文教委員会管外視察報告
平成22年5月6日(木曜日)から5月7日(金曜日)委員長 大西さとる(民主党)
教育、文化の振興などを所管している文教委員会では、5月6日から7日まで、現地事例調査のため、管外視察を実施いたしました。
視察先については、全国学力・学習状況調査で、3年連続で上位の成績を記録していること、地域に根ざした芸術文化の発信に取組んでいる施設があることから、秋田県といたしました。
特に、教育に関しては、私立中学の進学割合が約3割で中学受験のためにかなり勉強しているはずの東京が、私立中学1校のみで実質中学受験のない秋田に及ばないのは何故なのかと不可思議に思う気持ちが強く、その辺りを解き明かしたいとの気持ちがありました。
以下、今回の視察の概要をご報告いたします。
たざわこ芸術村
初めに、「たざわこ芸術村」を訪問いたしました。
たざわこ芸術村は、株式会社わらび座が運営する民設・民営の施設で、人口約3万人の秋田県仙北市に位置しています。田沢湖や角館など県内屈指の観光地近隣に立地し、温泉施設、宿泊施設及び地ビール製造販売施設などとの相乗効果で、劇団わらび座が年間約300ステージの公演を行なう常設劇場には年間約7万人の来場者があります。また、秋田県民の利用が6、7割と地域に溶け込み活動しています。
同施設の設立の経緯や事業内容の概要、規模700席余の「わらび劇場」、モーションキャプチャーを活用し民族芸能の伝承などに取組んでいる「デジタルアートファクトリー」、農作業体験や踊り教室で修学旅行生を受け入れる「わらび座修学旅行」、木工品などの製作体験施設「森林工芸館」などの説明聴取や施設見学を行いました。
説明聴取や施設見学の際、劇団・劇場運営手法、行政からの支援、劇団員の福利厚生などについて質疑・意見交換が行われました。
芸術文化の発信を中心に、観光や地元農家との交流など産業振興や教育についても複合的に効果を及ぼしており、東京都における文化施策、教育施策を考える上で大変参考になりました。
秋田市教育委員会
次に、秋田市議会を訪問いたしました。
市議会事務局次長から秋田市及び市議会の概要、市教育委員会主席主査から学力向上の取組について、説明を聴取いたしました。
秋田市教育委員会では、指導主事や大学教授が行う「学校訪問」、授業改善のヒントとして「学力調査結果の活用」、小・中学校の連携を念頭に置いた小・中合同の「教職員の研修」の3点に力を入れているとのことでした。
説明聴取の後、学校訪問の実施方法、学力上位の要因、教職員体制などについて質疑が行われました。
秋田市立桜小学校
翌日は、初めに「秋田市立桜小学校」を訪問いたしました。
校長先生と教頭先生にご案内、ご説明いただき、授業参観と学力向上の取組について説明を聴取いたしました。
桜小学校では、開校以来のTT(ティーム・ティーチング)を基盤にすえた学校運営を推進しており、教員の専門性や得意分野を生かした「+αのあるTT」の時間の創出に着眼、4年生からの一部教科担任制、学級生活支援サポーター制度、1クラス2教員・2クラス3教員制度などにより、きめ細やかな指導の充実、教員の指導力向上、児童理解の充実などの成果があがっているとのことでした。
授業参観及び説明聴取の後、TTの進め方、教員加配の状況、児童の生活態度などについて質疑が行われました。
秋田市立桜中学校
最後に、「秋田市立桜中学校」を訪問いたしました。
校長先生と教頭先生にご案内、ご説明いただき、授業参観と学力向上の取組について説明を聴取いたしました。
桜中学校では、学力向上推進部(校内組織)による学力調査の結果分析に加え、各教科・全生徒対象の学習アンケートを実施、生徒の学習状況の実態把握に努め、授業内容の改善に生かすとともに、校内授業研修会により授業を検証、授業力の向上に努めているとのことでした。
授業参観及び説明聴取の後、授業改善の取組方法、進学状況、生徒の状況などについて質疑が行われました。
秋田市教育委員会、桜小学校及び桜中学校では、学力向上の取組を中心に学校運営全般について見聞させていただきました。
特に、小学校・中学校とも、短時間で全学年の授業をいくつも参観させていただくということで各教室を2~3分ごとに慌しく移動するようでしたが、我々視察団が教室に入っていっても、どの学年でも児童・生徒達は気にする様子もなく、入室前と変わらず、静かに、姿勢正しく、集中して授業を受けていました。私語のない落ち着いた授業は、熱心に教える先生の声もよく響き、児童・生徒達の理解も深まります。
また、さらに驚いたのは、下駄箱の靴が1足もはみ出さずに綺麗に並んでいたことです。教室も整理・整頓されていましたが、これらは、児童・生徒達の生活態度の状況を端的に表す事象ではないでしょうか。
これらのことは、一朝一夕に出来るものではなく、また、学校のみならず、家庭・地域の日頃からの取組(子供の育て方)の成果ではないかと思います。
これら見聞させていただいたことは、今後の東京都の教育施策を考える上で大変参考になりました。
以上、2日間という限られた日程の中での視察ではありましたが、他の自治体などの取組を直接拝見し、説明を聴取できたことは、本委員会にとって大変有意義であり、今後の委員会活動に生かされていくものと確信しております。
最後になりますが、たざわこ芸術村、秋田市教育委員会、桜小学校及び桜中学校の関係者の皆様には、ご多忙の折、懇切丁寧に対応いただき感謝申し上げます。また、視察の実施にあたり、ご協力いただきました秋田市議会の関係者の皆様にも、深くお礼申し上げます。