厚生委員会管外視察報告

平成23年8月22日(月曜日)から8月23日(火曜日)委員長 くまき美奈子(民主党)

 厚生委員会では、社会福祉事業の推進や都立病院の運営整備など、都民の生活に幅広く密着した分野を所管しております。

 その中において、特に医療分野における諸課題に対する施策や、都外で都民を受け入れている指定障害者支援施設の現況を調査するため、青森県内において視察を実施いたしましたので、以下、その概要を報告いたします。

弘前大学医学部附属病院

弘前大学医学部附属病院を訪問

 1日目は、初めに、弘前大学医学部附属病院を訪問し、内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」及び高度救命救急センターなどについて、視察を行いました。

 「ダ・ヴィンチ」は、内視鏡手術の際に活用される先進の医療機器で、東北・北海道では同病院が初の導入となり、本年7月から本格運用を開始したところです。「ダ・ヴィンチ」による前立腺摘出手術では、出血量が少なく術後の経過もよいため、入院日数が少なくて済んでいるとのことでした。

 また、同病院では、平成22年7月から青森県内で唯一の高度救命救急センターが稼動しております。この施設の最大の特徴は、緊急被ばく医療にも対応が可能という点です。青森県内には原子力産業施設があるため、大学を挙げて緊急被ばく医療の危機管理体制と人材育成に取り組んでおります。東京電力福島第一原子力発電所の事故の際には、原子力災害現地対策本部・Jビレッジへの総括医師を派遣したほか、大人数で長期に渡る放射線サーベイチームの派遣など、様々な対応にご尽力されているとうかがいました。

 「ダ・ヴィンチ」の特性や救急医療における人材育成などについて、活発な質疑を行った後、病院内を視察いたしました。

内視鏡手術支援ロボットを視察

 手術室において「ダ・ヴィンチ」の操作を見せていただき、高度救命救急センターでは、緊急被ばく医療に対応する設備などを視察いたしました。また、同病院には霊安室という名の部屋は無く、人間の尊厳を大切にする意味で「お別れの間」という明るく温かみのある部屋を用意されていました。

 地域住民のために、先進医療の普及を図り、また、その地域のニーズに合った医療を提供していくことは、自治体病院としての使命であることを改めて実感いたしました。

指定障害者支援施設りんどう苑

指定障害者支援施設りんどう苑を訪問

 次に、りんどう苑を訪問いたしました。本施設は、東京都の利用者を受け入れる知的障害者厚生施設として、平成8年から開設されています。

 初めに、施設の概要や、利用者の日中活動などについて説明をうかがいました。日常生活は、プライバシーに配慮しつつ、できる限り家庭的な雰囲気の中で生活ができるよう努めているそうです。また、利用者が、それぞれのペースや特性に応じて空き缶つぶしや花栽培などの作業を行い、自主性、自発性を尊重し、喜びを持てるような支援を行うとの説明がありました。

 その後、東日本大震災の発生当時の状況や、東京に住む家族との交流などについて質疑応答を行いました。震災に関しては、新たな発電機の設置や、防災計画の策定などの対応を行い、家族との交流については、都内での個人面談や、帰省の際の羽田空港などへの付き添いを行っているとうかがいました。

 質疑応答の後は、職員の方の案内で、日常生活の場や空き缶つぶしの作業場などを視察いたしました。利用者の方々は、ご同行いただいた理事長や職員の方々と楽しそうに会話をされており、家庭的な温かな雰囲気を感じることができました。

青森県議会

青森県議会を訪問

 2日目は、初めに、青森県議会を訪問し、県の2つの施策についてうかがいました。

 まず、医師確保対策について説明を聴取いたしました。 青森県では、深刻な医師不足の問題を抱えており、中長期を見据えた抜本的な対策として、平成17年11月に「『良医』を育むグランドデザイン」を策定いたしております。

 医師を志す中高生の段階から職業ガイダンスや外科手術体験セミナーを行ったり、医学生、研修医、指導医のそれぞれの段階において学ぶ環境を整えました。また、あおもり地域医療・支援機構を設置し、地方公共団体では全国初の医師の無料職業紹介事業を実施するなど、幅広い取り組みを行いました。その結果、平成20年度から、医学部合格者、臨床研修医採用者数は、増加いたしております。地域医療に従事する医師を確保するには長い年月が必要ですが、若い段階からのサポートや、医師を取り巻く仕組みを整える施策により、着実な成果を挙げています。

 次に、公民連携による周産期医療等待機宿泊施設について説明をうかがいました。

 青森県では、産科医数の減少も深刻な問題で、分娩施設のある産科は限られています。また、青森県立中央病院に総合周産期母子医療センターを設置したことにより、乳児死亡率などの改善が図られる一方で、超低出生体重児を取り扱う件数は増加しております。そこで、遠方から入院する妊婦やNICU(新生児特定集中治療室)入院児の面会に来る家族のために、現在活用されていない県の公舎を、公民の連携により有効活用するという事業に取り組んでいます。

青森県立中央病院

青森県立中央病院を訪問

 次に、青森県立中央病院を訪問いたしました。

 東日本大震災に際しては、震災発生時から18時間にわたり停電し、また、震災の影響により本年3月に開設予定だった救命救急センターが5月に開設となってしまったことなどをうかがいました。

 救命救急センターを新設することに伴い、八戸市だけで運行していたドクターヘリの共同分担運行を開始いたしました。同病院で運行を担当した6・7月の出動要請の状況や、八戸市での運行と異なる点、広い県土と地方に医師が不足している青森県においては、施設間搬送に非常に有効であるとの説明をうかがいました。

 また、平成23年度から4年間の経営計画「県立病院新成長プラン」について説明をうかがった後、関連施設を視察いたしました。

青森県立あすなろ医療療育センター

青森県立あすなろ医療療育センターを訪問

 最後に、青森県立あすなろ医療療育センターを訪問いたしました。

 青森県では、周産期から療育まで、患者本位の切れ目のない医療療育体制の構築を目指し、県内に2箇所ある医療療育センターの整備に着手しております。

 周産期については、早期から対策が講じられておりましたが、NICUからの受入病院や、回復後の受入施設である医療療育センターの満床状態を改善することも重要な課題です。

 そこで、専門的な障害児医療は国立病院などに集約し、医療療育センターでは、福祉型施設として在宅支援の強化や相談機能の充実を図るように機能再編を行います。検討段階での利用者の要望を踏まえ、診療所としての機能も残すよう配慮されたとうかがいました。

 利用者の立場に立ち、医療から福祉に至るまで一体的に施策を展開していくことは、大変に重要であることを痛感いたしました。

 以上、限られた日程の中での視察ではありましたが、現地で貴重なお話をお聞きし、活発な意見交換が出来ましたことは、今後の委員会活動を進めていく上で、大変参考になりました。こうして得た成果を、今後の委員会活動を通して都政へと役立ててまいります。

 最後になりますが、この度の視察に際し、御多忙の折、懇切丁寧に対応していただきました青森県内の関係者の皆様に、心から感謝とお礼を申し上げます。


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