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Tokyo Metropolitan Assembly

財政委員会速記録第十号

平成十九年九月二十八日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長山田 忠昭君
副委員長尾崎 大介君
副委員長橘  正剛君
理事村上 英子君
理事酒井 大史君
理事曽根はじめ君
伊沢けい子君
高木 けい君
佐藤 広典君
山口  拓君
高島なおき君
鈴木 隆道君
桜井  武君
藤井  一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長村山 寛司君
経理部長新田 洋平君
参事竹本 節子君
主計部長真田 正義君
財産運用部長塚本 直之君
建築保全部長戸田 敬里君
参事岡沢  裕君
参事山本 康友君

本日の会議に付した事件
 財務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十六号議案 平成十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入・歳出-財務局所管分
・第百七十二号議案 東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築工事請負契約
・第百七十三号議案 都立永福学園養護学校(H十九)増築工事請負契約
・第百七十四号議案 妙正寺川整備工事(激特-一)請負契約
・第百七十五号議案 妙正寺川整備工事(激特-二)請負契約
・第百七十六号議案 妙正寺川整備工事(激特-四)請負契約
・第百八十二号議案 土地及び建物の売払いについて
報告事項(質疑)
・「平成十八年度東京都年次財務報告書」について

○山田委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、財務局関係の付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 なお、付託議案中、第百七十二号議案から第百七十六号議案までの契約議案につきましては、議長から事業所管の常任委員会に調査依頼を行っているとのことでございますので、ご了承をお願いいたしたいと思います。
 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百五十六号議案、平成十九年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分及び第百七十二号議案から第百七十六号議案まで、並びに第百八十二号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料につきましては、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに本案に対する質疑を行いたいと思います。
 ご発言をお願いいたします。

○鈴木委員 それでは、質問に入らせていただきます。
 入札契約制度に関しての質問から入りますが、契約議案の工事において、低価格入札が続いたこともあり、特に工事の品質や安全の確保、下請業者へのしわ寄せの懸念などについての質問をするとともに、地域に根差し、地域の公共工事をしっかり施工している中小零細企業の方々が、きちっと仕事をして誇りを持っていけるような、また、そういうような仕事ができるような環境整備を考えていただきたいということを、今まで要望してきたところでもあります。
 こうした議論の中で、私が申し上げることを財務局としても十分受けとめていただき、新しい総合評価方式である技術力評価型が実現したことは非常にうれしいことでもあります。これまで二年間の総括として、質問を行っていきたいと思います。
 第一回定例会の本委員会において、入札辞退者が多く出ていることに対して質問をいたしました。今回も、やはり入札の辞退者が多く見られます。特に五件のうち三件は、結果として一者のみが入札したことになっています。
 そこで、そもそも入札辞退の理由はどのようなものがあるのかを改めて伺います。

○竹本参事 入札辞退の理由についてのお尋ねでございますが、個々の案件について、入札を辞退した理由は承知しておりませんが、入札参加の申し込みの後に設計図書等の詳細な検討を行った結果、施工上の問題点ですとか、難度、工事の難しさについて理解された場合、あるいは直前に他の発注機関における入札で大型案件を落札し、受注量の確保がなされた場合、あるいは技術者や作業員の手配が困難となった場合などに、新たな入札を辞退することが推察されます。
 発注時期や業種、工事内容、企業の受注状況など、さまざまなケースがあるかと思っております。

○鈴木委員 今答弁がありましたように、辞退に関してはさまざまな理由が考えられるということでありますが、その結果、入札したものは一者ないしはごく少数になった場合に、競争性の確保の考え方からどうなのか、改めて伺います。

○竹本参事 入札の辞退については、あらかじめ入札参加者が入札書を提出するときまで、いつでも入札を辞退することができることを公表し、周知しております。この入札の辞退を理由として、以降の指名等について不利益な取り扱いは行わないとしているものでございます。
 入札の手続のそれぞれの段階での状況は、秘密事項として厳格に取り扱われております。また、従前行っていた現場説明会を取りやめるなど入札参加者が一堂に会する機会を与えないようにしてきております。他の入札参加者の存在をすべての入札参加者が察知できない状況となっております。
 また、本件は電子入札で行われており、入札参加者の情報についての秘密保持はさらに一層高まっているものと考えております。したがいまして、結果として入札者が一人になっても競争性は確保され、適正な入札が阻害されるということはございません。

○鈴木委員 説明を聞かせてもらって、入札自体は公正な競争のもとで行われたという一定の理解はいたしたいと思いますが、一層の競争性の確保に向けて今後とも十分研究をしてほしいということも要望させていただきたいと思います。
 次に、公共工事においては、秘密確保が重要な課題となっています。この秘密確保については、都としてもその方策の一つとして総合評価方式の導入に積極的に取り組んできたことは、承知をしているところであります。
 今回の工事請負契約の議案でも、妙正寺川整備工事に総合評価方式の一つである技術提案型が採用されています。このように徐々に総合評価方式が定着しつつある現状を見ますと、公共工事の契約方式の新しい流れを実感するところでもあります。
 総合評価方式は、価格に加えて、価格以外の技術等の要素を総合的に評価して落札者を決める入札契約方式であり、これまで都は、技術提案型と施工能力審査型の二種類を実施しております。導入から数年がたち、幾つもの工事がこの契約方式で行われています。
 次に伺いますが、現在までの総合評価方式の実績はどのくらいあり、また制度の趣旨にかんがみて、どのような成果を上げると評価しているのかをお伺いいたします。

○竹本参事 まず、技術提案型についてでございますが、技術的工夫の余地が大きい工事を対象として、工期短縮など企業からの技術提案を評価する方式でございます。平成十三年度より実施してきておりまして、これまで、今回の妙正寺川整備工事を含めますと合計十七件で実施しているところでございます。
 この技術提案型では、工期短縮が図られた結果、早期の供用開始が可能となり、住民福祉の向上に寄与しているほか、消費電力の削減により省エネルギーの実現とコストダウンに貢献するなど、多面にわたるメリットが生じております。
 次に、施工能力審査型でございますが、こちらは中小規模の工事を対象として、工事成績等により企業の施工能力を簡易に評価する方式でございます。平成十七年度に四十件の試行を行い、その結果を検証し改善を加え、十八年度には百十九件を実施いたしました。
 施工能力審査型では、一定以上の施工能力を有している企業の受注が図られるという効果ですとか、くじ引き案件で施工能力評価点の高いものが落札するといった絞り込み効果が確認されているところでございます。

○鈴木委員 施工能力審査型に関しては、着実に実施件数がふえてきてもおりますし、非常に喜ばしいことと感じています。今後もこの流れを続けていただきたいというふうに考えます。
 私は、いい仕事をしてその地域に貢献をしている企業が、きちんと公共事業を担っていくということができるシステムが大切だというふうに思っています。
 ことしは台風九号の直撃もあり、多数の被害が生ずる中、さまざまな地域で災害復旧活動に貢献した企業もあると聞いています。緊急工事の実績等、こういった企業を評価する仕組みがあることは、企業の社会的な役割の自覚を促し、それは公共事業の品質確保にもつながっていくものと考えます。
 先般発表された技術力評価型は、そういった地域貢献等の面についても十分配慮をして技術力を評価すると聞いており、私は大いに期待しているところでもあります。
 そこでお伺いいたしますが、技術力評価型では、どのような評価要素を重視しているのかを伺います。

○竹本参事 技術力評価型でございますが、技術的課題のある中規模以上の工事を対象といたしまして、企業の施工能力について過去の工事成績をきめ細かく評価するとともに、新たに施工計画を重要な評価項目に位置づけました。さらに、企業の信頼性、社会性を評価対象に加えるなど、幅広く技術力を評価する仕組みとして構築しました。
 この施工計画の評価におきましては、地形や環境、地域特性など現地の条件を踏まえた工程管理や施工上の課題の考え方について、技術的な面から審査いたします。
 企業の信頼性、社会性につきましては、事故及び不誠実な行為の有無を減点項目として設定する一方、緊急工事の実績などを重視して加点評価することとしております。

○鈴木委員 ただいまの答弁によれば、技術力評価型では、施工計画や企業の信頼性、社会性などを新たな評価項目として設けられたとのことであります。
 その評価に当たっては、入札参加者が提出する資料を適切に審査する基準の設定が重要な位置づけになると考えます。どのように審査基準を設けているのかを伺います。

○竹本参事 技術力評価型では、まず、制度を構築するに当たりまして、外部の学識経験者によって構成される東京都入札監視委員会から、技術点の評価項目の設定、価格点及び技術点の配点や算出方法などについてご意見をいただき、都としての要綱を定めております。
 これを受けて工事主管局は、それぞれ技術審査委員会を設置し、外部の学識経験者の意見を聴取した上で、各局の実施要領を策定しています。その中で、施工計画の審査基準や企業の信頼性、社会性に係る評価項目などを定めることとしております。
 また、個々の工事を発注する際には、技術点の評価項目や価格点及び技術点の配点など、落札者決定基準として公表することとしております。

○鈴木委員 今答弁がありましたように、整備をされた制度であっても、普及されてこそやはり意味があるというふうに考えます。
 そこで伺いますが、総合評価方式の普及に関して、発注者側の努力とともに、入札に参加する業者側の理解も必要であるというふうに考えます。今後このような点も踏まえ、よりすぐれた総合評価方式とするために、都としてはどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○竹本参事 総合評価方式は今回で三つ目になるわけですが、各方式の導入時には、これまでも関係業界団体を対象として総合評価方式の内容について説明を行っており、十分な理解が得られていると考えております。
 制度を構築する際には、先ほども申し上げましたけれど、外部の学識経験者の意見を聞き、さまざまな角度から検討を加え、十分精度の高いものとなるように取り組んできたところでありますが、今後、技術力評価型、総合評価方式の試行の事例を積み重ねる中で、参加者を初め関係業界団体からヒアリングを実施し、改善すべき点があれば改善を行い、よりすぐれた総合評価方式が構築されるよう努めてまいりたいと考えております。

○鈴木委員 都は、今回の技術力評価型の制度の構築に当たって、工事主管局の契約担当や技術担当の実務者レベルで構成する検討会において、検討を重ねてきたというふうに聞いております。
 このように、都としては十分検討を尽くしてきていると理解はいたしますが、一度で完璧なものとすることは、なかなか難しいように思われます。お話のように、試行を重ねながらよりよいものにしていく姿勢が非常に重要なものであるというふうに考えます。その際には、今答弁にもございましたが、発注者側である都庁内部の意見とともに、実際に工事を請け負い、品質確保に大きな役割を果たす受注者側、すなわち業界にも意見を聞いていただくことを忘れないでいただきたいと思います。
 先ほど答弁にもありました。事例を積み重ねる中で参加者を集め、業界団体から声を聞いて改善すべき点があれば改善を行うと。よりよい、よりすぐれた総合評価方式に今後構築するよう努力していくという答弁をいただいたので、そのことに関しては、これは業界等の意見等もありますので、改めてこれは要望させていただきたいというふうに思います。
 さて、昨年来、私は本委員会において、公共工事の入札契約にかかわる質問を行ってきました。それは、下請業者へのしわ寄せが懸念される、また公共工事の品質確保が大変に重要であるという問題意識に基づくものでありました。
 このうち、特に公共工事の品質確保についてでありますが、そもそも公共工事の目的は、最終的な成果物の品質が確保されてこそ達成をされると。入札契約において公正性、経済性は当然の前提としながらも、品質が脅かされるようなことがあってはならないということだと思います。これまで都の答弁においても、公共工事の一層の品質確保に向けた取り組みを進めるとの方向性が示され、大変心強く感じているところでもあります。
 ただいまの総合評価方式などは、まさに都が全国に先んじて積極的な取り組みを進めてきた成果であると理解をしている一人であると私は思います。
 そこで、都としても今後もたゆむことなく、ただいま申し上げた意味において、よりよい入札契約制度の実現を目指して取り組みをしていっていただきたいと思いますが、最後に局長の決意を伺って質問を終わります。

○村山財務局長 今、先生の方から工事契約に関しまして、入札の現状から今後の制度のあり方に至るまで、さまざまなご指摘をいただきました。
 今の先生のご指摘、基本的に私の受けとめ方といたしましては、我々地方公共団体が発注する工事というのは、工事全体が、それ自体が都民に対するサービスであるということを踏まえて、しっかり制度もつくり、またその運用もちゃんとしていくべしだというお立場からのご指摘だというふうに受けとめております。
 確かに都民の貴重な税金を使って行う公共工事であるわけでございますので、それはまずお金として大事にしなければならないのはもとよりですけれども、同時に、その最終成果物が都民サービスに寄与するとともに、その成果物の中で、都民が仮にも事故に遭ったり危険な目に遭ったりするようなことのないよう、そういうふうにして全体として我々の発注する公共工事というのは、社会、都民にとって有益なものになり得るんだろうというふうに思っておりまして、そのことをしっかり踏まえて、入札契約制度におきましては、公正性の追求と経済性の発揮を当然の前提としながら、先生ご指摘いただきましたように、確実な良質な品質の確保ということをしっかりと心にとめてやっていかなければいけないというふうに考えております。
 もとより都は、従来からそういうバランスをとりながらさまざまな改革に努めてきて、そういう中で、いろいろ今ご指摘いただきました総合評価方式というものも、そういう価格と品質が総合的にすぐれた内容の契約を実現する手段として、全国に先駆けて導入をしてきたものでございまして、平成十三年度の技術提案型総合評価方式を皮切りに、十七年度からの施工能力審査型、本年度からの技術力評価型、この三つの柱に基づきまして総合評価方式をやってきて、一応我々としては工事の種類や規模に応じた仕組みをそろえられたかなという段階に来ているかなというふうに思っております。
 ご指摘いただきましたように、こういうモデルを普及していくということが大事でございますし、同時に、よりよい制度に充実していくということがあってこそ、この制度の本当の意味がこれから実現できるということは、肝に銘じておかなければいけないというふうに我々も思っております。
 そういう意味では、先ほどご指摘いただきました関係者からの意見をしっかり聞いて受けとめて、日々制度の充実を図っていくというご指摘をしっかり受けとめまして、今後頑張っていきたいと考えております。

○佐藤委員 今定例会に提出されております契約案件である妙正寺川整備工事は、技術提案型の総合評価方式を使って業者選定が行われた案件です。総合評価方式については、既に技術提案型と施工能力審査型という二つの方式が実施されております。それに加えて、ことしの七月二十六日に、都は、技術力評価型の総合評価方式を発表いたしました。
 今後、この制度を試行していくとのことでありますが、今回、都が発表した技術力評価型は、複雑な制度といえます。各局が委員会を開催し、選定を行うわけでありますが、円滑な運営ができるまで若干時間がかかるかもしれません。各局が制度になれるまで、各局の委員会に対して財務局から人を派遣しアドバイスするといった取り組みや、制度のマニュアルをつくるなどといった取り組みを行ってはどうかと思いますが、見解を伺います。

○竹本参事 技術力評価型総合評価方式についてのお尋ねでございます。
 先ほど鈴木委員に答弁したとおりでございまして、施工能力審査型に比べますと技術的に難易度の高い工事を対象とするため、評価の項目数は多くなっております。しかし、技術提案型に比べますと容易に評価できる仕組みとなっており、決して複雑な制度ではございません。これまでも各局とは意見交換を重ね、要綱等をつくってきた経緯もあります。既に各局における制度の理解は相当程度進んでいると考えております。
 制度の運用に当たっては、財務局で作成した要綱に基づき、各局はそれぞれの実情を踏まえて実施要領を作成いたします。この要領に基づき各局内での十分な周知が図られるものと考えております。

○佐藤委員 今回、技術力評価型を導入する目的の一つに、工事の品質を確保するという目的があります。工事の品質を確保するには、やはり現場でどのような施工がなされているかということが大きく影響します。私が伺ったところ、現状では、実際に施工する職人に対しての報酬が非常に安い金額に抑えられているそうです。
 今回、選定方法を変え、技術力評価型を導入したとしても、実際に施工する職人に対する労務単価が適切に支払われなければ、工事の品質確保につながらないのではないかという問題意識を持っております。より高い品質を確保するためにも、今の制度を変え、実際に施工する職人に対して適切な報酬が保証される仕組みが不可欠です。
 つきましては、労務単価については、実際に働く職人に対してどれくらい支払われているのか、実態調査を行うべきと強く要望いたします。
 また、調査を行い、実際に払うべき労務単価を支払っていない場合は、しかるべき対策をとって適切な労務単価が支払われるような制度をつくるべきと考えます。
 続きまして、技術力評価型の評価項目について伺いますが、事故及び不誠実な行為の有無という項目がありますが、過去のどれくらいの期間が対象であり、どれくらいの行為を対象とするのでしょうか。お答えください。

○竹本参事 事故及び不誠実な行為の有無の評価に当たっては、過去三年の間に東京都における指名停止措置を受けている者は減点とするものでありまして、具体的には、東京都競争入札参加有資格者指名停止等取扱要綱別表に掲げてあるとおりでございます。

○佐藤委員 対象期間は三年とのことでありますが、過去の不誠実な事実に対して、再発がないよう対象期間を長く罰則評価することが必要だと思います。
 今回、技術力評価型の総合評価方式を試行すると発表したわけですが、全国知事会では、談合防止改革指針で、予定価格が一千万円以上の工事については一般競争入札を行うよう提案しております。
 三十三の道府県では、二〇〇七年度じゅうに一般競争入札の対象工事を拡大するとのことです。総務省、国土交通省は、都道府県に対し、知事会の指針を踏まえ適切な措置をとるよう要請したとのことでありますが、なぜ都では予定価格一千万円以上の工事について一般競争入札を導入しないのか、見解を伺います。

○竹本参事 入札契約の執行に当たりましては、何よりも都民、納税者の利益保護が図られなければならないのは当然でございます。このため都は、公正性、経済性、品質確保の三つを基本原則として、総合的に入札契約制度を改善し適正な運用に努めております。
 入札方式につきましては、一般競争入札に加えて、一般競争入札と同様の公募を行う希望制指名競争入札方式によりまして、公正性、透明性、競争性の確保を図っております。今後も都民、納税者の立場に立ち、より適切な入札契約制度の実現に向けて取り組んでまいります。

○佐藤委員 一度に予定価格一千万円以上の工事にまで一般競争入札の対象工事を拡大するというのは難しいかもしれませんが、都として、引き続き一般競争入札の対象工事を拡大するよう取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 数点、質疑をさせていただきましたが、最後に申し上げます。
 私は、この二年間、財政委員会において何度となく入札制度についての提言をさせていただきました。といいますのは、組織というものは予算を使って事業を進めます。予算を使う際には契約を行うわけであり、その契約行為を規定する入札規則は、単に業者を選ぶだけでなく、組織の仕事の仕方を規定するといっても過言ではないと思っております。だからこそ、契約に関する制度の設計と運用に関しては、厳しくあっていただきたいと願っております。
 今後、技術力評価型を実施するわけでございますが、その結果をつぶさに公開し、定期的によりよい制度になるよう改善されるよう強く要望いたします。
 二年間にわたり、財政委員会におきましてさまざまな議論をさせていただきましたが、委員の皆様、そして局の皆様のご協力に感謝申し上げ、私の質疑を終わります。

○曽根委員 非常に丁寧な締めくくりを聞いて、私にはまねできないなと思いつつも、私も医学系総合研究所の新築契約工事について、何点か簡潔に質問したいと思います。
 契約の問題の前に、この研究所がなぜ新築工事が必要になったかという経過については、これは厚生委員会で二日に質疑、審議がされるんですが、とにかく計画が急づくりなんですね。これは契約にも影響が出ていると私は思うんで、質問とも若干関連するんでお話ししますと、もともと統合の計画というのは前から出ていたものじゃなくて、昨年ぐらいですよね、いきなり基本構想が出たと。なぜかというと、都立病院改革マスタープランが一部変更になり、駒込病院が新築ではなく増築になったと。そうすると、隣にある臨床研究所のところまで延ばさなきゃならぬと。では出てくれと。玉突きで世田谷に持っていく、松沢看護学校の跡地と。それだけ動かすのはどうもあれだから、精神と神経を合わせちゃえと。
 ありていにいえばそんな形で話が進んじゃったのかなというふうに推測しているんですが、そのために、基本構想が出されていきなりすぐ基本設計の入札、そして実施設計、そしてことし、この工事案件と。それで平成二十一年三月にはもう竣工して直ちに移転と。一期工事は少なくとも竣工せよということで、これから直ちに、もしこの議案が通って準備を始めても一年半。都立高校一校分ぐらいの規模でしょうかね、三十一億ですから。大体二年以上もしくは、私は地元が北区ですけれど、北区だと中学校を一校建てるのに四年ぐらいかけますので、それから比べると物すごい急ピッチの工事になるだろうなというふうに思うわけです。そこで、この工事の入札の結果ですね、先ほどもお話があったので、この経過についてはダブらないようにしますが、一者しか残らなかったと。結果、五者申し込みがあったんだけれど四者辞退と。こういう例は、最近の一般入札の中で例がほかにあるかどうかお聞きしたい。

○竹本参事 ことしにおける議会提出案件におきましては、今回と同様な事例はございません。
 平成十九年、先般、三月都議会第一回定例会に提案した都営住宅の建築工事では、資格確認を受けた四者のうち二者が辞退した事例はございます。

○曽根委員 四者のうち二者辞退で、金額の入った入札は二枚だけだったという例はあると。それ以外には、今回、いってみれば最近では、ない。一者しか残らなかった--数字の上では競争がないわけですが、先ほどのシステム上競争はちゃんと生きているんだよという話があったので、そこはあえてもう聞きませんけれども。
 その案件というのは、多分、私のおります北区の西が丘の都営住宅の建築工事だと思うんですが、そこも今回と同じ落札者なんですよね。株式会社松尾工務店ですか、神奈川の方の会社だと聞いていますけれども、都内の企業ではなく、神奈川のところが頑張って、非常にこういう案件で、ほかが辞退しても残っているという傾向が見られるということは、かなり厳しい見積もりがやられて、なかなか入札、申し込みはしたものの詳しい仕様の計画などを見ると、これはなかなか難しいということで辞退になったのかなというふうに、これは勝手な想像なんですけれども。
 そういう中で、競争性ですよね、もうとにかく何が何でも仕事が欲しいというところしか取れないようになってくると、本当の意味で、正当な競争もし、品質もきちっと確保されるということが担保されにくくなってしまうんじゃないかなという危惧をちょっと持つんですが、競争性という点ではどうでしょうか。

○竹本参事 競争性という観点からのお尋ねでございますが、本件の入札は、委員もご案内のように一般競争入札でございまして、手続といたしましては、入札参加の希望申請があった者について資格審査を行い、さらに資格確認委員会の確認を受けた者が最終的に入札に参加する仕組みとなっております。
 先ほど鈴木委員にも答弁いたしましたが、入札辞退につきましては、入札辞退の自由もございます。また、その入札に参加する者はほかのだれが参加しているのか、また入札に参加希望した人の数とか、辞退の状況についてはわからない仕組みをとっておるところでございますので、競争性は失われることなく入札手続は適正に行われたと考えております。

○曽根委員 ほかの人たちが辞退するかどうかわからないと。今回は、あけてみたら偶然に一者残っていたと。これは残っていないと、どういうことになるんでしょうか。

○竹本参事 あけてみたらだれも残っていなかった、そしてだれもいなかったというお尋ねですね。そのときには、入札を執行した結果、全員が辞退という場合には不調となります。この場合には、起工部署において再度内容を検討し契約手続を経た上で、改めて議会に付議することになります。

○曽根委員 議会付議案件ですので、今定例会に入札結果、全員辞退ということでかけられないとすると、少なくとも次の定例会に送られると。工期の締めは決まっていると。非常に厳しいあれになってくるんですね。タイトな工事日程、もしくは場合によっては新築計画そのものがおくれるということも、ないとはいえません。
 ますます現場の方は不安に思うと思うんです。やっぱり、私は財務局さんが問題というよりも、もともとが、この計画をいきなり去年から、だあっと打ち上げて進めてきた方にも相当無理があって、工期に無理があれば当然入札、応札の側も、いや詳しく見てみたらこれはとてもついていけないよということもあり得ると思うんで、こういう点では計画の根っこのところに問題があったといわざるを得ないんですが、同時に、財務局が見積もりは厳正にやることはもちろんですけれども、今、全体としては資材単価が上がっている傾向にあるということなので、それが、見積もりに随時反映させる努力はされていると思いますけれども、私たちがいろんな地元の建設業の方から聞くと、いやいや、まだタイムラグがあるよと。今どんどん資材は上がっているんだと。それに見積もりが必ずしも追いついていないよと。だから赤字でかぶるということもあるんだというふうなお話はるる聞いています。
 そういう点でいうと、余りに厳し過ぎる見積もりのもとに入札がされた場合に、先ほどいったように本当に最もふさわしい会社が選ばれるのかどうかという点で、やっぱり問題が出てくる可能性もあるということは指摘しておかなきゃならないと思うんです。
 それと、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、私はそこの現場で働いている建設労働者の方々にまともな賃金が払われないような会社が、何次下請になるかわかりませんけれども、現場で仕事をするような事態は避けなければならないという点では、ほかにもいろいろ例が出てきていますけれども、アメリカなんかでは、本格的にもう行政と公契約を結ぶ企業に対しては生活賃金を保証するという、そういう条例を制定する自治体も多くなってきているようですので、日本ではまだ少ないようですけれど、公契約条例ですね、そういったものも検討していくべきときに来ているのかなということは、問題提起をしておきたいと思います。
 それと、この件にかかわって、昨年行われたことなんですが、設計の業者を選ぶ際に、現場の方々のお話では、基本設計の予定価格は公表されていませんが、それの十分の一か、もしくはそれ以下の金額で落札した設計会社が実施設計は特命で受けて、一期、二期合わせて一億八千万円ぐらいの実施設計の仕事を得ていると。これは、ちょっと極端ないい方になりますが、一円入札に近いんじゃないかという現場での不安の声が出ているということで、この経過についてと、財務局としてはどういう、問題ありとはしていないんでしょうけれども、その認識をお聞きしたいと思います。

○竹本参事 東京都医学系総合研究所の一期新築工事の基本設計についてでございます。平成十八年六月八日に、十者による競争見積もりを実施し、適正に設計者を特定いたしました。
 実施設計につきましては、当該設計者が基本設計を行ったことにより施設の概要及び敷地の条件等を熟知し、かつその他の必要書類を豊富に持っていること、実施設計は基本設計と一貫性を持たせる必要があることから、特命随意契約を認めたものでございます。
 実施設計の見積もり合わせでございますが、十八年十一月九日、また十九年六月二十五日と、一期、二期の実施設計を二度にわたって行ったところです。

○曽根委員 今、認識のお答えがなかったので改めてお聞きするんですけれど、これは総合評価とかいう対象じゃないですよね。競争見積もりですか、正式には今、入札じゃないわけですからね。だから低額で入札、落札したところが、基本設計をちゃんとやってくれるかどうかというのは、担当者の判断みたいなことになりますよね。
 それから、その人に本当に実施設計まで、今度は実施設計になれば億の単位になるわけで、任せていいのかということも含めた判断が私は必要になる場合もあるんじゃないかと、この場合はそうだとは必ずしもいえないかもしれませんが。余りにも低額で応札した場合、前にも台東病院ですか、一%の入札が基本設計の段階であって、いろいろ検討したけれども、まあ法的には問題がないということでそのままお願いしたというケースがあったそうですが、そういった場合、場合によっては、できる規定なんですから、実施設計の方は、改めて入札もしくは競争見積もりをやるということもできるのではないかなということをちょっと感じているので、そのことは私の意見として申し上げておきたいと思うんです。
 いずれにしても、今回の契約の内容を通じて、私はやっぱり公共のつくる建物、もしくは土木などの工事も含めて、都民サービスのいわば一つの大きな場になるわけですので、それ自体が品質のいいものである必要があるし、必要最小限の価格でつくる必要があると。同時に、全体として、行政の役割としては、そこで働く都民、勤労者に対する一定の生活できる賃金や生活条件も保障されるような、そういう公共の仕事にしていくということも、この時代、改めて求められているということを申し上げて質問を終わります。

○山田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○山田委員長 次に、報告事項、平成十八年度東京都年次財務報告書についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新田経理部長 先日の当委員会においてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます要求資料第1号をごらんください。公会計の仕組みの比較でございます。
 従来の官庁会計、機能するバランスシート、新たな公会計制度の三つの会計制度ごとに、会計処理の方法、作成方法、作成される財務諸表の特徴、決算の取り扱いにつきまして、表にまとめたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言をお願いいたします。

○鈴木委員 それでは質問に入ります。
 このたび、新しい公会計制度に基づく平成十八年度の財務諸表が発表されました。同時に、これを解説した平成十八年度東京都年次財務報告書が作成されたとのことで、私もこれを読ませていただきました。そこで、本日は、この年次財務報告書の中身について質問させていただきたいと思います。
 まずは、複式簿記・発生主義による初めての財務諸表が完成したわけであります。ここまでの道のりは、決して平たんではなかったのではないかというふうに思います。地方自治法を初め、何ら旧式のまま変わらない現行法制度の制約の中で、日々の会計処理を複式簿記で行う仕組みづくりをつくり上げるとともに、膨大な資産評価の作業をこなし、ようやくここまでたどり着いた皆さんのご苦労は多とするものであります。
 このような東京都の取り組みは、日本全国の地方自治体を先導するものとして高く評価するべきであると考えます。しかし、こうしてつくられた財務諸表も、つくりっぱなしでは意味がないと考えます。財務諸表から得られる情報を整理し活用してこそ、ここまでの取り組みが生きてくるのであるというふうに思います。
 そうした目的から、この報告書でも、今回の財務諸表から得られる多種多様な情報のうち、その幾つかについて分析、コメントがされているわけであります。そこで、初めてつくられた財務諸表からは数多くの情報が得られたことと思いますが、そうした中で、今回この報告書を作成するに当たっては、特にどのような点に配慮されたのかをお伺いいたします。

○真田主計部長 今回の報告書の作成に当たりましては、初めての作成ということもございまして、一人でも多くの方に都の財政状況を正確に理解してもらうため、わかりやすい表現を使って丁寧な解説を行うことを心がけました。
 具体的には、まず報告書の中で出てきます数値を読む場合のポイント、あるいは語句や指標の意味を初めて読む方でも理解することのできるよう丁寧な説明に心がけております。
 また、これまで官庁会計にはなかった複式簿記・発生主義会計に基づく新しい考え方である減価償却費ですとか退職給与引当金など、現金の支出を伴わない費用の説明につきましては、特に力を入れさせていただきました。
 さらに、行政と民間とでは財務諸表の数値の持つ意味が異なりますので、誤解の生じることがないよう十分な解説を行うよう配慮させていただきました。
 今後は、各方面から本報告書に寄せられますさまざまな意見を踏まえながら表現方法を改善するとともに、数値の経年変化の分析あるいは分析手法の精緻化に努めることなどによりまして、都の財務状況をより一層わかりやすく正確に伝えていくための工夫を重ねてまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 短い時間で限られた紙面の中では、多くのことをわかりやすく伝えるのにも相当いろいろとご苦労があったというふうに思います。
 そもそも今お話があったように、行政の数字と民間の数字とでは、おのずとそれらの持つ意味合いが違うわけでありますが、我々都政を支えるものとしても、そうした点に気をつけながらこの資料を読んでいかないといけないというふうに思っています。
 例えば、東京都の新たな公会計制度では、民間の損益計算書に当たるものを行政コスト計算書といいかえていますが、そうしたことからもわかるように、この行政コスト計算書に示された数字は、民間とは少々異なる意味合いを持っているわけであります。
 そうした点から、この行政コスト計算書を読み取るに当たってはどのような点に気をつけて見たらよいのか、改めて伺います。

○真田主計部長 民間の損益計算書に当たります今回の行政コスト計算書につきましては、今ご指摘のとおり、行政活動が民間企業のような営利を目的とした経済活動とは異なることを踏まえまして、その内容を理解することが重要であるというふうに考えております。
 すなわち民間企業では、営業活動により得られた売り上げ等を収益として損益計算書に計上しております。一方、行政コスト計算書におきましては、税金という形で収入として計上しておりますけれども、これは先ほどの民間の売り上げとは異なりまして、いわゆる行政サービスの提供により得られたものではございませんけれども、行政サービスの提供に要したコストに要する財源という形で計上させていただいたものであります。つまり収益、いわゆる収入の意味合いが異なるというのが一点ございます。
 それからまた、民間企業では損益計算書の収益から費用を差し引いた収支の黒字、いわゆる利益をふやすことを目的に経済活動を行うことになりますけれども、行政コスト計算書では、収入が費用を上回る部分につきましては、行政が営利を目的として活動してないことから、社会資本の整備ですとか、あるいはその財源である都債の元金償還費に用いられることになります。このように、収支差額の持つ意味合いも異なってまいります。
 こうしたことから、今回の行政コスト計算書の収入超過一・一兆円につきましても、単純に行政としての財務状況が良好と判断するのではなく、そこの収入超過の部分を、社会資本の整備などにどのように効果的に活用したのかということを検討することが重要であるというふうに考えております。

○鈴木委員 行政コスト計算書は、最初のうちは正確に理解するのが難しい部分があるというふうに思います。
 ただ、この報告書では、そうした部分も誤解のないようにわかりやすく解説をされています。今話のあった社会資本の整備にかかわる資金の流れについては、実は行政コスト計算書ではなくキャッシュフロー計算書で把握することができるわけですが、それらについての解説がこの報告書の中にも出ています。これによりますと、通常の行政活動や社会資本整備だけの部分の現金の収支、すなわち都債の借入や償還などを除いた部分の現金の動きになりますが、いわゆるフリーキャッシュフローというものは九千億円あるということであります。
 しかし、都財政の歴史を見ますと、過去には三年間で一兆円の減収があったり、あるいは最近勢いを増してきた大都市ねらい打ちの税制改革論議の動向などを考えますと、現在の資金状況として決して安心できるものではないというふうに思います。
 世間では、いわゆる東京ひとり勝ち論なるものが声高に叫ばれ、議論はこれから秋に向けて本番を迎えます。私も大変苦々しくは思っておりますが、こうしたものに対しても、今申し上げたような資金状況なども含め明確かつ具体的に反論を行っていくべきと考えます。
 このように現在の都の財政状況からいっても、資金繰りは常に安定的であるとはいえないと思いますが、そうした状況の解消に向けてどのような対応が必要と考えるか伺います。

○真田主計部長 キャッシュフロー計算書では、フリーキャッシュフローの金額が都税収入の大幅な増収などによりまして、約九千億円の収入超過となっておりますけれども、都の歳入は、先生ご指摘のとおり景気変動の影響を受けやすい法人二税の占める割合が高いこと、また現在盛んになっております都から税源を吸い上げる動きがますます強くなっていること、そういうことを考えますと、今後ともこのような状況が安定的に続くとは限らないというふうに考えております。
 こうした中、「十年後の東京」の着実な実施や大規模施設等の更新需要への的確な対応を図るには、現在の税収増を追い風としまして過去からの負債を一掃し、将来の負担をできる限り小さく抑えるとともに、今後起こり得る状況の変化への備えを万全にしていく、そういう必要があるというふうに考えております。
 都は、これまでもフリーキャッシュフローを活用しまして、隠れ借金の解消ですとかあるいは都債の借りかえ抑制などを行ってきたところでございます。今後も、再び財政の危機的状況を招かないよう将来の財政状況を見通しながら、引き続き歳出規模の適正化に努めるとともに、基金や都債が持つ財源の年度間調整機能を十分活用しまして、安定的な財政運営に努めてまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 今の答弁でも、税の増収を追い風としての今後の備えを万全にすると。それからまた、隠れ借金の解消や都債の借りかえ抑制を行ったとか、そういう答弁をいただいて、ある程度、こうやってみますと財政再建には一定の区切りをつけたといっても過言ではないというふうに思いますが、角度を変えて見ますと、都財政にはまだまだ課題があるといわざるを得ないという点があると思うんです。
 そうした課題の中で、もう一つこの報告書では、債権管理の強化といった問題が提起されています。期限が過ぎても収納されていない収入未済債権が一千三百億円以上あります。それらを含む債権の管理のあり方が課題となっていることであります。この件に関しましては、代表質問で我が党の吉野幹事長の質問に対して、財務局から条例の制定に向けての準備を進めているという旨の答弁がありました。
 そこで伺いますが、本会議での議論を通じて、収入未済債権が抱える問題と基本的な対応の方向は理解できましたが、条例の制定を含め債権管理の強化に向けた今後の具体的な取り組みについて、どのように考えているか伺います。

○真田主計部長 収入未済の債権の中には、既に時効期間を経過するなど、このままでは最終的に回収が困難となる債権が相当程度見込まれることが、今回明らかになりました。
 こうした債権は、都として適正に管理すべき財産であるとともに、都民サービスのための貴重な財源でもございますので、債権管理の取り組みをより一層強化していくことが必要であるというふうに考えます。
 都の有する債権は、金額の多寡あるいは債務者の経済状況などさまざまでございまして、債権を実際に管理しております各局がきめの細かな回収努力を地道に積み重ねることが、収入未済の発生を抑える上で重要であるというふうに考えております。
 そのため、まず第一には、各局における債権管理の取り組みを一層強化するとともに、第二に、そういったその取り組みを支援していくために全庁的な会議の設置あるいは標準的な債権管理マニュアルの策定など、全庁的にそれを支える体制の整備、そういったものをしていく必要があると考えます。そして第三に、そのような適切な管理を行っても、なお債務者の無資力などによりまして実質的に回収不能となった債権につきましては、適正な欠損処理を行っていくため、債権放棄に関する基準の整備などを行っていかなければならないというふうに考えております。
 このため、本会議でも、先ほどありましたとおり、局長から答えさせていただきましたが、平成二十年第一回定例会を目指しまして、新たに債権管理に関する条例の提案をすることを目指して、現在その準備を進めているところでございます。

○鈴木委員 今の答弁を伺っていますと、この一組の財務諸表に都政のかかわるさまざまな問題点が濃縮されているように思います。ここに書かれたほかにも、実は多くの問題点を把握されていることというふうに思います。
 今回、複式簿記・発生主義会計の処理から得られた無数の有益な情報を決してむだにしないよう、今後も絶えず研究に努めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 しかし、個々の問題はあるとしても、全体としては資産に対する負債の比率が三割程度であるということはわかり、まずは東京都の財政自体が当面、破綻する場はない、そういったことがこの冊子では報告されているんだというふうに私は受け取っています。翻って国の財政状況を見ますと、三十兆円というまさに東京都の資産額と同じ額の借金が毎年新たに行われている。こうした歯どめのない借金体質が国の作成したバランスシートの中でも債務超過の状態を明確に示す結果になっているということであります。国は、夕張市に見られるような地方財政の破綻を危惧して新たな法律をつくり、地方自治体に対して財務諸表の作成なども奨励するようでありますが、それよりも前に、国はまず自分自身の心配が先ではないか、こう思うのは私一人じゃないというふうに思います。そもそも国においても予算を組んで、その執行を行う職員一人一人が意識を改めていかないと、財界そのものを変えることは困難なはずであります。
 そして、このことは、実は東京においても全く同じことがいえるというふうに考えます。東京都においても、職員一人一人の人の今までの努力は認めますが、その意識改革を基礎として新たな公会計制度の定着を図っていくことが重要と考えますが、意識改革に関してどのようにお考えかお伺いしたいと思います。

○真田主計部長 今回導入いたしました新たな公会計制度は、毎日の会計処理の段階から複式簿記による仕訳を職員みずから行うところに特徴がございます。
 そうした取り組みによりまして、職員が日々仕事の中で今行おうとしている支出が都の資産あるいは負債にどのような影響を与えるのかなど、新しい公会計の視点を身につけまして、金利感覚ですとか、コスト意識ですとか、そういったものを研ぎ澄ますことにつながるものというふうに考えております。
 また、この新たな公会計制度により得られた成果を活用させていただきまして、都政の改革にいろいろつなげてまいりたいというふうに考えておりまして、そういった都政の改革の実現を通じまして、職員の意識を変えていくことも可能になるというふうに考えております。
 今後、職員の意識改革を一層推し進めまして、それを基礎にして新たな公会計制度の定着を図ることによりまして、「十年後の東京」の実現に向けた取り組みが、効果的、効率的に行われるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 今のお答えの中で、職員の金利感覚、コスト意識を育て、また「十年後の東京」の実現に向けた取り組みにとって、効率的、効果的である、それに努力をしていくということでありますが、民間というのは、やはり収益をある程度して、そこで非常な努力をして、それで働いてある程度のもうけを得て、では、それを今度実際に経営者側というのか、みんなと相談しながら、中小零細企業でもそのお金をむだなく使わせてもらって、しかもその中でいかに経費を削減するかということを考えながら、日々やはり努力しているわけですね。
 ですから意識というのは、もちろん、今いった、言葉で、税金をいただいているからその税金を使うということに関して公僕としてそういう認識は持っているといわれるかもしれませんが、やはりそういうお金、確かにこのコスト、それから物に対しては、民間よりもやはり皆さん使う側にしてみると、非常に気楽に使えるような気持ちを持っている可能性があると思うんですね。ですからその辺のところをやはりきちっと官民の差がない、やはり民間の感覚、意識を持ってもらうと。当然お友だちも皆さん、いろんな企業に勤められているからそういう話は聞いていると思いますが、それを自分意識で持っていくということが、実はこれからのこの公会計制度をやっていく中で伝えていく意識の根本になっていくような気がしますので、その辺のことはいわせていただきたいと思います。
 ぜひ、この新たな公会計制度を支える職員一人一人の意識改革が図られ、その積み重ねが都を変えていくような大きな力になってほしいということを思いますし、望みます。
 このような新たな公会計制度は、まさにこの報告書にある東京発の公会計として自治体の雄である東京都が全国をリードしていくために、より一層充実していかなければならないと考えます。
 最後に、東京発の新たな公会計の推進に向けた局長の決意を伺います。

○村山財務局長 今、最後のところで先生からご指摘いただいた、公共団体における効率性という意識についてどうするかというのが、やはり一つ今回の公会計制度改革の中での大きなテーマであろうというふうに認識をいたしております。
 この間ずっとこの改革は進めてきたわけですけれども、今回、財務諸表が作成された、日々の仕訳作業に基づくそういう財務諸表を作成するという仕組みができたということで、今後はそれをどうやって生かすか、使うかという新しい段階に到達しているし、どれだけ役に立つのか、そのものが問われる段階になっているというふうに思っております。
 その場合に、今ご指摘をいただいた効率性の概念なんですけれども、基本的に我々の仕事の場合には収益を目的とするという原理はないわけでありまして、公共の利益あるいは住民の福祉、そういうところに我々の一つの仕事の上での価値基準が置かれているわけであります。そのときの効率性というのは、収益を目的とする民間の企業であれば、収益を最も極大化することが効率性ということで非常にダイレクトに結びつき得るわけですけれども、我々の場合には、そういう公共の福祉という、そういう概念をどうやって最大化するかという、なかなか量として実現できないものについて効率性を求めるという、なかなか難しいところで生きているということも、自己弁護ではなくて、そうなわけでありまして、その際に、この公会計制度というのが一つ、時間を含めたコストという概念を導入したことによって、我々の仕事をする際の意識そのものに大きな変化をもたらす契機になるのではないかというふうに思っております。
 いろいろご指摘いただきましたように、減価償却の概念であるとか金利の概念であるとかいうものが日々の会計処理の中で意識しなければできない、仕事ができないというふうになってきたときに、我々が今ここにいる、四次元的な世界の中にいる中で、今までどれだけのコストが例えば減価償却の中で減らされてきたのか、あるいは、その過程で、この仕事をするために借金をしたときに、これからどれだけの金利負担を抱えながら今仕事を進めているのかという、その四次元的な流れの中で自分の仕事の意味とか効率性というものを意識せざるを得ないという仕組みだというふうに思っておりまして、そういう意味では、これから公務の仕事の意識の中において、この新しい会計制度が定着していく中では、相当大きな公務員の仕事に対する意識の変化をもたらしていく契機になるのではないかというふうに私としては思っているわけでございます。
 同時に、意識の問題だけではなくてシステムとしても、そういう時間というものについてどういうふうに仕事の中に生かしていくのかということも大きな課題でございまして、今お話がありましたように、それを、第一の段階としては、債権管理というものについて、今までは概念としては債権というものは回収しなければならないということにはなっていたわけですけれども、大福帳会計のもとでは、きちっとみずからに突きつけられるシステムにはなっていなかったわけでございますので、今回こういう形で明示されることを一つの大きな契機として、条例に基づいて系統的に取り組んでいこうという趣旨で、本会議でもご答弁させていただいたように、条例制定について準備をして、第一回定例会で提案して、議会のご審議をいただけるような状態にしようかというふうに決意をいたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、これ以外の部分でも、もっといろいろ活用の方途を今後工夫なり研究なりをしながら、ああ、東京都というのは新たな公会計制度を導入することによって新しい都財政のかじ取りの仕組みを考えてくるようになったなというふうに評価されるようにして、そのことによって、全国の自治体における新しいありようというものについてのモデルとしても発信をしていけるようにできればというふうに思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○鈴木委員 今、局長の答弁を聞いて大変心強く思いました。首都公務員として、やはり都の職員一人一人の人がやはり自覚を持って、そして自治体経営の意識を持つことで、まさにこの制度が東京発の公会計制度として、東京だけではなくして日本全国を変えていくような一大改革のルーツ、ツールになるようなことになっていくべきだ、そういう自覚を持って職員の一人として誇りを持ってぜひ活動していただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

○橘委員 先日発表されました新しい公会計制度による財務諸表と年次財務報告書について何点か質問いたします。
 年次財務報告書では、新たな公会計制度について、従来の機能するバランスシートの思想を引き継ぎながら、さらなる成果を生み出すツールとして発展するよう取り組むとしております。
 そこでまず、おさらいになりますけれども、新たな公会計制度の特色、そしてまた、その特色を生かした取り組みについて、まず説明をお願いいたします。

○真田主計部長 これまでの機能するバランスシートにおきましては、毎年八月ごろにまとまる普通会計決算を組みかえておりましたため、財務諸表の作成までに相当程度の日数を要しまして、完成するのは年末になっていたわけでございます。
 これに対しまして、今回行いました新たな公会計制度改革によりまして、日々の会計処理の段階から複式で仕訳を行うことが可能になりまして、迅速に財務諸表を作成することができるようになりましたため、今回の年次報告書は、今回この時期、まさに普通会計決算のまとまる、ほぼ同時、この時期にご報告できるようになったわけでございます。
 また、機能するバランスシートでは、都の財務状況のマクロ的な分析を財務諸表ごとに簡潔に整理させていただきましたけれども、基本的には特定の事業を対象とした詳細なミクロ的な分析が中心だったところでございます。これに対しまして今回の年次財務報告書では、精度を向上した財務諸表を使いまして、都の財務状況に関して、例えば世代間の負担のバランスですとか、あるいは将来需要ですとか、さらには資金繰りですとか、それぞれのテーマを定めまして、マクロ的な視点からさまざまな詳細な分析を行って今後の財政運営に役立てていく、そういった分析を今回はさせていただいたところでございます。

○橘委員 今、説明ありましたように、今回の財務諸表というのは、迅速にこの財務諸表をまとめることができたということ、これが一つであります。もう一つは、数値精度が向上し、マクロの視点から詳細な分析が行われるようになった。こういう大きなメリット二つがあるかと思いますけれども、都の財務状況については、これまで分析できなかった部分等が新たな事実として明らかになったことも多いかと思います。財務状況の分析、とりわけ東京都の財務は膨大なだけに、一定の分野、項目はわかったとしても、全体の整合性、あるいは全体像をつかむ、そういう面ではちょっと難点があるという部分もあるかと思います。したがって、マクロ分析に力を入れまして、都の財務状況の全体像を描き出そうとする取り組みは非常に大事なことであると思います。
 この報告書の分析で明らかになった主な部分については、今定例会の代表質問、そして一般質問に対する答弁、さらにはマスコミ等の報道で、ある程度出ておりますけれども、その中で例えば、有形固定資産に対する都債残高が三分の一であり、ここを将来世代が負担していくことがわかったといった分析もございます。また、固定資産の減価償却累計額が二兆円を超えており、社会資本整備の更新需要が膨大であることがわかった、といったことが明らかになっております。
 このほかにも、今回の分析によってさまざまな財務状況、今後財政需要が増大すると見られる分野、さらに予想される今後の推移等が数々わかったかと思います。その中から、幾つかについて、新たにわかった部分とその分析について見解を伺います。

○真田主計部長 今回の分析では、先生お話しの点以外で、幾つかまださらに明らかになった点がございますが、まず一つには、減価償却費ですとか金利などの時間の経過から生ずるコストを全体でまとめますと約五千億円程度ということで、フルコストの約五兆円の一割程度を占めるということ、東京都におきますコスト構造が明らかになったという点が一点ございます。
 それから二点目に、職員に支払う退職金が今後、その支払い額の目安となる退職給与引当金でございますけれども、約一兆四千億円に上り、こうしたコストが今後の財政運営において常に念頭に置きながらやっていかなきゃならない、将来の財政需要としてはさらにそういうのがあるということがわかったというのが二点でございます。
 それからさらに三点目としまして、東京都のすべての会計に監理団体等も合わせましたいわゆる連結ベースの東京都全体の財務諸表で見ますと、普通会計に比べて資産に対する負債の比率が高いということもわかりまして、今後とも東京都全体としてさらに経営改善の努力をしていかなきゃならないということも明らかになりました。
 大体そんなようなところが、その他の主なところかと思います。

○橘委員 今答弁にございましたようなこうした分析ですけれども、これは都民に正確に伝わらないと、つまり断片的な情報によって誤解が生じる懸念もあるかと思います。例えば、表面的な数字を見れば財政に余裕がある、だから都民にその分還元すべきというような短絡的な議論にもなりかねない、そういった懸念もあるかと思います。しかし、将来を展望してみればまだまだ油断できない状況にあるんだということ、これを都民の皆様方に情報が正確に伝わる、そのようにしていかなければならないかと思います。
 したがって、この分析の結果を広く都民に対して正確に、わかりやすく、最も大事なことは、実感のある形で伝えていくことが非常に大事であろうかと思います。
 私もざっとこの報告書を見ましたら、膨大な数字が、けたが違うような数字が並んでいます。生活実感とは当然ですけれどもかけ離れた数字が並んでいるわけです。それに対して都民はどう思うかというと、もう数字を見ただけで、いいんじゃないという感じになるかもしれません。そういうことが、少しでも実感として、自分たちの住んでいる東京の財政の問題なんだということがある程度実感としてわかるようにしていく努力もまた必要かと思います。
 今の貸借対照表にしても、今回の財務諸表を含めて、これが一体私たちにとって何の役に立つのか、それから都民生活のレベルではどういうふうな役に立つのかということをいま一つ実感がわかないのが事実でありまして、この辺の工夫がこれから必要かなと思います。
 今回の新たな公会計制度の導入は、都民にとって果たしてどのような意味を持つのか、この辺について見解を伺いたいと思います。

○真田主計部長 今回初めての作成でありましたので、先生ご指摘のとおり、なかなか、我々としては一生懸命わかりやすくつくったつもりでございますけれども、都民の目から見ますと、まだ実態が、なかなかわかるようなレベルには達していないというのはご指摘のとおりだと思いますので、今後さらにそういった点に向けまして一層努力はさせていただきたいと思いますけれども、私どもとしまして、今回の財務諸表を分析したところでは、社会資本ストックの更新需要などが膨大に存在しまして、今後の都民負担になることが、いろんな財政需要がありますよということがわかりましたし、お示しすることができましたし、また、都の財政状況は当面資金ベースで見ましても破綻の心配はないけれども構造的に不安定でありまして、都民のための施策を安定的に展開する上においてはまだまだ決して盤石な状況にないというふうなことも明らかになったというふうに考えています。
 このように、今回の公会計制度の導入によりまして、都財政の姿をより冷静にとらえた上で今後の財政運営を行っていくということを目指しておりまして、そういった財務諸表の分析の内容を生かしながら、今後の弾力的で強靱な財務体質を確立することによりまして、最終的には都民生活を安定的に支えていく重要な役割を果たせるのかなというふうに考えております。
 また、何よりも都財政はこれまで以上に見やすくなったというふうには思いますので、そういったことによりまして、都民一人一人の方が都財政をより身近に感じていただくようにしていきたいし、また都財政の運営が日々の都民生活にやっぱり密接に結びついているんだということを少しでも理解してもらえることにはつながったかなと。
 ただ、さらに工夫の余地があるというのは先生おっしゃるとおりですので、さらに都民の方に、より理解していただけるように一層努力してまいりたいというふうに考えております。

○橘委員 今答弁にございましたように、この新しい公会計制度の改革というのは、使いようによっては、この都の財政運営だけではなくて、都民の意識ががらっと変わる要素も私は多分に持っていると思います。そういった要素が何回も読めば読むほどそれが少しずつわかってくる、そんな内容になっているかと思います。
 したがいまして、この新たな公会計制度によって明らかになったことについては、都の広報媒体などを通じて広く都民にわかりやすく知らせていく、これが非常に大事かと思います。特に、活字ではなくて、活字も当然大事なんでありますけれども、視覚に訴えることが非常にいいかと思います。難しい歴史の本であっても、最近は漫画によって理解が進む、若い人たちに進んでいる、そういった実態もございますので、視覚に訴えるという部分がこれは非常に大事かなと思います。これによって都民の皆様方の都財政に対する意識というのは、結構これは変わってくるんじゃないかというふうに私は感想として持っておりますので、参考にしていただければと思います。
 ところで、今回の報告書は、東京都としては初めて発行するものでありますから、試行錯誤で苦労の連続であったかと思います。これは先ほどもちょこっと出ましたけれども、しかしこの報告書の作成をもって財務分析の到着点とするのではなくて、むしろスタート台に立ったのだ、そういう考えを持つべきであると思います。まだまだ分析できることはたくさんあるはずであります。よりよい都政運営の道しるべとなるヒントがまだたくさん数字の中に埋もれているように思えてなりません。ぜひ来年度以降、この報告書を充実させていっていただきたいと思っております。
 今後も引き続き報告書の内容の充実や改善に取り組んでいく上で、今回、編成作業をやったわけですけれども、この作業を踏まえまして、今までは机上でシミュレーションしてまいりました。けれども、今回は実際にこれを日常的に作業して、そしてつくったわけです。この机上でシミュレーションしたものと実際にやった作業というのはやはり違うということが多々あったように聞いておりますし、これがまた大事な部分であると思います。そういうことを実際やってみたことを踏まえまして、どのようなことが今後必要と考えているのか、この点について伺います。

○真田主計部長 先生ご指摘のとおり、今回の新たな公会計制度による財務諸表につきましては、報告書の内容の一層の充実改善に不断に取り組んで、より質の高い分析を的確に行っていくことが重要であるというふうに考えております。その上で、わかりやすく説明する上において、視覚に訴えるという先生のご指摘は非常に貴重なご提言でありますので、私ども、それも参考にさせていただきながら、また来年努力をさせていただきたいと思いますが、今回の報告書は新たな公会計制度を導入して初めての決算に基づいて作成したものでございまして、財務諸表の読み方についてできるだけわかりやすく解説する、マクロ分析からわかることを丁寧に説明することに力を入れて取り組みましたけれども、そうした中で初年度ということで、過去を比較するデータがないというのが一つの今回の弱点でございまして、それは今後データを積み重ねることによって、そういった過去のデータの比較ができるようになるかなと。また、今後、他団体でもこういった取り組みが進んでいくと考えられますので、そういったことからも他団体との比較、そういったことも今後できるかなと。そういったこととか、それから数字がいろいろ出ておりますけれども、数字がどんな意味を持つのかというのを私どももさらに研究させていただきまして、それをわかりやすく都民にどういうふうにPRしていくか、そういったことも今後の課題かというふうに考えております。
 したがいまして、来年度以降は、そういったデータの積み重ねによりまして、経年変化ですとか他団体との違い、そういったものも分析を進めるとともに、今申し上げましたようにいろんな工夫をさらに行いまして、一層わかりやすい、都民のために役立つ、そういったものにしていきたいと考えております。

○橘委員 確かに、今年度は最初ですから比較ができないという、そこの点のわかりにくさというのは若干あるかと思います。けれども、今答弁がありましたように、お話のとおり、むしろ課題というのは今後どうするかということだと思います。来年度以降、数字が二年分並ぶことによって、今回の点というものが今度ベクトルに変わっていくわけですね、どう変化したかという。そういうふうにして変わっていくわけですから、都財政がどのような方向に向かっているのかが見えてまいります。そうしたときに、倍増したデータをどのように分析し、都政のかじをどのように切っていくのか、まさに都民の注目するところになると思います。そうした点からも、新しい分析方法の研究にもぜひ取り組んでいただきたいと思います。新しい公会計制度がこれからどんな活躍を見せるのか、毎年の年次財務報告書でその成長ぶりが見られることを私も楽しみにしております。今後とも新たな公会計制度の導入の成果を高めていくために一層の工夫を重ねていくようお願いしておきたいと思います。
 最後に、今私が申し上げたことも踏まえまして、今後の年次財務報告書の内容の充実に向けた局長の決意をお伺いいたします。

○村山財務局長 フロントランナーというのは非常になかなか、栄光も手にするのですけれども、また苦労も、あるいはリスクも負うという宿命を負っているところがございまして、この間、東京都のそれぞれの部署の、もちろん会計管理局や財務局のみならず各局の担当の職員たちは非常に苦労をしたんだろうというふうに思っておりまして、それは技術的にも体力的にも大変なんですけれども、やっぱり意識の面でも、時間の中に生きるというのはなかなか会計の世界では役人はなれていないというところから変えないとならないということもございまして、いろんな面で非常に職員は苦労をしてきたというふうに思いますので、ぜひ、今ご質問の中でいただきましたようなご評価をいただいたのはとてもありがたいことですし、またそういうふうに優しく見ていただけると私としても非常にうれしく思っております。
 そういう意味では、本当のまだスタートでございまして、これからいろんな形で改善、一層の改革をしていかなければいけないと思いますけれども、一つは、数値自体をより精緻化するというのがやっぱり必要なことだというふうに思うんですね。いろいろこれから作業をやっていくときに、こういうふうにした方がより実態が反映できるという数値の処理の仕方があれば、その辺は、去年こういうやり方でやっちゃったから変えるとまずいから変えないというふうな、そういう保守的なことではなくて、どんどん改めるものは改めていくというような、そういうリスクを冒す気概を持って精緻化をしていくような形での改善が一つ、これは実はなかなか勇気の要ることでございまして、その辺について、ぜひやっていかなきゃいけないなというふうに思っております。
 それから、今るるご指摘いただいたように、わかりやすさというのが大きな課題でございまして、ことしについては、余りグラフもないし、漫画もないし、あれなんですけれども、少しずつ力がついてきましたら、その辺のところについてもできるだけ頑張って、なるほど、工夫しているなというふうにご評価いただけるようにしていきたいというふうに思っております。
 また、分析の高度化、精緻化というのも大きな課題でございまして、これについては、先ほど来申し上げているように、収益を目的としていない組織における財務諸表の、どういう切り口で公共分野において活用し得る分析手法があるかというのは、これ自体が非常に新しい分野でございますので、そういうところに勇躍取り組んでいくというのがこれからの東京都のこの分野における役割だというふうに思っております。
 同時に、それを踏まえて四番目でございますけれども、それをどうやって都財政というものに生かしていくのかということでございまして、この点はこれからのいろんな変動の中で、その変動がどういうふうに数値にあらわれてくるのか、あらわれてき得ると予測できるような数値が出てくるのかというふうなことを敏感に、かつ緻密に見届けながら、ぜひ都財政の将来に向けてなるべく先手を打てるようなものとしてこれを活用できるように能力を高めていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくご指導のほどお願いいたします。

○曽根委員 もうお二人質問がありましたので、局長も二回基本的な姿勢をお答えになり、しみじみと聞かせていただきましたが、今局長がお話しになったことの幾つか、非常に私も、ある意味共感もし、また思い当たる節もあって、やはり冷静な問題意識を持って取り組んでいただきたい、新しいことですので、という思いを持ちつつ、やはりきょうは入り口ですので、一番懸念される、私たちが懸念されるところについて幾つか質問しておきたいと思います。
 それは、今これからなんだ、スタート地点に立ったところだというふうに局長おっしゃっていますが、実はある意味ではそうではなくて、私が聞きたいのはバランスシートについてなんですが、資料もいただいておりますが、バランスシートの考え方というのは前からあって、率直な話をすれば、村山局長が福祉局の部長さんだったときに、福祉の見直しを行う際に、重度障害者に一体幾らのコストがかかっているのかということを計算に出したことがあるわけですね。都費だけでも九百何十万円、国費も入れると一千万円を超えますというのが、そのころの予算概要には全部載っていて、それからしまいには広報、都民全体に渡る広報にも載せた。そして重度障害者も含めた高齢者などの福祉、かなり切られちゃったわけです。そういうことで使われてきました。
 当時、私、忘れられない一つの本会議質問があって、これは私どもの会派じゃないのですが、私の北区の先輩である藤田十四三さんという議員さんが、九九年ですからちょうど石原知事誕生の直後の第二回定例都議会の質問の中で、知事の公約の一つであるバランスシートによる都民に対する説明責任を果たしていく、情報公開を果たしていくということについて問題提起をする質問があったんですね。
 その中で藤田さんは、当時、社民党の議員さんですから、私たちにとってはくみし得ない考え方も幾つかあるんですが、大きな問題意識として、こうおっしゃっているんですね。多くの都民にとって決してなじみ深いものでないバランスシートを、都の財政状況を示す極めて技術的な一つの補助資料として使うのであればそれなりに意味はあるが、バランスシートを作成しなければ財政再建も情報公開も果たせないとする考えは、本来あるべき取り組みの基本を薄め、しかも都民に提供する情報をむしろわかりにくくする心配はないのか。より本質的な問題として、行政においてバランスシートを活用することには限界があることを十分認識すべきであるというふうに問題提起をされて、この点については私も非常に共鳴したわけです、聞いていて。
 最後に、それで、自分の基本的な考え方として、都の施策がまさに都政の主役である都民にとって真に必要か否かを決定するのは、貸借対照表で示されるようなその事業の単なる収支バランスではなく、公共の福祉と住民負担のバランスとも表現すべき社会的公正が実現されるか否かであります。そして、それを判断することが、すなわち民主主義における政治の役割でもあります。自治体の任務は、必要があれば、たった一人が通う辺地の分校を維持することもあり得るのであります。こういう話をされているわけです。
 印象深かったので、一人しか通わない辺地の分校の生徒一人にかかる行政コストを計算してどうなるんだということだと思うので、こういうことに使われるようなことがあってはならないぞという警鐘だと思いますが、その後、事態は進んでおりまして、藤田議員が当時危惧したことが今、日常的に行われているということなんですね。
 一つの例として、子どもが通う学校の話になるんですけれども、私、最近見て驚いたんですけれども、都立の養護学校の学校ごとのホームページに、例えばこれはある学校のホームページから出したんですけれども、うちの学校のバランスシートということで、今お話のあった漫画でわかりやすく、生徒一人当たりにすると、総コストを生徒数で割れば出てきますから、一千二百四十五万五千円かかっていますと。ここに解説があって、生徒一人当たりどの程度の経費が保護者等の負担を含めて社会全体で負担されているのかを示していますと説明書きがあるのですが、これはだれでも見れるものですね。子どもだって見れる。その子ども本人だって見れるわけです。障害児だって、数字の細かいことはもしかしたらわからないかもしれないけれども、そういうことの中で自分が学校で時を過ごしているんだということを何らかの方法でやはり私は知っていくだろうと思うんです。
 こういうところにこの数字がどんどん使われていくということについて、私はこういうことはあってはならないことではないか、こういう使われ方は誤りじゃないかと思うんですが、推奨されるべきことだと思いますか、いかがですか。

○真田主計部長 先生のご指摘に対して、私どもの考え方ですけれども、もちろん事業のあり方をどういうふうに今後考えるかというときには、やはり一番大事なのは、その事業を継続するか、あるいは見直すか、そういったことに対して都民、納税者である都民の方の理解が得られるかどうか、それが一番重要な点かなというふうに考えております。そういう意味で、そのサービスに対してどのぐらいのコストがかかっているかということをお示しするのは、当然の行政としての役割、使命だというふうに考えております。

○曽根委員 私、情報を、しかも正確に、いつ、都民が知ろうと思えば知られる形で公開することを否定はしていないんです。教育庁のホームページにも、もちろん探せば全部の都立学校のが出てきますよ。それを絶対だめだとかいうことは必ずしもいえないかもしれません。知りたい都民がいるからには情報を提供されるということが、一般論として、原則論としては私、必要だと思います。しかし、この学校のホームページというのはページ数も限られていて、ページ数でいえば数十ページぐらいしかないわけですね、ホームページといっても。その中の一つにこういうものを入れる。だれでもいつでも見れる、子どもたちも見れる場所にあえて学校がアピールしているんですね、いってみれば。しかも、わかりやすく漫画まで入れて。
 まさかこれは教育庁が無理やりいっているんじゃないだろうなと思ったんですが、どうもやっぱり教育庁から要請して、各学校の学校要覧はもちろんだけれども、ホームページにも載せるようにということで指導しているらしいんですよ。だから同じ漫画がほかの学校でも出てくるんですね。こういう様式をつくって、そこに数字だけはめ込めばどの学校でもつくれるようにまでして、指導してやらせている。学校の中には、それをやっていない学校もありました。例えばある養護学校では、学校の全体の評価がどうされているかということで、教員、保護者、生徒のそれぞれの学校に対する意識の違いや、学校をどう見ているかについていろいろ調べて載せているところもありました。だから、学校全部が一色というふうにはなっていないので、私、ちょっとほっとした面もあるのですけれども。
 しかし早晩、ひとり歩きをしていけば、こういう事態が隅々に押し広げられていくだろうということで、やっぱり先ほども局長おっしゃったので私はちょっと安心したんですが、お金もうけのためにやっているのではない、とりわけこの人には金を、予算上けちっていいとかいうことにはならない教育の分野で、こういうコストの計算をわざわざだれでも見れるところに積極的にアピールするというのは、情報の単なる公開ではなく、やはり私は宣伝になっていくと。ですから、情報を都民が知りたいときに知れるということは悪いことじゃないにしても、行政の側から、しかも学校のホームページで、どうぞ見てくださいといわんばかりに出すということがやはり大きな問題だろうというふうに思うのです。
 そういう点で、私は、この財務報告をつくられ、バランスシートも含めて公会計制度に基づく報告書をこれからつくっていくに当たって、先ほどもあったようにやはり限界があると。一定の考え方、使い方、これについてきちっと、いわば制限的なことも含めて財務局としては出していく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点についてのお考えをお聞きしたい。

○村山財務局長 私の福祉局時代の仕事についてもご言及がありましたので、ここはやっぱり黙っているわけにもいかないので、予定じゃなかったんですけれども、あれなんですけれども。
 行政施策に対する意思決定を知事以下我々いろいろ考える、議会の先生方がいろいろご判断されるというのは、それは非常に総合的なご判断でございまして、これだけの、これ一つだけの指標で判断をするというふうな問題では全くないだろうというふうに思います。
 そのことと、そのコストということがその判断をいろいろしていく上での重要な一つの要素であるということとは何ら矛盾をしないわけでございまして、先生のご指摘を聞いていると、総合的に判断をする、あるいはたった一人の障害者でも大事にしなきゃいけないということは、コストということを全く無視して判断しないとそれは非人間的であるかのようなご指摘に、少なくとも私は受け取れたわけでございますけれども、総合的な施策についての総合的な判断をするときに、いろんなことを考えなければならないからこそ、コストということについても厳格で公正な数値の把握と、それについての都民、住民への周知というのがまず前提として必要だというところが、私どものよって立つところの民主主義社会における合意形成の基本であるというふうに認識しております。

○曽根委員 局長のお話はそのとおりだと思います。私が申し上げたいのは、あくまで限られた情報の提供の中に重要な要素としてこれを入れていく場合に、特に障害児教育のような分野については、例えばある学校を統廃合しなきゃならないという場合は、それは場合によってはあるかもしれません。その場合に、コストの計算は行政としてはやらざるを得ないと思います、当然。これは当然だと思います。同じコストをかけるんだったら障害児教育にとってもっと効果的な、だれもが納得していただける効果的な方法があるんだということで、コスト論も含めて学校教育の具体的なあり方を検討する。さっきの山の分校の話でいえば、廃校ということは選択としてあり得るわけですね、現実問題。そのときにも、その子にとってどうなのかということがまず考えられて、そのときにもコストを、同じ費用をかけるんだったら、この子にとってもっといい教育環境があるじゃないか、こういう話として出る分には私は、そういうことは冷静に考えなきゃならないものはあると。しかし、都立学校の日常いつでも見られるホームページの限られたページの中にこういうものを出すということは、私は行政としては踏み込み過ぎということはいわざるを得ないので、ぜひその点については、教育庁は何か、全校にとにかくやるようにこれから徹底するようなので、それで教育庁の都立学校のバランスシートの作成についてというのが平成十六年から始まって、出ているんです。
 最後にこう書いてあるんですね。また、平成十八年度からの複式簿記・発生主義会計の手法による公会計制度導入を見据えて、都立学校バランスシートの精度向上と改善を図っていくと、要するにこれから行われる本格的なバランスシートづくりをこういう中にも生かしていくということが明記されておりますので、私はこの方向はやっぱり誤りだということは意見として申し上げて、ぜひそういったことについての活用法については、厳格に、かつ慎重に取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○村山財務局長 私も、局長になったので、余りしつこい答弁は控えようというふうに思っておりますので、以後そのようにさせていただきますけれども、一言だけ申し上げさせていただくと、何と申し上げるのですかね、今の先生みたいに、教育という、あるいは福祉とかいうことについて議論をするときに、コストについて正面からちゃんと議論すると、何かすごくお金がかかるからこれはやっちゃいけないといっているからそういうことは問わないんだと、お金を問わず、どんなにお金がかかってもかわいそうな人は助けてあげるんだということの裏返しとして、コストについてそんなにちゃんと議論しちゃいけないんだみたいなニュアンスがある状況がまだ克服されずに、それはそれとしてちゃんと正面から見据えて議論しましょうというふうになっていないので、中にあっては、やっぱり教育の中でもコストについてちゃんと議論して皆さんにお知らせして、その上で我々の仕事はどうですかと問いましょうという趣旨で教育庁もそういう数値の公開を積極的にやろうという方針を徹底しているわけでございまして、そこの趣旨については私は多とすべきものであるし、そのことも含めてしっかりとした施策についての合意形成を東京都全体としてしっかりやっていくことが我々の責務だと考えております。

○曽根委員 一言だけ。
 局長も二度お出ましになったので、私、そっくり局長にそのことは全く逆と。かつては学校ではこんなものは絶対、死んでも出しませんでしたよ、養護学校なんか。それが今当たり前のようにして出され、まだ頑張っている学校はあるけれども、いずれ全校徹底されていくでしょう。そういう流れになっているからこそ私は、ちょっと踏み込んできょう申し上げたんですよ。局長がおっしゃったような状況が、全く逆の流れができているからこそ申し上げたということを受けとめていただきたい。
 終わります。

○桜井委員 予定の時間をあらかじめ伺っていましたら過ぎてきたので、質問しにくくなりましたが、ちょっと質問いたします。
 質問する前に一言だけ申し上げますが、よく新聞なんかで、子どもが一人生まれて大人になるまで幾らかかると、新聞に載っていますね。朝日新聞も読売新聞も、大新聞は全部載っかっていますけれども、でも、あの中には、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、そういった方たちの有形無形のものは一切計算されていないと思うんですよ。だから、出てきた数字プラスアルファということは、健全なる良識ある大人たちは、その数字だけでもって物を判断していないというふうに私は思っております。余計なことを申し上げましたが。
 それで、質問を始めますけれども、平成十八年度の年次財務報告書が発表されました。非常に心配しておった、心配というか私個人が心配だった、難しいのかなと思ったのですが、かえってわかりやすく書いてありまして、非常によくできたなというふうに思っております。大変だったというふうに先ほど来いわれておりますが、きょうこの委員会に出る前に職員の方、何人かに伺いましたら、余り大変だったというか、喜び勇んでやったような感じの方がいっぱいいまして、これからも張り切ってやっていくというお答えでございまして、意を強くしております。
 我が党の代表質問の吉野幹事長も質問しましたが、きょう、私の質問は一点だけに絞っていきますけれども、吉野幹事長が質問した中で、いわゆる建物の減価償却費について興味深い指摘がありました。従来の官庁会計では出てこなかったのがくっきりと浮かび上がってきたわけでありまして、特に高度経済成長期に建設された施設など、潜在的に膨大な建物等の需要が控えていることが、これによって初めてといっていいぐらい明らかになったんじゃないかと思います。
 かねてから、大規模施設ばかりでなくさまざまな施設も含めてでございますが、その改築、将来改築または改修等については、オリンピックがあろうとなかろうと関係なく必ず必要になる経費であって、今後の都政の大きな懸案課題になると考えておりましたので、これまでも何回か質問させていただきました。そのことが、その都度質問したんでございますが、もうちょっと待ってくれ、もうちょっと待ってくれでありましたが、この財務諸表、公会計制度ができたので、ある程度答えることができますということでございますので、今回質問いたしますが、東京は、他の地方自治体よりも、当然かもしれませんが早くから施設整備を集中的に始めておりまして、特に大規模な施設も圧倒的に多いわけです。そのために、東京都がこれから行う、行わなければならない老朽化した施設の改築、改修は、ほかの自治体に先駆けた、いやでも応でもモデルケースとならざるを得ないわけでございますので、しっかり取り組む必要があるわけであります。
 それで、東京都は昨年、「今後の財政運営の指針」というものを発表しましたが、その中に大規模施設等の改築、改修については二十年度の予算、今は十九年度ですから二十年度の予算ですか、二十年度予算から計画的に進めていくというふうにしていましたが、さすがに東京都は先を見越して考えているなというふうに今改めて評価します。
 ついでにちょっと申し上げますけれども、東京都は、当たり前のことでございますが、こういう私が申し上げております施設以外にも、都営住宅とか建設局が所管する道路、橋梁とか、公営企業会計が所管する上下水道、交通施設など多くの固定資産を所有しておりますけれども、こういったものはそれぞれの所管局が整備を進めていると思うのでおいておきまして、きょうは財務局にかかわる一般会計が所有する建物、施設について質問することとさせていただきます。
 まず一問目でございますが、既に、施設を持っている局に財務局が照会して、現在、基本的な考え方をまとめているところと聞いておりますが、どのような建物を対象に照会しているのか、ご答弁を願います。

○真田主計部長 現在、各局に対して照会をさせていただいております事業、施設のうち主なものということで申し上げますと、一つは、老朽化により施設の改築が必要であるという観点から、延べ床面積三千平米以上で、かつ平成十九年三月三十一日現在築三十五年を超えているもの、これに該当するものとしましては、例えば警察署ですとか消防署ですとか、そういったものが多くございます。
 それから第二には、設備等の大規模改修が必要であるという観点から、延べ床面積一万平米以上で、かつ十九年三月三十一日現在で築十年を超えるもの。これに該当するものとしましては、江戸東京博物館ですとか東京芸術劇場ですとか、そういったいわゆるバブル期に建てました大規模施設、そういったものが該当してございます。

○桜井委員 今の例示にはいわれませんでしたけれども、きのうの本会議の答弁なんかによれば、この建物ですか、東京都庁もそれに入ってくるんじゃないかと思います。
 それで、かかる金額は現在集計中だというふうに、何回質問しても--今回の年次財務報告書を見てみますと、建物だけ、建物だけで取得価格が四兆円もあって、減価償却累計額は一兆三千億円にも上ることが明らかに大きな字でもって書いてあります、数字で書いてありますが、当然、すべての施設が更新対象となるわけではなく、また同じ額の経費をかけるというわけでもないわけでありますが、少なくとも推計でありますが、数千億円単位の巨額な費用がかかることは容易に予想されるわけであります。
 それだけの経費を見込まれるとするならば、これはもう都財政に与える影響は非常に大きいわけでして、したがって、財政上の負担を平準化しなければいけないということがありますが、それだけでよい、平準化だけでよいという問題ではないわけであります。まずは都民に、先ほど来出ておりますが、これだけの経費がぜひ必要なんだということを理解していただく必要がまずあります。
 そのためには、施設を改築、改修することが都民サービスの向上に資することをきちんと説明する。それとともに、税金を投入することを極力減らす努力をするということをしなければならないわけであります。それには、財政運営だけではなくて財産運用、それから建築保全、こういう財政運営、財産運用、建築保全、こういうものを含めた財務局全体としての、全体として戦略的に改築、改修を進めていくことが当然ながら必要になってくるわけであります。せっかく改築、改修を進めるのであるならば、きちんと将来を見据えて、最近盛んにいわれております「十年後の東京」ですか、「十年後の東京」というスローガンで進めている環境問題に対する先駆的な取り組みなどの行政目的に、「十年後の東京」という行政目的に合致させるとともに、その一方で、施設の統廃合など行政の効率化をも進めるものでなければならない、意味がないと思います。
 そこで質問しますけれども、財産運用の観点からでありますけれども、特に庁舎の改築などには施設の統廃合といった効率的な利活用を積極的に進めるということは当然でありますが、それと同時に、一部を民間に貸し付けるなどして財政負担にも配慮しなければいけないと考えますけれども、この点についてご答弁をお願いいたします。

○塚本財産運用部長 老朽化した庁舎などを改築、改修するに当たりましては、土地の利用効率や都民の利便性をさらに高めるため、それぞれ個別に行うのではなく、同一地区内にある庁舎はできる限り集約するとともに、国や区市町村の庁舎が近接しているような場合については、それらの庁舎との合築も含めて合同庁舎化していくことを積極的に取り組んでまいります。
 また、主要ターミナル駅周辺や商業地などに所在する庁舎を改築する際には、民間活力を生かし、土地の容積率を最大限活用することによりまして、庁舎としてだけではなく、余剰床をオフィスや商業施設として民間に貸し付けていくことも検討してまいります。
 こうした財産利活用の取り組みによりまして、ワンストップ化による都民サービスの向上とともに、建物の集約化による庁舎の管理運営経費の節減、余剰床の貸し付けや跡地の売却などによる改築財源の確保を図ってまいります。

○桜井委員 建てかえとなった場合でも、建築技術的に最も最新の耐震基準に基づく安全・安心の確保は基本であるということは当然でありますけれども、環境対策はどうするのか、また建築コストにも配慮すべきだと考えますけれども、この点について質問をします。

○戸田建築保全部長 都立建築物は、震災時に都民の避難場所などになることもあり、その改築に際しては、ご指摘のとおり、耐震性を確保することが基本であると認識しておるところでございます。
 その上で、CO2削減等に向けて建築物の断熱性能の向上と最新の省エネルギー機器の設置を内容とした省エネ東京仕様二〇〇七を適用するとともに、屋上緑化などの環境にも配慮した設計を行うこととしております。また、建築コストについても、全庁で組織する東京都公共施設等コスト管理委員会の方針を踏まえ、中長期の視点を持って建設だけでなく維持管理などの建物にかかるライフサイクルコストの最小化を目指してまいります。

○桜井委員 ライフサイクルコストの最小化ということは非常に重要でありますので、頑張ってください。
 次に、このように財政面以外にも都民サービスの向上を図るという視点と行政の効率化を図るという両面についてそれぞれ検討するべき課題が非常に多いわけでありますが、そうはいっても、やはり財政面をおろそかにすることはできません。着実に改築、改修を進めるためには、何といったってかんといったって、財政面の裏づけが必要であります。
 そこで質問をいたしますが、着実に改築、改修を進めるためには、世代間負担の平準化にも配慮し、基金、都債などバランスを見て財源確保を行う必要もあります。いろいろと考慮すべきことが多く、しっかりと検討して詰めていかなければいけないと考えますけれども、この点についてご答弁をお願いします。

○真田主計部長 ただいま委員お話にありましたとおり、改築、改修にかかる経費の確保は今後の都財政にとって大きな課題の一つでございますけれども、施設の老朽化は景気動向あるいは財政状況とかかわりなく進むものでございまして、着実に取り組んでいかなければならない課題でございます。
 そのため、予算編成におきましても、必要な経費につきましてはシーリングの対象外としたところでございますし、また、施設の老朽化に伴い改築、改修経費はいや応なく発生しますけれども、財政に与える負担を可能な限り小さくする必要がございまして、そのために、まず今後、施設の絞り込み、本当に必要な施設はどれなのかという絞り込み、それから改築、改修経費がどれだけ圧縮できるのか、その経費の圧縮、それから安定的な財源をどうやって確保していくのか、その財源の確保などいろいろな角度から検討していかなければならないというふうに考えております。
 お尋ねの財源の確保という点からお話し申し上げますと、例えば社会資本等整備基金でありますとか、あるいは都債ですとか、そういったものの活用を通じまして世代間バランスと財政負担の平準化に配慮した安定的な財源の確保について検討していく必要があるというふうに考えております。
 また、財産の売り払い収入ですとか、あるいは貸付収入を改築、改修経費に充当する仕組みなど、税金以外の財源を確保しまして、税金の投入をできる限り小さくする方策、そういったものについても検討していかなければならないというふうに考えております。
 いずれにしましても、改築、改修の着実な実施を支えていくために、財政面からもしっかりと検討を行いまして、都民の理解が得られるようにしていきたいというように考えております。

○桜井委員 では、最後になりますけれども、大規模施設に限りませんが、そういうものの改築、改修について論じることは、ある意味もろ刃の剣にもなるわけであります。というのは、東京にこれだけの需要があるという部分を示す一方、結局は、それをやれば、お金があるから改築、改修ができるんだろうといわれまして東京富裕論に拍車をかけてしまう、そういう危険もはらんでいるわけであります。
 したがって、結局は、都有施設の改築、改修を行うことが都民サービスの向上を図るために絶対必要不可欠であるということ、そういったことを東京都としても、財政負担を軽減する努力をしてもこれだけのお金はどうしてもかかるんですよということを、都民はもちろんのこと、できれば国民全体に理解を得ていただくということが重要であると考えております。非常に難しいことかもしれませんが、そういった意味も含めまして、最後に、財務局を挙げての大きなプロジェクトともいえる取り組みになるわけでありますが、局長に決意を伺います。
 質問を終わります。

○村山財務局長 大規模施設の改築、改修についてご指摘をいただきました。
 お話しのように、東京都は確かに全国に先駆けて集中的にいろいろ整備をしてきたという施設があることは事実でございます。同時に、そのことは、それがだんだん月日がたつということですので、それについてのどうするかという課題もまた早く出てくるというところもございます。しかも、このずっと数十年を振り返りますと、その間に極めて財政不如意の期間も、相当程度長い期間ございまして、その間に、率直にいって、ちゃんと講ずるべきしかるべき改築、改修が必ずしも予定どおり、すべからくちゃんとやられてきたともいえないという側面もありまして、後手を踏んでいるというところも実は正直いって、これは財政当局の責任もあるわけでございますが、ございます。
 そのことは、都民サービスの水準を機能面あるいは安全面とかいろんな面で、そのまま放置しておくとよくない、危ないというような、あるいは機能が低下するというふうなことは、今後、このまま放置しておけば生じ得るわけでございますので、お話のように何とかしなければならないわけでございます。
 同時に、このことをやっていく上では、やはり広く都民のご理解を得られるような形でやらなければならないという、そこがポイントだということもまたお話のとおりでございまして、また、お金があるからできるんだみたいな批判を招くことのないようにすることも重要でございます。
 したがいまして、このテーマに取り組むに当たりましては、施設そのものの、本当に必要なのかどうかということについてしっかりと検証することが大事でございますし、施設の持っている価値を最大限発揮できているのかどうかというようなことについての点検、検証、工夫も必要だというふうに思います。
 また、お話のように、これからの施設の場合ですと、必ず持たなければならない環境面、耐震面等々の新しい価値の付加ということもございますし、建物の今後の生涯にわたるコストをどうやって仕組みとして縮減できるかというようなこともございます。
 さらには、それを改築、改修していくための財源をどのように都民のご理解を得ながら確保していくのかということも避けて通れない課題でございます。
 そういういろいろな、お金の面や財産の価値の活用、あるいは仕事自体の点検、いろんなことをやりながら、この問題を技術的にもしっかりそれをフォローしてやっていくということでございますので、ご指摘いただきましたように、財務局の持っている契約であるとかあるいは財政運営であるとか、財産の運用であるとか建築保全というようなすべての機能がしっかりと連携して、各局と手を携えながらやっていくことがどうしても不可欠でございますので、そこのところを最大限力を発揮することに力を傾注いたしまして、都民のご理解を得て、議会の皆様方のご支援もいただきながら、ぜひこのプロジェクトをなし遂げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○山田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時七分散会

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