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Tokyo Metropolitan Assembly

予算特別委員会速記録第四号

○中山副委員長 森村隆行委員の発言を許します。
   〔中山副委員長退席、委員長着席〕

○森村委員 初めに、気候変動対策についてお聞きします。
 U20メイヤーズ・サミットにおいて、小池知事は、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を宣言し、この実現に向けたビジョンと具体的な取り組み、ロードマップをまとめたゼロエミッション東京戦略と、それに合わせて重点的対策が必要な三分野についての詳細を昨年末発表しました。
 温暖化による自然災害が多発する今日の世界において、今求められているのは、正しい危機意識と力強いリーダーシップ、そして実効性ある取り組みであると考えますが、知事の決意を伺います。

○小池知事 近年は、巨大なハリケーンや山火事、相次ぐ水害など甚大な自然災害が世界各地を襲って、私たちは気候危機に直面していると実感をすることがしばしばでございます。
 この危機を強く認識をして、具体的な戦略を持って、全ての都民に共感と協働を呼びかけ、実効性ある対策を講じていくことは不可欠でございます。
 このため、私は、昨年十二月末にゼロエミッション東京戦略を策定いたしまして、あわせまして、気候危機に立ち向かう行動を強く表明するために、気候危機行動宣言を行ったところであります。
 都は、この戦略に基づきまして、気候変動の緩和策と適応策の総合的な展開を図るとともに、資源利用に伴います都内外におけますCO2削減への貢献や、省エネ、再エネの導入拡大を進めるなど、あらゆる分野の取り組みを進化、加速させてまいります。
 また、特に重点的な対策が必要な分野でありますプラスチックの対策やZEVの普及につきましては、本格的に気候変動対策に位置づけて、区市町村へのプラスチック製容器包装の分別収集に係る支援や連携の強化、ZEVインフラの整備と車両導入への支援など、具体的かつ実効性ある取り組みを強力に推進をしてまいります。
 都の明確なビジョンと具体的な行動によって、日本、そして世界をリードいたしまして、脱炭素社会を実現してまいります。

○森村委員 実効性ある重点取り組みの一つ、プラスチック削減プログラムに基づく廃プラスチック対策ですが、二〇一七年末の中国による輸入制限開始を皮切りに、アジア各国の規制が強化され、海外での処理、リサイクルが困難な状況です。
 また、バーゼル条約改正を受け、各国の輸入規制はさらなる厳格化が見込まれています。
 私はこれまでも、廃プラの海外への輸出は、輸出先でのトレーサビリティーが確保されておらず、倫理的にも課題が多い点を指摘してきました。
 廃プラの国内での確実なリサイクルの促進が必要ですが、国内では、汚れた廃プラについては再生樹脂等へのリサイクルが困難であることから、多くを焼却施設に回さざるを得ず、CO2排出量が増加する問題も生じています。
 都は、プラスチックの大消費地として、廃プラスチックの新たな資源循環ルートの構築に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村環境局長 アジア各国による廃プラスチックの輸入禁止措置に対応し、国内における廃プラスチックの資源循環ルートを速やかに構築していくことは重要でございます。
 そこで、都は、業界団体などと協議会を設置し、廃プラスチックの有効利用に関する具体的な方策を検討してまいりました。
 その成果を踏まえ、都内の廃棄物処理業者の廃プラスチックを集約し、船舶等により共同輸送を行い、セメント工場での有効利用を促す実証事業を、来年度から実施いたします。
 セメント製造工程において原燃料として使用される石炭を廃プラスチックに切りかえることで、新たな化石資源の利用を抑制し、CO2削減を図りながら廃プラスチックの有効利用の拡大を目指してまいります。

○森村委員 新たな資源循環ルートの構築に向けては、セメント工場等での受け入れ基準を満たすなど、廃プラの品質を高めていく必要があると聞いています。そのためには、廃棄物処理業者において、中間処理の工程を見直し、処理設備の導入が必要な場合も想定されます。
 現在、廃プラスチックの処理費の上昇や在庫の増加といった困難に直面する中小の処理業者に対して、必要な中間処理設備の導入に向けた支援に取り組むべきと考えますが、都の取り組みを伺います。

○吉村環境局長 セメント工場において原燃料として使用する石炭を廃プラスチックに切りかえるためには、金属等の異物を混入させない選別、工場での受け入れ基準を満たす破砕、効率的な運搬に資する圧縮こん包など、中間処理工程の見直しが求められます。
 そこで、都は、都内で産業廃棄物の中間処理を行う中小事業者に対して、廃プラスチックの破砕設備及びその関連機器を対象とした補助制度を新たに創設いたします。
 これにより、廃プラスチックの品質を高めていくことで、工場等での有効利用を拡大するとともに、セメント製造工程におけるCO2のさらなる削減を図ります。
 こうした取り組みを通じて実証事業に参加する廃棄物処理業者の設備導入を後押しすることで、新たな国内資源循環ルートの構築を進めてまいります。

○森村委員 国内において新たな資源循環ルートを開拓していくことの意義は大きく、業界団体とも連携して、滞留する廃プラスチックの解消に向けた取り組みを着実に進めていただくことを要望します。
 先ほどの知事の答弁のとおり、我々は既に気候危機に直面しています。昨年の台風は、これまで経験したことのない猛烈な降雨により、多摩・島しょ地域を初め各地に大きな被害をもたらし、これまでの想定を超えたさまざまな教訓が得られました。
 教訓を生かし、災害への対応力を強化すべく伺います。
 都が管理する小河内ダムは、昨年の台風十九号に際して、貯水量を調節するために放流を行いました。都としてもさまざまな方法で状況の周知に努めたとのことですが、一部の下流域の基礎自治体には放流に関する情報が十分に伝わっていなかったとの指摘もありました。
 小河内ダムについては、その機能が治水ではなく利水であったとしても、台風十九号のような大きな降雨量が予想される場合には、下流域の基礎自治体が適切な対応ができるよう、放流計画を含む各種情報をしっかりと共有する体制を整えておくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○中嶋水道局長 台風十九号による小河内ダムの放流に際しましては、小河内ダム操作規程に基づき、当局が最初に警戒態勢に入った時点、豪雨が予想され、余水吐きからの放流を実施することを決定した時点及び大雨警報が発令され、洪水警戒態勢をしいた時点、これら各時点におきまして、河川管理者など関係機関にその旨を通知し、関係機関を通じまして下流域の自治体へ周知をいたしました。
 このうち、余水吐きからの放流を決定した時点で、その三時間後に放流する旨をプレス発表を行いました。
 今後、今回のような豪雨が想定され、余水吐きからの放流を実施する見込みとなった場合は、従前の対応に加え、自治体等がより迅速に情報を把握できますよう、日ごろから緊密な情報交換を行うとともに、放流に係る各時点の最新の情報をその都度ホームページに掲載し、直接アクセスできる仕組みを構築することで、都民の皆様の安心を確保してまいります。

○森村委員 我が会派では、さきの第四定例会の公営企業委員会において、想定を超える事態を生じさせた台風十九号を振り返り、本件を含めて、新たな課題を今後に生かすために総括することを提言しました。
 ご答弁の放流に関する情報更新の際に、区市町村にメール等で通知が送られるなどの工夫も、あわせて求めておきます。
 西多摩地域では、土砂崩れ、中小河川の溢水などが相次ぎ、いまだに道路の崩落により集落が孤立している地域もあります。
 都は昨年末、台風被害からの復旧予算約八十億円を含む補正予算を組み、現在も復旧に向けた工事が続けられておりますが、温暖化による風水害の激甚化が今後も予想される中、地域住民からは、例年六月ごろから始まる台風の襲来に既に不安の声が上がっております。
 完全復旧を急ぐとともに、ソフト対策を含めて、昨年の台風十九号被害の状況を踏まえた地域の災害対応力を早期に向上させる取り組みを進めるべきですが、多摩地域の中小河川の強化策について、令和二年度の取り組みを伺います。

○三浦建設局長 台風第十九号で被災した多摩の河川につきましては、護岸崩壊箇所の出水期までの本復旧に加え、各河川の特性を踏まえ、安全性の早期向上を図ることが重要でございます。
 このため、溢水が発生した成木川を初め七河川では、狭隘箇所や河道内の構造物等を把握する調査に着手をしており、その結果を踏まえまして、局所改良によるボトルネック解消や湾曲部の護岸の強化に取り組んでまいります。
 また、洪水時の川の流れに支障がないよう、樹木の伐採や堆積土砂のしゅんせつを引き続き適切に実施をいたします。
 さらに、区市町村の洪水ハザードマップのもととなる浸水予想区域図につきまして、霞川、多摩川上流圏域などにおいて改定を行ってまいります。
 多摩地域を流れる河川の豪雨に対するさらなる安全性向上に取り組んでまいります。

○森村委員 温暖化が進み、自然災害が頻発する中、私たちは適応力を上げていかなければなりません。
 集落の孤立化が相次いだ西多摩では、奥多摩の日原地域等、集落をつなぐ唯一の道路が河川に崩落した箇所を、小池知事みずから二度視察していただき、都は現在も、全力で復旧対応や市町村の支援を行ってくださっています。
 今後、いつまた同様の事態が発生しないとも限りませんので、山間部における集落の孤立化を防ぐために、最新の技術を導入するなどして、集落を結ぶ山岳道路の斜面の状況を的確に把握し、防災対策を推進していくべきだと考えますが、都の取り組みについて伺います。

○三浦建設局長 山岳道路では、斜面の崩落などによる通行どめや孤立集落の発生を未然に防ぐための防災対策が重要でございます。
 都が管理する山岳道路斜面は約三千五百カ所あり、これらにつきましては、三日で一周する都道の巡回点検に加え、五年に一度の点検で全斜面の状態を把握し、緊急度の高い斜面から、のり枠や落石防護柵などの対策工事を実施しております。
 地形が急峻な場所では現地踏査による目視の点検が困難であるため、今後は、ドローンなどを活用した調査に積極的に取り組み、より的確に斜面の状態を把握し、防災対策の強化につなげてまいります。
 今後とも、山岳道路の防災対策を進めることにより、多摩山間部や島しょ地域における集落の孤立化を防ぎ、都民の安全・安心の確保に努めてまいります。

○森村委員 ドローンの活用についてはこれまでも、現場での実証実験等を通じて検証が行われてきました。今後はぜひ、必要な性能を備えた機体の導入や、職員の免許取得を通じた操作技術の向上、さらにはAIの活用による画像分析技術の導入など、十分な予算をもって最新技術の活用をいただけるよう要望しておきます。
 二〇二〇年に向けて集中的、重点的な取り組みを図るなどの目的で創設された七つの基金の計画的な活用は重要です。
 例えば観光分野では、おもてなし・観光基金の活用により、平成三十年の訪都外国人観光客数は約千四百二十四万人と過去最多を記録するなど、着実な効果が出ています。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響は甚大で、まさか二〇二〇年を迎えた本年、観光産業でここまで深刻な事態が発生するとは誰も想像できなかったのではないでしょうか。
 今回の補正予算による緊急対策のおかげで、ひとまず安堵の声も実際に届いておりますが、令和二年度予算においては、東京二〇二〇大会の先の未来に向けて、戦略的な財政運営のもと、さまざまな施策が安定的に展開されていく期待感が都民に届くものであるべきと考えます。
 そこで、令和二年度予算において、将来の財政基盤を強化する観点から、どのような取り組みや工夫が図られているのか伺います。

○武市財務局長 令和二年度予算では、さまざまな政策展開を支えるための財源といたしまして、これまで計画的に積み立ててきた基金を取り崩し、積極的に活用をしております。
 一方で、年度間の財源調整のかなめとなります財政調整基金は、新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算の財源として、一部を取り崩してもなお、二年度末で八千九百三十二億円の残高を確保しております。
 また、都債につきましては、将来世代の負担を考慮して発行額を抑制し、残高を継続して減少させるなど、将来の発行に向けての余力を蓄えているところでございます。
 施策の新陳代謝を図る事業評価につきましても、過去最高の千二百六十六件の評価結果を公表し、約一千三十億円の財源確保につなげるなど、取り組みを強化しております。
 このような形で、強固で弾力的な財政基盤を堅持するための財政上の工夫を図っているところでございます。

○森村委員 世界の景気への不安も漂ってきております。引き続き財政基盤の強化を図り、戦略的な都政運営を支える健全な財政運営を要望いたします。
 新型コロナ感染症に対する中小企業対策として、一千億円を目標とする制度融資を含む四百一億円の補正予算が先週成立し、個人事業主を含み、当座の資金繰りに対する支援の体制が整ったことで、国に先駆けてこの事態を乗り越える環境は、一旦は整いました。
 この間、都は、矢継ぎ早に対策を発表していますが、事業者にとっては、いまだ先が見通せない状況が続いております。
 本年、まずはこの局面を乗り切り、東京二〇二〇大会が控えた夏場から年後半にかけて、前半戦でへこんだ収益をいかに取り戻せるか、中小企業にとっては正念場です。
 大幅に縮小した取引を取り戻し、売り上げの増加につなげるためには、海外への新たな販路開拓などを都としても支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○村松産業労働局長 都は来年度、今般の新型コロナウイルス感染症対策として、都内中小企業の海外への販路開拓への支援を実施いたします。
 具体的には、海外の展示会において、現地のマッチング事業者の活用などにより、新たな商談の成立をサポートする取り組みの規模を拡充いたします。
 また、感染症の影響により売り上げが減少した中小企業に対し、国内も含めた展示会に出展する際の小間料や輸送費など、必要な経費の五分の四について百五十万円を上限として助成いたします。
 加えて、海外への販路開拓をハンズオンで支援する商社OB等の専門家を増員し、体制の充実を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、売り上げ増加を目指す中小企業の販路開拓を強力に後押ししてまいります。

○森村委員 ポスト東京二〇二〇大会の成長戦略として、引き続き観光産業は東京の稼ぐ力を強化し得る成長産業の一つです。
 大会の招致決定以来、観光客の受け入れ環境整備、観光資源の磨き上げなど、多くの努力が積み重ねられてきました。これら積み重ねられてきた努力を必ずや花開かせるべく、都としては、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症の事態収束後に観光需要が回復するよう準備をすべきと考えますが、都の見解と令和二年度の取り組みを伺います。

○村松産業労働局長 観光産業は、東京二〇二〇大会後も東京の成長を支える重要な産業でございます。新型コロナウイルス感染症による影響を抑えつつ、その収束後には早期に観光需要の回復を図ることが必要でございます。
 今回の同時補正予算案では、事態収束後、速やかにインバウンド需要を回復させるため、海外でのCM等によるPRを強化するとともに、より多くの海外メディアが都を訪れ、その魅力を発信できるよう、支援の充実を図ることとしております。
 また、区市町村が行う外国人旅行者向けのイベントや、それに合わせた多言語対応などの受け入れ環境の整備に要する経費について、五百万円を限度に支援いたします。
 新型コロナウイルス感染症の状況を見きわめながら、観光振興策を機動的に実施してまいります。

○森村委員 ぜひとも引き続き、追加対策の検討など機動的な支援をお願いいたします。
 私は、大都市であるにもかかわらず、豊かな自然に恵まれた東京に自然史博物館がないことについて就任以来指摘し、収集、分析、保存、発信する拠点として、自然史博物館の必要性について訴えてまいりました。
 都では現在、絶滅危惧種の指定や保存などについての取り組みを行っていますが、気候変動の影響で、都の生態系も日々刻々と変化している現状に鑑みても、自然史博物館のような拠点を設け、取り組みを加速すべきと考えております。
 また、都には個人としての研究者が数多くいますが、高齢化が進んでおり、相続が発生すると、価値ある研究成果や書籍、収集物等が失われるおそれがあり、それらが散逸する前に早期の保全措置を行うべきです。
 都は、私の要請を受け、およそ二年にわたる調査を行ってきましたが、これまでの調査結果を踏まえた見解と今後の取り組みを伺います。

○吉村環境局長 平成三十年度、東京の自然環境情報の所在等の基礎調査を実施した結果、主に大学や博物館など十カ所のほか、個人の研究者所有の標本等があることが判明いたしました。
 現在、大学や博物館と個別に自然環境情報の保管についてヒアリングを行っているところでございます。
 令和二年度は、平成三十年度の調査で存在を確認できた自然環境情報を対象に、保管状態や量、標本採取状況等の詳細な調査を実施いたします。
 今後、調査結果をもとに学識経験者の意見を聞きながら、資料保存の優先度を確認し、保存の基準を設けるなど、自然環境情報の散逸防止策を検討してまいります。
 このうち、喫緊に散逸のおそれのある個人研究者所有の標本については、大学や博物館などの管理者と調整を行い、一時的に保管するなど、保全の手だてを検討いたします。

○森村委員 都は現在、生物多様性地域戦略の策定を行っており、令和二年度より本格的な審議が始まっています。
 戦略は策定することに意味があるのではなく、実効性を持って機能させる必要があり、こうして収集した自然環境情報を実際の都の施策に活用していくことが重要と考えます。
 生物多様性地域戦略の検討を進める中で、自然環境情報の収集、分析、保存、発信のあり方についても積極的に検討すべきであると考えますが、見解を伺います。

○吉村環境局長 国が令和三年度、生物多様性国家戦略を改定するのに合わせて、東京の生物多様性にかかわる中長期的な総合計画である生物多様性地域戦略を改定いたします。
 改定に際し、従来からの緑の保全、創出の取り組みに加えて、計画的な希少種保全、外来種防除を実施するなど、生き物の生息、生育環境の維持回復の取り組み強化を検討することもテーマとなっております。
 都や区市町村がこうした取り組みを進める上で必要不可欠となる自然環境の情報の収集、分析、発信等についても、新たな地域戦略策定の過程で検討してまいります。

○森村委員 冒頭の知事の答弁にもありましたとおり、ゼロエミッション東京の実現には、全ての都民に共感と協働を呼びかける必要があります。実際の行動の主体となるのは、一般の都民や都内事業者だからです。
 温暖化によって、都民の身近な自然がどのような変化にさらされているのか、情報発信のあり方は極めて重要であり、核となる取り組みが必要であると考えております。
 都民の行動を促す自然環境情報の発信について前向きな検討を進めていただけるよう要望しておきます。
 さて、変化の激しい時代において、子供の生きる力の源泉となる非認知能力を向上させるための施策として、自然を活用した保育、幼児教育の推進について、これも就任以来提案してまいりましたが、今年度予算で自然を活用した都版保育モデルの取り組みが始まりました。
 都は、未来の東京戦略ビジョンで、全ての子供たちが将来への希望を持ってみずから伸び、育つ東京の実現を目標に掲げておりますが、その実現に向け、今年度から実施している自然を活用した東京都版保育モデルの検討事業で得られた成果を生かして、幼児教育、保育の質の向上を図っていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。

○小池知事 将来の東京を担う子供たちは無限の可能性を秘めたかけがえのない存在、みずからの人生をみずからの意思で切り開く力を育んでほしいと思っている、このことは繰り返し申し上げさせていただいております。
 こうした生涯にわたります生きる力ともいうべき能力の基礎でございますが、親子のかかわりや友達との遊び、さらには自然における体験などを通じまして幼児期から培っていくということは、ご指摘のように非常に重要でございます。
 都は今年度から、自然を活用した東京都版保育モデルの作成に着手をいたしまして、モデル園として三つの保育所で実践的な活動を行いました。
 先月、その成果を発表する活動報告会を開催いたしまして、私も参加させていただきました。とってもいい雰囲気でした。当日参加されていた保育士さんなど、現場の第一線で子供さんに接しておられる関係者の方々からは、けがや事故の不安があるけれども、具体的な事例の提供や研修会の実施へのご要望も多かった。そして、この自然を活用した保育の取り組みへの期待の大きさというものがあふれていたと存じます。
 来年度でございますが、保育所等が自然環境を活用した保育を実践するために必要な知見を取りまとめまして、区市町村や認可保育所、認証保育所、幼稚園、認可外保育施設等に広く周知をいたしまして、幼児教育、保育の質の向上につなげてまいりたいと存じます。

○森村委員 先月行われた活動報告会には私も出席をさせていただきました。都として初めての取り組みの中で、有識者の助言を受けながら、また試行錯誤をしながら、さまざまな知見を得ていることが感じられ、大変うれしく、また多くの園の関係者も勇気づけられたのではないでしょうか。
 ちなみに、印象的だったのは、東京には身近な自然がないのではなく、身近な自然の生かし方がわからなかっただけであるというモデル園の園長からの示唆でした。
 幼児教育にかかわる問題意識や自然活用のメソッドの確立により、都内でも自然を活用した保育、幼児教育の実現が可能になるものと受けとめた次第です。
 そこで、保育所がどのような問題意識を持って本事業に参加し、取り組みを通じてどのような気づきや変化が見られたのか、見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 本事業では、今年度、モデル園として選定された三つの保育所が、専門のアドバイザーから助言を受けながら実践活動を行ったところでございます。
 活動前に各施設に行ったアンケートでは、自然に触れることで子供の感受性を育みたいという期待があるものの、安全管理に対する不安や自然環境の効果的な活用方法がわからないという懸念なども示されておりました。
 実際の活動では、これまで園で禁止していた木の棒遊びについて、最低限の決まりを伝え、自由にさせたところ、地面を掘る、秘密基地をつくるなど、棒の使い方を工夫し、自然に協力し合うなど、遊び方に変化が見られたところでございます。
 また、保育者にとっても、遊びのきっかけをつくった後は、子供の自主性に委ねて見守ることで、一人一人の様子を把握しやすくなったなどの気づきも得られたと認識してございます。

○森村委員 活動報告会には、都内の園から、自然を活用した保育、幼児教育に期待を寄せる保育士たちが数多く参加していました。
 中には、自然を活用する積極的な取り組みを長年行ってきた園の関係者の姿も見られましたが、都の取り組みに対して極めて好意的なものでした。
 一方で、今回、公募を通じて事業に参画した三園の取り組みを見ても、取り組みの出発地点、現在位置は異なっているなど、状況は三者三様であり、さまざまなご意見を頂戴しております。
 そこで、来年度は、既に積極的な取り組みを行っている園におけるプログラムを参考にするなど、さまざまな園の協力を得ながら本事業を展開していくべきと考えますが、見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 保育所等を取り巻く自然環境や立地条件、保育における自然の活用状況などはさまざまでございます。
 このため、都内の保育所等で広く取り入れられる自然を活用した東京都版保育モデルの作成に向けて、まず今年度は、地域性や周辺環境などが異なる三つの施設をモデル園として実践活動を行いました。
 来年度は、モデル園を追加するとともに、実践活動の時期や場所等のバリエーションを広げるほか、積極的に自然環境を活用している施設の見学なども行う予定でございまして、こうしたさまざまな事例も踏まえた実践的な保育モデルとしていくものと考えております。

○森村委員 全国の取り組みに目を転じますと、例えば長野、鳥取、広島県などで、森や自然を積極的に保育、幼児教育に取り込んだ取り組みが効果を上げております。
 中でも、長野県の信州やまほいく制度については、自然を活用した取り組みを行う園に対して、県独自の基準で、週に五時間以上を野外で活動する園に対して普及型、週に十五時間以上の園に対しては特化型という認証を与えており、二〇二〇年三月現在で二百十の園が認証を得て、県から認証に応じた支援を受けております。
 こうしたさまざまな取り組みを参考にしながら、都内の保育所等における自然を活用した取り組みを一層充実させるべきと考えますが、見解を伺います。

○内藤福祉保健局長 保育所等が自然環境を有効に活用して保育を実践していくためには、自然を活用する目的を明確化し、施設の通常活動に日常的かつ継続的な活動として組み込むほか、保育者が子供へのかかわり方などについての意識を変え、子供の主体性を引き出すために工夫することなどが必要となります。来年度は、こうした留意点をチェックリストとして取りまとめる予定でございます。
 今後、都内の保育所等で自然を活用した保育が一層実践されるよう、お話のございました他自治体におけるさまざまな取り組みも参考にしながら、東京都版保育モデルの作成に取り組み、都内の保育所等に広く還元してまいります。

○森村委員 このような取り組みを積極的に進めていただく中で、ぜひ都においても自然を活用した幼児教育、保育の取り組みに対する認証制度構築の検討をいただくなど、多くの園が自然を活用した取り組みを行う環境整備を促進いただけるよう求めておきます。
 最後に、スマート東京についてお聞きします。
 世界の都市間競争に打ち勝つ鍵になるのが東京のデジタルトランスフォーメーションです。宮坂副知事が就任して間もなく半年がたとうとしていますが、この間、TOKYO Data Highwayほか、スマート東京の実現に向けた方針が矢継ぎ早に打ち出され、未来の東京戦略ビジョンの中でもしっかりと位置づけられていることを高く評価するとともに、計画の実現に大いに期待するものです。
 そこでまず、都市のデジタル化を通じて、都民が質の高い生活を送ることができる東京の実現に当たっては、高度ICT人材の確保が重要だと考えますが、改めて副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 副知事就任以降、いろいろな場面で都議会の議員の皆様から、情報技術の活用に向けた多くの具体的な提案をいただきました。
 情報技術の活用を推進する自分としては、改めてその実現に向けてしっかり取り組まなくてはという使命感に燃えており、東京版ソサエティー五・〇であるスマート東京の実現に向けて加速していきたいと思います。
 しかし、この実現は強力なチームなしには構想で終わりかねず、成し遂げることはできません。この五カ月で、民間企業から高度な専門性と豊富な経験を有するICT人材を採用するとともに、行政系の職員、さらには外部の専門人材と連携するなど、三者でスクラムを組み、課題に対応する体制を構築してまいりました。
 今回の新型コロナウイルス感染症対策サイトは各方面から反響をいただいておりますが、これは三者のスクラムによる成果であり、ひょっとしたら半年前の体制では、サイトの構築は、この速度では難しかったかもしれないと思っております。
 とはいえ、世界の主要都市を見渡せば、各都市でICT人材の確保が急速に進んでおり、都の取り組みはいまだ道半ばであります。
 例えばニューヨークは約千五百人、シンガポールは約二千六百人の強力なICT部隊を持ち、目を見はるスピードでスマートシティー化を進めています。
 東京が世界の都市間競争を勝ち抜いていくためにも、これらの都市に追いつき追い越せという気概を持ち、あらゆる手段を講じて、さらなる体制強化を図っていきたいと考えております。
 私自身も、ICT人材の確保を最重要課題の一つとして捉え、時間の許す限り採用イベント等にも足を運ぶなど、体制強化に向けて全力を尽くしております。
 今後も、こうした取り組みを展開し、世界を意識しながら、世界水準のデジタルチームをつくり上げていけるようと考えております。

○森村委員 スマート東京の実現には、国、ほかの自治体、民間企業が喉から手が出るほど欲しいような人材、例えばICT分野で豊富な経験を積み、輝かしい実績を残してきた高度IT人材や、中でも明確な将来ビジョンに基づくシステムの設計思想を理解し、時代が変化しても利用に耐え得る拡張性を持ったシステムをアジャイルに構築できるような人材、そのような人材が必要だと考えております。
 こういった人材に、一体どのように職場としての東京都を選んでいただくことができるのか、あらゆる手段を講じていただきたいと存じますが、副知事みずからが先頭に立ってのリクルート、これは優秀人材にとっても間違いなく大きな魅力になりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、都市OSの構築について伺います。
 IoTを活用し、エネルギー、上下水道、公共交通など、あらゆる都市インフラから収集されるデータを分野横断的に整理、提供する都市OSを軸に、都市運営の高度化を目指すスマートシティーの実現に向けて、我が国もようやく大きな動きが始まることが期待されております。
 内閣府は、統合戦略二〇一九において、スマートシティーをソサエティー五・〇の先行的な実現の姿と位置づけ重視してきましたが、今年度中に都市OSのアーキテクチャー等に関する検討結果の公表が予定されております。
 そこで、都が都市OSの構築に向けた本格的な動きを開始するために、どのような体制を構築し、要件を整備する必要があるかなど明らかにすべきと考えますが、都は、都市OSをどのように位置づけ、今後、どのように構築を進めていく予定なのか伺います。

○松下戦略政策情報推進本部長 東京は世界に比類のない巨大都市でございまして、その巨大さゆえに、都市OS、これの構築につきましては、さまざまなアプローチが存在するものと考えております。既に、それぞれの地域におきまして、地域に密着したリアルタイムデータ等を活用するなど、都市OSを構築する動きが始まっているところでございます。
 都では来年度から、さまざまなデータをオープンAPIで連携する官民連携データプラットホームの構築に取り組むこととしております。それぞれの都市OSと、このデータプラットホームとを相互連携させることで、双方向でのデータ利活用が可能となるため、データ活用の幅が広がりまして、さまざまなサービスの充実が期待されるところでございます。
 都では、こうした観点に立って、今後、国のデータ収集に係る基盤整備の動向等も注視しながら、データプラットホームの構築とあわせまして、東京における都市OSのあり方について検討を進め、整備を促進してまいります。

○森村委員 これまで都で構築されてきた情報システムは、分野ごと、組織ごとに独立して整備され、そこで得られたデータの利活用も当該分野、組織にとどまっていたものと理解しております。東京のポテンシャルを一〇〇%引き出し、熾烈化する国際的な都市間競争に打ち勝つためにも、分野横断的な都市OSの構築を早期にお願いいたします。
 スマート東京を実現するための体制について伺います。
 スマート東京実施戦略の中で、スマート東京実施戦略の着実な推進に向けたポイントの一つは、それを支える執行体制の確保とうたわれており、喫緊の課題としては、とりわけICT人材の確保が挙げられています。スマート東京の実現の鍵は人です。ICT分野で豊富な経験を積み、輝かしい実績を残してきた高度ICT人材をどのように確保していくのかは極めて重要です。
 このたび、都は、五百億円のスマート東京推進基金を新設するなど、執行体制を支える財源の確保を進める、資金面では戦略的な取り組みを推進しておりますが、事業執行に必要な高度ICT人材の確保についても戦略的な取り組みを検討すべきであると考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わります。

○遠藤総務局長 都ではこれまでも、民間企業から高度な専門性や豊富な知識、経験を有する人材を管理職として任期を定めて採用しており、既に十九名の職員が活躍をしております。昨年度末の九名から、この一年で二倍以上に拡大をいたしまして、年度途中の需要にも機動的に対応しながら人員の強化を図ってまいりました。
 引き続き、これらの人材を活用することに加えまして、来年度から採用選考を行うICT職種をあわせた重層的な人員構成を形成することにより、スマート東京の実現に向けた執行体制を確立してまいります。
 世界的にデジタル分野の人材獲得競争が激しさを増す中、多面的な採用戦略をスピーディーに展開し、都庁のデジタルトランスフォーメーションを推進することのできるICT人材の確保に努めてまいります。

○本橋委員長 森村隆行委員の発言は終わりました。(拍手)

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