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Tokyo Metropolitan Assembly

財政委員会速記録第十一号

平成二十七年十月二日(金曜日)
第二委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長和泉 武彦君
副委員長大松あきら君
副委員長桜井 浩之君
理事中村ひろし君
理事高木 けい君
理事曽根はじめ君
山内  晃君
大津ひろ子君
木村 基成君
西崎 光子君
柴崎 幹男君
鈴木 隆道君
鈴木貫太郎君
植木こうじ君

欠席委員 なし

出席説明員
財務局局長長谷川 明君
経理部長十河 慎一君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長岩瀬 和春君
財産運用部長中村 倫治君
利活用調整担当部長山根 恭子君
建築保全部長久保田浩二君
技術管理担当部長中山  衛君
庁舎運営担当部長井上  充君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長草野 智文君
主税局局長小林  清君
総務部長西海 哲洋君
税制部長加藤  隆君
税制調査担当部長池田 美英君

本日の会議に付した事件
財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十二号議案 都立小平南高等学校(二十七)改修工事請負契約
・第百七十三号議案 都立日野台高等学校(二十七)改修工事請負契約
・第百七十四号議案 警視庁有家族者待機寮青戸住宅(二十七)改築工事請負契約
・第百七十五号議案 平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約
・第百七十六号議案 平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事請負契約
・第百七十七号議案 環二地下トンネル(仮称)及び築地換気所(仮称)ほか築造工事(二十七 一-環二築地工区)請負契約
・第百七十八号議案 地下トンネル築造工事及び街路築造工事(二十七 二-環五の一千駄ヶ谷)請負契約
・第百七十九号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その十)請負契約
・第百八十号議案  土地の信託の変更について
報告事項(質疑)
・「平成二十六年度東京都年次財務報告書」について
・「共存共栄による日本全体の発展を目指して-地方税財政に関する東京都の主張-」について

○和泉委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百七十二号議案から第百七十九号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七十二号議案から第百八十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○十河経理部長 それでは、先日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます財政委員会要求資料をごらんください。
 最初に表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり二件でございます。
 一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号、不調発生率の推移をごらんください。
 こちらは、工事の入札における不調発生率について、区分別に年度ごとの推移をお示ししたものでございます。
 恐れ入りますが、一枚おめくりいただきまして、要求資料第2号、信託配当の実績の推移についてをごらんください。
 これは、財務局が所管しております三つの土地信託ごとに、これまでの信託配当の実績を表にまとめたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○和泉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木村委員 議案として提出されている新宿モノリスの土地信託について質問いたします。
 昭和六十一年の地方自治法改正によって、地方自治体が行う土地信託の手法が制度化されました。当時は、バブル経済の中にあり、不動産価格が激しく高騰する社会状況であったと思います。東京都は、地価高騰の要因とならない都有地の有効な活用策として、昭和六十二年に土地信託制度を取り入れ、これまで五つの事業を実施してきました。
 新宿モノリスは、その初めての土地信託事業でありますが、平成二十二年に二十年間の信託期間が終了し、五年間の延長を行っています。そして本年十一月に、二回目の信託期間満了を迎えます。
 新宿モノリスの信託事業については、一回目の延長の総括も含め、しっかりと検証した上で、五年間の信託延長という結論になったと思いますが、まず、検証、総括の方法も含め、その内容についてお伺いいたします。

○山根利活用調整担当部長 検証、総括についてでございますが、公平、公正の観点から、受託銀行とは異なる第三者の立場の不動産鑑定士、市場調査会社、建築士など専門家の意見を聞きながら実施いたしました。
 その内容といたしましては、建物設備はリニューアル工事等を適宜実施して良好であること、賃料設定はおおむね市場相場を維持していること、延長した五年間を含め、入居率はおおむね九〇%を維持し、直近では約九九%であること、借入金は、平成二十一年度に完済していることなどから、引き続き健全な資産運用が可能と専門家は評価しておりまして、これまで安定した信託運営ができていると認識しております。

○木村委員 専門家の意見を踏まえながら検証を行ってきたということでした。今回の五年間の信託期間の延長というのは、延長以外のさまざまな具体策についても検討した上でのことだと思います。
 新宿モノリスの特色を踏まえて、具体的にどのような案を検討してきたのか、伺います。

○山根利活用調整担当部長 新宿モノリスは、西新宿のビル集積地に立つ典型的な商業用オフィスビルという特色を持っております。
 今回、土地信託契約の満了を迎えるに当たりまして、延長のほかには、土地建物を売却することや土地信託を終了し、都が直接土地建物を所有することを検討いたしました。
 まず、売却についてですが、都心の一等地に立地し、都庁に近接する極めて貴重な都有地であり、直ちに売却することは適切ではないと判断いたしました。
 また、都が直接所有することになった場合でございますが、商業用オフィスビルとして運用されており、土地、建物だけではなく、テナントとの賃貸借契約も都が承継することになりますので、賃料交渉を伴う募集や資金の預かり、修繕積立金の資金管理等を直営で行うには課題が多いものでございます。
 一方、土地信託を延長した場合でございますが、引き続き健全な資産運用が可能であり、また不動産市況等の変化にも柔軟に対応できるものでございます。
 そのため、今回、土地信託を五年間延長することとし、五年後に改めて社会経済状況の変化や都の行政需要を踏まえて検証することが適切と判断したものでございます。

○木村委員 新宿モノリスにおいては、信託期間を延長するという判断が適切であるということは理解できました。その期間については、前回も今回も結果的には五年間となっております。
 そこで、信託期間を五年とした理由について伺います。また、前回の延長との違いはあるのでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 前回の延長のときは、初めて期間満了を迎えた信託事業であり、また、リーマンショック後で社会経済状況や不動産市況が不透明な中、長期的判断が難しい時期でありました。
 そうした状況の中で、当面、安定した収入を享受しながら適切な運用をすることに努め、数年後に改めて出口策を検討することが都にとって有効な選択肢であると判断し、五年間の延長としたものでございます。
 これに対して、今回は、二十五年間の信託運営の状況を踏まえまして、専門家による十年間を見据えた収支予測も行いました結果、緩やかな景気回復基調の中で不動産市況も改善してきており、今後、十年間は安定したキャッシュ・フローを享受し、ビルの老朽化に対応する大規模修繕の積立金等も継続的に確保することが可能であると。すなわち、長期的に安定した信託運営が可能との評価を得ました。
 一方、将来の社会経済状況や都の行政需要の変化の可能性も踏まえますと、一定期間ごとに改めて検証することが適切であることから、総合的に勘案いたしまして、延長期間は五年間としたものでございます。

○木村委員 答弁を伺いますと、前回は当面の延長であった。今回は、前回の延長を踏まえて、また、将来も見据えた上での延長だということがよくわかりました。
 次に、前回の延長後の信託配当について伺います。延長後の信託配当額については、幾らになっているのか、お伺いいたします。

○山根利活用調整担当部長 信託延長後の信託配当の歳入額は、平成二十四年度、十四億五千二百万円、平成二十五年度、十三億八千万円であり、ほぼ各年度の事業計画どおりとなっております。延長前に比べますと信託配当は減少しておりますが、これは、リーマンショック後の景気の悪化により賃料相場が下落したこと、大口テナントが退去したことなどにより賃料収入が減少したことに加えまして、築後約二十年を経過して、共用部のLED化やトイレ、エレベーターホールなど全面リニューアル工事を含む大規模修繕工事を実施したことによるものでございます。

○木村委員 受託銀行と連携しながら、優良テナントのほかのビルへの移転、収支悪化などを防ぐために、テナントサービスや環境配慮に対する取り組みを実施してきたことは、十分理解ができます。また、当然だと思います。
 それでは、次に、再延長後の配当について伺います。再延長後の信託配当額については、どの程度の金額を見込んでいるのでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 信託配当額につきましては、平成二十五年度までの累計額は、約五百七十六億円となっておりまして、再延長後は、各年度で十二億円程度を想定しております。これは、都が専門家の意見を踏まえまして収支を試算したものでございます。
 各年度の実際の信託配当額につきましては、収支状況や今後の大規模修繕の計画等を勘案し、各年度ごとに決定してまいります。

○木村委員 信託配当の見込みは、各年度十二億円程度ということですが、前回の延長後の平成二十四年度以降と比較して減少しております。
 なぜ、信託配当が減少しているのか。また、実際の配当額は、各年度決定するとのことですが、配当は多い方が望ましいと思うのですが、所見を伺います。

○山根利活用調整担当部長 今後の新宿モノリスの信託運営におきましては、竣工から二十五年を経過することから、経年劣化への対応が本格化する時期を迎えております。テナントビルとして競争力を維持するために、建物、設備の大規模修繕を適時適切に実施する必要がありますので、その費用を反映し、試算した結果、信託配当は十二億円程度となっております。
 このように、ビルの資産価値の毀損を防ぎ、競争力を維持することにより、長期的視点に立ってテナント賃料収入の維持、増加に努めてまいります。あわせて、今後も引き続き受託銀行と綿密に連携し、管理コストの抑制などの取り組みも行いまして、可能な限り信託配当を確保してまいりたいと考えております。

○木村委員 新宿モノリスは、東京都として初の土地信託でした。地価高騰の要因とならない都有地の有効活用という所期の目的を達成し、また、一定の信託配当を確保することによって都政に貢献してきたことは評価できます。
 再延長後も、専門家からは十年間の安定した配当、積立金を継続して確保が可能との評価を得ているということでもあり、大規模修繕によるテナントビルとしての競争力も維持しながら、毎年十億円を超える信託配当を見込んでいます。ビルの管理状況も良好ということで、ほかの選択肢と比較しても、五年の再延長という東京都の判断は十分理解できるものであります。
 今後も、引き続いて安定した収入を享受しながら、健全な信託運営を実施することを要望して質問を終わります。

○植木委員 私も、土地信託事業についてお聞きしたいと思います。
 今もお話ありましたが、土地信託事業は、昭和六十一年の自治法の改正によって、自治体財産を土地信託によって運用することが可能になり、全国に広がりました。ところが、大阪市のアメリカ村や徳島県のコート・ベールを初め多くの土地信託事業が破綻し、破綻を取り繕うのに大変苦労しているということが、当時、マスコミを通じて私たちも知らされました。その大阪市も、二〇〇七年になってようやく土地信託事業検討会議の最終報告が出されるなど、こうした問題がずっと続いているわけです。
 東京都では、この土地信託の第一号が新宿モノリスでした。そして五年前に、二十年の土地信託が終了したので、本来、東京都に土地、建物が返却されるはずのものを五年間の延長をして、問題の先送りをしてきたものだと、当時、私たちが指摘をいたしました。
 そして、その後五年間たった現在、改めて再延長を行うという今度の提案ですが、前回の延長のときも、財政委員会で多くの疑問や質問が上がっていましたが、今回の再延長はどのような検討の上、再延長になったのか、明確な理由をお示しください。

○山根利活用調整担当部長 今回の再延長に当たりましては、延長策のほかに、土地、建物を売却することや土地信託を終了し、都が直接土地、建物を所有することを検討いたしました。
 まず、売却については、都心の一等地に立地し、都庁に近接する極めて貴重な都有地であり、直ちに売却することは適切ではないと判断いたしました。
 また、都が直接所有することになった場合、土地、建物だけでなく賃貸借契約も承継することになりますので、テナント募集、資金管理等を直営で行うには課題が多いものでございます。
 一方、土地信託を延長した場合は、引き続き健全な資産運用が可能であり、また、不動産市況等にも変化に柔軟に対応できると、そういった評価を得ております。
 このため、五年間延長することとし、五年後に改めて社会経済状況の変化や都の行政需要を踏まえて検証することとしたものでございます。

○植木委員 単なる五年間の延長の上に再延長じゃないと思うんですよね。やはり二十数年来の信託について全面的に総括すると、こういう立場が東京都として当然求められてきているのではないかと、私は思うんですよね。詳細に一つ一つやっていくと時間もありませんので、幾つかの問題点のところについてだけ絞ってお伺いをしたいと思います。
 まず、土地信託の所期の目的、目標と比べて配当実績が達成しているのかどうか。そういう意味で、新宿モノリスの配当予定と配当額の実績、それから達成率について示してもらいたい。で、この五年間で配当が改善されたのかどうか、お示しいただきたいと思います。

○山根利活用調整担当部長 土地信託の所期の目的である地価高騰の要因とならない都有地の有効活用という点について、達成できたと考えております。
 信託配当については、当初の予想配当は約二千四百十六億円でございました。しかし、バブル経済の崩壊により賃料相場が大きく下落し、テナント賃料収入が予想より大幅に下落したことが最大の要因となりまして、約二十年間の信託配当の合計額は約五百四十七億円となりました。予想配当に対する割合としては約二三%となっております。
 その後の信託配当の歳入額は、平成二十四年度で十四億五千二百万円、平成二十五年度、十三億八千万円でありまして、ほぼ各年度の事業計画どおりとなっております。
 延長後も、共用部のLED化やトイレ、エレベーターホール等の全面リニューアル工事など大規模修繕を本格化させまして、テナントサービスや環境配慮に対する取り組みを行っております。

○植木委員 当時は、もうバブルが後半になっていて、モノリスの段階は、まだバブルの最終盤といいましょうか、大体平成元年あたりから少しずつバブルの崩壊がいわれ始めてきていますから、実際にモノリスが始まったときには、もう下落傾向も急速に始まると、こういうところでした。
 それから、配当実績は、今お示しされたように二三%、五年前のこの委員会では二〇%という、そういう数字でした。この五年間で配当額が、今お示しされたように十五億幾らか、それから十三億幾らに減少しているんですけれども、この要因は何でしょうか。

○山根利活用調整担当部長 リーマンショック後で景気悪化がありまして、賃料相場が下落したこと、それから大口テナントが退去したことなどによりまして、賃料収入が減少いたしました。これに加え、築後約二十年を経過いたしまして、共用部のリニューアル工事などを実施したためでございます。

○植木委員 二十年、二十五年たつわけですけれども、配当額は減ってきていると。これからリニューアル、それから大規模修繕の費用がどんどんふえていく。そうすると、いつまでたっても当初の予定というのは達成できない。聞くところによりますと、ほぼ一〇〇%に近い入居をされていると。これでは永遠に達成できないということだろうと思うんです。
 ちょっと具体的にお聞きしますが、新宿モノリスについて、二十年間の信託が終了する時点、つまり五年前まで、監理団体である東京都道路整備公社が入居していたというふうに思います。五年前の財政委員会で、入居していた道路整備公社の賃料水準について、果たして妥当なものであったのか、特にモノリスに入居する必要があったのか、都が監理団体などに対して近隣相場よりも高い賃料で入居させ、結果として信託への受益として都へ還流させているんではないか、こういう質問がありました。その後、撤退したと聞いていますけれども、撤退した理由と経過について、どのように捉えているのかをお示しください。

○山根利活用調整担当部長 東京都道路整備保全公社から信託銀行に対して退去の申し出があったということは把握しておりますが、公社の経営判断によるものでございまして、その理由、経過については把握しておりません。

○植木委員 把握していないということですけれども、これは五年前、包括外部監査報告書の指摘を受けたことから明らかになった問題です。
 監査の指摘意見では、賃貸料の水準は平成七年の入居時に比べて大幅に高くなっている。委託費の算定において重要な影響を及ぼす賃料に関して--委託費の算定というのは、この事業者の仕事の内容だと思うんですけれども、委託費の算定において重要な影響を及ぼす賃料に関して、他に選択の余地がないのかどうか、経済性の観点から十分な検討を行い、賃貸料については重要な検討課題とすべき、こういう指摘がなされました。それを受けて、公社では、監査に従って改善を図られたというふうに聞いております。
 改善の報告書が発表されていますけれども、それによると、平成二十一年の監査の指摘で、二十二年に賃料の引き下げ交渉を行い、二十一年度比で二〇%引き下げたと書いてありました。そして二十三年度に、やはり高いということで、同じ西新宿の別のビルに移転して、監査の指摘を受けた二十一年度比で、賃料四八%、つまり半額近くに引き下げることができたそうです。ちなみに、二十一年度は、年間賃料が二億四百万円、そして二十三年度は、一億六百万円ということになったそうです。
 平成七年に、モノリスに入居したときは、既にバブルが崩壊し始めて賃料収入が下がり、配当が激減していたというときの契約だということですが、その後もモノリスの賃料収入は減り続けているときに、この監理団体の賃料が上がっているという指摘なんです。
 こうした賃料が非常に高い、そして引き下げ交渉を行い、さらに、仕方がない、モノリスから撤退をすると。こういう推移について、どのように認識していますでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 賃料の推移についてでございますが、包括外部監査報告書では、実際には、借り増ししたフロアの賃料が、平成七年に借りたフロアに比較して大幅に高いとされているものでございます。
 この増床した年という平成十九年度は、リーマンショックの直前で、不動産ミニバブルといわれる賃料水準の高騰の時期でございました。このため、市場全般的にオフィスの賃料水準が高くなっている状況でございました。
 一方、退去した平成二十三年度といいますのは、リーマンショックの後でありまして、空き室が多く発生いたしまして、空き事務所の確保が容易になっているとともに、賃料水準も低くなっていた時期でございます。
 この東京都道路整備保全公社の賃料水準につきましては、平成十六年度及び二十一年度に、市場相場の下落に合わせて交渉がなされ、賃料の引き下げも行われるなど、平成二十三年度の退去に至るまで、市場実勢に基づいて適正に設定をされておりまして、モノリス内のほかのテナントと同様の扱いであり、妥当なものと考えております。
 なお、賃料など具体的な個々の賃貸条件につきましては、信託銀行とテナントとの交渉、契約に基づき決定していると認識しております。

○植木委員 一部、確かに面積を広げたということも、私は後で知ったんですけれども、しかしながら、大半はもともとの施設なんですよ。しかも、二十一年度、明らかに高かったんです。だから今、賃料相場が安くなってる時期だといいますけれども、それにしても四八%、つまり半分に減るというのは、いかにモノリスが高いかということのあらわれだと思うんです。これは、建物のグレードという意味合いもあるとは思うんですけれども、私はそれだけじゃないというふうに思っているんです。それはほかの例でちょっとまたお話しします。
 今の問題、もう一つの角度で見る必要があると思うんです。つまり、入居させる側の公社などの問題です。
 監理団体とはいえ、都民の立場で考えたら、外部監査の指摘のように、都関連施設をわざわざ高い賃料の施設に入居させ続けるべきではなかったんではないかと、私はこれが本当だろうと思うんです。これについてどうでしょうかね。これは監理団体だけではなくて、都施設についても同様のことがいえると思うんです。
 この間、私も議事録いろいろ見させてもらいましたけれども、非常に賃料が高いということがいろんなところでいわれております。バブルの崩壊が始まったころ、例えば、コスモス青山の質疑のとき、一九九八年の議事録ですけれども、財務局の経理部長が、当初、都施設は平米当たり九千八百円だった。他の民間施設は平米当たりちょっと、済みません。後であれしますけど、数字がどこかへ消えちゃった。(「数字聞きたいね」と呼ぶ者あり)後で探していいます。(「今、聞きたいね」と呼ぶ者あり)はい。(笑声)じゃあ、今のところですね(「いいや、時間かかっちゃうから」と呼ぶ者あり)(笑声)じゃあ、後でこれ明確にいいますあ、五千六百円でございます、と議事録が出ています。さらに、健康プラザについても平米当たりの月額賃料は九千九百円、民間施設の平米当たりは六千円と、平均的な賃料について出てます。これが事実かどうかは、局の答弁ですから、私は知ることができませんけれども、局の答弁です。
 そういうふうに、ずっとこの間高いと指摘がされてきているんです。それが事実かどうかという問題はありますけれども、しかし、同様に先ほどの道路公社のように、東京都の財産の管理、都民の税金で賄われてる都施設、これがずっと高い賃料でいいのか。引き下げ交渉するとか、本当にここでなければだめなのか、もっと安いところでもできるのか。やはりこういう検証がその時々必要だったと思うんです。これまでずっと二十五年です、やられてきたわけですから。そういうことだと思うんです。
 ですから、これは土地信託の問題というよりも財政の、本当に都民の財政の運用の問題としてどう捉えていますか。

○中村財産運用部長 土地信託に関連いたしまして、監理団体等の賃料についてのお尋ねでございますが、監理団体等の事務所につきましては、事業の内容ですとか、実施場所、団体の規模、必要面積、経営状況等を踏まえまして、必要な経費を精査の上、監理団体等がみずから判断しているものと認識しております。
 また、事務所移転等も含めました賃料の見直しにつきましても、契約期間などの制約の中での交渉や必要なスペース等の確保、事業への支障の有無、移転等の経費等の比較など、適時行われているものと承知しております。
 財産を管理いたします立場といたしましては、監理団体等の所管局や都施設の入居を希望する局の相談に応じますとともに、既存庁舎等の空きスペースは限られている中でございますが、必要に応じて情報の提供や調整などを行っております。
 なお、都の土地信託にかかわるビルに入居しております都及び都の関連団体の賃料につきましては、他のテナントと同様の取り扱いであり、妥当な水準であると承知しているところでございます。

○植木委員 いろいろ相談に応じたりしているというお話なんですけれども、モノリスだけじゃなくて五つの信託があるわけです。こういうこれまで議会あるいは新聞報道、いろんなところで近隣の相場より高いという指摘がされた建物は幾つもあるんですけれども、こういうことについて、賃料の安いところへ移転することをやったとか、あるいは引き下げを交渉したとか、そういうことで移転をしたところ、公社以外にはあるんですか。

○山根利活用調整担当部長 信託事業のオフィスビル、あるいは各種ビルに入居しているテナントのうち、入居、退去の判断につきましては、それぞれのテナントの経営判断により行っているものでございますので、東京都あるいは東京都関連のオフィスについても、当然、そうした判断のもとに入居、退去を決めていると考えております。
 実際に、東京都関連のテナントでも、入居、退去といったような報告が上がってきておりますので、ないわけではございません。

○植木委員 ないわけではないといったんですけれども、道路公社以外では。今、維持更新で入ってる、これは維持更新ですから、維持更新の期間を除けば当然、後戻りすると思うんです。それから、区分所有で別に分けたものは、これは撤退とはいわないということになりますと、大きなものではほとんどないと私は認識しているんですけれども、どことどこでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 今ちょっと細かい年月等は持っておりませんが、福利厚生事業団等、過去に入居、退去という例がございます。

○植木委員 今のいわれたような大したあれじゃないんですよ、福利厚生事業団って。(発言する者あり)いや、面積って、この建物という意味でですね。
 私が、こうした議事録やマスコミ報道で調べてみたことに関していいますと、先ほどの一九九八年の議事録が一つですね。つまり、コスモス青山では九千八百円、平米当たり、それが周辺では五千六百円。それから健康プラザの方は九千九百円、民間の平均月額は六千円と。これは議事録で出ていることであります。
 それから、Aという施設は、年間賃料が、現在、五億六千五百万円。昨年までの十九年間で約百七億円。これは当初の数字がないんで多分これより多いんだと思うんです。
 Bという施設は、二〇一〇年の議事録では二十四億八千三百万円、年間使用料ですね。十六年間で四百億円となっていましたと。それを二〇一〇年の後の五年を加えると五百億円弱になるんだろうと思うんです。
 Cという施設は、二十年間で四十二億円。これは議事録に出ていました。
 こうした大きな三つの施設だけで、おおむね六百四十九億円になります。そのほかに、賃料とは違いますけれども、両国シティコアでは、当時三十億円もの借入金残高があり、土地と建物を無償で返還するのではなく、入居していた都民住宅を赤字の補填のために十三億五千万円で購入していると。こういうものを加えると、おおむね六百六十億円強と。正確な数字は、いっている場面といっていない議事録とありますので、ですけど、おおむね六百六十億円になっています。これは間違っていますか。

○山根利活用調整担当部長 今お話しの数字につきましては、過去の都議会での各常任委員会等で、賃料の数値としてやりとりがあったということは認識しております。
 また、両国シティコアのお話でございますが、これは当初の信託期間の満了時に、信託銀行から一般会計が返還を受けた都民住宅の住宅棟を、一般会計から都営住宅事業会計に十三億五千万円で有償所管がえをしたものでございます。
 なお、先ほどのお尋ねの際の賃料の件ですけれども、コスモス青山の中の東京ウィメンズプラザのような公的施設の部分につきましては、当初からその施設の長期間の入居を前提として計画がなされ、その施設に必要な特別な仕様を整備しておりますので、ほかへの移転あるいは転用といったことも難しく、その部分については通常のオフィスとは異なる賃料体系になっておりますので、ご承知おきいただきたいと思います。これについては妥当な水準と考えております。

○植木委員 大久保病院はちょっと違うんだというんですけど、これは後でまた質問します。
 そのほかの賃料については、明確な資料がないんです。福祉保健局が持っている保健医療情報センターとかそうしたものは局の決算書を見て数字が出ているので、これは把握しました。それにしても、断片的な全体の数字と、それから賃料を明らかにしていないJKK、住宅供給公社が六千三百七十一平米など、こうした十施設。それから、以前にも国連大学、これは賃料が当時出ていましたので、そういうものも含めたり、出入りがあったわけですけれども、出入りがあったというのはいろんな事情があると思うんです。賃料の問題ではありませんから、それは。念のためいっておきます。
 そうしますと、先ほど私が示した三つの施設、プラス十三億五千万円でおおむね六百六十億円ぐらいと。それに、今、お話しましたような十施設の賃料を面積計算すると、都と関連施設の賃料は、おおよそ九百五十億円になると思いますが、間違っておりますか。

○山根利活用調整担当部長 九百五十億円で間違っているかどうかというお尋ねでございますが、このような賃料につきましては、もともとテナントと信託銀行との相対交渉によって定めるものでございますので、こちらとしては答える立場にないものでございます。

○植木委員 テナントとの契約にかかわるものだからいえない部分があるというのは、それはある程度わかりますけれども、やはり再度延長するというのが、今回、新宿モノリスですけれども、この前は、二定でもありましたし、恐らく三定でも出てくる、そういうものですから、やはりそこは曖昧にしてはならないと思うんです。おおよそ九百五十億円になるというのが私の計算ですけれども、恐らく、まあそんなに違いはないというふうに私は確信をいたしております。
 ただ、賃料が、その時々の情勢によって変更があるということなんですけど、例えば、Aという施設は二十年間同じ賃料です。Bの施設は十七年間同じ金額です。Cという施設は、これも二十年間同じ金額です。そうなると、こんなに長い間、賃料が一定しているということは信じられないと思うんですね。そういう意味で、賃料相場が変動している。しかも、全体としては下がってることは明らかですから。しかも周辺の民間賃料よりも高いという指摘が繰り返されてきた、そういう状況だと思うんです。それで九百五十億円になるわけですね。
 それでは、別の角度からお聞きしますけれども、それぞれの信託事業別に金融機関への支払い利息、信託報酬は幾らになりますか。合計も含めてお示し願いたいと思います。

○山根利活用調整担当部長 平成二十五年度までの累計で、信託銀行への支払い利息は、新宿モノリスが二十八億五千二百万円、両国シティコアが五十五億三千四百万円、コスモス青山が五十一億三千九百万円、東京都健康プラザが百六十五億百万円、勝どきサンスクエアが二億八千三百万円となっております。
 信託銀行の報酬は、新宿モノリスが七億八千八百万円、両国シティコアが四億九千二百万円、コスモス青山が三億五千三百万円、東京都健康プラザが七億五千九百万円、勝どきサンスクエアが二億二百万円となっております。

○植木委員 そうしますと、合計がお話なかったんですが、信託報酬と支払い利息で三百二十九億円だろうと思うんです、もし間違ったらいってください。支払い利息は、合計で約三百三億円、信託報酬は約二十六億円で、三百二十九億円、それに配当額が五百九十八億円、これ全部を足すとですね、九百二十七億円となります。
 先ほど、私が賃料を十三億円プラスして約九百五十億円だといいました。これが事実だとすると、東京都及び都の関連施設が営々と払ってきたのが約九百五十億円。一方で、その九百五十億円を東京都に還流して、五百九十八億円の配当が東京都に戻ってきたと。金融機関が支払い利息と信託報酬三百二十九億円を受け取ったと、こういう計算になる。ほぼ同じなんですね、賃料と。配当及び金融機関の受け取り部分と。一体この二十年間、何だったんだろうという思いがするんですね。都の施設を入れて、高い、高いといわれながら是正もしないでずっと来た。巨額な賃料を払ってきた。それを東京都へ還流させてきた。
 当時も、タコが自分の足を食べてるのだという指摘が幾つか議事録を見てみますと散見しますけれども、自分の足だけじゃないですよ。金融機関の利息分も全部、東京都の、あるいは関連団体の、いわゆる都民の税金、あるいはそれに関連するものが払っていたという、そういうことではないんですか、いかがですか。

○山根利活用調整担当部長 先ほどは、合計額を失念いたしましたが、信託配当額の合計、五百九十八億円、支払い利息の合計三百三億円、信託報酬の合計額二十六億円でございます。
 これらのものを足し合わせてというお話でございますが、単純に加算すれば合計金額は先生のお話のようになると思いますが、これらのそれぞれについては性質が異なりまして、これらを足し合わせる性格のものではないかと存じます。
 信託報酬は、信託契約に基づいて信託財産を効率的に運用していくための対価として支払うものでございます。また、借入金利息につきましては、建物の建設資金に係る信託と融資銀行との約定に基づいて行う支払いでございます。一方で、配当は賃料などの収入から管理費などの必要経費のほか、借入金の返済額などを差し引いて出てくる剰余金ということになりますので、信託報酬の額は、都への配当と比較して定めるという性格のものではございません。
 したがいまして、これら配当額、支払い利息、信託報酬といったものはそれぞれ性質が異なっておりますので、これらを足し合わせるべきものではないと思います。
 また、信託事業のオフィス部分に入居している部分、あるいはウィメンズプラザのように公的施設の部分、それぞれ両方とも合わせて信託事業は成立する、両方ともを合わせて成立する計画となっておりますので、どちらかの賃料で支えられているということではないと考えております。

○植木委員 それじゃ、お聞きしますけど、いろいろいいわけされてました。経理上はそういうことだろうと思うんですよ。経理上というか、経理上やそれから信託の運営上はそういうことだろうと思うんですけど、都民の感覚からいえば違いますよ。
 それから、私は、都有財産の活用の仕方そのものがもともと間違っていたところに成り立っているというふうに思うんですよね。モノリスは、公共施設は道路公社が立ち退きましたから少ないんですけれども、そのほかのものは相当の割合で入ってると思うんです。この割合について、ハイジア、コスモス、両国シティコア、何%公的な施設が入っていますでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 入居面積の貸付面積に対する割合でございますけれども、平成二十七年三月末現在で、新宿モノリスで約八%、コスモス青山で約五六%、東京都健康プラザで約六二%でございます。

○植木委員 つまり、モノリスは八%で少ないんですけれども、モノリスは、もうちょっとあるんです、退去したものがあったから。もう一つは、両国シティコアも都民住宅が入ってるときは六七%になるんです。そうしますと、この信託、特にハイジア、コスモス、両国シティコア、主たる目的が公共によって使っていると、こういうふうに見られても私は仕方がないと思うんです。
 そこで伺いますけれども、土地信託事業を自治体が行うことができるようになった昭和六十一年、自治法の改正、ここでですね、参議院地方行政委員会で、地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議というものが採択されていると思うんですけれども、これはどういうものかご承知でしょうか。

○山根利活用調整担当部長 承知しております。

○植木委員 じゃあ、私がいいますね。(笑声)参議院地方行政委員会の附帯決議、これは附帯決議だけじゃないんですよ。通知としても出されるんですね。自治省自治事務次官通知という形で各都道府県、地方自治体、管下市区町村に対しても趣旨が徹底するようにと、指導願いたいということ書いてあるわけです。
 内容いいますね。地方公共団体の公用、公共施設の建設等は、地方公共団体の本来の責任と負担において行われるものであることに鑑み、これを主たる目的として信託が行われることのないように十分留意すること、こういうふうになってるんですね。それで、通知の方は、公共団体の責任と負担において行われるべきものであり、これを主たる目的とする信託は行わないこととすると、通知の方でもって厳しくなってるんですね。
 なぜか当時の論議そのものが、まだ読めてないんでわからないんですけれども、要するに、最初、私がいいましたように、公共の施設を借りる場合は、できるだけ節約しなさいという趣旨を一ついいました。で、実際の公共がどれだけ入っていたのか、引き下げ交渉はあったのかというお話も聞きました。その上で、やはり大もとにはこういうことが出ていて、公共のものを行うことに信託を活用しちゃならぬと出ているんですよ。
 そういう意味では、明らかにこれは、この通知、附帯決議の趣旨に反しているといわざるを得ないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○山根利活用調整担当部長 先ほどの附帯決議の方に書かれておりますのは、地方公共団体の公用、公共用の建設等は、本来、普通地方公共団体の責任と負担において行われるべきものにあることに鑑み、これを主たる目的とする信託は行わないこととすることとされておりますが、コスモス青山の東京ウィメンズプラザなど、東京都の信託ビルの公的施設部分については、公的施設として入っておりますけれども、主たる目的として設定したものではありません。
 当初より、その施設の長期間の入居を前提として計画しておりますが、目的ということではなく、先ほども申し上げたことの繰り返しになりますが、こうした公的施設部分とオフィス部分との両方合わせて成立する計画となっておりますので、ご指摘には当たらないかと考えております。

○植木委員 主たる目的ではない。これは、都民が誰も理解できませんね、今の部長答弁は。はっきりいって。しかも、行わないことと通知では書いてあるんですよ。行わないことというところまで書いてあるんですよ。お見せしましょうか。いいですか。
 これを主たる--これをというのは、指しているのは、普通地方公共団体の公用、公共施設の建設等は、本来、普通地方公共団体の責任において行われるべきものである。で、これを主たる目的--建設して入居させているという、信託は行わないこととすると書いてあるんです。だから、目的が違うからってとんでもない。これは誰も理解できませんね、はっきりいって。
 この間、我が党は、信託銀行について、最初から都民の土地というものの活用について、信託事業のような不動産業に手を出したら失敗するよと。もう明確な失敗じゃないですか。しかし、反省も、当面の反省だけはやってると。しかし、僕から見りゃ当面の反省にもなってないんだけれども、百歩譲って、五年間たってこうだった。だから、再延長するのが今の段階では一番ベストですという、そもそも論が全然ないんですよ。
 大もとは、やっちゃいけないことをやってきたんですよ。しかも、都民のための税金ですから、そこでなければならない建物、それから本当に移った方がいい建物、こうしたものは必ずあるはずです。道路公社だけじゃありません、そういうものは。現に安いところに入居してるところあるんですから。何もそこでなきゃいけないという理由の建物ばっかりじゃない、施設ばっかりじゃないというふうに思うんですね。ですから、最後に、そういう都民の批判に応えて、改めて、きちっとした総括をすべきだと思うんです。
 大阪市では、ちゃんと検討委員会報告出していました。中身のよしあしは、ここではいいませんけれども。どこの地方自治体も一時悩んで、東京都は、割と、それでもモノリスのように賃料が比較的高いところもあるから表面的には何とかなっちゃう。
 しかし、これから維持更新が始まりますよ。維持更新の蓄えが二億円しかない施設が三つほどあります。二億円で、どうして大規模改修ができるんですかっていいたくなるんですけれども、そういう施設もあるんです。五つのうち三つもあるんです。
 そういう意味で改めて、きちっとした総括、反省をしていただきたい。私はこれ、当時の局長答弁だったんで、局長答弁でお願いできませんか。いかがですか。

○山根利活用調整担当部長 都は五つの信託事業、実施しておりますけれども、モノリスを含め、いずれの信託も所期の目的である地価高騰の要因とならない都有地の有効活用、そして、民活による財源負担を伴わない土地活用ということは達成しております。
 建物、設備は適宜修繕を実施して良好であること、それから賃料設定は市場の相場を維持していること、借入金については五信託いずれも完済していることなどから、今後は、より安定した資産運用ができる、そして、今回の延長は、現時点での諸条件の中でもベストの選択だというふうに考えておりますので、今後も信託事業を適切に運営していくというふうに考えております。

○植木委員 例えば、十三億、都民住宅で購入したりしてるんですよ。必ずしもうまくいってないんです。それから、目的というのは、一〇〇%はいってないですよ。しかも、もともとの成り立ちが、公共施設を主たるものとして使っちゃいけないということになってる。そこのことについては触れなかった。そういう意味で、やはりこの新宿モノリスを初めとした信託事業については、いずれきちっと総括をしていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
 私は、全部、ここでなきゃだめなのかどうかという検討結果の報告でもなければ、都民、納得できませんから。局長が答弁、立たないというのはどういう理由かわかりませんけれども、私は厳しくこの問題は指摘をしていきたいと思います。時間もなくなりますので、もう一つの方の質問に入りたいというふうに思います。
 契約案件です。
 中防内五号線橋りょうの案件、これがどういうものか、そして、この案件のところに、異業種特定建設共同企業体というのが出ていますが、これはどのようなものでしょうか。

○松永契約調整担当部長 ご審議いただいております第百七十五号議案は、海の森水上競技場の会場として計画された区域に位置する橋梁及び道路であり、臨海部の二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技会場へのアクセス確保や港湾物流への影響を回避するため、工期内に完了することが不可欠な工事でございます。また、設計施工一括発注方式、いわゆるデザインビルド方式を適用した工事であり、落札者は、鋼桁及び一般土木の二つの業種で構成される異業種JVでございます。
 都の工事発注は、発注者である都が基本設計や実施設計の成果品をもとに、土木、建築、電気など異なる業種ごとに工事を発注する分離分割方式を原則としております。これに対し異業種JVは、土木、建築、電気など複数の異なる業種の事業者間で結成するJVでございます。

○植木委員 この共同企業体を構成する企業はIHIや鹿島建設というスーパーゼネコン同士の企業体になっています。それで、中には七業種が一体となっていると。こういう異業種が一体となっていわゆるデザインビルドをする、これにはデメリットも多く、いろんなところで指摘されています。
 これまで、今もお話ありましたけれども、東京都は分離分割発注を基本としてきた。JVを組むときには中小企業の参入に配慮してきたはずですというふうに私は思うんですね。官公需法についても、中小企業の受注の確保に関する法律では、自治体について、中小企業の受注の機会を確保することによって中小企業の発展に資することを求めている。法律で求めている。
 しかし、一括方式では、規模の面から、金額も非常に大きいということもあるんですけれども、それと同様に規模も非常に大きいということが前提にあるんです。しかしながら、今までは、それでも施設とかいろんな部分部分で分離分割発注を努力してきたんだけれども、今回、明らかに一者しか応募していないんですね。
 そういう意味で、この方式は中小企業の参入は難しくなるんではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。

○松永契約調整担当部長 百七十五号議案を含め、デザインビルド方式を適用する施設は、WTO適用対象金額二十億二千万円を大きく超える大規模な施設でございます。
 WTO適用対象案件につきましては、デザインビルド方式の適用の有無にかかわらず、国内外の企業を平等に取り扱う必要があるため、入札参加要件として一定の施工実績など、当該工事を実施する上で必要最低限の要件のみを設定するルールとなっております。
 なお、デザインビルド方式を実施するに当たりまして、昨年六月以降、中小の建設業者団体を初め、関係する事業者団体等との意見交換を重ねてまいりました。これらの意見交換を通じまして、デザインビルドは特殊な施設のみに適用すること、都の技術職員が中心となって事業期間を通じた監理マネジメントを行うことにより発注者の責任を果たしていくといった都の考え方については理解を得られているかというふうに考えております。
 異業種JVの前提となるデザインビルド方式で発注する施設は、例外的な適用でございまして、分離分割方式を原則とした都の発注方針に変更はございません。

○植木委員 二つの問題に答えてくださったんですけれども、原理原則は変わっていないということですね。発注者側から見ると、一元化して施工も管理も一括して任せることができると、そういう意味では効率性が高まる。その一方で、企業体に任せっ放しになるなど安易になりやすい、丸投げという批判もあるというふうに私は聞いています。
 これについて東京都はどう思うのでしょうか。特に、公共事業の発注に当たっては、競争性、公平性、品質確保の客観性が確保されなければならないと都自身がいってきたはずです。そういう意味で、競争性が全く働かなくなる仕組みとも思える、その点についてもお答え願いたいと思います。

○松永契約調整担当部長 オリンピック・パラリンピック競技会場等の整備に当たっては、労務費や資材の高騰、不調発生率の増加という状況下においても、大会開催までの限られた期間のうちで、品質を確保した上で確実に整備しなければならないものでございます。このため、招致決定後有効な発注方式を検討する中で、デザインビルド方式についても、そのメリット、デメリットについて検討を重ねてまいりました。
 デザインビルド方式のメリットは、設計及び施工の効率化により、コスト低減、工期短縮等が期待できることであり、このことが競技施設整備の責任を負う都にとって重視すべき点であると判断し、この方式を一部施設に適用することといたしました。その上で、先行事例からデメリットとして指摘されてきた発注時に最終的な機能を確定することが難しく、契約後にこの不確定要因がコスト増などとして顕在化する可能性があること、事業の実施について、受注者に委ねる領域が大きくなり、発注者にとっては履行状況及び意思決定のプロセスが把握しにくくなることといった懸念への対応が必要となりますので、これらへの対応を制度設計などの中に組み込んでいくことにいたしました。
 まず、コスト増につながります不確定要因を軽減するために、都において基本設計をあらかじめ行い、要求性能及び仕様を明確にした後に実施設計と工事等を一括発注するということにいたしました。また、契約後は、都の技術職員が中心となってアドバイザリー業務受託者も活用しながら、事業期間を通じた監理マネジメントを行うことによりまして、工程、品質をチェックして発注者の責任を果たしていくことといたしました。同時に、デザインビルド方式をより有効に機能させるため、入札に参加しやすい環境の整備に向けての一連の制度改革を通しまして、受発注者間のリスク分担を見直すなど環境整備を図ってまいりました。
 都の独自の対応を含んで実施する、この、いわば東京都版デザインビルド方式は、一括発注方式が持つメリットを十分に発揮できるものというふうに考えております。
 また、競争性についてでございますが、WTO適用対象工事となることを想定しておりまして、デザインビルド方式であっても、WTOのルールにのっとって公平公正な手続を行うこと、また、大規模で特殊な施設のため、技術提案型の総合評価方式を適用いたしまして、価格と技術の両面で評価することを通じまして、より多くの事業者の参加を募り、競争性を確保してまいります。

○植木委員 メリット、デメリットいろいろあるということも承知をされて、いろいろ改善をされるということだと思うんですけれども、結果的には一者しか入っていなかったということがありますよね。これは多分、新国立競技場なんかも同じ仕組みじゃないかなと思うんです。あれもやっぱり設計者がどっかの建設会社と組んで応募しようと思ったけれども、なかなか組み手がいないということであきらめたところもあるようです。同様に、この一括方式というのは、やはりそういう意欲を持って参入したいけれども、もう少し分離分割発注で可能な企業も応募できるということが必要じゃないかなというふうに私は思うんですね。
 今の答弁の中にも少しは触れているんですけれども、改めてちょっとお聞きします。発注者として事業の工作物の完成品、この品質を保つための施工管理についての注意、東京方式というのがそれなのかどうなのかちょっとわかりませんけれども、その仕組みについてわかりやすく示していただきたいと思います。

○中山技術管理担当部長 デザインビルド発注方式は、通常は分離して発注する設計と工事を一括して受注者に委ねることから、発注者として事業期間を通じて、監督、検査、調整等を確実に行い、安全管理、品質管理、工程管理、コスト管理などを図ることが重要でございます。
 そのため、都では、工事目的物の品質確保に向けて、実施設計段階での基本設計意図を伝達する業務や工事段階での各種検査や施工図の確認などの業務について、監督員の監督業務を支援するため、基本設計を受託したものにアドバイザリー業務として委託いたします。このアドバイザリー業務委託により、都の技術職員を中心に受託者を活用して設計や施工の履行状況を十分に把握しながら、事業期間を通じた監理やマネジメントを行うことにより、発注者の責任を適切に果たしてまいります。

○植木委員 アドバイザイリーの業務を基本設計された方にお願いするというお話でしたけれども、やはりそうはいっても、これだけ大規模な施設ですと、靴の上からかゆいところをかくということはなかなかできない、施工管理がしづらくなるということは明らかですので、アドバイザリーにお願いしたからということじゃなくて、やはり東京都として責任を持つということが必要じゃないかなというふうに思います。
 それと、一括発注することによって、途中の設計変更や資材の高騰を理由にした品質の変更など、施工者のいいなりになるのではないかという批判の声も上がっていると思いますけれども、この点についてはどのように解決していくつもりでしょうか。

○中山技術管理担当部長 アドバイザリー業務は、先ほどのご答弁のとおり、工事目的物の品質管理に向けて重要な業務であることから、デザインビルド発注の設計内容を熟知した基本設計者が担うことで適切な施工管理が行えるものと考えております。
 次に、設計変更についてでございますが、設計変更が必要になった場合は、発注者と受注者が協議して合意した契約金額内訳書に沿って契約変更を行うことになります。
 デザインビルド方式の契約は、実施設計の完了前に行われるため、契約時の仕様書にあらかじめリスク分担表を記載し、契約後に顕在化することが予想されるさまざまなリスクを受注者と発注者のどちらが分担するか明記いたします。
 例えば、受注者が実施した設計に不備があった場合や受注者の事由による工事費の増加などは受注者の分担とすることが明記されます。また、物価変動に伴うスライド条項の適用についての請求があった場合は、発注者と受注者で合意した内訳書の記載事項、物価指数などに基づき協議して変更を行うものです。
 必要な手続につきましては、設計基準や監督基準に基づき適切に対応してまいります。

○植木委員 施工管理というのは非常に重要なんですけれども、リスクの事前の把握、リスク分担というお話ありましたけれども、国のマニュアルでさえ、こういう大きな一括方式でいくと、途中で一つの企業が倒産する可能性もある。その場合は、最初の届けた企業がそのままやらなきゃいけないという、そういうリスクもあるんだというふうに出ていました。そういう意味で、本当にさまざまなことも予想されるのがこの仕組みであり、ましてや、その一括の中のまた中心になっている企業体は、何社もの企業を取りまとめなきゃいけないという、そういう過大な負担もあるということもいろんな企業からいわれております。
 私は、もう一つ心配なのは、この間、品確法などで建設三法の改正の中で下請企業との契約関係、つまり請負契約の適正化、それから公共工事に従事する労働者の賃金や労働環境の改善、労働者の育成、こういったことまで品確法では求めていますけれども、どこまでこういうところが、この一括した事業者の中でできるのか、また、都はどこまで把握できるのか、都としての責任をお示し願いたいと思います。

○中山技術管理担当部長 都は、発注者として受注者に対して、建設業法その他の関連法令を遵守するように指導を行っております。
 建設業法において受注者には、下請、孫請など工事施工を請け負う全ての業者名、各業者の施工範囲、各業者の技術者氏名等を記載した施工体制台帳等の作成が義務づけられてございまして、都監督員は、受注者に施工体制台帳などの写しを提出され、契約状況などの確認を行っております。
 今後とも、品確法などの改正の趣旨も踏まえ、工事現場の適正な施工体制の確保など発注者の責任を果たしてまいります。

○植木委員 今、幾つかの角度から指摘をしてきましたけれども、国の方では、そのほかにもデメリットとして、施工者側に偏った設計となりやすいとか、設計者と発注者のチェック機能、こういうものが、いろんな仕組みを整えても働きにくいとか、受発注者間の責任の所在が曖昧になり、工事途中段階で調整しなければならなかったりすることを挙げています。それに、先ほどいったように、途中で倒産することも指摘している論文なども出ています。
 そうした意味で、この方式は、やはり大もとのという基本原理は変わってないとおっしゃっていたように、官公需法に基づいて中小企業の受注の確保などができるような、分離分割方式を基本にして進めていく。そういう意味で、この方式は採用を控えるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○松永契約調整担当部長 デザインビルド方式は、第百七十五号議案以外では、本年六月に、当財政委員会で柴崎委員のご質問に対して答弁したとおり、有明アリーナ、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場の、これら三つの施設に限定的に適用するものでありまして、都の工事発注は分離分割方式が原則でございます。

○植木委員 最後にします。特定の案件に限るということが明確に示されましたが、くれぐれも運用に当たっては注意をして、適正にやっていただきたいということを申し述べて終わりにします。

○中村委員 それでは、初めに契約案件に関連して質問します。
 今回の契約案件には、オリンピック関連の工事があります。番号5の平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事、五洋・若築建設共同企業体、二十四億五千百万円の契約です。これはオリンピックのボート会場建設のため、現在ある中央防波堤埋立処分場への荷揚げ施設を撤去するものです。応札が一者のみで、九八%という高い落札率となっていますが、この背景について、どのように認識をしてるのか、まず伺います。

○松永契約調整担当部長 都全体の入札状況を見ますと、これまで予定価格修正方式や全体スライド条項の見直しなど、入札に参加しやすい環境の整備に向けての一連の取り組みを進めてきた結果、不調発生率などの改善など兆しが見られます。
 しかし、全般的に見ますと、技術者不足が解消しているとはいえず、また、事業者の受注意欲も回復途上でございまして、第百七十六号議案につきましては、こうした状況下における入札結果であると認識しております。

○中村委員 新国立競技場に関するこの間の騒動で、オリンピックの陰の部分や不透明さを感じて、事のてんまつに失望感を持った都民も多かったと思います。
 新国立の費用高騰の原因は、キールアーチだけにあるかのごとく喧伝されましたが、キールアーチを含む屋根工区の鉄骨工事四百二十七億円を全て除いても二千百億円以上の工事費であり、工事全体で不透明に費用が膨張してしまいました。この問題は、JSCのコスト管理不足、競争性が働かない環境によるものなど、さまざま原因がいわれ、新国立競技場整備計画経緯検証委員会の検証報告書が発表された後、文部大臣が辞意を表明するに至りました。
 都においては、このようなことはないと思っておりますが、事後、都民に対して納得のいく説明、報告をしなければなりません。もとより公共工事には、コスト縮減と透明性の確保が求められていますが、マイナスイメージがついた今、都が行うオリンピック関連の契約も、都民やマスコミから一層厳しい視線が注がれるものと思われます。今回の案件も、オリンピック関連施設の工事契約でありますが、とりわけコスト縮減と透明性の確保という観点について十分留意することが重要と考えますが、所見を伺います。

○松永契約調整担当部長 第百七十六号議案は、撤去工事でございまして、実施設計において撤去数量を算出し、その数量と設計単価に基づき工事費を積算し、撤去工事に必要なコストを予定価格として設定しているものでございます。
 都の発注する工事は、設計時に要求される基本的な性能と品質の確保を図りつつ、建設計画、構造計画等の各段階において、例えば、材料や施工方法等の選択について、費用対効果の観点から総合的な検討と評価を行い、コストの最適化を図っております。また、透明性の確保につきましては、都の入札契約は、電子調達システムを活用し、透明性の高い公平公正な契約手続を行っております。
 また、本件は、いわゆるWTO適用対象案件でございまして、国内外企業を平等に取り扱うため、当該工事を実施する上で必要最低限の要件のみを設定する政府調達に関する協定に従った入札契約手続を行っておりまして、より広範な事業者を対象として公平性に配慮したものとなっております。

○中村委員 国立に関しては、検証報告書では、意思決定システムの問題、技術提案競争交渉方式採用の問題など、個々には最善を尽くしていても、システムが機能しなかったために、見直しのタイミングを幾度か失したことなど厳しい指摘がありました。
 都としても、この新国立競技場の失敗を他山の石としてしっかりと取り組んでいただくよう求めておきます。
 このボート会場の上を横切る平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約では、既に昨年度、特例的な措置としてデザインビルド方式の採用を前提とした基本設計契約を締結しています。今回の契約案は、落札率九九・三三%ですが、実施設計と施工を一括して発注するデザインビルド方式を採用しました。
 この契約において、デザインビルドを採用した背景はどのようなものであったか、改めて確認をさせていただきます。

○松永契約調整担当部長 第百七十五号議案は、海の森水上競技場の会場として計画された区域に位置し、揚陸施設撤去工事、海の森水上競技場整備工事といった複数の工事が重なる現場で、かつ供用中の東京港臨海道路を橋梁で立体交差させるなど、施工の難易度が高い工事でございます。また、臨海部の競技会場へのアクセスを確保するとともに、港湾物流への影響を回避するため工期内に完了することが不可欠な工事でございます。
 このような中、最終的な工事目的物の品質を確保しつつ、工期内の確実な履行完了を図るため、一点目として、設計段階から資材や人員調達の準備を行うことで、効率的な設計施工が可能となること、二点目といたしまして、現場条件を踏まえた施工上の工夫、技術について、工程管理及び品質管理計画を視野に入れつつ設計に反映することで、その後の円滑な工事が可能となること、この二つの効果が期待できる設計施工一括発注方式、いわゆるデザインビルド方式を採用いたしました。

○中村委員 会場の施設ではありませんが、頭上を横切る橋ですから、大会時にまだ工事中というのでは困るものであり、確実な履行完了が必要です。一方では、建築士の団体からは、デザインビルド方式では、都が発注者として適切なコスト管理を行うことが難しくなるではないかと指摘もされています。
 通常、基本設計と実施設計は、同一の建築士事務所によって行われ、施工者とは別です。なぜなら、設計者が発注者の立場から施工上の課題を調整し、基本設計の意図を保ちつつ実施設計を提案し、期間を通してコストはもちろんスケジュールや品質管理を行うなどの作業が必要となるからです。それが設計者と施工者が一体というのであれば、誰が発注者の立場で管理をするのかというわけで、もっともなご指摘でもあります。
 また、デザインビルドでは、一般に、工事費が不透明になるという指摘もあります。発注者である都は、期限の厳守、品質の確保、そしてコスト管理という責任があります。物価や人件費が高騰する中では難しいですが、クリアしなければなりません。
 デザインビルドの契約上のこのような課題に対し、都として適切な対応が必要と考えますが、見解を伺います。

○中山技術管理担当部長 デザインビルド方式は、工事を施工する上で不可欠な資材の調達及び技術者の確保や配置を設計段階から計画的に行うことなどにより、施工難易度の高い特殊な大規模の工事の施工の円滑化が期待できます。
 しかし、デザインビルド方式は、通常は分離して発注する設計と工事を一括して受注者に委ねることから、発注者として、安全管理、品質管理、工程管理、コスト管理などの確実な実施に留意する必要がございます。
 このため、都は、基本設計受託者へのアドバイザリー業務委託も活用し、事業期間を通じた監理やマネジメントを適切に行うことにより発注者の責任を果たしてまいります。また、デザインビルド方式における工事費については、事前に実施した基本設計に基づいて適切に算出するものでございます。

○中村委員 基本設計とデザインビルドアドバイザリー業務については、実施設計、施工業者とは異なる事業者にお願いをする、この段階で施設の性能水準やリスク分担などについて詰める、実施設計や工事期間を通じて発注者の立場で支援を行ってもらう、このことによって価格高騰や工期のおくれを防ぎ、なおかつ品質を確保してもらうものとも理解します。
 今回は土木工事でのデザインビルド方式の契約でしたが、土木と建築では、設計や施工の進め方が違う面もあるといわれています。土木では、発注者が設計、施工に深くかかわりますが、建築では、発注者は設計者に比較的多くを託し、設計者が発注者の代理として行動し、建築主イコール発注者と相談しながら進めていくことが多くなるようです。特に、今後、都が整備するオリンピック・パラリンピック関連の施設では、都の発注経験が少ない施設もあり、アドバイザリーに負うところが大きいかと思われます。
 アドバイザリー契約を適切に活用し、民間の専門的立場からの支援をしっかりと受けるべきと考えますが、見解を伺います。

○中山技術管理担当部長 デザインビルド方式は、施工難易度の高い特殊な大規模施設を対象としており、設計、施工の事業期間を通じ、民間の技術力を生かして、工事目的物の品質確保などを適切に行うことが重要でございます。
 このため、都は、発注者として、実施設計段階での基本設計意図を伝え伝達する業務や工事段階での各種検査や施工図の確認などの専門性の高い業務について監督員の監督業務を支援するため、基本設計受託者にアドバイザリー業務として委託いたします。
 このアドバイザリー業務委託によりまして、都の技術職員を中心に受託者を活用して、設計や施工の進捗状況を十分に把握しながら事業期間を通じた監理やマネジメントを行うことにより、デザインビルド方式の確実な履行を図ってまいります。

○中村委員 民間の専門家については、単に補助的なものというよりも専門性を最大限に発揮していただけるような位置づけがぜひとも必要と考えます。
 特に、オリンピック案件は、限られた工期での特殊性の高い工事、建築コストの上昇など、置かれた状況は、都も新国立競技場の場合も同じです。新国立競技場では、予算の上限額に曖昧さを残したまま再三の試算が行われました。当初見込んだ価格を超えた場合には、速やかにスペックの見直しなどの意思決定が必要だったと思われますが、これがおくれにおくれたことから国民の間に批判が高まり、白紙撤回に追い込まれたと思います。
 そこで次に、上限価格の設定について伺います。
 国立競技場の整備では、デザインビルド方式を採用し、総工費などの条件を盛り込んだ契約にするとされています。上限価格の設定は、本格的な設計作業の中で十分な価格交渉を行わなかった結果、費用が高騰してしまった前回の轍を踏まないために行われるものと思われます。しかし、公費の大幅な増加が避けられる反面、機能や品質などの面をしっかりと詰めておかないと、国立競技場として本当にふさわしいものができないというおそれもあると指摘もされています。
 都が整備するオリンピック・パラリンピックの競技施設整備契約において、品質を担保した上で上限価格を設定するなど、事後、費用が膨らむことのないようにすることも必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○松永契約調整担当部長 都が行うデザインビルド方式は、基本設計完了後、施設の整備水準や基本となる仕様及び設計、施工条件を明確にした上で、不確定な要素に係るリスク分担の考え方、発注者、基本設計者、施工者の役割分担を確定することによりまして、実勢を反映した実施設計費及び工事費を算出して発注するものでございます。発注に際しましては、この費用を予定価格として設定し、入札に付していくものでございます。

○中村委員 今回の契約で撤去した施設にかわる新たな揚陸施設の設置工事も当然必要です。これも、ボート会場整備にかかわる費用となります。また、今後多くのオリンピック関連工事が行われます。オリンピック関連の競技施設は、都として多くの発注経験のあるものではなく、中には初めてのものもあると思いますが、ホストシティーとして大会成功に責任があるのはもちろんのこと、その契約についても発注者としての責任があります。
 大会を開催する以上、費用としてかかるものがかかるのは当然ですが、後世に禍根を残さないよう、コスト管理がしっかりと行われるよう、財務当局として目を光らせていただきたい旨、重ねて申し上げます。
 次に、土地信託の変更について質問します。
 今回、新宿モノリスの信託契約の変更が提案されました。昭和六十二年から信託が始まり、平成二十二年に議会の議決を経て五年間延長されました。間もなくその延長期間が終わるための再延長というものです。
 都の信託物件は、この新宿モノリスに始まり、六月の委員会で私も質問しましたが、コスモス青山など四つの物件が五年延長となりました。今回の新宿モノリスの延長により、二順目ということになります。
 そこでまず、モノリスに関して信託開始から今に至るまで、当初見込んだ配当と実際の都の配当、その差が生じた理由を確認したいと思います。また、前回信託期間を延長したこの五年間に限ってはどうだったのか、あわせて伺います。

○山根利活用調整担当部長 信託配当につきましては、当初の予想配当は二千四百十六億円でございました。しかし、バブル経済の崩壊により賃料相場が大きく下落し、テナント賃料収入が予想より大幅に下落したことが最大の要因となりまして、約二十年間の信託配当の合計額は約五百四十七億円となっております。信託期間延長後の信託配当の歳入額は、平成二十四年度、十四億五千二百万円、平成二十五年度、十三億八千万円であり、ほぼ各年度の事業計画どおりとなっております。

○中村委員 社会状況が大きく変わったということはあるとはいえ、当初見込みよりも大きく収入が減っています。改めてこの新宿モノリスに関して、これまでの二十五年間について検証、総括をしていると思います。その検証、総括の結果を伺います。

○山根利活用調整担当部長 検証、総括につきましては、不動産鑑定士、市場調査会社、建築士など専門家の意見を聞きながら実施いたしました。
 その内容といたしましては、建物、設備はリニューアル工事等を適宜実施して良好であること、賃料設定は、おおむね市場相場を維持していること、延長した五年間を含め、入居率はおおむね九〇%を維持し、直近では約九九%であること、借入金は平成二十一年度に完済していることなどから、引き続き健全な資産運用が可能と専門家は評価しておりまして、これまで安定した信託運営ができていると認識をしております。

○中村委員 六月のコスモス青山のときにも述べましたが、平成二十二年三月の予算特別委員会における前回の新宿モノリスの土地信託の期間延長に関する議論の際、当時の財務局長は、専門家チームを発足させて総括、評価をし、しっかりとした出口戦略をつくると答弁されておりました。
 あれから五年以上経過をしたわけですが、延長以外に考えられた出口策はどのようなものだったのでしょうか。少なくとも、原則どおり契約が切れた場合の対応と延長の場合の検討はされたはずですが、いかがでしょうか。また、五年後にどうするのかの見込みは立っているのでしょうか、伺います。

○山根利活用調整担当部長 今回、土地信託契約の満了を迎えるに当たり、延長のほかには、土地、建物を売却することや土地信託を終了し、都が直接土地、建物を所有することを検討いたしました。
 まず、売却についてでございますが、都心の一等地に立地し、都庁に近接する極めて貴重な都有地であり、直ちに売却することは適切ではないと判断いたしました。
 また、都が直接所有することになった場合は、土地、建物だけではなく、テナントとの賃貸借契約も都が承継することになるため、賃料交渉を伴うテナント募集や敷金の預かり、修繕積立金の資金管理等、直営で行うには課題が多いものでございます。
 一方、土地信託を延長した場合は、引き続き健全な資産運用が可能であり、また、不動産市況等の変化にも柔軟に対応できるものでございます。
 そのため、今回、土地信託を五年間延長することとし、五年後に改めて社会経済状況の変化や都の行政需要を踏まえて検証することが適切と判断をしたものでございます。

○中村委員 先ほども述べましたが、都の信託物件で二回目の延長というのは初めてになりますが、結論は、他の一回目の物件同様五年間の延長です。先の見通しもなく五年間の延長を繰り返すだけになってはいけないと思いますし、また、いつかは必ず建物の老朽化とともに大規模修繕や処分する必要も出てくるときは来ます。長期的に見てどのタイミングで処分するか見定めて今回の延長ならいいのですが、どういうような状況なのでしょうか、都の見解を伺います。

○山根利活用調整担当部長 今回の信託期間の延長に際しましては、二十五年の信託運営の状況を踏まえました、専門家による十年間を見据えた長期の収支予測を行っております。
 その結果、安定した配当及び将来の支出に備えた積立金を継続して確保することが可能であると。すなわち、長期的に安定した信託運営が可能との評価を得ております。
 しかし、一方で、将来的には社会経済状況や都の行政需要の変化の可能性もございますので、一定期間ごとに改めて検証することが適切であると判断いたしまして、五年後に土地信託以外の具体策も含めて改めて検証することとしたものでございます。

○中村委員 いろいろと専門家等を含めて検証もされたということだと思います。今回の議案に関しては五年の延長ということですが、また五年後にいろいろなことを考えていくということですけれども、五年たったところで検証を始めるわけではないわけでしょうから、これから、この延長がされた以降ですね、また、検討もさせていただき、社会状況の変化を見据えながら考えていっていただきたいということを思います。
 以上で質問の方を終わります。

○柴崎委員 今定例会では、提出議案としまして八件、工事請負契約案件が提案されております。ここでは、それらに関連した工事の契約につきまして幾つか確認をしたいと思います。
 議案であります八件の工事案件を見ますと、前回定例会の議案分に引き続きまして、参加者が増加傾向にありまして、これまでの不調対策など少しずつ効果をあらわしているように思えるわけであります。
 都は、入札に参加しやすい環境の整備に向けて一連の改革に努めており、特に、本年四月からは入札不調に対する緊急対策として三年間の期間でありますが、WTO対象以外の全ての工事におきまして、最低制限価格制度を適用するということで、臨時的措置を開始いたしました。現在、制度の施行開始から約半年が経過したわけであります。こうした中で、全体の傾向も少しずつ明らかになってきていると思います。
 ここではまず、都の発注工事におきまして、今回の臨時的措置を初めとした制度改革適用後の入札状況についてお伺いいたします。

○松永契約調整担当部長 最低価格制限制度の適用範囲の拡大を初め、市場価格と予定価格とのギャップの解消、JV基準の見直し、全体スライド条項の改正など、主要な取り組みを本格的に適用してから約半年が経過いたしました。
 この間の入札契約の状況についてご説明させていただきますと、まず、入札時の不調発生率についてでございますが、本年八月末時点の全業種平均では八・二%でございまして、前年同時期の一一・三%と比べ低下しております。
 また、議会付議案件における入札参加者数につきましては、三者以上参加のあった案件が、昨年の二十六年第二回、第三回定例会では、合計十五件でございますが、十五件中一件もなかったものが、二十七年第二回、今定例会でございますが第三回におきましては、それぞれ十件中四件、八件中五件に増加しています。
 さらに、中小規模を含めた工事全般においては、例えば、予定価格が約二億二千万円の空調工事におきまして、入札参加者が昨年の一者から、本年は七者に増加する案件も見られるなど、効果が確認できることから、引き続きこれまで進めてきた制度改革、運用改善を着実に定着させることが重要であると考えております。

○柴崎委員 今、答弁いただいた上でありますけれども、不調発生率それから入札の参加者数ともに改善しているということは非常によい傾向だと思います。しかしながら、不調は、年度後半に増加する傾向があることから、これからも制度改革の効果があらわれるように、さらに、全庁への定着に努めるべきだと考えております。
 また、一方では、今後、積極的に解決を図っていくべき課題もあるわけであります。それは、公共工事を担う従事者の実態として、仕事が忙しくて休日がとれないということなんですね。つまり、雇用が不安定で将来への展望が持てないなど、腰を据えて働く環境が必ずしも十分ではないということであります。
 特に、下請事業者となる中小企業におきましては、建築工事の進捗に合わせて施工する設備事業者などは、全体工程のしわ寄せを受けることが多くて、休日を使っての工事が常態化しているわけであります。つまり、ワークライフバランスの観点からも問題が非常に多いわけであると思います。
 そこで、公共インフラを支える建設現場の労働環境改善について、発注者であります都はどのような認識を持っているのか、所見を伺います。

○松永契約調整担当部長 都は、入札監視委員会のもとで、事業者団体と定期的な意見交換を実施し、市場の動向や現場実態の把握に努めております。
 この意見交換の場におきまして、事業者からは、事務作業の煩雑さ、余裕のない工期設定などが、労働環境が改善されない要因として指摘されておりまして、特に下請事業者等におきましては、人材確保の観点から、都発注工事における週休二日制の実施への強い要望がございました。賃金はもとより、休日の確保などの環境改善が、特に中小企業者にとって人材確保の大きな要因となっていることを改めて認識させられました。
 都は、発注者として、持続的なインフラ整備を着実に進めるため、公共工事の担い手を中長期的に確保する責務があり、そのために、現場技術者の労働環境改善への取り組みは不可欠なものと考えております。

○柴崎委員 今、お話ありましたが、労働環境の改善につきましては、受注者、双方が重点的に取り組むべき課題でありますが、これに関連しまして、都は、現場の実態を把握するために昨年度から、社会保険労務士による特別調査を行っているとのことであります。
 また、本年第一回定例会の財政委員会におきましては、我が党の木村委員の質問に対しまして、都は、今後、調査の充実を図ると、このように回答しているわけであります。
 社会保険労務士による特別調査につきましては、本年度はどのような取り組みを進めていくのか、伺いたいと思います。

○松永契約調整担当部長 今年度の特別調査を実施するに当たりましては、今後の方向性を見据えつつ、昨年度実施した調査の課題を踏まえた内容を盛り込んでいくことを基本といたしました。
 具体的には、まず、調査対象業種につきまして、昨年度は、土木工事のみを選定いたしましたが、より幅広く都発注工事の実態を把握するため、本年度は、土木工事のほか、電気設備工事、空調設備工事の三業種として対象事業者の数も九者から十六者に拡大することといたしました。
 また、昨年度は、一件の工事について、元請、一次下請、二次下請、各一者ずつの調査といたしましたが、下請事業者の調査をより重視し、一件の工事内で下請同士の比較ができるよう、今年度は土木工事は、一者の元請に対しまして一次下請、二次下請で合計四者の事業者を調査することといたしました。
 さらに、昨年度、勤務実態の確認が書類審査だけでは判断できない事例があったため、今年度は、現場の担当者に直接ヒアリングし、記録を確認するなど、より詳細に労働条件、労働環境の実態について調査することといたしました。

○柴崎委員 本年度の調査につきましては理解をいたしました。公共工事の担い手を確保するためには、来年度以降も同様の調査を継続することが重要であると思います。そして、そのためにも、特別調査のあり方について、さらに幅広く実施できるよう整理する必要があると考えます。
 そこで、社会保険労務士による特別調査の今後の取り扱いにつきまして、都の考え方を伺いたいと思います。

○松永契約調整担当部長 昨年度と今年度、特別調査は、低入札価格調査を実施した工事を対象として、主に法令遵守の観点から実施しております。しかし、今後は、低入札価格調査の対象工事自体が減少する反面、改正品確法が本格的に施行され、受発注者ともに、担い手の育成、確保に向けた取り組みを促進する必要がございます。
 このため、今後の調査対象工事につきましては、平成二十八年一月一日以降に公表する財務局発注工事全てに拡大した上で選定していくことといたします。その上で、今後の調査の具体的な内容は、事業者団体との意見交換などから明らかになる労働条件、労働環境の課題全般とすることとし、その時々の現場の実態について、関連する事業者団体と課題を共有し、調査内容に反映させてまいります。

○柴崎委員 入札参加者がふえている状況が一時的なものであってはならず、発注者といたしましては、将来的にも、社会インフラを維持、整備する担い手を確実に育成し、確保していく、そうした責務があると考えます。
 実際、現実の建設工事の現場におきましては、労働環境の未整備が原因となりまして、特に、この若年層の方々や女性など新たに就業する人材が少なくて、技術者の高齢化が進んでおります。都が社会保険労務士を活用した特別調査を継続していくことからもわかるように、現場の労働環境の改善は喫緊の課題であります。事業者が単独で行うのはなかなか困難なわけであります。したがいまして、これらワークライフバランスをより推進する取り組みとして、社会的にも影響力の大きい都の発注工事で、女性や若者の積極的な登用、そしてまた、週休二日制の導入、これらのモデルとなるような事業を行うべきであると考えます。
 こうした点を踏まえまして、公共工事の将来を担う人材を確保するための取り組みにつきまして、都の考え方を伺いまして質問を終わります。

○松永契約調整担当部長 都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の開催都市として、競技施設などを確実に整備していかなければなりません。また、大会後も、首都東京の公共インフラを継続的に整備し、維持していく責務がございます。そのためには、将来の公共工事を担う人材の確保、育成、定着に向けて、発注者としても積極的な取り組みを進めていかなければならないと考えております。
 事業者団体との意見交換の場では、入札監視委員からも、女性の現場進出を支援する取り組みの検討や東京都がモデルを示すことの重要性について、ご意見をいただいております。
 これらのことを踏まえ、若者や女性の就業、それにつながる社会保険の加入促進、週休二日制の実施などの環境整備を進めるため、今後、モデル事業の実施を含め、効果的な取り組みを検討してまいります。

○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時開議

○和泉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 報告事項、平成二十六年度東京都年次財務報告書について外一件に対する質疑を一括して行います。
 なお、報告事項中、共存共栄による日本全体の発展を目指して、地方税財政に関する東京都の主張については、関係する主税局の理事者にもご出席いただいております。ご了承願います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山内委員 今回の年次財務報告書の今後の都財政を考えるという中には、将来を見据えた財政運営について語られております。都政では、我が党の提言を踏まえた長期ビジョンが昨年末に策定をされ、さらに二〇四〇年代を見据えた東京のグランドデザインの策定にも進んでおります。
 一方で、二〇二〇年からは、都も人口減少期に入ることが見込まれており、今後は、より将来世代の負担を踏まえた財政運営を行っていくことが重要であります。まさに、都政はこれまで以上に長中期的な視点に立って、施策を積極的かつ安定的に実行をしていかなくてはならない時期に来ております。
 将来の財政運営の鍵を握るもの、それはやはり都債と基金という大きな二つの柱だと考えます。今後は、これまで以上に都債と基金を中長期的な視点を持って活用し、それをしっかりと政策の実現につなげていく、このことが極めて重要だと私は考えております。今回の質疑は、こうした観点から論を交わしていきたい、このように思っております。
 初めに、二本柱の一つであります都債についてを伺います。
 今回の年次財務報告書では、都が財政再建期の発行抑制などにより、近年、都債残高を着実に減少させてきたことが示されております。一方で、将来を見れば、平成二十七年度予算と同規模である四千五百億円を仮に発行し続けた場合、二〇四〇年には、都債残高が一・五倍、また、生産年齢人口一人当たり残高で考えれば約一・九倍になるという試算を行っております。今後迎える人口減少という局面も踏まえ、現時点で都債の発行のあり方を検討することは重要でありまして、今回の試算は大変興味深いものであります。
 そこで今回、年次財務報告書の中で生産年齢人口の減少という点に着目をしながら、長期にわたる都債残高の推計を示した意図についてを伺います。

○岩瀬主計部長 都債は、世代間の負担の公平と財政収入の年度間調整という機能を持つ重要な財源である一方、その活用に当たりましては、後年度の負担に配慮するという視点が不可欠でございます。
 お話のように、二〇四〇年代を見据えた東京のグランドデザインの策定が進むなど、都財政は、これまで以上に長期的な視点を持ち、安定的かつ継続的に都政を支え得る運営を行うことが求められております。
 そうした中、今後、急速な少子高齢化の進行によりまして、負担の主な担い手である現役世代が減少するという社会経済情勢の変化にも万全の注意を払う必要がございます。このような視点から今回、現役世代である生産年齢人口が今後減少することに着目しつつ、二〇四〇年までの一人当たり都債残高の推計を行ったものでございます。

○山内委員 都債残高の増加は、公債費の増加につながり、将来の財政運営の制約になりかねないと思います。過去の都財政において、都債の長期間にわたる大量発行が後の財政運営の圧迫の要因となったことを考えれば、このことは明らかであります。今後も人口構造の変化を念頭に置きながら、子や孫、将来世代に過度に負担を残すことのないよう、先を見据えた財政運営を行うことを改めて指摘し、次の質問に入ります。
 都財政の将来負担を考える上で、都債を適切に活用していくという視点と同時に、資金を安定調達することは重要な視点であります。中国経済の減速により市場が大きく混乱をしたことからわかるように、必要な資金を継続的かつ安定的に調整をすることは容易なことではありません。
 また、国内において、今後、金融政策の変更により金利が急変することも考えられ、中長期的な視点を見れば、国内市場だけに依存することなく、資金調達手段を多様化することが必要と考えております。そうした観点から、都の資金調達の特徴的な点である外債についてを伺います。
 都は、戦後においては、昭和三十九年度から外債を発行しており、平成二十六年度は、十億米ドルの資金調達を果たしていると聞いております。その額は以前と比べ大きくなっており、都財政における外債の役割は重要になってきていると思います。
 そこで、都が外債を発行することによって、この財政運営にどのようなメリットがあるのかを伺います。

○岩瀬主計部長 都債の発行に当たりましては、市場の動向を踏まえつつ、将来的な資金調達コストを見据えて安定的な資金調達を行うことが重要と考えてございます。
 こうした中、都が外債を発行することによる財政運営上のメリットとして、まず、委員ご指摘のとおり、国際資本市場において継続的に発行することで海外の多様な投資家の参入を可能とし、資金調達手段の多様化を図れることがございます。また、国内だけではなく、多様な市場にアクセスすることで、平時からリスクの分散を図れることがございます。
 次に、財政運営上も大変重要な資金調達コストについて抑制を図れることが挙げられます。その背景といたしまして、外債は国内債よりも販売手数料が安価なことがございます。また、都は、外債の発行時に為替変動リスクを受けないよう償還額を円ベースで固定しておりますが、この際、国内外の金利差などによりまして、低コストで資金調達が可能となることがございます。
 ことしの五月に発行し、東京プロボンド市場にも上場した米ドル建て債権は、十分な需要に支えられ、昨年度同様、ドル建ての債券市場におきまして、機関投資家が投資をしやすく、かつ有利な条件で発行できる目安とされている発行規模を確保することができ、低金利の国内債を発行するのと比較しても、さらに有利な水準での資金調達を実現いたしました。
 都のように、政府保証のない外債の発行実績を持つ地方団体はほかにはございませんが、都は、国内債だけではなく外債も発行することによりまして、資金調達における安定性と将来負担の抑制を両立することに努めておりまして、都債運営上はもとより、都財政においても大きな効果を発揮してございます。

○山内委員 外債の発行が、リスクの分散だけではなく、調達コストの面でもメリットがあり、財政運営にしっかり貢献していることは評価できます。
 ところで、今のご答弁にあったように、この東京プロボンド市場は、日本政策投資銀行による投資枠設定等の取り組みを行うなど、国が活性化策に取り組んでいる市場であります。国のこの取り組みと軌を一にする都外債上場の取り組みは大変意義深いものであります。
 その一方で、世界の債券市場における金融機関の引受実績に目を向けると、主幹事に関していえば、これは外資系が上位を占めておりまして、国内の金融機関が世界的に大きく活躍しているとはいいがたいことは、私は非常に残念だと思っております。この点を踏まえて、これからも東京都の方から、今後の展開も踏まえて、この日本法人にしっかりと働きかけていただくようお願いをさせてもらいたいと思います。
 国内の金融機関の国際的な競争力やプレゼンスを高めることができ、それが、東京ひいては日本の経済の活性化をさらに推進することができると考えております。東京を世界で一番の都市にするために、都の資金調達を通じて新たな役割も担っていくべきと考えます。
 そこで、都は外債の発行を通じて、東京市場の活性化にどのように貢献をしていくべきかを伺います。

○岩瀬主計部長 東京市場の活性化ひいては東京の経済の活性化におきましては、さまざまな産業の強化も重要な要素と認識してございます。中でも、金融セクターにおける主要な担い手である金融機関につきましては、現在、世界の債券市場における引受実績で上位に位置する国内の金融機関は少ないわけですが、東京を活性化していくためには、その存在感を示していくことも重要でございます。
 国内の金融機関が国際競争力を高め、世界の債券市場で活躍していく上では、都が継続的に外債を発行していくことは有意義でございまして、引き続き毎年発行を計画し、市場の動向を踏まえながら適した時期に発行していきたいと考えてございます。
 また、外債では、その準備から発行、償還に至るまで、さまざまな場面で金融機関が携わっており、これには、これまでも国内の金融機関が関与してございます。
 今後は、加えて、都の外債の投資家向け情報提供、いわゆるIR活動の実施に当たりまして、広く国内の金融関係者の協力を得ることとし、国内と海外の金融関係者の関係強化を図る機会の拡大にも努めてまいります。

○山内委員 国内金融機関が外債の引受実績を重ね、世界の金融市場で価値を高めていくには、都が外債発行の一連の取り組みの中で関与していくことが重要であります。市況に応じてであることは承知しておりますけれども、調達コストの面でもメリットがある都外債を継続的に発行できるよう着実に取り組み、財政運営に貢献していくこととともに、国内金融機関の後押しも含めた東京市場の活性化、ひいては、この東京の経済の活性化に寄与することを期待しております。
 これまで、都財政の二本柱の一つ都債についてひもといてきましたけれども、ここからは、もう一つの柱の基金について質問をいたします。
 基金の中でも、財政調整基金を中心とした財源としての活用可能な基金については、財政運営を行う上で常に残高の確保に留意しなければなりません。平成二十六年度末の残高は約一兆円を確保しております。しかし、三月の予算特別委員会でも我が党の高木委員が、その重要性を取り上げたとおり、現在の残高は決して安心できる水準ではありません。過去の都税収入の推移を見ても、平成二十年度から二十一年度に一年で一兆円減少したばかりではなく、一度減少になると複数年減少が続いていきます。今後も、こうした点を踏まえ、活用可能な基金残高を十分に確保することを改めて求めておきます。
 一方で、二十七年度予算では、集中的、重点的な政策展開を図るための基金を、二十六年度の最終補正予算も含め、新たに五つ設置をし、合計二千百億円の基金を積み立てました。来年度以降どのように使われるのか大変注目しておりまして、そこに、二〇二〇年に向けた舛添都政の姿勢の一つがあらわれるといっても過言ではないと考えます。
 この集中的、重点的な政策展開を図るためにも、新たに設置した基金について、二〇二〇年を見据え、効果的に活用していくことが重要と考えますけれども、その見解を伺います。

○岩瀬主計部長 お話の五つの基金につきましては、防災まちづくりの推進で一千億円、水素社会の実現で四百億円、観光都市としての東京の発展で二百億円など、最終補正予算分も含め、合計二千百億円を新たに積み立てました。これは二〇二〇年に向け、集中的、重点的に取り組むべき施策を、景気の動向にかかわらず、切れ目なく着実に実施していくために設置したものでございます。
 二〇二〇年大会開催を起爆剤として、ソフト、ハード両面で、次世代に継承していくレガシーを築き、都民生活の向上へとつなげていくためには、これらの基金を戦略的に活用していくことが必要でございます。そのためには、新たに創設した基金が政策目的の達成に最大限寄与できるよう施策への充当方針を立て、先を見据えた効果的な活用を行っていくことが重要でございます。
 こうした視点のもと、今後、平成二十八年度予算におきまして、それぞれの基金設置の趣旨を十分踏まえながら予算編成作業に取り組んでまいります。

○山内委員 基金があるから、やみくもに取り崩し、使い切るという視点ではなくて、しっかりと計画性を持って、真に必要な事業に的確に財源を振り向けなければならないと思います。財務局と事業局でしっかりと連携をし、二〇二〇年に向け、戦略的に活用していくことを改めて求めておきたいと思います。
 ここで、都債と基金に関し、人口減少における都債の発行のあり方、外債発行を通じた安定的な資金調達や東京市場の活性化への貢献、そして、集中的、重点的な政策展開を図るための基金の活用方針などについて質してきました。これからは、いずれも将来の都政を考えたときに大変重要なテーマであり、こうした点を踏まえながら、来年度の予算編成や今後の財政運営をしていくことが不可欠であります。中長期的な視点を持ち、財政運営を行いながら、東京の将来を見据え、政策の実現に向け予算編成を行い、それこそが財務局の役割であり、責任であると考えます。
 最後に、長期ビジョンや今後の、策定するグランドデザインを見据え、将来にわたって政策の展開を支える強固な財政基盤の堅持に向けた財務局長の決意を伺い、質問を終了させていただきます。

○長谷川財務局長 ただいま山内委員から、外債を含め都債と基金の活用につきまして、さまざまなご意見をいただきました。
 東京の活力を高め、持続的発展を実現していくためには、長期ビジョンで掲げる将来像や、その先を描くグランドデザインなどを見据え、東京をより進化した成熟都市へと高めていくための取り組みを着実に推進していく必要がございます。
 しかしながら、景気変動の影響を受けて税収が乱高下する都財政におきましては、こうした事業を安定的かつ継続的に実施していくことはなかなかたやすいことではなく、財政運営でもたゆまぬ努力が必要だというふうに認識しております。こうした財政環境の中、都に課せられた使命を確実に果たしていくためには、施策の必要性を絶えず検証することはもとより、都債と基金をいかに効果的に活用するかが財政運営において重要な鍵となります。
 一方、都は、今後、人口減少という避けることのできない現実に対峙していかなければならず、こうした社会経済情勢の変化に適切に対応した財政運営も大きな課題となります。そのためには、これまで以上に、将来世代への負担や財政の健全性に配慮しながら、都債と基金をより計画的かつ戦略的に活用していくことが極めて重要となると考えております。
 今後とも、都政の重要課題を着実に解決し、東京、そして日本全体の発展に向けて全力で取り組むため、財政当局としての役割と責任を常に念頭に置いて、自己改革の取り組みを徹底した上で、財政対応力の一層の涵養に努めながら、施策展開を支える強固な財政基盤を堅持してまいります。

○鈴木(貫)委員 それでは、私の方から、この年次財務報告書に横引きをしながら、過去、現在、未来へ向けて、東京のあるべき姿論について若干の質疑を、やりとりをしたいと思って、きょうは質問させていただきたいと思います。
 この問題に入る前でありますけれども、いただいた資料をまず二つ、A3判ありましたけれども、二十六年度普通会計決算は、できればこれは、美濃部都政が四十二年からだったですよね、そこまで入れてもらいたかったです、いいたいことは山ほどあるもんですから。それはそれとして、本題に入りたいと思います。
 この二十六年度決算、都税収入は、前年度と比べて増加を続けておりますし、したがって、経常収支比率を初めとする財政指標も改善傾向にあることはいうまでもありません。この財政指標だけを見ると、都財政は、あたかも余裕があるように受け取られ、税収格差という一断面だけを捉えた、いわゆる税収の偏在是正、これが日本列島内で声高に正当化されるおそれがあると、私は思います。いわゆる東京包囲網ですね。この根拠になりかねないという一つになってくるんではないかと危惧をいたしております。
 ところで、現在、都財政が健全なのは、過去幾多の困難を乗り越えてきた結果にあるわけであります。思い起こしておりますと、私がこの都議会に籍を置いたのが、ちょうど平成元年でありました。当時、我が国はバブル景気の絶頂期であったと記憶しております。ですから、何でも、この予算議会でいろいろな制度、政策は全部できるんじゃないかという、私も、そういう思いで踊躍歓喜したものでありましたけれども、そうはいかない側面が徐々に出始めてきたことも苦い思い出としてあります。
 財源として活用可能な基金残高も、当時、確かに一兆円を超えていたと私も記憶をしております。先ほど申し上げたとおり、三年後にはバブル経済の崩壊で都税収入が激減、平成十年度には都政史上最大の赤字を抱えるまでに、そして、基金が底をつく寸前にまで追い詰められたことも、私は、大変苦渋の、その中にいた一人でありました。その翌年に就任をされた石原元知事も当時の状況を評して、えらいところに嫁に来てしまったんだといわせしめたほどであったと記憶をしておりました。
 事ほどさように、都財政の成り立ちは、景気の影響を受けやすいこと、そして、税収変動の波に翻弄され続けてきた歴史そのものであったと私は思っております。また、財務当局の皆様方、主税局も含めて、そのような都の皆さん方のお考えもそうであるし、ここにいらっしゃる委員各位の皆さんも、そう思っていて当然だと私は思っています。
 くしくも、ことしはプラザ合意から三十年目に当たる年でもあります。この合意というものは、バブル経済の発端だともいわれていることを私はよく存じていますけれども、その後の日本経済の構造を大きく変える出来事であったことも当然だったと思います。その意味で、私は、きょうの質問は、都財政を振り返るちょうどいいチャンスなものですから、以下、質問をさせていただきたいと思っております。
 そういうことで、やはり過去、現在、未来へどう進んでいくのか、このことをしっかりと、きょうは論を立ててやっていきたいと思っています。短い質問項目でありますけど、まず前提として、今回の平成二十六年度決算について、全体を通して、まず総括をしていただきたいと思います。

○岩瀬主計部長 平成二十六年度決算は、歳入の約七割を占める都税収入が、企業収益の堅調な推移による法人二税の増収などによりまして、前年度比四・四%増の四兆七千三百四十九億円となり、三年連続で増収となりました。こうした増収などを活用し、最終補正予算で社会資本等整備基金に一千億円の積み立てを行うとともに、防災まちづくり基金一千億円を新設するなど、当初予算で見込んだ以上に基金への積み立てを行いました。
 また、都債発行や基金の取り崩しを低水準に抑えたことなどによりまして、都債残高を減少させ、活用可能な基金残高を一兆円以上確保することができました。
 一方、歳出面におきましては、児童福祉費を前年度比一六・六%の増とするなど、子育て支援を初めとする福祉施策のさらなる充実を図ることはもとより、都市インフラの整備など、中長期的課題にも対応いたしました。
 このように平成二十六年度決算は、施策の積極的な展開と財政の健全性の確保という二つの目標を両立できた決算であると考えてございます。

○鈴木(貫)委員 確かにそのとおりですね。本当によく決算を通して読み取ることができると思います。確かに税収は堅調な中で、重要課題にしっかり応えていく。でも一方、一般歳出を大きくふやすこともなく堅実に財政基盤の強化に努めていることがうかがえる決算ではないのかなと私も思っています。今後の財政運営を考えるに当たりまして、都がこうした自立的な財政運営の考え方をいかにして培ってきたのかを改めて振り返ってみたいと思います。
 幸いにして、現在、都の財政収支は堅調といえる状況にあることはありますけれども、かつては普通会計決算の実質収支で一千億円を上回る赤字を、一度ならずとも二度までも経験をしてきております。まず、都は、この財政危機をいかにして克服してきたのかをやっぱり検証しなければいけないと思います。
 昭和四十八年のオイルショックが一つの引き金となり、都財政は税収が伸び悩む一方で、インフレにより歳出が増加、歳入歳出の両面から財政悪化の要因にさらされておりました。昭和五十年代の財政危機は、こうした事態に対処するための貯金である財政調整基金の残高が不足していたことも原因の一つではなかったのではないかと私は思います。
 そこで、二つ目の質問でありますけれども、東京都は、その後、残高確保に向けて財政調整基金の積立ルールの見直しをしているはずです。当時、この見直しに当たって、どういう工夫をしてきたのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

○岩瀬主計部長 地方財政法では、義務的経費の伸びを著しく上回る一般財源の伸びがある場合や決算剰余金が生じた場合にのみ、財政調整基金の積み立てが義務づけられてございます。
 しかしながら、オイルショック以降の財政危機におきまして、都財政における財政調整基金は、年度間の財政調整機能という本来の役割を果たすのに十分な残高が確保できているとはいいがたい状況にございました。
 こうしたことから、都は、昭和五十五年度に財政調整基金条例を改正いたしまして、都税の増収が見込まれる場合には一定部分を基金に積み立てることを義務づけ、急激な経済変動に弾力的に対応できる財政体質の確立を目指すことといたしました。
 加えて、バブル経済崩壊後の長引く景気低迷の中で、基金残高が底をつく見込みとなったことを受け、都税収入の伸びが低水準で推移する中にあっても、確実に基金積み立てを実施するため、平成九年度には、義務積み立ての対象につきまして、都税の前年度当初予算からの伸び率を五%から三%に引き下げるなど、その範囲を拡大する改正を行いました。
 このように、条例による独自の制度を設けることによりまして、都は、確実に財政調整基金の積み立てを行う仕組みを確立し、財政基盤の強化を図っております。

○鈴木(貫)委員 ですから、現在の強固な財政対応力があるのは、こうしたこれまでの制度改正の積み重ね、これが大きく寄与しているということを私もよく理解をしております。よかったと思います。
 ところが、一部には、本来であれば財政調整基金に積み立てるべき都税の増収分を全て使ってしまえという、こういう主張をする方もおいでになるやに私は承っております。全部使っちゃえと、単年度会計主義ですから。でも、これは過去の歴史を顧みない極めて浅はかな意見と、私はあえて指摘をしておきたいと思います。
 こうしたことは、みずからを律する堅実な取り組みがあったればこそ、一年間で一兆円の減収が生じるようなリーマンショック後の難局にも耐えてきた、そういう都政の歴史、その強固な財政基盤を築くことができたということで、私は改めて、お互いにこれは共有をしなければならないと思っています。
 一方で、バブル経済崩壊以降の財政危機を克服できたのも、経常的な経費を含めた歳出の見直しを徹底的に行ったことで、その結果でもあると私は思っています。
 三つ目の質問でありますけれども、そこで、バブル経済崩壊以降、財政再建に向けた歳出の見直しと成果について、具体的にデータを用いてご説明をいただきたいと思います。

○岩瀬主計部長 都は、平成八年度から十年度の財政再建化や、平成十二年度以降の二次にわたる財政再建の取り組みを通じまして、人件費を初めとする歳出の見直しを行い、着実に財政対応力を培ってまいりました。
 具体的には、都の歳出規模がピークとなった平成五年度を基準として、都と他の道府県を比較いたしますと、五年度と十五年度の比較では、他の道府県の人件費が六%の増加となっているのに対しまして、都は職員定数の削減などによりまして、逆に四%の減少となってございます。
 加えて、投資的経費は、他の道府県が三三%の減少にとどまっているのに対し、都は事業の緊急性や必要性を厳しく検証し、新規施設等の建設を見送るなど、重点化を進めたことによりまして六三%も減少させてございます。
 また、平成十五年度と二十五年度のリーマンショックを境とした時期を比較いたしますと、歳出総額から公債費と基金積立金を除いた、いわゆる行政活動支出につきましては、他の道府県では三%の減少を余儀なくされているのに対し、都は逆に一%の増加となってございます。
 これは、都が他の道府県に先駆けて歳出の見直しに取り組み、財政再建を早期に達成していたことによりまして経済環境が大きく変動する中にあっても、安定的に行政サービスを提供することができていたことを示している、このように考えているところでございます。

○鈴木(貫)委員 よくわかりました。それで、今回のこの年次報告書のように、昭和四十年代後半のオイルショックまでさかのぼって、私は、できれば昭和四十年代前半からと思って、あえて先ほどいったんですけれども、この報告書、都財政の歴史を掘り下げたリポートは、非常に内容的にもよかったと思います、改めて検証する上からね。こうした振り返りにより、現在の健全な財政運営は、もう一度いいますけれども、一朝一夕で築かれたものではないということを改めて私自身、長きこの籍を置いている立場から、この実感をすることができますし、また、できたと思っています。
 一方で国は、人口一人当たり税収額の比較をもって格差を殊さらに強調し、こうした都における財政再建の取り組みを無にするような不合理な偏在是正措置を拡大しようとしておりますし、二日前か三日前の日経新聞にも、二十九日に総務省が見直し議論に着手、法人税収の都道府県格差と出ていましたよね。東京都からも担当者が行っているはずだと思いますけれども、大変危惧をいたしますし、そういう面で、こういう動き、大都市ならではの財政需要、例えば、東京の治安を守る首都警察業務、突出して多い待機児童の解消策といった東京ならではの特有の事情を全く無視したものであると私は断ぜざるを得ない。
 都は、このような現在の東京の行政ニーズだけではなく、将来にわたる行政ニーズの存在も十分に明らかにした上で示して、厳しく、またこれに反論をすべきだと私は思います。反論していただく、我々もいたします。
 そして、四番目の質問でありますけれども、この国の偏在是正措置の撤廃に向けて、都の将来にわたる膨大な財政需要、都の取り組みが日本全国に及ぼす波及効果をしっかりと主張をしていくべきだと私は懇願をし、また、そう思いますし、また、財政当局もしっかりとこれはやっていくべきだと思います、知事を先頭にして。見解を伺いたいと思います。

○岩瀬主計部長 都は、高齢者人口の急増による社会保障関係経費の増大や都有建築物、道路、橋梁といった社会資本ストックの維持更新など、将来にわたって避けることのできない膨大な財政需要を抱えてございます。
 加えて、都が重要課題として進めている取り組みは、東京だけが利益を受けるものではなく、日本全体の発展や社会機能の維持に大きく寄与するものでございます。
 例えば、環状道路の整備効果は、交通渋滞の解消や環境改善だけでなく、広域物流のスピードアップにつながるなど、広くその便益が日本全国に波及するものでございます。
 また、首都である東京の防災機能の強化は、日本全体の国民生活や経済活動の麻痺といった自然災害のリスクに対する万全の備えとなるものでございます。
 先般公表した反論書におきましても、こうした事実をわかりやすく盛り込んでおります。今後本格化する年末の税制改正の議論に向けまして、都議会の皆様と連携し、都が直面する現状や役割につきまして幅広く理解を求め、不合理な偏在是正措置の撤廃を国に対して強く求めてまいります。

○鈴木(貫)委員 重ねて申し上げさせていただきたいと存じます。これからの税制改正の動向について、都財政への影響をしっかり注視をして国に訴えていく、まず、これは原則でありますよね。行動をともに起こしていく必要がある、重ねて申し上げたいと思います。
 いずれにせよ、将来増大することが見込まれる膨大な財政需要に的確に対応し、かつ安定した行政サービスを提供するためには、これまでの先人たちの苦労をどこまでも教訓として、強固な財政基盤を堅持していくことが重要であるということはいうまでもありませんし、そのためにも、先ほどの答弁にありました財政調整基金の義務的な積み立てなど、財政の健全性を担保する仕組みを構築していくことは当然でありますし、一つ一つの政策の見直しなど、地道な自己改革の取り組みを継続してしっかりと根づかせていくことも忘れてはならない視点だと私は思います。このことは、財政危機を幾度となく乗り越えてきた都財政の歴史を見ても明らかではないでしょうか--明らかだと思いますね。
 最後になりますけれども、こうした健全な財政運営の観点に立ち、今後も、これまでに増して、自己改革、何はともあれ徹底をすることは、最も
大事な視点だと私は思います。財務局長の決意を伺い、質問を閉じさせていただきたいと思います。

○長谷川財務局長 ただいま鈴木委員のご質問でお話がございましたとおり、東京都の歳入は、法人二税の占める割合が高く、景気変動の影響を極めて受けやすい構造を持っておりまして、さらに、地方交付税の不交付団体であるということから、激しい税収変動に対しまして、みずからの力のみをもって立ち向かわなければならないという、そういう宿命にございます。
 こうした中にありましても、安定的かつ継続的に都民サービスを提供していくためには、徹底した自己改革努力により、財政体質を弾力的で強靱なものへと変革し続けることが何よりも重要でございます。
 そのため、財政再建時には、一定の方針に基づきまして、施策の見直しを徹底したわけでございますけれども、それを終わりにせずに、財政再建後も継続的かつ組織的に実施する事業評価制度として再構築をいたしまして、新たな公会計制度も活用しながら、現場の視点に基づく、自主的で自発的なマネジメントサイクルとして、全庁を挙げて取り組んでおります。
 事業評価におきましては、一つ一つの施策について、事業効果やコストなどを厳しく検証し、その効率性や実効性を高める工夫を凝らしております。
 今後、来年度の予算編成作業も本格化してまいりますけれども、お話のとおり、先人たちの苦労を教訓といたしながら、私ども、こうした自己改革の取り組みを一層徹底いたしますとともに、基金などの戦略的な活用も図りながら、将来にわたる施策展開を支える強固な財政基盤の堅持に向けて、庁内各局と連携して全力を尽くしてまいります。
 また、不合理な偏在是正措置、これにつきましては、しっかりとした論拠を構えて、都としても主張してまいります。

○曽根委員 私からは、今度出されました地方税財政に関する東京都の主張のこの文書について、簡潔に何点か質問したいと思います。
 当然ながら、我が党としては、国による一方的かつ乱暴な、また、地方と大都市との間の矛盾をかえって拡大するような地方税制の改悪について、国税化については反対の立場から、東京都とともに国と闘っていく立場も明らかにしておりますが、同時に、都の出す文書についても、この立場から改めて検証もし、また意見もいわせていただきたいと思っております。
 今回、国への文書としては、昨年に続き二回目かと思いますが、本格的な文書となってから、前回、私、これはかなり膨大であり、ちょっと内容的にもわかりにくいということを意見申し上げたと思いますが、今回その点で、評価できる点としては、昨年より極めて簡潔になったこと、それから内容としても、例えば、公共サービス総体で、国が四割、地方が六割を担っていながら、財源は逆に地方は四割しか確保されておらず、国の交付金に頼らざるを得ない構造にあることなども強調されて、この問題の解決を強調している点、また、今後の方向として、地方と大都市の共存共栄を打ち出していることなども、前進しているということは評価したいと思います。
 また、個々の表現で、昨年は、たしか具体的な名指しで、ほかの道府県の名前を挙げて比較をするというようなことがありましたが、今回は、そういうのを避けて、共存共栄の方向で、やはり地方の財政を全体として豊かにしていくという点が強調されているのは重要だと思います。
 それで、東京に集まっている人、物、金を地方に還流するというこのことも、今回改めて表現として出てまいりました。そのためには、私どもは、東京へのさらなる集積、一極集中には一定の歯どめが必要であると考えております。そういう立場から、今回、ずっと中身を見てみますと、確かに大都市需要として避けがたい、例えば、土地の高騰による福祉施設などの用地費が地方に比べ十倍近くかかるんだというような点は事実として、一定のデータも示されたことは重要ですが、中には、東京一極集中をさらに加速しかねない問題があるんじゃないかという点で、簡潔に二点だけお聞きしたいと思います。
 まず第一に、舛添知事が現在進めている東京を新たな金融センター都市にしていくというこの構想に沿って、今、経済特区構想が動いておりますが、この中で、東京都税について減免措置をとっているもの、優遇措置をとっているものが、たしかアジアヘッドクオーターと、それから特定都市再生緊急整備地域という制度があると思いますが、ちょっと時間の関係で、実績をお聞きしたいところですが、はっきりいいましてアジアヘッドクオーターについては減税実績がないと。一方で、特定都市再生緊急整備地域については、まだまだ今後わかりませんが、一定の減税実績があるという点で、これは、はっきりいいまして、国際都市間競争に打ち勝つという点でのアジアヘッドクオーター、つまり多国籍企業、外国企業が進出してきたときに対する減税措置は、ほかの外国都市との関係でいうと、この減税措置だけでは到底太刀打ちできないいろいろな問題があるということで、実績がないにもかかわらず、一方で、国内都市間競争については、こういう経済特区がさらに拡大していくことによって、やはり国内での企業活動に東京一極集中を促進する危険があるんじゃないかと。この点では、少なくともこれから国家戦略特区などが次々動くと思いますが、この中で東京都税を、企業に対して優遇措置をとるような措置は、これ以上拡大するのは極力控える必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○加藤主税局税制部長 現在行っておりますアジアヘッドクオーター特区及び特定都市再生緊急整備地域に対する措置でございますけれども、これは国際競争力の強化、あるいは国際的ビジネス環境の整備促進に向けて、税制上の特例措置を設けているものでございます。いずれの措置も、首都であり国際都市である東京にとって必要な施策であり、現在行っているものについては、続けていいかなと思います。
 新たな措置につきましては、まだ現在具体的に出てきておりませんので、その段階で検討することになるかと思います。

○曽根委員 国家戦略特区は、今のところ医療関係などに限られておりますけれども、今後、国税とともに、東京都の徴収している固定資産税その他の優遇措置を国から求められるというような動きが絶対ないとはいい切れないと思います。そういう点では、国際的な競争といいながら、実際にはアジアの大都市との競争では、ほかにもたくさんの要素があってなかなか厳しいと。逆に、国内の都市間競争では、東京都のとった優遇措置によって、やっぱり東京に進出した方が有利という流れを促進しかねないというリスクも、ぜひ厳しく検討していただいて、今後のことを検討していただきたいと思います。
 もう一つは、やっぱり気になるのは、大都市需要の中身として、今回、例えば環状道路については、計画に対する充足率が、ロンドン、ソウルなどに比べて低いことや、また、羽田空港の容量が少ないというようなことがデータとして出されていますが、実際には、ロンドンやソウルなどは、ロンドンは、環状道路一本計画を断念しておりますし、ソウルについては、既に供用されている高速道路を撤去したというようなことも行われ、計画自体が絶対ではないというふうに私ども考えておりますので、そういう点や羽田空港の容量アップということで、成田や地方の空港への影響が出るということも無視するわけにいかないと思います。
 そういう点では、さきの代表質問でも主張いたしましたが、都の将来の財政負担という観点と同時に、地方との関係でも、東京の大規模開発については、極力抑制する方向に財政運営のかじを切る必要があるんではないかと感じておりますが、いかがでしょうか。

○岩瀬主計部長 都はこれまでも、都民が生涯を通じて安心して生活できる環境を整備するため、雇用や福祉の充実といった生活の質の向上を図る施策や、教育、防災、中小企業対策などの施策に対しても的確に財源を振り向けてきております。
 また、羽田空港や環状道路を初めとする都市インフラの整備は、都民の利便性や東京の国際競争力を高めるだけでなく、その効果が全国に波及することから、日本全体の発展を目指す上でも不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要がございます。
 今後とも、財政の健全性に十分配慮しながら、幅広い都政の課題にしっかり取り組んでまいります。

○曽根委員 一言だけ申し上げますと、石原知事当時以来、東京の発展が日本の発展につながるということは繰り返しいわれてきましたが、やはり財政力という点で、一定の格差が生まれていることは私は事実だと思います。それをこれから共存共栄に進めていくという上で、やはり改めて東京の巨大な公共事業計画については、さきに申し上げました十五兆円もかかる今後の都市計画道路も含めて見直しが必要だということは、この都市間の、国内の自治体間の共存共栄という立場からも、徹底的に吟味をしていただきますようお願いしまして質問を終わります。

○中村委員 それでは、報告事項について、地方税財政に関する東京都の主張として発表された共存共栄による日本全体の発展を目指してについて質問をします。
 そもそもこの不合理な偏在是正措置は、福田政権のもとで地方間の税源偏在を是正するという名目で暫定措置として導入されたものです。民主党政権時には、自民党、公明党とのいわゆる三党合意により社会保障抜本法改正法が成立し、その中で、地方法人特別税は抜本的に見直すとの記載がなされ、廃止に向けた方向性が打ち出されました。
 ところが、消費税の増税がなされた現在に至っても、いまだに廃止されないばかりか、増税により、都には需要を上回る増収が生じるという理由をもって、新たに法人住民税の国税化が行われています。この措置は、東京都だけが減収を迫られるだけではなくて、私の地元である三鷹市や、また、武蔵野市といった都内十市、そして二十三区を初め、全国で八十に上る交付税不交付団体にも減収を迫るものであり、到底、受け入れられるものではありません。
 都は、他の道府県の賛同も得ていくことはもちろんですが、都内自治体、とりわけ不交付団体からの意見にも謙虚に耳を傾け、その主張も加えることで、文字どおり東京都一丸となって国に主張していくべきと考えます。
 今回発表された反論書では、こうした偏在是正措置が都を初めとした不交付団体ばかりか地方全体にもメリットがないとの主張がなされていますが、具体的な説明を求めます。

○岩瀬主計部長 真の地方自治は、自治体がみずからの権限とそれに見合う財源により、主体的に行財政運営を行うことで初めて実現できるものであり、そのためには、自主性の高い地方財源を拡充していくことが必要でございます。不合理な偏在是正措置は、地方の貴重な自主財源を国税化し、財政自主権を弱めるものにほかならず、地方分権の理念に大きく逆行いたします。
 さらに、地域経済の活性化等により、頑張って税収を伸ばした自治体ほど多くの税収を奪われるため、自治体のインセンティブを阻害することとなり、地方創生の理念とも逆行するものでございます。
 こうしたことから、国の不合理な措置は、都や他の地方交付税不交付団体だけでなく、地方全体にとってもメリットがない仕組みであると考えてございます。

○中村委員 偏在是正措置は、地方分権の観点からも政府が旗を振っている地方創生の観点からも極めて問題の多い制度であるということです。政府が掲げる地方創生において、大都市は国際社会での競争に打ち勝ち、日本の経済を牽引すると位置づけられていますが、一方では、都の活力をそぐような措置をするといったこと自体、現在の政府が地方自治体をいかに信用せず、軽んじているかという証拠です。
 少子高齢化や人口減少といった問題に対処するためには、思い切った地方分権が必要であり、そういったことを含めて国に訴えていくべきです。これまでも取り組まれてこられたと思いますが、知事を先頭に、より一層取り組まれることを求めます。
 次に、不合理な偏在是正措置と並んで今回不合理な税制改正ということで、企業版ふるさと納税が取り上げられています。現在、国において、平成二十八年度税制改正での導入を目指して検討が進められているということです。
 一方で、舛添知事が述べているとおり、この税制には、企業にとってふるさととはどこなのか、地方間で寄附金獲得に向けた競争が過熱する可能性があるといった問題があります。そして何よりも、東京都や特別区、財政力が高い自治体などへの寄附は対象外とされるといったあからさまな税源移転の発想があることは問題です。
 そもそも企業の寄附金は、現在でも全額損金算入されるという優遇措置がありますが、もちろんそれは税源の偏在是正といったことを目的としたものではないはずです。
 そこで、そもそもの寄附金優遇税制がどのような趣旨で制度化されているのか、今回の企業版ふるさと納税が制度本来の趣旨からどのように問題があるのか伺います。あわせて、問題について国に強く申し入れるべきと考えますが、見解を伺います。

○加藤主税局税制部長 一般に企業が行う寄附につきましては、法人税法において所得計算上、一定額を限度として損金算入されることとなっております。一方、国や地方自治体等に対して行う寄附については、公益的な観点から全額が損金算入され、これに税率を乗じた額が軽減されます。
 いわゆる企業版ふるさと納税といわれているものにつきましては、内閣府が平成二十八年度税制改正要望として提案した内容によりますと、損金算入により軽減される税額をさらに拡大するとともに、東京都など財政力の高い自治体や主たる事務所が立地する自治体への寄附は対象外とするとされております。
 企業において、そもそも、いわゆるこういうふるさと納税といったものが成立するのかといったこと、また、特定の自治体への寄附を対象外とする措置は、自治体間の財政調整そのものといわざるを得ないといったこと、こういった問題があると考えております。
 こうした問題点につきましては、報告事項に挙げております東京都の主張の中でも一部指摘をさせていただいております。

○中村委員 問題があるという認識は示していただきましたし、ご指摘もいただいているというのはわかりましたが、ぜひ、できればこういったことに対して、明確に反対ということもいっていただきたいなと思っています。
 私は、三月のこの財政委員会の中では、個人のふるさと納税についての都の認識を質問しましたが、こちらは好ましくないということはしながらも定着しつつあるということで、こちらも明確に反対をしてきませんでした。
 しかし、今のように寄附をすれば物がもらえるというような現在のあり方では、逆に寄附文化を壊しかねません。寄附金文化の醸成という本来あるべき制度の趣旨を逸脱し、あるところから財源を奪うという思想で屋上屋を重ねることは大きな問題です。
 東京で生まれる付加価値を地方に還流させる取り組みは議論されるべき問題です。しかし、単に都の税源を地方に配分するだけでは、いつまでたっても地方都市の発展にはつながりません。不合理な偏在是正措置はもちろんのことですが、こうした不合理な税制改正に対しても、都民の幅広い理解を得て、年末の税制改正に向けた世論を高めていき、国に対しても強く申し入れることを求めます。
 次に、年次財務報告書に関連して地方財政全体について伺います。
 昨今の国の財政再建方針のもと、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会からは、地方公共団体がそれぞれ財政調整基金を増加させていることを捉え、地方財政には余裕があるかのような指摘があります。こうした指摘に賛同する意見もあるようですが、まずは都として、どのような見解を持たれているか伺います。

○岩瀬主計部長 財政制度等審議会は、国が本来必要のない借金を行って地方の貯金をつくり出しているとの指摘をしておりますが、こうした指摘に対して、総務大臣の諮問機関である地方財政審議会から、地方税収等の決算額が計画額を上回っている場合に財政調整基金への積み立てを行うことは、財政運営の年度間調整の観点から当然の対応との主張がなされております。
 また、全国知事会からも同様の意見のほか、赤字国債を発行して財源対策ができる国と異なりまして、地方公共団体は、景気後退による税収減から生ずる財源不足につきましては、歳出の削減や基金の取り崩し等により収支均衡を図るほかないことを十分踏まえるべきとの反論がなされております。
 これらの意見にもありますとおり、短期的な基金の増減のみを捉えた財政制度等審議会の指摘は、地方公共団体の財政運営の本質を踏まえておらず、妥当ではないと考えております。

○中村委員 今回発表された年次財務報告書によれば、平成二十六年度の普通会計決算の状況は、経常収支比率が八四・八%と前年より改善し、基金への積み立てを増加するなど、好調な都税収入を背景に極めて良好に見えます。このことをもって地方や国からは東京富裕論が喧伝され、さきに述べた不合理な偏在是正が正当化されるかのような風潮があります。
 そこで、今回の年次財務報告書の中で、昭和四十年代後半以降の都財政の歴史を振り返って、都の現状は決して富裕ではないことを主張していますが、その中で、特に基金に焦点を当てて説明をいただきたいと思います。

○岩瀬主計部長 都は、不安定な財政構造の中、オイルショックやバブル経済の崩壊、リーマンショックといった大きな景気変動を経験してきましたが、そうした局面を事業の厳しい見直し、再構築や都債、基金の活用により克服し、強固な財政基盤を築き上げてまいりました。
 中でも、お話の基金につきましては、一年間で約一兆円もの減収に見舞われた平成二十一年度には、三千億円を超える活用可能な基金を取り崩すことによって、必要な行政サービスの維持を図るなど、大きな役割を果たしてございます。
 他の自治体におきましても、財政運営の年度間調整の観点から、財政調整基金の積み立ての重要性が認識されておりますが、とりわけ都におきましては、都税収入が元来不安定な構造であることに加え、地方交付税の不交付団体であることから、他の自治体以上に、より適切に基金を積み立てていく必要がございます。
 こうしたことを踏まえますと、基金の残高をもって東京には金が余っているかのように喧伝する東京富裕論は、都の現状を踏まえない意見であると、このように考えてございます。

○中村委員 不安定な財政構造の中で、過去の教訓を踏まえて基金を積み立てていることは理解しました。
 財政調整基金への積み立てが将来の税収動向や行政需要に備えるための当然のリスク管理であることは、都も含めた地方全体がひとしく認めていることです。このことからも、都財政における基金の額をもって富裕であるとの意見が、いかに一方的であるかわかります。
 現在の基金や都債のあり方が、過去の教訓を踏まえた当然のリスク管理であることは、もっと知られてもよい事実です。知事は、年末の税制改正の議論に向けて、みずから先頭に立つとしていますが、その際に、こうした過去の経緯や都財政の現実をきちんと伝えていくべきであり、財務局には一層の情報発信を求めます。
 また、年次財務報告書は、都財政をできる限りわかりやすく伝えているという都独自の取り組みであり、平成十八年度から版を重ね、今回で九回目となります。今回の報告書では、都財政を考えるとして財政運営の歴史や将来の財政負担についてデータを用いて検証しており、年々議論が深まっているという印象は持っています。
 一方で、本報告書では、第三者の将来推計などをもとに論じている将来の財政需要は、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費のみにとどまっており、より深く将来の財政需要について分析をするならば、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けての新たな財政需要やオリンピック後の景気分析などについても言及が必要であったのではないかと考えます。
 普通会計決算を分析して、今後の財政運営を議論する素材として年次財務報告書が活用されることを望みたいと思いますが、今後も、都財政の課題を的確に把握するとともに、この年次財務報告書を活用しながら、都民に対して、よりわかりやすい説明を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○岩瀬主計部長 年次財務報告書は、多くの都民に、都財政をより身近なものとして理解していただくため、普通会計決算や健全化指標にとどまらず、都独自の財務諸表や都財政を考えると題する解説を掲載するなど、さまざまな工夫を凝らしながら版を重ねてまいりました。
 今回の報告書におきましては、都財政の歴史を振り返ることで、現在の健全な都財政は幾度も直面した財政危機を乗り越えて達成された結果であることを明らかにいたしました。
 また、将来の社会保障関係経費などの財政需要を踏まえますと、都財政は余裕がある状況にはないことから、財政対応力の堅持の必要性について、民間の試算などを用いて、なるべくわかりやすく説明するよう努めました。
 今後とも、本報告書に対するさまざまな意見を踏まえながら、多くの都民の皆様から都財政に対する適切なご理解をいただけるよう、さらなる工夫に努めてまいります。

○中村委員 ありがとうございました。
 先ほども述べましたけれども、いろんな社会保障の関係費等も記載の方はありますけれども、以前、この委員会でも質問したんですけれども、例えば、長期ビジョンなどを定めたときに、全体の財政がどうなっていくかということがなかなかまだ示せていないという状況もありますので、できれば、これからの財政を考える上でも、そういったこともしっかりと数字を出していくということもあれば、都民にもっとわかりやすくなると思いますし、だんだん年々と、いろいろと進化してきていると思いますが、より一層、こういったことを、工夫を凝らしていただく中、都民にわかりやすい説明を行っていければと思っております。
 以上で質問を終わります。

○大津委員 地方法人二税の偏在是正措置について伺います。
 私が都議会に参りました平成十五年の都財政は、平成十年から五年連続の実質赤字やIT不況による税収減に直面し七転八倒している状態でした。二次にわたる財政再建推進プランのもとで、給与関係費の削減、経常経費や投資的経費など、聖域なく施策を見直している最中でもありました。身を削るような行財政改革のこうした努力の成果もあり、平成十七年度には財政再建が達成され、都財政にようやく光が見えてきました。途端に、東京ひとり勝ち論という世論がひとり歩きをし始めたわけです。
 平成二十年度の法人事業税の暫定措置導入の背景にも、この東京ひとり勝ち論や東京富裕論があったと思いますが、当時の状況は、本当に東京ひとり勝ちという状況だったのか、見解を伺います。

○岩瀬主計部長 当時の地方財政の困窮は、第一に、バブル経済崩壊後の景気対策として、国が地方債を財源とする公共事業の実施を自治体に求めたこと。第二に、三位一体改革の名のもと、三年間で五兆円以上もの地方交付税を削減したこと。こうしたことに起因していると考えられます。
 いわゆる東京ひとり勝ち論は、こうした本質的な問題には目をつぶり、あたかも自治体間の財政力格差が地方の財源不足の原因であるかのごとく論ぜられたものでございました。
 そもそも都は、地方交付税の不交付団体でございまして、自立的な財政運営を行う必要がございます。こうした中にありまして、バブル経済崩壊以降、国や他の自治体に先駆けて必死に財政再建に取り組み、当時は、ようやく一息がつける状態になったところでございました。
 こうした財政再建の努力を無にしかねない、取りやすいところから財源を搾り取ればよいというような安易な論理は理不尽なものであったと認識してございます。

○大津委員 東京ひとり勝ち論が、あくまでも都の実態を踏まえない机上の空論であったにもかかわらず、法人事業税の暫定措置導入につながっていってしまったことは明らかでもあります。こうした歴史を見ますと、今、国が音頭をとって進めている地方創生についての世論形成にも似た現象を覚えます。東京一極集中の是正という名のもとで、人口減少や少子化の原因は、全て東京への人口集積にあるといわんばかりの東京悪玉論、この世論形成がなされているような気がいたします。
 東京一極集中是正論のもと、企業版ふるさと納税を初め、さらなる偏在是正措置の拡大など、東京から財源を吸い上げる手法が模索をされている現状です。こうした東京一極集中是正論を契機とした都から財源を吸い上げる動きについて、都の見解を伺います。

○岩瀬主計部長 現在の状況は、平成十九年度当時と似ているところがございます。東京など、大都市の膨大な財政需要には目を向けず、税収の規模のみに着目し、偏在是正を早急に行うべきとの乱暴な意見もあるなど、再び地方間での財源の奪い合いにつながりかねない状況でございます。
 また、経済の活性化と地方の自立を目指す地方創生を都市対地方という図式にゆがめ、東京の活力を奪うことは全くの見当違いでございまして、都市と地方がともに栄えなければ、日本の将来に大きな損失をもたらすことは明らかでございます。
 地方自治のあるべき方向は、地方自治体がみずからの権限と財源によりまして、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を目指していくことでございまして、そのためには、総体としての地方税財源の充実強化が不可欠でございます。
 こうした観点から、限られた地方財源の奪い合いにすぎない偏在是正措置は直ちに撤廃し、地方税へと復元すべきものであると認識してございます。

○大津委員 今の答弁を受けまして、これまでの不合理な偏在是正措置の導入につながる背景や歴史、世論の認識について確認をし、今回の反論書の発表については一定の評価をしたいと思います。
 次に、当時、過去に学ぶという観点から、法人事業税の暫定措置導入に際しての出来事について振り返ってみたいと思います。
 初めて、この三千億を国に渡すという平成十九年当時の石原慎太郎知事は、これを受け入れる前提条件として、東京の活力が国の発展につながることから、東京の重要施策の実現に踏み込んだ提案、十三の項目を国に要求しました。当時、私どもは、まちのいろいろな行事や、さまざまな会合の挨拶の時間の中で、この三千億の話と、ついては都からは、この十三項目を国に要望をしていて、その十三項目をしっかりやっていきますよという、そんな挨拶も入れながら、この話をしてまいりました。話をしてきたということは、私も、この発言に対して、十分責任を持って今後も臨みたいと思っています。
 それでは、この十三項目の重要政策リスト、これは一体どうなってしまったんでしょうか。調べましたところ、石原知事のそうした政治手腕もあり、その年から国と都で年に一回、都からは副知事クラスが出席をする協議会というのをつくりました。法人事業税の暫定措置を導入する際、知事が福田総理と直接会談をし、この日本の発展につながる重要施策十三項目について、国の最大限協力を合意したもので、これを踏まえて、国と東京都の実務者協議会を設置し、都と関係省庁の間で具体的な協議を進めてきました。これが、その後どうなっているのかと調べましたところ、平成十九年から平成二十五年まで続けられています。
 それで、この十三項目の中には、当時、あかずの踏切解消だとか、自動車排出ガス対策の強化だとか、独自の認証保育所制度の承認だとかさまざまなものが入っていました。そうした、毎年行われていた協議会を通じて、都としては、羽田空港のC滑走路延伸、これは海側に伸ばすことにより騒音を低下すること、これも実現できましたし、首都高速中央環状品川線の開通、ことし三月、開通しましたが、ここに国費を投入もできています。また、古川地下調節池の整備促進にも国費を出させ、認証保育所国庫補助を導入もさせ、東京の活力を増進させ、日本の発展に向けた取り組みに着実につながってきています。
 結果として、このような成果を得られたのも、都民生活を向上させるために不退転の思いから来る政治手腕、これが十分にあったと考えています。当時の石原知事から、泣く子と地頭と政府には勝てないとの発言があったと記憶していますが、その意味するところについて、確認のため所見を伺います。

○岩瀬主計部長 我が国におきましては、地方税の仕組みの根幹は、法律によって国が決めることとされておりまして、各地方自治体が主体的に税制度を決定する権限は極めて限定されてございます。
 そうした中で、都としてできる限りの反論はしたものの、法改正により法人事業税の暫定措置の導入が強行されたため、このことを石原元知事は、ご指摘のような発言で表現したものと認識してございます。
 こうしたことから、この不合理な措置の撤廃に向けましては、立法機関である国会を初め、国に対する働きかけが重要でございまして、あらゆる機会を通じて、都の主張を展開していくことが必要であると認識してございます。

○大津委員 地方自治の根幹をなす地方税制度の見直しが国の決定一つで決まってしまい、当事者である都が見直しに関与もできないことは不合理であり、例えば、四十五年後の東京の人口や、この都市を維持する莫大な経費を考えると非常に地方自治の将来に危険を感じます。
 例えば、今、二人に一人、三人に一人、四人に一人が高齢者になるとか、そんな具体例が出ていますけれども、四十五年後のこの東京の人口を考えますと、十五歳から六十歳までを働く人口と捉えた場合に、四十五年後には、十五歳未満と六十歳以上の人口が逆転を起こします。六十五まで定年を引き上げれば、若干生産人口の方が上がります。私も四十五年後には百歳を超えるわけですから、私たちは、もしかしたらそのグラフの人数にさえ入っていない、そんなこの首都東京が迫ってきているわけです。こうしたことを踏まえますと、年末の税制改正に向け、都としてどのような意気込みで臨むのか、局長の決意を伺います。

○長谷川財務局長 国による不合理な偏在是正措置により、東京都はこれまで、累計で一兆三千億円を超える財源を奪われてまいりましたが、今回この措置の拡大が強行されれば、失われる財源は、今年度の三千億を大きく上回る年間五千八百億にも上るというふうに危惧しております。
 こうした大都市を狙い撃ちにした措置は、地方分権に逆行するばかりか、高齢者人口の急増や社会資本ストックの維持更新に係る膨大な財政需要を抱える東京都の実情やこれまでの財政運営の努力を無視したものであり、直ちに撤廃させるべきものでございます。
 これから年末にかけて地方法人課税をめぐる議論が活発化し、都にとっては極めて重要な局面を迎えます。今後、正念場を迎える税制改正議論に向け、都議会の皆様を初め、都内全区市町村や志を一にする他の地方自治体などと連携しながら、今回発表した反論書も活用し、この不合理な偏在是正措置の即時撤廃に向け、全力を尽くしてまいります。

○大津委員 今後ますます厳しさを増す都財政を取り巻く環境において、これ以上の偏在是正措置の拡大はストップをさせ、年末の税制改正に向け、都の一層の具体的行動を強く求めてまいります。
 石原知事は、福田総理との会談において、石原知事として、さまざまなコメントを発表していました。社会保障・税一体改革関連法案の成立に関するときにも、石原知事はコメントで、都の新公会計制度の活用や外部監査の実施をアピールしながら、国に徹底した行政改革を求めてきました。そして、平成十九年から二十五年まで毎年一回行われていた、この十三項目の検証もできる協議会がちゃんと続けられていました。
 ところが、舛添知事になってからの平成二十六年からはこれがなくなり、オリンピックの観点という理由で、国の中にそれぞれの局が分散化し、協議が分散化をしてきていますし、それを都庁に横串を刺した横断的なチェックをするべき局が今、なくなってもいます。
 そういった意味で、やや曖昧化をしてきていることを感じています。縦の知事の整合性を貫くべきものに関しては貫くべきと考えます。横断的なチェック機能が今消えていますから、それを財務局が主導もしくは政策企画局が主導で毎年適宜チェックをしていくべきだと考えます。もう少し具体的な求め方としましては、さまざまな機会をつくって、国ともう少し強く協議をするべきであります。
 また、毎年三千億渡す段階で、こうした十三の項目ではないですけれども、重要な政策を前提とした条件を毎年つくる、もしくは入れかえていくことも必要だと思います。そして、知事コメントを適宜アピールをして発信をすべきであります。世論を盛り上げるのは、国民にとって同じ財布の中ですので、非常に難しい側面がありますから、東京は、こうした事情で三千億を国にというようなことをもう少し知事のコメントの中でも発信をしていくべきだと思います。もう二兆円ぐらい出していますでしょうか。やはりお金を出しているということは、物をいえる立場がさらに強靱になっているはずであります。さまざまな協議会を使い、都は、逆に国の実行や進行を管理するべき立場にあり、管理をすべき方向で進んでいっていただきたいと思います。
 終わります。

○高木委員 それでは、報告事項に対する質疑を行いたいと存じます。
 最初に、不合理な偏在是正措置の今回配られました資料第4号なんですけれども、率直にいって、非常によくできていると私は思っているんですね。中身もそうなんですけれども、見やすさもそう、今までのいわゆる国に対する反論書というのをずっとつくってきたと思いますが、そういう中にあっては、今まででやっぱり一番いいものができたなというふうには思っております。
 ただ、懸念をするのは、不合理な偏在是正措置に対するこの書類なんですけれども、対象を誰に向けてこれを書かれたのかというのがまず一つあると思います。それとともに、東京都として最も主張したい点というのは一体何なんだろうかと、まず、ここをお伺いしたいと思います。

○岩瀬主計部長 この反論書は、これから年末にかけまして地方法人課税をめぐる議論がさらに活発化し、都にとって極めて重大な局面を迎えるであろう中、これらの税制の見直しに対する都の基本的な考え方や主張を明らかにしたものでございます。
 この反論書をベースに、都民の皆様はもとより、都民の代表である都議会の皆様を初め、税制改正において重要な役割を担う政府・与党や都選出の国会議員の皆様方、都内区市町村、全国の自治体関係者の方々などに幅広く都の主張への理解を求めていきたいと考えてございます。
 また、この反論書の中では、不合理な措置による今後の都財政への具体的な影響を五千八百億円という数字を挙げて初めて明示するとともに、即時撤廃とさらなる拡大阻止に向け、十の視点からその問題点を指摘してございます。
 その上で、日本全体の持続的発展のためには、限られた財源を地方間で奪い合う現状維持の発想ではなく、地域間でお互いの結びつきを強化し、共存共栄の関係を構築する観点が重要でございまして、東京と各地を結ぶ観光ルートの設定など、真の地方創生に向けた都の独自の取り組みを積極的に展開していくという今後の方向性を主張しております。

○高木委員 誰に向けて書かれたものなのかということに対しては、都民、都議会、都選出の国会議員、幅広くそうした方々のご理解をいただきたいと、こういうことになっているんですが、都民は、この問題に対して関心がおありだと思いますか。
 つまり、先ほど大津委員からもご指摘があったんですけれども、結局、国と東京都の財源の奪い合いだというふうに理解をされているんではないかなと。一面では、そうだと思います。それは確かに、本質はそういうことなのかもしれません。しかしながら、そのことは、都民サービスに対して極めて大きな影響があるんだというところまで、実際、都民が理解をしているのかというと、私は、肌感覚としてはどうもそこまではいっていないなという気がしてならないわけであります。
 ですから、私たちが、これから、私も年末にかけて、この税制改正の動きを注視していかなきゃいけないんですけれども、いかに都民を、あらゆる都民を味方につけていくのかということが非常に大事なことだと思っているんで、もう一段知恵を絞んなきゃいけないんじゃないかなと思います。
 それで、この問題の本質は、私たちは、こうした不合理な措置といっているわけですから、これはやめてもらいたいと。やめてもらうためには、やめてもらうだけの仕組みをつくらなきゃいけない。そのときに、石原知事が、国が決めた税制については、それはもう従わざるを得ない--それはそうですよね、法律ですから、そういうことをおっしゃった。
 ですから、法律改正してもらわなきゃいけないんですけれども、そのときに、一体この問題、じゃあ誰が味方なのか、誰が敵なのか、都にとって誰を味方につけることが必要なのかというところをしっかりと認識して活動していかなきゃいけないんじゃないでしょうかと私は思いますが、財務局としては、これ誰が味方で誰が敵なんでしょうか、どういうご認識ですか。

○岩瀬主計部長 税制改正におきましては、政府及び与党における議論が重要なプロセスとなってございまして、また地方税に関する法律を議決する権限を有するのは国会でございます。こうしたことを踏まえますと、不合理な措置の撤廃に向けて、まず何よりも大事なことは、税制改正の意思決定に直接関与することができる都選出の国会議員の先生方や、国会議員の方々との橋渡し役も担っていただく都議会の先生方との連携であると考えております。
 さらには、今先生お話ありましたように、都民の皆様に幅広くご理解いただくことはもとより、都内区市町村や愛知県、神奈川県、大阪府など、都と主張を同じくする他の自治体とも連携しながら国政に働きかけを行っていくなど、自治体間でスクラムを組んでいくことが必要であると、このように考えてございます。

○高木委員 私たちは、一つの税制の議論をする場として、都税調というのを都庁で抱えているわけです。私も都税調の特別委員をさせていただいておりますが、現在はその都税調で、この問題を小委員会で議論をしているというふうに聞いているんですけれども、都税調でこの不合理な偏在是正措置の議論というのはどういうことが行われているのか、まずご披瀝をいただきたいと思います。

○池田主税局税制調査担当部長 東京都税制調査会は、税制改正に向けた動きに機敏に対応するため、今年度から毎年度答申を行うことといたしました。五月の第一回総会開催後、学識経験者から構成される小委員会をこれまで四回開催し、都政等における地方税制度の喫緊の課題等について検討を重ねております。九月に開催した第四回の小委員会は、平成二十八年度税制改正において重要なポイントとなることが予想される消費税率の引き上げに伴う地方法人課税のあり方の見直しについて、ご議論いただいたところでございます。
 少々長くなりますけれども、議論の内容について紹介させていただきます。
 まず、偏在是正措置の問題については、多分に東京と地方という対立軸で見られかねないが、それを避ける議論が必要である。そもそも消費税の引き上げは、社会保障の充実をその趣旨とするものである。法人住民税が一部国税化され、交付税の原資とされたことにより、不交付団体である都がその財源を失うことになると、消費税率引き上げの増収分があっても相殺されることになる。このことは社会保障の充実という国の方針に都が歩調を合わせることができなくなることを意味するなどの意見がございました。
 次に、地方法人課税の分割基準について申し上げます。
 これは、複数の地方自治体で事業活動を行う法人の課税権を正しく帰属されるための基準でございます。法人事業税の分割基準につきましては、工場の従業者数を一・五倍に割り増しするなど、大都市に不利となる見直しがたびたび行われてまいりました。この点につきまして、分割基準は、企業の事業活動規模を的確に反映したものでなければならないが、財政調整の手段として見直すのは場当たり的であるなどの意見がございました。
 こうした小委員会でのご意見を都の主張に生かすとともに、今後、特別委員である都議会議員の皆様から幅広い見地に立ったご意見をいただき、年末の税制改正に向け、十一月に今年度の答申を発表していく予定となっております。

○高木委員 都税調の議論の中で、たしか前期の最後だったと思うんですが、内田副会長から、ぜひその専門家の先生方からいただきたいのは、私たち政治家が、この税理論に対してしっかりと意見がいえるように、それを後押しをしていただくような、そういう意見をしっかりとつくっていただいて、背中を押していただきたいというような趣旨の発言があったと思うんですよ。
 それで、今回都税調で、この小委員会で今議論をされていることの中で、当然、この不合理な偏在是正措置のことについては、ある一定、私たちも、こうして財務局や主税局につくっていただいている資料に基づいて、そういうことも非常によくわかり始めてきている。もう一方で、この資料第3号の三三ページに、不交付団体である都の財源が失われて、つまり新しい制度ができたときには国の責任で財源を保障すべきだと、それを地方交付税で補填をしていく制度がどんどんどんどんつくられていくと、不交付団体である東京都は、もう未来永劫この制度によっての財源保障はないんだと、このことは、やっぱり制度設計に問題があるんだと、ここに明確に書いてあるこのことを、ぜひ小委員会の中でもっと掘り下げて議論してほしいんですよ。
 これは昔からいわれていることだけれども、しかし、今、やはり改めて、こういう税理論の問題も、ぜひこれは税制調査会の役割だと思うから、私はそういうことも意見があったという世界ではなくて、この意見をもう一回掘り下げていただきたい、こういうふうに思っています。
 それから、分割基準の問題についても、財政調整の手段として見直すのは、やはり場当たり的であると、これもそのとおりだと思いますから、分割基準の問題についても、ぜひ小委員会の中で深掘りをしていただきたい、改めてこのことはお願いをしておきたいと思います。
 第二回定例会で、私たちは、この不合理な偏在是正措置について意見書を提出いたしましたけれども、その後、第二回定例会は六月ですから、六月以降、議会の意思は、もう既に従前から固まっている。東京都の意思も当然固まっているでしょう。しかしながら、改めて第二回定例会で意見書を提出した、そのこと以来、知事はどのような考え方に基づいて、この問題についてどのような努力をしてきたのか、そのことを教えていただきたいと思います。

○岩瀬主計部長 六月末に発表されました骨太の方針におきまして、税源の偏在是正措置を講ずることが明記されましたことから、先般の代表質問で知事からご答弁申し上げましたように、都として、これまで以上に強い危機感を抱いてございます。
 こうした状況を踏まえまして、この措置の撤廃、拡大阻止のためには、制度変更の具体的な内容が明らかになっていない中にありましても、都の基本的な考え方や主張を明確にしておく必要があるとの理由から、知事の指示のもと、税制改正の議論が本格化する直前のこのタイミングで本反論書を取りまとめ、発表したところでございます。
 また、この間、知事は、全国知事会議や九都県市首脳会議、関東知事会議に出席いたしまして、不合理な偏在是正措置の撤廃はもとより、総体としての地方税財源の拡充、共存共栄による成長志向の取り組みによる地方全体のパイの拡大こそが必要であることを訴え、都の主張に対する幅広い理解を求めてきたところでございます。

○高木委員 都の主張に対する幅広い理解を求めてきたと。理解は広がりましたでしょうかね。広がったかどうかぜひ聞きたいけれども、きょうはいいと思います、そこはね。
 そこで、知事はこの問題を、どう認識しているのかなということを私はぜひ聞きたいんですけれども、知事はこれを制度論と思っているのか、それとも政治の課題と思っているのか、どっちなんでしょうかね。この問題どっちだと思っているかというのはすごく大事なことなんで、制度論なのか、それか政治の課題だと思っているのか、どちらですか。

○岩瀬主計部長 不合理な偏在是正措置の問題は、平成二十年度税制改正での導入時以来、国の社会保障と税の一体改革や消費増税議論と相まって、政治的な紆余曲折を経て現在の姿になっておりまして、国や地方自治体の財政運営に大きな影響を与える重要な政治課題の一つであると考えてございます。
 こうした認識のもと、都は、年末の税制改正議論に向けて、先般公表した反論書を通じまして、地方税財政制度の観点からの問題点を明らかにするとともに、先日の代表質問で知事がご答弁申し上げたように、この措置の撤廃のために、知事自身が先頭に立って汗をかき、都議会の皆様と手を携えながら国政に対して働きかけを行っていくとの強い決意を示したものと理解してございます。

○高木委員 重要な政治課題の一つであると、政治の問題だということだと思います。そして、知事自身が先頭に立って汗をかいていくという決意が示されたわけなんですが、私は、申しわけありませんが、知事がこれを政治の課題と認識しているとは思えない。思えない。いろんなことはおっしゃってますけれども、知事は本当にこのことを政治の課題だと思っているんでしょうか。つまり、政治的なアプローチによってこのことを解決をしていくというだけの気概があるんでしょうか。
 そのことを端的に示すのは、先般のオリンピック特別委員会ですよ。あのときにどういう議論が行われてたのか、皆さんご承知だと思いますよ。あのオリンピック特別委員会で、この間の国立競技場問題についてのるる発言がありまして、五月から六月、七月、八月にかけて、知事がいろいろなところで発信をしたり、あるいは記者会見でお話しになられたり、そういうことが幾つか時系列的に、あの委員会の中で出ておりました。
 私は、一番重要だと思ったのは、六月の十六日に第二回定例会の代表質問が行われているんですよ。このときに、自民党の代表質問で林田総務会長が、新国立競技場の問題に関連をして、都政の役割や国との対立構造を演出するんではなくて、オリンピック・パラリンピックを成功させることなんだと、国と都が信頼をもとにした協力関係でなければいけないんだと、適切な役割分担を双方合意のもとで進める関係が望まれる、そして国際的にも国と都が対立しているようなニュースが喧伝されることは残念だと、より大局的な見地から国と都の関係構築を行うべき、こういうことをいったわけですね。
 それに対して知事の答弁は、お互いがばらばらに動くことではなくて一致協力していくことが重要だと、真の協力関係を築くために、まず率直な意見交換が何よりも大切、真摯な議論の積み重ねによって、お互いの信頼関係を強固なものにしていく、都議会のご審議をいただきながら開催都市としての責任を果たすための、できる限りの協力をしていく所存であるという、こういう答弁をしたんですよ。都議会でこういう答弁をしたわけです、代表質問で。
 にもかかわらず、七月二十三日のツイッターでは、政府を批判して、政府は至急、今回の大失態に至る経緯を検証し、責任者を処分すべきだといっているのですよ。これで信頼関係築けるんでしょうか。最大の責任者は文科省であり、担当役人の処分は免れない、組織の長にその処分ができないなら、みずからを辞任するしかない、これが七月二十三日のツイッター。そして七月二十八日の現代ビジネスでは、建設の責任者である文科省の無能、無責任は論外であるとまでいっている。
 このことが、政治的な課題を解決する人の姿勢なんでしょうか、これが今問われているんじゃないですか。これは、新国立競技場の建設問題だけのことじゃないんですよ。だから、より大局的な見地からしっかりした国と都の関係構築を行うべきだという代表質問のこの文言はそこにあるんですよ、ポイントは。
 私たちが考えていたことは、国立競技場の五百億、東京都が出すか出さないかという問題を一つのキーにして、そのことだけではなくて、都政全体が今置かれている立場は何なのか、どうなのか。そして、この不合理な暫定措置の問題も含めて、国と東京都はどういう関係を築くべきなのかということをここで申し上げて、そのことに対して真摯に私は行動していくといいながら、いいながらですよ、六月十六日にはそういっている。しかし、七月二十三日のツイッター、七月二十八日の現代ビジネス、そしてもっといえば、八月二十五日の現代ビジネスでも、国会議員にはこのぐらいの本は読んでおいてもらいたいというような批判をして、政権の中枢にいる首相補佐官やツイッターで無知をさらけ出している衆議院議員を見ていると、この国の将来は大丈夫かと思わざるを得ないということをいっているんだよ、これ。こういうことをいっていて、この政治的な課題は解決をするんでしょうか、あるいはする気持ちがあるんでしょうか。
 財務局の皆さんにこのことをいっても、主税局の皆さんにこのこといっても、いや頑張りますという宣言しか、きっとできないでしょう。だから、本来はこの委員会に知事を呼んで、知事に答弁してもらいたいとすら僕は思うよ、個人的には。個人的にはね。それは議会のいろんなルールや今までの慣例や慣習やいろんなしきたりの中でなかなかハードルは高いと思いますよ。しかしながら、こういうことをやっていて、この都政最大の課題の一つである法人事業税、法人住民税の不合理な偏在是正措置に対して、私たちはどう取り組むのかという方針が定まらないんですよ。
 いうのは簡単ですよ。だから理屈なのか、制度論なのか、政治の課題なのかということを僕は問うているんです。制度論だったら制度論で、書類をつくって、ここがおかしい、あそこがおかしいよといって議論をしながらやっていけばいい。しかしこれは、発端の、できたときから政治の課題なんです。知事と当時の福田総理が話をして、そして十三項目の条件をつけて、それでこの話は決まったんですよ。政治の課題なんです、あくまでも。最初から政治の課題なんですよ。だから、解決をするためには、政治の課題を政治的に解決をしていくというアプローチが必要なんです、制度論と同時にね。もちろん制度論も大事ですよ。だけど、そのことを抜きにして、政治的なアプローチを抜きにしてこの話は解決をしないということであります。
 そして、もう一つ申し上げておきたいのは、今定例会の知事の所信表明演説、不合理な暫定措置の問題が、最初から私はずっと聞いていて、いつ出てくるのかなと思ったら一番最後じゃないですか。こういう姿勢でこの問題解決するんですか。びっくりしましたよ。いつ出てくるのかと、この話が。誰が書いているのか私は知りませんが、都庁全体としてこの問題に対する認識が甘いんじゃないですかといいたい。財務局長や主税局長が、その部分は、このことは大事なんだと、ぜひしっかりいっていただかないと、今後もこういうことが続くんじゃないですか。甘いとしかいいようがないと私は思います。
 ですから、ぜひこれから気持ちを入れかえてこの問題に取り組んでいただきたい。そして、この問題は政治の課題なんだ、汗をかくんだ、このいったことをきちっと私たちに結果として示してもらいたい、こう思います。
 少なくとも六月十六日の代表質問の答弁は、七月二十三日のツイッターや先ほど申し上げた七月二十八日の現代ビジネスで裏切られてるんですよ。だから、しっかりやってもらいたいと思います。
 さて、この制度の、税制の偏在是正措置の、先ほども大津委員からお話がありましたが、改めて聞きますけれども、この制度創設時の国と都の約束事というのは一体何だったのでしょうか。

○岩瀬主計部長 法人事業税の暫定措置導入に際しましては、当時、お話の福田総理大臣との会談の中で、石原元知事が条件を出して合意したものでございます。具体的には、あくまでもこの措置が消費税を含む税体系の抜本的改革までの暫定措置であるという約束と、あわせて地方の自立に向けた税財政制度の抜本的改革を早期に実現するよう、総理に対して強く申し入れたものでございます。
 さらには、石原元知事から、羽田空港国際化の一層の推進や外かく環状道路の早期着工など、当時の都の重要施策の推進のために国が力を尽くすよう求めたのに対し、総理からは実現に向けて最大限努力するとの約束と、これらを実行に移すための具体的な提案があったものと承知してございます。

○高木委員 東京都から十三項目のご要望をさせていただいて、当時の都のそれが重要施策だということでご理解をいただいて、総理から実現に向けて最大限努力するという約束があった。それは、ある一定、きちんと約束は果たされてきたんだろうと思います。
 約束が果たされていないのは、消費税を含む税体系の抜本改革までの暫定措置であると。このことが、一つは事業税の方、法人事業税の方の問題については、これが担保されない中で、今度新たに法人住民税の問題が出てきたということですから、まず、順序としては、この暫定措置というのを暫定を早く取り外していただいて復元をしていただくと、なくしていただくというのがまず第一弾なんだと思います。順序としてはね。
 その一方で、消費税を含む税体系の抜本改革というのが、それがいつなのかという議論はあるにしても、消費税が一〇%だというふうにもう既に決まってるわけですから、その一〇%という前提に立った上で、この不合理な偏在是正措置に対して、東京都として、あるいは東京都知事舛添要一がどう取り組んでいくのかということが私は必要なんだ、大事なんだというふうに思っています。
 そこで、この年末の、先ほどから出ております税制改正に向けてというのは、時間が余りないんですが、不合理な偏在是正措置の撤廃等に向けた財務局長の見解というか、決意をぜひ伺ってみたいと思います。

○長谷川財務局長 本日の財政委員会では、都財政の歴史を振り返りつつ、どのようにこれまでの危機に対処してきたか。また、都債や基金といった財政対応力がいかに構築されたかなどについて広くご質問をいただきました。さらに、ただいま高木理事から、不合理な偏在是正措置につきまして、その問題に対する問題認識や対応のあり方などにつきまして、さまざまな厳しいご意見をいただきました。
 本日の議論でも明らかになりましたが、都財政は景気の変動に大きく左右される中にありまして、危機のたびに都議会の皆様にご協力をいただきながら、先人たちの努力によってどうにか苦境を乗り越えてまいりました。地方法人課税の偏在是正措置は、応益性など地方税の原則に反するのみならず、こうした都財政の積み重なる努力や東京の財政需要の現実を軽んじた、まさに不合理なものでございます。
 偏在是正措置は、ただいま理事からもご指摘がありましたとおり、当初の暫定措置という約束に反し、今なお継続するばかりか、今後さらに拡大されようとしており、この先の財政運営に重大な影響が生じかねない深刻な問題であるということに対して、強く厳しい危機感を抱いております。
 この問題に対しましては、代表質問で知事みずからご答弁申し上げましたとおり、都が知事を先頭に一丸となって全力でこの問題に当たることはもちろんのこと、都内区市町村や他の自治体との連携を一層強化して、都の主張に対する幅広い理解を得ていかなければなりません。国とも真摯な議論をしていかなければならないと思います。
 今後、税制改正の議論に臨むに当たりましては、国政との橋渡し役を担っていただいております都議会の先生方や都選出の国会議員の皆様方のご協力が不可欠でございます。引き続き、都の取り組みに対するご支援をお願いいたしますとともに、不合理な偏在是正措置の撤廃、新たな措置の導入措置に向けまして、都政の最重要課題として、主税局とともに、都庁一丸となって全力で取り組んでまいります。

○高木委員 主税局とともに全庁、都庁が一丸となって全力で取り組んでいくという決意が表明されたので、主税局長からも一言どうぞお願いします。

○小林主税局長 ただいま財務局長から答弁申し上げたとおり、この問題は、高木先生から先ほどありましたように、政治的な課題であると、ただそれを制度論からもしっかりバックアップしようということがございました。都税調の、先ほどご質問いただいて、前期の内田先生からのご指摘を踏まえて、それ十分議論してくれと、あるいは分割基準の見直しについて、しっかり深掘りをしろと、こういうお話については、政治の動かす前の制度としてしっかりとした答えを出していくということで、これについては主税局は全力をもってまずやっていきたいというふうに思っております。その上で、これは先ほど財務局長が申し上げたとおり、政治の問題に当たって、都議会の先生方、そして国会の議員の先生方に理解をしていただき、全庁一丸となって動けるように、これは一体となって取り組んでいきたいと強く決意しております。

○高木委員 財務、主税両局長が、本来的に決意をすべきことというのは、知事をその気にさせることだというふうに私は思っているんですよ。主税局長がおっしゃったように、その前提としての税理論をつくっていただくとか、それは当然やっていただきたいんだけれども、その政治の課題だといったことは何かというと、やはり知事みずからが汗をかくんだということの決意表明があったわけですから、その決意表明どおり汗をかいていただくべく土壌、ベースをつくるということと同時に、その気にさせてください、ちゃんと。それで、当たるべきところはどこかといえば、当然、まず最初に東京選出の国会議員なんですよ。
 今、東京選出の国会議員、みんな背中向けてますよ。はっきりいって。会ってくれないかもしれませんよ。だから、それをどうするのかというところから始めなければいけないんですよ。でも、今の会ってくれないかもしれませんよと私がいったことをつくったのは、知事自身ですからね。はっきりいいますけど、知事自身がつくってきたんですよ。文科省の役人は無能だと、無責任だと、国会議員は何考えてるんだといってきたんだから。そのことをきちっと踏まえた上で、国会の先生方にお願いしなきゃいけないでしょう、法改正してもらわなきゃいけないんでしょう。できないんですよ、東京都知事じゃ。だから、石原知事がやむなく十三項目のお約束を取りつけて、しようがないけれども、これ涙をのんでやろうといったわけじゃないですか。そのことをやらないで何ができるんでしょうか。つまり、両局長さん含めて都庁全体でやるべきことは、知事がちゃんと動けるように、動いていただけるように、やる気にさせる、その気持ちにさせることは、私は大事だというふうに思います。
 少なくとも、都議会は、この間ずっとこの問題に対しては、意見書を出したりやってきましたよ。国政との橋渡し役を担っていただいている都議会の先生方ってあったけれども、橋渡し役も限界があります。どこまでできるか、限界がありますよ。だからいっているんです。そのことをしっかり認識していただきたい。そして、私は、先ほどからいっているように、みずから汗をかくといったんだから、その結果を私たちは注視しています。
 政治家は、一度いったら、そのことに責任を持ってください。そのことをぜひ知事に伝えていただきたい。責任を持てと伝えてほしい。そのことを申し上げて質問を終わります。

○和泉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和泉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十四分散会

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