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Tokyo Metropolitan Assembly

文教委員会速記録第十二号

平成二十三年十月四日(火曜日)
第三委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長原田  大君
副委員長星 ひろ子君
副委員長村上 英子君
理事新井ともはる君
理事笹本ひさし君
理事中山 信行君
桜井 浩之君
西沢けいた君
畔上三和子君
神野 吉弘君
岡田眞理子君
野上 純子君
吉住 健一君
古賀 俊昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長大原 正行君
次長庄司 貞夫君
理事高野 敬三君
総務部長松山 英幸君
都立学校教育部長直原  裕君
地域教育支援部長谷島 明彦君
指導部長坂本 和良君
人事部長岡崎 義隆君
福利厚生部長前田  哲君
教育政策担当部長中島  毅君
特別支援教育推進担当部長廣瀬 丈久君
人事企画担当部長白川  敦君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
契約議案の調査
・第百四十一号議案 都立第五商業高等学校(二十三)校舎棟改築工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百三十四号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
・第百四十九号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百五十号議案 東京都立学校における誤えん事故に伴う損害賠償の額の決定について
報告事項(説明・質疑)
・「都立高校と生徒の未来を考えるために-都立高校白書(平成二十三年度版)-」について

○原田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は、財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十三年九月二十九日
東京都議会議長 和田 宗春
文教委員長 原田  大殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百四十一号議案 都立第五商業高等学校(二十三)校舎棟改築工事請負契約
2 提出期限 平成二十三年十月四日(火)

○原田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査、付託議案の審査及び報告事項の聴取を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百四十一号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○原田委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三十四号議案、第百四十九号議案及び第百五十号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。

○新井委員 私からは、都立府中けやきの森学園のことについて質問させていただきたいと思っています。
 先日、都議会民主党のメンバーで、都立府中朝日特別支援学校、都立府中特別支援学校の保護者の方と意見交換をさせていただきました。また、その後ですが、都立府中けやきの森学園を視察させていただきました。
 都立府中けやきの森学園では、東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画に基づきまして、府中朝日特別支援学校及び府中特別支援学校を発展的に統合し、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併設する特別支援学校として平成二十四年に開校し、調布特別支援学校の学校規模の適正化を図るために、知的障害教育部門には、高等部に加えて、小学部、中学部を設置する予定です。
 平成二十四年における学校規模は、九十六学級、四百四十七人程度になる見込みです。全国最大規模の知肢併置学校となり、都内の現行の併設校の児童生徒数に比較しましても、倍近い数になっております。
 しかしながら、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、公立高等学校の適切配置及び教職員定数の標準等に関する法律によれば、このような大規模かつ知肢併置という学校事業にかかわらず、教職員の設置数は一校分になり、併設前の各校の人員合計よりも半減することになります。
 そこで質問ですが、府中けやきの森学園は、知的障害者教育部門と肢体不自由教育部門を併置した極めて大規模な学校になります。養護教諭と栄養士につきましては、非常勤教員や臨時職員の活用も含めて対応を検討すべきと考えますが、所見を伺います。

○岡崎人事部長 児童生徒数の多い併置校における教職員の配置のあり方につきましては、今までに開校した併置校の状況等を検証しながら、さまざまな観点から検討しているところでございます。
 府中けやきの森学園、この名称は本定例会で提案中のものでございまして、従来、府中地区特別支援学校(仮称)としていたものですが、この学園につきましては、ご指摘のとおり、児童生徒数などの開校時の学校の状況を踏まえまして、正規教員に加えまして、養護教諭については、経験豊富な非常勤教員の配置や賃金職員の活用、また、栄養士につきましても賃金職員の活用など、適切な対応を行ってまいります。

○新井委員 次に、都立府中けやきの森学園の教員の人事異動について質問します。
 本校は、知肢併置の大規模学校となる予定でありまして、養護教諭の業務も多忙でありまして、さまざまな対応も求められるので、業務になれた人の配置が必要です。本校の養護教諭の配置につきましては、児童生徒の健康管理や保健指導にすぐれ、熱意のある教員を配置すべきと考えますが、所見をお伺いします。

○岡崎人事部長 都教育委員会では、都立特別支援学校の教員につきましては、都立特別支援学校教員の定期異動実施要綱によりまして、校長の人事構想を踏まえ、適材を適所に配置しているところでございます。
 配置に当たりましては、教員に多様な経験を積ませることにより、教員の資質能力の向上を目指すとともに、専門性を配慮した異動が行えるよう努めてございます。
 府中けやきの森学園の養護教諭につきましても、同要綱の趣旨にのっとり、適切に配置してまいります。

○新井委員 視察したときに、養護の先生にお話を聞きました。そうしましたら、何が起きるか予想がつかないと。
 例えば、保健室のところでいろいろな診察をするのに生徒さんに並んでもらいました。そのところ、いきなり生徒さんが保健室の窓ガラスをたたいて割ってしまったということです。それで、手首を切ったという話を聞きました。
 そのように、養護の教諭の話を聞きますと、普通の学生さんと対応しているんじゃなくて、予想のつかない生徒さんで、普通の先生にはないようないろいろな能力だったりとか、あとは特別な処置、対応が必要だということでした。
 そこで、養護教諭の業務の見直しによる負担軽減も必要と考えますが、所見を伺います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 併置化を機会に、これまでの業務のあり方を見直すことも大切と考えております。
 現在、両校における養護教諭の業務の洗い出しを行い、養護教諭の負担軽減に向けて、教員との効果的な業務分担のあり方について検討を進めているところでございます。

○新井委員 さきの東日本大震災では、担任の先生の方々だけでなく、事務の職員の方、また、技能職員の方々たちも一丸となって子どもたちの安全確保について取り組んでくれたと聞いております。特に養護教諭の先生方は、子どもたちの体調管理のかなめとなっております。
 都立府中けやきの森学園では、非常時のみならず、平常時でも子どもの安全確保をしていただきたいと思っております。
 次に、府中朝日特別支援学校におきますアコーディオンカーテンで間仕切りをされている教室の確保の経緯について聞きたいと思います。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 近年の生徒数の増加に対応するために、特別教室をアコーディオンカーテンで間仕切りして必要な教室を確保いたしました。
 当該の教室には、現在の教室の状況においても学習活動が可能な、障害が軽い生徒で編制された学級を配置する工夫を行うなど、対応してきたところでございます。

○新井委員 アコーディオンカーテンにつきましては、私も現場を視察したときに、その府中の特別支援学校は物すごく広くて、新しい校舎も今建てているところです。しかしながら、知的の高等部の教室に行きますと、手狭で、そこだけカーテンを閉めて、生徒さんを無理やり入れているような感じがいたしました。
 学校側からそういった要望はいただいてないということだったんですけど、やはり視察をした印象ですと、あれだけの教室数だったりとか、あとは施設がありますので、その辺も知的の高等部の方の教室確保につきましても、いろいろと検討していただきたいと思っております。
 次に、来年四月の開校に向けまして、児童生徒数の増加に対応した教室確保についてお伺いします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 現在、府中けやきの森学園では、来年四月の開校に向けて、校舎の増築、既存教室の改修等を進めております。
 今後とも学校と十分な調整を図りながら、学級編制や教室配置、学習活動の内容、方法等の工夫を行うなど、適切に対応してまいります。

○新井委員 最後に、ICT教育についての意見を述べさせていただきたいと思っています。
 私も視察に行って、教室でこれからパソコンルームにいろいろなパソコンを入れてICT教育をやるということを聞いております。
 学校長の方に東京都を通して聞いたところ、都立府中けやき学園で平成二十四年からパソコンを使ったキャリア教育を始めるということでした。
 これは事務サービスに関する科目なんですが、基礎的、基本的な知識と技能の習得を図って、各教科の内容の習得を図るとともに、働く意欲を養い、将来の職業生活や社会自立に必要な事柄を総合的に学習することがねらいということでした。
 年間二百四十時間実施しまして、一年次は基礎的なところから始まって、三年次は現場実習も含めた職業に直結した教育だと聞いております。
 こういった卒業してからも役立つようなICT教育について、ぜひ今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 以上をもちまして私の質問を終わりにします。

○村上委員 府中地区特別支援学校(仮称)について、本定例会におきまして、府中けやきの森学園という名称で設置条例が上程されております。きょうの質疑では、府中けやきの森学園という名称を使わせていただきますことを冒頭お断りいたします。
 この学校の併置化については、本委員会でも我が党の、今はほかの委員会に行かれましたけれども、遠藤委員、あるいは服部委員、そして今委員会におります吉住委員、それぞれが数度となく取り上げてまいりました。
 ようやく来年四月に開校する運びとなったわけですけれども、現在の府中特別支援学校と府中朝日特別支援学校に加え、調布特別支援学校に通っている子どもの一部が移ってくるなど、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置することにより、これまでにない大規模な学校になると聞いています。
 そこで、改めて異なる障害種別を併置する学校の設置を進めている意義についてお伺いいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校では、児童生徒の障害が重度重複化の傾向にあるとともに、知的障害特別支援学校を中心に、在籍者数が著しく増加しております。複数の障害教育部門を併置する学校を設置することにより、それぞれの部門の専門性を相互に活用して、障害が重複する児童生徒に対する教育内容、方法の充実を図ることができると考えます。
 また、併置化を進める中で、学部の改編や通学区域の調整をあわせて行い、児童生徒の増加が著しい知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を進めることができると考えております。

○村上委員 併置化の意義はわかりました。
 これまで、我が都議会自民党としては、現場の視察を二回させていただきました。そして、冒頭申し上げたとおり、それぞれの委員が数度となくこの問題については質問をしてまいりました。
 先ほど新井委員からもご質問がありましたけれども、最初にこの現場を見させていただいたときには、アコーディオンカーテンではなくて、布のカーテンでの仕切りでございました。それが何度となく質問をさせていただき、答弁をいただく中で、徐々に徐々に改善してきたということを私は評価させていただきたいと思います。
 また、ついこの間も視察をしてきましたけれども、そういった意味では、今まで長い間かかって、併置校に対する質疑の中で取り上げてきた問題が改善してきた。ただ、そんな中では、人的な配置の部分については、まだまだ足りない部分があろうかと思っております。
 特に、保護者の中には、異なる障害教育部門を併置するということで、子どもたちのどこにメリットがあるのかということを心配している保護者の方もいらっしゃいます。つまり、障害が異なる子どもたちが一緒にいることで問題が起きるのではないか、異なる障害教育部門を一緒にしない方がよいのではないかと主張されている保護者もいらっしゃいます。
 最初に視察をしたときには、ちょうど体育祭の練習をしているときに視察をさせていただきました。そんな中で、やはり先生方のご苦労、あるいは親御さんの心配というものもひしひしと伝わってくるものがございました。つまり、障害が異なる子どもたちが一緒にいることで問題が起きるのではないか、こういう心配をするのは当然だと思います。
 東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画においては、複数の障害教育部門を併置する学校におけるそれぞれの部門の専門性を生かした、特色ある教育課程を構成する旨書かれておりますが、既に複数の障害教育部門が併置されている特別支援学校においては、子どもたちにとってどのような教育効果があるのか、お尋ねいたします。

○廣瀬特別支援教育推進担当部長 既に肢体不自由教育部門と知的障害教育部門を併置している特別支援学校においては、両部門の教員の専門性を生かして事業改善を進めております。例えば、肢体不自由教育部門の教員の助言により、知的障害のある児童生徒の姿勢や歩行が改善されるなど、指導の効果が上がってきております。
 また、両部門の児童生徒が学校行事や給食等における交流を契機として、休み時間に一緒にゲームをしたり、登下校時にお互いあいさつを交わしたりするなど、同世代の多くの子どもとのコミュニケーションが図られるようになってまいりました。

○村上委員 併置化による教育上のメリットがあるということは、今のご説明でわかりました。
 都民の信頼を得るすばらしい学校としていくためには、学校の実情に応じたきめ細かな教職員配置が必要と考えます。保護者の中には、教職員の配置がどうなるのか、特に養護教諭はどうなるのかという不安を持つ方も多いのが実情です。
 養護教諭の日常の業務は、先ほどの新井委員からもご指摘があったとおり、校内巡回を行って健康状況を観察したり、体調不良の児童生徒への対応やけがなどの応急処置を行ったりしています。
 また、健康診断に際しては、児童生徒の誘導や介助、記録、結果集計などの業務を行います。さらに、宿泊行事や感染症発生時など、特段の配慮を要する場面もございます。
 さきの東日本大震災では、担任の教諭だけではなく、学校が一丸となって子どもたちの安全な避難を確保したと聞いていますが、養護教諭は子どもたちの体調管理のかなめとなったということでございます。平常時のみならず、非常時にも子どもたちの命をどのように責任を持って守っていくのか、心配する保護者の方もいらっしゃいます。
 こうした養護教諭の業務実態を踏まえれば、障害のある児童生徒に対して、養護教諭の果たす役割は非常に重要であると考えます。
 府中けやきの森学園のような、大規模で知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置する学校であっても、国の基準では現在の人数を維持できないと聞いていますが、大規模な併置校に関する国の教職員配置、とりわけ養護教諭の算定方法について改めて確認をさせていただきます。

○岡崎人事部長 国の算定方法は、教諭は児童生徒数に応じた学級数に基づき算定し、教諭以外の教職員については、学校単位で算定するというものでございます。
 養護教諭も学校単位の算定でありまして、一校につき一人の配置でございますが、児童生徒数に応じた加配措置がございます。具体的には、児童生徒数が六十一人以上の場合には、一人加算して二人となるということでございます。

○村上委員 養護教諭についての国の加算基準は、児童生徒数六十一人以上であれば一人加算するという今のご説明でした。逆にいえば、児童生徒数が何人であっても一人しか加算されないというものです。これは現場の実態を無視した大ざっぱな基準であるといわざるを得ません。
 実は先日視察をしたときに、養護教諭の方から直接お話を伺いました。今現在でも本当にいっぱいいっぱいの状況である中で、これから人数がふえ、そんな中で果たして今の状況で子どもたちの安全が守れるのか、こんな声もいただきました。
 また、保護者の方からは、再三にわたり養護教諭の正規配置をということでご要望をいただいてまいりました。まさに、親の心配、おっしゃるとおりだと思っています。
 このことについては、本委員会において我が党は、教職員の算定基準の改定について、国に働きかけを行うよう繰り返し主張してまいりました。都教育委員会は、国にどのような働きかけをしてきたのか、お伺いをさせていただきます。

○岡崎人事部長 都教育委員会といたしましては、児童生徒数が多く、異なる障害種別が併置された特別支援学校に関しましては、算定基準のきめ細かな改善を速やかに行うことという内容で、昨年は七月と十一月に、さらにことしの七月にも改めて国に提案要求をしてまいったところでございます。

○村上委員 国には過去三回提案要求をしてきたということでございました。
 都教職員の定数の算定については、その根本である国の標準法が改正されるべきであり、今後とも国に対して強く要望していただきたいと思いますが、府中けやきの森学園は開校を目前に控えています。国の動きを待っていても、速やかな解決は全く期待できません。
 昨年九月の本委員会で、我が党の服部委員から、児童生徒数が大変多い併置校における養護教諭などの配置のあり方について、都としても検討を急いでもらいたい旨を質問いたしました。
 人事部長は、児童生徒数など、開校時の学校の状況を踏まえ、正規職員に加え、さらに養護教諭については、経験豊富な非常勤教員の配置や賃金職員の活用など、必要な対応を行っていく旨の答弁をしていただきました。
 しかし、養護教諭は、児童生徒の健康管理、発作の対応、心のケア、宿泊行事の際の引率などのほか、児童生徒に直接かかわる業務を担っており、このような対応だけでは保護者の不安を払拭することはできません。
 そこで、本委員会において、これまで我が党が繰り返し主張してきたように、都独自の措置によってでも解決を図るよう、一歩踏み出すべきと考えます。
 我が党は、昨日、知事に対して、府中けやきの森学園については、国の基準を超えて都独自の措置により、正規の養護教諭を配置すべきであるという要望書を提出いたしました。都教育委員会としても、正規の養護教諭の増配置に向け、努力すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○岡崎人事部長 極めて規模の大きな併置校についての教職員配置については、既に開校した併置校の状況等を検証しながら、さまざまな観点から検討しているところです。
 府中けやきの森学園、これは条例にて提案中の名称でございますが、これにおきます養護教諭の配置につきましては、その職務内容や施設の状況を勘案して、教育活動に支障が生じないよう、ただいまの副委員長ご指摘の趣旨も踏まえまして、あらゆる手だてを検討してまいりたいと存じます。

○村上委員 都においては、厳しい財政環境の中で、引き続き総定数抑制が必要であり、教職員の人数は、必ずしも多ければ多いほどよいというものではありません。
 また、教育活動に支障が生じないよう、あらゆる手だてを検討していくとのご答弁をいただきましたが、特に養護教諭の配置につきましては、児童生徒の健康面だけではなく、精神面でも、また、保護者の方々の相談相手としても必要不可欠の存在と考えます。
 これまで、自民党として学校を二回視察させていただきました。一度目から比べると、施設面でも教育内容にしても大きく改善され、児童生徒数が大変多い併置校として、日本全国のモデル校として、来年の四月の開校が待ち遠しく思います。都独自の措置により、教職員の措置が実施されますように、強くお願いを申し上げます。
 また、府中けやきの森学園の開校に向けて、保護者の不安や心配をしっかりと払拭できるよう、あらゆる手だてを検討していただきたいことを再度お願いして、質問を終わります。

○笹本委員 私からは、第百五十号議案の都立江戸川特別支援学校の誤嚥事故についてお伺いしたいと思います。
 新聞報道等もありましたけれども、事故の概要についてご説明願いたいと思います。

○坂本指導部長 本件事故は、都立江戸川特別支援学校が中学部三年生を対象として実施した修学旅行の最終日である平成二十年六月十八日の昼食時に発生したものでございます。
 具体的な事故の概要は、食事の指導の際、担任教諭が当該生徒への事前の水分補給を失念したため、食物をのどに詰まらせ、自発呼吸がない状態となり、その後、搬送先の病院で治療を受けましたが、低酸素状態が長く続いたことによる後遺障害から、両眼の失明に至ったものでございます。

○笹本委員 恐らく自力で食事をすることができないということで、水を飲んで気管を、水分を補給してということだと思うんだけれども、それを忘れてしまったということによって、恐らくこれはうどんだったんですかね、のどに詰まった状態がしばらく続いた。低酸素状態と書いていますけど、これは一歩間違うと大変なことになったのかなというふうに、私は医学的なことはよくわかりませんけれども、そこから後遺障害で両眼の失明に至ったという大変痛ましい内容だということが改めてわかったわけです。
 三年前の修学旅行中ということですが、当該の江戸川特別支援学校の修学旅行の際の引率の体制についてお伺いしたいと思います。

○坂本指導部長 都立江戸川特別支援学校の修学旅行でございますけれども、中学部三年の六人の参加生徒に対しまして、校長、養護教諭及び五人の教員に加えて、不測の事態に備えて同行した医師一人を含めまして、計八人による引率体制をとっておりました。

○笹本委員 担当の教諭、そして校長先生はそうですが、養護教諭、医師も同行していたという状態でもこのような事故が発生してしまったということで、私、ふと思ったんですけど、低酸素状態が非常に長く続いたというところがちょっと引っかかって、それなりのスタッフが恐らくついているであろう状態でこういう事態に至ってしまったということを、非常に大きな事故だったのかなというふうに考えて、この件が二度とあってはいけないなというふうに思っておりますが、この事故で低酸素状態が長く続いてしまったということが発覚したとき、発生時の対応についてご説明願いたいと思います。

○坂本指導部長 当該生徒が食べ物をのどに詰まらせたことに気づいた担任教諭は、引率の医師と養護教諭に報告いたしました。担任教諭から報告を得た医師と養護教諭は、誤嚥した食べ物を吸引して除去いたしましたが、自発呼吸が再開しなかったことから、心臓マッサージや人工呼吸等の応急処置を行いました。その後、救急車により病院へ搬送され、ICUにて救命処置を受けたということでございます。

○笹本委員 やはり大変な状況が現場であったんだなということが、今の答弁からうかがえます。詰まったうどんを取り除いた後にも自発呼吸が戻らなかったという状態があって、それから心臓マッサージや人工呼吸などで何とか命を取り戻したということだったのかなということで、さらにそれからICUにて救命措置ということで、本当にぎりぎりの状況のことだったんだなということがわかりました。
 こんなことが二度とあってはならないと思いますし、先ほど来から特別支援学校の養護教諭の話ですとか出ていますし、今後、合併、併置化をされていくに当たって、二度とこのようなことが絶対に起こってはならないと思いますが、今後の対策についてお伺いしたいと思います。

○坂本指導部長 都教育委員会は、当該誤嚥事故発生後、安全管理を相互に確認する体制づくりや、緊急時の対応方法等をまとめた指導資料を作成し、都立特別支援学校の全教員に配布して、食事指導中の事故の再発防止について周知徹底を図っております。
 また、特別支援学校用の初任者研修テキストに、誤嚥を防ぐ食事指導の内容を加えますとともに、主に肢体不自由特別支援学校の教員を対象に実施しております食事指導に関する講習会の講座の一つとしまして、教員の技能に応じた実習を新たに加え、安全な食事指導に関する指導の向上に努めているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを通しまして、教員の安全に対する意識を高めるとともに、食事指導に関する知識と技術を向上させ、事故の再発防止に努めていく所存でございます。

○笹本委員 恐らく誤嚥というのは、それなりの経験だとか知識だとかいろんなものがあると思いますし、それを徹底するということを今伺いましたが、今回の場合は、技能とかということではなくて、一つの動作、水を飲ますということを忘れちゃったということで起きたことで、やはり緊張感を持って先生方は恐らくやられているであろうことは間違いないと思いますし、当該の教諭の方も、それなりの経験がある方ではあろうというふうに思いますが、やはり二度とこういうケースを起こしてはならないなということを改めて感じております。
 以上で質問を終わります。

○岡田委員 私からも、今の笹本委員の質問を受けまして、江戸川特別支援学校における誤嚥事故に関連して幾つか質問させていただきます。
 この学校の卒業式には、ことしの三月、出席させていただき、保護者の方々や、そして多くの教職員の方々の流す涙に大きな感動を覚えたことが心に深く残っております。
 今般、教育の多様性や教育力の低下、教育現場にまつわる問題などがさまざま取りざたされておりますけれども、私自身が現場で働き始めた三十数年前と比べ、教師の仕事内容も、量も、取り巻く環境もかなり変化してきていると思われます。
 そうした中で、変わらないのは、教師たちの子どもへの熱い思いではないでしょうか。毎日子どもたちと向き合い、子どもたちに傾ける思いがあるからこそ、多忙の中でも務めていけるのだと思っております。
 そのような中で、今回の誤嚥事故のような痛ましい出来事があると、情熱を持って特別支援教育に携わろうと学んでいる学生や、日々子どもたちの教育に当たっている教職員の方々の心に、不安感や失望感を与えかねないと危惧する思いを抱いてしまいます。行政としてできることをしっかりと考えていかなければならないという思いから質問させていただきます。
 まず、今回発生した誤嚥事故の再発を防ぐために、特別支援学校の初任者に対しては、通常の小中学校などの初任者とは異なる内容の研修が必要であると考えますが、特別支援学校と通常の小中学校等の初任者研修との内容の違いはどのようなものかをお伺いいたします。

○坂本指導部長 特別支援学校の研修と小中学校等の研修は、教師として必要な学習指導力、生活指導力、進路指導力、外部との連携、折衝力、学校運営力、組織貢献力を身につけさせる構成となっているところは共通でございます。
 特別支援学校の研修では、障害に応じた対応力を高める必要があることから、障害のある児童生徒の医療や心理、障害特性に応じた生徒指導、事故の予防と対応に関する危機管理等の内容を含めております。
 こうした研修を通しまして、個別指導計画を作成し、一人一人の児童生徒の実態に合わせた指導ができるような力を身につけさせているところでございます。

○岡田委員 特別支援学校の研修には、障害に応じた対応力や指導力が必要であることがわかりました。
 今回のような誤嚥事故だけではなく、特別支援学校においてはさまざまな事故が想定されます。特別支援学校の初任者研修において、事故を未然に防ぐ上でどのような研修プログラムが組まれているかのかをお伺いいたします。

○坂本指導部長 特別支援学校の初任者研修は、東京都教職員研修センターにおける年間十回の通所研修と、百八十時間以上の校内研修の両方で構成されております。
 事故の未然防止につきましては、校内研修において、四月の着任当初から、所属校の実態を踏まえ、児童生徒の障害に応じた指導のあり方について学び、食事等についても、安全に指導できる力を身につけさせているところです。
 こうした校内における日常的な研修に加えまして、さらに通所研修では、事故の予防とその対応についてのまとめとして、講義や演習を実施しているところです。

○岡田委員 都教職員研修センターで年間十回、それ以外に百八十時間以上もの校内研修が実施されているということですが、特別支援学校においては、障害の種別に応じた指導が重要であります。
 特別支援学校の初任者研修では、児童生徒の安全に関しても、障害種別に対応したものとなっているのかをお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教職員研修センターにおける通所研修では、特別支援学校の教員として身につける基本的な事項については、全体で実施しておりますが、それぞれの障害に応じた事項につきましては、障害種別に実施しております。
 障害種別に実施している研修では、事故を防ぐための指導のあり方を含めた障害に応じた配慮事項などについて学んでおります。
 それらに加えまして、それぞれの所属校における校内研修では、校長の指導のもと、主幹教諭、主任教諭等から、障害の特性や一人一人の状況に応じた安全に関する配慮事項を実践的に学んでおります。

○岡田委員 子どもたちのそれぞれの障害に応じた事項について研修し、事故を未然に防ぐための指導のあり方や配慮事項を学習していることがわかりました。
 新採教員の中には、通常校を望みながらも、採用の関係から、特別支援学校に就職が決まったという人もいると聞いております。そうした新採教員のためにも、この研修は非常に有意義なものであることがわかります。
 ところで、特別支援学校の新採教員について、特別支援学校教諭免許状の保有率はどのくらいでしょうか。また、保有率向上に向けて、都教育委員会はどのような取り組みを行っているのかをお伺いいたします。

○岡崎人事部長 平成二十二年度の都立及び区立特別支援学校の新規採用教員二百八十二名のうち、特別支援学校教諭免許状保有者は百二十九名でございまして、保有率は四五・七%となってございます。
 他校種に比べ、特別支援学校教諭免許状を取得可能としている養成機関が少ない上、取得に要する単位数が多いことから、新規採用教員の免許状保有率が低い状況でございます。
 このため、都教育委員会は、現職教員向けに教育職員免許法に基づく認定講習を実施いたしまして、免許状保有率の向上を図っております。
 この認定講習は、毎年度、夏休み期間中に三週間程度、都内の大学に会場を設けまして、専門の大学教授等が特別支援教育の五つの障害領域についての基礎理論や領域ごとの専門的な知識、指導法等を講義しているところでございます。平成二十二年度の受講者数は六百八十七名、これは免許を保有していない者も約三〇%に当たるところでございます。

○岡田委員 特別支援学校の新採教員で、特別支援学校教諭免許状を持っている先生が四五・七%ということは、専門の免許状を持っていない先生が半分以上いるということです。これはある意味で障害児教育を学んできた学生が、必ずしも教職の道に進んでいないということのあらわれの一つでもあると考えます。それはまた別の意味で考えていかなくてはならないことですが、とにかく都教育委員会としては、認定講習を実施することで補っていることがわかりました。
 また、これは養護教諭の場合でもいえることです。特別支援学校においては、養護教諭も障害に関する専門性が必要不可欠であります。しかしながら、多くは特別支援教育の専門課程で学んできていないのが現状であります。
 都教育委員会は、養護教諭に対して特別支援教育に関する知識等をどのように補っているのかをお伺いいたします。

○坂本指導部長 特別支援学校の養護教諭には、通常の養護教諭の専門性に加えて、所属する学校の生徒の障害に関する知識が必要であります。
 このため、当教育委員会では、新規採用養護教諭研修における特別支援学校の分科会におきまして、障害のある児童生徒に対する保健指導や保健学習等について研修を実施しております。
 さらに、肢体不自由特別支援学校の養護教諭を対象に、医療的ケアなど、専門的知識が必要となる障害の重い児童生徒に対する講座も実施しております。

○岡田委員 通常の学校でも、養護の先生は仕事量が多く、多忙を極めております。そのような中での医療的ケアなどの専門的知識への研修は大変だと思われます。ぜひ現場で働く先生方への十分な配慮を都教育委員会にはお願いしたいと思います。
 さて、純粋な志を持って障害児教育の専門課程で学びながらも、実際に卒業しても教職に進まなかったり、通常学級に就職を希望したりといった現場の嘆きの声を国立大学の担当の先生から聞いております。
 そうした中で、今回の誤嚥事故を知り、特別支援教育の厳しい現状も感ずるところであります。
 今後、このような事故を未然に防ぐためにも、また、障害児教育に携わろうと生きがいを持って学んできた学生や若い先生の士気をそがないようにするためにも、都教育委員会は、特別支援学校の教員については、研修内容の充実とともに、さらに給与や勤務条件の改善を図るべきだと考えております。
 教育は、すべての根幹をなします。その教育に携わる人間を大事にしていただきたいと要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○原田委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○直原都立学校教育部長 去る九月二十二日、都教育委員会が公表いたしました「都立高校と生徒の未来を考えるために-都立高校白書(平成二十三年度版)-」につきましてご報告申し上げます。
 本日は、概要版によりましてご説明申し上げます。
 一ページをごらん願います。都立高校白書の第1章では、これまでの都立高校改革推進計画の取り組みと本白書の策定目的につきまして記載してございます。
 平成九年九月に、都立高校改革の長期計画である都立高校改革推進計画を策定いたしました。都教育委員会では、この計画に基づきまして、この間、一人一人の生徒の多様性に対応した弾力的な教育を実施してまいりました。
 具体的には、新しいタイプの高校設置、学区の撤廃、規模と配置の適正化などによりまして、中途退学率の低下や入学者選抜における倍率の回復など、一定の成果を上げてまいりました。
 しかしながら、中途退学率は着実に減少してまいりましたものの、いまだ多くの生徒が卒業できていないなど、課題も残っております。
 次に、教育基本法の改正と学習指導要領の改訂でございます。
 教育の根本的な理念や原則を定めた教育基本法が平成十八年十二月に改正され、これを踏まえ、平成二十一年三月に高等学校学習指導要領も改訂されました。
 二ページをごらん願います。
 すべての都立高校におきまして、平成二十五年度の入学生から、新しい学習指導要領に基づく教育課程が実施されることから、その理念を各学校で具体化し、確実に実施していくことが求められます。
 次に、教育に対する国民や都民の期待でございます。
 高度情報化やグローバル化の進展など、社会経済の構造的な変化の中で、若者の意識に社会の中で生きるという実感の喪失、規範意識の低下、あるいは自分本意な姿勢の広がりなどが見られます。
 すべての生徒が、個性や適性に応じて自分の能力を最大限に発揮し、社会の中で真に自立することができるよう育てていくことが求められており、次代の担い手を都立高校でどのように育成していくかが課題となってございます。
 次に、都立高校白書の作成目的でございます。
 教育基本法の改正と学習指導要領改訂の趣旨を踏まえつつ、真に社会人として自立した人間を育て、輩出していくことが、これからの都立高校の使命であると考えております。
 このような視点に立ち、都立高校の現状と課題を明らかにするため、本書を作成したものでございます。
 三ページをごらん願います。第2章では、生徒の能力や意識について記載してございます。
 まず、生徒の学力についてでございますが、都立高校では、生徒に基礎的、基本的な知識や技能とともに、それらを活用して課題を解決していく力、主体的に学習に取り組む態度を身につけさせることが重要でございます。
 しかしながら、卒業時に基礎的、基本的な学力を必ずしも習得し切れていない生徒も見られるなど、一人一人の学力を最大限に伸長しているとはいいがたい状況にございます。
 続きまして、生徒の社会貢献や社会規範に対する意識についてでございます。
 東日本大震災では、帰宅支援ステーションとなった都立学校におきまして、生徒が積極的に人のために尽くそうとする姿が見られました。
 また、都立高校生意識調査におきまして、都立高校生の約六割は、機会があれば社会貢献活動を行いたいと答えているなど、社会貢献に対する意識は、一定の割合で存在してございます。
 一方、高校生の素行に対する苦情は年々増加しており、規範意識の低下がうかがえることから、規範意識や公共の精神などを育成することが課題となってございます。
 四ページをごらん願います。若者の職業的自立意識についてでございます。
 産業構造、就業構造が変化し、高校や大学を卒業しても、社会の中に受け入れ先を簡単に見つけにくい環境が生まれております。生徒一人一人が、社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現できるよう、社会的、職業的自立のために必要な能力や態度を身につけさせることが重要になってございます。
 五ページをごらん願います。グローバル化の進展に対する意識についてでございます。
 これからの我が国の担い手となる若者に、変化に応じて積極的にチャレンジする意識に乏しい、いわゆる安定志向が広がっております。また、海外へ留学する日本人学生が減少するなど、いわゆる内向き志向も指摘されております。
 こうしたことから、世界を舞台に活躍し、日本や東京の未来を担うリーダーとして発信する力、世界に飛び出す覚悟や強いリーダーシップを兼ね備えた人材を輩出していくことが課題となってございます。
 六ページをごらん願います。第3章は、都立高校の現状と課題を学校の種類別に記載してございます。
 まず、全日制の普通科高校では、生徒が他の学科の生徒に比べ、将来についてはっきりとした目標を持っていない傾向がございます。自己のあり方、生き方について明確に意識している生徒が少なく、高校段階での職業的自立意識の醸成と進路指導の充実が重要となってございます。
 次に、全日制の専門高校でございます。
 学力の不足によりまして専門教育が十分に実施できていない面がございまして、専門科目を学ぶための土台となる基礎学力の確保が課題となっております。
 七ページをごらん願います。
 また、専門高校の教員が企業現場の実態を十分に把握していないことなどにより、社会の変化と期待に十分にはこたえ切れていない状況がございます。今後、社会の要請にこたえる都立の専門高校としてその役割を果たしていくことが必要でございます。
 定時制高校は、勤労青少年の生徒が大幅に減少する一方、多様な生徒が在籍するようになりました。
 八ページでございますが、中途退学者が多く、未卒業率も高いという実態がございます。今後は学校の設置目的に応じた生徒へのきめ細かい学習指導や生活指導、職業的自立に向けた取り組みの充実などにより、真に自立した社会に貢献する人材を育成する必要がございます。
 次に、新しいタイプの高校についてでございます。
 初めに、エンカレッジスクールでございますが、中途退学者はエンカレッジスクールに指定する以前に比べて、どの学校でも大きく減少しております。応募倍率につきましても毎年二倍を超える高倍率となっており、生徒、保護者の高い期待がうかがえます。
 一方、進学も就職もせず卒業する生徒が依然として多く存在します。今後とも、基礎学力を確実に定着させるとともに、社会的自立を目指した指導を導入するなどの取り組みが必要となっております。
 九ページをごらん願います。総合学科高校でございます。
 生徒は、学習に意欲的に取り組んでおりまして、自分の将来についての意識も高いことがうかがえます。これは、総合学科におけるキャリア教育の成果のあらわれであると考えておりまして、今後は都立高校全体のキャリア教育を牽引するパイロット的な役割につきましても期待しているところでございます。
 次に、チャレンジスクールでございます。
 小中学校で学校になじめず、不登校や中途退学の経験のある生徒等を受け入れる高校でございますが、入学者選抜の応募倍率は、どの学校でも毎年高倍率となるなど、生徒や保護者に高い評価を受けているところでございます。
 一〇ページですが、一方で、中途退学者や進路未決定者が多くいることが課題となっておりまして、生徒のキャリア形成支援に向けた施策を展開する必要がございます。
 次に、中高一貫教育校でございます。
 中高一貫教育校では、六年間を通した一貫教育の中で教養教育を行い、個性と創造性を伸ばしておりますが、入学時に学力検査を実施しないことや、高校段階に進む時点で入学者選抜を実施しないことによりまして、生徒間の学力差や生徒の学習意欲の低下、いわゆる中だるみへの懸念が生じております。一貫教育の利点を生かしながら、生徒間の学力差の解消や学習意欲の向上、柔軟な教育課程の編成等に取り組んでいくことが課題となってございます。
 続きまして、第4章では、教員や学校経営体制について記載してございます。
 生徒の教員に対する印象では、授業が上手であるという印象を持つ生徒が三九・八%にとどまっており、教員の使命感や熱意も含めた授業力の向上が必要不可欠となっております。
 一一ページをごらん願います。
 また、学校の抱える課題が多様化、複雑化する中で、教育内容の充実、特色ある学校づくりをさらに進めるためには、さまざまな分野の専門スタッフが学校教育に参加し、教員と専門スタッフがそれぞれの専門性を発揮しながら、連携して学校の教育力を高めていく必要がございます。専門スタッフの導入や一般社会で活躍する人材をより円滑に学校現場に活用できる仕組みづくりを検討していくことが課題となってございます。
 一二ページをごらん願います。第5章では、都立高校におけるさまざまな教育条件の現状と課題について記載してございます。
 入学者選抜制度についてでございます。
 選抜制度の一つである推薦選抜につきましては、生徒の能力等をより多面的に評価するという本来の制度の趣旨から見て、選抜方法、推薦枠に課題のある学校があり、改善を図っていく必要がございます。
 また、入学者選抜制度全体といたしましては、受検倍率が低い学校などにおきまして、合格者の学力差が大きくなるなどの課題があることから、今後、授業についていけず、学業への興味、関心を失う生徒を生み出すことのないように、入学者選抜方法について検討する必要がございます。
 一三ページをごらん願います。最後の第6章では、中学生の高校への進学の現状と課題について記載してございます。
 教育人口等推計結果によりますと、都内公立中学校卒業予定者数は、平成二十七年度までは増加傾向にございまして、平成二十八年度以降は一転して減少し、その後、平成三十三年度から再び増加に転じ、平成三十六年度には八万二千人を上回る規模にまで増加すると見込まれております。そのため、私立高校との適切な役割分担のもと、生徒数の増減に的確に対応していく必要がございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○原田委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○神野委員 私からは、今ご報告がありました都立高校白書、幾つかお伺いしたいと思います。
 都立高校については、これまでもさまざまな改革が加えられてきました。特に入学者の選抜制度については、昭和十七年に四つの学区が制定されて以来、時代の変化とともに発生してきた課題に対応するため、さまざまな改善が加えられてきたと白書にあるとおり、学校群制度、そしてグループ合同選抜など、さまざまな制度が行われてきたんです。
 そこで、まず伺いますけども、昭和四十二年度から始まった学校群制度は、なぜ導入され、そしてどのような影響が生じたのか、伺いたいと思います。

○直原都立学校教育部長 学校群制度は、当時の入学者選抜において都立高校間の格差が固定するとともに、中学校において入試に向けた過度の準備教育が行われ、中学校教育に弊害が生じたことなどの課題を解決することを目的に、昭和四十二年度入学者選抜より導入したものでございます。
 これは、複数の都立高校をグループ化した群を設置し、群に属する各学校に入学する者の成績が均等になるよう配分する方法をとることで、群内の都立高校間の格差の解消という効果を生じました。
 しかしながら、本人の希望によらず群内の各学校に機械的に配分される方法などに対する不満が生じ、都立高校離れをもたらす大きな要因となりました。
 このため、昭和五十七年度入学者選抜から、第一志望を優先するグループ合同選抜方式に切りかわりました。

○神野委員 今、お話がありましたように、この学校群の制度、私もちょうどこの時代の都立高校だったんですけども、群を受検して、その群の中にある高校に抽せんなのか、機械的に振り分けられるという制度でありました。
 それでは、今のご答弁の中で、この学校群制度の導入の理由として、入試に向けた過度の準備教育が行われ、それで中学校教育に弊害が生じたことが課題となったというふうにおっしゃっておりましたけども、それは具体的にはどういうことなのか、お伺いします。

○直原都立学校教育部長 当時、入学競争が激化する中、中学校の教育活動において、テストでよい成績をとることだけを目的とした教育が行われたり、知識の暗記のみに偏った教育が行われたりするなど、高等学校への進学を目指すことが極端に重視され、中学校教育に弊害が生じたということでございます。

○神野委員 今のお話なんですけども、テストでよい成績をとることのどこが悪いんでしょうか。競争して、切磋琢磨して子どもたちの能力というのは高まるわけなんですね。
 そしてまた、知識の暗記というのは、どんな学問をきわめるに当たっても、知識の暗記というものをしなければ、学問をきわめるということはできません。
 また、高校への進学を目指すことが極端に重視されたとおっしゃいましたけども、これは、中学校の三年生にもなれば、どの子もみんな高校受験が目標ですから、当然高校への進学を重視する、そういった教育にならざるを得ないんですから、私はそれが学校群の導入の理由には当てはまらないと思います。
 やはり学校群の導入は、当時の実績校、日比谷高校、西高校、立川高校、こういった実績校が東大の進学者数を大幅に伸ばしたことに対して格差是正という議論があった。当時の状況というものは、そんな状況だったというふうに私も認識しているんですが、それが目的だったとしか思えません。
 そこで質問なんですけれども、今のご答弁で都立高校間の格差が解消されたということでしたが、逆に今度は学校群間の格差が顕著になったと思われるんですが、その点はどのように認識されていらっしゃるんでしょうか。

○直原都立学校教育部長 学校群制度の導入は、群に属する都立高校間の格差の解消にはつながりましたが、本人の希望によらず、群内の各学校に機械的に配分する方法としたことから、群を構成する学校の学力をそろえる必要があり、その結果として、群相互間の格差が生じたものでございます。

○神野委員 要するに、格差というのはなくならないんですよね。平等というのも実現しないものなんです。
 今回改正されたゆとり教育の議論でもたびたび語られたんですが、平等だとか格差の是正といったスローガン、それから競争回避といったいわゆる理想的な考え方、いいかえれば、これ、きれいごとなんですけども、こういった言説が教育のあり方というものをゆがめてきたと私は思っております。
 今いったように、平等はあり得ませんし、平等を目指すためには、すべての生徒を一番低いレベルに合わさなければなりませんから、それが教育の質をおとしめてしまうわけであります。
 また、競争回避というけれども、一体だれが自分の子どもに、競争はいけないから、ほかの子どもよりも成績が上がらないよう一生懸命勉強してはいけないというでしょうか。まともな親ならば、自分の子どもには頑張って競争に打ち勝てというはずなんです。つまり、普通の親ならばいわないようなことをいって、この学校群の制度というものは導入されてきたというふうに私は思っております。
 今さら学校群を何で持ち出しているかというと、私は都が努力されていらっしゃる都立高校の制度というのは非常に評価しているんです。ただ、今の制度が、教育を語ると必ず出てくる今いった理想論によって、また将来変わることを非常に恐れてこういったことをいっているわけなんです。
 そこで伺いますけれども、今現在都が行っている都立高校改革では、将来、日本社会のリーダーとなり得る資質を持った生徒に難関大学を目指させる進学指導重点校を設けて、そして進学実績を上げようと努力されていらっしゃるわけです。
 しかし、今申し上げたように、いつまた格差是正ですとか、それから、子どもたちがかわいそうだとか、そういった情緒的な議論が繰り返されるかもしれません。都立高校にエリート校は要らないといった平等論も出てくるかもしれません。
 都は、過去における学校群導入の際の反省を踏まえて、平等、そして格差是正といった非難に振り回されることなく、確信を持って今回の改革をなされていらっしゃるのか、そのお考えを伺いたいと思います。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会は、生徒の進学希望を実現するとともに、将来、日本社会のリーダーとなり得る高い資質を持った生徒が、理科系、文科系を問わず、幅広い教科を学んで難関国立大学等への進学を目指す学校として進学指導重点校を指定しております。今後とも進学指導重点校等の進学対策を一層充実させてまいります。

○神野委員 過去のことなんですけども、学校群制度の導入で、夢を持って志望した高校に機械的な割り振りで入学することができず、どれだけたくさんの子どもたちが悲しい思いをしてきたか。そしてまた、ゆとり教育もそうでありますけども、ゆとり教育が見直されたわけですが、そのゆとりが行われている間、低いレベルの教育しか受けられなかった子どもたちが実社会に出てこうむる損害を一体だれが担保してあげられるというんでしょうか。
 つまり、教育制度というのは、軽々に変えてはいけないんです。今回の都の改革は、ぜひ強い信念を持って継続していただきたいと思います。
 そして、続けてですけども、この学校群制度は、レベルの低下だけでなくて、それぞれ各都立高校が、それこそ旧制府立中学以来持っていた独自の学校文化さえ破壊してしまったと私は思っております。
 それは、その学校の長い歴史と、そして伝統によってつくられた校風のことです。親や近所の人から、あの高校がよいと聞かされて、そしてその学校にあこがれて、制服にあこがれて、あの学校に行くと誓った子どもたちの目的意識、いわゆるモチベーションによってその校風というのが代々つくられて、そして守られてきたものでした。
 しかし、学校群制度の機械的なシステムで子どもたちの進学先が決められるようになって、行きたくない学校に行くようになって、その校風というものが、そのモチベーション、子どもたちの思いというものがいつしか根絶やしになってしまった。これを復活させるのは、並大抵のことじゃないと私は思っております。
 現在、進学指導重点校の中でも、例えば日比谷高校が東大合格実績で大きく復活しているといわれておりますけども、その数字を見ると、過去、学校群開始直後の例えば西高校だとか戸山高校の東大合格者数と比べても、それ以下なんですね。ですから、そういう意味では、日比谷の復権というのはまだまだといわざるを得ません。
 都もさまざまな努力をされていらっしゃるんですけども、何か足りないものがある。それは今申し上げた学校ごとの校風、そして子どもたちがその学校を目指すいわゆる目的意識、あこがれ、そういったものを取り戻させることだと私は思っております。
 例えば都は、進学重点校の実績を上げるため、部活動を自粛して勉強させる、そういったことをたしかおっしゃっていたと思います。しかし、私はこれは本末転倒だと考えております。
 かつて都立高校というのは、学校のさまざまな行事に本当に寝食忘れて熱中する。そういった中で友達とのかたいきずなができたし、それから、部活動に精魂込めながら、自分の勉強は人知れず家に帰って行うという、これが極めて伝統的な雰囲気だった。だから、進学校では、三年生の秋まで部活動に打ち込んで、それでも現役で東大に合格した人間は、その学年の中でもただの合格者とは違って最大の名誉を受けた。
 また、かつての都立高校には、例えば三十年間も同じ高校に在籍しているような名物教師がいて、その先生が学校文化の象徴になっていたり、そういったさまざまいい点もたくさんあった。これは進学重点校に限らず、いわゆる中堅校においても同じだと思うんです。
 かつてのその学校の校風を研究して、そして長い時間がかかっても、その学校が持っていた文化をぜひ取り戻していただきたいと思います。
 例えば、OB会の人々に話を聞いてもいいと思うし、学校の歴史を調べてもいいと思うんです。そして、受検生がその学校に行きたいんだという今申し上げた目的意識を取り戻す。都立高校の真の復権のためには必要と私は考えるんですが、ご所見を伺いたいと思います。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会は、平成十五年度入学者選抜から学区そのものを廃止し、生徒が志望する都立高校を自由に受検できるようにするとともに、各学校が適切な競争原理のもとで互いに切磋琢磨するようにしてまいりました。
 また、進学指導重点校の指定など、魅力ある都立高校を目指して多様な教育条件の整備を図り、都民の皆様からの信頼の回復に取り組んでまいりました。
 今後とも、都立高校が中学生から選ばれるよう、各高校の個性化、特色化に取り組んでまいります。

○神野委員 都立高校は、やはり地域に根差しておりますし、昔から東京にある学校で、ネームバリューもそれぞれの学校、その地域でありますから、都民が一番望む形だと思うんで、都立高校の改革をしっかり頑張っていただくことを要望して質問を終わります。

○吉住委員 平成九年から始まりました都立高校改革推進計画による取り組みは、今年度に終了を迎えました。これまで都立高校の再編整備に取り組み、多様な生徒のニーズに対応するための改革を進めてきたと認識しています。
 そうした中、今般、都教育委員会は、都立高校白書を公表しました。この白書では、これまでの改革推進計画の成果と課題を分析し、今の学校に何が足りないのか、子どもたちの育成の課題は何かを明らかにしています。今後、白書にあるさまざまな課題は、次代を担う若者を育成していくために、確実に解決を図っていく必要があります。
 先日の都議会第三定例会の代表質問でも、我が党の鈴木あきまさ議員が、都立高校のこれからの改革について質問をし、教育長から明確に、今後も広く都民の声を聞きながら、新しい都立高校改革推進計画を策定するという力強い答弁をいただいたところです。首都東京から新たな教育改革に向けて第一歩を踏み出すことは非常に頼もしく、私どもも党を挙げて応援していきたいと感じております。
 今後、都立高校改革の方向性を明確に示し、多くの都民の意見を聞き、新しい都立高校改革推進計画を策定して、迅速に施策の展開を進めていただきたいと思います。
 そこで伺います。我が党の代表質問で教育長が答弁した新たな都立高校改革推進計画策定に向け、今般発行した都立高校白書はどのような意義を持ち、計画策定に向けてどのように取り組んでいかれるのか伺います。

○直原都立学校教育部長 これまでの都立高校改革推進計画は今年度をもって終了いたしますが、教育基本法の改正を初め、我が国や東京の社会経済状況の変化、若者の意識の変容など、都立高校を取り巻く状況がこの間大きく変化していることから、教育内容や諸条件の改善、充実など、高校改革への新たな取り組みが必要となっております。
 改革の方向性を検討するに当たりまして、都立高校の現状と課題についての認識を都民や教職員と共有し、ともに考えていくことが重要なことから、このたび都立高校白書を公表し、課題を明らかにしたものでございます。
 今後は、一つ一つの課題解決に向けた施策を検討し、都立高校白書と同時に公表した都立高校の現状把握に関する調査の結果や、都民の意見を直接聞く機会を設けるなどして、広範な意見を踏まえつつ、新たな都立高校改革推進計画を策定してまいります。

○吉住委員 白書を作成した意義と改革推進計画策定に向けた今後の取り組みについてはわかりました。
 白書によると、都立高校には、能力、適性、興味、関心、進路希望などの点で多様な生徒が入学しており、生徒個々を見れば、基礎的、基本的学力や規範意識を初めとする社会人として必要な資質、能力が十分につかないまま卒業するなど、解決すべき課題がまだまだ残っているとのことです。また、全日制都立高校の中途退学率は年々低下しているとのことであります。このこと自体は高く評価したいと思います。
 そこで伺います。都教育委員会では、これまで中途退学防止に向けてどのような取り組みをしてきたのかを伺います。

○坂本指導部長 都教育委員会は、生徒の多様化に対応するため、都立高校改革推進計画を策定しまして、例えば小中学校で十分に能力を発揮できなかった生徒のためにエンカレッジスクールを配置し、子どもたちの学び直しを支援するなど、中途退学防止策を展開してまいりました。
 また、中途退学者の多い学校に対しまして、中途退学予防のための指導を行う教員の加配等を行い、学校が作成した中途退学防止改善計画書をもとに、放課後や長期休業期間を活用して、補習、補講を実施できるようにするなどの対応もとってまいりました。
 さらに、学校生活や学業に関する生徒の悩みなどに適切に対応するため、心理の専門家である臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置するなど、学校の教育相談機能の充実にも努めてきたところでございます。

○吉住委員 具体的な取り組みが中途退学者の減少に結びついたことは、本当によかったと思います。
 しかしながら、白書によれば、都立高校に入学した生徒が修業年限の間に何人中途退学したかをあらわす未卒業率はかなり高く、また人数で見ると、例えば昨年度には、全日制、定時制合わせて三千六百十人が中途退学しています。これは、一学年六学級規模の学校であれば五校分にも相当する人数でございまして、依然、多くの生徒が中途退学している実態があるといえます。
 これらの現状をどのように受けとめているのか、都教育委員会の見解を伺います。

○坂本指導部長 各学校では、個に応じたきめ細かい指導の充実等に努めてまいりましたが、依然、中途退学者が数多く存在しており、都教育委員会としては重大な課題としてとらえているところです。
 都立高校の全日制課程においては、学校生活への不適応、学業の不振を理由として中途退学する生徒も多いことから、学校の教育相談体制の充実や生徒の基礎的、基本的な学力の定着を図ることがますます重要であると認識しております。

○吉住委員 中途退学者は、依然、多く存在することはわかりました。
 今後は、せっかく入学した高校をなぜ中途退学するのか、その理由をより詳細に分析する必要があります。例えば、高校へ生徒を送り出す中学校との連携を深めたり、きめ細やかな生活指導や学習指導を充実させたりするなど、それぞれの生徒にとって最適な方法をとることにより、一人でも中途退学を未然に防止する取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、学力について伺います。
 中途退学を防止するだけでなく、すべての生徒が生涯にわたって自己実現を果たすためには、何にも増して基礎学力の定着が不可欠であると考えます。
 しかし、都立高校生を対象に行った調査結果によれば、授業の内容を十分に理解していると回答した生徒は約四割にとどまる現状があります。
 また、大学の教員を対象に行った調査結果によれば、学生の基礎学力が低いとの指摘があるなど、高校段階での学力の定着に疑問が投げられています。
 そこで、都立高校生の学力の定着と向上に向けたこれまでの取り組みと成果について伺います。

○坂本指導部長 都教育委員会は、平成二十三年度からすべての都立高校で、都立高等学校学力向上開拓推進事業を開始しまして、入学選抜などのデータ分析を行い、把握した生徒の学力の実態に基づき到達目標を定め、学力向上推進プランを作成して、生徒の学力の定着と向上に取り組んでおります。
 ある学校からは、こうした取り組みを通して、教員が指導内容、指導方法の見直しを行ったところ、生徒の学力の定着に一定の成果が見られたとの報告がありました。
 今後は、各学校がそれぞれの設置目的に応じて到達目標を定め、生徒の学習のつまずき箇所を分析するなどの対策を講じ、生徒一人一人の学力を最大限まで伸長させる取り組みを行ってまいります。

○吉住委員 高校でのきめ細やかな学力向上への取り組みはわかりました。
 子どもたちの学力に関する課題は、何も高等学校だけのものではございません。小学校、中学校での各教科の基礎、基本の学習や家庭学習が重要と感じます。
 しかし、教員の指導に従わない児童生徒、子どもの教育に無関心な保護者や学校と家庭の役割分担に無理解な保護者の存在など、教員が誠意を持って対応しても解決できない状況もあり、学校だけを悪者にすることはできないと思います。
 都立高校の現場で実際にあった事例では、ある保護者から担任に対する苦情がたびたび入るようになったものの、訴えに該当する事実がなく、日常の業務に支障を来すようになった例や、担任をかえない限り子どもを学校に通学させないなど、さまざまなクレームが寄せられていると聞いております。
 こういったモンスターペアレントやクレーマーからの相次ぐ理不尽な要求に加え、教員への暴力行為を初めとする生徒の問題行動、しつけが十分ではなく、協調性に欠ける生徒の存在など、日々、現場の多くの先生方は大変なご苦労をされていると思います。
 しかしながら、私が都立高校にお願いしたいことは、さまざまな課題を克服して、生徒一人一人の面倒を最後まで見て、自立した人間として成長させ、社会に送り出してほしいということです。
 都立だから安心できる、都立に入ってよかった、そう思われるための学校づくりのために、学力を初めとした諸課題の解決に全力を尽くしてほしいと思います。
 文教委員会も現在のメンバーでの質疑は本日が最後となりますので、この機会にぜひ、このような学校現場の現実、実態についてどのように考えていらっしゃるのか、都教育委員会の見解を伺います。

○直原都立学校教育部長 都立学校の教育現場では、授業についていけない生徒への学習指導、基本的な生活習慣が身についていない生徒への生活指導、部活動の指導など、さまざまな生徒への対応に加え、学校に対する地域や保護者の要望も多様化しており、教員の職務もかつてないほど困難なものとなっております。
 このため、これまで都教育委員会では、学校と保護者、地域住民との間に生じた学校だけでは解決困難な問題について相談を受ける学校問題解決サポートセンターを設置し、教育現場が抱えるさまざまな課題の解決を支援してまいりました。
 同時に、意欲と実績のある教員を対象とした教員公募制の導入や、進学指導にすぐれた教員の異動年限の弾力化に加え、半日単位での勤務時間の変更を可能とするなど、教員が職務により専念できるような取り組みを推進してまいりました。
 しかしながら、教育現場の厳しい状況は依然として続いており、各学校の学校経営組織の改善を進めるなど、都教育委員会として、教育現場を支えていく取り組みをより一層推進していくことが重要であると考えております。

○吉住委員 学校現場でのさまざまな課題に対し、懸命に取り組んでいる教員を支えていくことが、新たな都立高校改革推進計画の成功のかぎを握ると思います。今後も、保護者や学校と一体となった改革を推進していくことをお願いいたします。
 都立高校白書にもあるとおり、子どもの力を着実に伸ばし、社会の要請に応じ、真に社会人として自立した人間を育て、輩出していくことがこれからの都立高校には求められています。
 そのためにも、新たな都立高校改革推進計画の策定に向けて、都教育委員会の総力を挙げた取り組みが必要であると考えますが、今後の基本的な取り組み方針について伺います。

○直原都立学校教育部長 我が国の次代を担う若者を育成していくことは待ったなしの課題になっており、教育に寄せられる期待はかつてないほど大きくなっております。
 生徒一人一人を知、徳、体を兼ね備え、社会の中で自立できる人間としてしっかり育成していくことが、今日の都立高校に課せられた使命であると考えております。そのため、新たな都立高校改革推進計画を速やかに策定し、都教育委員会と学校現場が一体となって、一丸となって、新たな改革に挑戦してまいります。

○吉住委員 ただいま、都立学校教育部長から新たな都立高校改革にかける強い決意をお聞きし、大変心強く思います。
 すべての都立高校生が、将来の社会を支える人材として自信と自覚を持ち、卒業後、多方面で活躍することは、保護者を初め、多くの都民の願いでもあります。子どもや教員のためになる改革をお願いしまして、私の質問を終わります。

○野上委員 私も都立高校白書を読ませていただきました。この、内容があらゆる分野に言及されておりまして、正直な課題が書いてあります。この課題解決をこれからどう行っていくかということが、検討をどうやっていくかということが新たな内容になってくるんじゃないかなと思っております。
 この白書の中でさまざまな課題があるんですけれども、私が気になったところは、やはり先ほど吉住委員もおっしゃっておりましたけれども、卒業しないで学校を離れていく子どもたちということを取り上げさせていただこうかなと思います。
 要するに、自分が希望した学校に入った子もいれば、希望しなかったけれども、そこにしか入れないから、その高校に入学したという子どもたちもいろいろな立場があると思うんですけれども、自分の理想と現実が違って、離れていった子どもたちの未来というんですかね、それが例えばニートになったり、あるいはフリーターだったり、また、場合によってはちょっと悪いグループに誘われて、非行に走ってしまうというようなことも懸念されると思います。
 都立高校改革の計画が作成された当時、都立高校では中途退学者の数が増加を続けておりまして、私も何回か文教委員会の中で質疑はしたと思うんですけれども、やはり学区を廃止して新しいタイプの高校を設置することによって、生徒の多様化、それに合わせた高校をつくっていくべきではないかということを提案させていただきました。
 特に、うちの公明党は、どちらかというと進学重点校というよりも、ちょっと下の部分のチャレンジスクールとか、エンカレッジスクールとか、何とか三年間、高校生活を続けていっていただきたいというような、いろいろ高校時代に不登校だったり、学業が不振だっりする、そういう子どもたちも救っていきたいというような気持ちで、エンカレッジ、あるいはチャレンジスクールの設置とかを提案させていただいたという経緯がございます。
 一生懸命努力されまして、東京都も平成九年では全日制で三・六%、五千三百二十人のお子さんが中途退学をしていたんですが、平成二十二年は一・六%で千八百七十九人、かなりな人数の子どもたちが中途退学から逃れたというんですかね。定時制では一三・八%、二千四百三十九人が、現在は一二・〇%、千七百三十一人まで減少したという大変な成果を上げていることがございます。
 しかし、もう一方を見ますと、未卒業率というんですかね、中途退学の数というのは、その年度における全学年を対象とした在籍者数に占める中途退学者の割合に対して、未卒業者というのは、都立高校に入学した生徒が修業年限、例えば全日制の場合は三年、定時制の場合は四年の間に、中途退学をした数を集計したもので、ちょっと観点が違うんですけれども、特に全日制の方でも、かなり多くの人数の子どもたちが未卒業者としてカウントされております。そういうところ辺がまだまだ問題ではないかなと思っております。
 それで、例えば中途退学者を一人も出していない都立高校もあるわけで、そういうノウハウをもとに、中途退学の多い学校の方にそういうノウハウを持ったものを持っていったらどうかということもいったんですけれども、やはり中途退学者の少ない学校というのは、もともとすごく魅力があって、皆さんが入りたいと思ってやっと入った学校なので、やっぱり中途退学はしない、望んで入った学校だから中途退学は出さない。
 ところが、課題校とか、余り入りたくなかったんだけれども、しようがなく入った学校というのは、やっぱり気に入らないということで、中途退学者が多いということで、なかなかノウハウを共有できないということでございます。
 私は、エンカレッジスクールというのを、足立東から始まって今五校ですかね、つくっていただいておりまして、この学校というのが、学力検査によらない入学選抜とか、三十分授業とか、座学は午前中、午後は体験学習とか何か、視察をさせていただいたんですが、もう一回学び直しをしたい子どもたちにとっては、大変魅力的な内容になっておりました。
 このエンカレッジスクールに関しましては、前の都立高校が中途退学者が非常に多いので、この高校をエンカレッジスクールという形で変更して、エンカレッジスクールになったときには中途退学者の数が非常に減ってきたということがございますので、エンカレッジスクールで培った生徒の指導方法などを、逆に今まだまだたくさん中途退学が多い学校に、指導方法とかノウハウを普及させることが大事ではないかというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

○直原都立学校教育部長 エンカレッジスクールは、生徒一人一人の学習上のつまずき箇所にまでさかのぼった学び直しによる基礎、基本の学力の徹底、キャリアガイダンスや体験学習を重視した教育の実践によりまして、生徒の学習に対する興味、関心を高めてきたことから、全日制の平均にはいまだ及ばず、課題はあるものの、指定前に比べて中途退学者の大幅な減少や進路決定率の向上といった改善成果を上げております。
 お話しのとおり、エンカレッジスクールにおける学び直しの取り組みなど、生徒の学習意欲向上に向けた指導方法や学習内容を同様の課題を持つ都立高校に普及させることは、中途退学者を減らす上で有効な方策と考えており、生徒が一人でも多く卒業することができるよう、その方法や体制などについて具体的に検討してまいります。

○野上委員 私の目標としているところは、子どもたちが自己実現をして、将来的には税金を払ってもらえるような子どもたちに育ってもらいたいなというふうに思っているんですね。
 それで、やはり中途退学によって、家に引きこもってしまったり、ニートになってしまったりすると、本当に社会的な資源の損失だと思っておりますので、これから策定する新たな都立高校改革に基づいて、しっかりと対応していただきたいと思います。
 それからもう一つ、工業高校におけるものづくり教育についてお伺いをいたします。
 きょうもトヨタとかホンダなどですかね、自動車産業がかなり落ち込んでいるというような報道が出ておりましたけれども、小さな部品でも、たった一つでもなければ車も完成しないということで、やはり今回、東日本大震災でものづくりの大切さということは、日本のみんなが感じたことではないかと思っております。
 この震災後、それぞれの企業の状況はまだまだ冷え込んでおりますけれども、これから復帰をしてくるとは思っております。
 しかし、高校生の就職が今大変厳しい状況であるということで、知事も所信表明の中で、ものづくり技術というのは我が国の国力の源であると、今こそ日本のものづくりをより一層活性化しなければならないと。そのためには、ものづくりに対する熱意のある優秀な人材を育成し、産業界へ安定的に供給をしていくことが大事だということをおっしゃっておりました。
 大事な大事な工業高校なんですけれども、今の状況が、希望しなかったけれども、行くところがないから工業高校に進学せざるを得なかったという声もたくさん聞きます。
 そうではなく、産業を支えていくんだというような意識で入っている子もいるんですけれども、実際に工業高校に入ったときに、なかなか教師が企業現場の実態を十分に把握していない。この課題の中にも書いてありましたけれども、指導力が不足しているということも指摘をしております。
 それから、工業が日進月歩でどんどんどんどん進んでいくということもありまして、新しいものが取り入れられるために、先生自身も一生懸命勉強して、ノウハウを構築していらっしゃるんだと思うんですけれども、なかなか追いついていかないという現状もございます。
 そういういろいろな課題もあるんですけれども、要するに、教師自身の資質の向上もそうなんですけれども、ものづくり現場に子どもたちを連れていって体験をさせて、理解をさせて、新しい知識とか技能を持った外部の人材に工業高校の中に来ていただいて、生徒に教えていくなど、いろいろな方策をとりながら、魅力のある高校生活を満喫していっていただきたいなと思っているんですけれども、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○直原都立学校教育部長 我が国の産業の根幹であるものづくり産業に携わる人づくりを行うことは重要であり、工業高校に対する産業界の期待は大きいものがございます。
 工業高校では、基礎的、基本的な知識、技術を習得するための学習はもちろん、レーザー加工機や三次元コンピューターグラフィックソフトなどを用いて、画像データから機械部品などの加工を行う先端的な学習にも取り組んでおります。
 しかし、教員の技術的能力などに課題があり、十分には生かし切れていない面もございます。そのため、企業から技能士などを招き、高度で専門的な技能を学ぶプログラムの実施や、学校と企業が連携して長期就業訓練を行うデュアルシステムの導入など、企業等の協力を得て、実践的な知識、技術を身につけさせる教育を推進してまいりました。
 今後とも、教員の指導力の向上を図るとともに、外部人材の活用など企業等との連携を一層図りながら、生徒がより実践的な知識、技術を習得できるよう、取り組みを推進してまいります。

○野上委員 今後もさまざまな取り組みを期待しておきます。
 最後に、教員の能力向上や研修体制ということでお伺いをいたします。
 都立高校白書では、教員の能力向上や研修体制についても触れられております。本書によりますと、授業が上手であるという印象を持つ生徒が三九・八%にとどまっているということが書いてありました。
 教師は授業で勝負するというのは当たり前のことなんですけれども、Aという先生とBという先生に、例えば英語を教えてもらう。一年間に教え方とか、興味の持たせ方とか、教材の工夫とか、板書の工夫とか、一人一人の声かけとか、いろいろな要素で、一年間に授業の上手な先生と下手な先生では、子どもたちの能力にかなり差ができます。
 そういう意味で、教師の資質を、どう授業力を向上させていくかというのはすごく大事だと思うんですけれども、都の教育委員会は、今後どのようにこれを取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、新規採用教員を対象とした東京都若手教員育成研修を初め、専門性向上研修や東京教師道場等を実施し、教科等の指導力の向上に取り組んでおります。
 特に、東京教師道場では、指導案づくり、検証授業、授業改善を繰り返すなど、二年間の継続的な授業研究を通して、教員の授業力の向上を図っております。
 また、昨年度から、東京都教育研究員制度を設け、将来、東京都の教育研究活動の中核を担う教員が、一年間の研究、研修活動を通して、互いに切磋琢磨しながら授業改善に取り組んでおります。
 今後とも、このような取り組みを通して教員の授業力の向上を図ってまいります。

○野上委員 最後です。若い先生方は、東京都若手教員育成事業、中堅の先生は教師道場の講師とか、教育研究員制度ですか、そういったもので指導力の向上を図っていけると思うんですけれども、かなり年配の先生に対する研修というのはなかなか難しいんですね。
 校長、副校長とかも年配の教師より若かったりするので、なかなかもっと頑張りなさいとかいえなくて、そこら辺の技術を向上させるというのが現場の中でも非常に課題になっているということでございます。
 それから、研究員制度も非常に大切で大事なことなんですけれども、現場を離れて研究活動することが多いので、現場を離れたときのフォローですかね、そういったところも工夫していただきたいということを要望して、終わります。

○原田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十八分休憩

   午後三時五分開議

○原田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○畔上委員 よろしくお願いします。
 まず、都立高校の改革の目的についてです。
 高等学校教育の役割として、自立した社会の形成者の育成を挙げていましたが、その根拠は何でしょうか。

○直原都立学校教育部長 学校教育法第五十一条、高等学校教育の目標に、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うと記されております。これを踏まえるとともに、現在、一人一人の生徒が個性や適性に応じ、自分の能力を最大限発揮して、社会の中で真に自立することができるよう育てていくことが都立高校に求められていることから、自立した社会の形成者の育成を高等学校教育の役割としたものでございます。

○畔上委員 もちろん、日本の未来を担うという点では、社会の形成者としての成長、発達を保障することは重要なわけですけれども、白書を見る限り、社会の要請にこたえる人間をつくる。社会といっても、主に経済、産業面でのいわゆる人材育成を都立高校の教育の主たる目的にしているということであります。これは、高校教育の目的をゆがめて、一面的にとらえ過ぎた考え方だといわざるを得ないというふうに私は思うんです。
 日本国憲法第二十六条では、国民の教育を受ける権利を保障しております。これは、何か定められたものを身につけるとか、それから求められる能力を獲得するということではなくて、子どもの学習権、子どもが学び、成長する権利を保障するということであります。
 現行の教育基本法でも、教育の目的は人格の完成であります。教育というのは極めて文化的であり、精神的な営みを通じて、一人一人が人間的成長を遂げて、個人を確立してこそ社会の一員として積極的な役割を果たす、そういう人間になる。そして、平和的な国家及び社会の形成者として育つことができるというのが教育の基本的な考え方なわけです。教育基本法にも学習指導要領にもない社会の要請にこたえた人材育成を教育の主目的とすることは、非常に狭い、誤った考え方だということをまず基本問題として私は指摘しておきたいと思います。
 次に、都立高校の高校生の能力や意識の現状と課題についてです。
 白書では、近年の日本の若者は内向き志向としていますけれども、その原因は何だというふうにお考えでしょうか。

○直原都立学校教育部長 内向き志向とは、日本人の若者が海外で働くことや留学することを近年、余り望まなくなってきており、国際的に活躍できる人材が減少し、若者の挑戦する意欲が薄れてきていることと認識しております。
 この内向き志向の原因としましては、語学力や留学費用の問題だけではなく、厳しい経済状況下での就職活動の激化、長期化や、留学経験が必ずしも就職等の際に評価されないという社会的背景など、多様な要因が考えられます。

○畔上委員 そもそも海外に行こうとしないことをもって内向きといえるかどうかというのはちょっと疑問があるんですが、それをあえて内向きという評価をするならば、自分の能力に自信が持てなかったり、またチャレンジ精神が弱くなるのはなぜなんでしょうか。
 若いときは、チャレンジして失敗して、そして試行錯誤を繰り返しながら成長するものだというふうに思うんですが、先ほど都教委もおっしゃったように、就職活動の激化や長期化ということで、本当に今の若い世代は、その試行錯誤を繰り返す、そういうゆとりもない状況もあるんだというふうに思います。
 先ほどもお話がありましたが、白書では、都立高校生は規範意識が低下しているということも書いてありました。しかし、この問題でも、じゃ、具体的にどうするのかという課題では、規範意識を高めるための生活指導方法や方針の確立を教育に求めているわけですが、規範意識の徹底をすれば、じゃ、解決する問題かというと、私はそうは思いません。一人一人が、かけがえのない存在として本当に大切にされること、そのことを実感して初めて社会の一員としての自覚も生まれ、人と人とのかかわりの中で規範意識も育っていくものではないでしょうか。上から守りなさいと指導しても、その場は解決しても、本当の意味での本人のものにはならないというふうに思います。
 それから、先ほど、中途退学は減っているけれども、まだ多いというお話もありました。その理由の一つとして、白書には高校進学の目的意識が明確でないまま入学というふうに記載がありましたが、やっぱり都立高校は、今、多種多様な学校がありますが、では選択できるだけの幅があるのかといえば、現実は成績で、このレベルだからこの辺のところといった判断で決まっていっています。しかも、受検したいと思っても、経済的に都立しか行けないから、ランクを下げて確実に入れるところを選択しようというふうに、そういうような現状もあるんじゃないでしょうか。
 本来、子どもの希望や選択が生きていないところをどう都立高校は受けとめていくのかという視点での改革が私は必要だというふうに思っています。そういう点では、今の高校生が置かれている現状をどう見るかということが非常に大事だというふうに思います。
 子どもの貧困率が高くなっている実態はもう明らかになっていますけれども、貧困は経済的な問題にとどまりません。競争社会の中で忙しい毎日に追われて、子どもと向き合う時間が貧しい、そういう家庭、また孤立する親のもとで子どもが追い詰められているという現状もあります。経済的にも精神的にも追い詰められた状態で、とても勉強どころではないという子どもたちの実態もあるわけです。
 さらに、今の若者の二人に一人は正規で働きたくても働けない、こういう現実がありまして、将来に夢と希望をなかなか持つことができない中で、どうやって生きていこうかと、本当に子どもたちは模索しながら懸命に生きているんだというふうに思います。現在の社会状況の中で、高校生が置かれている現状をどう認識しているか伺いたいと思います。

○直原都立学校教育部長 少子高齢社会の到来、核家族化の進行や地域とのつながりの希薄化などに伴い、異年齢から成る集団の中で人間関係を学ぶ機会が不足するなど、多くの若者が孤立感を深めております。
 そのため、若者が社会との関係や人間関係を形成していく力をみずから構築できるよう、豊かな人間性や社会性を育成していくことが課題となっております。

○畔上委員 私は、今、都教委がやるべきことは、今、孤立感を深めているというお話がありましたが、なぜ孤立感を深めているのか、なぜ内向きにならざるを得ないのか、なぜ中退してしまうのか、生徒の置かれている社会環境はどうなっているのかなど、やっぱり子どもたちの置かれている、生徒の置かれている実態をよく理解することであり、未来を切り開くということであるならば、そのことをいうならば、現在の社会環境にいかに合わせていくかということを教えるんじゃなくて、今の社会環境や社会の構造がどうなっているのか、その事実を教えて、子どもたちがそれをどう変えてよくしていこうかと、そのために自分はどうしたいのか、そういうことをしっかり考えていけるようにすること、そのことがやっぱり教育じゃないでしょうか。
 そして、教育委員会がやっぱりやるべきことは、一人一人の教育権をしっかりと保障していく教育条件の整備を進めていくことだと思います。私は、こうした立場で白書をつくっていただきたいと思いますし、今後の施策に生かしていただきたいというふうに思います。
 都立高校の現状と課題についてなんですが、特色ある学校づくりということで統廃合を繰り返し、また学校を特色化させて大変多様な都立高校になったわけですけれども、そのために今どんなことが起こっているか。
 先日の文教委員会では、八王子市内に夜間定時制高校が一つもなくなってしまったということを指摘させていただきましたが、ほかの区市でも都民との要望の乖離が生まれています。北区でも、都立高校四校のうち、全日制の普通科は一つもなくなってしまいました。学区の廃止と特色ある学校づくりなどの都立高校改革によって、このように地域の都立高校が崩れてしまっている現状をどう認識していらっしゃるか伺います。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、これまで都立高校改革を進めていく中で、地域や社会とのパートナーシップを築き、学校が持つさまざまな教育機能を地域や社会に提供する一方、地域が持つ豊かな教育力を都立高校に導入してまいりました。
 具体的には、グラウンドなど、体育施設の開放や、語学、芸術などの公開講座を実施する一方、学校と保護者及び地域の代表で構成する学校運営連絡協議会による外部評価、教科「奉仕」における地域の福祉施設での体験活動など、地域の教育力活用を図り、地域と連携した取り組みを推進してきたところでございます。

○畔上委員 地域との連携というお話でしたが、例えば三鷹市内に唯一ある三鷹高校は、中学からしか入れない中等教育学校になったために、三鷹市内には中学三年生が普通に受検できる都立高校は一校もなくなりました。人口十八万弱の市で、受検できる都立高校が地元の市内にないのはおかしいじゃないか、こういう声も上がっております。
 保護者や子どもたちのアンケート結果を見ましても、都立高校の選択理由というのは、結局経済的な理由と近いということでありました。私自身、これは五年前で申しわけないんですが、子どもの高校受検のときに中学校で説明会を受けて、推薦、一般受検、学校のタイプの説明を受けました。お母さんたちと、都立高校はどうなっちゃったんだろうね、複雑で何だかよくわからなかった、そういう話になりました。結局どういう話になったかというと、近いところで自分の子のレベルで選ぶしかないんだねという親同士の話になりまして、先生と相談して受検したというのが実態であります。今までの学区を越えての進学指導重点校を受検した子は本当にごくごく少数でした。
 学校は選択と競争の時代だとして、都立高校の学区制を撤廃して、特色化、個性化で都立高校を競わせてきた都立高校改革だったわけですけれども、結局都民の求めているのは、基礎学力をしっかり身につけられる学校、近い学校、経済的負担の重くない学校、こういう地域の都立学校だと思うんです。これが崩れてきているのが実態ではないでしょうか。学区廃止は、都民要望とそういった点で乖離しているというふうに思いますが、どう総括されているんでしょうか。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会は、学区を廃止し、それまで大きく制限のあった学区外の高校受検を可能にするとともに、学校の特色化を進め、生徒の学校選択の幅を拡大してまいりました。これらの取り組みによりまして、都民の期待にこたえる高校づくりを推進してきたところでございます。

○畔上委員 選択を広げたというふうに今おっしゃったんですが、子どもたちが選択をするんじゃなくて、実は子どもたちが選択されてしまっているという現実があるというふうに私は思います。
 私の地元の江東区では、やはり区民の要望とか、子どもたちの生活エリアの問題、地域との連携などの問題でいろんな議論が重ねられまして、小学校の学校選択制は見直しが行われました。
 都立高校においても、学区制撤廃によって入試状況がどう変わってきているのか、それから地域の都立高校がどう崩れているのか、そういう検証をしっかり行って、そして都民の要望にこたえる、そういう改善をぜひしていただきたい。そのことを強く求めたいと思います。
 次に、定時制についてですが、三部制の定時制高校について、午後の部の生徒が結果的に欠席が多くなること、それから生活指導、学校行事や部活動などを統一して実施しにくいなどの問題点を白書では述べていますが、どう解決するおつもりでしょうか。

○直原都立学校教育部長 定時制高校の中には、午前部、午後部、夜間部の三つの部から、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて選択して学ぶ三部制の学校が十校ございます。
 これら三部制の高校では、午後の部については、生徒の登校時間が午後からになる場合が多く、午前中の時間を自宅や学校外で過ごすこととなり、結果として欠席が多くなるなどの問題や、部ごとに授業時間が異なることから、生活指導、学校行事や部活動などを統一的に実施しにくいなどの問題がございます。
 都立高校白書で提起したこれらの問題への対応については、今後、生徒や教職員を含め、幅広く都民から意見を聞き、検討を進めていくこととしております。

○畔上委員 ぜひ幅広く意見を聞いていただきたいと思います。
 現場では、昼夜間の場合、共通にはぐくむゆとりがないという声も上がっています。学校生活には、受験のための塾などと違いまして、やっぱりクラブ活動や自主的な活動、交流などの、学力や体力だけじゃなくて、社会性を学ぶ大切な時間と空間が必要だというふうに思うんですが、それがつくりにくいなどの問題意識は、今のご答弁を伺っていて、都教委もあるのかなというふうにわかりましたが、基本的には、無理無理一つの学校に三つのスタイルを押し込めたということから起きた問題だというふうに思います。
 解決をするためには、やはり三部制という形はやめて、全日制と定時制をふやすこと以外にはないというふうに思います。このことを指摘したいと思います。
 それから、白書の四三ページなんですが、社会状況の変化と生徒の多様化に伴い、夜間定時制高校の給食のあり方について検討が必要というふうになっていますが、これはどういう意味なんでしょうか。

○直原都立学校教育部長 夜間定時制の給食は、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律に基づき実施しているところでございまして、働きながら高等学校の夜間課程において学ぶ青年の身体の健全な発達に資することなどを目的としております。
 しかしながら、夜間定時制では、現在、職業についている生徒が減少するとともに、生徒のライフスタイルが多様化して、給食の喫食率低下が見られるなど、事業の趣旨と実態との乖離が進んでいるため、今後の給食のあり方について検討が必要となっているところでございます。

○畔上委員 確かに喫食率の課題があるのは伺っていますが、学校によって違いますし、また、二週間前に予約しないと食べられないなどの手続を難しくしてきた問題があると思います。
 また、以前は自校方式で温かい給食だったんだけれども、今度はデリバリー方式、いわゆる仕出し弁当方式などに変わってしまって、冷たい給食になってしまったとか、業者の時間の都合で、授業開始前の五時から夕食の時間になってしまっているという問題もあると伺っています。
 家庭的な事情や経済的にも、この給食が大事な栄養源であるという生徒がいるのも現実なわけです。今だからこそ、やはり夜間定時制の学校給食の意義をつかんで、拡充する方向での検討を求めたいというふうに思います。
 私は、高校の改革をする上でやっぱり一番大事なことは、現場第一、現場の声を反映することだというふうに思います。それぞれの学校において、子どもたちにとっての学校生活はどうなのか、今後どう改善すべきなのか、やっぱり現場からの検証が非常に重要だというふうに考えます。
 しかしながら、この白書をつくるに当たってのアンケートなんですが、都立高校の現場教職員の意見を聞くアンケートがないのですが、これはなぜなんでしょうか。

○直原都立学校教育部長 都立高校の現状把握に関する調査は、これまで都立高校改革の成果と課題を整理するに当たり、都教育委員会が五年に一度実施してきた都立高校に対する都民の意識調査の対象範囲を拡大して実施したものでございます。
 都立高校の教職員の意見は、学校の実態に応じたきめ細かな支援を行っている学校経営支援センターとの日ごろからの情報交換や、都教育委員会が実施している学校経営診断における教員を対象としたヒアリングなどにより把握しているところでございます。

○畔上委員 私は、やはりアンケート等を含めて、あらゆる形で現場の声を丁寧につかむことが大事なんだというふうに思うんです。
 都教委は、これまでも、学校経営の適正化についての通知で、教員が職員会議で意見がいいにくくなって、生徒への教育にもよくない状況になっているという批判が上がったときに、校長と副校長だけから面接で聞き取りを行って、その結果、問題ないという発表を行ったことがありましたよね、それが二〇〇八年でしたけれども。
 それに対して市民団体が教員にアンケートを行って、今の都立高校は、生徒のためにこうした方がよいと思うことがあっても、非常に意見がいいづらい、教職員集団は上意下達で自由に発言できない環境があって、生徒たちに自由な発想を持たせて伸び伸びと発言させる教育は本当にそれでできるんだろうかなどの、都立高校の現状と未来を憂うような声がたくさんありました。新聞でも大きく取り上げられました。
 教員というのは、やっぱり子どもたちに直接接している専門職としての責任、そして権利があり、教育政策の決定にも関与すべきというのが国際的な常識になっているわけです。ぜひ調査をして、現場教職員の意見も含めてきちんと都民に公開して、議論していく、そういう姿勢こそ重要だと思いますので、その点もあわせて求めておきたいと思います。
 最後に、都立高校の増設についてです。
 これまでも都立高校を増設する必要性を繰り返し委員会でも求めてまいりました。しかし、都教委は、増設しなくても臨時増学級で足りるというふうにしてきました。
 このたび出た白書の九九ページの資料では、さらに先々までの見通しが出ておりました。ことしからふえ続け、平成三十三年度以降もずっと大幅にふえ続けるということになっています。
 私学が授業料無償になって、私学にも行けるようになっていくなら別なんですけれども、現状で考えれば、都立高校の普通教室が不足することは明らかだと思うんです。白書では、十三年後は今よりも六千人近く子どもがふえるんだという見通しを立てています。
 都立高校をふやさないで受け入れられるというなら、その具体的な根拠を明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○直原都立学校教育部長 都立高校では、一校当たり三学年合計最大二十四学級程度で募集学級数を定めることとしておりまして、教育人口等推計による都内公立中学校卒業者の今後の推移をもとに、現状の公私間合意による計画進学率、公私分担比率で推計すると、現在の学校数で対応可能であると考えております。

○畔上委員 この六千人で考えますと、都立の枠で考えますと、今の分担比率で考えれば四千五百、百十三学級ふえるということになるわけですね。それは十八校分になるわけです。
 その十八校分の教室が必要なのに、どこにそんな教室をふやすことができるか。そういう根拠も明らかにせずに対応可能などというのは、私は大変無責任なご答弁だというふうに思います。
 自由選択授業がふえてきている中で、視聴覚教材室、それから特別教室の役割が大きくなっているわけですね。今でも普通教室が足りないとして、どんどんつぶしているわけですけれども、臨時的な措置などといえるような状況じゃないことについては前回の委員会でも指摘してきたところですけれども、都教委の教育方針からいっても私は問題だというふうに思うんですね。
 学力の向上対策ということで、都教委は少人数の授業をふやしていく方向なのに、その物理的な条件も整備されない、むしろ縮小の方向、そうなると矛盾してくるんじゃないでしょうか。教育条件をきちんと整備するのが、本来、都教委の役割だというふうに思います。
 小中学校の保護者の今回のアンケートでも、都立の希望は八割に上っていました。都立高校無償化でますます都立志向は強まっているのが現状なわけです。
 もちろん、何度も申し上げていますように、私学助成を抜本的に拡充して、私立も公立も選択できるようにすることは大前提でありますけれども、現状において、お金があるなしにかかわらず、また学力があるなしにかかわらず、本当に希望するすべての子どもたちの高校教育を保障する、行き場のない子どもたちをつくらない、そういう基本的な立場をしっかりと明確に持った都立高校改革を進めていくことが私は重要なんだというふうに思います。
 今、大震災や、それから原発事故等、日本は戦後最大の困難に遭っているわけですけれども、こういう今こそ、これから生きていく若い世代の人たちが安心して希望を持って学び、そして生きていけるように、都立高校の役割を十二分に発揮していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○星委員 それでは、よろしくお願いをいたします。
 私も都立高校白書について、そして、この白書のベースとなりました都立高校現状把握調査について何点かお聞きをしたいと思います。
 都立高校白書をまとめるに当たって、さまざまな調査を行ったと聞いています。その中で、都民ニーズの把握をするために、都立高校の現状把握に関する意識調査を行ったと聞きましたが、前回の調査では対象としていなかった就職先企業、進学先大学、専門学校、小学校保護者、小学、中学校長まで調査対象を拡大しています。その理由はなぜなのでしょうか。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会は、生徒、保護者を初めとする都民意識の変化を把握し、都民の期待にこたえる高校づくりを推進するため、これまで平成八年、十三年、十八年に都民意識調査を実施してまいりました。
 今回の都民意識調査では、平成九年以降進めてきた都立高校改革の成果と課題を整理するに当たりまして、高校入学前段階である小中学校の校長等、また高校卒業後の進路先である大学、専門学校や就職先企業を含めて、都立高校に対する評価や期待をより広範に把握する必要があることから、対象範囲を拡大して実施したものでございます。

○星委員 この間の都立高校改革の成果と課題を整理するために、都立高校に対する評価や期待を広範に把握することから対象を拡大したというお答えです。
 それは一定理解するところですが、生徒の学校生活、ひいては学習面だけではなくて、家庭の状況だとか生徒の生活の状況まで、一番感じ取っている現場の校長先生や教師に今回調査をかけなかったということですが、質問させていただこうと思ったんですが、前段、畔上委員が質問されていますので、ちょっと意見にかえさせていただきたいと思いますが。
 今のやりとりのお答えでは、学校経営支援センターや学校経営診断を通して、あるいは主幹教諭を通して日常的に現場の意見を聞いているから、特別に調査対象にしなかったということの理解をしたんですが、実は、こんな調査や白書のことを、私も都立校の教師をしている友人が何人かいるものですから、事前にお伺いをしました。数人の方に尋ねてみたところ、全く知らないというような答えが返ってきました。私は驚きました。
 しかし、驚いたということにはもう一つ理由がありまして、知らないということだけではなくて、そういった調査は恐らく日ごろからいろいろ行われていて、校長や主幹はかかわっているんだろうという彼らの非常に冷めた反応ですね。このことに対して非常に私は驚いたんです。
 なぜならば、現状と課題の調査に関しても、白書に関しても、そして都民のニーズ、生徒のニーズに関しても、常に教師の資質の問題ということがいろいろ取りざたをされているわけですから、自分たちのものに第一なっていないということは大変問題だなというふうに私は思いました。
 情報の共有が学校の中できちんと行われているのか、このことが非常に疑問なんですね。改革の成果の課題に教師の意識改革ということが挙げられていますが、教師ばかりが問題ではなくて、都教委と一部の管理職と意思疎通ができていても、一人一人の教師に改革の成果と課題や白書の目的などが理解されていなければ、私は今後の教育の現場で決して反映されていかないというふうに思いますので、このことをとにかく改善するように申し上げておきたいと思います。これは意見です。
 次に、それぞれの対象者の設問項目はどんなねらいで設定されたのでしょうか。

○直原都立学校教育部長 まず、都民全体を対象とした都民意識調査では、都立高校に対する意識の変化について把握する必要があることから、都立高校の印象や都立高校を選んだ理由、都立高校に対する満足度など、調査項目を幅広く設定いたしました。
 生徒を高校へ送り込む側である小中学校の校長や保護者を対象とした調査と、都内公立中学生を対象とした調査については、進学に対する意向などを把握するため、新たなタイプの高校に対する認知度や、希望進路及びその理由などを調査項目として設定いたしました。
 現役の都立高校生を対象とした調査では、今後の都立高校改革に向けた検討に資するよう、教員の印象や都立高校への満足度などを調査項目として設定いたしました。
 また、都立高校の卒業生を受け入れる側である就職先の企業や都内の大学、専門学校等を対象とした調査では、今後の進路指導などに活用するため、採用する際に重視することや、都立高校に期待する役割などを調査項目として設定してございます。

○星委員 この白書も、もちろん大変興味深いんですけど、事前に行われた調査というものが、都教委の今の考え方とかねらい、いわゆる設問がかなり誘導的ではないかなというふうに非常に私はうがった見方をする部分がありまして、それはある意味で、いい意味でも悪い意味でもなんですけれども、例えば、実際に都立校生を受け入れた就業企業への調査の中で、設問の中に、就職させるために教員みずからが何度も会社に足を運び非常に熱心だったかということだとか、電話連絡や書類のやりとりのみで非常に事務的だったのかとか、非常に聞き方が細かいんですね。
 このことに対して私は感心したんですが、残念なことに、こういった何度も会社に足を運んだ熱心な教師というのが全体の一割しかいないということも明らかになりました。
 私たちが以前から指摘するように、経済状況が厳しい中にあって、高校卒で就職ということを決めた生徒に対し、地方では、就職できない生徒に対して卒業後も熱心に学校や教師が骨を折ってくれているそうです。そうすることによって教師や学校への信頼や愛着が生まれるのだと思います。
 ただ、これも実際に現場の声を聞いてみますと、特に半数近くが就職をするという都立の普通科校なんですけれども、夏休みの前にやってくる求人票の絶対数がとにかくこの不況で年々減少し、非常にパイが少なくなっているというのが現実だそうです。そういったために、縁故とか自分で見つけてくる仕事というものになっていくわけですけれども、そうなってくると、どの程度学校がかかわるのか、教師がかかわれるのか。
 これはケースによって違うと思いますが、本人のどうしても希望ということになってくると、ある意味、いわれているところのブラック企業というか、怪しげな会社に入ってしまったり、いろいろな面で泣かされることにもつながりかねないので、私は、教師に熱心さを求めるということだけではなくて、産業労働局などとも常に連携をとりながら、パイを少しでもふやす努力や、あとキャリア教育、職業教育、そして、今とても欠けているといわれている若者への労働基本法の徹底、こういうことも含めて就活の取り組みを強化させていただきたいと思います。これは強く要望させていただきます。
 次に、都立高校を選んだ理由について、高校生、保護者とも選んだ理由のトップは、先ほどもやりとりがありましたが、学費が負担できる範囲であること、そして自宅から近いということでした。私は、特に障害がある生徒や定時制を希望する生徒のニーズに対して東京都は今後どうこたえていくのかお聞きしたいと思います。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、これまで地域バランスを考慮しつつ、新しいタイプの高校を設置するなど、都立高校を適正に配置してまいりました。こうした取り組みは、生徒の進路希望や能力、適性、興味、関心等に対応し、一人一人の個性を生かすことができる都立高校の実現を目指して進めてきたものでございます。
 なお、定時制の募集枠につきましては、第一次募集の応募状況等から判断して、当初から定時制を希望する生徒の受け入れ枠は確保していると考えております。
 今後も引き続き、これまでの都立高校改革の成果を踏まえた新たな改革に取り組み、都民の期待にこたえる高校づくりを一層推進してまいります。

○星委員 それでは、最後に、都立高校の特別支援教育のことについてお聞きしたいんですが、都立高校白書では、都立高校の特別支援教育では個別の教育支援計画や指導計画がほとんど進んでいないとされていますが、この理由はなぜなのかお聞かせいただきたいと思います。

○坂本指導部長 都立高校における特別支援教育の必要性を踏まえ、現在、すべての都立高校において特別支援教育コーディネーターが指名され、校内に特別支援教育に関する検討委員会が設置されております。しかし、多くの都立高校においては、個別指導計画や個別の教育支援計画に関する理解や経験等が不足しているため、これらの計画の作成と活用が十分に進められているとはいえません。
 そのため、都教育委員会では、都立高校における特別支援教育に関する委員会を設置しまして、これまで取り組んできたチャレンジスクールやエンカレッジスクール等におけるモデル事業の成果を踏まえ、個別指導計画や個別の教育支援計画の作成と活用を推進するための検討を進めているところでございます。

○星委員 特別支援教育第三次計画を出されましたけれども、やはり子どもたちが本当に幼児期からずっと継続した支援というものが求められていく中で、小学校や中学校ではそれなりにサポートしていただいているけれども、受検という選抜というところになってくる場合、特に発達障害をお持ちの生徒さんは知的なおくれがないということで、入学試験には受かって入ってくる。しかしながら、やっぱり集団生活になじめないというところの中で、いろいろなリスクをしょいながら、結局は実態としては保健室登校になってみたり、あるいは不登校になってみたりというようなことをちょっとお伺いしています。
 一定程度、必ずいらっしゃるというようなことがありまして、またさらに、その先の大学の進学や就職ということを心配する余りに、子ども自身も親自身もそのことを余り認識したがらないというか、明らかにしたがらないというようなこともあるようです。
 それは、なぜそういうことを申し上げるかというと、ある大学で今、非常にそのことが問題になっておりまして、いざ社会に出ようとするときに、就職活動で、いわゆる社会性が身についていない、協調性とかコミュニケーション能力などに問題が見られて、それでなくても厳しい就職活動の中で、なかなか仕事が見つからないと。こういった壁に大学生になってぶち当たる。
 実は、もっと早いうちからいろいろな手だてをしていて、それなりのサポートを受けていれば、そういったことは本当は起こらなかったんではないかということもあって、大学自身が今、発達障害の学生の就労支援を強化するという研究も、プロジェクトも始まっているというふうに聞きました。
 一方で、きめ細かな学びや訓練を保障してくれる特別支援学校の入学希望というのは非常にふえています。私は、普通校においても、第三次計画におけるすべての学校における特別支援教育をうたっているのだから、早急な都立校の対策をとっていただきたいと思います。特別支援教育に対して、特に教師の認知度が余りにも低いんではないかなと。
 先ほども、前段、たしかありましたけれども、やっぱり教師の研修とかコーディネーターの力量の向上、あるいは、何度も申し上げますけれども、この問題意識に関しての教師全体の問題意識の共有ということをしていただきながら、多様な生徒の受け入れが可能となるように引き続き努力をお願いして、質問を終わります。

○新井委員 私からは、都立高校白書の八四ページから八七ページに記載されていますICT化と情報セキュリティーについてお伺いします。
 まず、都立高校における教育の情報化についてお聞きします。
 平成二十年の都立学校ICT計画により、すべての都立学校にタブレットPC、電子情報ボックス、プロジェクターが配備され、教員一人一台のパソコンが配備されました。このように配備された教育用ICT機器、学習コンテンツを活用して、わかる授業や魅力のある授業を行っている学校がふえていると記載されています。
 そこで質問ですが、都立学校ICT計画のかなめとなる学習コンテンツ活用システムに蓄積されている学習コンテンツとはどのようなものかお伺いします。

○坂本指導部長 学習コンテンツとは、教員が一時間の授業の中で活用する電子教材のことでありまして、例えば英語では、提示した英文と連動してネーティブスピーカーの発音を聞くことができる教材、家庭科では、調理や裁縫の手順とともに動画が見られる教材などであります。児童生徒の興味、関心を高め、より一層わかりやすい授業の実践に役立つものであります。
 都教育委員会は、平成二十一年度から学習コンテンツを蓄積しまして、全都立学校間での共有化に取り組んでまいりました。その結果、現在蓄積されている学習コンテンツは約二千に上ります。

○新井委員 この数年間だけで授業で活用できる学習コンテンツが二千コンテンツ、多数蓄積されていることには大変評価ができると思っています。そのことによる効果についてお伺いします。

○坂本指導部長 学習コンテンツは校種別、教科、科目別に蓄積され、教員がそれぞれの授業の目的に応じてすぐに活用することができ、教員の負担軽減につながっております。また、自校の児童生徒の実態に応じてつくり変え、学習コンテンツ活用システムに新たに登録することで、すべての都立学校の教員間で共有することもできます。
 こうしたことから、教員がよりよい教材をつくろうとするなど、互いの力量を高め合う場ともなっております。その結果、ICTを活用した授業改善が促進され、授業の質の向上に資する効果が上がっております。

○新井委員 教育ICT機器がすべての都立高校に配備され、学習コンテンツ活用システムに設置された学習コンテンツがネットワークにより全校に共有され、ハード、ソフトともに大変評価できるんですが、高校改革白書によりますと、生徒約三割がICT機器があることを知らなかったり、ICT機器を活用した授業を余り受けていなかったりする状況が見られるとの記述がありました。とても残念に思います。このことを改善するための取り組みについてお伺いします。

○坂本指導部長 都教育委員会は、学校への聞き取り調査を実施して、先進的な活用事例や、より活用を促進するための課題について明確にし、学校経営支援センターへの資料提供を行っております。
 また、すべての都立学校の教員を対象に、ICT活用指導力を高める研修を体系的に実施するとともに、教員が作成した学習コンテンツの質を競い合うコンテストを行い、スキルアップにも取り組んでいるところであります。
 その結果、白書に記載された調査結果と約六カ月後の調査結果を比較しますと、一校一週間当たりの平均活用時間は約一四%伸びており、ICT機器を活用した授業を受けていない、あるいは余り受けていないと回答した生徒の割合も五ポイント以上改善しております。
 今後とも、各学校におけるICT機器を活用した授業がより一層活発となるよう、これらの取り組みを継続してまいります。

○新井委員 平成二十三年三月の文部科学省による学校における教育の情報化の実態等に関する調査から白書に抜粋された、都道府県別教員のICT活用指導力の状況を見ますと、東京都の順位がどの項目も低い状況になっています。東京都の取り組みを見ますと、まだまだよい成果が出る可能性があると思っています。
 機器を効果的に使用する仕組みづくり、ICT機器を活用した授業がより一層活発になるような体制づくりを整え、教員のICT活用指導力を向上させ、都立高校における教育の情報化発展を望みたいと思います。
 次に、情報セキュリティー事故防止についてお伺いします。
 都立高校は、生徒の成績や健康診断の記録、保護者の情報など、重要な個人情報を多数扱っていますので、その管理、扱いについては十分配慮しなければならないと思っております。
 都立高校白書の東京都における年度別情報セキュリティーに関する事故件数によりますと、東京都全体の件数と都教育委員会の内数が、平成十九年度が十七件中八件、平成二十年度が十三件中六件、平成二十一年度、十一件中七件、平成二十二年度、十件中三件と、東京都では、白書の情報セキュリティーに関する事故が多く発生しており、そのうち、都教育委員会の占める割合が大変高くなっております。情報セキュリティーに関する事故の多くが、持ち込み禁止の私物USBメモリー等の紛失によりますものと聞いております。
 そこで、これらの事故防止の具体的な取り組みについてお伺いします。

○直原都立学校教育部長 都教育委員会では、成績など、生徒の個人情報を日常的に扱う学校の実態を踏まえ、電子媒体による個人情報の適正管理を定めたセキュリティーポリシーを整備しておりますが、一部の教員による個人情報の紛失事故が発生しております。
 このため、事故の根絶を目指して、自宅への成績情報の持ち運びなどによる事故発生を防止するために、臨時校長会の開催などを通じまして、私物USBメモリーの持ち込み禁止の徹底や、教職員のセキュリティー意識の向上を図ってきたところでございます。
 また、成績情報の持ち出しができないサーバーの導入を初めとしまして、私物USBメモリーが使えない環境の構築など、システム的な対策を講じているところでございます。
 引き続き、既存の機器についてもUSBメモリーが使えない環境を構築するほか、研修の強化など、情報セキュリティー対策に万全を期してまいります。

○新井委員 成績等管理サーバーによる集中管理により、データを持ち出すことができないサーバーの導入や、私物USBメモリーが使えない環境の構築により、システム的な対策には評価ができると思っています。
 しかし、一番大切なのは、情報の取り扱いに対する都職員のセキュリティー意識の向上です。セキュリティーに関する意識をさらに向上させ、情報セキュリティーに関する事故件数ゼロを目指して、今後も対策に万全を期することを願いまして、私の質問を終わりにします。

○中山委員 まず、白書全体に関する印象でございますけれども、とかく、行政の取り組みは、やりっ放しの場合があるというように批判を受ける場合がありますけれども、都教育委員会は、平成九年に開始された都立高校改革推進計画によりまして、国に先駆けて魅力ある都立高校改革に乗り出して推進されてきました。今回、白書を通じて、その成果を真摯に見詰め直す取り組みに挑戦された点を評価したいと思います。
 白書を作成したこと自体も評価に値すると思いますけれども、私は、中身もすばらしいのではないかと思っております。私の個人的な評価で恐縮でございますけれども、共感できないような記述は一カ所もございませんでしたし、中には、よく踏み込んで、ここまでよく書き込んだものだなと感心した記載も幾つかございました。
 都議会公明党は、さきの平成二十三年第一回定例会本会議の代表質問で、国際的な大競争の時代、日本は、やはり人材が資源であり、将来の日本と東京を展望して、教育の質を高めていく必要性を求めております。
 激動の中をたくましく生きる力を身につけさせ、一人一人が都立高校に入学してよかったと思える学校づくりを今後も行っていただきたいと思いますし、さらに、白書にちりばめられましたいろいろな指摘を単なる作文で終わらせずに、課題解決の具体策をぜひ着実に今後積み重ねていただきたいと思います。
 当然、現時点では、白書をまとめ上げたばかりですから、具体策をお尋ねするのはまだ時期尚早であるかもしれませんけれども、まずは、せっかく白書で指摘された重要な分析を見過ごしてはならないと思いますので、都立高校改革をさらに進めていく上で必要な論議の一助となる願いを持ちまして、何点か質問させていただきたいと思います。
 まずは、生徒の学力についてでございます。
 生徒が生涯にわたり学び続けるためには、何にも増して基礎学力の定着が必要であります。昨年度から、都教育委員会は、都立高校生の学力向上を図るために、学力の実態を把握し、入学から卒業までの到達目標を定めて、実態に即した教科指導を行う都立高等学校学力向上開拓推進事業を、推進校を十五校指定して、実施されています。
 私は、ことし三月の文教委員会でも、この事業の概要について質問したところでありますが、改めて、昨年度から行われている学力向上開拓推進事業の取り組みとその成果についてお伺いいたします。

○坂本指導部長 昨年度指定した学力向上開拓推進校十五校では、入学選抜等のデータ分析に基づく生徒の学力の実態把握、到達目標などを定めた学力向上推進プランの作成及び授業改善などを継続的に実施することで、生徒の学力向上を図る組織的な取り組みが行われました。
 推進校からは、生徒の学力について具体的なデータ分析に基づいて把握しようという共通認識を一層深めることができ、教員の意識が高まったなど、成果が報告されております。

○中山委員 学力につきましては、白書の七ページ、八ページにある記載が重要と考えております。
 七ページでは、大学全入時代の到来と大学入試制度の多様化という要因に触れ、大学進学実績が向上したことをもって生徒の学力が向上したとは必ずしもいい切れない状況になってきたと言及しています。
 ここでいう多様化とは、八ページでも触れているAO入試などのことではないかと思いますが、白書の八ページでは、七ページの認識を踏まえ、教員間で学力の定義とその定着、向上について共通認識を持つことが難しい状況にあると指摘しています。その意味で、今のご答弁は、事業の取り組みの成果が共通の意識が高まったということは、大変大事な成果が出たということだと思います。
 昔は、大学進学そのものが、ある意味、本当に意味があったかどうか、よい悪いは別にしまして、大多数の賛同を得やすい、いわば市民権を得た物差しとなっていたと思います。
 しかし、今日では、いわゆる難関校の合格者の推移を一つの指標とする進学指導重点校や推進校、または進学指導重視型の単位制高校、一部の中高一貫校を除けば、それぞれの都立高校で取り組んだ教科指導がどう成果を上げたのかを学校側としても数値としてつかみにくいし、第三者的にもわかってもらいにくいという課題を抱えています。
 都立高校の中で一番多い数の生徒が通う、いわゆる普通科の中堅校では、どこも押しなべて、多かれ少なかれ、こうした悩みを抱えて、日々呻吟していらっしゃるのではと推察しております。
 学校当事者は、そうした分厚い壁の存在を十分認識、自覚されていると思いますので、都教委を初め、何よりも私どもの方がよくわきまえて、その打開に必要な、適切な手が打たれるよう環境整備に努めなければならないと考えております。
 そこでお伺いいたします。先ほどのご答弁で、推進校十五校の現状の取り組みはわかりましたが、この事業は、今年度から、推進校や進学指導重点校などの一部の学校だけではなく、すべての都立高校で行われていると聞いております。その意味で、ことしから全校で実施する学力向上開拓推進事業の具体的な支援の中身をお伺いいたします。

○坂本指導部長 都教育委員会では、本年六月に学力向上推進協議会を開催し、各校の取り組み状況に関する情報交換や、昨年度から事業実施した推進校の成果について報告を行いました。
 今後は、推進校の取り組みについて、新たに外部の有識者を交えた検討委員会で評価、検証を行い、その結果をまとめた報告書を全校に配布するなどして、各校の学力向上に向けた取り組みの改善充実が図られるよう支援してまいります。

○中山委員 今のご答弁にありました推進校の取り組みについて、新たに外部の有識者を交えた検討委員会で評価、検証を行い、その結果をまとめた報告書を全校に配布するという取り組みが、いわゆる中堅校各校の今後の成否を左右する重要なかぎになるのではと考えております。
 すなわち、入学時の生徒一人一人の学力の現状を正確に認識し、それに応じた学力目標、指導内容をチームで検討し、成果を共通して吟味、評価を分かち合うという体制の確立であります。
 すべての都立高校で事業が開始されて一年目ということでありますけれども、年度の終わりには必ず取り組みの成果を分析し、その結果を次の年度の施策展開に役立てるなどして、確実に生徒の学力向上に資するよう取り組みをお願い申し上げます。
 本取り組みが成功すれば、多くの学校、できれば全都立学校で同じ取り組みが進んでいくということになります。白書の八ページに記載がありますような、生徒一人一人が都立高校生活を通じて得られる自信や、社会がアプリオリに期待している基礎学力の習得につながり、大きくは日本の復興にもつながると考えております。
 次に、都立高校におきますキャリア教育の現状についてお伺いいたします。
 私は、社会経済がグローバル化する中で生徒がたくましく生きていくためには、より高度な知識、技能の習得や、社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現できるよう、社会的、職業的自立のために必要な能力や態度を身につけることが重要だと考えております。
 しかしながら、白書の中で示されている都立高校生意識調査の結果によりますと、将来についてはっきりとした目標を持っていない生徒が約四割にも達しております。
 以前にも申し上げましたが、私は、農業、工業、商業、家庭、福祉といった専門高校は、学校の教育課程の全体がいわばキャリア教育となっているわけであり、力点は、むしろ普通科高校の方に置くべきと申し上げてまいりました。
 普通科高校におきますキャリア教育の課題の一つが、生徒の社会的、職業的自立の不足という現実であります。核家族化、非正規職の増大、非婚化、住みなれた地域からのものづくり産業の減少などの社会的要因もさまざまに考えられますが、結果的に、白書の二五ページ、四九ページ、五七ページ、五九ページなどに繰り返し記載されている、卒業時段階での進路未決定者の割合が多いという点が課題であります。
 中退者の減少など、高校全入時代に対応した間口の広い都立高校の取り組みは、当然、一定の評価に値します。
 今後は、一方で、生活力という切り口での評価においても一定の成果をおさめられる都立高校改革とならなければならないと思います。親の面倒を見たり、子どもを育てたりするなどの責任感や、そのために必要な生活力を育てることができる都立高校とならなければ、どんなにいいわけを並べ立てても、百年前の日本の方がよっぽどよかったということになってしまいかねません。
 そこでお伺いいたします。都立高校白書で、生徒の社会的、職業的自立に向けた課題が見られるとありますが、都立高校におきますキャリア教育のこれまでの取り組みと今後の取り組みについてお伺いいたします。

○坂本指導部長 すべての都立高校では、年間指導計画に、大学への体験入学や、企業における就業体験、卒業生や企業経営者による進路講演会を取り入れるなど、教育活動全体を通じてキャリア教育を行っております。
 都教育委員会は、すべての学校のキャリア教育推進者を対象とした連絡協議会を開催し、すぐれた実践事例を紹介するなど、学校でのキャリア教育の推進を支援するとともに、今年度設置したキャリア教育開発委員会で、社会人、職業人として自立した人材の育成のあり方について研究しております。
 今後は、この開発委員会の報告会において、PTA、経済界、関係行政機関などと意見交換をする機会を設けるなどして、学校、地域、企業が一体となったキャリア教育を推進してまいります。

○中山委員 大変よいご答弁が詰まった内容ではなかったかと思います。
 今年度設置されましたキャリア教育開発委員会での意見交換会などをぜひマスコミにもオープン化していただいて、もうそれこそ都の外郭団体のテレビやラジオなどにも生中継させるぐらいの勢いで取り組んでいただきたいと思います。
 今ほどのご答弁の中で卒業生という単語が聞こえてまいりました。私は、従来から、都立高校におきます同窓会の活用の重要性を指摘してまいりました。卒業生が就職、離職、あるいは再就職、結婚、子育てといった人生の節目に立ち返るべき原点としての母校の役割を都立高校も担える仕組みを講じるべき、また、そうしたことにも努力していただける教員の幅広い取り組みを特段に評価すべきだと、機会あるごとに訴えてまいったつもりでございます。
 白書の二五ページにも、一定期間、卒業年限を超えて指導を継続するなど、社会人として自立していくために支援していく必要がある旨の指摘があります。この指摘は、直接には卒業時の進路未決定者向けのものでございますけれども、私は、より幅広く、卒業生全般を対象にとらえてもよいと考えております。
 ただ、とても現役の教員の方々だけでは賄い切れません。そこで活用すべきは卒業生であり、その母体となる同窓会組織の充実が望まれます。
 小中学校は、選択制という近年の課題はありますが、やはり地域という視点が、長い意味で学校経営を応援していただける手だてとして重要でございますけれども、高校は、どう考えても同窓会ではないのかなという気がいたします。
 一方で、同窓会はあくまで任意団体でありますし、また、とかく役員構成が固定化しやすい。また、一たび固定化してしまうと、その弊害は、外からの取り組みではなかなか改善しにくいという課題があることも承知しておりますが、キャリア教育という視点からの同窓会の活用という取り組みは、一般都民にも賛同を得やすいものでありますし、施策に位置づける妥当性にもかない、適切な関与、支援を講じやすいものではないかと考えております。
 無縁社会が進む中では、あえて人と人とを結びつける施策を充実させなければ、都立高校におきますキャリア教育に広く社会全体の協力を得ていくことはなかなかできません。今後も、キャリア教育のさらなる充実を目指し、お願いをいたします。
 次に、経済社会のグローバル化の進展に対する生徒の意識についてお伺いいたします。
 新興著しいアジア諸国との競争など、激しく変化し、厳しさを増す、我が国を取り巻く社会情勢の中で、みずからの能力を発揮し、たくましく生きる人材の育成が不可欠となっています。
 しかし、現実には、これらの我が国の担い手たる若者には海外留学する日本人学生が減少するなど、先ほどありましたけれども、いわゆる内向き志向や、変化に応じて積極的にチャレンジする意識に乏しい安定志向が指摘されております。
 では、なぜ今、安定志向を問題視するのかと申し上げますと、はっきり申し上げて、日本が今、右肩下がりになっているからにほかなりません。日本古来のよいものを見直し、持続し、自分らしさを見失わないといった視点は、これからもまことに大切でありますが、同時に、右肩上がりの経済成長の時代には、だれかについていくだけでも幸せなあすが約束されていたかもしれませんけれども、これからの日本は、必ずしもそうなるとは限りません。
 将来、子どもたちが日本を支え、世界で活躍するためには、世界を知り、世界に飛び出す覚悟や、どの国の人々と一緒に仕事をしても、強いリーダーシップを発揮したり、厚い信頼をかち得るような人材に育成していく必要があると痛感しております。
 そこでお伺いいたします。都立高校白書によりますと、若者の間に、海外に出て学ぼうとする生徒の減少があるなど、いわゆる内向き志向や、社会の変化に応じて積極的にチャレンジする意識に乏しい安定志向が広まっているとのことでございます。このような現状をどのように受けとめるか、見解をお伺いいたします。

○坂本指導部長 都立高校生を対象とした意識調査の結果では、約半数の生徒が留学に興味を引かれない、能力に自信がないなどの理由から、留学に対し否定的な回答をしている現状があり、このような内向き志向を打破し、より高い目標にチャレンジする都立高校生を育成していく必要がございます。
 一方、平成二十二年度には、四十四校八十七人が海外留学を、三十五校三千百三十九人が海外語学研修や海外修学旅行に参加しており、外国の文化や生活等に直接触れることで、自国及び世界の伝統文化の理解、表現力、コミュニケーション能力の育成に有効な機会となっております。
 今後は、世界を視野に入れた活動の楽しさを学ばせたり、海外生活にも対応できるコミュニケーション能力を身につけさせたりするなど、海外で活躍する意欲ある生徒を育成してまいりますとともに、社会や企業に対して生徒の海外経験の有用性を積極的に発信していくことで、海外留学にチャレンジしようという生徒の意欲を後押ししてまいります。

○中山委員 楽しさが入るというのはすばらしい視点ですね。ぜひ、経済的、いろんな状況がある子どもたちも通える都立高校で、そうした取り組みを進めていただきたいと思います。
 都立高校を通じて世界に通用する日本人を育てるという視点は、極めて重要であります。必要は発明の母といわれますが、日本人が苦手とされる語学も、海外に広く視点を持つ環境に身を置かれれば、必ず、おのずと身につくチャンスが広がると考えます。
 また、当然のごとく、世界から日本を見詰め直すことによって、日本のよさを改めて深く自覚する機会にもつながると思います。
 グローバル時代に対応できる見識の広さとたくましさ、私は、こうした視点を都立高校生が身につけることも、先ほど申し上げました、キャリア教育の広い意味での役割の一つであると考えます。そうした意味で、一人一人の都立高校生に応じたキャリア教育をどう適切にコーディネートしていくか。
 先ほど学力向上開拓推進校に関する質疑で触れましたように、入学時と卒業時とを比較して、生徒一人一人の次元で、自立心や生活力、意欲的な人生設計が大きく明確に育つことを都立高校共通の全体の取り組みとすべきと考えます。
 都教育委員会は、これまで、特色のある都立高校づくりを目指し、さまざまなタイプの都立高校の育成に取り組んでこられました。私は、そうした取り組みは、都立高校に求められた多種多様な要求にこたえるための必要な改革であり、一定の成果を上げてきたと評価いたします。
 大切なことは、今後は、それぞれのタイプの学校ごとに、取り組みの成果を生徒一人一人の入学から卒業までの成長した歩みとして結実させていくことであり、それぞれの学校ごとの取り組みの充実であります。
 都立高校としてのタイプは、それぞれの学校、異なるかもしれませんけれども、学力の向上やキャリア教育の推進などの取り組みを具体に進めるための道筋は共通しております。
 校長のリーダーシップのもとに、より多くの教員が目標や問題意識を共有し、協力していくことが不可欠となります。そのためには、校長は、その学校で実践しようとする学校経営の理念をわかりやすく示して、一緒に働く教員に理解してもらわなければなりませんし、また加えて、それぞれの教員の能力を効果的、最大限に引き出す努力を注がなければなりません。
 都立高校の教員は、優秀な人材が多く集まっていると信じたいと思っております。そうした教員の皆様は、ある意味、一国一城のあるじなわけでありますから、校長の学校経営の理念に共鳴して、教員一人一人の能力を引き出す手腕に感服してこそ、チームとしての、それを組織的といってもいいかもしれませんけれども、共同作業としての学校改革が、個々の生徒の成長の上で成果を上げるんだと思います。
 そうした意味で、都教育委員会では、校長のリーダーシップによる組織的な学校経営を進めるため、これまでに、職員会議の補助機関としての位置づけの明確化や、副校長の設置、学校経営の中枢機能を果たす企画調整会議の設置など、学校経営組織の枠組みを整備されてきました。
 いうまでもなく、学校教育の成否は、教育に直接携わる教員に大きく左右されます。これからの時代に求められる学校教育を実現していくためには、教員の資質、能力の向上、すなわち、秘められた力をいかに引き出すかという視点がますます重要となってまいります。
 見方を変えれば、校長が組織的な学校経営を継続させる上で発揮すべきリーダーシップと、個々の教員に対する効果的な人材育成の取り組みとは密接不可分、いわば同義語とみなすべきと考えます。そこで、人材育成における都の取り組みについてお伺いをいたします。

○白川人事企画担当部長 人材育成は、管理職の最も重要な責務であり、各学校において、校長の責任のもと、その推進体制を確立する必要があります。
 都は、これまでも、主幹教諭及び主任教諭制度の導入により、学校が組織として人材育成を進める仕組みを構築してまいりました。
 さらに、加えまして、人材育成基本方針及び職場内研修の指針であるOJTガイドラインを策定し、人材育成の取り組みを総合的に向上させてまいりました。
 さらに、今年度から、教育管理職の業績評価の項目において人材育成力を新たな項目として設け、主幹教諭及び主任教諭の自己申告においても人材育成の記述を必須化し、責任の明確化を図ったところでございます。
 こうした取り組みによりまして、人材育成の意識を教育管理職はもちろんのこと、主幹教諭及び主任教諭にも浸透させ、教員の人材育成を着実に推進してまいります。

○中山委員 今のご答弁にございましたOJTといったような言葉は、決して目新しいものではございませんけれども、人材育成という視点を学校経営の基本、踏み込んでいえば、管理職の業績評価の構成要素として明確に位置づけたという今年度からの取り組みの意義は、地味かもしれませんけれども、大変重要であると私は受けとめております。
 校長や副校長は、効果的な授業をとり行う力、教科の指導力という点では、専門的力量を十分に備えた人が多いと思います。しかし、学校経営という視点に立った人材育成という視点では、改めて、どう個々の教員に課題や目標を的確に設定し、意欲を向上させるかというスキルを、研修等で広い知識を学びながら習得し直す必要がある場合もあると考えます。
 生徒一人一人の具体的な成長という結実は、個々の教員における努力をしなければ到達し得ない目標、それでいて努力すれば到達し得る目標への挑戦という取り組みの上でしか得られないものだと考えます。その意味で、校長及び副校長、そして主幹教員や主任教員は、そうした目標設定のプロ、目標到達を効果的に応援できるプロであるべきと考えます。
 人材育成力という新たな評価基軸を基盤に据えた個々の都立高校の今後の学校経営の進展に大いに期待したいと思っております。
 私は、この人材育成という視点は、教員と生徒の間でも、もちろん大事ですし、また、教員同士の間でも大事になってくるというふうに思います。その意味で、都立高校と直接かかわりはないんですけれども、私が予算特別委員会で以前に、小学校の大量退職時代を迎えて、大量に入ってくる新人教員の方々をどう育成していくかということで、ベテランの退職される教員の方々に、新人指導、育成されることを通じて、ぜひ体験談を書いていただくなどして、そうした取り組みの重要性というものをこれからの多くの教員の方々に知っていただく。そして、そのことを通じて新人教員の育成に力を入れていただきたいということを申し上げました。
 学級経営研修という制度だそうでございますけれども、これが導入されて一年が経過し、改めてこの研修の成果についてお伺いしたいと思います。

○岡崎人事部長 学級経営研修生となった新規採用教員は、多くの者が、学習指導力や生活指導力につきまして、所属する学校の校長や区市町村教育委員会から高く評価されております。
 学級経営研修生からは、児童への指導方法を日常的に継続して学ぶことができ、安心して職務に取り組めたなどの声があり、また、新人の育成教員の方からも、努力を重ね、力を高めていく研修生の姿を見ることに大きなやりがいを感じるなど、この研修を評価する意見が寄せられています。こうした声や意見などを新人育成教員向けの実践報告書に取りまとめまして、ことし六月に都内公立小中学校全校に配布したところです。
 また、今月中旬には、新たに小中学校の全校長を対象に学級経営研修の実践発表会を開催することとしておりまして、今後とも、この研修の普及と効果的な実施を図ってまいりたいと考えてございます。

○中山委員 ありがとうございました。育成教員の方々に体験談を書いてもらったらどうかと申し上げましたら、同僚議員からは、ただでさえ忙しい教員の方々に余計な仕事を与えるんじゃないとご指摘もいただいたんですけれども、そういうご答弁をいただいて、大変安心した次第でございます。
 ぜひ、育成教員の方々は、長年頑張ってこられた教育界に自分の分身たる後輩を残していくという作業に、ある意味、使命感を感じていただいて、これからもそうした取り組みの流れが続いていくようお願いしたいと思います。
 都教育委員会にあられましては、教員不足という課題であれ、学力やキャリア教育などの社会から期待される教育成果の達成という課題であれ、人材育成という視点に立った効果的な取り組みによりまして、学校の種別間の相違を超えて取り組みの充実が果たされていくことを期待して、質問を終わらせていただきます。

○古賀委員 今、高校白書の質疑を聞いていまして、高校生の意識調査を踏まえて、安定志向とか内向き志向ということが書かれています。海外留学を希望する日本人学生が少なくなったということで、これに肯定的にも否定的にも評価は加えていないようでありますけれども、私は、必ずしも海外に行くことがその高校生にとってふさわしいことだと、よりよい選択だというふうに断定することは難しいのではないかという気がいたします。
 私、思い出したんですけれども、昔、奈良時代の遣唐使の派遣によって、日本は大陸の文化や文物を取り入れて、それは、日本にとっては大変大きな発展のもととなったわけです。
 しかし、その唐も、たしか安禄山とか史思明という反乱が起きて、国力が衰えてくる。そのときに、菅原道真公が危険を冒してまで大陸に行って、もう唐から学ぶものは何もないということで、太宰府に流された菅原道真公の建言を入れて、遣唐使を廃止されたわけです。
 唐の後は宋という国ですよね。宋になったんですけれども、日本はそことも国交を結ばなかった。
 その間、今度は平安時代に入って、日本は独自の、今まで取り入れてきた外国の文化や文物の力をそしゃくし、あの華やかな国文学、そして仏教文化、こういったものを開花させるわけです。この間は、外国との交流はほとんどなかったわけですね。
 ですから、私は、外国に出かけることだけが高校生にとって外向きで安定志向ではないということで、ただ機械的に評価するということはどうかなという気がいたします。
 遣唐使の中では、例えば、最澄とか空海も危険を冒して、四隻ぐらいの船で行っても、たどり着けるのは一隻ぐらい。しかし、その身の危険を冒しながらも、学びたい、そして国のために尽くしたいという、そういう意欲を持って遣唐使に選ばれた人たちは行ったわけです。我々は、行くならば、そういう気構えや精神というものがあるべきだと、そういう教育を教育委員会はしているのかということを私はいいたいわけです。
 もう終わりますけれども、さかのぼれば、飛鳥の聖徳太子は、隋の煬帝に対して、国書を小野妹子に持たせて、日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す。つつがなきやということで、対等の外交を主張して、一歩も引かなかったわけです。天皇という言葉も使用して、隋は非常に激高するんですけれども、聖徳太子は引くことはなかった。対等な外交関係を維持するために聖徳太子の行った外交というのは、今日の政治家が見習わなければならないものがあるというふうに思います。
 ですから、海外にただ出かけるということだけではなくて、そのようなみずからを主張する価値観や国を背負って立つような心構えを、高校生に対して我々は教育として行っているのかどうか、そういったことも前提にしながら評価を加えるべきであると思います。
 日本人の英語力が低迷しているというのも、これは日本が植民地にならなかったあかしであって、欧米白人の植民地国家になった国は、みんな英語が得意ですよ。英語でなければ意思の疎通が図れないようにされてしまった。母国語を禁止されたわけですね。言葉を奪われてしまった。日本は、その点、白人の侵略に遭うこともなく、明治維新をなし遂げて、独立を守り通した。だから、英語が不得意なんですよ。
 日本語さえしっかり学べば、ドイツ文学も、英文学も、ロシア文学も、自然科学も、人文科学も、すべて勉強することができる。英語は余り必要ないんですね。だから、私たちは、英語ができないということを何も卑屈に思う必要はないので、必要な人は学べばいいし、外交官等は必要だと思いますけれども、そのことをもって今の高校生に問題があるという考え方には、私は一考すべきではないかということを意見として申し上げます。

○原田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十八分散会

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