公営企業委員会管外視察報告

平成22年5月12日(水曜日)から13日(木曜日)委員長 神林茂(自民党)

 公営企業委員会の所管する水道、下水道及び交通事業は、それぞれが都民生活や都市活動を支える上で不可欠の社会基盤であり、災害時への対応などを含めて、将来にわたり安定的に事業が継続されうる体制づくりが求められています。

 さらに、安全でおいしい水の供給、下水処理の過程で発生するエネルギーの利用、交通のバリアフリー対策、環境への負荷の低減などの多様なニーズへの対応は、公営企業としても、今後ますます重要になっていくものと思われます。

 こうした現状を踏まえ、公営企業委員会では、去る5月12日から13日にかけて、大阪・神戸方面の視察を行いました。

 以下、視察の概要について、ご報告いたします。

大阪市柴島浄水場

 12日は、まず、大都市における高度浄水処理を調査するため、大阪市の柴島浄水場の視察を行いました。

 大阪市は、古くから「水の都」と呼ばれるように、琵琶湖・淀川水系の豊富な水資源を有する都市です。

 かつては、淀川の水質の悪化により、水道水のカビ臭などに悩まされたそうですが、近年では、高度浄水処理により、水質が大幅に改善されたとの説明がありました。

 高度浄水処理は、都においても既に取組が進められているところですが、浄水処理過程には、その地域の特性や水源の水質の違いを踏まえて、自治体ごとに特色が見られます。
 大阪市と都との浄水処理過程における相違点などについても、説明がありました。

 また、都では、高度浄水処理水を「東京水」という商品名で販売していますが、大阪市では、「ほんまや」という名前で販売されていました。この商品は、女性達が中心になって企画されたそうです。ピンク色の包装が非常に鮮やかで、その商品開発コンセプト等についても、興味深く説明を伺いました。

 さらに、大阪市では、現在の高度浄水処理システムの性能向上等を目指して、研究を実施しているとのことで、その実験施設についても、見学を行いました。

大阪市の高度浄水処理水 大阪市の実験施設

アルナ車両株式会社

 その後、路面電車の最新技術等を調査するため、摂津市にある民間企業のアルナ車両株式会社の視察を行いました。

 アルナ車両株式会社は、前身であるアルナ(ナニワ)工機以来、半世紀以上にわたり全国各地の路面電車の車両を製造している会社です。

都電荒川線の製造ラインの前

 アルナ車両株式会社では、路面電車の製造工程の説明を受けた後、都電荒川線で昨年度導入されたばかりの新型車両の製造ラインを見学しました。

 この新型車両は、最新技術による省エネ、バリアフリーの観点が取り入れられているとともに、車内案内表示の大型化やシートの改良など、利用者の日常的な利便性と快適性に配慮されたものとなっています。

神戸市東灘処理場

 翌13日には、災害時の下水道対策を調査するため、神戸市の東灘処理場の視察を行いました。

倒壊した柱のモニュメントの前

 神戸市の下水道は、平成7年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けました。 東灘処理場は、神戸市の臨海部の埋め立て地域にあり、ちょうど、運河を挟んで両岸に処理施設が建ち並んでいます。

 大震災の影響で、この地域では液状化現象が起こりました。

 東灘処理場では、約100日間にわたって汚水処理機能の停止を余儀なくされ、この間、神戸市は、清潔なトイレの確保という課題に直面させられました。
 このときには、使えるトイレの数が限定されたり、不衛生であったりして、トイレを使うことができずに体調を崩された方もいらっしゃったとの説明がありました。

 神戸市では、現在、大震災の教訓として、災害に強い下水道システムを構築するとともに、下水道管に直結した災害時用トイレを小学校等に設置するなどの取組がなされています。

 東灘処理場を視察することで、東京において、将来発生が危ぐされている直下型地震に対して、万全の備えをしておくことの重要性を改めて痛感しました。 また、阪神・淡路大震災という大きな災害を乗り越えられた神戸市の方々から、直接に体験談を伺う機会を得て、大変勉強になりました。


 以上、2日間という限られた日程ではありましたが、他の自治体や民間企業の取組を直接拝見し、説明を聴取できたことは、本委員会にとって大変有意義であり、今後の委員会活動に活かされていくものと確信しております。

 最後になりますが、大阪市、神戸市の職員の皆様、並びに、アルナ車両株式会社の社員の皆様には、ご多忙の折、懇切丁寧にご対応いただき感謝申し上げます。また、視察の実施に当たり、ご協力いただきました大阪市会、神戸市会の関係者の皆様にも、深く御礼申し上げます。


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