・プアーズ社、いわゆるSアンドP社、二社あるんですけれども、そこでシングルAプラスという格付が、今ついていると。
 ところが、これは東京都の財政の実力を反映した符号にはなっていない。この辺の経緯は、ご案内のとおりかと思いますけれども、いわゆる国債の格付で上が抑えつけられてしまっていると。これは格付会社の格付方針によるものでして、実際に、平成二十一年の五月でしょうか、それまで東京都債の格付というのは、ムーディーズ社ではAa1というものがついていたものが、ある日突然、国の格付の上限に抑えますと、一ランク低いAa2というものにしますと。そういうことがありまして、そのときの経緯をご存じの方も多いかと思うんですけれども、東京都は、格付の取り下げを通知し、また、それに対しての、ある意味、不満の表明をされていると思うんです。
 これは当時、格付機関も、サブプライムの商品に甘い格付を乱発したという批判にさらされておりまして、リーマンショックが二〇〇八年、ちょうどその翌年の二〇〇九年の五月にそういったことがありました。その格付手法が今でも続いておりまして、東京都は実力としてはダブルAもしくはそれより上なのかもしれないけれども、つけられている符号はシングルAプラス、一つ低い格付になっている。それはいってみれば余計なコストを払わされているということになっております。
 リーマンショックから、もう九年たっておりますし、格付会社というのも民間の会社ですので、決して一度決めた格付基準を未来永劫変えないというところでもございません。いろいろと協議はできる相手でございますので、私は、もうここの辺で正面切って、東京都というのは日本の自治体の中で唯一、国から地方交付金も受けていないところなんだよと。仮に、日本の国債が不履行を起こしたとしても、直ちにそれをもって、じゃあ東京都債というのはデフォルト起こすんですかというところは、やはりおかしいと思うんですね。ほかの自治体であれば、国の格付でしてしまうというのはあるかもしれない。ただ、東京都だけは私は別だと思うんです。
 ですから、その辺の議論を一度されているのかもしれませんけれども、大手の格付会社さんとは、正面切ってやり合ってもいいんじゃないかなというふうに思っております。それをちょっと私の意見として申し上げまして、最後の質問に移らせていただこうと思います。
 こちらの報告書の中で、各部署の努力によりまして、今年度、千二百九十二億円の黒字を生み出したと。これは、過去八年間ほぼ均衡していたところが、九年ぶりに千二百九十二億という大きな黒字を生み出したというところで、非常にこれは評価できるところだとは思うんですけれども、八年間均衡していたものが、ことし急に千二百九十二億の黒を生み出したということで、何か、これは何というんでしょうか、一過性の要因によるものなのか、あるいは、これがまた、今後も起債できるものであるのか、その見込みについてご説明ください。

○松川主計部長 平成二十八年度決算の実質収支が大幅な黒字となりました要因は、都税の増収に加え、施策を総点検し、自律改革の取り組みを行うなど、歳出の見直しを図ったことによるものでございます。
 都税収入は、景気変動の影響を受けやすく、今後の動向を確実に見通すことは困難でございますが、これまで着実に成果を積み上げてきました事業評価について、客観的指標を用いたエビデンスベースに基づく評価を新たに実施するなど、自己改革の取り組みを一層強化していくこととしております。
 引き続き、都民ファーストの視点に立って無駄の排除を徹底するとともに、都債や基金を戦略的、計画的に活用し、将来にわたる安定的な財政対応力を堅持してまいりたいと存じます。

○増田委員 いろいろご質問させていただきましたけれども、ぜひ、その財政規律というところ、この辺につきましては、本当にぜひお願いしたいと思います。
 最後に、改めて今回この年次財務報告書、拝見させていただきまして、少しずつ改善していくべきものだと思うんですけれども、やはり民間の、いわゆる有価証券報告書ですとか、そういうところと比べまして思ったところとして、二、三ちょっと最後に申し添えさせていただきます。
 やはり資産の時価評価、これをもう少し取り入れる余地はあるんじゃないかなと、有価証券であるとか、不動産であるとかですね。あるいは、いわゆるデリバティブといいましょうか、簿外取引ですね、都債につきましても、一部、外貨建てで発行していて、それに対して通貨スワップなんかもつけていらっしゃるようなので、その辺の明細ですとか、これはそういう民間の財務であれば開示がありますので、そういうようなところが、今後すぐにということではございませんが、改善の余地があるんじゃないかなというふうに感じております。そこを申し添えまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○うすい委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 平成二十八年度の年次財務報告書に関連して何点か伺いたいと思います。
 年次財務報告書を拝見させていただきまして、特に第二章の、今後の財政需要と将来を見据えた財政運営は、将来の東京と今後の財政運営を考える上で非常に重要な分析であると思います。
 東京の人口ですが、団塊の世代が七十五歳を迎える、いわゆる二〇二五年をピークに減少に転じて、少子高齢、人口減少社会がいよいよ到来をします。その上に、都が抱える社会資本ストックは、その多くが高度経済成長期やバブル経済期に整備されておりまして、今後、その多くが老朽化などにより大規模改修や更新の時期を迎えることとなります。
 社会資本ストックの老朽化は、施設の機能不全や安全性の低下につながりますので大きな問題ですし、平成二十九年の三月末現在で、築二十年以上の建物が約七割を占めておりますから、その対応は重要な課題だと思います。
 一方、都税収入は、企業業績の堅調な推移によりまして、二十八年度の決算では増加をしておりますけれども、都は、地方税の占める割合、特に景気に左右されやすい法人二税の割合が高く、その財政は、元来不安定な構造にあります。一方、地方消費税の清算基準の見直しなど、都の財源が奪われる動きもありまして、都財政の見直しは楽観できるものではないと考えます。
 そうした中、今後避けて通れない財政需要への対応を含めて、中長期的にどのような財政運営を行っていく必要があるのか、年次財務報告書の内容をひもときながら、検証の意味で質問をさせていただきたいと思います。
 まず、都が抱える財政需要についてです。
 報告書では、社会保障関係経費、社会資本ストックの維持更新経費、防災に係る経費の三つの需要が示されておりますけれども、今回、この防災の財政需要が初めて明らかになっております。
 近年は、日本各地で水害による重大な被害が出ておりますし、東日本大震災の記憶もまだ新しいところでございます。都政モニターアンケートによりますと、防災対策に対する要望が、東日本大震災以降、六年連続で一位になっておりまして、都民の問題意識も非常に高いものがございます。私も、防災対策は重点的に対策を講じていくことが不可欠なものと思いますけれども、財政需要が示されたことは、非常に大きな意味があると考えております。
 そこでまず、防災に係る経費の試算について、内容を改めてお伺いをしたいと思います。

○松川主計部長 防災に係る経費の将来推計に当たりましては、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化や無電柱化の推進、津波、高潮など、既存の防災事業について今後の計画額をベースとした上で、さらに物価上昇を反映するなどして試算を行っております。その結果、平成三十年度から三十九年度までの合計額は、直近十年間の約一・七倍となる約三・二兆に上ると推計しております。

○うすい委員 今、三・二兆円という大変な金額でございます。三年後には東京二〇二〇大会が開催されまして、世界中の人々が東京を訪れます。安全・安心な東京を構築してアピールすることも重要ですし、この財政需要にしっかりと対応していく必要があると思います。
 また、報告書に示されているほかの二つの需要についても、全体でどれほどの財政需要となるか確認をしたいと思います。社会保障関係経費と社会資本ストックの維持更新経費について、内容を改めてお伺いします。

○松川主計部長 社会保障関係経費の推計に当たりましては、高齢者分野や子供家庭分野など、各分野の事業ごとの平成二十七年度決算額をもとに、人口構造の変動要因などを加味して試算しております。この結果、都の社会保障関係経費は、高齢者人口の増加などにより、毎年平均で約三百億円から四百億円のペースで増加し、平成五十年度までに増加する額の累計は、約九・五兆円と推計しております。
 また、これを生産年齢人口一人当たりの負担に割り返しますと、平成五十年度には、二十七年度の十一万三千円と比較して約一・八倍の二十万八千円となります。
 一方、老朽化が進む社会資本ストックの維持更新経費の推計に当たりましては、現在保有している社会資本を法定耐用年数の到来時点に更新すると仮定し、取得価格に、建設工事費のデフレーターや物価上昇率などを加味して試算しております。
 この結果、都の社会資本ストックの維持更新経費は、平成二十七年度決算の水準と比較して、毎年平均で約千四百億円増加し、平成五十年度までに増加する額の累計は約三・二兆円と推計しております。

○うすい委員 これまでの答弁で、東京がいかに膨大な財政需要を抱えているのかつかむことができました。どの需要も待ったなしの対応が必要です。これらの財政需要に適切に対応していくためには、財政の健全性を中長期的に維持していくことが都の財政にとって重要と考えます。
 私は、その健全性を維持していくために鍵を握るポイントは、都債と基金と思います。これらを中長期的な視点に立って、計画的、戦略的に活用し、政策の実現につなげていくことが極めて重要だと考えます。
 報告書では、バブル経済崩壊後とリーマンショック後の二つの大幅な減収の局面に焦点を当てて、都財政運営について分析をしております。
 バブル経済崩壊後、都債残高は急増、基金残高は枯渇を招き、平成十年度決算では、過去最悪の千六十八億円の赤字を計上し、都は財政再建期に入りました。二度にわたる財政再建の取り組みなどを経て、都債や基金の計画的、戦略的な活用が進んだ結果、リーマンショック後には、基金や都債を活用しましたが、基金残高は一定水準を確保しつつ、都債もおおむね横ばいで推移をしました。
 現在、都財政は健全性を維持しているといえるかもしれませんが、都税収入が安定しているとはいえない状況でございまして、将来、膨大な財政需要が見込まれることを見据えておけば、都債と基金をより一層適切に活用していくべきと考えます。
 そこで、これまでの都債残高の推移と都債活用の考え方について伺いたいと思います。

○松川主計部長 都債残高は、バブル経済崩壊後、都税収入の減少などによる財源不足を補うため、都債を最大限活用した結果、平成十一年度に約七・七兆円となり、平成三年度と比較いたしまして約三・二倍に急増いたしました。その後、財政再建の取り組みを通じまして、投資的経費の水準などの見直しを進める中で、都債発行の抑制に努め、平成二十年度の都債残高は約五・九兆円まで減少いたしました。リーマンショック後の平成二十一年度には、一年間で約一兆円という大幅な減収に直面したものの、それまでの発行抑制によって培われた発行余力を活用し、財源の確保を行った結果、平成二十一年度から二十三年度の都債残高は大幅に増加することなく約六兆円程度と、おおむね横ばいで推移いたしました。その後は、税収が好調に推移する中で発行を抑制するなど、都債残高は着実に減少しており、平成二十八年度決算では約四・七兆円となっております。
 このように、都債は、年度間の財源調整を図るとともに、社会資本ストックの適切な形成、更新の財源として、世代間の負担の均衡を図る機能を有しているものでございまして、将来世代の受益と負担のバランスを十分考慮しながら、適切に活用してきております。

○うすい委員 都債には、世代間の負担の均衡を図る機能があるため、将来の都民一人当たりの負担という視点も持ちつつ、財政の健全性を保つこととあわせて、都債を適切に活用していくことを要望させていただきます。
 一方、都のような地方交付税の不交付団体では、より自律的な財政運営が求められるため、こうした観点からも、基金の残高確保と計画的な活用が重要だと思います。
 そこで、これまでの基金残高の推移と今後の財政運営における基金の活用の考え方について伺います。

○松川主計部長 財源として活用可能な基金でございます財政調整基金の残高は、バブル経済崩壊により、都税収入が急激に落ち込む中で、財源対策として取り崩して対応した結果、平成九年度末に十億円まで減少いたしました。その後、財政再建に取り組むとともに、着実に積み立てを行った結果、平成十九年度末には、五千八百七億円の残高を確保いたしました。
 リーマンショック後の平成二十一年度以降、都税収入の大幅な減少に伴い、財源対策として取り崩しを行ったことにより、平成二十三年度末の基金残高は三千九百八十六億円まで減少いたしましたが、その後、積み立てを行い、平成二十八年度末には六千二百七十四億円を確保しております。
 このほか、新しい東京の未来を切り開く施策を戦略的に展開するための基金であります三つのシティー実現に向けた基金は、一兆七千三百八十五億円の残高を有しております。
 このように基金は、景気動向に伴う大幅な税収減や将来の財政需要などに備え、東京が抱える課題の解決と、より一層の成長創出に向けた施策を展開していくための財源として、財政運営上、重要な役割を果たしており、引き続き戦略的に活用してまいります。

○うすい委員 安定的な行政サービスの提供や今後の財政需要への対応という観点から、残高の確保が極めて重要で、都が戦略的に基金を活用していることがわかりました。これからも都債や基金の計画的かつ戦略的な活用に努めていただきたいと思います。
 また、健全な財政運営に向けては、一つ一つの事業やコストをしっかりチェックをすることも大変重要だと思います。そこで事業評価についてお聞きをしたいと思います。
 財政再建に陥った過去と同じ失敗を繰り返さないように、財政再建の取り組みを事業評価という形で、きょうまで続けていることは大変に意義深いことと思います。事業評価の取り組みの中には、我が党が提唱した全国に先駆けて導入した新たな公会計制度によって得られる情報を分析ツールとして活用した--平成二十九年度の東京都予算案の概要の八八ページにありますけれども、そうした評価手法もありますし、実にさまざまな手法を駆使して事業評価に取り組んでいると思います。
 そこで、これまでの事業評価の取り組みとともに、どんな成果があったのか、お伺いをしたいと思います。

○松川主計部長 都では、限られた財源の中で、都政の諸課題に適切に対応していくために、予算編成の一環として事業評価を実施し、一つ一つの事業の効率性、実効性を向上させる継続的な取り組みを行っております。
 具体的には、約四千八百の全ての事業に終期を設定するとともに、関係部局と連携した専門的視点からのチェックや新たな公会計手法の活用などを通じ、事業を継続するのか、見直し、再構築を行うのか、あるいは拡充を図っていくのか、多角的に検証を行い、その結果を翌年度の予算に的確に反映させております。
 このように、より多角的な視点から創意工夫を凝らして事業評価に取り組むことで、施策の新陳代謝を促進した結果、平成十九年度から平成二十九年度まで、予算の累計で約六千九百億円の財源を確保しております。

○うすい委員 非常に大きな成果が上がっていることはよくわかりました。また、年次財務報告書には、今年度、新たな手法の事業評価を実施するとありました。エビデンスベース、客観的指標に基づく評価とは何か、そしてこの評価の導入の狙いについて伺います。

○松川主計部長 平成三十年度予算編成において、新たに実施しますエビデンスベースに基づく評価は、施設の整備、改修や重要資産の購入等について、統計データや技術的指標などの客観的事実に基づき事業の妥当性を分析、検証する取り組みでございます。
 これは、過去の事例など限られた情報をもとに計画を立案したことにより、計画途中で事業費が大幅に増大することがないよう、民間や他の自治体との比較など、客観的指標による分析を計画の立案段階から行うことで、計画額及び予算額の適正化を図ることを目的としております。

○うすい委員 計画の立案の段階から、しっかり分析、評価をしていくというのは見える化にもつながりますし、どんどん進めていくべきだと思います。これからも予算編成を通じて事業評価の取り組みを推進し、施策の新陳代謝を促進していくことを強く求めたいと思います。
 これまでの質問と答弁によりまして、都債や基金の計画的、戦略的な活用や事業評価の取り組みの推進など、都がさまざまな創意工夫を凝らして、将来にわたる安定的な財政対応力の堅持に努めていることがわかりました。
 少子高齢、人口減少社会の到来、社会資本ストックの老朽化、災害の発生リスクなど、東京が抱える課題にしっかり対応していくためにも、今後も財政の健全性を中長期的に維持していくことを強く求めたいと思います。
 現在、平成三十年度予算編成作業が進められておると思いますけれども、膨大な財政需要への対応など、今日の都政においても、将来を見据えた施策を講じていく必要があり、その一方で、東京二〇二〇大会の準備もいよいよ本格化していくと思います。
 そこで、最後になりますが、まさにこれから本格化していく三十年度予算編成をどのように進めていくのか、局長の見解を伺いたいと思います。

○武市財務局長 今日の都政には、少子高齢化、社会資本ストック老朽化への対応、災害に強い都市づくりなど、東京が直面する課題の解決に向けた施策の推進と同時に、東京が日本の成長エンジンとして日本全体の持続的成長につながる、そうした施策を積極的に展開することも求められております。
 そのためには、従来にも増して創意工夫を凝らしまして、より一層、無駄の排除を徹底するなど不断の改革を進めまして、施策展開の基礎となる財政対応力を中長期的に堅持していくことが求められております。
 平成三十年度予算におきましては、ただいまご議論もいただきましたエビデンスベースによる評価、これも新たな視点として加えまして、事業評価のさらなる進化を図りまして、一つ一つの施策の効率性でございますとか、実効性の向上につなげてまいります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功と、その先の発展に向けまして、冒頭申し上げましたような諸課題を解決し、東京が持続的な成長を続けられますように、各局とも連携をし、知恵を出し合いながら、都政に課せられた使命を確実に果たしていく、そのような予算をつくり上げていきたいと考えております。

○うすい委員 今、局長から、三十年度予算編成に向けまして力強い決意をいただきましたけれども、これまで以上に、盤石な財政運営を行っていくことを強く求めまして、私の質問を終わります。

○曽根委員 私からも、今回発表されました平成二十八年度東京都年次財務報告書、その中で、特に後半にあります、今後の財政需要と将来を見据えた財政運営、この部分について何点か質疑を行っていきたいと思います。
 私は、前期十九期のときに、平成二十五年度の決算をもとにした年次財務報告書を見させていただいて、何点か質疑も行いましたが、このときから三年たって、今回、試算をやり直しておりますよね。この中で、今後の財政需要の金額がかなり大きくなってきているわけです。試算をやり直した理由と、それから、前回のこの財政需要の予測との今回の違いについて、どういう点が特徴かをお聞きします。

○松川主計部長 不安定な歳入構造のもと、三つのシティーの実現など、着実な施策展開を図っていくためには、都財政にとって避けることのできない中長期的な財政需要を認識していくことが重要でございます。
 こうした観点から今回、社会保障関係経費の推計につきましては、新たな施策展開を図っております待機児童や高齢者対策を盛り込みますとともに、最新の国勢調査に基づく人口構造の変化を加味して、改めて試算を行ったものでございます。
 また、社会資本ストックの維持更新経費につきましても、都有施設総合管理方針の策定に合わせまして、時点変更を行い、修正を図ったものでございます。
 さらに、東日本大震災以降、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化など、防災に係る財政需要が高まっておりますことから、防災に係る経費の試算を新たに行っております。

○曽根委員 前回の試算のときに、我が党は、代表質問などで大きく二つの点を指摘したと思います。
 一つは、社会保障に係る経費の長期予測の中で、この長期予測の経費の見積もりは、現在の福祉の制度を前提にしているということでしたから、今後、保育や、それから、これから取り組もうとしている高齢者福祉、特に介護ですね、こういうものの制度や予算も、やっぱり今よりグレードアップさせていかなきゃならない問題が出てくると。そうすると、各年度の単価そのものが上がっていく、長期予測も今よりはるかに大きくなっていく可能性があるんじゃないかということを問題提起しました。
 今お話しのお答えの中にあったように、待機児童の対策や高齢者対策などについて、今回、三年たって盛り込んだ部分があると思うんです。特に、保育園などの施設建設に当たっての補助額や、それから待機児童対策のためのさまざまな人材確保も含めて予算をふやしておりますので、その制度が今後も続くとなったときに、その部分がふえてきたんだと思いますが、前回、たしか毎年約三百億円のペースで社会保障経費は増額していくという試算でしたが、今回は、本文の三〇ページにありますように、三百億円では済まなくなって、三百から四百億円というふうになっています。それで、二十三年後の試算になっていますけれども、平成五十年度、二〇三八年度には、一兆七千三百三十二億円という試算が出ていますよね。つまり、これまでの試算に比べて、大体、毎年百億円近い額の上乗せ分がふえてきているわけです。二十年以上、今からいえば二十一年後になりますけれども、今の福祉保健予算から約七千億円、単年度ですよ、単年度で七千億円の増額になっていなければならないという試算なんです。これはなかなか大変なことだと思います。
 それからもう一つ、私たちが当時、問題提起をしたのは、都有施設や建物などについて、これを単純に法定年限が来たときに更新するという試算で前回は行われたわけですけれども、今回、大型の施設などで大規模改修なんかが入ってきて、実際に大規模改修に係る費用も細かくかなり入れてきているわけですね。そのために、毎年平均約一千四百億円ぐらいずつふやしていかなきゃならないという試算が今回出ていますが、前回は大体千百億から千二百億円ぐらいだったかと思います。これもやっぱりふえているわけですね。
 このように、自然といいますか、行政の充実によって試算がふえていく、そして二十年後の予測をするとなりますと、財源の確保を含めて、財務局の担当以外の分野で、大きな都政の改革が求められるということになるかと思います。その点を後でまたお聞きしたいと思いますが、さらに今回、防災にかかわる経費を加えたわけです。これも私たちは、今の都有施設を単純に法定年限が来たら更新するだけじゃ済まなくなって、例えば、水害対策や、それから直下地震対策などで海岸施設や護岸施設などのグレードアップが必要だと、その分の費用は別にかかりますよという話もしておりましたが、これをある程度試算に加えていこうということだと思います。
 この点はいいんですけれども、防災にかかわる経費というのは、いろいろ、東北の大震災以降に新たに加わった、新たに課題として取り上げられてきているものが多いと思いますので、具体的にどういう事業が含まれているのかを改めてお聞きしたいと思います。

○松川主計部長 今回、お示ししております第三者による防災に係る経費の試算には、木造住宅密集地域の不燃化、耐震化や無電柱化の推進など、今後の財政需要が見込まれる事業を含んで推計を行っております。

○曽根委員 木造住宅密集地域の不燃化、耐震化といった場合、私たちが非常に危惧しておりますのは、木造住宅密集地域の対策として道路建設が入っているわけです。既に事業化されております二十八路線の特定整備路線、これはかなり大きな予算を組んで今行われているわけですが、こういう整備費が入っているのかどうかを確認したいと。特定整備路線についていえば、要するに年度当初予算は八百億円以上組んでいますけれども、実際、決算では事業は余り進んでいないために、その予算額の半分も使っていないというふうな状況ですので、こういう試算をする場合、予算ベースで試算するのか、決算ベースで試算するのかで全然先が違ってきてしまうと。なかなか、これ予測がはっきりいって立たないような分野じゃないかと思うんですが、どちらをベースに試算をしているんでしょうか。

○松川主計部長 防災に係る経費の試算につきましては、特定整備路線の整備費を含んでおります。また、試算は直近五カ年の予算をベースに推計を行っております。

○曽根委員 特定整備路線については、これは前期の議会で我が党も繰り返し指摘をしておりますが、防災のためということの最大のメリットとされております延焼遮断効果についても、率直にいって、南北方向の道路が特定整備路線、大変多いんですけれども、東京の季節風はほとんど南北に吹いていますので、延焼遮断効果がある路線が非常に少ないと。
 実際のところ、住民の反対も強くて、大半の路線で、まだ用地買収や工事が進んでないということで、執行率も極めて低い現状です。したがって、この予算をベースにした試算については、推計としても正確性を欠くという問題があります。
 それから、環境の問題からいっても、本当の防災に役立つのかという点についても、地元で多くの反対の声が、また、専門家の指摘もされておりますので、こういうものを一律に加えていくことについては大変強い疑問を呈さざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
 それから、今回の試算によると、私たちが問題を感じている防災の経費について除いてみても、平成五十年、二〇三八年度には、先ほど申し上げましたように、社会資本維持更新では、現在のレベルから単年度で千四百億円ぐらいの経費の増額が見込まれる。
 社会保障では、現在の一兆円ちょっと超えたところからさらに七千億円、二兆円近い社会保障関係の予算の増額を確保しておかなければならないということにこの試算ではなるんですけれども、実際のところはどのように想定しているのか。
 そうだとすると、三六ページで、先ほどもちょっとありましたけれども、今後の財政運営についての提言がされておりますよね。主に三つのことをいわれておりますけれども、強固で弾力的な財政基盤の堅持、それから客観的指標、エビデンスベースに基づく事業評価、そして基金や都債を戦略的、計画的に活用することなどが挙げられている。これは財務当局としては当然なんですが、同時に、これだけではやはり間に合わなくなる、大きな都税収入なども含めた都の収入財源の確保、それから使い道の点でも思い切った使い道の改革、財政改革が必要になってくるかと思いますが、こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。

○松川主計部長 都は、平成十年度決算におきまして、一千億円を超える赤字となり、財政再建団体への転落の危機を乗り越えるため財政再建に取り組み、財政構造改革を図るとともに、その後も事業評価の仕組みを導入し、将来を見据えた健全な財政運営を行ってきております。
 その結果、基金につきましては、将来の財政需要を見据え、二十九年度末見込みで、三つのシティー実現に向けた基金では一兆四千四十八億円の残高を確保するとともに、財源として活用可能な財政調整基金は六千二百七十六億円の残高を確保しております。
 また、都債につきましては、二十八年度決算や二十九年度予算におきまして、将来世代の負担を考慮して発行額を抑制するなど、将来に向けた発行余力を培っております。
 今後の財政運営に向けましては、従来にもまして創意工夫を凝らすなど、事業評価の取り組みを加速、徹底することで財源の確保に努めるとともに、基金と都債を戦略的に活用し、社会保障関係経費や防災に係る経費など、避けることのできない財政需要にしっかりと対応してまいります。

○曽根委員 事業評価を行ったり、また、基金や都債の活用は当然だと思います。しかし、それだけでは、単年度だけでも八千億円以上に及ぶ経費の増加を賄うことは、率直にいって、困難だというふうにいわざるを得ません。
 これは財務局の仕事から大きくはみ出す課題にならざるを得ないので、我が党としての意見だけをちょっと述べておきたいんですけれども、一つは、既に整備されている都の建物や道路などの維持更新費用がふえて、これはふえざるを得ないわけですが、今後の大規模な開発や道路の新規整備を厳しく抑制して、投資的経費全体の増大を極力抑えていくことが必要だということは、繰り返し我が党が述べている点です。
 この維持更新経費が千四百億円今よりも大きくなっていくとすれば、それに見合う分ぐらいの現在の新規整備分を縮めていかないと、全体が、投資的経費が膨らんでいく。ひところ、これが膨らみ過ぎて赤字の原因にもなりましたので、この点が第一に財政運営の努力として必要だということです。
 もう一つは、社会保障経費の増大について、単純にこれがどんどんふえていくということになっていくと、場合によっては、高齢者分を削って若者へというような、分野ごとに優劣をつけることになりかねないと。都財政でも、これはかつて行われたことです。九八年の財政危機を乗り切るためにということで、高齢者福祉、かなりやり玉に上げられました。
 私は、今日、こういうことの繰り返しは絶対に許されないと。高齢者も、当時に比べてもはるかに生活水準が下がってきていて、年金額も下がってきている状況で、今の現状でも大変厳しい暮らしをようやく支えている高齢者の社会保障、福祉制度を、これ以上削ることは許されないと思います。
 そこで、やはり大きな今回の試算のベースになっている点で、例えば、社会保障の経費の中で見てみますと、生活保護の人数が今よりもやはり二十年後にじわじわふえ続けるという試算のベースになっていると思うんです。これは、私は、生活保護受給者は、やはり生活の底上げによって生活保護を受けなくても、ほかの福祉制度で暮らしていけるというふうに改善すれば、やっぱり減らしていけるということを考えていかなきゃならないということだと思うんです。福祉制度はそのためのものだと思うんです。
 そういう点での制度の拡充、今、保育園づくり、物すごい力を入れていますから、これが社会的に大きな経済効果を発揮して、女性の方が社会に参加し、また、働くことができることによる経済効果が必ずあるはずですので、それが東京都の税収その他にはね返ってきて、都税収入も含めてふやしていくという経済の循環の法則にのった対策を、やはり今後も拡充していくということを強く要望しておきたいと思います。
 それから、法人税関係で幾つか、やはりきちんと課税すべき対象に課税をするという対策もこの際申し上げてきた、これは主には主税局の方なんですけれども、法人事業税については、まだ超過課税が限度いっぱいかかっておりませんし、これの強化を行うことや、株取引課税については、これは国の制度ですけれども、厳正適用を初めとして適切な課税強化も行うべきだし、大企業、資産家へ応分の負担を求めていくことが全体として必要だと思います。
 そして、国からの不当な地方税の搾取については、ましてや、今後の消費税増税に伴うさらなる収奪については、これときちんと闘ってはね返していくということも、地方自治体、特に大都市財政を守っていくためには重要であると。我が党もこの立場で一緒に頑張りたいと思っておりますが、こういう点も指摘して、都税収入が二十年後には現状より大きく伸びているような財政運営を、私たちも繰り返し提案していきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十三分散会

ページ先頭に戻る