2020年の先も見据えて
将来世代に健全な東京都を

経済政策

質問1
 東京都の抱える最大の課題は、ほかの自治体よりややおくれるとはいえ、少子高齢化、人口減少です。老年人口の割合は年々増加しており、東京都においても団塊の世代が全て七十五歳を超える二〇二五年をピークに、人口は減少に転じると見込まれております。

 都民の負託を受けた政治家は、子供、孫など、将来世代に対しても責任を有していることを改めて自覚し、課題を先送りすることなく、二〇二〇年の先も見据えて、オリンピック・パラリンピックを都の課題解決のきっかけとし、将来世代に健全な東京都を引き継いでいかなければなりません。

 さて、少子高齢化のうち少子化は働き手の減少を意味するため、生産性を向上させて日本のエンジンである東京の経済成長を推し進める必要があります。

 特に、現在の円安誘導の国の金融政策のもとで恩恵を受けているのは、一部の輸出企業だけです。そもそも円安は中小企業のような内需型企業にとっては、輸入原材料の値上がり、コストの上昇を伴う厳しいものであり、都内中小企業の多くから景気回復の実感がないとの声が多く上がるのは、国の金融政策の構造上、当然です。

 このような状況のもと、日本の経済成長のエンジンである東京都は、内需を刺激し、稼げる有望な新規ビジネスの育成や、産業の新陳代謝を積極的に進め、都民が実感を持てる経済成長を実現していく責任を有しております。

 例えば、民泊に代表されるシェアリングエコノミーは、今後、国内市場規模が十兆円台に到達するという推計もあり、都が安全性などの懸念に丁寧に対応することで、新しい産業として育成することが可能です。

 産学官の連携に関しては、例えば東京大学もバイオベンチャーの分野などで学会と産業界との連携を進めており、官として東京都も積極的に連携を図っていくことが、新たな成長産業の育成に資すると考えられます。

 このように、東京都は成長が見込まれる新規産業の育成や産学官の連携強化、大企業と中小企業の橋渡しなどを積極的に行って、新しいイノベーションを促進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 新たな産業の育成に向けた取り組みについてでございますが、東京の新たな産業を創出するため、中小企業が他の事業者や大学など研究機関と協力し、新製品やサービスを生み出す取り組みを支援することは重要でございます。

 これまで都は、新技術の動向等を踏まえ、中小企業が大学等と連携して進める開発への助成や、大企業と取引を始めるきっかけの提供を行ってまいりました。

 来年度は、大きな伸びの期待できる市場を生み出すため、都が大学等と協力して、すぐれた技術等を持つ中小企業を選定し、その事業展開に大企業の資金や人材、販路などを活用する取り組みへの支援を開始をいたします。

 また、利用ニーズの高い先端医療機器の分野におきましては、中小企業と大学等が連携した開発を支援いたします。

 こうした取り組みにより、さまざまな主体が協力し、新しい産業をつくり上げることができるよう後押ししてまいります。

質問2
 また、次世代の最先端技術を育成することは、東京の抱える課題を解決するための重要な手段にもなります。少子高齢化の進む中で、最小限の人手によって高齢者や障害者の移動の自由を確保する手段となる自動運転技術の育成や、老朽化が進むインフラの点検に関してドローンの活用を検討していくことが、人手不足の中で安全なインフラ点検を行う観点から重要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
政策企画局長
 自動走行、ドローンの活用についてでございますが、少子高齢化により深刻化する交通弱者の移動手段の確保や、人手不足等の課題に最先端技術を活用することは、東京が持続的に成長を続けていく観点からも重要でございます。

 このため、自動走行分野では、昨年九月に開設した、実証実験の相談や関係機関等との調整を一括して受け付ける東京自動走行ワンストップセンターの支援に加え、来年度から新たに、例えば自動走行バスなどを対象に、具体的なサービスの実証実験を支援いたします。

 また、ドローンの活用では、関係局と連携しながら、新たに橋梁や水管橋のインフラ点検におけるドローンの導入可能性について調査を行います。

 今後とも、自動走行、ドローンなどの最先端技術の活用について積極的に検討をしてまいります。

質問3
 さて、私の地元の三鷹市においても農業が盛んです。都市農業は大規模消費地に近いというメリットがありますが、狭い農地が分散している例が多く、土地の集約化による経営の効率化には、限界があるとの声が聞かれます。少子高齢化の中で、都市農業が稼げる農業を目指すためには、ICTを活用した効率的な都市農業を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁3
産業労働局長
 ICTを活用した都市農業の推進についてでございますが、都市の中の限られた農地で収益力の向上を図るためには、ICTなどの先進技術を活用し、生産性を高めるなど、農業経営の効率化を進めていく必要がございます。

 このため、都は、ICTの活用により、栽培施設内の温度やCO2等の生育環境を自動制御し、小規模な農地でも農産物の高品質化と増産を実現する栽培システムの開発に取り組んでいるところでございます。

 来年度は、栽培施設を遠隔操作する技術の開発を進め、さらなる省力化を図るなど、システムの機能向上に取り組みますとともに、農業者向けの説明会の開催や農家での実証試験を行うなど、システムの普及を図ってまいります。

 こうした取り組みを通じまして、農業経営のさらなる効率化を実現してまいります。

質問4
 次に、国際金融都市東京構想について伺います。

 国際金融都市東京を実現する大義の一つには、ESG投資、つまり環境、社会、ガバナンスを重視する投資の促進にあります。これまでは、環境の側面だけが強調されがちでしたが、これからは社会、ガバナンスの側面にも焦点を当てる必要があります。

 少子高齢化が進む東京都の課題である女性の活躍環境の整備や、柔軟な働き方の推進などの取り組みに関して、先進的な企業に対する投資を東京都として促進することは、まさしく国際金融都市東京の大義だと考えます。

 そのための取り組みとして、東京金融賞の創設が予定されていると理解していますが、さらに一歩進んで、女性の活躍環境の整備や柔軟な働き方の推進などに関する取り組みについて、企業に説明義務、開示義務を負わせることが考えられます。

 例えば、上場企業における社外取締役の選任に関しては、社外取締役を選任しない場合に、その理由の説明、開示を求めるルールが、企業に真摯な対応を促し、結果的に社外取締役の選任の拡大につながりました。

 金融庁及び東京証券取引所は、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議を設置し、上場企業にさまざまな事項の遵守、説明義務を求める二つのコードの普及定着を図っています。

 ついおととい、二月二十八日の新聞報道によれば、金融庁がガバナンス・コードを改正し、女性取締役の選任状況などについて、上場企業に説明義務を負わせる方針を検討していると報道がされています。

 このように金融庁なども同様の問題意識を持っていることから、東京都としてもESG投資を推進する観点から、金融庁、東京証券取引所との連携を一層強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁4
政策企画局長
 ESG投資の推進に係る金融庁、東京証券取引所との連携強化についてでございますが、国際金融都市東京構想では、金融による社会的課題解決への貢献を一つの柱として掲げ、ESG投資など、社会的課題解決に資する取り組みを推進することとしております。

 具体的な取り組みの一つとして、今年度から、金融庁、東京証券取引所などとともに、一般社団法人日本取締役協会が実施する、コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーに後援を行うことに加え、当該表彰において環境対応、女性活躍推進など、ESG活動に積極的な企業を表彰する東京都知事賞を新設いたしました。

 引き続き、金融庁、東京証券取引所と連携することにより、ESG投資の推進に向けた取り組みを検討してまいります。

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二〇二〇年東京大会

質問1
 次に、パラリンピックを契機とした高齢社会対策について伺います。

 東京は、世界で初めて二回目の夏季パラリンピックを開催する都市であり、パラリンピックをきっかけにして、障害者の方が暮らしやすい都市を実現することは、今後増加する高齢者に加えて、ベビーカー連れの子育て世代にとっても暮らしやすい都市を意味します。

 実効性のある受動喫煙対策を行い、快適な都市環境を整備することが、二〇二〇大会招致の際に示した東京、日本のおもてなし精神を世界に示すためにも必要ですが、加えて、パラリンピックの成功こそが、二〇二〇大会の成功と捉え、ダイバーシティー、多様性都市東京を世界に示す取り組みを進めていかなければなりません。

 パラリンピックの機運醸成に関して、本年一月の東京都の障害者スポーツに関する世論調査では、障害者スポーツに関心があると回答した方が五七%であり、一年前の調査とほぼ同様である一方、関心がないと回答した方の理由の中では、どんな競技があるか知らないなどが低下し、選手、競技のルールがわからないと回答した方の割合がふえています。

 これらの結果からは、パラリンピックは知っていて一定の興味はあるが、詳しくは知らないといった都民像が見えてきます。

 選手や競技のルールを知ってもらうためには、実際に観戦してもらうことが一番であり、競技会場に足を運びたくなるような情報の発信や、実際に競技を都民に会場で観戦してもらうための取り組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
オリンピック・パラリンピック準備局長
 障害者スポーツの観戦促進についてでありますが、パラリンピック会場を満員の観客で盛り上げるためには、より多くの都民に競技や選手の魅力、会場での観戦の楽しさを体感していただく必要がございます。

 そのため、都はこれまで、大会や競技情報の発信、競技体験会など、さまざまな取り組みを進めてまいりましたが、競技や選手を詳しく知らないという世論調査の結果も踏まえまして、来年度は、ウエブ等による選手情報の発信の強化に加え、障害者スポーツ応援プロジェクト、チームビヨンドにより、選手との交流を含めた大会観戦機会の充実や応援体験の拡充に取り組んでまいります。

 今後も、より多くの都民に競技会場での観戦、応援の楽しさを体感いただき、パラリンピックの成功に向け全力で取り組みを進めてまいります。

質問2
 次に、バリアフリー化、ユニバーサルデザインに関する取り組みについて伺います。

 東京都では、これまでハード面でのバリアフリー化の取り組みが進み、例えば都内鉄道駅のエレベーターなどによる段差解消の整備状況は、九三%と高い数値を示しています。これらの取り組みをさらに進めるとともに、今後は、日々の生活を問題なく送ることができるという意味でのバリアフリーから、さらに一歩進めて、都内で障害者の方が自由に楽しめる環境づくりも必要です。

 その一つの例として、バリアフリー化が進んだレストランは、障害者の方のみならず、高齢者やベビーカーの乳幼児連れにも優しく、レストランにとってもアピールポイントになる可能性を秘めております。

 ロンドンでは、インクルーシブ・ロンドンというウエブサイトで、交通機関や競技会場に加えて、レストランに関するバリアフリー情報も一元化されております。

 都は、東京二〇二〇大会を前に、誰もが容易にユニバーサルデザインの情報を入手できる環境を整備すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 ユニバーサルデザイン情報に関するご質問にお答えをいたします。

 都はこれまで、区市町村や事業者向けに情報バリアフリーのガイドラインを作成し、配布いたしますとともに、誰もが安心して外出できるように、バリアフリーマップの作成等に取り組む区市町村を包括補助で支援をしてまいりました。

 また、外出に役立つ情報を取りまとめたポータルサイト、とうきょうユニバーサルデザインナビを開設いたしまして、区市町村が作成したマップや、車椅子の利用者が作成したバリアフリー地図のアプリ、オストメイト対応型トイレの検索アプリなどの情報を容易に入手できるようにしてございます。

 来年度は新たに、誰でもトイレの設置場所や設備等の情報を収集し、オープンデータとして提供することとしておりまして、東京二〇二〇大会に向け、ユニバーサルデザインの情報提供の取り組みを一層推進してまいります。

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就労環境

質問1
 次に、快適な就労環境の整備に関して伺います。

 三鷹駅を通る中央線に代表されるように、朝の満員電車は、都内で働く方の非常に大きなストレスの原因になっています。

 さらに、満員電車には、高齢者の方、ベビーカー連れの子育て世代や障害者の方にとっても乗車することが非常に難しいことを考えると、満員電車の解消は、都民全体に幅広く影響を及ぼす都政の重要な課題の一つと言えます。

 小池知事就任後から、満員電車解消に向けてはさまざまな対応が進められてきました。昨年七月に実施された時差ビズの取り組みでは、都内鉄道事業者や民間企業、合計約三百二十社の協力を得て、時差出勤やテレワークの推進が進められました。

 時差ビズの参加者に対するアンケート結果では、通勤時の快適性、仕事の効率性、プライベートの充実に関して、約六〇%が時差ビズによる肯定的な評価を行っています。

 また、一部の駅の出場者割合の分布によれば、早朝時間帯の増加、ピーク率の減少、混雑の分散などの効果も認められています。

 さらに、民間企業の時差出勤に関する自主的な取り組みも活発化しており、例えばセブン&アイ・ホールディングスが三月から、国内約一万人の従業員について時差出勤を導入すること発表しています。

 このように時差ビズの機運が広まりつつあり、また、一定の効果を認められた以上、今後もその取り組みを拡大して継続すべきと考えます。

 さて、満員電車解消のためには、時差ビズや鉄道の代替交通としての高速通勤バスの検討などに加えて、自宅で仕事ができるテレワークを一層推進する必要があります。現時点で、制度上も技術上もテレワークを実現することは十分可能ですが、これまでの働き方や企業文化を変えるのが最も難しいとの声が多く聞かれます。

 柔軟な働き方に関する会社の経営者層の意識を変えていく取り組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 働き方改革の推進についてでございますが、働き方改革は、人材確保や生産性の向上といった経営課題の解決にも資するものでございまして、経営者にその取り組みの効果について、理解を深めていただくことが重要でございます。

 都はこれまで、経営者に向けて働き方改革の意義を伝えるメッセージ動画を発信するほか、改革の起爆剤となるテレワークを普及するための拠点を整備し、先進機器の体験や相談等を通じて、その有効性をわかりやすく紹介してまいりました。

 来年度は、テレワークの経営効果を啓発する体験セミナーを、業界団体とも連携し、規模を拡大して開催をいたします。

 また、働き方の見直しやテレワーク導入の好事例を、経済誌やSNSなど多様な媒体を活用して広く発信をいたします。

 こうした取り組みにより、働き方改革のメリットを経営者に効果的に訴求し、意識の改革を促してまいります。

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将来世代の意見の反映

質問1
 最後に、冒頭に述べましたとおり、我々は二〇二〇年の先も見据えて、課題を先送りすることなく、将来世代に健全な東京都を引き継いでいかなければなりません。そのためには、財政、環境、少子高齢化、インフラなど、長期的視点が必要な分野に、意識的に将来世代の利益を反映させていく必要があります。

 この考え方はフューチャーデザインといわれていますが、例えば岩手県矢巾町では、三十年以上先を見据えた水道事業のあり方を住民と検討するに当たり、将来世代の利益の代弁者を設けることで、これまでとは異なった視点を取り入れる取り組みを行っています。

 また、イギリスでは財政健全化のために、二〇一〇年に財政責任庁を設け、政治から独立した機関による長期間の財政見通しを行わせています。ほかのOECD諸国でも同様の動きが見られますが、これも財政負担を先送りしないフューチャーデザインの一種と考えられます。

 都としても、例えば将来世代局を創設し、庁内においてそうした視点での政策議論を活発化することも考えられます。

 都が政策を展開するに当たり、長期的な視点のもとで、将来世代の意見を意識的に反映させていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。

 以上で一般質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。

答弁1
知事
 最後に将来世代の意見を反映させた取り組みの推進について、知事に対してのご質問がございました。

 いうまでもなく、これまでも、そしてこれからも東京の発展の担い手は人でございます。今の都民はもとよりですが、将来世代の誰もが生き生きと輝ける社会をつくり上げる、そのことが成長を生み続ける、持続可能な都市東京を実現する鍵であると思います。

 こうした観点のもとで、中長期的な将来につきまして十分な見通しを立てた上で、政策を展開していく必要がございます。このため、二〇二〇年に向けた実行プランでは、二〇六〇年までの人口、そして高齢化率など将来的な見通しも踏まえて、策定をしたところでございます。

 加えまして、実行プランにおきましては、二〇二〇年のさらにその先に目を向けて、明るい東京の未来像の一端をビヨンド二〇二〇として提示をしております。

 この未来像の検討に当たりましては、都庁の若手職員によるワークショップや、都立学校の生徒との議論を通しまして、二〇二〇年の先の東京を担う世代の意見も反映させたところでございます。

 今後とも、長期的な視点を十分に持ちながら、将来世代の意見なども取り入れながら、明るい未来の東京の実現に向けた政策を打ち出していく所存でございます。

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