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Tokyo Metropolitan Assembly

経済・港湾委員会速記録第十八号

平成三十年十二月十三日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長中山ひろゆき君
副委員長小林 健二君
副委員長山崎 一輝君
理事ひぐちたかあき君
理事尾崎あや子君
理事小山くにひこ君
うすい浩一君
あかねがくぼかよ子君
柴崎 幹男君
白戸 太朗君
高倉 良生君
森澤 恭子君
三宅 茂樹君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長藤田 裕司君
次長十河 慎一君
総務部長寺崎 久明君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務武田 康弘君
商工部長坂本 雅彦君
金融部長加藤  仁君
金融支援担当部長川崎  卓君
観光部長小沼 博靖君
観光振興担当部長鈴木 誠司君
農林水産部長上林山 隆君
安全安心・地産地消推進担当部長龍野  功君
全国育樹祭担当部長村西 紀章君
雇用就業部長篠原 敏幸君
事業推進担当部長蓮沼 正史君

本日の会議に付した事件
意見書について
産業労働局関係
契約議案の調査
・第二百二十四号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築電気設備工事請負契約
・第二百二十五号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築空調設備工事請負契約
・第二百二十六号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築給水衛生設備工事その二請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百十五号議案 東京都中小企業・小規模企業振興条例
・第二百十六号議案 東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例

○中山委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○中山委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十年十二月十二日
東京都議会議長 尾崎 大介
経済・港湾委員長 中山ひろゆき殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百二十四号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築電気設備工事請負契約
 第二百二十五号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築空調設備工事請負契約
 第二百二十六号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築給水衛生設備工事その二請負契約
2 提出期限 平成三十年十二月十四日(金)

○中山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の契約議案の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百二十四号議案から第二百二十六号議案までを一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○中山委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百十五号議案及び第二百十六号議案を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○森澤委員 私からは、東京都中小企業・小規模企業振興条例案についてお伺いをいたします。
 都はこれまで、環境変化への対応や経営力強化策など、幅広い視点から施策を展開し、中小企業支援を行ってきていますが、今回、東京都中小企業・小規模企業振興条例案の策定に当たり、これまでの施策について、どのような成果があったと総括しているのか、まず伺います。

○坂本商工部長 都は、社会経済の状況を踏まえ、その都度、中小企業の経営環境を取り巻く変化に適切に対応した多様な施策を展開してまいりました。現在は、二〇二〇年に向けた実行プランなどに基づく施策を着実に進めているところでございます。
 これらにより、中小企業の経営マネジメントの力の向上や、新しい技術や製品の開発のほか、創業の活性化、安定した資金繰りの確保などを図ったところでございます。

○森澤委員 その上で、この条例制定により、今回このタイミングで、条例を策定する意義や狙いについてお伺いいたします。

○坂本商工部長 中小企業の経営は、経済のグローバル化やICT技術の進展に加え、都内人口の減少などにより、中長期的に大きな変化に直面することが見込まれているところでございます。
 これまでにない状況を踏まえまして、本年二月に立ち上げた有識者会議におきまして、中小企業の経営者を初め、業界や働き手の実情に詳しい団体のほかに研究者を交えて検討を行い、その結果を踏まえ、今後の中小企業の振興に向けて、一定の確立した理念を明確に示す条例を制定し、さまざまな施策の基本的な方向づけを行うことといたしました。

○森澤委員 これまでは都度都度、施策を展開してきたことを、今回、条例制定により、中長期的な変化を見据え、一定の確立した理念を明確に示し、施策の方向づけを行っていくということでした。
 一方、中小企業の経営者からは、これだけだと何がなされるのか、イメージが湧かない、なぜ中小企業なのかという点がないからではないかというご意見もいただきました。
 東京都が考える大企業では実現できない価値、つまり、中小企業の存在価値は何だと捉えているのか、お伺いをいたします。

○坂本商工部長 東京の中小企業は、経営の資源にさまざまな制約のある中で、マーケットの規模にかかわらず、すぐれた技術や発想により、新たなビジネスを創出するほか、地域に根差した活動によりまして、地域そのものの発展を支えております。
 このため、条例案の基本理念の中で、中小企業は、多様な分野において特色のある事業活動を展開して、経済を活性化し就業の機会をふやすなど、地域社会の発展やその住民の生活の向上に貢献する重要な存在であるとしているところでございます。
 こうした理念に加え、条例案では、中小企業の重要性や事業活動について理解を深め、さまざまな主体が都の実施する振興施策に協力するよう努めることとしているところでございます。
 このような条例案の考え方に立って、中小企業への支援を適切に進めてまいります。

○森澤委員 地域に根差し、その地域の経済、生活向上に貢献されている重要な存在であるということの認識がありました。
 さらに、中小企業は、小回りがきくことや、きめ細かいニーズに対応できるといったことも価値であると考えます。
 中小企業ならではの価値を最大限引き出すような支援を、引き続き期待いたします。
 条例に基づく施策の具体的な羅針盤となるのが、六回にわたる有識者会議を経てまとめられた中小企業振興に関する中長期ビジョン(仮称)であり、中間のまとめ案が公表されています。
 条例案の内容を具体的な施策としてどう展開していくべきかについて伺います。
 世界を見渡せば、ドイツでは、世界に先駆け、掲げたインダストリー四・〇、第四次産業革命により、データとITを活用し、製造業に革新をもたらすことで、数々の新しいビジネスモデルが生み出され、経済力の向上に寄与しています。
 消費者のニーズが細かくなり、多様な種類の製品を少数ずつでも効率的に製造することを求められてきたことに対応する狙いがあるということです。インダストリー四・〇は、中小企業にグローバル競争力を持たせる施策となっているということです。
 こういった先行する海外の動向を踏まえた上で、AIやデータ活用、IT技術の進歩といった環境、顧客ニーズの変化にキャッチアップしていこうとする意欲のある中小企業支援を行い、東京ならではの中小企業の競争力向上に取り組むべきと考えます。
 条例案で明らかにしている理念や基本方針を踏まえ、どのような施策が東京ならではの中小企業に競争力を持たせるようなモデルとなり得ると考えているのか、見解を伺います。

○坂本商工部長 条例案では、東京は、我が国の経済を支え、政治、経済、文化等の諸機能が高密度に集積したエリアを持つ世界有数の経済都市であるとしております。
 このため、中小企業は、東京に集積する大学や研究機関のほか、金融機関や大企業と連携して、新しい価値を生み出すオープンイノベーションによりまして競争力のある技術や製品をつくり出すことが可能でございます。都は、こうした取り組みを支援して、その内容を独自のモデルとして発信をしてまいります。
 また、大都市として東京は、我が国の抱えるさまざまな課題が先鋭的にあらわれるエリアでございまして、その解決に向け、中小企業の技術を大学などの知識やノウハウと組み合わせ対応するすぐれた取り組みについても、都がサポートし、モデルとして示してまいります。

○森澤委員 中小企業が東京に集まっているリソースを最大限活用して、大学等研究機関や大企業とうまくコラボレーションができれば、イノベーションが起き、競争力のある技術や製品、商品がつくれます。
 ぜひ、そういったモデルをたくさん推進していただき、東京の中小企業の存在、力を、ぜひ国内外へ発信していただくことを期待いたします。
 また、日本が抱えるさまざまな課題が先鋭的にあらわれるので、その課題にいち早く対応するような取り組みも、都がサポートし、モデルとして示すということでした。
 これもまさに超高齢社会を初めとする日本の社会的課題解決において、東京が日本をリードしていくという大事なポイントとなりますので、力を入れていただければと思います。
 激化する都市間競争に打ち勝ち、持続的な成長を遂げるため、中小企業の競争力向上により、稼ぐ、稼げる東京を実現すべきと考えます。
 条例案の理念などに基づいて、どのような施策の展開を目指していくのか伺います。

○坂本商工部長 東京の産業の収益力を高めるため、個々の中小企業に対し、条例案の基本方針に掲げた経営基盤の強化や販路の開拓のほか、新しい技術の開発や創業などの取り組みをサポートすることが重要でございます。
 そのため、経営の基盤を強固にする生産性向上を実現するIoT技術の活用やロボットの導入などを支援してまいります。
 また、販路の開拓に当たって、条例案の基本方針の一つともなってございます国際的な事業展開の促進も踏まえまして、海外市場への進出の支援も進めてまいります。
 さらには、新商品の開発に向けて、大学や研究機関と連携したサポートを展開してまいります。
 これに加えまして、創業の活性化に向け、東京で起業の裾野を広げて、将来的には世界を舞台に活躍するベンチャー企業を生み出す支援も展開いたします。

○森澤委員 さまざまな施策が展開されることは認識をいたしました。
 十月に公表された政府の成長戦略の方向性案では、SDGsを踏まえたソサエティー五・〇の実現に向け、AI、センサー、IoT、ロボットといった第四次産業革命による技術革新について、中小企業を含む広範な生産現場への浸透を図るなど、企業の前向きな設備投資を引き出す取り組みが必要としています。
 重点分野としては、ヘルスケア、金融、フィンテック、モビリティー分野などが挙げられております。
 東京都としても、中小企業、小規模企業を振興するに当たり、条例案の内容を踏まえながら、今後、成長が見込まれる分野などを重点分野として示し、重点的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本商工部長 条例案では、中小企業は、経済や社会の環境の変化に速やかに対応して事業の発展を図るため、自主的に経営の改善などに努めるとの考え方を明らかにしてございます。
 これによりまして、中小企業が、経営を取り巻く状況を踏まえ、成長の見込まれる分野で商品を開発して事業を展開する取り組みを都として的確にサポートいたします。
 そのため、将来の伸びが期待されるICT技術などを活用したデジタルエンジニアリングの分野や高齢社会の進展に伴うヘルスケア事業のほか、経済や社会の持続可能な発展に必要な環境への対応などに重点を絞ってサポートを展開いたします。

○森澤委員 条例案の理念を実現していく中で、具体的な施策による達成目標を掲げることが重要です。
 目標を掲げるに当たって、どのような考えに立つべきかというところをお伺いいたします。

○坂本商工部長 条例案では、中小企業振興の施策を効果的に推進するため、その実施状況の検証に当たりまして、中小企業などの意見を聞いて施策に反映するよう努めるとの考え方を示しているところでございます。
 こうした検証に際して、施策の成果を数値目標などによりまして客観的に評価をする視点とともに、達成すべきレベルを高めるために意欲的な水準の数値を設けることが重要でございます。
 例えば、現在、策定を進めております中小企業振興に関する中長期のビジョンの中間のまとめにおきましては、開業率を、都内の開業率でございますが、開業率をおおむね十年後には倍のレベルに引き上げるとの目標によりまして、創業支援策を質と量の両面から効果の高いものとすることを目指しているところでございます。

○森澤委員 現在、作成を進めている中長期ビジョンで意欲的な目標を掲げていることは、さきの我が会派の代表質問でも評価するということを申し上げたところですが、条例案の趣旨からも、一度始めた施策でも、効果を見きわめ、見直す観点が間違いなく必要です。
 条例案の中にも検証という言葉がありますが、施策の中でも波及効果が高い施策を精査し、実行していくべきと考えます。
 実施した施策を定量、定性の両面から効果検証し、施策内容、予算配分等を定期的に見直すPDCAの仕組みが重要です。
 PDCAに当たっては、どのような体制でどうチェックしていくのか、検証の進め方について、最後に、具体的に伺います。

○坂本商工部長 都は、条例案の理念を実現し、中小企業を支援する施策効果を高めるため、事業の成果を確認し、内容の見直しを図るPDCAの仕組みの強化に取り組んでまいります。
 具体的には、これまでの自律的な事業見直しのプロセスに、経営者や関係団体等の意見を聞く仕組みを加え、施策の検証を行ってまいります。
 こうした取り組みは、中小企業の現況を把握するため、その実態に詳しい経営者などの意見を幅広く取り入れることで、より的確な検証等を可能とするものでございます。
 今後、具体的な体制などの仕組みについては検討してまいります。

○森澤委員 支援を受けている現場の声というのも聞くことももちろん、現場を把握するということももちろん大事ですが、また、検証に当たっては、先ほどのご答弁の中にもありましたが、データなどを踏まえた客観的評価というものも重要であると考えますので、そのバランスがうまくとれるよう、具体的な体制を検討いただけますよう要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○柴崎委員 私からは、中小企業・小規模企業振興条例について伺いたいと思います。
 さきの代表質問におきましては、我が党の山崎政調会長が取り上げました。そこで、本日は、関連をして、私からも補足的に確認させていただきたいと思います。
 本条例は、中小企業振興に関する施策の基本方針や関係者の役割など、全十三条で構成されているわけであります。
 内容といたしましては、事業者に対して、何かの義務を課したものではありません。また、権利を付与するようなものも一切含まれておりません。つまり、典型的な理念条例なのであります。
 規定の内容も、改めて一条一条読んでみました。例えば、第四条第二項の施策の基本方針では、第一号で経営基盤の強化と事業承継、第二号で創業、第三号は販路を開拓等々、まさに、都がこれまで営々と進めてきたことが書かれているにすぎないわけであります。内容的には、間違ったことは何もありません。逆に、当たり前のことしか書かれていないわけであります。これが私の率直な感想であります。
 であればこそ、なぜ、この条例を制定するのかという疑問が同時に湧き起こるわけであります。
 本条例は、知事の言葉をかりれば、揺るぎない理念を明らかにするものであります。しかし、中小企業は、日々向き合っている現実の経済、これはもうまさに生き物なんですね。したがって、刻々と変化をしているわけです。この実態を無視して、条例ありき、理念ありき、こんな施策が進められるようなことがあってはならないと考えております。
 特に、社会経済情勢の変化が大きければ大きいほど、現場で何が起きているのかをつぶさに把握しなければなりません。こうした中において、初めて、真に求められる支援策、これを講じることができるわけであります。荒波の中において、理念を幾らうたっても、それは無力であります。抽象論、観念論だけでは何も変わらないわけであります。
 そこでお聞きいたします。今まで、中小企業に関する理念条例がなかったわけであります。したがって、この間、都は、こうした中小企業の経営環境の激変に対しまして、どのように対応されてきたのか伺いたいと思います。

○坂本商工部長 これまで都では、社会経済状況の変化に速やかに対応し、中小企業の現場の実情を十分に把握して、その経営の安定や発展に結びつく施策を的確に行ってまいりました。
 例えば、リーマンショックによる経済状況の著しい悪化が生じた際、このときに、中小企業の資金繰りを支えるための制度融資の充実を図るほか、中小企業診断士を活用したサポート体制の導入を速やかに実施いたしました。また、中小企業の設備の導入を後押しする新たな仕組みを立ち上げ、経営上のニーズに即した支援を適切に行ったところでございます。
 東日本大震災の発生時には、中小企業の資金繰りを支える支援を充実するほか、電力を確保するための自家発電機の導入助成などを行うとともに、被災地の企業と東京の中小企業との商談の場を設け、風評被害の解消にも取り組みました。また、災害時の事業継続に向けたBCPの策定に取り組む中小企業への新たな支援も行ったところでございます。
 今後とも、中小企業の経営環境の変化を正確に理解して、速やかに施策を展開し、その事業活動を支えてまいります。

○柴崎委員 リーマンショックの際も、また東日本大震災の発生時におきましても、我が党は、中小企業経営者の皆さんから寄せられた多くの声をもとに、さまざまな提言をさせていただきました。それが、ただいま答弁にあったような緊急対応策をスピーディーに実行に移していくことへと結びついたのであります。
 まさに都政が現場の実態をつぶさに把握して、現場の目線に立った具体の施策を実行してきたことの証左であると思います。中小企業に関する理念条例はなくとも、現場の実情を捉えた具体的施策を機動的に展開してきた、これこそが都政の本質であります。
 知事は、さきの本会議において、我が会派の代表質問に対しまして、引き続き、中小企業の現場の実態をしっかりと把握しながら、さまざまな事業を磨き上げると力強い口調をもって答弁されました。すなわち、現場の実態をしっかりと把握するという基本原則の重要性を知事自身が認められているということであります。
 そして、この条例が制定をされた後も、このやり方を変えないと知事みずからが明言されたということであります。これは大変重い言葉であると受けとめております。
 条例は、決して万能ではありません。条例ありき、理念ありきの施策展開に陥ることなく、知事が答弁されたところである現場の実態に根差した中小企業支援策、これを、これからも有言実行することを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○高倉委員 第二百十五号議案、東京都中小企業・小規模企業振興条例について質問をさせていただきたいと思います。
 東京の経済を支える中小企業の振興は極めて重要であるというふうに考えております。
 これまでも、時代時代の状況に応じまして、中小企業を取り巻く状況というものは、さまざまに変化をしてきているわけであります。
 そして、いわゆる経営をしているという点でいえば、本当に迅速な対応が必要であるということで、これまでも迅速な対応、そして多様な支援メニューといったことを充実させていく、それを実施していく、これを優先してきた、これは当然のことであるというふうに思います。
 その一方で、先ほど来の質疑の中にもありましたけれども、今後、中長期的な中小企業を取り巻く状況といったことを考えていくときに、今まで取り組んできた、こうしたさまざまな取り組みとあわせて、しっかりと、そこの中においても、中小企業支援の方向性というんでしょうか、柱というんでしょうか、そうしたことを明確にしておくというために、条例の制定というのは必要であるというふうに考えるわけであります。
 そこでまず、今回の中小企業振興に向けた条例を制定する背景や目的についてお伺いをしたいと思います。

○坂本商工部長 都では、社会経済の状況を踏まえまして、平成十八年度には、東京都産業振興基本戦略、こちらを作成いたしまして、二十三年度には、これの改定を行いまして、その都度、中小企業を取り巻く変化に適切に対応した多様な施策を展開してまいりました。
 現在では、こうした戦略のほか、平成二十八年度に公表した二〇二〇年に向けた実行プランなどに基づき、その時々の中小企業の経営環境の変化に対応する支援を着実に進めているところでございます。
 こうした中、中小企業の経営は、経済のグローバル化やICT技術の進展に加え、都内人口の減少などによりまして、中長期的に大きな変化に直面することが見込まれてございます。
 これまでにない状況を踏まえまして、本年二月に立ち上げた有識者会議におきまして、中小企業の経営者を初め、業界や働き手の実情に詳しい団体のほかに研究者を交えて検討を行い、その結果を踏まえ、今後の中小企業の振興に向けて、一定の確立した理念を明確に示す条例を制定し、さまざまな施策の基本的な方向づけを行うことといたしました。

○高倉委員 今回の条例案の中では、理念あるいは基本方針といったものが整理をされております。こうした理念を、現実の施策の中でしっかりと実現をしていくということが重要であるというふうに思います。
 先ほども申し上げましたけれども、現在発生している中小企業経営をめぐる状況というのは、これから中長期的に企業経営に影響を及ぼしていくものも大変多いんではないかというふうに思っております。
 例えば、この半年の間だけでも、働き方改革関連の法律や、外国人労働者の受け入れを広げる法律も成立しておりまして、これからの中小企業の経営、あるいは職場での対応が新たに必要となってくるというものも、次々に出てきているわけであります。
 また、ことしに限らず、近年は自然災害が大変数多く発生しているわけでありまして、こうした災害が本当に例外的に起こるというような状況ではなくて、常にこれは考えておかなければならない、そういうことであろうというふうに思います。
 したがって、改めて被災をしても企業活動を継続していけるように、事前の準備が大切であると、こういったことも、これからは極めて重要になってくるんではないかと思います。
 こうした観点から、この条例案について何点か確認をさせていただきたいと思います。
 条例案を見ますと、第一条には、都及び中小企業者の責務ということを明らかにするということが書かれているわけであります。また、第三条の中には、中小企業の振興はということで、就業の機会を増大させる等地域社会の発展及び地域住民の生活の向上に貢献する重要な存在であるという認識のもとに推進と、そして、第四条は、基本方針が掲げられているわけですけれども、例えば、この七のところに、中小企業における働きやすい職場環境の整備の促進というようなことも書かれているわけでありまして、また、第五条には、中小企業者は、人材の育成及び雇用環境の整備に努めるというようなことも書かれているわけであります。
 先ほど、私、申し上げましたけれども、国の働き方改革に向けた動きということによって、企業経営の中では、これまでと異なる環境整備といったことも必要になるのではないかと思います。
 例えば、女性の方々、あるいは高齢者の方々、こういった方々が十分に就業して、雇用していただいて力を発揮してもらうようにすること、これは経営者の立場からも極めて重要になってくるというふうに考えておりますが、こうした状況について、条例案の中ではどう受けとめていく考えなのか、このことについてお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 条例案の基本方針におきましては、先ほどもお話ございましたように、中小企業の中で働きやすい職場環境の整備を進めることや人材の確保と育成を図る取り組みへのサポートを掲げているところでございます。
 こうした方針に基づきまして、現場での働き方改革を進めるための機運醸成や育児と仕事を両立できる社内制度づくりなどをサポートして、経営者として社員の働きやすい職場を実現できるよう後押しをしてまいります。
 また、中小企業が、女性や高齢者について、その意欲や能力に応じて採用して、それぞれの力を十分に発揮できるよう育成することをサポートいたしまして、経営の力の向上に結びつけてまいります。

○高倉委員 今、女性あるいは高齢者の方々ということを例に挙げて答弁をいただきましたけれども、働きやすい職場環境の整備を図るということについては、こうしたこと以外にも、障害を持つ方々にとっての働きやすい環境をつくっていくこと、あるいは、LGBTの方々を初めとして、本当にあらゆる方々が働きやすい環境をつくっていくこと、こういったことも今は強く求められている、中小企業にも求められているということであると思います。
 したがって、こうした点も留意をしながら、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 国においては、出入国管理法を改正しまして、外国人労働者を幅広く受け入れる方針、方向を示したわけであります。これによりまして、中小企業においても、外国人を社員として受け入れて働いていただくと、こういう動きが強まってくることが想定されます。
 こうした動向について、条例案の中では、中小企業への支援として、どういうふうに対応すべきというふうに考えているのか、お伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 中小企業では、海外からの人材を受け入れるに当たりまして、会社として、コミュニケーションの力やさまざまな事務や作業に対応するポテンシャルなど踏まえて採用を行いまして、その後も、業務の知識を習得して力を発揮できる育成が必要となりますが、これらを全て、この中小企業の独力で対応することは難しい場合が多いという、こういう状況もございます。
 条例案の基本方針におきましては、中小企業の人材の確保や育成を図る取り組みへの支援を掲げているところでございまして、これによりまして、都として適切なサポートを実施してまいります。

○高倉委員 先ほど、災害のことを申し上げましたけれども、これまでも、各地で地震や風水害が発生している中で、被災した地域においては、企業活動が大変大きなダメージを受け、そして復旧も極めて容易ではない、こういう状況を私ども目の当たりにしているわけであります。こうした事態の発生により、東京でも災害時に向けた事前の準備が大変重要になってくるというふうに私は思っております。
 将来にわたっての取り組みという意味では、まさに、こういう災害の対応といったようなものは、きちっとしておく必要がある。
 本来であれば、この条例の中に、そのこともきちっと書き込んでもいいような感じも私自身としてはしているわけでありますけれども、恐らく、この条例の中でも、そうしたことは想定をされているのではないかなと思いますけれども、この災害の備えということについて、条例案の中では、中小企業への支援、どう想定をしているのかについてお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 中小企業が、地震や風水害などによりまして被災した場合でも事業を継続できることが、安定した経営の実現を図るために重要でございます。
 条例案におきましては、基本方針の中で、中小企業の経営基盤の強化に向けた支援を行うことを掲げているところでございます。この視点に立ちまして、災害時においても事業の継続を適切に進めることのできる経営の基盤づくりを後押ししてまいります。
 具体的には、さまざまな災害によるダメージを受けても、生産体制を維持し、サプライチェーンを確保する計画をBCPとして事前にまとめ上げて、経営の基盤の安定と強化につなげていく取り組みをサポートいたします。

○高倉委員 今、基本方針の中の経営基盤の強化、この中で、そのことが盛り込まれているというお話でありました。本当に極めて重要なところであると思いますので、このところは本当に万全な体制を、この条例をもとにしいていただくように、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 条例案では、中小企業の振興に関する都の責務を示して、施策を総合的に実施することを明らかにしております。これまで中小企業の支援には、経済団体のほか、大学や研究機関、金融機関なども力を発揮してきた経緯があるわけであります。
 大学や金融機関のほか、大企業に関しては具体的にどのような役割を期待しているのかについてお考えをお聞きしたいと思います。

○坂本商工部長 東京には、数多くの大学や研究機関のほか、金融機関や大企業が集積をして、経済の活力を生み出す上で重要な役割を果たしているところでございます。こうしたさまざまな主体の個々の力を中小企業の技術開発に結びつけることは重要でございます。また、そうした主体同士が連携して中小企業のサポートを行うという、こうした視点も大切でございます。
 条例案の中では、大学や研究機関に関し、人材の育成や技術の開発などの面で都の施策に協力して中小企業にサポートを行うことを期待しているところでございます。また、金融機関は、それぞれの地域にある中小企業に対し資金を円滑に供給して、経営のノウハウも提供するほか、都の施策への連携を期待しているところでございます。
 さらに、大企業は、中小企業が地域経済を活性化して就業の機会をふやすなど、地域社会の発展等の面で重要な役割を担うことを十分に理解して、都の支援策に協力するよう努めるものとしているところでございます。
 これらに加えまして、今、申し上げてきたさまざまな主体が、都と協力をして、産学公金などの連携によるオープンイノベーションの方法によりまして、中小企業の技術開発を効果的にサポートしていくことも期待されているところでございます。

○高倉委員 条例案で掲げた理念に基づいて具体的な施策を展開し、成果を上げていくということは大変大事であるというふうに思います。
 そのためにも、多様な施策を展開している都において、事業同士の計画性や総合性を確保していくということは重要であるというふうに思います。
 この条例案は、九つの基本方針によりまして施策を展開しようとしております。施策は総合的に実施をすることが大切でありまして、これは、今、策定中のビジョンにも当てはまることであるというふうに思います。
 こうしたことを踏まえて、条例の基本方針に基づいて施策をどう総合的に展開しようとしているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 条例案の基本方針に基づきまして、都では、中小企業の振興に当たり、会社の創業、その後の事業の成長発展、経営の安定継続、こうした三つのステージに応じ、最も効果の高い施策を展開してまいります。
 また、中小企業は、地域においてさまざまな主体と取引や協力をしながら活動していることや、経営を支える人材の力が重要であることから、それらを重視してサポートを行います。
 今、申し上げましたこうした総合的な考え方を踏まえまして、現在、作成を進めている中小企業振興の中長期ビジョン、こちらにおきまして、さまざまな施策を体系立てて取りまとめてまいります。

○高倉委員 施策をしっかりと進めていくというその一方で、社会経済の変化に応じて施策の見直しを行っていくために、事業の実施の状況をきめ細かく検証して、次の新しい取り組みに改善を行っていくということが重要であるというふうに思います。
 先ほどの質疑にもあったというふうに思いますけれども、この条例案には、施策の実施状況等について検証する方法というのが盛り込まれておりますが、これはどのような考え方によるものなのか、お伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都は、条例案の理念を実現し、中小企業を支援する施策効果を高めるため、事業の成果を確認し、内容の見直しを図るPDCAの仕組みの強化に取り組みます。
 具体的には、これまでの自律的な事業見直しのプロセスに、経営者や関係団体などの意見を聞く仕組みを加えて施策の検証を行ってまいります。
 こうした取り組みは、中小企業の現況を把握するため、現場を抱えて、その実態に詳しい経営者や業界のさまざまな意見を集約する団体等の考え方などを幅広く取り入れることによりまして、的確な検証などを可能とするものでございます。
 今後、具体的な体制などの仕組みについては検討してまいります。

○高倉委員 今、答弁で、具体的な体制の仕組みについては、今後、検討していく、こういう答弁がありました。
 今のところは、この条例案でいいますと、十二条のところであるというふうに思いますが、この第十二条は、私は極めて、この条例を制定して、今後、施策を推進していく上においては大変重要なところであるというふうに思います。
 恐らく、従来の施策を推進する上での、従来のこれまでの仕組みだけではなくて、当然、新しい仕組みをこれから考えていく、あるいは構築していくということであるというふうに思います。極めて重要なところでありますので、ここは、ぜひしっかりと取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 最後に、この条例の中、これは第十三条でありますけれども、中小企業振興に当たって財政上の措置に努めるということにしております。そうした予算による施策の成果を高めるためには、事業をしっかりと実施することが重要であるというふうに思います。
 ここに、この十三条に、財政上の措置を講ずるよう努めるものというふうに書いてありますが、実際に施策を展開していくに当たっては、本当に財政上の措置というのが大事であって、ここを抜きにしては、どんなことをいっても絵そらごとになってしまう可能性すらあるわけでありまして、ここをしっかり盛り込んで、努めるものとするという努力規定ということにはなっておりますけれども、ここはしっかり取り組んでいただいて、この条例の目的、そして施策の実施の姿、これがちゃんと行われるように、こういう財政上の取り組みをしっかり行っていただきたいというふうに思います。
 この事業の実施に当たって、どういう点に留意をすることが重要であると考えているのか、このことについてお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

○坂本商工部長 条例案におきましては、中小企業の振興に関する施策に必要な財政上の措置に努めることとしているところでございます。こうした事業の費用対効果を高めるため、その実施に当たりましては、中小企業の支援に関係する団体との連携をより強化するとともに、事業の内容をわかりやすく中小企業に伝え、その名称の認知度も高めて、利用者のさまざまな手続面での負担を減らすための取り組みなど、こうしたものが必要になると考えているところでございます。

○尾崎委員 私の方からも、東京都中小企業・小規模企業振興条例案について、幾つか伺います。
 日本共産党都議団は、二〇〇八年に中小企業振興条例提案を行い、東京都で、中小企業、小規模企業の振興を推進するため、一貫して条例案の制定を求めてきました。
 都内の企業のうち、中小企業は九九%です。中小企業のうちの約八〇%が小規模企業です。中小企業、小規模企業の皆さんは、自分の商売で地域に貢献するとともに、地域の雇用を守り、産業の発展に大きな役割を果たしています。そして、地域の祭りや消防団、子供たちや高齢者の見守りなどにも、なくてはならない役割があります。地域の中小企業、中小小規模企業が元気に商売を続けられることは、東京の経済の活性化に欠かせません。
 政府は、一九九九年に中小企業基本法を改定し、意欲ある成長企業や中堅企業への支援を強めてきました。その結果、あらゆる施策の中で、海外展開、ベンチャー企業などへの支援が推進され、中堅企業にはある程度の成果が見られるようになりました。
 しかし、零細業者は淘汰されてもいいというような方向であり、小規模企業にはほとんど無縁なものが多くなりました。その結果、地域の小規模企業の経営者の高齢化と後継者不足なども加わり、廃業がふえ、商店街ではシャッター通りになるなど、社会問題となりました。
 二〇〇〇年には、EU連合がヨーロッパ小企業憲章をつくりました。私は当時、ベルギーにあるEU連合を視察し、直接、小企業憲章について学びました。小企業こそ、ヨーロッパ経済の背骨であり、雇用の主要な源泉であり、ビジネス、アイデアも産み育てる大地であると小企業の役割を明らかにしていました。
 日本の中小企業基本法の改定とは全く違っていたことに感銘し、私は日本でも、小企業の役割に光を当てたものにしたい、東京で実現したいと思いました。
 中小企業団体の粘り強い運動で、二〇一一年六月に閣議決定された中小企業憲章は、中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役であると位置づけ、中小企業がその力と才能を発揮することが、疲弊する地域経済を活気づけるとしました。
 さらに、二〇一四年には、小規模企業に真正面から光を当て、事業の持続的発展を支援する小規模企業振興基本法を制定しました。
 今回、東京都として、中小企業・小規模企業振興条例案が提案されたことは重要です。
 中小企業・小規模企業振興条例は、都内の中小企業、小規模企業を激励するものです。理念条例であっても、よりよい内容にし、今後の都の施策に生かされるものにする必要があります。
 その立場で幾つか質問します。
 パブリックコメントに寄せられた意見については、先日の事務事業質疑のときに、寄せられた四十二件のうち、重要な意見として条例案に反映するべきものなどについて適切に図ることとしたと答弁がありましたが、どのような意見が条例案に反映されたのですか、具体的にお示しください。

○坂本商工部長 パブリックコメントにおきましては、よりよい施策を実施していくため、経営者や関係団体などの意見を聞きながら取り組みを検証し、施策をブラッシュアップすることが重要であることから、そうした内容を条例にも位置づけるべきとのこうした意見が寄せられたところでございます。
 これを受けまして、中小企業支援のレベルを高める重要性を踏まえて、条例案の中に、施策を効果的に推進するため、その実施状況等の検証に当たっては、中小企業者や中小企業関係団体などの意見を聞き、施策に反映するよう努めるとの内容を盛り込んだところでございます。

○尾崎委員 パブリックコメントに寄せられた意見で条例案に反映したのは、条例案の第十二条、中小企業等の意見の反映、一つということになります。
 ここでは、先ほどもご答弁あったように、施策を効果的に推進するため、中小企業の振興に関する施策の実施及び当該実施状況等の検証に当たっては、中小企業者、中小企業関係団体等の意見を聞き、施策に反映するよう努めるものとするとなっているだけです。
 パブリックコメントに寄せられた意見で一番多かったのは、条例の目的達成に向け、都や中小企業等の取り組みが進められているか、確認、検証していく会議体が必要だという意見、PDCAのための会議体の設置を求めています。
 検証について、どのように考えているのですか、具体的にお答えください。

○坂本商工部長 中小企業の振興に関する施策を効果的に推進するため、施策の実施状況等の検証に当たりましては、現場を抱え、その実態に詳しい中小企業や中小企業関係団体などの意見を聞いて施策に反映するように努めてまいります。

○尾崎委員 私が質問したのは、会議体の設置など検証について、どのように考え、どのようにするのか、具体的に答えてほしいということでしたが、それに対しては明確なお答えになっていないようにも思います。
 日本共産党都議団は、この間、長野県や千葉県に直接訪問し、担当者からも聞き取りを行いました。
 長野県の振興条例の中に、施策の実施状況の公表という条文があり、知事は、毎年、中小企業の振興に関する施策の実施状況について、その概要を公表するとなっています。県の審議会は公開で行われ、年一回、県の施策、事業内容について検証、評価し、課題も明らかにして、次の施策に生かしているということでした。
 私は、県の審議会の議論が重要であると痛感しました。パブリックコメントにも、PDCAのための会議体の設置の要望が多くありました。
 中小企業の振興に関する施策の実施及び当該実施状況等の検証については、会議体のようなものを設置することには言及していませんが、会議体の設置についてはどのように考えていますか。また、取り組みの状況や課題などの検証については公表し、議会にも報告すべきですが、どう考えていますか。

○坂本商工部長 中小企業の振興施策の実施状況等の検証に関しましては、さまざまな主体から意見を聞き、公表をする方法について、今後、検討することとしております。

○尾崎委員 検証に関しては、さまざまな主体から意見を聞き、公表する方法は今後検討するということですが、検証する会議体が必要だと強く要望するものです。そして、公表し、議会に報告をすべきです。早急に検討すべきです。
 東京都の中小企業、小規模企業の実態、現状の分析や課題を明らかにすることは、都の施策を考える上でも大変重要です。
 以前も委員会で紹介しましたが、全国がモデルとした墨田区の取り組みを東京都でも生かすべきだと思います。墨田区では、一九七九年に中小企業振興条例を制定以降、中小企業振興の拠点づくり、民間の代表を加えた振興委員会を設置しました。製造業振興とまちづくりとの一本化など、数々の成果を上げてきました。
 その基本になったのが、区役所の職員の皆さんによる区内中小企業者の悉皆調査です。この悉皆調査を進める中で、区役所の職員の皆さんの意識が変わってきたことが、その後の区の施策を大きく変えました。
 そこで伺います。東京都は、独自に中小企業白書を二〇〇五年度まで作成していましたが、なぜ廃刊にしたのですか。

○坂本商工部長 都は、平成十八年度に、都内産業の将来にわたる活力の維持、こちらが課題となる中で、東京の持つポテンシャルを生かし、東京の産業が日本を牽引していくための戦略や方向性を打ち出しました。
 これを踏まえまして、東京都中小企業白書につきましては、今後の施策展開により一層役立つテーマ分析などを加えまして、東京の中小企業の現状というふうに名前を改め、作成を毎年度続けているところでございます。

○尾崎委員 都は、今回の条例制定を機に、都内の中小企業、小規模企業の実態を調査し、その結果を東京都中小企業、小規模企業白書として定期的に作成し、公表すべきですが、いかがですか。

○坂本商工部長 都は、毎年度、東京の中小企業の現状、これは先ほど申し上げましたが、こちらを作成いたしまして、中小企業や小規模企業の経営実態などを調査分析をしているところでございます。
 その公表に当たりましては、国や区市町村に加え、中小企業に関係する団体などに配布をするほか、ホームページによる発信も行っているところでございます。

○尾崎委員 現在、東京都は、中小企業白書のかわりに、東京の産業と雇用就業、中小企業の現状などを発行しています。
 ただいまご答弁あったように、中小企業の現状では、製造業、流通産業、サービス産業を一年ごとにまとめています。三つに分類して一年ごとにアンケートなども行っていますが、東京全体の状況がわかりにくいのではないでしょうか。
 条例で掲げていることを実現するために、東京全体の状況を毎年明らかにすべきです。そのためには、全ての業種、都内の中小企業、小規模企業の現状分析と、都の施策を踏まえ、課題を明らかにする白書としてまとめるべきだと要望するものです。
 条例を検討している有識者会議では、中小企業が生産性を向上させても、公正な取引慣行の確立がなければ、経営の安定成長にはつながらないという発言がありました。
 そこで、我が党は、中小企業、小規模企業の共通する思いです、公平、公正な取引を脅かす状況に対する知事の指導権限を条例に盛り込むべきだと、第三回定例会の代表質問で取り上げました。
 有識者会議での議論におきましても、委員から、公正な取引慣行を確立することにより、生産性の向上などの努力が経営の安定した成長に結びつくとの意見が出ているところでございます。
 こうしたことを踏まえ、条例の中に、中小企業が経済の活性化や地域の発展に貢献する重要な存在であることへの理解を広げる必要などを理念として盛り込むことを検討してまいりますと局長が答弁しておりますが、今回、提案されている条例案の中にどのように盛り込まれたのか伺います。

○坂本商工部長 条例案では、中小企業が経済の活性化により地域社会の発展などに貢献する重要な存在であるとの考え方を明らかにしているところでございます。
 これにのっとりまして、中小企業の事業活動について理解を深めていくことの必要性についても盛り込んでいるところでございます。

○尾崎委員 都内の中小業者の方からは、単価が上がらない、それどころか、単価を引き下げられ、仕事を断ったら、次に仕事を出さないよといわれたということを聞きます。下請企業は、元請業者との対等に話し合うことそのものができない状況です。
 取引の適正化については、下請中小企業振興法がありますが、下請中小企業の範囲を超えて、取引そのものの適正化を求めるものにはなっていません。かけこみ寺もありますが、不公平な取引を強要されても、仕事が切られたら困ると声を上げることができないのが現状です。
 振興条例の中に、取引の適正化を明確に盛り込み、必要な施策を講じるべきです。
 都独自に、不公平な取引の告発ホットラインを設置し、不公正な取引について、中小企業、小規模企業が気軽に申告できるようにすること、業者からの訴えを待つというだけでなく、緊急の調査隊をつくり、実態の把握を行うことを要望するものです。
 次に、経営者の自己努力だけでは経営の継続が困難になっているのが小規模企業です。
 制度融資には、小規模企業向け融資がありますが、融資制度以外にも支援の拡充が求められますが、いかがですか。

○坂本商工部長 都はこれまでも、小規模企業の経営の安定を図るため、経営相談や技術支援などを実施するほか、都内に七つの支援拠点を設けて、事業承継などの重点的なサポートを行っております。

○尾崎委員 家族経営で行っている商店や工場などは、子供たちに後を継いでくれとはいえない、自分の代で最後になる--商売が赤字でも、年金があるから何とかなっているという声も寄せられています。
 東京都も事業承継に力を入れていますが、事業承継で成功しているのはまだ少なく、やはり経営がしっかりしているところです。しかし、一人一人の商売に対する熱意は強くあります。人の役に立ちたい、自分の技術を生かしたいなどの熱意を引き継げるように、さらなる支援が求められます。
 小池知事は、地域のコミュニティに商店街は欠かせない役割があると発言されていますが、商店街の持っている公共性についても、振興条例の中に明確に盛り込むことを求めますが、いかがですか。

○坂本商工部長 条例案におきましては、商店街で商売をする事業者を含めた中小企業が、事業活動を通じて地域経済の活性化を促進し、就業の機会を増大させるなど、地域社会の発展と住民の生活の向上に貢献する重要な存在であるとの考え方を明らかにしているところでございます。

○尾崎委員 条文の中に、具体的に、商店街の公共性について明確に打ち出すべきだと要望します。
 商店街の活性化に必要なことは個店の魅力を押し出すこと、商店街に一つ魅力あるお店があることで、商店街全体への集客数をふやすことができる、個店が元気だと、商店街全体も元気という専門家の話を聞きました。
 あとは人づくりです。東京都は、商店街への支援を行っていますが、個店への支援は行っていません。
 私は群馬県高崎市が行っているまちなか商店リニューアル助成事業を視察し、個店への支援が商店街全体の活性化につながっていると実感しました。
 高崎市のまちなか商店リニューアル助成事業も、今、全国に広がっています。商店街支援や中小企業団体を通じての支援だけでなく、個店への支援も本格的に検討することを求めるものです。
 東京の活力の維持向上を図るためには、東京都に、都内に根づいている伝統工芸品産業についても条例に明記し、その保全と活性化を図る取り組みが必要です。
 特に、その担い手となる若手職人の育成に対して、都として支援を拡充すべきだと考えますが、いかがですか。

○坂本商工部長 都では、若手の伝統工芸品の職人を対象に、そうした伝統工芸品の展示販売会を開催して、商品を効果的に宣伝して売り上げに結びつけるノウハウを学ぶ場を提供するほか、海外での研修会により、現地の市場に関する知識を習得できる支援を実施しております。また、海外での研修の中で行った商談を踏まえ、専門家がアドバイスも行っております。
 条例案では、基本方針の中で、地域の資源を生かした中小企業の事業活動の促進を図ることとしてございます。
 こうした方針を踏まえまして、引き続き、地域の重要な資源である伝統工芸品にかかわる産業の振興に取り組んでまいります。

○尾崎委員 伝統工芸品産業などの後継者づくりは、今後、重要になると思います。若者が弟子入りしたいと来られても、最低賃金が払えず、雇うことができなかったという話を聞きます。
 長野県の中小企業振興条例の中には、教育機関等の役割の中で、公共職業能力開発施設を明記しています。そして、中小企業の方々からの要望で科目をふやしたものがある、審議会で出された意見でデュアルシステムなどが広がっているということでした。
 都が提案している振興条例案の中には、第九条に大学等の協力はありますが、とりわけ伝統産業などについては、公共職業能力センターに位置づけるべきだと要望しておきます。条例の中に、伝統工芸品産業、地場産業への支援、工業集積地への支援も具体的に明記することを求めるものです。
 都内の中小企業、小規模企業の振興のためには、調査研究、経営支援、技術開発など、取り組むために必要な体制を拡充することが求められます。
 条例の中にも、調査研究等に関する体制整備を盛り込むべきと考えますが、いかがですか。

○坂本商工部長 都は、中小企業と小規模企業の経営の改善や向上などを図るために必要となる体制を整備して、さまざまな支援を実施しているところでございます。

○尾崎委員 都として、効果的な施策を実施するためには、中小企業、小規模企業が置かれている現状、課題を正確に把握すること、そして、どのような対策、支援策が必要なのかを調査研究することが必要だと思います。
 地域の中小企業、小規模企業の実態をよくつかんでいる信用金庫などとの連携も始まっていますが、都として、中小企業の要望に応えられるシンクタンク的な役割を果たすものを設置することを求めるものです。
 次に、東京都中小企業・小規模企業振興条例制定後の問題についてです。
 パブリックコメントには、理念を具体化する取り組みの重要性や条例制定に関する周知に対して寄せられています。
 大変重要なことだと思いますので伺います。リーフレットの発行や都内中小企業団体や関係団体との懇談などはどのように考えていますか。

○坂本商工部長 条例案で明らかにした理念などに関する周知や中小企業団体などから意見を聞く方法につきましては、今後、検討を行うこととしてございます。

○尾崎委員 今後、検討ということですが、私がお話を伺った県では、振興条例の周知をどのように行うかが課題だということでした。条例ができた直後は、パンフレットや県のホームページなどで知らせることに力を入れたが、その後の周知は不十分だったということです。
 中小企業、中小企業団体だけではなく、広く都民に周知し、中小企業、小規模企業がまちの中でどのような役割があるのか理解を深めていただくように求めるものです。
 そして、都民の皆さんが、中小企業、小規模企業が継続できるように応援してもらえるようにすることが鍵になると思いますので、力を入れていただくことを強く要望するものです。
 東京の中小企業振興を考える有識者会議は、中小企業振興に関する中長期ビジョン(仮称)を検討中であり、先月、中間のまとめを公表しました。
 この中長期ビジョンは、今回、提案されている東京都中小企業・小規模企業振興条例から見てどのような位置づけになるのですか。

○坂本商工部長 経済のグローバル化やICT技術の進展などにより産業構造の大きな転換が予想される中で、都では、条例を制定して、中小企業の一層の振興に向けた一定の確立した理念を明らかにするとともに、施策の具体的な方向性を示す中長期のビジョンの作成に取り組んでいるところでございます。

○尾崎委員 中長期ビジョンは、今、パブリックコメントを公募しており、一月にはまとめていくという方向です。より多くの中小企業、中小企業団体との懇談を行い、現状や要望などをきちんと反映できるように努力していただきたいと要望するものです。
 東京の中小企業振興を考える有識者会議は、今後はどういう位置づけになるのですか。
 中長期ビジョンがまとまれば、役割は終了となるのか伺います。

○坂本商工部長 東京の中小企業振興を考える有識者会議は、中小企業を取り巻く環境の変化に対して的確な対応を図るため、今後の振興の方向性や迅速に実施すべき施策などについて、有識者との意見交換を通じて検討を進めることを目的としてございます。
 これまで六回の会議を開き、次回は来年二月の開催を予定しているところでございます。

○尾崎委員 有識者会議については、来年の二月に開催することが決まっているということです。その後はどうなるのでしょうか。
 有識者会議は、ことし二月からスタートし、中小企業者、中小企業団体、労働組合、大学教授などの学識者の方々が、それぞれのテーマで意見交換を行ったのは重要と思います。活発な議論の中で、今回の条例案提案の運びとなったことは評価するものです。
 しかし一方で、中小企業振興対策審議会は、二〇〇四年五月以降は開催されていません。
 東京都中小企業・小規模企業振興条例や中小企業振興に関する中長期ビジョンについて、中小企業振興対策審議会を開催し議論すべきですが、いかがですか。

○坂本商工部長 中小企業の振興に向け、中小企業を取り巻く環境の変化に対して的確な対応を図ることを目的として、意見の交換を通じ、検討を行うため、都は、本年二月に有識者会議を立ち上げたところでございます。
 これによりまして、経営者のほか、中小企業の業界や働き手の実情に詳しい団体を交え、先ほどご答弁申し上げましたが、これまでに六回の開催によりまして、条例や中長期的なビジョンについて議論や意見交換を重ねてきたところでございます。

○尾崎委員 私は、振興条例案や中長期ビジョン案を、審議会を開催して議論すべきだと聞いたのです。
 今ある中小企業振興対策審議会は、知事の諮問機関である条例に基づいて開催されています。東京都中小企業振興対策審議会条例の所管目的に、東京都中小企業・小規模企業振興条例に関することを新たに加えるなどして、今ある審議会で議論すべきだと要望します。
 取り組みの状況を明らかにして検証し、今後の課題を明らかにし、翌年の取り組みに生かすことが一番大事なことだと思います。
 今後の検証の仕方、会議体のあり方について検討するというのであれば、継続して検証できる会議体が必要です。審議会も検討の一つにすべきだと強く要望して、質問を終わります。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十五分散会

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