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Tokyo Metropolitan Assembly

予算特別委員会速記録第四号

○山下委員長 大松あきら委員の発言を許します。
   〔委員長退席、ともとし副委員長着席〕

○大松委員 まず、教育について伺います。
 フランスの哲学者ルソーは、著書「エミール」の中で、教師の資格について、金のためにやるのでは、それにふさわしい人間でなくなるような高尚な職業がある、軍人がそうだ、教師がそうだと述べています。犠牲も覚悟で人々の安全を守る仕事とともに、教育は見返りを求めず、みずからの使命として困難に挑戦していく、とうとい仕事という意味だと思います。
 それだけに、教員はむしろよりいい待遇ですぐれた教員を迎え、その力を存分に発揮できる環境を整えていくことが教育をよくしていくことにつながると考えます。こうした視点で、何点か伺います。
 まず、教員の海外派遣について伺います。
 今春卒業する大学生の就職内定率が過去最低となる一方で、大企業は、外国人の留学生を大量に採用しています。報道によれば、コンビニ大手、運送大手が新卒採用者の約三割を外国人留学生から採り、こうした傾向は今後も強まっていくとされています。出身国別では、中国、韓国、タイ、インド、インドネシアなど、企業が事業展開を目指すアジアの事情に詳しく、母国語のほか、英語、日本語を話せることが評価されているようです。
 企業が望む人材を養成することが教育の目的ではありませんが、急速に一体化が進む世界の中で、日本の青年が伸び伸びと活躍できる力をはぐくまなければなりません。
 そのはぐくむべき力とは、第一に語学力です。そして、第二にコミュニケーション能力です。民族や文化は違っても、お互い人間同士として認め合い、友好、信頼関係をつくっていく能力と考えます。こうした力をどうはぐくんでいくのかが課題であります。
 まず、何よりも、教員自身に語学力、コミュニケーション能力を磨いていただくことが大切です。そして、海外にすぐれた教育制度があれば、日本に取り入れていくことです。
 こうした視点から、東京都は今年度、教員と指導主事を一年間、アメリカとカナダに海外派遣しています。未来を見据えた大事な先手であり、高く評価いたします。
 そこで伺います。間もなく一年間の研修が終了し、派遣された教職員が帰国されますが、現時点における派遣研修の状況について所見を求めます。

○大原教育長 都教育委員会は、今年度から教員二名、指導主事二名の合計四名を一年間、海外で研修させており、派遣先は三名がアメリカ合衆国、一名がカナダでございます。
 教員は大学で英語の教科指導法等の専門分野を学びますとともに、学校訪問や授業参観、現地教員とのチームティーチング等により、授業実践のほか、英語教育等の研究会で発表者になるなどして指導力の向上に取り組んでおります。
 また、指導主事は大学で教育行政、学校経営等の専門分野を学ぶとともに、現地の教育委員会等でインターンシップ等を行うなどして、日本と異なる教育行政制度及びその運営の実態について調査研究を行っております。
 現在、四名の派遣者は、それぞれこうした指導力向上の取り組みや調査研究を踏まえ、各自の研修成果のまとめに積極的に取り組んでいるところでございます。

○大松委員 せっかくの海外派遣研修でございますので、個々人のスキルアップにとどめず、その成果を都の教育全体に広く還元していく取り組みが必要です。見解を求めます。
 また、来年度の派遣計画も伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、海外に派遣した教員と指導主事の自己の研究テーマにかかわる報告書を、本年五月に都内の全公立学校に配布するとともに、全都の教職員を対象とした成果報告会を開催いたします。
 八月には、派遣者を講師として、英語の指導法等に関する教員研修会を実施するなどして、海外研修の成果を広く普及してまいります。
 また、指導主事には、東京都と派遣先との比較から、東京都の教育行政に生かせる施策を企画させていきます。
 来年度についても、教員二名、指導主事二名の合計四名を一年間、アメリカ合衆国、カナダなどの英語圏に派遣する予定でありまして、今年度の取り組みを踏まえて本事業を一層充実させ、教員等の語学力や国際性等の向上に努めてまいります。

○大松委員 教職員こそ、もっと海外に派遣すべきであります。今後、海外派遣の人員をふやしていくよう強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
 都内の学校には、毎週のように、海外の教育関係者が視察に訪れております。教員の養成、人事、組織などについて熱心に質問をされるそうで、教育者の問題意識は国を越えて共通するものが多いようであります。もし教育者同士が交流をすれば、その友好の輪は大きく広がることは間違いありません。
 しかし、現在、政府間レベルの教育サミットはありますけれども、自治体や教員同士の交流の機会は余りありません。昨年六月の本会議でも要望いたしましたが、都は、現場の教員らを巻き込んだ教育交流を進めていくべきです。
 折しも、国は、来年度から日本人若手英語教員米国派遣事業を開始いたします。東京都の取り組みを後追いするような事業ではありますけれども、研修だけではなく、交流も含まれております。この事業を積極的に活用し、より多くの教員を派遣し、海外での教育交流を促進していくべきです。見解を求めます。

○大原教育長 平成二十三年度から開始される、文部科学省及び外務省共催の日本人若手英語教員米国派遣事業は、四十歳以下の若手英語教員をアメリカに六カ月間派遣し、ホームステイをしながら大学で学ばせ、英語の指導力や英語によるコミュニケーション能力の向上を図ろうとするものであり、有意義な事業でございます。
 都教育委員会からは、中学校一名、高等学校一名の教員を派遣する予定でございます。
 今後とも、都独自の海外派遣研修とともに、こうした国の事業の活用を図り、多くの教員が海外研修に参加できるよう努めてまいります。

○大松委員 次に、言語能力向上推進について伺います。
 平成十五年度のPISA学力調査で、日本の生徒が数学、科学的リテラシーでは上位でしたけれども、読み、解釈し、表現するなど、いわゆる読解力が平均程度にとどまり、また、自由記述問題で答えを書かない無答率が高かったことなどが指摘されました。
 これを受け、国は学習指導要領を改訂し、来年度から、すべての教科で思考力、判断力、表現力等を育てる授業が行われることになっています。
 一方、東京都は既に、平成十五年度から表現する力を含む学力調査を実施し、授業改善に活用してこられました。
 そこで、言語能力向上に関する都教育委員会の認識と、児童生徒の言語能力の実態について伺います。

○大原教育長 児童生徒の言語能力については、平成二十一年度、都が小学校四年生と中学校一年生を対象に実施した学力調査によれば、小学校の国語で、文脈を読み取り、ある一文を全体の文章の中のどの位置に入れればよいかを考える問題では、正答率が五四%でございました。
 また、中学校の国語で、書いた文章を読み返し、表現や語句の用法、叙述などを確かめて、読みやすくわかりやすい文章にする問題では、正答率が四七%であり、いずれも極めて低い結果でございました。
 こうしたことから、文脈を読み取り、適切に判断することや、必要な情報を正しく取り出し、それらの関係を読み取ることに課題があることが明らかになっております。

○大松委員 来年度から、言語能力向上の授業が始まるわけでありますけれども、スピーチコミュニケーションというようなものが定着しているアメリカとは違いまして、日本では、ほとんどの教員自身が、そうした授業を受けた経験がありません。
 そこで、私は平成二十二年六月の本会議で、言語能力を育成する授業がすべての学校で着実に進められるよう、学校、教員を支援するべきと訴えまして、都教育委員会に実践的な指導方法を開発していただき、実践指導事例集もまとめていただいております。
 平成二十三年度の新規事業であります言語能力向上推進事業も、私どもが主張した教員への支援策の一環として実施されるものと受けとめて、高く評価いたします。その内容について伺います。

○大原教育長 言語能力向上推進事業では、活字に親しむ学校づくりを通して、児童生徒の言語能力を向上させるため、都内公立小中学校五十校、都立学校十五校を推進校として指定し、三年間の研究を行います。
 推進校では、読み聞かせの達人等の専門家を招聘した児童生徒対象の講演会や教員研修を実施いたします。また、学校図書館を活用した調べ学習や意見の異なる者同士の討論、討議、同じ本を読んで意見等を述べ合う学習活動を行い、児童生徒の言語能力の向上を図ります。
 都教育委員会は、今後、こうした取り組みを充実させ、その成果を全都に普及するとともに、猪瀬副知事をリーダーとした活字離れ対策検討チームによる言葉の力再生プロジェクトの取り組みとも連携を図って、児童生徒の言語能力の向上を強力に推進してまいります。

○大松委員 講演会が年二回、教員研修も年十回ということで、東京都の意気込みを感じさせる大変意欲的な事業でございます。
 冒頭にも申し上げましたけれども、これからの国際社会で求められますのは、コミュニケーション能力です。そして、読み、解釈し、表現するなどのこの言語能力は、その土台となります。
 言語能力向上推進事業においても、コミュニケーション能力の向上をより重視すべきと考えます。都の見解を求めます。

○大原教育長 言語能力向上推進事業においては、児童生徒が互いの立場や考えを尊重しながら、言語を通して適切に表現し、正確に理解し合うコミュニケーション能力の育成を特に重視しております。
 例えば、各推進校においては、自分の考えをもとに文章を書いて討論する、あるいは、体験活動を通して気づいたことなどを発表し合う学習活動等を、すべての教科等で行うこととしており、こうした取り組みを通して児童生徒のコミュニケーション能力の育成が図られるよう、各推進校を指導してまいります。

○大松委員 続きまして、メディアリテラシーについて伺います。
 また「エミール」の引用になりますけれども、ルソーは教育の目的について、こう語っております。理性、判断力はゆっくりと歩いてくるが、偏見は群れをなして走ってくる。そういう偏見から彼を守ってやる必要があるのだと。
 近年、何が事実で、何が虚偽なのか判別ができない情報がはんらんしております。報道による人権被害なども後を絶ちません。情報をうのみにせず、その内容を見きわめる論理的な思考力、メディアリテラシーを育成していかなければなりません。
 言語能力の育成の中で、メディアリテラシーの育成にも力を入れていくべきです。都教委の見解を求めます。

○大原教育長 高度情報化社会の中で、子どもたちがメディアから得られる情報を適切に評価して、必要な情報を主体的に選択し、適切に活用できる能力を身につけさせることが極めて重要でございます。
 現在、各学校では、こうした能力を身につけさせるために、子どもたちの言語能力の育成の中で、例えば特別活動や総合的な学習の時間において、ディスカッションやディベートなどの活動を取り入れた体験学習を行っております。
 都教育委員会は、こうした指導を充実するため、すぐれた実践を指導事例集やリーフレットにまとめまして、教員研修などで広く普及啓発を図ってきており、今後ともこうした取り組みを一層充実して各学校を支援してまいります。

○大松委員 次に、青少年健全育成条例について、一言述べさせていただきます。
 昨年、東京都青少年健全育成条例が改正されました。未来を担う青少年の健全育成にとって時宜を得た条例であり、施行されれば適正な効果が期待できます。関係者のご努力に心から敬意を申し上げます。
 本日は、その上で、アニメ産業の振興策について伺います。
 東京国際アニメフェアは、ことしで十周年を迎え、今や世界最大のアニメの総合見本市となりました。アニメの取引市場は、かつてはカンヌが世界の中心といわれましたが、今はその重心が東京に移りました。アニメフェアを開始された石原知事の先見の明に敬意を表します。
 申し上げるまでもなく、日本のアニメは品質が高く、ものづくりとともに、その技術は世界一です。しかし、いいものをつくれば、おのずと売れるというものではありません。実際、日本のアニメ産業は、名声に見合っただけの利益は上げておりません。もっと売れる商品として磨きをかけ、世界の市場を見据えた販売戦略が必要です。
 ハリウッドでは、世界各地から人材とアイデアを集め、巨大な資本と大胆な戦略でコンテンツをつくります。ディズニーはアメリカ最大のコミック出版社を買収、日本のジブリとも提携し、巨大メディア企業として成長し続けております。
 一方、日本のアニメ産業では、クリエーターは優秀ですが、ハリウッドで仕事ができるような営業スタッフがいません。また、クリエーターの収入が低く、空洞化も進んでいます。
 日本のアニメ産業を振興させるためには、クリエーターらがハリウッドのプロダクションなどに直接、作品やアイデアを売り込めるよう、プレゼンテーションや交渉の技術を提供し、プロデュース機能を強化する支援が必要です。また、クリエーターの権利を守り、利益がふえるようにしなければなりません。
 そこで、例えばコンテンツビジネスの第一線で活躍する人材などを活用し、海外展開に必要なノウハウを伝授するなど、海外市場を視野に入れた支援に力を入れていくべきです。東京都の見解を求めます。

○前田産業労働局長 アニメーションは世界に誇る日本の文化であり、各国でも人気の高い重要な観光資源であります。同時に、アニメーションを含むコンテンツ産業は今後の成長性が高く、東京の将来を支える産業の一つでもあります。
 こうしたコンテンツ産業が海外市場に進出する際には、例えばキャラクター商品の権利の帰属など、知的財産に関する契約上のノウハウが必要となります。そのため、都は、知的財産総合センターで、この分野に詳しい相談員によるアドバイスを実施しております。
 また、同センターでは、コンテンツ関係の仕事ですぐれた実績を持つ経営者等を講師といたしまして、ビジネス展開の事例紹介や、契約上のポイントの説明などを行う連続セミナーを開催いたしました。こうした企画は参加者から高い評価をいただいておりまして、来年度も継続して実施してまいります。

○大松委員 来年度も継続していただけるとの明快な答弁をいただきましたので、よろしくお願いをいたします。
 その上で、東京都は、中小企業の海外販路拡大を支援するため、商社のOBを活用しておりますけれども、コンテンツ産業を支援するために、ハリウッドでも活躍できる経験豊富なプロデューサーを活用するように要望をしておきます。
 二〇〇九年の邦画の興行収入ベストテンのうち、七作が漫画を原作にした作品でした。かつては、すぐれた文学や小説が映画、ドラマ化されましたけれども、最近は漫画が原作になるケースがふえております。
 海外でもこの傾向が広がり、日本の少女コミックで連載された学園物が韓国や台湾でドラマ化され、日本に逆輸入。ワインをテーマにした日本の作品が本場のフランスで大ヒット、間接広告の規制で映画化は実現できませんでしたけれども、韓国のペ・ヨンジュン氏が大株主の企業が映画化する権利を買収して話題になりました。
 このように、映画、ドラマ、アニメ、キャラクターなど、さまざまな商品を次々と生み出していくことから、漫画はマザーコンテンツと呼ばれ、コンテンツ産業の発展に欠かせない存在になっております。
 こうした点に着目し、優秀な漫画家を育てる事業を、都内のNPOが展開しております。大きな一軒家を借り上げ、それを共同住宅にして低家賃で提供し、プロデビューへ向けて支援するトキワ荘プロジェクトです。現在、百数十人が居住し、既にプロデビューを果たした若者もおります。
 一方、東京都は、中野区内でコンテンツビジネスの創業を支援するインキュベーションセンターを運営しております。
 ここでは、携帯端末向けのコンテンツを扱う事業者がふえておりまして、キャラクターなど絵をかく人を求めています。漫画家を目指す若者にとっては、商業誌に限らず携帯コンテンツでデビューする道もあり、両者の連携は、お互いの利益になります。
 そこで、東京都は、トキワ荘プロジェクトのようなインキュベーション機能を持った民間団体と連携し、コンテンツ産業の育成に寄与していくべきです。見解を求めます。

○前田産業労働局長 将来に向けて成長が期待されるコンテンツ産業での創業を支援するため、都では、平成二十年八月に東京コンテンツインキュベーションセンターを設置しております。
 同センターでは、入居者に販路開拓や企業経営などのノウハウを提供するインキュベーションマネジャーが常駐しておりまして、取引の実現などに役立つ人的なネットワークづくりの支援にも取り組んでおります。
 お話にありましたような民間団体との新たな連携につきましても、インキュベーション事業の一環として、双方の入居者の間でのビジネス展開につながるよう促進してまいります。
 こうした取り組みによりまして、コンテンツ産業の振興に努めてまいります。

○大松委員 ぜひよろしくお願いをいたします。また今後は、民間のインキュベーションの団体にも財政的な支援を検討していくべきであり、これを要望しておきます。
 東京には、アニメだけではなく、デザイン、ファッションなど、文化、芸術としての側面を持つ産業が集積しております。
 こうした産業は、商品が一度市場で成功すれば、大きな追加投資を行わなくても、次々と複製、再生産できるワンユース・マルチメディア型の高付加価値産業です。商品開発、設計、デザイン、広告など幅広い分野で活用され、他産業との相乗効果も期待されます。
 そして、将来の広がりが期待されるこれらの産業を支えるのは、若きクリエーターの創造力であり、情熱です。
 東京都として、産業振興の観点から、こうした人材の育成を図っていくことが重要であると考えますが、石原知事の所見を伺います。

○石原知事 コンテンツ産業って何ですか。(大松委員「映画、ドラマ、アニメーション、ゲーム等です。」と呼ぶ)ああ、そういうことですか。
 今日、アニメやファッションに限らず、音楽、映画、デザインなどの分野で、日本人の感性、それの表示である日本の文化が新たに世界的な評価を得つつあるのは大変結構なことと思います。これは、ハンチントンが、世界の文明というのは幾つかの系列に分けられるが、日本だけは全く独自の非常に独立したものだということをいった一つの証左だと思います。
 例えば、ことし、アメリカの音楽界の最高の栄誉とされているグラミー賞を日本人が一度に四人も受賞したことは、大変、それをあかすうれしい証左だと思いますが、東京にはこうした産業分野の担い手が数多く集積し、とりわけ世界に飛翔し得る才能と可能性を秘めた若者が日本全国から集まっております。彼らは、将来、東京、ひいては日本の産業発展のかぎともなり得る存在であります。じかに産業につながるかどうかわかりませんが、創設しましたワンダーサイトなどは、このごろでは世界のコンテンポラリーアートのサーキットに完全に入りまして、東京の芸大を含めて、各芸大の先生が、優秀な学生には、ひとつワンダーサイトに応募してみろと勧めるほどの存在になりました。
 こうした分野で世の中に出るのを待っている若い才能が花開くようにバックアップすることは大事でありますが、これ、しかし、やっぱり才能のない者を育てようとしても育つものではありませんで、結局、幾ら状況を整えてもだめなものはだめなんですな。
 いずれにしろ、それを承知した上で、最低限といいましょうか、そういう機会を開いた形で与えることで、その中での競争、淘汰で本当の才能が芽生えてくると思います。
 これまでも、新人デザイナーファッション大賞によって、若手デザイナーの発表の場も提供してまいりましたし、そうした才能を見出すために、あいている庁舎を有効活用した創業支援施設を設置するなど、さまざまな支援を展開してまいりました。
 庁舎から議会棟へ渡っていくあの廊下も、私は絵もかきますが、あのスペース、非常にもったいないので、ここに新しい人の絵をかけさせたらどうだということでワンダーサイトが始まったわけです。
 いずれにしろ、今後ともこうした若い才能を発掘し、世界に通用させる価値を生み出していけるように支援していきたいと思っております。

○大松委員 ありがとうございます。
 次に、都電荒川線について質問いたします。
 都電荒川線は、私の地元、北区を初め、荒川、豊島、新宿区を走る路面電車です。私もよく利用しますが、下町を走る荒川線は、多くの住民の皆様方から愛されています。また、東京の路面電車として、観光客にも人気があります。
 一方、その経営状況については課題もあります。交通局は、これまでも財政基盤の安定化に取り組んでこられましたが、平成二十三年度予算の軌道事業の経常損益は約二億三千万円の赤字です。
 そこで、まず、軌道事業の二十三年度予算について、赤字予算を組まねばならなくなった理由は何か、答弁を求めます。

○金子交通局長 平成二十三年度予算におきまして、都電荒川線を運行する軌道事業の経常損益が赤字となった理由を、二十二年度予算との比較で申し上げますが、まず、収入予算では、荒川線の乗客数が減少傾向にあることから、乗車料収入で八千万円の減収を見積もるなど、そのほかの収入と合わせて、約一億四千万円の減収を見込んだこと、また、支出予算では、十八年度から今年度にかけまして、導入から五十年近く経過した車両の更新を進めてまいりましたが、二十三年度にはその車両の減価償却費がピークを迎えるなど、費用全体で約一億円の増加を見込んだことによるものでございます。

○大松委員 新車導入等による減価償却費の増加はやむを得ないにしましても、乗客数の減少は問題であり、乗車料収入を確保する努力が必要です。
 交通局は、これまでも、我が党の訴えに応じて、荒川線の活性化へさまざまな取り組みをしておりますが、そのポイントは、やはり地元との連携です。地域の人々に愛される荒川線だからこそ、地元との連携を密にすることで活性化を目指すべきです。
 そこで伺います。交通局は、地元と連携して、荒川線の活性化策を各種講じています。地元との連携の状況と今後の予定について伺います。

○金子交通局長 交通局では、経営計画に、都電荒川線の魅力向上と沿線地域の活性化を掲げ、地元との連携に取り組んでおります。
 沿線の荒川区、北区、豊島区及び新宿区とは、今年度六回の連絡会を開催し、荒川線の活性化について意見交換を行うとともに、ウオークラリーの共催や各種イベント情報を相互にホームページや広報誌で紹介するなどの取り組みを行っております。
 また、地元には、線路沿いにバラを植え世話をするなど、都電を熱心に支えてくださる都電サポーターともいうべき幾つもの団体がございます。
 今後、沿線紹介の冊子などで、その取り組みを広く紹介するなど、それぞれの団体との連携と協力をさらに深めてまいります。

○大松委員 さて、交通局は、ことしの八月一日で創業百周年を迎えます。都電荒川線も、前身の王子電気軌道、いわゆる王電が明治四十四年に開通したのが始まりで、ことし百周年を迎えることになります。これを契機に、荒川線の活性化をより一層図るべきです。
 我が党の長橋議員は、昨年の公営企業委員会の質疑において、花電車の運行を要望いたしました。この花電車を含め、百周年にふさわしい都電荒川線関連のイベント等を実施すべきです。そして、荒川線の活性化に向けた起爆剤とすべきです。その際には、沿線の区としっかり連携をしていただきたい。見解を求めます。

○金子交通局長 ことし、交通局は創業百周年を迎えますが、この節目に当たり、利用者や都民の方々への感謝の気持ちを込めまして、さまざまな記念事業を計画しております。
 創業時から運営しております都電につきましては、都電写真集を発行するとともに、装飾を施した電車、いわゆる花電車を三十三年ぶりに運行することといたしました。
 また、沿線四区と共同で、荒川線の百年の軌跡とこれからを語る記念イベントの開催や絵画コンテストなど、百周年にふさわしい企画を検討しております。
 これを機会に、さらなるPRに努め、荒川線と沿線地域の魅力をより多くの方に発信してまいります。

○大松委員 ただいま交通局長から、花電車を運行するという答弁をいただきました。花電車の運行が実現すれば、実に三十三年ぶり、地元も大変喜びます。
 地元との連携についても、幾つかの取り組みを紹介していただきましたが、今後も、地元の声に耳を傾けていただくようにお願いをいたします。
 例えば、沿線の飛鳥山公園は、桜の名所として知られておりますが、アジサイの名所でもあります。アジサイをテーマにしたイベントなどが行えないかとの声もございます。ぜひ、ご検討をいただきますようにお願いいたします。
 都電荒川線につきまして、さまざま伺いましたけれども、この荒川線を存続させるためにも、交通局にはしっかりとした経営をしていただかなければなりません。
 最後に、都電荒川線の今後の経営について見解を求めます。

○金子交通局長 荒川線の一日当たりの乗客数は、平成九年度までは六万人台で推移してまいりましたが、二十一年度は約五万一千人まで減少しております。一方、引き続き、安全、安定運行を確保していくためには、運行管理装置などの設備や車両の更新を適切に行っていく必要があり、今後の経営の見通しは厳しいものと認識しております。
 しかしながら、荒川線は、東京に唯一残っている都電であり、沿線地域の重要な足として、また、観光資源としての活用も期待されている路線でございます。
 今後とも、効率的な運営により財政基盤を安定させるとともに、地元との連携により荒川線を活性化し、より多くのお客様にご利用いただけるよう努めてまいります。

○大松委員 次に、まちづくりについて伺います。
 私の地元、北区十条は、JR十条駅を中心に大学や短大があり、多くの若者が濶歩する学生のまちでもあります。また、オリンピックメダリストを養成するナショナルトレーニングセンター、西が丘サッカー場の玄関口でもあり、こうしたまちの資源を生かし、若者が滞留する魅力あるまちづくりができれば、その経済効果は絶大です。
 そのためには、JR十条駅の立体化や駅周辺のまちづくり、西口再開発が欠かせません。
 このうち、まちづくりの核となる十条駅西口の再開発事業について、地元では、実施に向け、さまざまな努力をしていただいております。東京都として、しっかり支援をしていただきたい。見解を求めます。

○河島東京都技監 十条駅周辺は、まちづくりの観点から見ますと、老朽木造住宅が密集し、都市基盤が脆弱であるなど、防災上の課題を抱えております。
 こうした状況に対しまして、地元では住民が主体となって、これらの課題解決に向けた取り組みが行われており、そのうち、駅西口では再開発事業を目指し、平成十九年八月に準備組合を立ち上げました。
 現在、準備組合は、地元区とともに駅前広場や道路、商業施設、住宅などを整備する計画案をつくり、都市計画決定に向けて関係者の合意形成に取り組んでおります。
 都は、お話のような視点も踏まえながら、木造住宅密集地域の改善や地域の生活拠点の活性化に寄与する、このような地元の積極的なまちづくりの取り組みが進むよう、今後とも、必要な技術的支援を行ってまいります。

○大松委員 鉄道立体化については、都は、事業候補区間と位置づけ取り組んでいただいております。
 今後、都におかれては、まちづくりなどで期待できる大きな経済効果をアピールし、JR東日本を初め関係者と連携し、連続立体交差の実現に向け取り組んでいくよう要望をいたします。
 最後にもう一度、教育長に伺います。教職大学院について伺います。
 現場での教育実践と大学における理論研究を融合させる教職大学院との連携は、全国の模範となっております。
 私も、都内すべての教職大学院を訪問いたしましたが、特に、現職派遣の教員の皆様方からは大変高い評価をいただいております。自分が現場で実践してきた教育を理論的に評価でき、次への展開が見えてきた、若いストレートマスターと一緒に学ぶことで、大きな刺激を受け、自分が新任だったころの原点を思い出せたとの声を伺っております。
 その現職派遣の皆様方が、今年度、教職大学院を修了し、一期生として学校現場に戻り、その仕事ぶりが注目されております。教職大学院を修了した現職教員の学校での状況について伺います。

○大原教育長 都教育委員会は、平成二十年度から都内五つの教職大学院と連携し、現職教員を研修させ、将来のスクールリーダーとして活躍できる教員の育成を図っております。
 昨年度、教職大学院を修了した現職教員三十二名のうち、今年度、二名が副校長に、十二名が指導主事に任用されております。また、他の現職教員のうち、八名が主幹教諭、九名が主任教諭として活躍しております。
 特に、副校長や指導主事に任用された者は、教職大学院での経験を生かして指導的役割を果たしております。また、主幹教諭と主任教諭に任用された者は、学校運営を担う人材として意欲的に職務を遂行しております。
 今後とも、引き続き、現職教員を派遣いたしまして、各教職大学院との連携を深めて、スクールリーダーとしての人材育成を強力に推進してまいります。

○大松委員 今後は、派遣する現職の人数をもっとふやしていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○ともとし副委員長 大松あきら委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

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