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Tokyo Metropolitan Assembly

予算特別委員会速記録第三号

○ともとし副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 吉倉正美委員の発言を許します。

○吉倉委員 都議会公明党の吉倉正美でございます。
 初めに、震災対策について質問します。
 質問に先立ち、去る二十二日、ニュージーランドで発生した地震による大惨事で亡くなられた多くの方々に衷心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 さて、六千四百三十四人のとうとい命を失った阪神・淡路大震災から十六年、新潟県中越地震から七年の歳月が経過いたしました。東京においても、首都直下地震の切迫性が指摘されており、震災対策、特に緊急輸送道路を確保するための沿道建築物の耐震化の推進は極めて重要であり、一刻の猶予もない状況であります。
 その意味で、今定例会に提出された東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例は全国初の試みであり、首都直下地震への対策として、耐震化へ大きく踏み出したものとして評価いたします。
 知事は、阪神・淡路大震災の直後に、みずから現地に赴き、視察をされたとお聞きしております。阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、今回新たな条例案を提案された知事のご所見を伺います。

○石原知事 大地震はだれにも予測できないものだと思います。
 かつて私、衆議院時代に、奈良市でしたか、市長をしていた不思議な人がいまして、この人、衆議院に転じてきたんで、この人は地震の予知で有名な市長さんでした。どうしてわかるのかといったら、彼はいいました。独特のにおいが来る。それからもう一つ、季節外れの虫がたくさんわく。それから、ある形の雲が必ず出る。その市長さんの予言がいつも当たって有名だったそうですけども、その人も果たして阪神・淡路大地震を予言したかどうかわかりませんが。
 おっしゃったとおり、私、運輸省に頼まれて、主に港湾の視察に行きましたが、ついでに非常に被害の激しかった東灘区と、それから長田区の二つを見て回りました。そこで歴然と悟ったことは、耐震性を持ってつくられた建物は全部残っていましたけども、そうでない建物は全壊していました。ありていにいいますと、鉄骨鉄筋の建物は残っていましたが、特に、いわれてきました港のふ頭は、昭和の初期につくった古い形の港湾は残っていましたが、新しくつくったものは全滅しておりました。
 案内した関係者に聞きましたら、残っているのは耐震性でつくりましたと、古い港ですけども。何でこっちは、要するに簡単に全滅したのかといったら、これは耐震性でございませんと。じゃ、何で耐震性でつくらなかったんだ。後はむにゃむにゃって答えませんでしたがね。
 そういう実情でして、やはり肝要な道路に沿って建っている建物の耐震性というのは、事件が起こった後の救助活動や再建活動にも非常に障害を来しますんで、やはりコミュニティというものに対する責任からも、私は少なくとも耐震性を診断させる義務が公的にあるということで、今度の条例をつくったわけでございます。

○吉倉委員 知事の大変熱い思いがこもった条例だということがよくわかりました。
 本条例は、緊急輸送道路のうち、特に重要な道路を特定緊急輸送道路として指定し、その沿道建築物に耐震診断などの規制を設けるものであります。
 そこで、特定緊急輸送道路の指定については、道路単体ではなく、私は、地域防災計画、あるいはまた震災時における他県からの応援、受援計画ですね。さらに自衛隊や消防、警察、こうしたものの受け入れ、あるいは広域防災拠点などの計画を重ね合わせて、平面ではなくて多角的かつ総合的に行うべきだと、このように考えております。
 この指定となるのは、報道では、環七、環八、あるいは第一、第二京浜、甲州街道など、合計約一千キロといわれておりますけれども、改めて特定緊急輸送道路の指定についての基本的な考え方をご説明いただきたいと思います。

○河島東京都技監 大地震から都民の生命と財産を守り、首都機能の低下を防ぐためには、震災時の広域的な救援活動や、復旧、復興の大動脈となる緊急輸送道路の機能を一刻も早く確実に確保する必要がございます。
 このため、すべての緊急輸送道路について一律に沿道建築物の耐震化を進めるのではなく、特に重要な道路を選定し、重点的かつ集中的に取り組むことにより、沿道建築物の倒壊による道路の分断を路線全体にわたって早期に防止することが重要だと考えております。
 そこで、緊急輸送道路のうち、応急対策の中枢機能を担う防災拠点、空港や港湾などを結ぶ道路、他県からの緊急物資や救援活動の受け入れのための、ただいまお話がありましたような主要な道路など、特に重要なものを特定緊急輸送道路として指定していきたいと考えております。
 指定に当たりましては、事前に関係機関との調整を行うとともに、区市町村の意見も聞き、地域防災計画や耐震改修促進計画等との整合を十分に図ってまいります。

○吉倉委員 ご答弁のとおり、特定緊急輸送道路は、震災時に応急対策の中枢を担う都の本庁舎や、あるいは多摩地域の中心である立川地域防災センター、さらに東京港や羽田空港などを連絡する、まさに首都の大動脈であります。
 この大動脈の起点から終点まで一体的に耐震化を実施することで、沿道の商業ビルやマンションなどが絶対に道路に倒壊することがないようにしなくてはならない、このように考えております。一カ所、一区間でも道路が閉塞したならば、その道路は全く使えなくなる、死んだ道路になる、このように考えております。
 阪神・淡路大震災のときに、主要な幹線道路が仮に生きて使えたなら、まだ五百人から六百人の方々の命が助かったといわれております。当時、大阪の病院では、まだまだ受け入れが可能だったと、このようにもお聞きいたしました。これは、工学院大学の村上准教授の指摘であります。
 こうした事態を避けるためにも、緊急輸送道路の耐震化は急がなくてはなりません。それだけに、本条例の規制誘導に対する期待は大きく、耐震診断の結果を耐震改修に直結させるように全力を尽くすべきであります。
 耐震改修については、首都直下地震への危機感と費用助成だけで、所有者の意識が果たして動くのかどうか、これを私は心配しております。
 そこで、建物所有者には、助成制度以外のメリット、特典を持たせる必要があろうかと思います。例えば、助成制度の拡充にあわせて技術的な支援を行い、耐震診断の結果、建てかえが必要な場合には、容積率を緩和するなどの誘導策が重要だと、このように考えております。見解を伺います。

○河島東京都技監 耐震診断の結果、耐震性能が不足する建築物につきましては、お話しのように、耐震診断の実施にとどまることなく、耐震改修等に着実につなげていくことが重要でございます。
 このため、耐震改修助成の拡充とともに、情報提供や相談への対応など、さまざまな機会をとらえ、診断結果に基づく効果的な改修工法等について具体的な助言を行っていきたいと考えております。
 また、耐震性能が不足する緊急輸送道路沿道建築物の建てかえを促進するため、容積率を割り増しする総合設計制度を昨年九月に導入しておりまして、条例の制定に合わせ、この制度のより一層の活用を図ってまいりたいと考えております。
 耐震改修や建てかえを進めるためには、区市町村による積極的な取り組みも欠かせないことから、区市町村に対して支援策の活用や充実を一層強く働きかけていきたいと思います。
 新たな条例に基づく施策と、こうした支援策を総合的に展開していくことで、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進し、災害に強い東京を実現してまいります。

○吉倉委員 条例の前文には、首都機能を維持するためにも耐震化が必要であると、このように明記されております。このため、建物所有者だけではなく、都民全体が関心を持ち、社会全体で耐震化を進めていくとの思いが大切だと考えております。
 そこで、社会全体で意識を高める取り組みとして、耐震化を積極的に実施した所有者に対してインセンティブを与える制度なども検討すべきであります。例えば、今回の条例に基づき耐震化を実施した建物が一目でわかるような、例えば、耐震化完了プレート、こうしたものをつけるなど、PR効果の高い取り組みを進めるべきであります。見解を求めます。

○河島東京都技監 耐震性能の有無は一般的に建築物の外観だけでは判別ができないことから、耐震診断や改修が行われ、安全性が確認された建築物について、利用者や都民にわかりやすく情報提供することが重要だと考えます。
 お話の表示制度につきましては、耐震化に積極的に取り組もうとする所有者へのインセンティブになることが期待できると認識しておりまして、他の事例なども参考にしながら、一目で見てわかりやすいデザイン、掲示に適した材質や大きさなど、さまざまな角度から鋭意検討を進めてまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。表示をぜひ実現していただきたい、このように考えております。
 次に、鉄道駅のバリアフリー対策について伺います。
 駅のバリアフリー化は、高齢者や障害者を含むすべての人が利用しやすいユニバーサルデザインの観点から、社会的要請が高い取り組みであります。特にホームからの転落防止対策としての可動式ホームさくの整備は極めて効果的であります。
 先月公表された国のバリアフリー基本方針の改定案では、新たに可動式ホームさく等の整備目標やエレベーター等の設置対象駅の拡大などが盛り込まれ、駅のバリアフリー対策は新たなステージへと進化しております。
 その中で、駅のエレベーター等の整備は平成二十一年末で約八八%と一定程度進んでおりますが、まだ駅舎やホームが狭隘など、物理的に整備が困難な駅が残されております。こうした駅では、バリアフリー化を鉄道事業者単独で行うのは難しく、まちづくりとの連携が必要であります。
 そこで、駅のバリアフリー化を強力に進めるために、エレベーター整備を所管する福祉保健局、そして、自由通路整備による駅の改良などを所管する都市整備局、この両局が連携して施策を統合し、一体となって進めることがより効果的であり効率的です。両局の連携により、駅のバリアフリー化をより大きく進めるべきと考えますが、技監、いかがでしょうか。

○河島東京都技監 ご指摘のような駅舎やホーム等が狭隘な駅におきましては、既存の駅施設内でエレベーター等を整備することが困難な場合、バリアフリー化を進めるためには、大規模な駅改良や駅周辺整備と一体となった取り組みが必要となります。
 これまで、例えば東急大井町線緑が丘駅などにおきましては、都市整備局において、駅前広場や自由通路整備に対し技術的支援を行い、福祉保健局において、エレベーター等の整備に対し財政的支援を行っており、両局が連携して駅のバリアフリー化を推進してまいりました。
 引き続き、だれもが安心で快適に利用できる駅を目指して、両局が連携しながら駅のバリアフリー化に積極的に取り組んでまいります。

○吉倉委員 ありがとうございます。
 局の壁を乗り越えていただいて、施策を統合することで、一歩も二歩も前へ進めていけるというふうに考えております。ぜひ両局の連携強化を強く要請しておきたいと思います。
 ことし一月にJR目白駅で、目の不自由な男性がホームから転落をし、列車と接触をし死亡するという痛ましい事故が発生しております。さらに、昨年八月には、京王線新宿駅で高齢者がホームから転落し死亡しております。また、十年前にはJR新大久保駅で、線路に転落した人を助けようとして死亡事故が起きております。
 (パネルを示す)パネルをごらんください。これは、国交省の資料に基づく東京都内におけるホームでの人身障害事故の数でございます。平成十七年、死者が十一人でございました。負傷者三十五人。統計をとり始めたのがこのあたりなんですけれども、二十一年になりますと、ちょうど死者の数が二倍の二十二人、そして、負傷者の数も二倍強の七十三人までふえております。
 この折れ線グラフは、一番上が事故の件数、真ん中が負傷者、そして赤が死者の数と、このようになっております。いずれにしても、ホームへの転落事故、私も目の不自由な方に伺いましたら、ホームというのは、本当に川を渡るときの手すりのないものだというふうに、非常に危険性を指摘しておりました。
 これに対して、じゃ、可動式ホームさくが整備されているかといいますと、これも国交省の資料からなんですが、一日平均利用者数五千人以上の駅を対象にして確認をいたしました。
 二十三年三月末の見込みの資料ですけれども、東京メトロは百七十九駅ありますが、そのうち設置されている駅は、ホームさくが六十九駅でございました。設置率は三八%。また都営地下鉄は百六の駅がございまして、現在まで二十七駅と聞いております。設置率は二五%。もちろんこれから設置をいただくわけですけれども、非常にまだまだ少ないというふうに思っております。
 ところが、最も少ないのはJR東日本、これが四百六十八駅あるんですが、わずか七駅しか対応できておりません。設置率は一%です。
 ごらんいただいたように、ホームでの人身障害事故の増加に対して、可動式ホームさくの設置はまだまだ進んでおりません。首都東京の交通政策、特にユニバーサルデザインのまちづくりを推進する立場から、技監の率直な見解を伺いたいと思います。

○河島東京都技監 今お示しをいただいた資料にもございましたとおり、近年、駅のホームからの転落やホーム上での接触による人身障害事故が増加し、高齢者や身体障害者の方の事故も繰り返されていることから、ホームの安全対策に関する社会的な要請が高まっていると考えております。
 駅のホームにおける安全対策は、本来、鉄道の安全な運行確保の責任を負う鉄道事業者がみずから取り組むことが基本でございますが、既存駅における可動式ホームさくの設置につきましては、車両扉の位置の異なる列車への対応が難しいことやホーム幅の減少、停車時間の増大による輸送力の低下、さらには膨大な投資費用などの課題がございまして、整備が進んでいないのが現状であります。
 先ほども述べましたとおり、事故が繰り返され、社会的要請も強いこともございますので、整備に慎重な鉄道事業者の積極的な取り組みを促すために、来年度からホームさく設置費に対する補助を試行的事業として実施し、ホームさく等の整備を進める上での課題などを検討することにいたしました。

○吉倉委員 私は、昨年第二回定例会におきまして、鉄道駅への可動式ホームさくを早期に整備すべきと強く主張いたしました。これを受けて、今お話ございましたが、都市整備局では二十三年度の予算要求に可動式ホームさく整備促進のための予算、六千四百十万円を計上したことを高く評価しております。
 そこで、この新規事業であるホームさく等整備促進事業の事業内容を簡潔にご説明いただきたいと思います。

○河島東京都技監 本事業の内容は、可動式ホームさく等の整備を促進するため、来年度からの三年間に限り、鉄道事業者に対し国、都及び区が設置費用に対する補助を行うとともに、ホーム幅員減少による混雑増加や、ドアの開閉時間の増加による列車ダイヤのおくれなどの課題の解決に向けた実証的な調査、検討を行おうとするものでございます。
 補助対象駅は、大規模な駅改良を伴わず早期整備が可能であるとともに、乗降客数が多く、ホーム上での混雑があるなど、先ほど述べた課題の検討に適している駅の中から、鉄道事業者や地元区と協議して、小田急線の新宿駅、京王線の新宿駅及び東急大井町線の大井町駅の三駅を選定いたしました。
 なお、本事業では、ホームさく設置に係る経費のうち、国が三分の一、都と区で六分の一ずつを補助する予定でございます。

○吉倉委員 答弁いただきましたが、都が支援をして、私鉄三駅に試行的に設置することは大変すばらしいことだと、このように考えております。
 都は、今後、過去に死亡事故の起きたJR新大久保駅、あるいは視覚障害者の乗降の多いJR高田馬場駅など、緊急性、必要性の高い駅において、鉄道事業者に対して可動式ホームさくの整備を積極的に進めるように強く働きかけを行うべきであります。
 また、JRの駅のホームにおける安全対策は、鉄道事業者がみずから取り組むことが基本でありますけれども、その上で鉄道事業者の取り組みを促す意味から、都は財政的に支援するスキームを検討すべきであります。今後の取り組みについて伺います。

○河島東京都技監 都はこれまでも、JRを初めとした鉄道事業者などが集まる連絡会議におきまして、乗降客数、ホームの混雑度、事故件数、周辺の福祉施設の数等を総合的に勘案いたしまして、必要性の高い駅から可動式ホームさくの整備を積極的に推進するよう働きかけております。
 引き続き、さまざまな機会をとらえて、国や地元自治体とも連携しながら、鉄道事業者に対し強く働きかけを行ってまいります。
 また、都は、来年度から先ほど述べた小田急線新宿駅を初めとする三駅でホームさく設置費に対する補助を試行的に実施し、整備を進める上での課題などについて検討していきたいと考えております。

○吉倉委員 ありがとうございます。
 鉄道事業者に働きかけていくという答弁ですけれども、JRに対しては、私はもっと積極的に、試行的に行う京王、小田急、東急とありますけれども、この私鉄三駅と同様のスキームをぜひとも検討すべきだと、このように考えております。ぜひ前向きの取り組みをお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、可動式ホームさくの整備が進まない大きな原因に、ホームさく等の整備費が非常に高額だということが指摘されております。
 そこで、都が主体となって、可動式ホームさくの製造メーカーなどの関係機関と検討会を立ち上げ、技術的な改良などにより、ホームさく等のコストを低減させるべきであります。この点、見解を伺います。

○河島東京都技監 国におきましては、二月九日、JRを初めとした鉄道事業者などから成る第一回ホームドアの整備促進等に関する検討会を開催し、ホームドアや可動式ホームさくの課題や整備促進方策などについて検討を行い、ことしの夏ごろを目途に中間の取りまとめを行うことを目指しております。
 また、財団法人鉄道総合技術研究所は、可動式ホームさく等を製造している国内の企業や鉄道事業者などから成る勉強会を設置し、現在、将来のコストダウンのための共通仕様及び規格化への可能性など、技術的な検討を行っております。
 都としては、こうした国や鉄道事業者などの動向を見きわめながら、先ほど述べた試行的事業における課題の検討を行うなど、可動式ホームさく等の整備促進に取り組んでまいります。

○吉倉委員 今後ともぜひコスト削減に努めていただきたいというふうに思っております。
 いうまでもなく、公共交通の安全性を高めることは、そのまま都民福祉につながります。特に可動式ホームさくがあるかないかは、そのまま人身事故の発生を防げるかどうかに直接かかわってきます。速やかな取り組みを強く要請しておきたいというふうに思います。
 次に、目の不自由な人たちにも話題の日本映画を劇場で楽しめるようにしたい、こういう思いで、映画のバリアフリー化について質問いたします。
 視覚障害のある人は、都内で約三万九千人いらっしゃいます。目の不自由な人にとって、映画を楽しめるように工夫されているのが音声ガイドシステムです。昨年、このシステムを使って、村上春樹原作の「ノルウェイの森」が上映された都内の映画館では、盲導犬を連れていたり、あるいはつえをついた目の不自由な人たちが、FM携帯ラジオを片手に席に着いておりました。
 上映が始まると、ラジオのイヤホンから、例えば、制服姿の男子高校生、ワタナベとキズキ、アイスキャンデーの棒でフェンシングのまねごとをしている、こういうふうに音声が流れ、映画の進行に合わせて場面の解説が行われております。
 映画を見る人は、情景を思い浮かべながら映画を楽しめる仕組みになっております。つまり、せりふとせりふの間に場面解説をナレーションすることで、映像を想像しながら映画を楽しむことができるわけであります。
 しかし、この音声ガイドつき映画は、年間八百から九百本の国内公開作品のうち、わずか四、五本にしかすぎません。これは、公開作品のわずか一%程度であります。この音声ガイドを提供するバリアフリー映画の普及を急ぐべきであると、この思いから具体的に伺います。
 まず、バリアフリー映画を普及させるためには、映画に携わるすべての関係者の協力が欠かせません。そこで、都は、映画業界に対し、バリアフリー映画制作への理解を広げることに積極的に取り組むべきであります。見解を求めます。

○前田産業労働局長 音声ガイドによるバリアフリー映画がふえて、目の不自由な方々が気軽に映画を楽しむことのできる環境を整えることは重要だと考えております。
 この音声ガイドつき映画の普及に関しましては、映画制作にかかわる関係者のみならず、実際に上映されます映画館などの理解も必要でございます。
 今後、福祉保健局などと連携しまして、国の関係省庁にバリアフリー映画の制作、普及に向けた取り組みを要望するとともに、東京国際映画祭などのイベント関係者に加え、制作や配給、興行にかかわる映画の関係者に対しましても、機会をとらえ働きかけを行ってまいります。

○吉倉委員 ぜひ東京国際映画祭などに積極的な働きかけをお願いしておきたい、このように思います。
 さらに、テレビ、ラジオ、新聞等の広報媒体、都の広報媒体を活用して、広く都民にこの音声ガイドつきバリアフリー映画の存在とすばらしさ、これを周知すべきだというふうに考えております。
 また、映画制作に携わる関係者を初め、多くの都民を招いて、バリアフリーの未公開映画の上映を、関係各局が連携しながら、例えば都民ホールなどの都の施設を活用して広く実施すべきであると、このように考えております。局長、いかがでしょうか。

○並木生活文化局長 音声ガイドつきバリアフリー映画がさらに普及していくためには、都といたしましても、都民への周知に取り組んでいくことは重要と考えております。
 福祉や映画産業に携わる民間団体に対しまして、都民ホールや文化施設等の都の施設を活用し、バリアフリー映画を上映する機会を提供することは、その周知にとって有効な手段であり、今後、関係各局と連携しながら、実施方法等について検討してまいります。
 また、こうした取り組みを実施する際には、都の施設におけるバリアフリー映画の上映予定、作品に関する情報など、都のホームページなどさまざまな広報媒体を活用して、都民に提供してまいります。

○吉倉委員 都民ホールでの上映会、ぜひ実現をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。
 次に、制作経費などの課題を抱えるバリアフリー映画でありますけれども、この普及を進めるために、都は財政支援を検討すべきであります。
 そこで、ぜひ検討していただきたいのは、東京マラソン財団がことしから導入したチャリティー制度の活用についてであります。
 東京マラソンはことし五回目を迎えますが、ランナー、ボランティア、そして応援する人々の思いが一つになり、さまざまな感動ストーリーが生まれ、着実に日本の文化として成長してきております。
 社会に貢献するという文化的な側面も大きく大会を支えております。今回申し込みをされたチャリティーランナーの三十代の女性は、私も視覚障害者です、私自身も水泳でパラリンピックを目指している一人です、障害者の方々に私のように夢を持って生きてほしいと思い、チャリティーでの参加をしました、このようにコメントしております。
 この女性の思いを生かす意味からも、バリアフリー映画の推進を初めとした視覚障害者への支援を含め、チャリティーの充実を検討すべきと考えます。見解を伺います。

○笠井スポーツ振興局長 東京マラソン二〇一一では、これまでなじみの薄かった寄附文化を我が国に根づかせる契機とするよう、日本で初めてマラソン大会に本格的なチャリティー制度を導入し、一月足らずの間に七千万円を超える寄附の申し込みをいただいております。
 主催者である東京マラソン財団では、今回、障害者アスリートへの支援など四つの分野の活動に、寄附者の意向を踏まえ、寄附金を充てることとしております。
 今後、ご質問の趣旨も踏まえ、より多くの方々がこのチャリティーを通じて社会を思う気持ちを表現できるよう、東京マラソン財団と協力し、チャリティーの充実に努めてまいります。

○吉倉委員 バリアフリー映画の推進、まさにチャリティー制度の趣旨にかなうものというふうに考えております。今後の取り組みをぜひよろしくお願いしたいと思います。
 私は、障害者の方々に、話題の映画を初め、文化や芸術に気軽に触れる機会を提供していくことは大変重要だと、このように考えております。
 これは、知事が目指す、障害者が自立し、安心して生活できる社会、この実現につながるものと考えております。知事の率直なご見解を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

○石原知事 我々は、日常、主に視覚と聴覚を駆使しながら、他人との意思の疎通を図って、文化や芸術の鑑賞をしているわけでありますが、その感覚が失われたとき、障害者というのはそれを補うために、ほかの五感が非常に発達すると聞いております。
 そういうものを踏まえて、私には、評判の映画を映像を見ずに解説を耳にしながら、かつ、せりふが聞こえてくるんでしょうけども、そういう鑑賞がどの程度感動につながるかよくわかりません。想像もできませんが、しかし、やっぱり、公明党のサジェスチョンで知り合いになりました、全ろう、全盲の福島さんという東大の技術開発の研究所の教授にもなられた人などの伝記といいましょうか、それをフォローしますと、やっぱりお母さんが瞬間的に指でする点字というものを思いついて、それによって彼は人間として蘇生するわけですけども、周りの人の協力というものがあって、初めて障害者というのは障害を克服できるという一つの典型的なパターンだと思いました。
 そういう点では、各映画館でこれをやるというのは設備の費用がかかるでしょうけども、ご指摘のように、東京のような公共のあるホールを持っているところで評判の映画を実験的にまずやって、そういう施設を備えていくことは、これはやっぱり私たち先進国の一人として画期的なことの試みになるんじゃないかという気がいたします。
 そういう点で、いろいろな技術を日本は持っているわけでありますから、まず実験的にどこかで評判の映画というものをとらえて、それでまたそれがどれほどの反応を呼んで、どれほどの人が集まって満足しているかということは、一つのテストケースとして実験してみることは、非常に大きな意味があると思っております。

○吉倉委員 ありがとうございます。視覚障害者の大きな励みになるというふうに思っております。
 最後に、下請中小企業の取引の適正化について質問いたします。
 私は、昨年の第二回定例会で、経済情勢が悪化する中、これまでになく厳しい取引環境に置かれている下請中小企業の窮状を取り上げてまいりました。都はこれにこたえて、下請取引の適正化に向けて、受注につながる下請企業取引対策商談会を開催してくださいました。大変に評価をしております。
 しかし、その後の急激な円高は、ただでさえ厳しい中小零細企業に容赦なく追い打ちをかけております。例えば、円高になった途端、何の説明もなく単価を切り下げられた、あるいは親会社から支払い代金を払ってもらえないなどの苦情が寄せられております。
 そこで、首都東京の活力を支える中小零細企業の方々を支援する立場から伺います。
 都は、下請取引の適正化に向けて、中小企業振興公社に下請センター東京を設置するとともに、自治体では初めてのADRの認証を取得するなど、積極的に取り組んでいることを評価しております。
 そこで重要なのは、不適正取引を未然に防止することであり、そのために、親事業者と下請事業者双方に対してきめの細かい指導を行うことであります。
 そこでまず、下請センター東京では、地域を巡回して相談を受ける取引適正化相談員を本部と多摩にそれぞれ一名ずつ配置をしておりますが、円高で苦しむ企業がふえているのであれば、相談員を増員するなど、よりきめの細かい対応を行うべきであります。見解を求めます。

○前田産業労働局長 下請取引につきまして、代金の支払い遅延や減額要求などの不適正な内容が生じることは、中小企業の経営に影響を及ぼす切実な問題であると考えます。
 このため都は、下請センター東京に取引適正化相談員を配置して、お話もございましたが、中小企業を巡回し相談に応じるとともに、裁判外紛争解決手続、いわゆるADRの周知などに取り組んでまいりました。
 こうした中、昨年来の急激な円高などにより、下請取引で不適正な事例がふえることのないよう、来年度は相談員を三名増員いたしまして、企業巡回をより細かく実施してまいります。

○吉倉委員 ぜひ下請中小企業が安心して仕事に打ち込めるよう、親身な対応やアドバイスに努めていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 また、下請取引は国が権限を持って進めており、東京都には公正取引委員会のような勧告権はありませんけれども、ADR機能を活用し、積極的かつ迅速に仲介、解決を図り、中小零細企業を救済していただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、下請中小企業が継続的に仕事を確保し、経営の安定化を図っていくには、行政としてもしっかりサポートしていくことが必要であります。
 東京都は、昨年の六月に、下請関連の法制度に精通した相談員を配置した上で、独自の商談会を開催するなど、下請事業者の仕事の確保についても積極的にサポートしております。
 これにより、商談が成立し、仕事の確保につながった事例もあろうかと思いますが、長引く円高で厳しい経営環境が続く中、下請企業の仕事の確保をサポートするためには、都は商談会に参加した企業の声を聞くなど、商談会をさらに実施していくべきであります。
 そして、商談会終了後も、対等な取引を確保するために、きめ細かなアフターフォローもしっかりと行うべきであります。見解を求めます。

○前田産業労働局長 下請企業の仕事の確保、課題でございますが、昨年六月に商談会を実施いたしましたが、その参加した中小企業にアンケートを行っております。その結果、商談会をきっかけとして百九十件の新しい取引が始まりまして、参加した方のうち八割近い企業が次回の商談会への参加を希望されていることが明らかになりました。
 これを踏まえまして、今月二日には急激な円高に対する緊急対策として商談会を実施いたしまして、引き続き下請企業の仕事の確保に取り組んでおります。
 来年度も商談会を年二回開催するとともに、対等な取引成立をサポートするコーディネーターによるアドバイスや、新たな商談の場を確保するなどの支援を行うこととしております。
 こうした取り組みを引き続いて行いまして、下請取引の適正化を確保するとともに、仕事の確保に取り組んでまいります。

○吉倉委員 今後とも、下請中小企業が安心して仕事が確保できますよう、都の積極的な取り組みを強く要望して、質問を終わります。(拍手)

○ともとし副委員長 吉倉正美委員の発言は終わりました。

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