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21世紀への都民仲間
身近な「最先端」で活躍する人

ヘルシーからハッピーへ。
スパイスは美容・健康に効いて
料理をおいしくする幸福の隠し味。
インド家庭料理研究家ロイチュウドゥーリ・ジョイさん
インド家庭料理研究家 ロイチュウドゥーリ・ジョイさん(町田市在住)
インドに行ったらすぐに治る

 ジョイさんの奥さん邦子さんは、20代前半の頃、ぽっちゃりと太っていたので、ダイエットをしてなんとかヤセたいと、たくさんのダイエット本を買い、マニュアル通りのダイエット法をあれこれと試みた。
 話題になったゆで卵ダイエットや、サラダボウルに山盛りの生野菜を毎日食べ続けるなど様々なダイエット法を体験した。ダイエット食は最初はおいしいけれど、何日も同じメニューを続けていくとなかなかツライものだ。「また、あれを食べる」と思っただけで、結構なストレスにもなる。が、努力の甲斐あってか体重の減少は確かにあった。けれど「ヤセたというよりヤツレたという表現がぴったりの状態になってしまったんです」。肌は乾燥がちになり、冷え性で、身体全体のコンディションは最悪だった。
 そんなとき「初めて入ったインドレストランで食べた本格インド料理が感動的においしくて”インド“という国の存在が目の前でグーンとクローズアップされた感じ」だった。
 しばらくして、レストランのマスターと親しくなったある日、体のコンディションがよくないという話になった。するとマスターは「そんなのインドへ行ったらスグ治るよ」と断言したのだった。インド人のマスターが、あまりにも健康的でエネルギッシュだったので、その言葉にはかなりの説得力があった。足繁く通ううちにすっかり親しくなったマスターから、インドの奥深い魅力についてあれこれレクチャーを受けた邦子さんは、すっかりインドに魅せられてしまい、「もう、行くしかない!」という気持ちになった。ホームステイ先を紹介してもらい、反対する両親を説き伏せ、単身、インドへと旅立った。
 そこで、未来の夫ジョイさんと出会うなどとまったく予想もしない邦子さんだった。
様々なインドの家庭料理
1か月のインド生活で、
肌も体調もベストに

おいしく食べて健康に

 邦子さんがインドで出会ったのは豊富な野菜を使ったおいしい家庭料理だった。それまで、野菜を食べるといえばサラダのことしか思い浮かばなかったのに、インドではベジタリアンでさえ生野菜はほとんど食べないのだ。
 豆や乳製品から良質のタンパク質を取り、見たこともないようなたくさんの種類のスパイスを使って、野菜で食物繊維をたっぷり取る。バラエティに富んだインドの家庭料理は、これまで持っていたインド料理のイメージを大きく変えた。まさに、食を通してのカルチャーショックだった。やがて、邦子さんの体調は日に日に回復し、インドに滞在して一か月もしないうちに、体も肌もすっかりベストコンディションになるとともに、全身にエネルギーがわいてくるのを感じた。元気になった邦子さんは、インドをあちこち見て歩き、ステイ先のファミリーの協力でインド国内の小旅行を実現した邦子さんは、旅先でジョイさんと出会うことになる。
 ジョイさんは、カルカッタ出身。親日家だった父親の影響で子供の頃から日本に興味があり、日本の文化や日本語を勉強してきた。勉強の甲斐あってカルカッタ大学在学中に日本語弁論大会で優勝。1982年、国際交流基金の招待で来日した。2週間の滞在だったが日本での印象は強烈にジョイさんの心に残り、いつかまた日本にいきたいと熱望していた。そんなとき、インドに来ていた邦子さんと出会ったのだった。
インド家庭料理研究家ロイチュウドゥーリ・ジョイさん
消化することが健康の基本

 日本に帰った邦子さんのもとに、ジョイさんからエアメールが届くようになり、4年後ジョイさんは再来日、邦子さんの両親を熱心に説得してふたりはゴールインした。
 結婚後、ジョイさんと邦子さんは、わが家の味を作るべく、インドのお母さんに度々国際電話をかけて料理の指導を受けた。また、在日のインド家庭を訪問して、様々なインドの家庭料理を本格的に勉強した。当時はまだ、インドの家庭料理はあまり日本に紹介されていなかったので、ふたりにとって、この体験はその後の大きな財産となった。
 ジョイさんによると、「インドには古くから『アーユルヴェータ』という医学があり、その考えによれば、過剰に食べることで消化されずに残った物質はやがて毒素となって体内にたまり、いろいろな病気や肥満を引き起こす」という。
 人間は、体のコンディションがよければ、たくさん食べても内臓は栄養素だけを取り入れて、不要なものは排泄できる。しかし、体内に毒素がたまることによって体のスムーズな流れが妨げられ、脂肪がたまりやすくなり肥満や病気の原因となる。
 インドでは、この毒素を取り除くのがスパイスだと考えられている。スパイスは体内を浄化して脂肪の燃焼を円滑にし、さらには胃腸の働きを活発にして浄化呼吸能力を高めてくれるのだという。
「だから、お客さまに食事をお出しするときは、顔色を見たり、体のコンディションを聞いてスパイスを選ぶこともあるんですよ。どの食材にどんなスパイスが使われるかは、インド各地域や気候風土、家庭によって違いますが、インド料理は基本的に身近な家庭医学ともいえるものです。家庭の料理ですから家族の健康を維持することを最優先に考えて作ります。寒いときは体を温めるために生姜を入れたり、お腹の調子が悪いときはクミンを取るとか、お母さんはスパイスの知識がないと家族の健康が守れません。消化力が落ちることで体がバランスを崩すと考えられているので、どうしたら内臓機能が高まって食物を消化しやすくできるか、各スパイスの機能と香りの特徴をよく知った上で、それらを駆使して様々な料理が作られるのです」。
インド家庭料理研究家ロイチュウドゥーリ・ジョイさん
スパイスを使って、健康で快適な毎日を

食事の基本は朝1、昼2、夜1の配分で

「アーユルヴェータの考えでは、体に必要な6大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維)をしっかりと、まんべんなく食べることが基本です。そして、食べた食物が胃の中で完全に消化され、次の食事までにはお腹の中がきれいになっていなければなりません。食べ過ぎを防ぐために、1日3食の食事は時間を決めてなるべく規則正しく取るようにします。間隔が不規則になると空腹過ぎてつい食べ過ぎてしまいますからね。人間はお腹が空いてくると消化を促進させる唾液、胃液などの消化液が分泌されますが、そのときに食物が入ってこないと消化液の酸度が高くなって胃腸に負担がかかり、消化力が落ちてしまいます。アーユルヴェータでは、消化力が1日のうちでもっとも高まる昼に重点を置き、朝と夜は軽めにすることを理想としています」。
 日本では夏になるとスパイスの効いたカレーが急速に注目されるが、スパイスの特徴をよく知って、もっと日常的に使いこなしてほしいとジョイさんは言う。また、最近ハーブティーが人気だが、「スパイスとの組合せで、より高い健康効果が期待できます。季節や体調に合わせて最適なものを選び、健康で快適な毎日を送ってください」。
 スパイスのすばらしさを多くの人に知ってもらい健康に役立ててほしい。そのためにも「これからも、あっちこっちに積極的に顔を出したい。頼まれれば講演もするし、雑誌やテレビにも気軽に出演します。様々な料理教室も喜んで引き受けています。スパイスは、お料理をおいしくするだけでなく、内臓を強化し、血行を促進して体のバランスを整える偉大な力があるんです。それを、ひとりでも多くの人に知ってもらいたいから」とジョイさんはにこやかに語ってくれた。
チキンカレーのレシピ
21世紀への都民仲間
JOY ROYCHOWDHURY DATAFILE
インド家庭料理研究家ロイチュウドゥーリ・ジョイさん
インド家庭料理研究家
ロイチュウドゥーリ・ジョイさん(町田市在住)

1960年 インドのカルカッタに生まれる。
    10才の時からヨガを学ぶ。
1982年 カルカッタ大学経済学部在学中に
    国際交流基金主催の日本語弁論大会に優勝して、
    日本語研修のために初来日。
1983年 大学卒業後、インドで日本語教師に。
1986年 日本文化を学ぶために再来日。
1989年〜インド旅行代理店、英語学校勤務の傍ら
    健康を第一に考えたインドの食生活の紹介、インドの
    伝承医学「アーユルヴェーダ」の基づくスパイス講座
    などを実践している。
    著書に「奇跡のスパイス ターメリック料理レシピ集」(アスペクト)
    共著に「インド家庭料理入門」(農文協)
       「インド料理ダイエット・レシピ集」(スパイク)

・東京でいちばん好きな建造物
 
   新宿・京王プラザホテル…研修のために初来日し、初めて日本で宿泊した
              ホテルなので、ここに入ると落ち着きます。

・東京でいちばん好きなアウトドアスペース
 
   多摩川のリバーサイド…東京で初めて一人暮らしを始めた場所が、多摩
             川のすぐ近くだったので、よく散歩をしました。
             心が穏やかになるので、今も休みの日に行きます。

・外国に自慢したい東京の魅力
 
   夢さえあれば必ず実現できる街

・東京を代表すると思う食べ物を3つ
 
   新宿・中村屋のカレー、新宿・つな八の天ぷら、新宿・中華一番のラーメン

   ・東京に暮らして心配に思うこと
 
   人間があまりにも金稼ぎに心を支配されてしまって、人間としての価値観
   から遠ざかってしまう恐れ。
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